JP4385696B2 - 硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents
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Description
下記一般式(1)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
以下、本発明の硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明する。
本発明で用いられる、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであればその種類に何ら制限はなく、従来公知の化合物を用いることが出来る。
この化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂など、フェノール類、フェノール樹脂およびナフトール類などの水酸基にエピクロロヒドリンを反応させて製造するエポキシ化合物、オレフィンを、過酸により酸化させエポキシ化したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、「耐半田クラック性の向上」とは、得られた半導体装置が、例えば半田浸漬や半田リフロー工程等において、高温に曝された場合であっても、硬化物のクラックや剥離等の欠陥の発生が生じ難くなることを言う。
この化合物(B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、トリスフェノール樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの置換基R20〜R23およびR24〜R31の具体例としては、それぞれ、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。かかるフェノール樹脂は、それ自体の溶融粘度が低いため、エポキシ樹脂組成物中に含有しても、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を低く保持することができ、その結果、例えば、半導体装置の製造時等に、その取扱いが容易となる。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物(得られる半導体装置)の吸水性(吸湿性)が低減して、耐湿信頼性が、より向上するとともに、耐半田クラック性も、より向上する。
このArの具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基およびナフチレン基などの芳香族基、更には、これらの芳香族基にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基やアルコキシ基等の水酸基以外の置換基により置換された芳香族基が挙げられる。
このような分子化合物は、包接化合物、錯化合物、分子会合体など、種々の名称で呼ばれることがあるが、非共有性の結合、具体的には、ファンデルワールス力や、水素結合などの結合により、組み合わせに固有の、一定の比率で二種以上の成分が複合体を形成したものであれば、全て本発明の分子化合物と同義であり、本発明に含まれる。
ホスホニウムベタイン化合物の製法としては、従来公知の手法を利用することができる。例えば、第三ホスフィン化合物を、芳香環に結合する水素原子がハロゲンで置換されたフェノール化合物を、銅、ニッケルおよびコバルト等の金属のハロゲン塩を触媒として加熱反応させて得た、ホスホニウムベタインのハロゲン化水素付加物を、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリを用いて中和することで、ホスホニウムベタインを得る手法が挙げられる。前記第三ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンおよびトリス(4−メトキシフェニル)ホスフィンなどが挙げられ、前記芳香環に結合する水素原子がハロゲンで置換されたフェノール化合物としては、例えば、3−クロロフェノール、1−クロロ−2−ナフトール、2−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、3−ブロモ−4−メチルフェノール、2−ヨードフェノールおよび4−ヨードナフトール等が挙げられ、銅、ニッケルおよびコバルト等の金属のハロゲン塩としては、例えば、塩化銅、塩化ニッケルおよび塩化コバルト等が挙げられる。
また、ボレートアニオンの共役酸の製法としては、例えば、テトラフェニルボレートナトリウム塩、テトラブチルボレートカリウム塩のような、テトラ置換ボレートのアルカリ金属塩と、プロトン供与体とを、加熱下で反応させ、生成物を塩酸等の酸を用いて中和し、ボレートアニオンの共役酸を得る手法が挙げられる。
上記のようにして得られた、ホスホニウムベタイン化合物を、ボレートアニオンの共役酸と接触させる手法としては、例えば、両成分を、成分毎に所定のモル比で、アルコール等の可溶な溶媒に溶解し、溶液を混合し、接触させるなどの手法を取ることができる。また、ボレートアニオンの共役酸が不安定である場合、ホスホニウムベタインのハロゲン化水素付加物と、テトラフェニルボレートのアルカリ金属塩とを接触させ、得られたホスホニウムベタインのテトラフェニルボレート塩と、プロトン供与体とを、加熱下で置換反応させる手法によって合成することもできる。
なお、本発明の硬化促進剤の製造方法は、適宜選択され得るものであり、上記の具体例に何ら限定されるものではない。
また、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との配合比率も、特に限定されないが、前記化合物(A)のエポキシ基1モルに対し、前記化合物(B)のフェノール性水酸基が0.5〜2モル程度となるように用いるのが好ましく、0.7〜1.5モル程度となるように用いるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の諸特性のバランスを好適なものに維持しつつ、諸特性が、より向上する。
