JP2005082722A - 硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 各種硬化性樹脂組成物に有用な硬化促進剤、硬化性、保存性や流動性が良好なエポキシ樹脂組成物および耐半田クラック性や耐湿信頼性に優れる半導体装置を提供する。
【解決手段】 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、下記一般式(1)で表されることを特徴とする硬化促進剤。1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物と、前記硬化促進剤とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【化1】
Figure 2005082722

[式中、R、RおよびRは、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Arは、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。]

Description

本発明は、硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物および半導体装置に関するものである。
ICおよびLSI等の半導体素子を封止して半導体装置を得る方法としては、エポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形により封止する方法が、低コストで、大量生産に適しているという点で広く用いられている。また、エポキシ樹脂において、エポキシ樹脂や、硬化剤であるフェノール樹脂で改良することにより、半導体装置の特性や信頼性の向上が図られている。
しかしながら、昨今の電子機器の市場動向において、小型化、軽量化および高性能化などに伴って、半導体の高集積化も年々進んでおり、また、これらの電子機器の製造工程においては、半導体装置の表面実装化も促進されている。これに伴い、半導体装置における半導体素子の封止に用いられるエポキシ樹脂組成物への要求は、益々厳しいものとなってきている。このため、従来から用いられているエポキシ樹脂組成物では、この要求に対し、解決できない(対応できない)問題も生じている。
近年、半導体素子の封止に用いられる材料には、生産効率の向上を目的とした速硬化性の向上と、物流・保管時の取扱い性の向上を目的とした保存性の向上が求められるようになってきている。
これらの中で、電気・電子材料分野向けのエポキシ樹脂組成物には、硬化時における樹脂の硬化反応を促進する目的で、第三ホスフィンとキノン類との付加反応物を硬化促進剤として、一般的に添加されている(例えば、特許文献1参照。)。
かかる硬化促進剤は、硬化促進効果を示す温度領域が比較的低温にまで及ぶため、例えば硬化前のエポキシ樹脂組成物と他の成分とを混合する際にも、系内に発生する熱や外部から加えられる熱により、エポキシ樹脂組成物の硬化反応は一部進行する。また、混合終了後、このエポキシ樹脂組成物を常温で保管するにあたって、反応はさらに進行する。
この部分的な硬化反応の進行は、エポキシ樹脂組成物が液体の場合には、粘度の上昇や流動性の低下をもたらし、また、エポキシ樹脂組成物が固体の場合には、粘性を発現させる。このような状態の変化は、エポキシ樹脂組成物内に厳密な意味で均一に生じるわけではない。このため、エポキシ樹脂組成物の各部分の硬化性には、ばらつきが生じる。
これが原因となり、更に、高温で硬化反応を進行させ、エポキシ樹脂組成物を成形(その他賦形という概念も含んで、以下「成形」と記す)する際に、流動性低下による成形上の障害や、成形品の機械的、電気的あるいは化学的特性の低下をもたらす。
したがって、このようにエポキシ樹脂組成物の保存性を低下させる原因となる硬化促進剤を用いる際には、諸成分混合時の厳密な品質管理、低温での保管や運搬、更に成形条件の厳密な管理が必須であり、取扱いが非常に煩雑である。
この問題を解決すべく、低温での粘度、流動性の経時変化を抑え、賦形や成形時の加熱によってのみ、硬化反応を起こすような、いわゆる潜伏性硬化促進剤の研究が盛んになされている。その手段として、硬化促進剤の活性点をイオン対により保護することで、潜伏性を発現する研究がなされており、種々の有機酸とホスホニウムイオンとの塩構造を有する潜伏性硬化促進剤が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、このホスホニウム塩は、半導体装置の表面実装の採用により、耐半田クラック性、耐湿信頼性の低下という問題も生じる恐れがある。その理由としては、前記ホスホニウム塩を用いたエポキシ樹脂組成物では、成形温度における硬化物の弾性率が高くなり、半導体装置における半導体素子やリードフレームなどとの密着性が劣ることになる可能性があり、その場合、半導体装置の実装工程における半田浸漬や半田リフローなどで、急激に200℃以上の高温度環境に置かれると、エポキシ樹脂組成物の硬化物と半導体装置内部に存在する半導体素子やリードフレーム等の基材との界面で剥離が生じ、半導体装置にクラックを誘起するとともに、耐湿信頼性の低下も招く。また、エポキシ樹脂組成物中に揮発成分が存在すれば、それが爆発的に気化する際の応力により、半導体装置にクラックが発生しやすい。
また、別の潜伏性硬化促進剤として、種々のホスホニウムベタインの塩構造を有する潜伏性硬化促進剤が提示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、このホスホニウムベタインの塩は、近年の低分子エポキシ樹脂やフェノールアラルキル樹脂のような硬化剤を用いる半導体封止材料では、硬化が不十分であるという問題が生じている。
特開平10−25335号公報(第3頁) 特開2001−98053号公報(第5頁) 米国特許第4171420号公報(第2−4頁)
本発明の目的は、各種硬化性樹脂組成物に有用な硬化促進剤、硬化性、保存性や流動性が良好なエポキシ樹脂組成物、および、耐半田クラック性や耐湿信頼性に優れる半導体装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(19)の本発明により達成される。
(1) 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
下記一般式(1)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
Figure 2005082722
[式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R4は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Ar1は、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。]
(2) 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
下記一般式(2)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
Figure 2005082722
[式中、Ar2、Ar3およびAr4は、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R5は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Ar5は、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。]
(3) 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
下記一般式(3)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
Figure 2005082722
[式中、R6、R7およびR8は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基および水酸基から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R9は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。]
(4) 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
前記一般式(1)で表される化合物と、フェノール性水酸基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる下記一般式(4)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
Figure 2005082722
[式中、R10、R11およびR12は、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R13は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Ar6は、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。A1は、芳香環または複素環を含む(p+s)価の有機基を表し、Xは水素原子または1価の有機基を表す。aは1以上の整数、pは1〜5の整数、sは1〜3の整数、qは0以上の整数を表す。]
(5) 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
前記一般式(1)で表される化合物と、フェノール性水酸基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる下記一般式(5)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
Figure 2005082722
[式中、R14、R15およびR16は、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R17は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Ar7は、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。A2は、芳香環または複素環を含む(t+1)価の有機基を表し、bは1以上の整数、tは1〜7の整数、uは0以上の整数を表す。]
