JP2006176683A - エポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 硬化性、保存性および流動性が良好なエポキシ樹脂組成物ならびに耐半田クラック性や耐湿信頼性に優れる半導体装置を提供する。
【解決手段】 本発明のエポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、分子内にサクシンイミジルスルフィド構造を有する有機シラン化合物(C)を含むものである。前記エポキシ樹脂組成物は、無機充填材を含むものである。前記エポキシ樹脂組成物の硬化物により電子部品を封止してなることを特徴とする半導体装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物および半導体装置に関するものである。
IC、LSI等の半導体素子を封止して半導体装置を製造する方法としては、エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形により封止する方法が、低コストで、大量生産に適しているという点で、広く用いられている。また、これら半導体装置の特性や信頼性の向上を図る場合、エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂や、硬化剤であるフェノール樹脂の種類を検討することや、種々の有機シランカップリング剤を添加することが行われている。
しかしながら、昨今の電子機器の市場動向において、機器の小型化、軽量化および高性能化に伴い、半導体の高集積化も、年々進んでおり、また、製造工程において、半導体装置の表面実装化も促進されており、半導体素子の封止に用いられるエポキシ樹脂組成物への要求は、益々厳しいものとなってきている。このため、従来からのエポキシ樹脂組成物では、解決できない(対応できない)問題も生じている。
近年、半導体装置の製造工程における鉛フリー半田を用いた表面実装方式への移行や、半導体パッケージの小型化・薄型化、パッケージ形状の多様化に伴い、半導体封止材料の耐半田性の一層の向上が求められている。
特に、実装温度上昇に伴う、吸湿リフロー時に発生する内部クラックと共に、チップ界面の剥離が問題となってきており、封止材料と基材界面との密着性の向上が要求されるようになってきている。
これら密着性を向上させ、耐半田性を改良する目的で、メルカプト系やアミン系のシランカップリング剤を添加する方法が用いられている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
しかしながら、これらメルカプト系やアミン系のカップリング剤は、エポキシ基と高い反応性を有する置換基を持つことにより、樹脂組成物に一般的に配合される硬化促進剤の存在下では、低温保管時におけるエポキシ樹脂の硬化反応の進行を速め、封止材料の保存安定性が低下する問題がある。このようなことから、諸成分混合時の厳密な品質管理、低温での保管や運搬、更に成形条件の厳密な管理が必須であり、取扱いが、非常に煩雑となることから、耐半田性の向上に加えて、物流・保管時の取扱い性の向上を目的とした保存性の向上が求められるようになってきている。
特開平3−181513号公報(第2〜3項) 特開平11−60905号公報(第2頁〜4頁)
本発明の目的は、保存安定性や密着性に優れるエポキシ樹脂組成物、ならびに耐半田クラック性および耐湿信頼性に優れる半導体装置を提供することにある。
本発明者は、前述したような問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、次のような事項を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、エポキシ樹脂組成物に、密着付与成分として特定の有機シラン化合物を添加することにより、樹脂組成物が保存性に優れ、上記のエポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子などの電子部品を封止してなる半導体装置が、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥が発生し難いことを見出した。
即ち、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
(1) 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)、分子内にサクシンイミジルスルフィド構造を有する有機シラン化合物(C)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(2) 前記の分子内にサクシンイミジルスルフィド構造を有する有機シラン化合物(C)が、一般式(1)で表されるものである上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
[式中、R、RおよびRは、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、または炭素数が6〜12のアリール基のいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、炭素数が1〜6の炭化水素基を表し、Rはn価の有機基を表す。nは1〜2の整数を表す。]
(3) 前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)が、下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(3)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とする上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
[式中、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
[式中、R10〜R17は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、aは、1〜10の整数である。]
(4) 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物が、下記一般式(4)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(5)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[式中、R18〜R21は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、bは、1〜10の整数である。]
[式中、R22〜R29は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、cは、1〜10の整数である。]
