JP2005089342A - シクロオクテンオキサイドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 過酸化水素、過酢酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物を用いることなく、固体酸化触媒ならびに分子状酸素含有ガスのみを用い、シクロオクテンからシクロオクテンオキサイドを製造する方法を提供する。
【解決手段】 シクロオクテンを分子状酸素含有ガスを用いて酸化し、シクロオクテンオキサイドを製造するに当たり、遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いて、無溶媒条件下で反応を行うことを特徴とするシクロオクテンオキサイドの製造方法。
【効果】 低温、定圧という穏和な反応条件下で、シクロオクテンオキサイドを高反応転化率ならびに高選択率で製造できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、シクロオクテンオキサイドの製造方法に関するものであり、更に詳しくは、遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いることにより、穏和な反応条件で、有機工業製品や医薬製品の合成中間体として有用なシクロオクテンオキサイドを高選択率で製造する方法に関するものである。本発明は、オレフィン類より工業的に重要な各種エポキサイド化合物を合成する有機合成の技術分野において、過酸化水素、過酢酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の爆発の危険性を有する過酸化物を用いることなく、分子状酸素含有ガスならびに遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒のみを用い、穏和な反応条件下、シクロオクテンからシクロオクテンオキサイドを、高い反応転化率ならびに反応選択性で製造することを可能とする新規有機合成方法を提供するものである。
従来、鎖状ならびに環状オレフィン類より各種エポキサイド化合物を工業的に合成する方法としては、クロルヒドリン中間体を経由し、これに強アルカリを作用させ、脱塩化水素反応を行う方法が一般的に用いられている。しかしながら、本方法では、大量の無機塩類が副生するという問題がある。また、シクロオクテンオキサイドを合成する特定の方法としては、シクロオクテンを溶解したアセトニトリル溶媒を用い、炭酸カリウム共存下、過酸化水素を反応させる方法が知られている(非特許文献1)。あるいは、鉄(III) ポルフィリン錯体触媒存在下、過酸化水素やt-ブチルハイドロパーオキサイドをシクロオクテンと反応させ、目的とするエポキシドを得る方法も知られている(非特許文献2)。更に、最近では、ケイタングステン酸中のタングステン骨格の一部を鉄(III) で置換したヘテロポリ酸(γ−SiW10〔Fe3+(OH2 )〕238 -6)を触媒とし、1気圧の酸素存在下で、1,2−ジクロロエタンとアセトニトリルの混合溶媒中、シクロオクテンオキサイドを高選択的に得る方法が報告されている(非特許文献3)。
しかしながら、上記した方法では、(1)比較的高価で爆発という危険性を有することから取り扱いが困難な過酸化水素や有機ヒドロペルオキシド及びペルオキシカルボン酸類を当量以上使用する、(2)大量合成が困難な有機金属錯体触媒を使用する、環境汚染対策が必要となる塩素系や含窒素系の有機溶媒を大量に使用する、あるいは、(3)触媒の繰り返し使用が困難である、といった問題があり、当技術分野においては、シクロオクテンオキサイドの工業的合成法として、これらの問題を解決する新規な製造法の開発が望まれていた。
上記した課題を解決する方法として、ナノ構造を有する酸化コバルトをMCM−41型ゼオライト中に形成させたゼオライト系固体触媒と分子状酸素ガスを用いて、シクロオクテンからシクロオクテンオキサイドを得る方法が提案されている(非特許文献4〜5)。しかしながら、この方法は酸化反応溶液中に大量のイソブチルアルデヒドを加えることが必須となっており、真の触媒活性種は固体触媒ならびに分子状酸素ガスによってイソブチルアルデヒドが酸化された過イソ酪酸ラジカルとされている。したがって、本方法は、Mukaiyama反応の変型であり、反応終了時に生成するイソ酪酸や未反応イソブチルアルデヒドを分離する必要がある。
また、マンガンあるいはコバルト等の各種遷移金属を用いて骨格置換を行ったゼオライト触媒と分子状酸素ガスを用い、各種鎖状オレフィンならびに6員環状オレフィン類を酸素酸化し、選択的にエポキシ化合物を得る方法も提案されている(非特許文献6)。しかしながら、この方法も上述したMukaiyama反応の変型であり、酸化反応溶液中に大量のベンズアルデヒドを加えることが必須となっており、反応終了時に生成する安息香酸や未反応ベンズアルデヒドを分離する必要があることに変わりはない。