(6) 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
前記一般式(3)で表される化合物と、フェノール性水酸基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる下記一般式(6)または一般式(7)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
Figure 2005082722
Figure 2005082722
[式中、R18、R19、R20、R26、R27およびR28は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基および水酸基から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R21およびR29は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。R22、R23、R24およびR25は水素原子またはハロゲン原子または炭素数1〜6で構成される1価の有機基を表す。Yは単結合、またはエーテル基、スルホン基、スルフィド基、カルボニル基から選ばれる2価置換基、または炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。cは1以上の整数、vは0以上の整数、dは1以上の整数、wは0以上の整数を表す。]
(7) 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物と、上記第(1)項ないし第(6)項のいずれかに記載の硬化促進剤とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(8) 前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物は、下記一般式(8)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(9)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とする上記第(7)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2005082722
[式中、R30、R31、R32およびR33は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
Figure 2005082722
[式中、R34〜R41は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、eは1以上の整数である。]
(9) 前記eは、1〜10である上記第(8)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(10) 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(10)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(11)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする上記第(7)項ないし第(9)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2005082722
[式中、R42〜R45は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、fは、1以上の整数である。]
Figure 2005082722
[式中、R46〜R53は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、gは、1以上の整数である。]
(11) 前記fは、1〜10である上記第(10)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(12) 前記gは、1〜10である上記第(10)項または第(11)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(13) 前記硬化促進剤の含有量は、0.01〜10重量%である上記第(7)項ないし第(12)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(14) 無機充填材を含む上記第(7)項ないし第(13)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(15) 前記無機充填材は、溶融シリカである上記第(14)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(16) 前記無機充填材は、粒状をなしている上記第(14)項または第(15)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(17) 前記無機充填材の平均粒径は、1〜100μmである上記第(14)項ないし第(16)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(18) 前記無機充填材の含有量は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部である上記第(14)項ないし第(17)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(19) 上記第(14)項ないし第(18)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
本発明の硬化促進剤によれば、硬化性樹脂組成物を速やかに硬化させることができ、硬化性樹脂組成物の硬化物が、高温に曝された場合であっても、この硬化物に欠陥が生じるのを好適に防止することができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化性、保存性、流動性、密着性に優れる。
また、本発明の半導体装置は、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥が生じ難く、また、吸湿に伴う経時劣化も発生し難い。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、本発明の硬化促進剤(C)と、無機充填材(D)とを含むものである。かかるエポキシ樹脂組成物は、硬化性、保存性、流動性および密着性に優れたものである。
以下、各成分について、順次説明する。
[化合物(A)]
1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば、何ら制限はない。
この化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂など、フェノール類、ナフトール類やフェノール樹脂などの水酸基にエピクロロヒドリンを反応させて製造するエポキシ化合物、オレフィンを、過酸を用いて酸化させエポキシ化した脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、前記化合物(A)は、特に、前記一般式(8)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂および前記一般式(9)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)の流動性が向上するとともに、得られた半導体装置の耐半田クラック性が、より向上する。
ここで、「耐半田クラック性の向上」とは、得られた半導体装置が、例えば半田浸漬や半田リフロー工程等において、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥の発生が生じ難くなることを言う。
ここで、前記一般式(8)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂における置換基R30〜R33は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種であり、前記アルキル基およびハロゲン原子の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、メチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば半導体装置の製造時等に、その取扱いが容易となる。また、その硬化物は、吸水性が低減するので、得られた半導体装置は、その内部の部材の経時劣化(例えば断線の発生等)が好適に防止され、その耐湿信頼性が、より向上する。
また、前記一般式(9)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂における置換基R34〜R41は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、およびハロゲン原子から選択される1種であり、前記アルキル基およびハロゲン原子の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば半導体装置の製造時等に、その取扱いが容易となるとともに、半導体装置の耐湿信頼性が、より向上する。
また、前記一般式(9)におけるeは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、aは、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのがより好ましい。eを前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性がより向上する。
[化合物(B)]
1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものであれば制限はなく、前記化合物(A)の硬化剤として作用(機能)するものである。
この化合物(B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、トリスフェノール樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂およびジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、前記化合物(B)は、特に、前記一般式(10)で表されるフェノールアラルキル樹脂および前記一般式(11)で表されるビフェニルアラルキル樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)の流動性が向上するとともに、得られた半導体装置の耐半田クラック性や耐湿信頼性が、より向上する。
