JP2005087972A - ナノ粒子分散方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 攪拌粒子の摩耗による不純物の混入が少ない状態で、再凝集することなくナノオーダーの微粒子を安定して均一に分散させることができるナノ粒子分散方法を提供する。
【解決手段】 平均一次粒子径が100nm以下である凝集微粒子を攪拌粒子と共に分散媒中で攪拌することによって、凝集微粒子を解粒し、解粒した微粒子を分散媒中に分散させるナノ粒子分散方法に関する。攪拌粒子として、粒径が上記の平均一次粒子径の200〜10000倍のものを用いることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 平均一次粒子径が100nm以下である凝集微粒子を攪拌粒子と共に分散媒中で攪拌することによって、凝集微粒子を解粒し、解粒した微粒子を分散媒中に分散させるナノ粒子分散方法に関する。攪拌粒子として、粒径が上記の平均一次粒子径の200〜10000倍のものを用いることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、無機粉体や有機固体物質などの凝集微粒子を湿式粉砕して、非常に微細な粒径のナノ粒子として分散させるナノ粒子分散方法に関するものである。
近年、エレクトロニクス素子用材料等の先端技術産業を始めとする多くの技術分野で、超微粉体の需要要求の増大がみられる。この超微粉体としては、平均粒子径が0.1μm以下、さらには数十ナノメートル以下の、凝集していず、均一に分散したナノ粒子であることの要望が高まっており、その供給が強く求められている。
粒子の微粒子化を行なう方法としては、その用途や目的に応じて、機械的に粒子を小さくする方法、つまりブレークダウン法と、化学的に小さな粒子を作り上げる方法、つまりビルドアップ法とがあり、さらに両者を組み合わせた方法も多く提案されている。
化学的に分子レベルの原材料から微粒子を作製するビルドアップ法は、ナノ粒子レベルの粒子を作製するのに適しているが、操作が複雑、原料が高価、取り扱いに注意を要するなど、大量生産に不向きであり、さらに出来上がったナノ粒子を実際に使用する段階になると、ナノ粒子のもつ非常に大きな表面エネルギーのためにナノ粒子同士が凝集してしまい、ナノ粒子でなくなってしまうという問題がある。このためにビルドアップ法は実用化が難しいのが現状である。
一方、ブレークダウン法において、機械力により大きな粒子を微細化する粉砕法は、従来から広く研究されており、非常に安価な方法で大量生産に向いている。粉砕法により粉体の微粒化を実施する場合、乾式法よりも湿式法のほうが、粉砕速度も速く、微粉を生成するのに適しており、また湿式法においては、高濃度のスラリー状態で粉砕するほうが、生産効率の点や、容器や攪拌粒子(メディア)の摩耗の点などから有利である。しかしながら、機械的な粉砕法では得られる粒子の径に限界があり、また強力なエネルギーで粉砕をすると、ナノ粒子のもつ非常に大きな表面エネルギーのため二次凝集して、ナノ粒子を得ることは困難であるとされている。一般的には、乾式法で平均粒径2〜3μm、湿式法でも平均粒径1μmが限定とされている。
粉砕法のこの問題に対し、微粉砕を実施するために、固定したミル容器内に、解粒分散を目的とする原料粉体と、微小のボールやビーズからなる攪拌粒子(メディア)及び液体を入れ、ミル容器に挿入した攪拌機構によって攪拌粒子を激しく攪拌し、その衝撃、剪断、摩擦によって解粒分散を行なう湿式粉砕法の分散機(媒体攪拌式粉砕機と称されている)が多々提案され、実際に使用されている。この種の分散機は、一般にサンドミル、サンドグラインダー、ダイノールミル、パールミル等と呼ばれている。このような湿式粉砕法において粉砕して得られる粒子の平均粒径やそのときの粉砕時間は、一般に、原料粉体の物性、攪拌機構、攪拌粒子(メディア)の種類、攪拌粒子の充填量、温度、圧力、粘度等の運転条件などによる影響が大きく、攪拌粒子としては種々の材質・粒径のものが使用されるが、ガラス、スチール、セラミックスで粒径が0.1〜5mmφのものが一般的である。
ここで、上記のような湿式粉砕法で用いる粉砕の機構は、回転式攪拌機構であり、粉砕のためのエネルギーが攪拌粒子(メディア)を通じて解粒分散を目的とする原料粉末に与えられるため、粉砕効率を良くするために攪拌粒子の数や、攪拌粒子の表面積を大きくする必要があり、このため、攪拌粒子の摩耗量が多くなって、攪拌粒子の摩耗物が製品に混入して、製品の純分低下、品質低下の原因になるという問題があった。
そこで、粉砕機と熱交換器とを環状に配して、発生する熱を除去する方法が提案されているが(特許文献1参照)、攪拌粒子の摩耗を防ぐという点において、十分な効果を期待することはできない。
また効率的な粉砕を行なうため、攪拌槽において未粉砕物の分級を行なう方法が提案されているが(特許文献2参照)、ナノ粒子を得るのには不十分である。
さらに槽内に隔壁を設けて複数に分割することによって、槽内での流れを変化させ、粉砕効率を改善する方法が提案されているが(特許文献3参照)、この方法においてもナノ粒子を得るのには不十分である。
実開昭62−202343号公報
特開2002−28519号公報
特開平6−320034号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、攪拌粒子の摩耗による不純物の混入が少ない状態で、再凝集することなくナノオーダーの微粒子を安定して均一に分散させることができるナノ粒子分散方法を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係るナノ粒子分散方法は、平均一次粒子径が100nm以下である凝集微粒子を攪拌粒子と共に分散媒中で攪拌することによって、凝集微粒子を解粒し、解粒した微粒子を分散媒中に分散させるナノ粒子分散方法において、攪拌粒子として、粒径が上記の平均一次粒子径の200〜10000倍のものを用いることを特徴とするものである。