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このような状況の中で、本発明者等は、上記従来技術に鑑みて、上記した課題を解決するために、出発原料であるシクロオクテン、ならびに反応生成物であるシクロオクテンオキサイドを容易に吸脱着できる細孔構造を有し、分子状酸素ガスと接触した際に、爆発の危険性を有するシクロオクテンペルオキシドを副生することなく、エポキシ化反応のみが進行するゼオライト系固体触媒の開発、更には高選択的反応を可能とする穏和な反応条件を鋭意検討した結果、ゼオライト骨格を形成する一部の元素を遷移金属を用いて骨格置換することにより得られる遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いることにより、上記した課題が解決でき、所期の目的を達成し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒ならびに分子状酸素ガスのみを用い、他の第三物質を添加することなく、穏和な反応条件下でシクロオクテンを酸素酸化させることを特徴とするシクロオクテンオキサイドの高選択的な製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、上述した従来の合成法が持つ欠点を克服し、シクロオクテンオキサイドを簡便かつ安価に合成する工業的製造方法を提供すること、すなわち、シクロオクテンから目的物であるシクロオクテンオキサイドを高選択的に製造するにあたり、分子状酸素ガスと遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒以外の第三物質を添加することなく、シクロオクテンオキサイドを選択的に合成する方法を提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、爆発という危険性を持つシクロオクテンヒドロペルオキシドを反応系内に蓄積することなく、極めて簡単な装置ならびに操作を用い、低温、定圧という穏和な反応条件下で、目的物を得ることができ、また、触媒の繰り返し使用や無溶媒条件下での反応も可能とすることにより、工業産廃や工業廃液などの後処理が不要となる、著しく低コストかつ極めて工業的利用価値の高いシクロオクテンオキサイドの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)シクロオクテンを分子状酸素含有ガスを用いて酸化し、シクロオクテンオキサイドを製造するに当たり、遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いることを特徴とするシクロオクテンオキサイドの製造方法。
(2)遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒が、一般式(R4+ )(OH- )(H2 O)x 〔Al121248〕(式中、R4+ は第四級アンモニウム塩、xは整数)で表されるAlPO−5系ゼオライト、又は一般式Nan (H2 O)16〔Aln Si96-n192 〕(式中、nは0≦n<27である整数)で表されるMFI系ゼオライトに相当する構造を有し、骨格構造の一部が他の遷移金属により置換されている遷移金属骨格置換型ゼオライトである、前記(1)に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
(3)骨格置換を行う遷移金属が、コバルトであり、そのゼオライト触媒に対する含有率が0.1〜5重量%である遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、前記(1)に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
(4)骨格置換を行う遷移金属が、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、バナジウム、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタルから選択された1種以上である遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、前記(1)に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
(5)骨格置換を行うために用いる遷移金属の仕込み量が、出発原料であるゼオライトに対して0.2〜20重量%である遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、前記(1)に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
(6)遷移金属骨格置換型ゼオライトを酸素雰囲気下で200〜700℃の温度条件で焼成し、ゼオライト骨格中に導入された遷移金属をより高酸化な電子状態に活性化した遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、前記(1)に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
(7)遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒とシクロオクテンならびに分子状酸素ガスを、10〜150℃の温度条件で、液相反応により接触させる、前記(1)に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