ここで、前記一般式(10)で表されるフェノールアラルキル樹脂における置換基R42〜R45、および、前記一般式(11)で表されるビフェニルアラルキル樹脂における置換基R46〜R53は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、およびハロゲン原子から選択される1種であり、前記アルキル基およびハロゲン原子の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。かかるフェノール樹脂は、それ自体の溶融粘度が低いため、エポキシ樹脂組成物中に含有しても、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を低く保持することができ、その結果、例えば半導体装置の製造時等に、その取扱いが容易となる。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物(得られる半導体装置)の吸水性(吸湿性)が低減して耐湿信頼性がより向上するとともに、耐半田クラック性もより向上する。
また、前記一般式(10)におけるf、および、前記一般式(11)におけるgは、それぞれ、フェノール樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、fおよびgは、それぞれ、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのがより好ましい。fおよびgを、それぞれ、前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性の低下が好適に防止または抑制される。
[硬化促進剤(C)]
硬化促進剤(C)は、エポキシ樹脂組成物の硬化反応を促進し得る作用(機能)を有し、前記一般式(1)または(2)で表されるホスホニウムベタイン化合物であり、前記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。更には、前記ホスホニウムベタイン化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とを反応させて得ることができる一般式(4)または(5)で表される化合物であり、前記一般式(6)または(7)で表される化合物であるのがより好ましい。
ここで、前記一般式(1)におけるリン原子に結合するR1、R2およびR3で表される基は、それぞれ置換もしくは無置換の1価の芳香族基または置換もしくは無置換の1価のアルキル基であり、その具体例としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、p−ターシャリーブチルフェニル基、メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられるが、これらの中でも、前記一般式(2)においてAr2、Ar3およびAr4で表される基として示すように、フェニル基、ナフチル基、p−ターシャリーブチルフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換もしくは無置換の1価の芳香族基であるのが好ましく、特に前記一般式(3)においてリン原子に結合する基として示すように、フェニル基、メチルフェニル基の各異性体、メトキシフェニル基の各種異性体、ヒドロキシフェニル基の各種異性体等であるのが、硬化促進能に特に優れ、製造コストが安価であるのでより好ましい。
前記一般式(1)においてR4で表される基、前記一般式(2)においてR5で表される基および前記一般式(3)においてR9で表される基は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基であり、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられるが、これらの中でもメチレン基が熱安定性に優れ、製造コストが安価であるのでより好ましい。
また、前記一般式(1)においてAr1で表される基および前記一般式(2)においてAr5で表される基は、水酸基以外の置換基により置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、または、これらにハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基やアルコキシ基等の水酸基以外の置換基により置換された芳香族基が挙げられる。特に前記一般式(3)で表されるように、フェニレン基であるのが硬化促進能に特に優れ、より好ましい。
次に、前記一般式(4)ないし(7)で表される化合物の詳細を説明する。
前記一般式(4)および(5)のカチオン部においてリン原子に結合するR10、R11、R12、R14、R15およびR16で表される基は、それぞれ置換もしくは無置換の1価の芳香族基または置換もしくは無置換の1価のアルキル基であり、その具体例としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、p−ターシャリーブチルフェニル基、メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられるが、これらの中でも、前記一般式(6)および(7)のカチオン部において、前記R10、R11、R12、R14、R15およびR16で表される基に相当するリン原子に結合する基として示すように、フェニル基、メチルフェニル基の各異性体、メトキシフェニル基の各種異性体、ヒドロキシフェニル基の各種異性体等であるのが、硬化促進能に特に優れ、製造コストが安価であるのでより好ましい。ここで、前記一般式(6)におけるR18〜R20で表される基および一般式(7)におけるR26〜R28で表される基としては前述のようにメチル基、メトキシ基、ヒドロキシ基などが好ましい。また、前記一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)のカチオン部においてリン原子に結合するR13、R17、R21およびR29で表される基は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基であり、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられるが、これらの中でもメチレン基が熱安定性に優れ、製造コストが安価であるのでより好ましい。
また、前記一般式(4)および(5)のカチオン部においてAr6およびAr7で表される基は、水酸基以外の置換基により置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、または、これらにハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基やアルコキシ基等の水酸基以外の置換基により置換された芳香族基が挙げられる。特に前記一般式(6)および(7)のカチオン部において前記Ar6およびAr7で表される基に相当する基で表されるように、フェニレン基であるのが硬化促進能に特に優れ、より好ましい。
一般式(4)においてXで表される基は水素原子または1価の有機基であり、前記1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられるが、これらの中でも、特に水素原子であるのが、製造コストが安価であるのでより好ましい。
また、前記一般式(4)および(5)のアニオン部においてA1およびA2で表される基は、芳香環または複素環を含む有機基を表す。具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、または、これらにハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基やアルコキシ基等の水酸基以外の置換基により置換された芳香族基が挙げられる。特に前記一般式(7)のアニオン部において前記A1およびA2基に相当する基で表されるように、ナフチレン基であるのがエポキシ樹脂組成物の流動性がより向上し、より好ましい。また、前記一般式(4)のアニオン部においてpで表される置換基の数は1〜5の整数、sで表される置換基の数は1〜3の整数であれば、特に限定されないが、pが3かつsが1であるのがより好ましい。このような組み合わせにすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性がより向上する。前記一般式(5)のアニオン部においてtで表される置換基の数は1〜7の整数であれば、特に限定されない。また、前記一般式(6)において表されるYは、単結合、またはエーテル基、スルホン基、スルフィド基、カルボニル基から選ばれる2価置換基、または炭素数1〜13で構成される2価の有機基を表す。これらの中でも特に単結合であるのが、硬化促進能に特に優れ、より好ましい。前記一般式(6)のアニオン部においてR22、R23、R24およびR25で表される基は水素原子またはハロゲン原子または炭素数1〜6で構成される1価の有機基であり、前記炭素数1〜6で構成される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子であるのが、製造コストが安価であるのでより好ましい。
また、前記一般式(4)〜(7)のカチオン部においてa、b、cおよびdで表される分子単位の数は1以上の整数であれば、特に限定されず、また、前記一般式(4)〜(7)のアニオン部においてq、u、vおよびwで表される分子単位の数は0以上の整数であれば特に限定されないが、aとq、bとu、cとvおよびdとwの組み合わせとしては、a、b、cおよびdが1かつq、u、vおよびwが1であるのがより好ましい。このような組み合わせとすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性が、より向上する。
