JP4088433B2 - オレフィン類の酸化方法およびこれを用いる含酸素化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の触媒の存在下、分子状酸素を用いるオレフィンの酸化方法および当該方法によりオレフィン類を酸化する、エポキサイド、アルコール、ケトン、アルデヒド等の含酸素化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体の酸化触媒を用いてオレフィンを酸化し、含酸素化合物を製造する方法が各種知られている。それらの中で、例えばエポキサイドを製造する方法に関しては、TS−1タイプのチタノシリケート触媒等によるプロピレンの液相反応が知られている(特公昭54−40525号、特公昭56−35941号、特開平8−269031、特開平10−337473公報)。これらの方法は、転化率やエポキシ選択率は高いものの、酸素源に高価な過酸化水素あるいは有機ハイドロパーオキサイドを使用しているので、製造コストの面で不利である。
【0003】
一方、酸素源に空気を用いる方法も知られており、例えば触媒として金属含有アルミノリン酸塩を用い、シクロヘキセン、スチレン等を液相で空気酸化する方法が報告されている(Chem.Commun., 1999, 829-830)。この方法は、酸素源である酸素や空気が安価であり、50℃という穏和な条件下でエポキサイド等が得られるが、触媒と共に原料に対して等モル量以上のアルデヒドを添加剤として用いるため、化学量論上、生成物と等量もしくはそれ以上のカルボン酸が副生する難点を有している。
【0004】
上記のように、高価な酸素源を用いたり、あるいは、目的としない副生成物が得られる方法は、当然のことながらコストが高くなるため、簡単に入手できる酸素源を用いて酸化し、目的物のみを取得できる方法が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、比較的安価な触媒を用いて、分子状酸素により各種のオレフィン類を酸化する方法を提供し、更に当該方法によりエポキサイド、アルコール、ケトン、アルデヒド等の含酸素化合物を効率よく製造する方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、オレフィン類の分子状酸素により酸化する際、触媒として固体の遷移金属原子を含む(バナジウム原子を除く)アルミノリン酸塩を用い、特定の条件で反応させることによって広範なオレフィン類が酸化でき、その結果各種の含酸素化合物を効率的に製造することができること、並びに反応系からの触媒の分離、再使用も容易であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、オレフィン類を、遷移金属(バナジウム原子を除く)を含むアルミノリン酸塩からなる触媒の存在下、反応温度60〜200℃で分子状酸素により酸化することを特徴とするオレフィン類の酸化方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、オレフィン類を、遷移金属(バナジウム原子を除く)を含むアルミノリン酸塩からなる触媒の存在下、反応温度60〜200℃で分子状酸素により酸化することを特徴とする含酸素化合物の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の方法を詳細に説明する。
本発明において用いられるオレフィン類は、鎖状オレフィン類、環状オレフィン類、芳香族環含有オレフィン類又は脂環式炭化水素基含有オレフィン類である。
【0010】
これらのオレフィン類のうち、鎖状オレフィン類としては、直鎖状のものでも分岐鎖状のものでもよく、その具体的な例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が例示される。また、環状オレフィン類としては、分岐鎖を有していても良く、その具体的な例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、ビシクロオクテン、トリシクロヘプテン、ノルボルネン、メンテン、α−ピネン等が挙げられる。更に、芳香族環含有オレフィン類としては、インデン、スチレン等が挙げられる。更にまた、脂環式炭化水素基含有オレフィン類の例としては、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等が挙げられる。
【0011】