(8)遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒の使用量が、反応基質であるシクロオクテンに対し0.1〜50重量%である、前記(1)に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明において用いるゼオライト触媒は、一般式(R4+ )(OH- )(H2 O)x 〔Al121248〕(式中、R4+ は第四級アンモニウム塩、xは整数)で表されるAlPO−5系ゼオライト、又は一般式Nan (H2 O)16〔Aln Si96-n192 〕(式中、nは0≦n<27である整数)で表されるMFI型ゼオライトに相当する構造を有し、骨格構造の一部が他の遷移金属により置換されている遷移金属骨格置換型ゼオライトである。この遷移金属骨格置換型ゼオライトは、公知の方法(Verified Syntheses of Zeolitic Materials 2nd Revised Edition, Editated
by H. Robinson, Synthesis Commission of the International Zeolite
Association, ELSEVIER (2001年) )を参考として製造することができる。
骨格置換を行うために用いられる遷移金属の種類については、元素周期律表中の第3族から第14族に属する遷移金属であれば特に制限はないが、好ましくは、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、バナジウム、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタル等、酸化や還元反応により、容易にその酸化数が変化するとともに、より高酸化な電子状態をとりうる遷移金属が望ましく、特に好ましくはコバルトが用いられる。
骨格置換を行うために用いる遷移金属の仕込み量は、出発原料であるゼオライトに対して0.2〜20重量%が用いられる。仕込み量を調整することにより、最終的に得られる触媒原料中のコバルト含有量は0.1〜10重量%の間で任意に調整することが可能である。しかしながら、仕込み量が大きい場合には、骨格置換遷移金属以外にも、遷移金属酸化物が細孔表面ならびに細孔内において形成され、選択的なエポキシ化反応を阻害することから、仕込み量として、好ましくは0.1〜5重量%のものが使用される。
得られた遷移金属骨格置換型ゼオライトは、高温条件下において焼成し、テンプレート化合物として用いられた有機化合物を燃焼除去するとともに、ゼオライト骨格中に導入された遷移金属をより高酸化な電子状態に活性化する必要がある。この焼成処理を行うことにより、遷移金属骨格置換型ゼオライトは、分子状酸素ガスと接触した際に、エポキシ化反応のみが主として起こりうる活性触媒へと誘導される。その焼成温度条件としては、酸素雰囲気下で200〜700℃、好ましくは500〜600℃が用いられる。
このようにして得られた遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒は、粉末のまま、あるいは第三物質とともに混練し、造粒成型したものが利用可能である。また、別の担体上に薄膜を形成させ、これを触媒として用いることも可能である。用いられる触媒の使用量としては、反応基質であるシクロオクテンに対し0.1〜50重量%、好ましくは、2〜20重量%のものが使用される。
酸化剤として用いる分子状酸素含有ガスとしては、純酸素、通常の空気、工業排ガス、あるいは純酸素とヘリウム、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の他の不活性ガスを任意の割合で混合したものが用いられるが、反応時間の短縮を計るため、好ましくは純酸素が望ましい。反応圧力は0.1〜50気圧の範囲が適当であるが、過剰な酸素酸化反応の進行を抑制するため、好ましくは、0.5〜10気圧が望ましい。
遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒とシクロオクテンならびに分子状酸素ガスを接触させる方法としては、特に制限はなく、液相、気相いずれの方法も利用可能である。好ましくは、高温条件下でのシクロオクテンの重合を抑制する点から、液相反応が用いられる。液相反応における反応温度は、通常、10〜150℃が適用されるが、好ましくは50〜100℃の範囲で行われる。
本発明の反応は、分子状酸素ガスと骨格置換遷移金属が反応することにより得られる活性酸素錯体であるラジカル種に起因する。したがって、本発明の反応に用いる溶媒としては、本発明の反応条件下において、パーオキサイドを生成しない、酸素酸化反応を受け変質しない、また、ラジカルトラップ剤を含有しないもので有れば特に制限は無く、例えば、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、n−オクタンなどが用いられる。しかしながら、本発明の方法では、無溶媒条件下の方が、むしろ良好に反応が促進されることから、好ましくは無溶媒条件下が用いられる。
反応時間は、触媒の添加量によっても変化するが、通常、1〜120時間の範囲が適当である。長時間連続的に反応を行うことにより、反応転化率は徐々に向上していくが、その場合においても、エポキシ化反応終了後の酸素酸化反応が更に進行し、目的とするエポキシ化合物の反応選択性が低下することはない。