また、前記一般式(4)ないし(7)で表される化合物を構成するフェノール性水酸基を有する化合物としては、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールF(4,4−メチレンビスフェノール、2,4−メチレンビスフェノール、2,2−メチレビスフェノール)、ビスフェノールS(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、ビスフェノールE(4,4−エチリデンビスフェノール)、ビスフェノールフルオレン(4,4−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール)、4,4−メチリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)およびビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノンなどのビスフェノール類、4,4−ビフェノール、2,2−ビフェノールおよび3,3,5,5−テトラメチルビフェノールなどのビフェノール類、ヒドロキノン、レゾシノール、カテコール、1−ナフトール、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,1−ビ−2−ナフトール、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,6−トリヒドロキシプロピオンフェノン、1,8,9−トリヒドロキシアントラセン、1,2,4−トリヒドロキシアントラキノン、1,4,9,10−テトラヒドロアントラセン、1,3,4,4'−テトラヒドロキシフェニルメタン、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸−n−ブチル、没食子酸−n−オクチル、没食子酸−n−ラウリル、没食子酸ステアリル等が挙げられるが、硬化促進剤としての安定性、硬化性、流動性、保存性、硬化物の密着性および硬化物物性の観点から、1−ナフトール、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン等が好適である。
ここで、本発明の硬化促進剤である硬化促進剤(C)の製造方法の一例について説明する。
前記ホスホニウムベタイン化合物の製法としては、従来公知の手法を利用することができる。具体例としては、第三ホスフィン化合物と、芳香環に結合する水素原子がハロゲンで置換されたフェノール化合物とを、銅、ニッケルおよびコバルト等の金属ハロゲン塩を触媒として加熱反応させて得た、ホスホニウムベタインのハロゲン化水素付加物を、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリを用いて中和することで、ホスホニウムベタイン化合物を得る手法が挙げられる。
前記第三ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンおよびトリス(4−メトキシフェニル)ホスフィンなどが挙げられ、前記芳香環に結合する水素原子がハロゲンで置換されたフェノール化合物としては、例えば、2−ブロモメチルフェノール、3−ブロモメチルフェノール、2−(2−ブロモ−エチル)−フェノールおよび4−ブロモメチル−ナフタレン−2−オール等が挙げられ、前記金属ハロゲン塩としては、例えば、塩化ニッケルおよび塩化コバルト等の化合物挙げられる。
また、前記一般式(4)ないし(7)で表される化合物の製法としては、前記ホスホニウムベタイン化合物と前記フェノール性水酸基を有する化合物とを反応させることにより得られるが、例えば、前記ホスホニウムベタイン化合物と前記フェノール性水酸基を有する化合物とを溶媒中にて混合することにより得ることができる。この化合物は、ホスホニウムベタインとフェノール性水酸基を有する化合物との、塩、分子化合物、包摂化合物または錯化合物の形態を取り得るものであり、特に、熱硬化性樹脂の硬化促進剤として有用である。前記熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ化合物、マレイミド化合物、シアネート化合物、イソシアネート化合物、アクリレート化合物、またはアルケニルおよびアルキニル化合物等を含む樹脂が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、0.01〜10重量%程度であるのが好ましく、0.1〜1重量%程度であるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、保存性、流動性および硬化物における他特性がバランスよく発揮される。
また、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との配合比率も、特に限定されないが、前記化合物(A)のエポキシ基1モルに対し、前記化合物(B)のフェノール性水酸基が0.5〜2モル程度となるように用いるのが好ましく、0.7〜1.5モル程度となるように用いるのがより好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の諸特性のバランスを好適なものに維持しつつ、諸特性が、より向上する。
[無機充填材(D)]
無機充填材(D)は、得られる半導体装置の補強を目的として、エポキシ樹脂組成物中に配合(混合)されるものであり、その種類については、特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。
この無機充填材(D)としては、例えば、溶融破砕シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレーおよびガラス繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、無機充填材(D)としては、特に、溶融シリカであるのが好ましい。溶融シリカは、本発明の硬化促進剤との反応性に乏しいので、エポキシ樹脂組成物中に多量に配合(混合)した場合でも、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が阻害されるのを防止することができる。また、無機充填材(D)として溶融シリカを用いることにより、得られる半導体装置の補強効果が向上する。
また、無機充填材(D)の形状としては、例えば、粒状、塊状、鱗片状等のいかなるものであってもよいが、粒状(特に、球状)であるのが好ましい。
無機充填材(D)の平均粒径は、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜35μm程度であるのがより好ましい。また、この場合、粒度分布は、広いものであるのが好ましい。これにより、無機充填材(D)の充填量(使用量)を多くすることができ、得られる半導体装置の補強効果がより向上する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、無機充填材(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部程度であるのが好ましく、400〜1400重量部程度であるのがより好ましい。無機充填材(D)の含有量が前記下限値未満の場合、無機充填材(D)による補強効果が充分に発現しないおそれがあり、一方、無機充填材(D)の含有量が前記上限値を超えた場合、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)に、充填不良等が生じるおそれがある。
なお、無機充填材(D)の含有量(配合量)が、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計量100重量部あたり、400〜1400重量部であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低くなり、半田クラックの発生を防止することができる。また、かかるエポキシ樹脂組成物は、加熱溶融時の流動性も良好であるため、半導体装置内部の金線変形を引き起こすことが好適に防止される。
また、無機充填材(D)の含有量(配合量)は、前記化合物(A)、前記化合物(B)や無機充填材(D)自体の比重を、それぞれ考慮し、重量部を体積%に換算して取り扱うようにしてもよい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、前記(A)〜(D)の化合物(成分)の他に、必要に応じて、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸またはその金属塩類、パラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合(混合)するようにしてもよい。
また、本発明の硬化促進剤の特性を損なわない範囲で、エポキシ樹脂組成物中には、例えば、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、2−メチルイミダゾール等の、他の公知の触媒を配合(混合)するようにしても、何ら問題はない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記(A)〜(D)の化合物(成分)、および、必要に応じて、その他の添加剤等を、ミキサーを用いて常温混合し、熱ロール、加熱ニーダー等を用いて加熱混練し、冷却、粉砕することにより得られる。
得られたエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用いて、トランスファーモールド、コンプレッションモールドおよびインジェクションモールド等の成形方法で硬化成形することにより、半導体素子等の電子部品を封止する。これにより、本発明の半導体装置が得られる。
本発明の半導体装置の形態としては、特に限定されないが、例えば、SIP(Single Inline Package)、HSIP(SIP with Heatsink)、ZIP(Zig-zag Inline Package)、DIP(Dual Inline Package)、SDIP(Shrink Dual Inline Package)、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink Small Outline Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、QFP(Quad Flat Package)、QFP(FP)(QFP Fine Pitch)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、QFJ(PLCC)(Quad Flat J-leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の半導体装置は、耐半田クラック性および耐湿信頼性に優れる。その理由は、本発明の硬化促進剤(C)を添加した樹脂組成物は、成形温度における弾性率が低いため、半導体装置における密着が十分であることが関係してくる。すなわち、半導体装置は、製造時の半田浸漬あるいは半田リフロー工程で、急激に200℃以上の高温に曝されるため、エポキシ樹脂組成物の硬化物と半導体装置内部に存在する半導体素子やリードフレーム等の基材との界面の密着性が不十分であると、この界面で剥離が生じる。この剥離が生じると、半導体装置にクラックを誘起するとともに、耐湿信頼性の低下も招く。