また請求項2の発明は、請求項1において、攪拌粒子の平均粒径が1〜30μmであることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係るナノ粒子分散方法は、平均一次粒子径が100nm以下である凝集微粒子を攪拌粒子と共に分散媒中で攪拌することによって、凝集微粒子を解粒し、解粒した微粒子を分散媒中に分散させるナノ粒子分散方法において、攪拌粒子として、粒径が上記の平均一次粒子径の50〜700倍の第一の攪拌粒子と、粒径がこの第一の攪拌粒子の粒径の50〜700倍の第二の攪拌粒子とを用いることを特徴とするものである。
また請求項4の発明は、請求項3において、第一の攪拌粒子の平均粒径が0.1〜10μmであることを特徴とするものである。
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、解粒分散させる微粒子に対して親和性を有する基と分散媒に対して親和性を有する基とを分子中に有する分散剤を、分散媒中に含有することを特徴とするものである。
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、攪拌粒子として、凝集微粒子と同じ材質のもの、あるいはジルコニウム,アルミナ,WC,窒化珪素,Ni,Cu,SiO2から選ばれる材質のものを用いることを特徴とするものである。
また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、分散媒として、水あるいは、イソプロピルアルコール、エタノール、ブタノール、プロパノール、メチルエチルケトンから選ばれる有機溶媒、又はこれらの少なくとも2種類の混合物を用いることを特徴とするものである。
また請求項8の発明は、請求項5乃至7のいずれかにおいて、分散剤が、アルコキシシラン、又は結合性有機官能基を有するシラン化合物であることを特徴とするものである。
また請求項9の発明は、請求項5乃至7のいずれかにおいて、分散剤が、エポキシ有機官能基、アミノ有機官能基、ビニル基から選ばれる基を有するシラン化合物、もしくはその部分加水分解物であることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、微小な攪拌粒子を用いて湿式粉砕法で凝集微粒子を解粒して均一に分散させるにあたって、攪拌粒子の摩耗を少なくすることができ、攪拌粒子の摩耗による不純物の混入が少ない状態で、再凝集することなくナノオーダーの微粒子を安定して均一に分散させることができるものである。
請求項2の発明によれば、攪拌粒子に摩耗が生じることなく、凝集微粒子を効率良く粉砕して解粒することができると共に解粒した微粒子を効率良く均一に分散させることができるものである。
請求項3の発明によれば、微小な攪拌粒子を用いて湿式粉砕法で凝集微粒子を解粒して均一に分散させるにあたって、攪拌粒子の摩耗を少なくすることができ、攪拌粒子の摩耗による不純物の混入が少ない状態で、凝集することなくナノオーダーの微粒子を安定して均一に分散させることができるものである。
請求項4の発明によれば、攪拌粒子に摩耗が生じることなく、凝集微粒子を効率良く粉砕して解粒することができると共に解粒した微粒子を効率良く均一に分散させることができるものである。
請求項5の発明によれば、凝集微粒子を解粒して得られるナノ粒子の、分散媒中への均一分散性を向上することができるものである。
請求項6の発明によれば、攪拌粒子が摩耗することによる不純物混入の影響をより小さくすることができるものである。
請求項7の発明によれば、凝集微粒子を解粒して得られるナノ粒子を、分散媒中に均一に分散させることができるものである。
請求項8の発明によれば、凝集微粒子を解粒して得られるナノ粒子の、分散媒中への均一分散性を、より向上することができるものである。
請求項9の発明によれば、凝集微粒子を解粒して得られるナノ粒子の、分散媒中への均一分散性を、より向上することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明において解粒分散する対象物である凝集微粒子は、一種もしくは複数の分布を有する平均一次粒子径が100nm以下の微粒子の凝集体である。この凝集微粒子としては、通常のゾルゲル法などの湿式法や、気相法などの乾式法で作製した、SiO2,Al2O3,TiO2,BaTiO3,Si3N4,硫酸バリウム,ジルコニア,ムライト,カオリナイト,アンダルサイトなどの、金属酸化物や金属塩等の粉体、鉄鉱石などの鉱石類の粉体、各種無機触媒の粉体、Cu,Ag,Au,Cなどの無機粉体を挙げることができる。また有機質のものとしては、有機顔料、有機染料、有機顕色剤、有機ポリマー等の粉体を挙げることができる。凝集微粒子のさらに他の例を挙げると、タルク、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、カーボンブラック、クロム酸バリウム、酸化鉄、珪酸亜鉛、硫化亜鉛カドミウム、硫化ストロンチウムなどがある。これらは単独で用いても、混合して用いてもいずれでもよい。本発明は完全な粗大バルク物質を機械エネルギーにより粉砕するのではなく、SEM(走査型電子顕微鏡)やTEM(透過型電子顕微鏡)などで観察して、平均一次粒子径が100nm以下のナノ粒子が凝集して、ナノ粒子としての性質を十分に発揮し得ていない凝集微粒子を選定して用いることが重要である。平均一次粒子径の下限は特に設定されるものではない。