この無機充填材(D)としては、例えば、溶融破砕シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、溶融シリカであるのが好ましい。溶融シリカは、本発明の硬化促進剤との反応性に乏しいので、エポキシ樹脂組成物中に多量に配合(混合)した場合でも、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が阻害されるのを防止することができる。また、無機充填材(D)として、溶融シリカを用いることにより、得られる半導体装置の補強効果が向上する。
また、無機充填材(D)の形状としては、例えば、粒状、塊状、鱗片状等のいかなるものであってもよいが、粒状(特に、球状)であるのが好ましい。
この場合、無機充填材(D)の平均粒径は、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜35μm程度であるのがより好ましい。また、この場合、粒度分布は、広いものであるのが好ましい。これにより、無機充填材(D)の充填量(使用量)を多くすることができ、得られる半導体装置の補強効果がより向上する。
また、無機充填材(D)の含有量(配合量)は、前記化合物(A)、前記化合物(B)や無機充填材(D)自体の比重を、それぞれ考慮し、重量部を体積%に換算して取り扱うようにしてもよい。
また、本発明において硬化促進剤として機能する硬化促進剤(C)の特性を損なわない範囲で、エポキシ樹脂組成物中には、例えば、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、2−メチルイミダゾール等の、他の公知の触媒を配合(混合)するようにしても、何ら問題はない。
このようにして得られた本発明の半導体装置は、耐半田クラック性および耐湿信頼性に優れる。その理由は、本発明の硬化促進剤(C)の半田条件(例えば半田リフロー工程等)における安定性に関係すると考えられる。
以上、本発明の硬化促進剤、硬化促進剤の製造方法、エポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
まず、硬化促進剤を合成するために、原料となるホスホニウムテトラフェニルボレート(1b)〜(4b)を、以下のようにして合成した。
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、2−ヨードフェノール22.0g(0.100mol)と、トリフェニルホスフィン31.4g(0.120mol)、塩化ニッケル0.5g、エタノール100mLを仕込み、還流するように加熱し24時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、純水500mLに滴下し、反応物を析出させた。析出した反応物は、ろ過後にヘキサン100mLで洗浄し、乾燥して、下記式(6)で示されるホスホニウムハロゲン塩(1)36.2g(収率75%)を得た。得られたホスホニウムハロゲン塩の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、3−ブロモフェノール17.3g(0.100mol)と、トリフェニルホスフィン31.4g(0.120mol)、塩化ニッケル0.5g、エタノール100mLを仕込み、還流するように加熱し24時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、純水500mLに滴下し、反応物を析出させた。析出した反応物は、ろ過後にヘキサン100mLで洗浄し、乾燥して、下記式(8)で示されるホスホニウムハロゲン塩(2)30.4g(収率70%)を得た。得られたホスホニウムハロゲン塩の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、4−ヨードフェノール22.0g(0.100mol)と、トリフェニルホスフィン31.4g(0.120mol)、塩化ニッケル0.5g、エタノール100mLを仕込み、還流するように加熱し24時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、純水500mLに滴下し、反応物を析出させた。析出した反応物は、ろ過後にヘキサン100mLで洗浄し、乾燥して、下記式(10)で示されるホスホニウムハロゲン塩(3)37.5g(収率78%)を得た。得られたホスホニウムハロゲン塩の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、6−ブロモ−2−ナフトール22.3g(0.100mol)と、トリフェニルホスフィン31.4g(0.120mol)、塩化ニッケル0.5g、エタノール100mLを仕込み、還流するように加熱し24時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、純水500mLに滴下し、反応物を析出させた。析出した反応物は、ろ過後にヘキサン100mLで洗浄し、乾燥して、下記式(12)で示されるホスホニウムハロゲン塩(4)31.1g(収率64%)を得た。得られたホスホニウムハロゲン塩の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
上記で得たホスホニウムテトラフェニルボレート(1b)〜(4b)を用い、本発明の硬化促進剤(C1)〜(C8)を、以下の方法により合成した。
蒸留用の分枝管、冷却管、および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、上記で得たホスホニウムテトラフェニルボレート(1b)20.2g(0.030mol)と、1−ナフトエ酸20.7g(0.120mol)を仕込み、オイルバスで260℃に加熱し、反応させた。反応により脱離するベンゼンを、蒸留用の分岐管で捕集し、理論的に100%反応分のベンゼンが捕集された時点で反応を終了した。
