JP2005089341A - 含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法 - Google Patents

含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法 Download PDF

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拓史 池田
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Abstract

【課題】 過酸化水素、過酢酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物を用いることなく、固体酸化触媒ならびに分子状酸素含有ガスのみを用い、シクロヘキセンから含酸素シクロヘキセン誘導体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 シクロヘキセンを分子状酸素含有ガスを用いて酸化し、含酸素シクロヘキセン誘導体である2−シクロヘキセン−1−オン及び/又は2−シクロヘキセン−1−オールを製造するに当たり、遷移金属を用いて骨格置換を行った遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いて、無溶媒条件下で反応を行うことを特徴とする含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、シクロヘキセンを出発物質とし、酸素酸化反応を行うことにより、有機工業製品や医薬製品の合成中間体として有用な含酸素シクロヘキセン誘導体を高選択率で製造する方法に関するものである。
含酸素シクロヘキセン誘導体のなかでも、2−シクロヘキセン1−オンは、レゾルシンやアミノフェノール誘導体合成の反応中間体として、また、2−シクロヘキセン−1−オールは、高機能性高分子材料への用途が今後著しく増大すると予想されるシクロヘキサジエンの合成中間体として、それぞれ、工業的に極めて重要な化合物である。
本発明は、上述の有機化合物の製造技術の分野において、過酸化水素、過酢酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の爆発の危険性を有する過酸化物を用いることなく、分子状酸素含有ガス、ならびに遷移金属を用いて骨格置換を行った遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒のみを用い、穏和な反応条件下、シクロヘキセンから上記した含酸素シクロヘキセン誘導体を、高い反応転化率ならびに反応選択性で製造することを可能とする新規含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法を提供するものである。
従来、脂環式不飽和化合物であるシクロヘキセンを重金属触媒等の存在下において分子状酸素含有ガスを用いて液相酸化することにより、主生成物としてアリル位が酸化されたシクロヘキセンヒドロペルオキシドが、副生成物として2−シクロヘキセン1−オン、2−シクロヘキセン−1−オールあるいはシクロヘキセンオキサイドのような含酸素シクロヘキセン誘導体が得られることは既に知られている。
例えば、バナジウムとクロムからなる二元系酸化物触媒ならびに分子状酸素含有ガスを用い、シクロヘキセンを液相酸化することにより、シクロヘキセンヒドロペルオキシドが主生成物(収率10.3%)として、シクロヘキセンオキシドが副生成物(収率2.4%)として得られることが報告されている(特許文献1)。この場合のシクロヘキセンの転化率は16.4%である。
また、クロム系化合物を触媒とし、ピリジン類の共存下、分子状酸素含有ガスを用いシクロヘキセンを液相酸化することにより、選択的に2−シクロへキセン−1−オンが得られることが報告されている(特許文献2)。この場合のシクロヘキセン転化率は3.5〜7.1%、2−シクロへキセン−1−オン選択率は99.9〜91.0%である。
しかしながら、上記した方法では、いずれも環境に有害なクロム系化合物を用いるという問題がある。また、前者においては、爆発性を有するシクロヘキセンヒドロペルオキシドが主生成物となること、後者においては、2−シクロへキセン−1−オンに対する反応選択性は高いものの、シクロヘキセン転化率が著しく低い、といった点がそれぞれ問題である。
また、爆発という危険性のある過酸化水素や有機ヒドロペルオキシド及びペルオキシカルボン酸類を、酸化剤として当量以上使用する方法も報告されている。しかしながら、これらの方法では、大量合成が困難な有機金属錯体触媒を使用する、あるいは、環境汚染対策が必要となる塩素系や含窒素系の有機溶媒を大量に使用する、といった問題があり、当技術分野においては、工業的合成法としてこれらの問題を解決する新規な製造法の開発が望まれていた。
特開昭50−149645号公報 特開平6−211726号公報