また本発明において分散媒としては、水あるいは、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類や、メチルエチルケトンなどから選ばれる有機溶媒を用いることができるものであり、これらは一種を単独で使用しても、複数種を混合して使用してもいずれでもよい。分散媒としては、マシーン油、ベンジン、植物油等の油類を用いることもできるものであり、解粒分散する凝集微粒子の種類や粉砕目的に応じて選定して使用することができる。この分散媒中で凝集微粒子を解粒すると共に解粒した微粒子をこの分散媒に分散させるにあたって、高い分散効果を得るには分散媒のスラリー濃度の影響が大きい。従来の通常の場合のスラリー固形分濃度は数質量%から90質量%の範囲が一般的であるが、本発明のようにナノ粒子を分散させる場合には、ナノ粒子になるほど比表面積が大きくなるので、本発明ではスラリー固形分濃度は2〜60質量%程度の範囲が好ましい。
さらに本発明において用いる攪拌粒子(メディア)は、材質が解粒する凝集微粒子と同じ材質のものが好ましい。攪拌粒子の材質が解粒する凝集微粒子と同じであれば、仮に攪拌粒子が摩耗して混入しても、不純物混入の影響を極力小さくすることができるものである。攪拌粒子の材質が解粒する凝集微粒子と異なる場合には、ジルコン,ジルコニウム,アルミナ,WC,窒化珪素,Ni,Cu,SiO2,スチール,ステンレス鋼,陶磁器などから選ばれる硬質材料の材質のものが好ましい。例えば微小粒径のセラッミックビーズとしてジルコニアビーズを使用することができる。これらの硬質材料で形成される攪拌粒子は摩耗が少なく、攪拌粒子が摩耗することによる不純物混入の影響を小さくすることができるものである。
攪拌粒子の径については、従来から通常、0.01〜5mmφのものが用いられており、特に0.01〜0.3mmφの攪拌粒子が微粉砕のためによく使われているが、本発明では、凝集微粒子を粉砕して解粒すると共に解粒した微粒子を凝集することなく均一に分散させることを目的とするので、凝集微粒子の平均一次粒子径の200倍から10000倍の範囲の粒径に設定されるものである。攪拌粒子の粒径が凝集微粒子の平均一次粒子径の200倍未満であると、凝集微粒子を粉砕して解粒することが困難になる。また攪拌粒子の粒径が凝集微粒子の平均一次粒子径の10000倍を超えると、凝集微粒子を解粒した微粒子を凝集させることなく均一に分散させることが困難になると共に、後述のように衝突エネルギーが大きくなって攪拌粒子に摩耗が生じ易くなり、不純物混入の問題が発生するおそれがある。攪拌粒子の粒径は凝集微粒子の平均一次粒子径の200倍から5000倍の範囲、さらに200倍から3000倍であることがより好ましく、また攪拌粒子の平均粒径は1〜30μmの範囲であることが好ましい。攪拌粒子の平均粒径が1μm未満であると、凝集微粒子を粉砕して解粒することが困難になる。また攪拌粒子の平均粒径が30μmを超えると、凝集微粒子を解粒した微粒子を凝集させることなく均一に分散させることが困難になると共に、後述のように衝突エネルギーが大きくなって攪拌粒子に摩耗が生じ易くなり、不純物混入の問題が発生するおそれがある。
上記の実施の形態では攪拌粒子として粒径を揃えた一種のものを用いるようにしたが、粒径が異なる複数種の攪拌粒子を用いることもできる。すなわち、攪拌粒子として、粒径が凝集微粒子の平均一次粒子径の50〜700倍の第一の攪拌粒子と、粒径がこの第一の攪拌粒子の粒径の50〜700倍の第二の攪拌粒子とを用いることができる。第一の攪拌粒子の粒径が凝集微粒子の平均一次粒子径の50倍未満であると、また第二の攪拌粒子の粒径が第一の攪拌粒子の粒径の50倍未満であると、凝集微粒子を粉砕して解粒することが困難になる。また第一の攪拌粒子の粒径が凝集微粒子の平均一次粒子径の700倍を超えると、また第二の攪拌粒子の粒径が第一の攪拌粒子の粒径の700倍を超えると、凝集微粒子を解粒した微粒子を凝集させることなく均一に分散させることが困難になると共に、後述のように衝突エネルギーが大きくなって攪拌粒子に摩耗が生じ易くなり、不純物混入の問題が発生するおそれがある。
上記の第一の攪拌粒子の平均粒径は0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。第一の攪拌粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、凝集微粒子を粉砕して解粒することが困難になる。また攪拌粒子の平均粒径が10μmを超えると、凝集微粒子を解粒した微粒子を凝集させることなく均一に分散させることが困難になると共に、後述のように衝突エネルギーが大きくなって攪拌粒子に摩耗が生じ易くなり、不純物混入の問題が発生するおそれがある。攪拌粒子として第一の攪拌粒子と第二の攪拌粒子を用いる方法は、解粒分散する微粒子の粒子径が30nm以下の場合のようにより細かいときに、より好ましいものである。
ここで従来から、攪拌粒子(メディア)の摩耗によって不純物(コンタミと通称される)が混入することは避けられない問題である。凝集微粒子を粉砕するには攪拌粒子同士の衝突による大きなエネルギーを与える必要があるが、上記のように従来から通常用いられている粒径0.3mmφの攪拌粒子と、本発明で用いる粒径20μmφや2μmφの攪拌粒子について、一回の衝突エネルギーEを比較すると、次のようになる。
E(0.3mmφ):E(20μmφ):E(2μmφ)=22500:100:1
そしてこの衝突エネルギーEが総て、解粒分散を目的とする凝集微粒子に与えられているわけではなく、攪拌粒子同士が直接衝突するカラ衝突は必ず発生する。このカラ衝突の際の衝突エネルギーEが、通常用いられる粒径の攪拌粒子のように大きいと、攪拌粒子をどのような高強度の材質で形成していても攪拌粒子同士の衝突で摩耗は発生する。一方、本発明で使用する粒径の攪拌粒子の衝突エネルギーEは、上記のように通常用いられる粒径の攪拌粒子の、数百分の一から数万(数十万)分の一であり、非常に小さくなっている。従って、攪拌粒子同士がカラ衝突しても摩耗が発生することを極力低減することができるものであり、攪拌粒子の摩耗によって不純物が混入することを防止することができるものである。本発明において粉砕対象の凝集微粒子を構成する微粒子はナノレベルの粒子であるので、粉砕及び分散に必要なエネルギーEは上記のように小さいもので十分である。