また、本発明の反応において、酸化に用いられる分子状酸素としては、高純度の酸素ガスや空気はもちろん、高純度の酸素ガスや空気を窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン等で希釈した混合ガス等を例示することができる。
【0012】
更に、本発明の反応において触媒として用いられる遷移金属原子を含む(バナジウム原子を除く)アルミノリン酸塩は、アルミノリン塩を形成するアルミニウム原子のうちの一部が遷移金属原子で置換されたものである。
【0013】
この触媒の基本形であるアルミノリン酸塩としては、アルミニウム原子、リン原子及び酸素原子を主成分とするアルミノリン酸塩や、アルミニウム原子、リン原子及び酸素原子に加えて、ケイ素原子又はマグネシウム原子を含むアルミノリン酸塩が例示される。
【0014】
このうち、アルミニウム原子、リン原子及び酸素原子を主成分とするアルミノリン酸塩は、一般にAlPO−m(mは整数で化合物の結晶タイプを表す)で表示され、アルミニウム原子、リン原子及び酸素原子の比率は、ほぼ1:1:4である。また、アルミニウム原子、リン原子及び酸素原子に加えて、ケイ素原子又はマグネシウム原子を含むアルミノリン酸塩は、一般にSAPO−n又はMAPO−n(nは整数で化合物の結晶タイプを表す)で表示され、アルミニウム原子の一部がケイ素原子又はマグネシウム原子によって置換されたことが示される。そして、当該アルミノリン酸塩におけるアルミニウム原子とケイ素原子又はマグネシウム原子の和、リン原子及び酸素原子の比率は、ほぼ1:1:4である。(なお、AlPO−m、SAPO−n、MAPO−n等の表記については、「ゼオライトの科学と工学」、第2〜5頁(2000年、講談社発行)等参照。)
【0015】
上記アルミノリン酸塩中の遷移金属としては、バナジウムを除く遷移金属を利用することができるが、好ましいものとしては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マンガン、クロム等から選ばれる1種又は2種以上の遷移金属が挙げられる。更に好ましくは、鉄、コバルト、銅、マンガン及びクロムから選ばれる1種又は2種である。
【0016】
アルミノリン酸塩に含まれる遷移金属原子の量は、遷移金属原子とアルミニウム原子の総量に対する遷移金属原子の量の割合で、0.01〜20モル%程度であり、好ましくは0.1〜10モル%である。遷移金属原子の量が、この上限を越えて含まれると、触媒の熱安定性や結晶性などが悪くなり、この下限未満では、十分な触媒活性が得られない。
【0017】
本発明で使用する遷移金属原子を含むアルミノリン酸塩は、前記したように基本形であるアルミノリン酸塩の骨格を形成するアルミニウム原子の一部が遷移金属原子で置換されたものである。従って、遷移金属原子がアルミノリン酸塩に単に物理的に付着しているものとは明確に異なるものであり、これらを区別する必要がある。この区別に当たっては、X線回析による構造解析と、ICP発光分析法等による遷移金属元素の存在確認が必要である。
【0018】
上記の遷移金属原子を含むアルミノリン酸塩の製造は、例えば、適当なアルミニウム塩、リン酸塩および遷移金属塩並びに必要によりケイ酸塩およびマグネシウム塩を適切な比率で混合し、これをアルミノリン酸塩製造の常法に従い、水熱反応に付すことにより合成される。より具体的には、前記した遷移金属原子とアルミニウム原子の割合を満たすような量のアルミニウム塩および遷移金属塩を用い、これにリン酸塩等を加え、米国特許第4,310,440号明細書や、米国特許第4,567,029号明細書等の記載に従って調製することができる。
【0019】
本発明で使用される遷移金属原子を含むアルミノリン酸塩は、多孔質体で、一種のモレキュラーシーブである。結晶構造としては無定形に近いものから結晶性のものまで存在する。そして、これらの遷移金属原子を含むアルミノリン酸塩は、いずれも触媒として使用できる。中でも、結晶性で、細孔径が0.3〜1nm(3〜10オングストローム)程度の多孔質体が、各種のオレフィン類への適用性、触媒活性、目的生成物の選択性あるいは触媒の熱安定性の点で好ましい。
【0020】
本発明の酸化反応は、一般に液相法で回分式(バッチ式)または連続式で実施できる。反応器の形式としては、気泡塔、攪拌式、流通式、攪拌流通式などの形式のいずれも採用できる。
【0021】
この酸化反応は、一般に60〜200℃の温度、好ましくは80℃〜150℃の温度で実施される。オレフィンの種類によって差があるが、この下限より低いと十分な活性が得られず、この上限より高いと副生成物や分解物が多くなる。また、反応圧力は、常圧〜10MPa、好ましくは0.5〜5MPaである。