(5) 無機充填材を含む上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(6) 前記無機充填材の含有量は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部である上記(5)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(7) 前記(6)に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により電子部品を封止してなることを特徴とする半導体装置。
本発明のエポキシ樹脂組成物は保存安定性および密着性に優れ、また、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて封止した半導体装置は、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥が生じ難く、耐半田クラック性に優れ、耐湿信頼性にも優れる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明する。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、特定構造のシラン化合物(C)と、任意に無機充填材(D)および硬化促進剤(E)と、を含むものである。かかるエポキシ樹脂組成物は、保存安定性に優れたものである。また、前記エポキシ樹脂組成物を用いて封止した半導体装置は、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥が生じ難く、耐半田クラック性に優れ、耐湿信頼性にも優れる。
以下、各成分について、順次説明する。
[化合物(A)]
本発明に用いる1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば、何ら制限はない。
この化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂および臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂などのように、フェノール類やフェノール樹脂やナフトール類などの水酸基にエピクロロヒドリンを反応させて製造するエポキシ化合物、オレフィンを過酸により酸化させエポキシ化したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、前記化合物(A)は、特に、前記一般式(2)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂および前記一般式(3)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)の流動性が向上するとともに、得られた半導体装置の耐半田クラック性が、より向上する。
ここで、「耐半田クラック性の向上」とは、得られた半導体装置が、例えば、半田浸漬や半田リフロー工程等において、高温に曝された場合であっても、硬化物のクラックや剥離等の欠陥の発生が生じ難くなることを言う。
ここで、前記一般式(2)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂における置換基R〜Rは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R〜Rとしては、水素原子、フェニル基の他に、例えば、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、塩素原子および臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、メチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば、半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となる。また、その硬化物は、吸水性が低減するので、得られた半導体装置は、その内部の部材の経時劣化(例えば断線の発生等)が好適に防止され、その耐湿信頼性が、より向上する。
また、前記一般式(3)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂における置換基R10〜R17は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R10〜R17としては、それぞれ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子および臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となるとともに、半導体装置の耐湿信頼性が、より向上する。
また、前記一般式(3)におけるaは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、aは1〜10の範囲が好ましく、1〜5程度であるのが、より好ましい。aを前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性が、より向上する。
[化合物(B)]
本発明に用いる1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものであり、前記化合物(A)の硬化剤として作用(機能)するものである。
この化合物(B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、トリスフェノール樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂およびジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、前記化合物(B)は、特に、前記一般式(4)で表されるフェノールアラルキル樹脂および前記一般式(5)で表されるビフェニルアラルキル樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)の流動性が向上するとともに、得られた半導体装置の耐半田クラック性や耐湿信頼性が、より向上する。
ここで、前記一般式(4)で表されるフェノールアラルキル樹脂における置換基R18〜R21、および、前記一般式(5)で表されるビフェニルアラルキル樹脂における置換基R22〜R29は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R18〜R21およびR22〜R29としては、それぞれ、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子および臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。かかるフェノール樹脂は、それ自体の溶融粘度が低いため、エポキシ樹脂組成物中に含有しても、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を低く保持することができ、その結果、例えば半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となる。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物(得られる半導体装置)の吸水性(吸湿性)が低減して、耐湿信頼性がより向上するとともに、耐半田クラック性も、より向上する。