なお、本実施形態では、本発明の硬化促進剤(前記一般式(1)〜一般式(5))(C)を、エポキシ樹脂組成物に用いる場合を代表して説明したが、本発明の硬化促進剤は、ホスフィンまたはホスホニウム塩を硬化促進剤として好適に使用し得る熱硬化性樹脂組成物に対して使用可能である。かかる熱硬化性樹脂組成物としては、例えばエポキシ化合物、マレイミド化合物、シアネート化合物、イソシアネート化合物、アクリレート化合物、アルケニル化合物およびアルキニル化合物等の熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物が挙げられる。
また、本発明の硬化促進剤は、熱硬化性樹脂組成物の他、例えば反応硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、嫌気硬化性樹脂組成物等の各種硬化性樹脂組成物に対しても使用可能である。
また、本実施形態では、本発明のエポキシ樹脂組成物を、半導体装置の封止材料として用いる場合について説明したが、本発明のエポキシ樹脂組成物の用途としては、これに限定されるものではない。また、エポキシ樹脂組成物の用途等に応じて、本発明のエポキシ樹脂組成物では、無機充填材の混合(配合)を省略することもできる。
以上、本発明の硬化促進剤、硬化促進剤の製造方法、エポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
まず、硬化促進剤として使用する化合物C1〜C14を用意した。
[硬化促進剤の合成]
各化合物C1〜C14、それぞれ、以下のようにして合成した。
(化合物C1の合成)
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、2−ブロモメチルフェノール18.7g(0.100mol)と、トリフェニルホスフィン31.4g(0.120mol)、塩化ニッケルおよびエチレングリコール50mLを仕込み、還流するように加熱し2時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、純水500mLに滴下し、反応物を析出させた。析出した反応物は、ろ過後にヘキサン100mLで洗浄し、乾燥して、(2−ヒドロキシベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミドを37.3g(収率83%)を得た。
次に、ビーカー(容量:500mL)に、上記で得た(2−ヒドロキシベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド37.3g(0.083mmol)をメタノール90mLに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液5mL(0.083mmol)を滴下し、30分間攪拌した。
次に反応物を、ジイソプロピルエーテル500mLに滴下し、析出した固形物を濾過、乾燥し、白色固形物24.4gを得た。
この化合物をC1とした。化合物C1を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(12)で表される目的のホスホニウムベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C1の収率は、66%であった。
Figure 2005082722
(化合物C2の合成)
2−ブロモメチルフェノールに代わり、2−(2−ブロモ−エチル)フェノール18.7g(0.100mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に茶色の結晶15.3gを得た。
この化合物をC2とした。化合物C2を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(13)で表される目的のホスホニウムベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C2の収率は、40%であった。
Figure 2005082722
(化合物C3の合成)
2−ブロモメチルフェノールに代わり、4−ブロモメチル−ナフタレン−2−オール23.7g(0.100mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に茶色の結晶10.9gを得た。
この化合物をC3とした。化合物C3を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(14)で表される目的のホスホニウムベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C3の収率は、26%であった。
Figure 2005082722
(化合物C4の合成)
トリフェニルホスフィンに代わり、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン41.5g(0.120mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に茶色の結晶20.3gを得た。
この化合物をC4とした。化合物C4を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(15)で表される目的のホスホニウムベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C4の収率は、44%であった。
Figure 2005082722
(化合物C5の合成)
前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、上記式(12)で表されるホスホニウムベタイン化合物を24.4g(0.066mol)得た。
200mlのビーカーに攪拌装置を取り付け、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン4.16g(0.033mol)およびメタノール10gを仕込み、室温で、約30分間攪拌を続け、均一に溶解させた。次いで、60gのメタノールに、24.4g(0.066mol)の上記式(12)で表されるホスホベタイン化合物を、均一に溶解した溶液を、攪拌下のビーカー中に滴下した。析出した白色の結晶を、ろ過した後、200mlのメタノールで洗浄し、乾燥して、結晶21.3gを得た。
得られた褐色結晶を1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(16)で表される目的の生成物であることが確認された。得られた化合物C5の収率は、50%であった。
Figure 2005082722
(化合物C6の合成)
前記化合物C2の合成と同じ手順で合成を行い、上記式(13)で表されるホスホニウムベタイン化合物を15.3g(0.040mol)得た。
200mlのビーカーに攪拌装置を取り付け、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸7.52g(0.040mol)およびメタノール20gを仕込み、室温で、約30分間攪拌を続け、均一に溶解させた。次いで、35gのメタノールに、15.3g(0.040mol)の上記式(13)で表されるホスホベタイン化合物を、均一に溶解した溶液を、攪拌下のビーカー中に滴下した。析出した白色の結晶を、ろ過した後、200mlのメタノールで洗浄し、乾燥して、結晶14.8gを得た。
得られた褐色結晶を1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(17)で表される目的の生成物であることが確認された。得られた化合物C6の収率は、26%であった。
Figure 2005082722
(化合物C7の合成)
2−ブロモメチルフェノールに代わり、3−ブロモメチルフェノール18.7g(0.100mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、黄色のホスホニウムベタイン化合物の結晶20.2gを得た。
200mlのビーカーに攪拌装置を取り付け、2,3−ジヒドロキシナフタレン17.6g(0.110mol)およびメタノール40gを仕込み、室温で、約30分間攪拌を続け、均一に溶解させた。次いで、60gのメタノールに、20.2g(0.055mol)の上記のホスホベタイン化合物を、均一に溶解した溶液を、攪拌下のビーカー中に滴下した。析出した白色の結晶を、ろ過した後、200mlのメタノールで洗浄し、乾燥して、結晶28.4gを得た。
得られた褐色結晶を1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(18)で表される目的の生成物であることが確認された。得られた化合物C7の収率は、41%であった。
Figure 2005082722
(化合物C8の合成)
前記化合物C3の合成と同じ手順で合成を行い、上記式(14)で表されるホスホニウムベタイン化合物を10.9g(0.026mol)得た。
200mlのビーカーに攪拌装置を取り付け、1,6−ジヒドロキシナフタレン4.16g(0.026mol)およびメタノール10gを仕込み、室温で、約30分間攪拌を続け、均一に溶解させた。次いで、35gのメタノールに、10.9g(0.026mol)の上記式(14)で表されるホスホベタイン化合物を、均一に溶解した溶液を、攪拌下のビーカー中に滴下した。析出した茶色の結晶を、ろ過した後、200mlのメタノールで洗浄し、乾燥して、結晶11.6gを得た。
得られた褐色結晶を1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(19)で表される目的の生成物であることが確認された。得られた化合物C8の収率は、20%であった。
Figure 2005082722
(化合物C9の合成)
前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、上記式(12)で表されるホスホニウムベタイン化合物を24.4g(0.066mol)得た。