反応物を常温まで冷却後、300mLのメタノールを加え、再度加熱し、還流下で十分に洗浄した。得られた精製品を、乾燥して、下記式(14)で示される硬化促進剤(C1)28.7g(収率91%)を得た。硬化促進剤の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
ホスホニウムテトラフェニルボレート(1b)の代わりに、上記で得たホスホニウムテトラフェニルボレート(2b)を用いた以外は、前記硬化促進剤C1の合成法と同様に行ない、下記式(15)で示される硬化促進剤(C2)26.5g(収率84%)を得た。硬化促進剤の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
ホスホニウムテトラフェニルボレート(1b)の代わりに、上記で得たホスホニウムテトラフェニルボレート(3b)を用いた以外は、前記硬化促進剤C1の合成法と同様に行ない、下記式(16)で示される硬化促進剤(C3)28.1g(収率89%)を得た。硬化促進剤の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
ホスホニウムテトラフェニルボレート(1b)の代わりに、上記で得たホスホニウムテトラフェニルボレート(4b)21.7g(0.030mol)を用いた以外は、前記硬化促進剤C1の合成法と同様に行ない、下記式(17)で示される硬化促進剤(C4)24.8g(収率75%)を得た。硬化促進剤の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
1−ナフトエ酸の代わりに、フェノール11.3g(0.120mol)を用いた以外は、前記硬化促進剤C1の合成法と同様に行ない、下記式(18)で示される硬化促進剤(C5)18.6g(収率84%)を得た。硬化促進剤の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
1−ナフトエ酸の代わりに、フェノール8.5g(0.090mol)を用い、理論的にホウ素上のフェニル置換基数の75%反応分のベンゼンが捕集された時点で反応を終了した以外は、前記硬化促進剤C1の合成法と同様に行ない、下記式(19)で示される硬化促進剤(C6)18.4g(収率85%)を得た。硬化促進剤の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
1−ナフトエ酸の代わりに、安息香酸14.7g(0.120mol)を用いた以外は、前記硬化促進剤C1の合成法と同様に行ない、下記式(20)で示される硬化促進剤(C7)22.2g(収率87%)を得た。硬化促進剤の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
1−ナフトエ酸の代わりに、1−ナフトール17.3g(0.120mol)を用いた以外は、前記硬化促進剤C1の合成法と同様に行ない、下記式(21)で示される硬化促進剤(C8)22.2g(収率79%)を得た。硬化促進剤の構造は、元素分析およびNMRにより確認した。
(実施例1〜8、比較例1〜3)
硬化促進剤として、前記硬化促進剤C1〜C8、比較用の硬化促進剤である、PP−360(ケイアイ化成(株)製、トリフェニルホスフィン)、TPP−K(北興化学(株)製、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート)およびホスホニウムテトラフェニルボレート(1b)、化合物(A)として、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−4000HK、融点105℃、エポキシ等量193)およびビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000P、軟化点60℃、エポキシ等量272)、成分(B)として、フェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製、XLC−LL、軟化点77℃、水酸基等量172)およびビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851SS、軟化点68℃、水酸基等量199)、成分(D)として、溶融球状シリカ(平均粒径5μm)、その他の成分を準備し、表1に記載の配合比率により、室温で混合し、さらに、熱ロールを用いて、95℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
このエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用い、100ピンTQFP(Thin Quad Flat Package)のパッケージ(半導体装置)を8個、および、16ピンDIP(Dual Inline Package)のパッケージ(半導体装置)を15個、それぞれ製造した。
100ピンTQFPは、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃8時間で、後硬化させることにより製造した。
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
また、16ピンDIPは、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃8時間で、後硬化させることにより製造した。
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
各実施例および各比較例で得られたエポキシ樹脂組成物の特性評価(1)〜(3)、および、各実施例および各比較例で得られた半導体装置の特性評価(4)および(5)を、それぞれ、以下のようにして行った。
(1):スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分で測定した。
このスパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい程、流動性が良好であることを示す。
(2):硬化トルク
キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIV PS型)を用い、175℃、45秒後のトルクを測定した。
この硬化トルクは、数値が大きい程、硬化性が良好であることを示す。
(3):フロー残存率
得られたエポキシ樹脂組成物を、大気中40℃で1週間保存した後、前記(1)と同様にしてスパイラルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する百分率(%)を求めた。
このフロー残存率は、数値が大きい程、保存性が良好であることを示す。
(4):耐半田クラック性
100ピンTQFPを85℃、相対湿度85%の環境下で168時間放置し、その後、260℃の半田槽に10秒間浸漬した。
その後、顕微鏡下に、外部クラックの発生の有無を観察し、クラック発生率=(クラックが発生したパッケージ数)/(全パッケージ数)×100として、百分率(%)で表示した。
また、シリコンチップとエポキシ樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率=(剥離面積)/(シリコンチップの面積)×100として、8個のパッケージの平均値を求め、百分率(%)で表示した。
これらのクラック発生率および剥離率は、それぞれ、数値が小さい程、耐半田クラック性が良好であることを示す。
(5):耐湿信頼性
16ピンDIPに、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち8個以上に不良が出るまでの時間を不良時間とした。
なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間超(>500)と示す。
この不良時間は、数値が大きい程、耐湿信頼性に優れることを示す。
各特性評価(1)〜(5)の結果を、表1に示す。
これに対し、比較例1は硬化促進剤成分がトリフェニルホスフィンであり、硬化性、流動性、耐半田性、耐湿信頼性のすべてにおいて、実施例に比べ劣り、とりわけ、保存性は大きく劣っている、比較例2および比較例3で得られたエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤成分が、従来のテトラフェニルボレートの塩であり、保存性、流動性はある程度の特性が得られるが、硬化性、耐半田性、耐湿信頼性において十分であるとは言えなかった。
ジアミノジフェニルメタンのビスマレイミド樹脂(ケイ・アイ化成製BMI−H)100重量部に、硬化促進剤として化合物C1〜C8およびTPP−K、トリフェニルホスフィンを、それぞれ、表2に示す配合比で配合し、これらを均一に混合した樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
実施例9〜16および比較例4〜5で得られた樹脂組成物に対して、190℃におけるゲル化時間を測定した。
Claims (14)
- 硬化性樹脂組成物に混合され、該硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進しうる硬化促進剤であって、
下記一般式(1)で表されることを特徴とする硬化促進剤。
- 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、請求項1に記載の硬化促進剤(C)とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(3)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とするものである請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記aは、1〜10である請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)は、下記一般式(4)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(5)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とするものである請求項2ないし4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記bは、1〜10である請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記cは、1〜10である請求項5または請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化促進剤(C)の含有量は、0.01〜15重量%である請求項2ないし7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 無機充填材(D)を含む請求項2ないし8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材(D)は、溶融シリカである請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材(D)は、粒状をなしている請求項9または10に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材(D)の平均粒径は、1〜100μmである請求項9ないし11のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材(D)の含有量は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部である請求項9ないし12のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項9ないし13のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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