また、前記一般式(4)におけるb、および、前記一般式(5)におけるcは、それぞれ、フェノール樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、bおよびcは、それぞれ1〜10の範囲が好ましく、1〜5程度であるのが、より好ましい。bおよびcを、それぞれ、前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性の低下が好適に防止または抑制される。
[化合物(C)]
本発明に用いる有機シラン化合物(C)は、分子内にサクシンイミジルスルフィド構造を有する有機シラン化合物であり、さらに好ましくは、前記一般式(1)で表される1または2個のサクシンイミジルスルフィド構造を有する化合物である。これらは、保存安定性を損なうことなく、金属基材と化学結合等を含めた相互作用することによって、樹脂組成物と金属基材との密着付与成分として機能するものである。
上述の有機シラン化合物(C)は、メルカプトシラン化合物とマレイミド化合物のマイケル付加反応により得ることができる。このようなメルカプトシラン化合物としては、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランおよびメルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等を挙げることができ、マレイミド化合物としては、例えば、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニルマレイミドおよびN−(1−ナフチル)マレイミド等の1官能マレイミド化合物、1,3−ビスマレイミドベンゼン、3,5−ビスマレイミドトルエン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンおよびビス(4−マレイミドー5−エチルー3−メチルフェニル)メタンなどの2官能マレイミド化合物等が挙げることができる。
ここで、前記一般式(1)において、ケイ素原子に結合する置換基R、RおよびRは、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、または炭素数が6〜12のアリール基のいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R〜Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等の炭素数が1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基等の炭素数が1〜4のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基およびビフェニル基等の炭素数が6〜12のアリール基が挙げられるが、これらの中でも、メトキシ基が、より好ましい。
前記一般式(1)において、ケイ素原子とイオウ原子間を結合する置換基Rは、炭素数が1〜6の炭化水素基を表す。
これらの置換基Rとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基およびヘキサメチレン等のアルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、トリメチレン基が、より好ましい。
前記一般式(1)において、Rは置換もしくは無置換の有機基を表し、nは1〜2の整数を表す。
これらの置換基Rとしては、例えば、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基およびノルボルナン基等のアルキル基、フェニル基、ナフタレン基、ジフェニルメタン基、ジフェニルエーテル基、トリスフェニルメタン基およびフルオレン基等の芳香族基が挙げられる。これらの中でも、エチル基、ラウリル基、シクロヘキシル基等のアルキル基が、より好ましい。
前記一般式(1)において、置換基R〜RおよびRの組み合わせとしては、置換基R〜Rがそれぞれメトキシ基、Rがトリメチレン基であり、Rがアルキル基であるものが好適である。このものは、密着付与性に優れ、製造コストが安価である利点がある。
このような有機シラン化合物(C)は、従来のメルカプトシラン化合物と比較し、保存性を低下させることなく、基材との良好な密着性を発現するものである。
ここで、有機シラン化合物(C)の合成方法、すなわち、前記一般式(1)で表される有機シラン化合物の合成方法について説明する。
本発明中に用いる前記一般式(1)で表される有機シラン化合物の合成方法としては、例えば、nモルのメルカプトプロピルトリメトキシシランおよびメルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン化合物と、n価のマレイミド基を有する化合物とを、バルクまたは溶媒中で加熱反応させることにより得ることができ、その合成工程は、下記式(6)のように表される。かかる合成法により、容易かつ高収率で合成することが可能である。
[式中、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、または炭素数が6〜12のアリール基のいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R’は、炭素数が1〜6の炭化水素基を表し、R’’は有機基を表す。nは1〜2の整数を表す。]
上記合成工程において、好ましくはバルク条件下で、メルカプトシラン化合物とマレイミド化合物を、50〜150℃程度で加熱反応することによって、目的の有機シラン化合物を得ることができる。かかる反応は、溶媒中においても実施することが可能であるが、生成物を分離する面から、低沸点溶媒を用いることが好ましい。前記低沸点溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、1−プロパノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンおよびクロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の反応(式(6))において、マレイミド化合物に対するメルカプトシラン化合物のモル比を高くすることによって、より付加反応を速めることができる。また、純度を向上させる目的で、適宜、蒸留による原料や溶媒の分離除去を行うこともできる。最終的に、溶液中の溶媒を、エバポレーション等により除去して、目的物を得ることができる。
なお、前記一般式(1)で表される有機シラン化合物の合成方法は、上記の合成反応ルートが簡便で一般的であるが、これらに何ら限定されるものではない。
[無機充填材(D)]
無機充填材は、本発明のエポキシ樹脂組成物を、例えば、半導体装置に用いる場合、得られる半導体装置の補強を目的として、エポキシ樹脂組成物中に配合(混合)されるものであり、その種類については、特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。