そしてこの衝突エネルギーEが総て、解粒分散を目的とする凝集微粒子に与えられているわけではなく、攪拌粒子同士が直接衝突するカラ衝突は必ず発生する。このカラ衝突の際の衝突エネルギーEが、通常用いられる粒径の攪拌粒子のように大きいと、攪拌粒子をどのような高強度の材質で形成していても攪拌粒子同士の衝突で摩耗は発生する。一方、本発明で使用する粒径の攪拌粒子の衝突エネルギーEは、上記のように通常用いられる粒径の攪拌粒子の、数百分の一から数万(数十万)分の一であり、非常に小さくなっている。従って、攪拌粒子同士がカラ衝突しても摩耗が発生することを極力低減することができるものであり、攪拌粒子の摩耗によって不純物が混入することを防止することができるものである。本発明において粉砕対象の凝集微粒子を構成する微粒子はナノレベルの粒子であるので、粉砕及び分散に必要なエネルギーEは上記のように小さいもので十分である。
しかして本発明の湿式粉砕法に用いる湿式分散装置としては、ボールミル、振動ミル、遊星ボールミル、アトライター、ビーズミルなど、攪拌粒子(メディア)を使用するものであれば、特に限定されることなく使用することができるが、これらのなかでも、微粒子状粉体を得るためにアトライター、ビーズミル等の媒体攪拌型分散機を用いるのが好適である。またバッチ式、連続式などの運転形態についても何ら限定されるものではなく、連続粉砕分散方式であれば、凝集微粒子と分散媒をスラリー槽で混合して均質なスラリー状態にした後に攪拌微粒子とともに分散装置の攪拌容器に供給して、またバッチ式の回分式であれば、凝集微粒子と分散媒をスラリー化しないで直接、攪拌微粒子とともに分散装置の攪拌容器に供給して、それぞれ解粒・分散を行なうことができる。
ここで、分散媒と凝集微粒子に対して攪拌微粒子を添加する量は、攪拌微粒子が攪拌容器の容積に対して70〜80容量%になるように設定するのが好ましい。また攪拌微粒子として第一の攪拌粒子と第二の攪拌粒子を用いる場合は、第二の攪拌粒子を攪拌容器に対して70〜80容量%になるように入れ、第一の攪拌粒子を凝集微粒子に対して100〜500質量%になるように入れるのが好ましい。
このとき、分散媒には必要に応じて分散剤を添加することができる。この分散剤は、凝集微粒子を解粒した微粒子に対して親和性を有する基と、分散媒に対して親和性を有する基とをそれぞれ同一分子中に有するものであり、表面処理剤と称されるものを用いることができる。このような分散剤を分散媒に添加することによって、凝集微粒子を解粒して得られるナノ粒子が凝集することを防ぎ、ナノ粒子の分散媒中への均一分散性をさらに向上することができるものである。
分散剤は、凝集微粒子や分散媒の種類に応じて、それに適応したものを適宜選択して使用することができるが、凝集微粒子を解粒することによって生成されたナノ粒子の活性な表面に強力な結合層を形成し、ナノ粒子を安定化して凝集を防ぐために、テトラエトキシシラン(TEOS)やテトラメトキシシラン(TMOS)等のアルコキシ化合物を用いるのが好ましい。また同様に、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γグリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのエポキシ有機官能基を有するシラン化合物(エポキシ系シランカップリング剤)、γアミノプロピルトリエトキシシラン、N(βアミノエチル)γアミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ有機官能基を有するシラン化合物(アミノ系シランカップリング剤)、γメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γメタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどのビニル基を有するシラン化合物(ビニル系シランカップリング剤)や、これらの部分加水分解物を用いるのが好ましい。
分散剤の添加量は、本発明が対象とするナノ粒子の総表面積に依存し、粒子が微粒子化するほど多くの添加量が必要になるが、一般的には、分散媒中の固形物(凝集微粒子)の量に対して分散剤を数%(5〜100質量%)程度添加することによって、効率良くナノ粒子を均一に分散させることができるものである。分散剤を過剰に添加することは、ナノ粒子の凝集を促進するため、かえってよくない。また分散剤は、分散媒に直接添加する他に、凝集微粒子に予め混合して塗布しておき、これを分散媒に配合することによって添加するようにしてもよい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil380」を用いた。この微粒子シリカ「Aerosil380」は、一次粒子の平均粒径が約7nm、BET比表面積が380m2/gであった。この一次粒子は二次凝集性が高く、微視的にはネッキングにより強く二次凝集し、二次凝集体がさらに粗大な三次凝集体を形成していると考えられる。
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil380」を用いた。この微粒子シリカ「Aerosil380」は、一次粒子の平均粒径が約7nm、BET比表面積が380m2/gであった。この一次粒子は二次凝集性が高く、微視的にはネッキングにより強く二次凝集し、二次凝集体がさらに粗大な三次凝集体を形成していると考えられる。
そして分散媒としてイソプロピルアルコール(IPA)を用い、微粒子シリカ「Aerosil380」が5質量%濃度になるようにIPA溶媒中に混合し、ディスパーを用いて均一になるように混合した。さらに分散剤としてエポキシ系シランカップリング剤(GE東芝シリコン社製「TSL8350」)を用い、微粒子シリカ「Aerosil380」に対して5質量%になるように添加することによって、粒子分散原液を得た。この粒子分散原液中の微粒子シリカの凝集状態を調べるために、島津製作所製粒度分布測定装置「SALD−2100」を用いて粒度分布を測定した。平均粒径は80〜110μm程度であり、大きなばらつきがみられたが、一次粒子径7nmに比べて数万倍以上の粗大粒子径であり、強く凝集した凝集微粒子となっていることが観察された。