【0022】
上記酸化反応において、反応原料であるオレフィン類は、そのままで反応させることもできるが、溶媒で希釈して反応させることもできる。使用できる溶媒としては、酸化されにくい溶媒、例えばベンゼンなどが好ましい。
【0023】
本発明の酸化方法により、オレフィン化合物からエポキサイド類、あるいはオレフィンの主としてアリル位がヒドロキシル基やカルボニル基に酸化されたアルコール化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物等を製造することができる。そして、これら生成物の種類や組成は、原料オレフィン類の種類、触媒の種類、温度や圧力等の反応条件によって変化する。
【0024】
本反応で用いられる触媒は固体であるため、反応後、遠心分離や濾過により容易に分離でき、回収して再使用することが容易である。また、塔式反応器に触媒を充填し、固定床として使用した場合、塔内に充填した触媒をそのまま加熱燃焼することによって活性化し、再使用できる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、未反応の原料オレフィン及び反応生成物は、ガスクロマトグラフィーにより同定ならびに定量を行った。また、原料オレフィンの転化率及び生成物の選択率は下記の方法で求めた。
【0026】
(1)オレフィンの転化率
オレフィンの転化率は、原料(オレフィン)の未反応量を測定し、下記の計算法により算出した。
転化率(モル%)=〔(A1−A2)/A1〕×100
A1 : 原料量
A2 : 未反応の原料量
【0027】
(2)生成物の選択率
目的生成物の選択率は、下記の計算法により算出した。
選択率(モル%)=〔B1/(A1−A2)〕×100
B1 : 目的生成物の量
A1 : 原料量
A2 : 未反応の原料量
【0028】
参 考 例 1
触媒(CoAlPO−11)の調製:
イオン交換水600.6gをパイレックスガラス製のビーカーに入れ、撹拌しながらアルミニウムトリイソプロポキサイドを398.98g加え、十分分散させる。そこにリン酸(濃度:85質量%)を249.87g、酢酸コバルト2水和物を50.38g、イオン交換水を210.5g添加し、氷冷しながら均一になるまで十分撹拌した。これにジ−n−プロピルアミン104.17gを添加し、室温で1時間撹拌した。得られた溶液をテフロンコーティングを施したオートクレーブ内に移し、190℃で40時間水熱合成反応を行った。反応後、濾過と水洗を繰り返して固形分を十分洗浄し、80℃で18時間乾燥して青色の粉体を得た。得られた粉体を大気雰囲気下、550℃で20時間焼成し緑色の粉体を得た。
【0029】
この緑色粉体をX線回折法により分析した結果、AlPO−11の回折パターンと一致した。また、この粉体をICP発光分析法により分析したところ、コバルト含有量は5モル%(Coモル数 /(Coモル数+Alモル数)×100)であった。また、この粉体は結晶性の多孔質であり、その細孔径が約0.6nmであった。以下、本触媒をCoAlPO−11と標記する。
【0030】
参 考 例 2
触媒(CoAlPO−5)の調製:
パイレックスガラス製ビーカーにリン酸(85質量%)を8.29g、塩化コバルト6水和物を0.3227g、イオン交換水を52.11g入れ、氷冷しながら均一になるまで十分撹拌した。これにCONDEA社製ベーマイト(PURAL SCF55)を4.87g添加し、氷冷しながら十分撹拌した後、トリエチルアミン4.36gを添加し、室温で18時間撹拌した。得られた溶液をテフロンコーティングを施したオートクレーブ内に移し、175℃で72時間水熱合成反応を行った。反応後、濾過と水洗を繰り返して生成物を十分洗浄し、80℃で18時間乾燥して青色の粉体を得た。得られた粉体を大気雰囲気下、550℃で16時間焼成し、緑色の粉体を得た。
【0031】
この粉体をX線回折法により分析した結果、AlPO−5の回折パターンと一致した。また、この粉体をICP発光分析法により分析したところ、コバルト含有量は6モル%(Coモル数 /(Coモル数+Alモル数)×100)であった。また、この粉体は結晶性の多孔質であり、その細孔径が約0.7nmであった。以下、本触媒をCoAlPO−5と標記する。
【0032】
参 考 例 3
触媒(MnSAPO−34)の調製:
テフロン製1500ml容器にリン酸(85質量%)を27.3g、アルミニウムトリイソプロポキシドを56.68g入れ、1時間混合した。次いで、メタノール150mlを加えて3時間混合した後、ゾル状のカタロイドシリカ(SiO2換算で30質量%)8.33gを加え、3時間撹拌した。次いで、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(濃度:10質量%)20.4gを加えて3時間撹拌した後、酢酸マンガン4水和物3.42gを添加し、1時間撹拌した。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、210℃で40時間水熱合成反応を行った。反応後、濾過と水洗を繰り返して生成物を十分洗浄し、70℃で18時間乾燥し、さらに大気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、桃灰色の粉体を得た。
【0033】
得られた粉体をX線回折法により分析した結果、マンガン酸化物、金属マンガンに起因するピークは確認されず、SAPO−34の回折パターンと一致した。また、この粉体をICP発光分析法により分析したところ、マンガン含有量は4.8モル%(Mnモル数 /(Mnモル数+Alモル数)×100)であった。また、この粉体は結晶性の多孔質であり、その細孔径が約0.4nmであった。以下、本触媒をMnSAPO−34と標記する。
【0034】
参 考 例 4
触媒(CoAlPO−11A)の調製:
参考例1で調製した触媒(CoAlPO−11)のイオン交換サイトにカチオン種として存在しているコバルトを除去するため、酸による洗浄を行った。即ち、0.1Mに調製した硝酸アンモニウム水溶液750gに、参考例1で調製したCoAlPO−11を37.48g添加し、60℃で18時間撹拌した。その後、室温に戻し、固形分をイオン交換水で十分洗浄した。次いで、固形分を100℃で20時間乾燥させ、さらに550℃で3時間大気雰囲気下で焼成した。以下、本触媒をCoAlPO−11Aと標記する。
【0035】
実 施 例 1
容積50mlのステンレス製オートクレーブに参考例2で調製した触媒(CoAlPO−5)100mg及び1−オクテン10gを入れた。オイルバス上で加熱しながら、室温の空気を1.0MPaになるまで供給した後、攪拌下、130℃で5時間酸化反応を行った。
【0036】
反応生成物の分析の結果、1−オクテンの転化率は10.8%であり、1−オクテンの反応生成物であるエポキサイド化合物、アルコール化合物、ケトン化合物等の生成が認められた。生成物の選択率は、オクテンエポキシド59.1%、3−オクテノール〜5−オクテノール10.8%及び3−オクテノン〜5−オクテノン22.0%であった。
【0037】
比 較 例 1
実施例1において反応温度を80℃に下げた以外は、実施例1と同様に酸化反応を行った。分析の結果、酸化生成物は実質的に認められなかった。この結果より、反応温度を130℃から80℃に下げることにより、反応速度が急激に低下することが示された。
【0038】
実 施 例 2
オレフィン原料をシクロヘキセンに換え、反応時間を1.5時間にした以外は実施例1と同様に反応を行った。分析の結果、シクロヘキセンの転化率は11.9%で、生成物の選択率は、シクロヘキセンオキサイド20.5%、シクロヘキセノール33.3%、シクロヘキセノン40.4%であった。
【0039】
比 較 例 2
反応温度を50℃、反応時間を5時間とした以外は、実施例2と同様に酸化反応を行った。分析の結果、酸化生成物は認められなかった。
【0040】
実 施 例 3
触媒を参考例1で調製した触媒(CoAlPO−11)を用いた以外は、実施例2と同様にシクロヘキセンの酸化反応を行った。分析の結果、シクロヘキセンの転化率は15.1%で、生成物の選択率は、シクロヘキセンオキサイド16.5%、シクロヘキセノール28.0%、シクロヘキセノン50.3%であった。
【0041】
実 施 例 4
参考例3で調製した触媒(MnSAPO−34)を用いた以外は、実施例2と同様に酸化反応を行った。分析の結果、シクロヘキセンの転化率は13.9%で、生成物の選択率は、シクロヘキセンオキサイド15.1%、シクロヘキセノール32.0%、シクロヘキセノン50.3%であった。
【0042】
実 施 例 5
ステンレスオートクレーブに参考例2で調製した触媒(CoAlPO−5)100mg、及び溶媒としてベンゼン10gを入れ、氷浴で冷却した。次いで、プロピレン5gを加えた後、オイルバスで加熱しながら、室温の空気を6.0MPaになるまで供給した。その後、130℃で4時間、酸化反応を行った。
【0043】
分析の結果、プロピレンの転化率は6.4%で、生成物の選択率は、プロピレンオキサイド32.2%、アリルアルコール8.0%、アセトン4.8%、アクロレイン20%、アセトアルデヒド18%であった。