この無機充填材(D)の具体例としては、例えば、溶融破砕シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレーおよびガラス繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、溶融シリカであるのが好ましい。溶融シリカは、本発明の硬化促進剤との反応性に乏しいので、エポキシ樹脂組成物中に多量に配合(混合)した場合でも、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が阻害されるのを防止することができる。また、無機充填材(D)として、溶融シリカを用いることにより、得られる半導体装置の補強効果が向上する。
また、無機充填材(D)の形状としては、例えば、粒状、塊状、鱗片状等のいかなるものであってもよいが、粒状(特に、球状)であるのが好ましい。
この場合、無機充填材(D)の平均粒径は、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜35μm程度であるのが、より好ましい。また、この場合、粒度分布は、広いものであるのが好ましい。これにより、無機充填材(D)の充填量(使用量)を多くすることができ、得られる半導体装置の補強効果が、より向上する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、有機シラン化合物(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、0.01〜10重量%程度であるのが好ましく、0.1〜5重量%程度であるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の密着特性が好ましく発現する。
また、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との配合比率も、特に限定されないが、前記化合物(A)のエポキシ基1モルに対し、前記化合物(B)のフェノール性水酸基が0.5〜2モル程度となるように用いるのが好ましく、0.7〜1.5モル程度となるように用いるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の諸特性のバランスを好適なものに維持しつつ、諸特性が、より向上する。
また、無機充填材(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部程度であるのが好ましく、400〜1400重量部程度であるのが、より好ましい。無機充填材(D)の含有量が前記範囲であると、上記補強効果や、成形時の流動性および充填性などの成形性が、より向上する。
なお、無機充填材(D)の含有量(配合量)が、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計量100重量部あたり、400〜1400重量部であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低くなり、半田クラックの発生を防止することができる。かかるエポキシ樹脂組成物は、加熱溶融時の流動性も良好であるため、半導体装置内部の金線変形を引き起こすことが好適に防止される。
また、無機充填材(D)の含有量(配合量)は、前記化合物(A)、前記化合物(B)や無機充填材(D)自体の比重を、それぞれ考慮し、重量部を体積%に換算して取り扱うようにしてもよい。
[硬化促進剤(E)]
本発明において、エポキシ基を2個以上有する化合物(A)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)の硬化反応を促進させる目的で硬化促進剤を添加することができる。硬化促進剤(E)は、エポキシ樹脂組成物の硬化反応を促進し得る作用(機能)を有するものであれば、何ら制限はない。
これら硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(4−トリル)ホスフィン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンおよびトリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン)等の第三ホスフィン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンおよび1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン等のアミジン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールおよび2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等の4級ホスホニウム塩等が挙げられ、これらを1種または2種以上の組み合わせで用いることができる。
なお、上記硬化促進剤は一例であり、これらに何ら限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、組成物全体に対して、0.01〜1重量%程度であるのが好ましく、0.05〜0.5重量%程度であるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、保存性、流動性および硬化物特性がバランスよく発現する。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、前記(A)〜(C)の化合物、任意に(D)および(E)の成分の他に、必要に応じて、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸またはその金属塩類、パラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合(混合)するようにしてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記(A)〜(C)の化合物、任意に(D)および(E)の成分、および、必要に応じて、その他の添加剤等を、ミキサーを用いて常温で混合し、熱ロールおよび加熱ニーダー等の混練機を用いて加熱混練し、冷却、粉砕することにより得られる。
このようにして得られた本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来のメルカプト系やアミン系のカップリング剤を密着付与成分として用いたエポキシ樹脂組成物に比べて、保存安定性に優れる。その理由は、本発明において、密着付与成分である有機シラン化合物(C)はエポキシ基と高い反応性を有するメルカプト基がスルフィド化されてブロックされているため、低温領域、具体的には、エポキシ樹脂組成物を予備混練する80〜120℃では反応活性が低く、エポキシ樹脂の硬化反応がより進行し難いためである。
得られたエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用いて、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で、硬化成形することにより、半導体素子等の電子部品を封止する。これにより、本発明の半導体装置が得られる。