そして分散機としてビーズミル(コトブキ技研工業株式会社製「スーパーアペックスミルSAM−05型」)を用い、まずホモジナイザーで粗大な凝集微粒子を解砕した後、粒子分散原液をビーズミルのジルコニア製0.5リットル攪拌容器に入れた。また攪拌粒子として粒径20μmのジルコニア製のものを用い、この攪拌粒子を攪拌容器の70容量%になるように入れた。粒径20μmの攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil380」の平均一次粒子径7nmの約2860倍の粒径比になる。
図1はビーズミルと分散用タンクを用いた循環方式による解粒・分散装置を示すものであり、攪拌翼1を設けたビーズミルの攪拌容器2と攪拌羽根3を設けた分散用タンク4の間で粒子分散原液5を循環させながら、ビーズミル2の攪拌翼1を回転数3000rpmで作動させて粒子分散原液5を攪拌することによって、粒子分散原液5中の凝集微粒子を攪拌粒子で解粒すると共に解粒した微粒子を分散させる解粒・分散処理を、1時間行なった。このように解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を大塚電子社製濃厚系粒径アナライザー「FPAR−1000」を用いて測定し、分散性を測定した。その結果、平均粒径が一次粒子径の15nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例2)
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil200」を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子シリカ「Aerosil200」は、一次粒子の平均粒径が12nmであり、粒径20μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径12nmの約1670倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の23nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil200」を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子シリカ「Aerosil200」は、一次粒子の平均粒径が12nmであり、粒径20μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径12nmの約1670倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の23nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例3)
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil130」を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子シリカ「Aerosil130」は、一次粒子の平均粒径が17nmであり、粒径20μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径17nmの約1180倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の28nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil130」を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子シリカ「Aerosil130」は、一次粒子の平均粒径が17nmであり、粒径20μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径17nmの約1180倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の28nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例4)
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil50」を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子シリカ「Aerosil50」は、一次粒子の平均粒径が30nmであり、粒径20μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径30nmの約670倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の48nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil50」を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子シリカ「Aerosil50」は、一次粒子の平均粒径が30nmであり、粒径20μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径30nmの約670倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の48nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例5)