以上の方法により得られた反応混合物は、遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を濾過分別し、蒸留することにより、目的とするシクロオクテンオキサイドを単離することが可能である。尚、濾過分別されたゼオライト触媒、ならびに回収されたシクロオクテンは、そのまま再利用が可能である。また、長期間の使用により触媒活性が低下した場合は、酸素雰囲気下、500〜600℃の温度範囲において処理することにより、再生が可能である。
本発明の方法に用いられる遷移金属骨格置換型ゼオライトは、その細孔内において分子状酸素ガスを吸着することにより、エポキシ化反応のみを促進する触媒活性種を発現する。通常の遷移金属を含むゼオライト系固体触媒を用いるシクロオレフィン類の酸素酸化反応では、爆発性を有するシクロオレフィンペルオキシラジカルが反応前駆体として生成することが知られている。また、このペルオキシラジカルを経由することにより、例えば、シクロヘキセンの場合には、2−シクロヘキセン−1−オールや2−シクロヘキセン−1−オンのようなエノール、エノン類が副生することも知られている。
しかしながら、本発明の方法によれば、反応前駆体として生成するシクロオクテンペルオキシラジカルは、骨格置換型ゼオライト触媒の細孔内において速やかな転移反応を起こし、目的とするシクロオクテンオキサイドへと変化する。したがって、上記した副生成物であるエノールやエノン類、ならびにペルオキシラジカルはほとんどほとんど確認されず、エポキシ化反応のみが優先的に進行し、高い反応選択性が得られる。
また、本発明の方法に用いられる遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒は、親油性が高く、高い比表面積ならびに反応に最適な細孔径を有している。このため、無溶媒条件下においても目的とするエポキシ化反応が円滑に進行する。また、エポキシ化反応触媒活性種の発現は、低温、定圧条件下で可能であるとともに、触媒の繰り返し使用が可能であるという利点を有する。
本発明により、(1)穏和な反応条件で、シクロオクテンオキサイドを高選択率で製造することができる、(2)過酸化水素、過酢酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の爆発の危険性を有する過酸化物を用いることなく、シクロオクテンからシクロオクテンオキサイドを、高い反応転化率ならびに反応選択性で製造できる、(3)エポキシ化反応のみが優先的に進行し、高い反応選択性で目的とするシクロオクテンオキサイドが得られる、という効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
製造例1
本製造例では、Co−MFI触媒を以下の方法により合成した。固体水酸化ナトリウム1.2gを蒸留水150gに溶解させた後、撹拌しながらコロイダルシリカ水溶液(触媒化成工業(株)製CATALOID SI−30、SiO2 30%,Na2 O 0.38%)60.0gを添加した。次いで、塩化コバルト6水和物1.5gを25gの蒸留水に溶解させた溶液を添加し、更に、有機構造規定剤として、テトラプロピルアンモニウムブロミド7.99gを添加して水熱合成用のスラリーとした。得られたスラリーのpH(11.9)を更にテトラエチルアンモニウムヒドロキサイドを添加してpH13.4に調整し、テフロン(登録商標)内筒を有するオートクレーブ中にて170℃で4日間反応させた後、ろ過洗浄を行った。得られたNa型のCo−MFIを更に0.1Nの塩酸にて1晩処理を行い、550℃にて22時間焼成して有機物を除去し、反応用の触媒とした。
Co−MFIの生成、及び焼成後の金属酸化物の析出が無いことは、X線回折パターン及び電子顕微鏡により確認した。Co−MFI中におけるCoの含有量は、Csイオン交換試料、及び酸処理後のプロトン型試料の分析によって確認した。プロトン型試料のCo含有量は1.07 wt%であった。
製造例2
本製造例では、Co−ALPO−5触媒を以下の方法により合成した。イオン交換水31.3gにオルトリン酸(ナカライタクス製、試薬特級)11.55gを加え、完全に溶解するまで攪拌した。これを、氷水(0℃)で冷却し、硝酸コバルト六水和物(和光純薬製、試薬特級)2.33gを加えて完全に溶解するまで攪拌した。次に、擬ベーマイト(キャタパルアルミナ社製、SCC−30、75%アルミナ)6.25gを加えて完全に溶解するまで攪拌した。更に、トリエチルアミン(国産化学、試薬特級)7.2gを一滴ずつゆっくりと加え完全に溶解するまで攪拌した。この間の操作は、全て氷水(0℃)で冷却しながら行った。
このようにして得られたスラリー状の溶液は、pHが3.0であった。このスラリーをテフロン(登録商標)内筒付きのオートクレーブに移し、200℃で36時間、オートクレーブを回転させながら水熱処理した。水熱処理後、オートクレーブ中から内容物を取り出し、固液分離した後、固形物をイオン交換水で十分洗浄し、100℃で20時間乾燥した後、550℃で6時間焼成し、反応用の触媒とした。この触媒の、ICP分析によるCo含有量は2.9wt%であった。