また、本発明の半導体装置の形態としては、特に限定されないが、例えば、SIP(Single Inline Package)、HSIP(SIP with Heatsink)、ZIP(Zig-zag Inline Package)、DIP(Dual Inline Package)、SDIP(Shrink Dual Inline Package)、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink Small Outline Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、QFP(Quad Flat Package)、QFP(FP)(QFP Fine Pitch)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、QFJ(PLCC)(Quad Flat J-leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の半導体装置は、耐半田クラック性に優れる。その理由は、本発明のエポキシ樹脂組成物において、密着付与成分である有機シラン化合物(C)による樹脂硬化物と基材との密着に優れるため剥離が発生し難いため、耐半田クラック性に優れたものとなる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物で封止することにより耐湿信頼性が良好なものとなる。
本実施形態では、本発明のエポキシ樹脂組成物を、半導体装置の封止材料として用いる場合について説明したが、本発明のエポキシ樹脂組成物の用途としては、これに限定されるものではない。また、エポキシ樹脂組成物の用途等に応じて、本発明のエポキシ樹脂組成物では、無機充填材の混合(配合)を省略することもできる。
以上、本発明のエポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
まず、密着付与剤として使用する化合物C1〜C5およびメルカプトプロピルトリメトキシシランを用意した。
(化合物C1の合成)
撹拌装置および冷却装置付きの三つ口フラスコ(容量:50mL)に、メルカプトプロピルトリメトキシシラン19.6g(0.10mol)およびn−エチルマレイミド12.1g(0.10mol)を仕込み、100℃で加熱溶解し均一溶液とした。上記均一溶液を攪拌下、100℃で24時間反応した。反応液を50Torrの減圧下、蒸留を行い、残存している原料を除去し、最終的に淡黄褐色透明の液体31.1gを得た。
この化合物をC1とした。化合物C1を、H−NMR、FT−IR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(7)で表される目的のシラン化合物であることが確認された。得られた化合物C1の収率は、98%であった。
(化合物C2の合成)
撹拌装置および冷却装置付きの三つ口フラスコ(容量:50mL)に、メルカプトプロピルトリメトキシシラン19.6g(0.10mol)およびn−ラウリルマレイミド26.5(0.10mol)を仕込み、100℃で加熱溶解し均一溶液とした。上記均一溶液を攪拌下、100℃で24時間反応した。反応液を50Torrの減圧下、蒸留を行い、残存している原料を除去し、最終的に淡黄褐色透明の液体44.3gを得た。
この化合物をC2とした。化合物C2を、H−NMR、FT−IR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(8)で表される目的のシラン化合物であることが確認された。得られた化合物C2の収率は、96%であった。
(化合物C3の合成)
撹拌装置および冷却装置付きの三つ口フラスコ(容量:50mL)に、メルカプトプロピルトリメトキシシラン19.6g(0.10mol)およびn−シクロヘキシルマレイミド17.9g(0.10mol)を仕込み、100℃で加熱溶解し均一溶液とした。上記均一溶液を攪拌下、100℃で24時間反応した。反応液を50Torrの減圧下、蒸留を行い、残存している原料を除去し、最終的に淡黄褐色透明の液体35.6gを得た。
この化合物をC3とした。化合物C3を、H−NMR、FT−IR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(9)で表される目的のシラン化合物であることが確認された。得られた化合物C3の収率は、95%であった。
(化合物C4の合成)
撹拌装置および冷却装置付きの三つ口フラスコ(容量:50mL)に、メルカプトプロピルトリメトキシシラン19.6g(0.10mol)およびn−フェニルマレイミド17.3g(0.10mol)を仕込み、100℃で加熱溶解し均一溶液とした。上記均一溶液を攪拌下、100℃で24時間反応した。反応液を50Torrの減圧下、蒸留を行い、残存している原料を除去し、最終的に黄褐色透明の液体35.4gを得た。
この化合物をC4とした。化合物C4を、H−NMR、FT−IR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(10)で表される目的のシラン化合物であることが確認された。得られた化合物C4の収率は、96%であった。
(化合物C5の合成)
撹拌装置および冷却装置付きの三つ口フラスコ(容量:50mL)に、メルカプトプロピルトリメトキシシラン19.6g(0.10mol)およびビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン22.1g(0.05mol)を仕込み、100℃で加熱溶解し均一溶液とした。上記均一溶液を攪拌下、100℃で24時間反応した。反応液を50Torrの減圧下、蒸留を行い、残存している原料を除去し、最終的に黄褐色透明の液体39.2gを得た。
この化合物をC5とした。化合物C5を、H−NMR、FT−IR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(11)で表される目的のシラン化合物であることが確認された。得られた化合物C5の収率は、94%であった。
また、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンを用意した。
[エポキシ樹脂組成物の調製および半導体装置の製造]
以下のようにして、前記化合物C1〜C5、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンを含むエポキシ樹脂組成物を調製し、半導体装置を製造した。
(実施例1)
まず、化合物(A)として下記式(12)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX−4000HK)、化合物(B)として下記式(13)で表されるフェノールアラルキル樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。三井化学(株)製XLC−LL)、密着付与成分(有機シラン化合物(C))として化合物C1、硬化促進剤(D)としてトリフェニルホスフィン、無機充填材(E)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびカルナバワックスを、それぞれ用意した。
<式(12)で表される化合物の物性>
融点 :105℃
エポキシ当量 :193
150℃のICI溶融粘度:0.15poise
<式(13)で表される化合物の物性>
軟化点 :77℃