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子TiO2「P25」を用い、また攪拌粒子として粒径50μmのジルコニア製のものを用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子TiO2「P25」は、一次粒子の平均粒径が21nmであり、粒径50μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径21nmの約2380倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の45nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子TiO2「P25」を用い、また攪拌粒子として粒径50μmのジルコニア製のものを用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子TiO2「P25」は、一次粒子の平均粒径が21nmであり、粒径50μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径21nmの約2380倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の45nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例6)
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子Al2O3「C」を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子Al2O3「C」は、一次粒子の平均粒径が13nmであり、粒径20μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径13nmの約1540倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の26nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子Al2O3「C」を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。微粒子Al2O3「C」は、一次粒子の平均粒径が13nmであり、粒径20μmの攪拌粒子はこの平均一次粒子径13nmの約1540倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の26nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例7)
分散剤としてアミノ系シランカップリング剤(GE東芝シリコン社製「TSL8331」)を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の15nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
分散剤としてアミノ系シランカップリング剤(GE東芝シリコン社製「TSL8331」)を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の15nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例8)
分散剤としてビニル系シランカップリング剤(GE東芝シリコン社製「TSL8311」)を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の15nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
分散剤としてビニル系シランカップリング剤(GE東芝シリコン社製「TSL8311」)を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の15nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例9)
解粒して分散させる凝集微粒子として、実施例1と同じ日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil380」を用いた。また攪拌粒子として、凝集微粒子と同材質の電気化学工業社製SiO2粒子「FB 3 SWX」(粒径3.5μm)からなる第一の攪拌粒子と、ジルコニア製の粒径2000μmの粒子からなる第二の攪拌粒子を用い、第二の攪拌粒子をビーズミルの攪拌容器に対して70容量%、第一の攪拌粒子を凝集微粒子に対して200質量%(すなわち分散媒中10質量%濃度)になるように使用した。その他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。
解粒して分散させる凝集微粒子として、実施例1と同じ日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil380」を用いた。また攪拌粒子として、凝集微粒子と同材質の電気化学工業社製SiO2粒子「FB 3 SWX」(粒径3.5μm)からなる第一の攪拌粒子と、ジルコニア製の粒径2000μmの粒子からなる第二の攪拌粒子を用い、第二の攪拌粒子をビーズミルの攪拌容器に対して70容量%、第一の攪拌粒子を凝集微粒子に対して200質量%(すなわち分散媒中10質量%濃度)になるように使用した。その他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。