200mlのビーカーに攪拌装置を取り付け、1−ナフトール9.50g(0.066mol)およびメタノール22gを仕込み、室温で、約30分間攪拌を続け、均一に溶解させた。次いで、60gのメタノールに、24.4g(0.066mol)の上記式(12)で表されるホスホベタイン化合物を、均一に溶解した溶液を、攪拌下のビーカー中に滴下した。析出した白色の結晶を、ろ過した後、200mlのメタノールで洗浄し、乾燥して、結晶25.0gを得た。
得られた褐色結晶を1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(20)で表される目的の生成物であることが確認された。得られた化合物C9の収率は、49%であった。
Figure 2005082722
(化合物C10の合成)
2−ブロモメチルフェノールに代わり、3−ブロモメチルフェノール18.7g(0.100mol)を用いた以外は、前記化合物C4の合成と同じ手順で合成を行い、黄色のホスホニウムベタイン化合物の結晶18.1gを得た。
200mlのビーカーに攪拌装置を取り付け、4,4−ビフェノール14.4g(0.078mol)およびメタノール14gを仕込み、室温で、約30分間攪拌を続け、均一に溶解させた。次いで、72gのメタノールに、18.1g(0.039mol)の上記のホスホベタイン化合物を、均一に溶解した溶液を、攪拌下のビーカー中に滴下した。析出した白色の結晶を、ろ過した後、200mlのメタノールで洗浄し、乾燥して、結晶25.1gを得た。
得られた褐色結晶を1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(21)で表される目的の生成物であることが確認された。得られた化合物C10の収率は、30%であった。
Figure 2005082722
(化合物C11の合成)
トリフェニルホスフィン26.2g(0.100mol)をビーカー(容量:500mL)中で、75mLのアセトンに室温で溶解させた。
次に、この溶液中に、p−ベンゾキノン10.8g(0.100mol)をアセトン45mLに溶解した溶液を、撹拌下ゆっくり滴下した。このとき、滴下を続けると、しだいに析出物が現われた。滴下終了後、約1時間撹拌を継続した後、約30分静置した。その後、析出した結晶を濾過、乾燥し、緑褐色粉末27.75gを得た。
この化合物をC11とした。化合物C7を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(22)で表される目的のトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノン付加反応物であることが確認された。得られた化合物C11の収率は、75%であった。
Figure 2005082722
(化合物C12の合成)
トリフェニルホスフィン26.2g(0.100mol)を500mlのビーカー中で、75gのアセトンに室温で溶解させた。
次に、この溶液中に、p−ベンゾキノン10.8g(0.100mol)をアセトン45gに溶解した溶液を、撹拌下ゆっくり滴下した。このとき、滴下を続けると、しだいに析出物が現われた。
滴下終了後、約1時間撹拌を継続した後、約30分静置した。
その後、析出した結晶を濾過、乾燥し、緑褐色粉末27.75gを得た。
次に、500mlのビーカーにこの緑褐色粉末27.75g(0.075mmol)とギ酸4.8g(0.075mmol)と、メタノール200gとを供給し、攪拌した。
その後、ビーカー内に水酸化ナトリウム3g(0.075mmol)のメタノール溶液200gを滴下し、30分間攪拌した。
次に、反応物を純水2000mlに滴下し、析出した固形物を濾過、乾燥し、褐色固形物13.4gを得た。
この化合物をC12とした。1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(23)で表される目的のホスホニウム化合物であることが確認された。得られた化合物C12の収率は、25%であった。
Figure 2005082722
(化合物C13の合成)
前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、上記式(12)で表されるホスホニウムベタイン化合物を24.4g(0.066mol)得た。
200mlのビーカーに攪拌装置を取り付け、ギ酸3.17g(0.066mol)、メタノール8gを仕込み、室温で、約30分間攪拌を続け、均一に溶解させた。次いで、60gのメタノールに、24.4g(0.066mol)の上記式(12)で表されるホスホベタイン化合物を、均一に溶解した溶液を、攪拌下のビーカー中に滴下した。析出した白色の結晶を、ろ過した後、200mlのメタノールで洗浄し、乾燥して、結晶19.2gを得た。
得られた褐色結晶を1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(24)で表される目的の生成物であることが確認された。得られた化合物C13の収率は、46%であった。
Figure 2005082722
(化合物C14の合成)
200mlのビーカーに攪拌装置を取り付け、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)2.28g(0.100mol)、メタノール9gを仕込み、室温で、約30分間攪拌を続け、均一に溶解させた。さらに攪拌しながら水酸化ナトリウム2.0g(0.050mol)を予め、25mlのメタノールで溶解した溶液を添加した。次いで、予めテトラフェニルホスホニウムブロマイド21.0g(0.050mol)を85gのメタノールに溶解した溶液を加えた。析出した白色の結晶を、ろ過した後、200mlのメタノールで洗浄し、乾燥して、結晶15.5gを得た。
得られた褐色結晶を1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(25)で表される目的の生成物であることが確認された。得られた化合物C14の収率は、39%であった。
Figure 2005082722
[エポキシ樹脂組成物の調製および半導体装置の製造]
以下のようにして、前記化合物C1〜C14を含むエポキシ樹脂組成物を調製し、半導体装置を製造した。
(実施例1)
まず、化合物(A)として下記式(26)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂、化合物(B)として下記式(27)で表されるフェノールアラルキル樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(C)として化合物C1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびカルナバワックスを、それぞれ用意した。
Figure 2005082722
<式(26)で表される化合物の物性>
融点 :105℃
エポキシ当量 :193
150℃のICI溶融粘度:0.15poise
Figure 2005082722
<式(27)で表される化合物の物性>
軟化点 :77℃
水酸基当量 :172
150℃のICI溶融粘度:3.6poise
次に、ビフェニル型エポキシ樹脂:52重量部、フェノールアラルキル樹脂:48重量部、化合物C1:1.84重量部、溶融球状シリカ:730重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて95℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用い、100ピンTQFPのパッケージ(半導体装置)を8個、および、16ピンDIPのパッケージ(半導体装置)を15個、それぞれ製造した。
100ピンTQFPは、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
また、16ピンDIPは、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
(実施例2)
まず、化合物(A)として下記式(28)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、化合物(B)として下記式(29)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(C)として化合物C1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびカルナバワックスを、それぞれ用意した。
Figure 2005082722
<式(28)で表される化合物の物性>
軟化点 :60℃
エポキシ当量 :272
150℃のICI溶融粘度:1.3poise
Figure 2005082722
<式(29)で表される化合物の物性>
軟化点 :68℃
水酸基当量 :199
150℃のICI溶融粘度:0.9poise
次に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:57重量部、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:43重量部、化合物C1:1.84重量部、溶融球状シリカ:650重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて105℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例3)
化合物C1に代わり、化合物C2:1.91重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例4)
化合物C1に代わり、化合物C2:1.91重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例5)
化合物C1に代わり、化合物C3:2.09重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例6)
化合物C1に代わり、化合物C3:2.09重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例7)
化合物C1に代わり、化合物C4:2.33重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例8)
化合物C1に代わり、化合物C4:2.33重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例9)