【0044】
比 較 例 3
触媒として、公知触媒の一種である無水酢酸コバルトを10mg用いた以外は、実施例5と同様にプロピレンの酸化反応を行った。分析の結果、プロピレンの転化率は7.9%で、生成物の選択率は、プロピレンオキサイド15.0%、アリルアルコール9.7%、アセトン4.0%、アクロレイン26.1%、アセトアルデヒド19.3%であった。
【0045】
本比較例は、実施例5に比べ転化率は若干高いが、エポキサイドの選択率が2分の1と低かった。尚、本触媒は、回収して再使用することは極めて困難である。
【0046】
実 施 例 6
参考例1で調製した触媒(CoAlPO−11)を用いた以外は、実施例5と同様に酸化反応を行った。分析の結果、プロピレンの転化率は5.7%で、生成物の選択率は、プロピレンオキシド36.0%、アリルアルコール8.2%、アセトン2.8%、アクロレイン26%、アセトアルデヒド17.7%であった。
【0047】
実 施 例 7
参考例3で調製した触媒(MnSAPO−34)を用いた以外は、実施例5と同様に酸化反応を行った。分析の結果、プロピレンの転化率は6.3%で、生成物の選択率は、プロピレンオキサイド20.0%、アリルアルコール4.1%、アセトン5.2%、アクロレイン48.0%、アセトアルデヒド18.8%であった。
【0048】
実 施 例 8
触媒を参考例4で調製した触媒(CoAlPO−11A)に換えた以外は、実施例5と同様に反応を行った。分析の結果、プロピレンの転化率は2.3%で、生成物の選択率は、プロピレンオキサイド62.5%、アリルアルコール3.2%、アセトン0.8%、アクロレイン9.1%、アセトアルデヒド13.0%であった。
【0049】
実 施 例 9
実施例8における酸化反応後、使用した触媒をろ過により回収した。回収した固形分をベンゼン10gで一回洗浄した後、これを触媒として使用し、再度実施例8と同一条件で酸化反応を行った。分析の結果、プロピレンの転化率は2.2%で、生成物の選択率は、プロピレンオキサイド62.9%、アリルアルコール2.2%、アセトン0.6%、アクロレイン11.5%、アセトアルデヒド13.3%であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明方法によれば、遷移金属(バナジウム原子を除く)を含むアルミノリン酸塩からなる固体触媒を用いることにより、入手しやすい酸素源を用いて広範なオレフィン類を酸化することができる。
【0051】
そして、この方法により、オレフィン類から、エポキサイド、アルコール、ケトン、アルデヒド等各種の含酸素化合物を効率的に製造することができ、しかも触媒の分離、再使用が容易であるため、経済性の高い含酸素化合物の製造方法として利用しうるものである。
以 上
Claims (7)
- オレフィン類を、鉄、コバルト、銅、マンガン及びクロムから選ばれる遷移金属の1種又は2種以上を含むアルミノリン酸塩からなる触媒の存在下、60〜200℃の反応温度で分子状酸素により酸化することを特徴とするオレフィン類の酸化方法。
- アルミノリン酸塩が、アルミニウム原子、リン原子及び酸素原子からなるか、又はこれら原子の他にケイ素原子又はマグネシウム原子を含むアルミノリン酸塩である請求項第1項記載のオレフィン類の酸化方法。
- オレフィン類が、鎖状オレフィン類、環状オレフィン類、芳香族環含有オレフィン類又は脂環式炭化水素基含有オレフィン類である請求項第1項又は第2項記載のオレフィン類の酸化方法。
- オレフィン類が、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、シクロペンテン及びシクロヘキセンから選ばれるオレフィンである請求項第3項記載の酸化方法。
- オレフィン類を、鉄、コバルト、銅、マンガン及びクロムから選ばれる遷移金属の1種又は2種以上を含むアルミノリン酸塩からなる触媒の存在下、60〜200℃の反応温度で分子状酸素により酸化することを特徴とする含酸素化合物の製造方法。
- アルミノリン酸塩が、アルミニウム原子、リン原子及び酸素原子からなるか、又はこれら原子の他にケイ素原子又はマグネシウム原子を含むアルミノリン酸塩である請求項第5項記載の含酸素化合物の製造方法。
- 含酸素化合物が、エポキサイド、アルコール、ケトン又はアルデヒドである請求項第5項又は第6項記載の含酸素化合物の製造方法。
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