粒径3.5μmの第一の攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil380」の平均一次粒子径7nmの約500倍の粒径比になり、粒径2000μmの第二の攪拌粒子は、第一の攪拌粒子の粒径の約570倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の15nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例10)
第一の攪拌粒子として、粒径0.8μmの龍森社製「MP−8FS」(球状シリカ)を、第二の攪拌粒子として、粒径500μmの株式会社ニッカトー製「YTZボール」の0.5mmタイプのものを用いるようにした他は、実施例9と同様にして、解粒・分散処理を行なった。
第一の攪拌粒子として、粒径0.8μmの龍森社製「MP−8FS」(球状シリカ)を、第二の攪拌粒子として、粒径500μmの株式会社ニッカトー製「YTZボール」の0.5mmタイプのものを用いるようにした他は、実施例9と同様にして、解粒・分散処理を行なった。
粒径0.8μmの第一の攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil380」の平均一次粒子径7nmの約110倍の粒径比になり、粒径500μmの第二の攪拌粒子は、第一の攪拌粒子の粒径の約630倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の15nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(実施例11)
分散剤を使用しないようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の30nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
分散剤を使用しないようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径が一次粒子径の30nmにまで解粒され、均一に分散されていることが確認された。
(比較例1)
攪拌粒子として、ジルコニア製の粒径300μmの粒子を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。粒径300μmの攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil380」の平均一次粒子径7nmの約42900倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径は400nmであって十分な解粒が行なわれていないことが確認された。また攪拌粒子やビーズミルの容器からの摩耗によるコンタミ(不純物)が多数混入していた。
攪拌粒子として、ジルコニア製の粒径300μmの粒子を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。粒径300μmの攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil380」の平均一次粒子径7nmの約42900倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径は400nmであって十分な解粒が行なわれていないことが確認された。また攪拌粒子やビーズミルの容器からの摩耗によるコンタミ(不純物)が多数混入していた。
(比較例2)
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil50」(平均一次粒子径30nm)を用い、また攪拌粒子として、凝集微粒子と同材質の電気化学工業社製SiO2粒子「FB 3 SWX」(粒径3.5μm)を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。粒径3.5μmの攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil150」の平均一次粒子径30nmの約117倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径は1500nmであって十分な解粒が行なわれていないことが確認された。
解粒して分散させる凝集微粒子として、日本アエロジル株式会社の火炎法による微粒子シリカ「Aerosil50」(平均一次粒子径30nm)を用い、また攪拌粒子として、凝集微粒子と同材質の電気化学工業社製SiO2粒子「FB 3 SWX」(粒径3.5μm)を用いるようにした他は、実施例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。粒径3.5μmの攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil150」の平均一次粒子径30nmの約117倍の粒径比になる。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径は1500nmであって十分な解粒が行なわれていないことが確認された。
(比較例3)
分散剤を使用しないようにした他は、比較例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径は2400nmであって二次凝集していることが確認された。
分散剤を使用しないようにした他は、比較例1と同様にして、解粒・分散処理を行なった。そして解粒・分散処理して得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、平均粒径は2400nmであって二次凝集していることが確認された。
(比較例4)