水酸基当量 :172
150℃のICI溶融粘度:3.6poise
次に、前記ビフェニル型エポキシ樹脂:52重量部、前記フェノールアラルキル樹脂:48重量部、化合物C1:3.21重量部、トリフェニルホスフィン:1.00重量部、溶融球状シリカ:730重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず、室温で混合し、次いで、熱ロールを用いて95℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用い、100ピンTQFPのパッケージ(半導体装置)を8個、および、16ピンDIPのパッケージ(半導体装置)を15個、それぞれ製造した。
100ピンTQFPは、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
また、16ピンDIPは、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
(実施例2)
まず、化合物(A)として下記式(14)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。日本化薬(株)製NC−3000P)、化合物(B)として下記式(15)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。明和化成(株)製MEH−7851SS)、密着付与成分(有機シラン化合物(C))として化合物C1、硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)、無機充填材(E)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびカルナバワックスを、それぞれ用意した。
<式(14)で表される化合物の物性>
軟化点 :60℃
エポキシ当量 :272
150℃のICI溶融粘度:1.3poise
<式(15)で表される化合物の物性>
軟化点 :68℃
水酸基当量 :199
150℃のICI溶融粘度:0.9poise
次に、前記ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:57重量部、前記ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:43重量部、化合物C1:3.21重量部、トリフェニルホスフィン:1.00重量部、溶融球状シリカ:650重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて105℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例3)
化合物C1に代わり、化合物C2:4.61重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例4)
化合物C1に代わり、化合物C2:4.61重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例5)
化合物C1に代わり、化合物C3:3.75重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例6)
化合物C1に代わり、化合物C3:3.75重量部を用いた以外は、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例7)
化合物C1に代わり、化合物C4:3.69重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例8)
化合物C1に代わり、化合物C4:3.69重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例9)
化合物C1に代わり、化合物C5:4.17重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例10)
化合物C1に代わり、化合物C5:4.17重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例11)
トリフェニルホスフィンに代わり、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン:0.60重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例12)
トリフェニルホスフィンに代わり、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン:0.60重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例1)
化合物C1に代わり、メルカプトプロピルトリメトキシシラン:1.96重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例2)
化合物C1に代わり、メルカプトプロピルトリメトキシシラン:1.96重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例3)
化合物C1に代わり、メルカプトプロピルトリメトキシシラン:1.96重量部、トリフェニルホスフィンに代わり、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン:0.60重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例4)
化合物C1に代わり、メルカプトプロピルトリメトキシシラン:1.96重量部、トリフェニルホスフィンに代わり、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン:0.60重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
[特性評価]
各実施例および各比較例で得られたエポキシ樹脂組成物の特性評価(1)〜(3)、および、各実施例および各比較例で得られた半導体装置の特性評価(4)および(5)を、それぞれ、以下のようにして行った。
(1):スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分で測定した。
このスパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい程、流動性が良好であることを示す。
(2):硬化トルク
キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIV PS型)を用い、175℃、45秒後のトルクを測定した。
この硬化トルクは、数値が大きい程、硬化性が良好であることを示す。
(3):フロー残存率
得られたエポキシ樹脂組成物を、大気中30℃で1週間保存した後、前記(1)と同様にしてスパイラルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する百分率(%)を求めた。
このフロー残存率は、数値が大きい程、保存性が良好であることを示す。
(4):耐半田クラック性