このような状況の中で、本発明者等は、上記従来技術に鑑みて、上記した課題を解決するために、出発原料であるシクロヘキセン、ならびに反応生成物である含酸素シクロヘキセン誘導体を容易に吸脱着できる細孔構造を有し、分子状酸素ガスと接触した際、シクロヘキセンヒドロペルオキシドを反応中間体として生成するとともに、爆発の危険性を有するこのシクロヘキセンヒドロペルオキシドを反応系内に蓄積することなく、速やかに分解させ、含酸素シクロシクロヘキセン誘導体である2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オールへと誘導するゼオライト系固体触媒の開発、更には高い原料転化率ならびに反応選択性を可能とする穏和な反応条件を鋭意検討した結果、ゼオライト骨格を形成する一部の元素を遷移金属を用いて骨格置換することにより得られる遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いることにより、上記した課題が解決できることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明は、上述した従来の合成法が持つ欠点を克服し、含酸素シクロヘキセン誘導体を簡便かつ安価に合成する工業的製造方法を提供すること、すなわち、シクロヘキセンから目的物である含酸素シクロヘキセン誘導体を高選択的に製造するにあたり、遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒、ならびに分子状酸素ガスのみを用い、他の第三物質を添加することなく、穏和な反応条件下でシクロヘキセンを酸素酸化させ、含酸素シクロヘキセン誘導体を選択的に合成する方法を提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、爆発という危険性を持つシクロヘキセンヒドロペルオキシドを反応系内に大量に蓄積することなく、極めて簡単な装置ならびに操作を用い、低温、定圧という穏和な反応条件下で、目的物を得ることができ、また、触媒の繰り返し使用や無溶媒条件下での反応も可能とすることにより、工業産廃や工業廃液などの後処理を不要とした、著しく低コストかつ極めて工業的利用価値の高い含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)シクロヘキセンを分子状酸素含有ガスを用いて酸化し、含酸素シクロシクロヘキセン誘導体である2−シクロヘキセン−1−オン及び/又は2−シクロヘキセン−1−オールを製造するに当たり、遷移金属を用いて骨格置換を行った遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いることを特徴とする含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
(2)遷移金属骨格置換型ゼオライトが、一般式Nan Aln Si96-n192 ・16H2 O(式中、nは0≦n<27である整数)で表わされるMFI型ゼオライトに相当する構造を有し、骨格構造の一部が他の遷移金属により置換されているとともに、ゼオライトケージ内のナトリウムカチオンをイオン交換してプロトン型とした遷移金属骨格置換型ゼオライトである、前記(1)に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
(3)骨格置換を行う遷移金属が、元素周期律表中の第3族から第14族に属する遷移金属であり、そのMFIゼオライトに対する含有率が0.1〜5重量%である遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、前記(1)に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
(4)骨格置換を行う遷移金属が、マンガン又はコバルトである、前記(3)に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
(5)骨格置換を行うために用いる遷移金属の仕込み量が、出発原料であるゼオライトの基本骨格を形成するSiO2 に対して0.2〜20重量%である、前記(2)に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
(6)遷移金属骨格置換型ゼオライトを酸素雰囲気下で200〜700℃の温度条件で焼成し、ゼオライト骨格中に導入された遷移金属をより高酸化な電子状態に活性化する、前記(2)に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
(7)遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒とシクロヘキセンならびに分子状酸素ガスを、10〜150℃の温度条件で、液相反応により接触させる、前記(1)に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