製造例1で得た5Co−MFI系ゼオライト触媒0.05gならびにシクロオクテン1.0gのみを、1気圧の酸素導入器を備え付けた100mlの耐圧硝子容器中に加え、無溶媒条件下、酸素ガスを供給しつつ、80℃で24時間、加熱かき混ぜた。反応終了後、反応溶液と触媒を濾過分別した。得られた反応溶液はガスクロマトグラフィーを用いて分析し、シクロオクテンの反応転化率ならびにシクロオクテンオキサイドに対する反応選択性を求めた。その結果を表1に示す。また、核磁気共鳴装置を用い、その1H−NMRを測定したが、爆発性を有するシクロオクテンヒドロペルオキシドは確認されなかった。
製造例2で得たCo−AlPO−系ゼオライト触媒0.05gを用い、実施例1と同様の方法によりシクロオクテンオキサイドの合成ならびに分析を行った。その結果を表1に示す。また、本触媒においても、シクロオクテンヒドロペルオキシドの生成は確認されなかった。
製造例2の方法と同様の方法を用い、鉄、マンガン、バナジウム、及びニオブを用いて遷移金属骨格置換型MFI系ゼオライト触媒を合成した。本触媒を用い、実施例1と同様の方法により、シクロオクテンの酸素酸化反応を試みた。それぞれ結果をまとめて表1に示す。
Figure 2005089342
以上詳述したように、本発明は、シクロオクテンオキサイドの製造方法に係るものであり、本発明により、爆発という危険性も少なく、極めて簡単な装置ならびに操作を用い、低温、定圧という穏和な反応条件下で、有用な工業製品中間体であるシクロオクテンオキサイドを高選択的に製造する方法を提供することを可能とするものである。また、本発明は、触媒の繰り返し使用が可能で、無溶媒条件での反応も可能であり、工業産廃や工業廃液などの処理も不要であり、著しく低コストである等の利点を有する、極めて工業的利用価値の高いシクロオクテンオキサイドの製造方法を提供することを可能とする。

Claims (8)

  1. シクロオクテンを分子状酸素含有ガスを用いて酸化し、シクロオクテンオキサイドを製造するに当たり、遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いることを特徴とするシクロオクテンオキサイドの製造方法。
  2. 遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒が、一般式(R4+ )(OH- )(H2 O)x 〔Al121248〕(式中、R4+ は第四級アンモニウム塩、xは整数)で表されるAlPO−5系ゼオライト、又は一般式Nan (H2 O)16〔Aln Si96-n192 〕(式中、nは0≦n<27である整数)で表されるMFI系ゼオライトに相当する構造を有し、骨格構造の一部が他の遷移金属により置換されている遷移金属骨格置換型ゼオライトである、請求項1に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
  3. 骨格置換を行う遷移金属が、コバルトであり、そのゼオライト触媒に対する含有率が0.1〜5重量%である遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、請求項1に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
  4. 骨格置換を行う遷移金属が、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、バナジウム、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタルから選択された1種以上である遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、請求項1に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
  5. 骨格置換を行うために用いる遷移金属の仕込み量が、出発原料であるゼオライトに対して0.2〜20重量%である遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、請求項1に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
  6. 遷移金属骨格置換型ゼオライトを酸素雰囲気下で200〜700℃の温度条件で焼成し、ゼオライト骨格中に導入された遷移金属をより高酸化な電子状態に活性化した遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、請求項1に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
  7. 遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒とシクロオクテンならびに分子状酸素ガスを、10〜150℃の温度条件で、液相反応により接触させる、請求項1に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
  8. 遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒の使用量が、反応基質であるシクロオクテンに対し0.1〜50重量%である、請求項1に記載のシクロオクテンオキサイドの製造方法。
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