100ピンTQFPを85℃、相対湿度85%の環境下で168時間加湿処理し、その後、最高温度260℃のIRリフロー炉で2分間加熱処理した。
その後、顕微鏡下に、外部クラックの発生の有無を観察し、クラック発生率=(クラックが発生したパッケージ数)/(全パッケージ数)×100として、百分率(%)で表示した。
また、シリコンチップとエポキシ樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率=(剥離面積)/(シリコンチップの面積)×100として、8個のパッケージの平均値を求め、百分率(%)で表示した。
これらのクラック発生率および剥離率は、それぞれ、数値が小さい程、耐半田クラック性が良好であることを示す。
(5):耐湿信頼性
16ピンDIPに、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち8個以上に不良が出るまでの時間を不良時間とした。
なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間超(>500)と示す。
この不良時間は、数値が大きい程、耐湿信頼性に優れることを示す。
各特性評価(1)〜(5)の結果を、表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜12で得られたエポキシ樹脂組成物(本発明のエポキシ樹脂組成物)は、いずれも、比較例に比べて保存性が良好であり、さらに、この硬化物で封止された各実施例のパッケージ(本発明の半導体装置)は、いずれも、耐半田クラック性および耐湿信頼性が良好なものであった。
これに対し、比較例1〜4で得られたエポキシ樹脂組成物は、いずれも、実施例と比較して保存性、耐半田クラック性、耐湿信頼性に劣るものであった。
(実施例13〜18、比較例5および6)
化合物(A)として、前記式(12)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:26重量部、前記式(14)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:28.5重量部、および、化合物(B)として、前記式(13)で表されるフェノールアラルキル樹脂:45.5重量部を配合した以外は、それぞれ、前記実施例1、3、5、7、9、11、比較例1、3と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージ(半導体装置)を製造した。
各実施例13〜18、比較例5および6で得られたエポキシ樹脂組成物およびパッケージの特性評価を、前記と同様にして行ったところ、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例19〜24、比較例7および8)
化合物(A)として、前記式(12)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:54.5重量部、化合物(B)として、前記式(13)で表されるフェノールアラルキル樹脂:24重量部、および、前記式(15)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:21.5重量部を配合した以外は、それぞれ、前記実施例1、3、5、7、9および11、比較例1および3と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージ(半導体装置)を製造した。
各実施例19〜24、比較例7および8で得られたエポキシ樹脂組成物およびパッケージの特性評価を、前記と同様にして行ったところ、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
かかるエポキシ樹脂組成物を用いることにより、硬化性、保存性および流動性が良好なエポキシ樹脂組成物を得ることができる。このエポキシ樹脂は、電気・電子材料分野に好適に使用、特に、耐半田クラック性および耐湿信頼性に優れた半導体素子等の電子部品を封止してなる電子部品装置を得ることができる。

Claims (7)

  1. 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)および分子内にサクシンイミジルスルフィド構造を有する有機シラン化合物(C)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 分子内にサクシンイミジルスルフィド構造を有する有機シラン化合物(C)が、一般式(1)で表されるものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
    [式中、R、RおよびRは、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、または炭素数が6〜12のアリール基のいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、炭素数が1〜6の炭化水素基を表し、Rは有機基を表す。nは1〜2の整数を表す。]
  3. 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)が、下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(3)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    [式中、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
    [式中、R10〜R17は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、aは、1〜10の整数である。]
  4. 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物が、下記一般式(4)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(5)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
    [式中、R18〜R21は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、bは、1〜10の整数である。]
    [式中、R22〜R29は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、cは、1〜10の整数である。]
  5. 無機充填材を含む請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記無機充填材の含有量は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部である請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により電子部品を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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