(8)遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒の使用量が、反応基質であるシクロヘキセンに対し0.1〜50重量%である、前記(1)に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明において用いるゼオライト触媒は、一般式Nan Aln Si96-n192 ・16H2 O(式中、nは0≦n<27である整数)で表わされるMFI型ゼオライトに相当する構造を有し、骨格構造の一部が他の遷移金属により置換されているとともに、ゼオライトケージ内のナトリウムイオンをイオン交換してプロトン型とした遷移金属骨格置換型ゼオライトであり、b軸方向に10員環5.3X5.6Å、a軸方向に10員環5.1X5.5Åの細孔が交差した3次元の細孔構造を有するのが特徴である。この遷移金属骨格置換型ゼオライトは、公知の方法(Verified Syntheses of Zeolitic Materials 2nd Revised Edition, Editated
by H. Robinson, Synthesis Commission of the International Zeolite
Association, ELSEVIER (2001年) )を参考として製造することができる。
骨格置換を行うために用いられる遷移金属の種類については、元素周期律表中の第3族から第14族に属する遷移金属であれば特に制限はないが、好ましくは、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、バナジウム、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタル等、酸化や還元反応により、容易にその酸化数が変化するとともに、より高酸化な電子状態をとりうる遷移金属が望ましく、特に好ましくは、マンガン、コバルトが用いられる。
骨格置換を行うために用いる遷移金属の仕込み量は、ゼオライトの基本骨格を形成するSiO2 に対して0.2〜20重量%が用いられる。仕込み量を調整することにより、最終的に得られる触媒原料中の金属含有量は0.01〜10重量%の間で任意に調整することが可能である。仕込み量として、好ましくは0.1〜5重量%のものが使用される。
得られた遷移金属骨格置換型ゼオライトは、高温条件下において焼成し、テンプレート化合物として用いられた有機化合物を燃焼除去するとともに、ゼオライト骨格中に導入された遷移金属をより高酸化な電子状態に活性化する必要がある。この焼成処理を行うことにより、遷移金属骨格置換型ゼオライトは、分子状酸素ガスならびにシクロヘキセンと接触した際に、シクロヘキセンヒドロペルオキシドの生成や分解を進行させる活性触媒へと誘導される。その焼成温度条件としては、酸素雰囲気下で200〜700℃、好ましくは500〜600℃が用いられる。
このようにして得られた遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒は、粉末のまま、あるいは第三物質とともに混練し、造粒成型したものが利用可能である。また、別の担体上に薄膜を形成させ、これを触媒として用いることも可能である。用いられる触媒の使用量としては、反応基質であるシクロヘキセンに対し0.1〜50重量%、好ましくは、2〜20重量%のものが使用される。
酸化剤として用いる分子状酸素含有ガスとしては、純酸素、通常の空気、工業排ガス、あるいは純酸素とヘリウム、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の他の不活性ガスを任意の割合で混合したものが用いられるが、反応時間の短縮を計るため、好ましくは純酸素が望ましい。反応圧力は0.1〜50気圧の範囲が適当であるが、過剰な酸素酸化反応の進行を抑制するため、好ましくは、0.5〜10気圧が望ましい。
遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒とシクロヘキセンならびに分子状酸素ガスを接触させる方法としては、特に制限はなく、液相、気相いずれの方法も利用可能である。好ましくは、高温条件下でのシクロヘキセンの重合反応等を抑制する点から、液相反応が用いられる。液相反応における反応温度は、通常、10〜150℃が適用されるが、好ましくは50〜100℃の範囲で行われる。
本発明の反応は、分子状酸素ガスと骨格置換遷移金属が反応することにより得られる活性種がシクロヘキセンと反応することにより生成するシクロヘキセンヒドロペルオキシラジカルを利用するものである。したがって、本発明の反応に用いる溶媒としては、本発明の反応条件下において、パーオキサイドを生成しない、酸素酸化反応を受け変質しない、また、ラジカルトラップ剤を含有しないもので有れば特に制限は無く、例えば、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、n−オクタンなどが用いられる。しかしながら、本発明の方法では、無溶媒条件下の方が、むしろ良好に反応が促進されることから、好ましくは無溶媒条件下が用いられる。
反応時間は、触媒の添加量によっても変化するが、通常、1〜72時間の範囲が適当である。しかしながら、過剰な酸素酸化反応の進行を抑制するため、好ましくは1〜36時間が望ましい。長時間連続的に反応を行い、反応転化率を向上させることも可能であるが、その場合、生成した目的物とシクロヘキセンヒドロペルオキシラジカルが更に反応し、目的外のエポキシ化合物が副生するため、目的とする含酸素シクロヘキセン誘導体の反応選択性が低下する。