第一の攪拌粒子として粒径0.8μmの球状シリカ(龍森社製「MP−8FS」を用い、第二の攪拌粒子を用いないようにした他は、実施例10と同様にして、解粒・分散処理を行なった。粒径0.8μmの第一の攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil380」の平均一次粒子径7nmの約110倍の粒径比になる。そして処理をして得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、解粒が十分に行なわれず、平均粒径が650nmであり、十分な解粒がなされていないことが確認された。
第一の攪拌粒子として粒径0.8μmの球状シリカ(龍森社製「MP−8FS」を用い、第二の攪拌粒子を用いないようにした他は、実施例10と同様にして、解粒・分散処理を行なった。粒径0.8μmの第一の攪拌粒子は、微粒子シリカ「Aerosil380」の平均一次粒子径7nmの約110倍の粒径比になる。そして処理をして得た分散液中の微粒子の粒度分布を実施例1と同様に測定した結果、解粒が十分に行なわれず、平均粒径が650nmであり、十分な解粒がなされていないことが確認された。
2 ビーズミルの攪拌容器
4 分散用タンク
4 分散用タンク
Claims (9)
- 平均一次粒子径が100nm以下である凝集微粒子を攪拌粒子と共に分散媒中で攪拌することによって、凝集微粒子を解粒し、解粒した微粒子を分散媒中に分散させるナノ粒子分散方法において、攪拌粒子として、粒径が上記の平均一次粒子径の200〜10000倍のものを用いることを特徴とするナノ粒子分散方法。
- 攪拌粒子の平均粒径が1〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子分散方法。
- 平均一次粒子径が100nm以下である凝集微粒子を攪拌粒子と共に分散媒中で攪拌することによって、凝集微粒子を解粒し、解粒した微粒子を分散媒中に分散させるナノ粒子分散方法において、攪拌粒子として、粒径が上記の平均一次粒子径の50〜700倍の第一の攪拌粒子と、粒径がこの第一の攪拌粒子の粒径の50〜700倍の第二の攪拌粒子とを用いることを特徴とするナノ粒子分散方法。
- 第一の攪拌粒子の平均粒径が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項3に記載のナノ粒子分散方法。
- 解粒分散させる微粒子に対して親和性を有する基と分散媒に対して親和性を有する基とを分子中に有する分散剤を、分散媒中に含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のナノ粒子分散方法。
- 攪拌粒子として、凝集微粒子と同じ材質のもの、あるいはジルコニウム,アルミナ,WC,窒化珪素,Ni,Cu,SiO2から選ばれる材質のものを用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のナノ粒子分散方法。
- 分散媒として、水あるいは、イソプロピルアルコール、エタノール、ブタノール、プロパノール、メチルエチルケトンから選ばれる有機溶媒、又はこれらの少なくとも2種類の混合物を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のナノ粒子分散方法。
- 分散剤が、アルコキシシラン、又は結合性有機官能基を有するシラン化合物であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のナノ粒子分散方法。
- 分散剤が、エポキシ有機官能基、アミノ有機官能基、ビニル基から選ばれる基を有するシラン化合物、もしくはその部分加水分解物であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のナノ粒子分散方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003328830A JP2005087972A (ja) | 2003-09-19 | 2003-09-19 | ナノ粒子分散方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008075020A (ja) * | 2006-09-22 | 2008-04-03 | Toda Kogyo Corp | 無機粒子の分散体の製造法 |
WO2010010220A1 (es) | 2008-07-22 | 2010-01-28 | Consejo Superior De Investigaciones Científicas (Csic) | Procedimiento para la dispersión de nanopartículas en seco y la obtención de estructuras jerárquicas y recubrimientos |
JP2010023001A (ja) * | 2008-07-24 | 2010-02-04 | Asahi Kasei Corp | 微粒子分散体の製造方法 |
JP2010129397A (ja) * | 2008-11-27 | 2010-06-10 | Nissan Motor Co Ltd | 燃料電池用電極 |
-
2003
- 2003-09-19 JP JP2003328830A patent/JP2005087972A/ja active Pending
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WO2010010220A1 (es) | 2008-07-22 | 2010-01-28 | Consejo Superior De Investigaciones Científicas (Csic) | Procedimiento para la dispersión de nanopartículas en seco y la obtención de estructuras jerárquicas y recubrimientos |
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