化合物C1に代わり、化合物C5:4.31重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例10)
化合物C1に代わり、化合物C5:4.31重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例11)
化合物C1に代わり、化合物C6:2.85重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例12)
化合物C1に代わり、化合物C6:2.85重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例13)
化合物C1に代わり、化合物C7:3.44重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例14)
化合物C1に代わり、化合物C7:3.44重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例15)
化合物C1に代わり、化合物C8:2.89重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例16)
化合物C1に代わり、化合物C8:2.89重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例17)
化合物C1に代わり、化合物C9:2.56重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例18)
化合物C1に代わり、化合物C9:2.56重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例19)
化合物C1に代わり、化合物C10:4.19重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例20)
化合物C1に代わり、化合物C10:4.19重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例1)
化合物C1に代わり、化合物C11:1.85重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例2)
化合物C1に代わり、化合物C11:1.85重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例3)
化合物C1に代わり、化合物C12:2.09重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例4)
化合物C1に代わり、化合物C12:2.09重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例5)
化合物C1に代わり、化合物C13:2.08重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例6)
化合物C1に代わり、化合物C13:2.08重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例7)
化合物C1に代わり、化合物C14:3.97重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例8)
化合物C1に代わり、化合物C14:3.97重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
[特性評価]
各実施例および各比較例で得られたエポキシ樹脂組成物の特性評価(1)〜(4)、および、各実施例および各比較例で得られた半導体装置の特性評価(5)および(6)を、それぞれ、以下のようにして行った。
(1):スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分で測定した。
このスパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい程、流動性が良好であることを示す。
(2):硬化トルク
キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIV PS型)を用い、175℃、45秒後のトルクを測定した。
この硬化トルクは、数値が大きい程、硬化性が良好であることを示す。
(3):フロー残存率
得られたエポキシ樹脂組成物を、大気中30℃で1週間保存した後、前記(1)と同様にしてスパイラルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する百分率(%)を求めた。 このフロー残存率は、数値が大きい程、保存性が良好であることを示す。
(4):弾性率
化合物(A)として、前記式(24)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:52重量部、および、化合物(B)として、前記式(25)で表されるフェノールアラルキル樹脂:48重量部、化合物(C)として、C1ないしC12を表1に記してある触媒量を配合し、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて95℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用い、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、トランスファーモールドにより、10×50×3mmの硬化物を成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
この硬化物を10×3×3mmに切断し、レオバイブロン DDV−25FP型(オリエンテック(株)製)を用い、175℃での貯蔵弾性率を測定した。
(5):耐半田クラック性
100ピンTQFPを85℃、相対湿度85%の環境下で168時間放置し、その後、260℃の半田槽に10秒間浸漬した。
その後、顕微鏡下に、外部クラックの発生の有無を観察し、クラック発生率=(クラックが発生したパッケージ数)/(全パッケージ数)×100として、百分率(%)で表示した。
また、シリコンチップとエポキシ樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率=(剥離面積)/(シリコンチップの面積)×100として、8個のパッケージの平均値を求め、百分率(%)で表示した。
これらのクラック発生率および剥離率は、それぞれ、数値が小さい程、密着性、耐半田クラック性が良好であることを示す。
(6):耐湿信頼性
16ピンDIPに、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち8個以上に不良が出るまでの時間を不良時間とした。
なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間超(>500)と示す。
この不良時間は、数値が大きい程、耐湿信頼性に優れることを示す。
各特性評価(1)〜(6)の結果を、表1に示す。
Figure 2005082722
表1に示すように、各実施例で得られたエポキシ樹脂組成物(本発明のエポキシ樹脂組成物)は、いずれも、硬化性、保存性、流動性、密着性が極めて良好であり、さらに、この硬化物で封止された各実施例のパッケージ(本発明の半導体装置)は、樹脂硬化物の弾性率が低いという結果に反映して、いずれも、耐半田クラック性、耐湿信頼性が良好なものであった。
これに対し、比較例1および比較例2で得られたエポキシ樹脂組成物は、いずれも、硬化性、保存性、密着性に劣り、これらの比較例で得られたパッケージは、いずれも、耐半田クラック性、耐湿信頼性に極めて劣るものであった。また、比較例3および4で得られたエポキシ樹脂組成物は、いずれも、保存性、流動性が極めて悪く、これらの比較例で得られたパッケージは、耐半田クラック性に劣るものであった。また、比較例5および6で得られたエポキシ樹脂組成物は、いずれも、流動性に劣り、これらの比較例で得られたパッケージは、いずれも、耐半田クラック性に劣るものであった。
(実施例21〜28、比較例9〜11)
化合物(A)として、前記式(26)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:26重量部、前記式(28)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:28.5重量部、および、化合物(B)として、前記式(27)で表されるフェノールアラルキル樹脂:45.5重量部を配合した以外は、それぞれ、前記実施例1、3、5、7、9、11、13、15、17、19比較例1、3、5、7と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージ(半導体装置)を製造した。
各実施例21〜28、比較例9〜11で得られたエポキシ樹脂組成物およびパッケージの特性評価を、前記と同様にして行ったところ、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例29〜36、比較例12〜14)
化合物(A)として、前記式(26)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:54.5重量部、化合物(B)として、前記式(27)で表されるフェノールアラルキル樹脂:24重量部、および、前記式(29)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:21.5重量部を配合した以外は、それぞれ、前記実施例1、3、5、7、9、11、13、15、17、19比較例1、3、5、7と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージ(半導体装置)を製造した。
各実施例29〜36、比較例12〜14で得られたエポキシ樹脂組成物およびパッケージの特性評価を、前記と同様にして行ったところ、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例37〜42、比較例15)
ジアミノジフェニルメタンのビスマレイミド樹脂(ケイ・アイ化成製BMI−H)100重量部に、硬化促進剤として化合物C1〜C6およびトリフェニルホスフィンを、それぞれ、表2に示す配合比で配合し、これらを均一に混合した樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