以上の方法により得られた反応混合物は、遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を濾過分別し、蒸留することにより、目的とする含酸素シクロヘキセン誘導体を単離することが可能である。尚、濾過分別されたゼオライト触媒、ならびに回収されたシクロヘキセンは、そのまま再利用が可能である。また、長期間の使用により触媒活性が低下した場合は、酸素雰囲気下、500〜600℃の温度範囲において処理することにより、再生が可能である。
通常の遷移金属塩類、あるいは遷移金属酸化物を担持させたゼオライト系固体触媒を用いるシクロヘキセンの酸素酸化反応では、爆発性を有するシクロヘキセンペルオキシラジカルが主生成物として生成されることが知られている。また、生成したシクロヘキセンペルオキシラジカルの一部は、熱分解反応等により、2−シクロヘキセン−1−オールや2−シクロヘキセン−1−オンのような含酸素シクロヘキセン誘導体へと変化することが知られている。しかしながら、基本的に、爆発性を有するシクロヘキセンペルオキシラジカルが、反応系内に徐々に蓄積されていく危険性が有ることに変わりはない。
本発明の方法に用いられる遷移金属骨格置換型ゼオライトは、その細孔内において分子状酸素ガスを吸着することにより、オレフィン類の酸素酸化を可能とする触媒活性種を発現する。この触媒活性種は、遷移金属塩や遷移金属酸化物を担持したゼオライト触媒と同様、シクロヘキセンと反応し、シクロヘキセンペルオキシラジカルを生成する。しかしながら、本発明の方法によれば、ゼオライト細孔内において生成したシクロヘキセンペルオキシラジカルは、同じ細孔内において速やかな分解反応を受け、他の含酸素シクロヘキセン誘導体に変化する。したがって、これまでの表面担持型ゼオライト触媒に較べ、2−シクロヘキセン−1−オールや2−シクロヘキセン−1−オンのようなエノールならびにエノン類に対する反応選択性が高いという特徴を有する。
また、本発明の遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒は、親油性が高く、高い比表面積ならびに反応に最適な細孔径を有している。このため、無溶媒条件下においても目的とする含酸素シクロヘキセン誘導体化反応が円滑に進行する。また、反応触媒活性種の発現は、低温、定圧条件下で可能であるとともに、触媒の繰り返し使用が可能であるという利点を有する。
本発明により、(1)シクロヘキセンを出発物質とし、酸素酸化反応を行うことにより、含酸素シクロヘキセン誘導体を高選択率で製造できる、(2)従来法のような、過酸化水素、過酢酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の爆発の危険性を有する過酸化物を用いることなく、分子状酸素含有ガス、ならびに遷移金属を用いて骨格置換を行った遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒のみを用い、穏和な反応条件下、シクロヘキセンから上記した含酸素シクロヘキセン誘導体を、高い反応転化率ならびに反応選択性で製造できる、(3)工業的利用価値の高い新規含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法を提供できる、という効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
製造例1
本製造例では、Mn−MFI触媒を以下の方法により合成した。固体水酸化ナトリウム1.2gを蒸留水150gに溶解させた後、撹拌しながらコロイダルシリカ水溶液(触媒化成工業(株)製CATALOID SI−30、SiO2 30%,Na2 O 0.38%)60.0gを添加した。次いで、塩化マンガン4水和物1.2gを25gの蒸留水に溶解させた溶液を添加し、更に、有機構造規定剤として、テトラプロピルアンモニウムブロミド7.99gを添加して水熱合成用のスラリーとした。得られたスラリーのpH(11.9)を更にテトラエチルアンモニウムヒドロキサイドを添加してpH13.4に調整し、テフロン(登録商標)内筒を有するオートクレーブ中にて170℃で4日間反応させた後、ろ過洗浄を行った。得られたNa型のMn−MFIを更に0.1Nの塩酸にて1晩処理を行い、550℃にて22時間焼成して有機物を除去し、反応用の触媒とした。
Mn−MFIの生成、及び焼成後の金属酸化物の析出が無いことは、X線回折パターン及び電子顕微鏡により確認した。Mn−MFI中におけるMnの含有量はCsイオン交換試料、及び酸処理後のプロトン型試料の分析によって確認した。プロトン型試料のMn含有量は0.57wt%であった。
製造例2
本製造例では、Co−MFI触媒を以下のようにして行った。製造例1の行程で原料として塩化マンガン4水和物の代わりに塩化コバルト6水和物1.5gを用い、製造例1と同様にして合成を行った後、プロトン型とし、更に焼成して反応用の触媒とした。プロトン型試料のCo含有量は1.07wt%であった。