実施例37〜42および比較例15で得られた樹脂組成物に対して、190℃におけるゲル化時間を測定した。
この結果を、各硬化促進剤の配合比と合わせて、表2に示す。
Figure 2005082722
表2に示すように、各実施例で得られた樹脂組成物は、いずれも、速やかに硬化に至るものであった。これに対し、比較例で得られた樹脂組成物は、ミクロゲル化で不均質な硬化のため不良であった。
本発明の硬化促進剤は、ホスフィンまたはホスホニウム塩を硬化促進剤として好適に使用し得る熱硬化性樹脂組成物に対して有用である。これを含むエポキシ樹脂組成物は、密着性が良好であり、クラックや剥離などの不具合を生じることがないため、高温環境下の製造工程を有する電子部品においても、半導体素子などの電子部品を封止に用いることができる。

Claims (19)

  1. 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
    下記一般式(1)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
    Figure 2005082722
    [式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R4は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Ar1は、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。]
  2. 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
    下記一般式(2)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
    Figure 2005082722
    [式中、Ar2、Ar3およびAr4は、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R5は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Ar5は、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。]
  3. 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
    下記一般式(3)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
    Figure 2005082722
    [式中、R6、R7およびR8は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基および水酸基から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R9は炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。]
  4. 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
    前記一般式(1)で表される化合物と、フェノール性水酸基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる下記一般式(4)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
    Figure 2005082722
    [式中、R10、R11およびR12は、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R13は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Ar6は、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。A1は、芳香環または複素環を含む(p+s)価の有機基を表し、Xは水素原子または1価の有機基を表す。aは1以上の整数、pは1〜5の整数、sは1〜3の整数、qは0以上の整数を表す。]
  5. 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
    前記一般式(1)で表される化合物と、フェノール性水酸基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる下記一般式(5)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
    Figure 2005082722
    [式中、R14、R15およびR16は、それぞれ、置換もしくは無置換の1価の芳香族基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R17は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。Ar7は、置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表す。A2は、芳香環または複素環を含む(t+1)価の有機基を表し、bは1以上の整数、tは1〜7の整数、uは0以上の整数を表す。]
  6. 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
    前記一般式(3)で表される化合物と、フェノール性水酸基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる下記一般式(6)または一般式(7)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
    Figure 2005082722
    Figure 2005082722
    [式中、R18、R19、R20、R26、R27およびR28は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基および水酸基から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R21およびR29は、炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。R22、R23、R24およびR25は水素原子またはハロゲン原子または炭素数1〜6で構成される1価の有機基を表す。Yは単結合、またはエーテル基、スルホン基、スルフィド基、カルボニル基から選ばれる2価置換基、または炭素原子数1〜13で構成される2価の有機基を表す。cは1以上の整数、vは0以上の整数、dは1以上の整数、wは0以上の整数を表す。]
  7. 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物と、請求項1ないし6のいずれかに記載の硬化促進剤とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物は、下記一般式(8)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(9)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2005082722
    [式中、R30、R31、R32およびR33は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
    Figure 2005082722
    [式中、R34〜R41は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、eは1以上の整数である。]
  9. 前記eは、1〜10である請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(10)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(11)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項7ないし9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2005082722
    [式中、R42〜R45は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、fは、1以上の整数である。]
    Figure 2005082722
    [式中、R46〜R53は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、gは、1以上の整数である。]
  11. 前記fは、1〜10である請求項10に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. 前記gは、1〜10である請求項10または請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 前記硬化促進剤の含有量は、0.01〜10重量%である請求項7ないし12のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  14. 無機充填材を含む請求項7ないし13のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  15. 前記無機充填材は、溶融シリカである請求項14に記載のエポキシ樹脂組成物。
  16. 前記無機充填材は、粒状をなしている請求項14または15に記載のエポキシ樹脂組成物。
  17. 前記無機充填材の平均粒径は、1〜100μmである請求項14ないし16のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  18. 前記無機充填材の含有量は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部である請求項14ないし17のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  19. 請求項14ないし18のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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