製造例1で得たMn−MFI系ゼオライト触媒0.05gならびにシクロヘキセン1.0gを、1気圧の酸素導入器を備え付けた100mlの耐圧硝子反応容器中に加え、無溶媒条件下、酸素ガスを供給しつつ、80℃で24時間、加熱かき混ぜた。反応終了後、反応溶液と触媒を濾過分別した。得られた反応溶液は、1H−NMRならびにガスクロマトグラフィーを用いて分析し、シクロヘキセンの反応転化率ならびに含酸素シクロヘキセン誘導体に対する反応選択性を求めた。その結果を表1に示す。
製造例2で得たCo−MFI系ゼオライト触媒0.05gを用い、実施例1と同様の方法により含酸素シクロヘキセン誘導体の合成ならびに分析を行った。その結果を表1に示す。
製造例2の方法と同様の方法を用い、鉄、バナジウム、及びニオブを用いて遷移金属骨格置換型MFI系ゼオライト触媒を合成した。本触媒を用い、実施例1と同様の方法により、シクロヘキセンの酸素酸化反応を試みた。それぞれ結果をまとめて表1に示す。
比較例1
コバルトを用いて骨格置換を行ったAlPO−5系ゼオライト触媒を用いて実施例1と同様の方法により、シクロヘキセンの酸素酸化反応を試みた。結果を表1に示す。
Figure 2005089341
以上詳述したように、本発明は、含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法に係るものであり、本発明により、爆発という危険性も少なく、極めて簡単な装置ならびに操作を用い、低温、定圧という穏和な反応条件下で、有用な工業製品中間体である含酸素シクロヘキセン誘導体を製造する方法を提供することを可能とするものである。また、本発明は、触媒の繰り返し使用が可能で、無溶媒条件での反応も可能であり、工業産廃や工業廃液などの処理も不要であり、著しく低コストである等の利点を有する、極めて工業的利用価値の高い含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法を提供することを可能とする。

Claims (8)

  1. シクロヘキセンを分子状酸素含有ガスを用いて酸化し、含酸素シクロシクロヘキセン誘導体である2−シクロヘキセン−1−オン及び/又は2−シクロヘキセン−1−オールを製造するに当たり、遷移金属を用いて骨格置換を行った遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いることを特徴とする含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
  2. 遷移金属骨格置換型ゼオライトが、一般式Nan Aln Si96-n192 ・16H2 O(式中、nは0≦n<27である整数)で表わされるMFI型ゼオライトに相当する構造を有し、骨格構造の一部が他の遷移金属により置換されているとともに、ゼオライトケージ内のナトリウムカチオンをイオン交換してプロトン型とした遷移金属骨格置換型ゼオライトである、請求項1に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
  3. 骨格置換を行う遷移金属が、元素周期律表中の第3族から第14族に属する遷移金属であり、そのMFIゼオライトに対する含有率が0.1〜5重量%である遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒を用いる、請求項1に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
  4. 骨格置換を行う遷移金属が、マンガン又はコバルトである、請求項3に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
  5. 骨格置換を行うために用いる遷移金属の仕込み量が、出発原料であるゼオライトの基本骨格を形成するSiO2 に対して0.2〜20重量%である、請求項2に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
  6. 遷移金属骨格置換型ゼオライトを酸素雰囲気下で200〜700℃の温度条件で焼成し、ゼオライト骨格中に導入された遷移金属をより高酸化な電子状態に活性化する、請求項2に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
  7. 遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒とシクロヘキセンならびに分子状酸素ガスを、10〜150℃の温度条件で、液相反応により接触させる、請求項1に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
  8. 遷移金属骨格置換型ゼオライト触媒の使用量が、反応基質であるシクロヘキセンに対し0.1〜50重量%である、請求項1に記載の含酸素シクロヘキセン誘導体の製造方法。
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