JP3883146B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存安定性、耐パッケージクラック性に優れるエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子製品の軽薄短小化、高密度化及び高機能化のため、半導体パッケージは種々の形態をとるようになってきている。特に近年は表面実装化のため、半導体素子を封止するエポキシ樹脂組成物(以下、樹脂組成物という)に関しても種々の検討がなされている。特に上記のような表面実装対応のためには、パッケージクラックの防止が大きな問題となっている。このパッケージクラック防止のために、樹脂組成物の硬化物を低吸湿化する必要があり、樹脂組成物の主成分の一つである無機充填材の配合量は、約90重量%まで増加してきている。この無機充填材の高充填の手法としては、無機充填材の粒度分布や形状の変更、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の粘度の低減等があるが、これらの手法を併用する場合が殆どである。
しかし、粘度低減のためにエポキシ樹脂の分子量は小さくなっており、このためエポキシ樹脂の分子は動きやすく、反応の初期段階では硬化反応が進みやすくなっている。つまり、樹脂と他の配合成分とを混合する際の加熱又は発熱によっても樹脂成分の硬化反応が進行するほか、混合したのち樹脂組成物を常温で保管する間にも樹脂成分の硬化反応が進行し、樹脂組成物の品質低下を起こしやすくなっている。
更に、エポキシ樹脂が元々低分子量であるために、反応の最終段階では充分に架橋密度が上がらず、樹脂組成物の硬化性が低くなってしまうという問題点も有している。
【0003】
そこで近年は、常温等の比較的低温域では樹脂成分の硬化反応を進行させず、成形時に加熱されたときのみ高度に硬化を促進するような硬化促進剤、いわゆる潜伏性硬化促進剤の検討が行われている。
例えば、ホスホニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩が挙げられ、種々の検討がされている。特開昭51−24399号公報にはテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートが保存安定性と硬化性に優れると記載されているが、この硬化促進剤はホスホニウムカチオンとボレートアニオンのイオン結合が強力なため、融点は300℃以上であり、成形温度で十分な触媒活性を示すとは言えず、硬化性が発現しない。
そこで、一般に特開昭55−153358号公報に示されるように、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートを原料の一部に予め溶融混合して用いるという手法がとられる。しかしこの方法では、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートが溶融混合の際に既にイオン結合が外れた構造となるため、常温での反応性を抑えることができず、保存安定性に劣る。
ホスホニウムカチオンとボレートアニオンのイオン結合が、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートと比較し、強過ぎないために、溶融混合等の作業を必要とせず、保存安定性と硬化性が両立した好ましい挙動を示す潜伏性硬化促進剤としては、特開昭61−204954号公報、特開平8−295721号公報に記載されている。それぞれホウ素原子側の置換基をフェニル基から炭化水素基、有機酸根に変更することにより、ホスホニウムカチオンとボレートアニオンのイオン結合を適度な強さに調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、保存安定性、耐パッケージクラック性に優れるエポキシ樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の通りである。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)一般式(1)で示される硬化促進剤、及び(D)無機充填材を必須成分とし、全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材(D)の配合量が全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり200〜2400重量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
【化6】
(ただし、式中のR1〜R4は、芳香環もしくは複素環を有する有機基、又は1価の脂肪族基であり、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。式中のArは2価の芳香環もしくは複素環を含む基である。X及びYは1価のプロトン供与性置換基がプロトンを放出してなる基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。同一Arの置換基X、Yはホウ素原子と結合してキレート環を形成する。X−Ar−Yを与えるプロトン供与体は芳香族もしくは複素環式の多官能カルボン酸又は多価フェノール類である。)
【0006】
[2]エポキシ樹脂(A)が、融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物、
[3]融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が、一般式(2)及び一般式(3)から選ばれる1種以上である請求項2記載のエポキシ樹脂組成物、
【化7】
(ここで、R5は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選択される基又は原子であり、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【0007】
【化8】
(ここで、R6は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選択される基又は原子であり、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【0008】
[4]融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が、一般式(4)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(5)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂との混合物である請求項2記載のエポキシ樹脂組成物、
【化9】
(ここで、R7〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。炭素−炭素二重結合に結合している2個のアリール基は互いに異なる。)
【0009】
【化10】
(ここで、 R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。炭素−炭素二重結合に結合している2個のアリール基は互いに同じである。)
[5]請求項1、2、3、又は4記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止してなることを特徴とする半導体装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマー全般を言う。例えば、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
これらのエポキシ樹脂の内では、融点が50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が好ましい。このような結晶性エポキシ樹脂は、ビフェニル骨格、ビスフェノール骨格、スチルベン骨格等の剛直な構造を主鎖に有し、比較的低分子であるために、結晶性を示すものである。結晶性エポキシ樹脂は、常温では結晶化している固体であるが、融点以上の温度域では急速に融解して低粘度の液状に変化するものである。結晶性エポキシ樹脂の融点は、示差走査熱量計を用いて、常温から昇温速度5℃/分で昇温した結晶融解の吸熱ピークの頂点の温度を示す。
これらの条件を満たす結晶性エポキシ樹脂としては、一般式(2)及び一般式(3)から選ばれる一種以上、又は一般式(4)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(5)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂との混合物が好ましい。
一般式(2)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂の置換基R5、及び一般式(3)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂の置換基R6は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選択される基又は原子であり、それらは互いに同じであっても異なっていてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
一般式(4)、及び一般式(5)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂の置換基R7〜R18は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子であり、それらは互いに同じであっても異なっていてもよく、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基(各異性体を含む)、シクロヘキシル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特に、エポキシ樹脂の溶融粘度の低さから、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基が好ましい。
このエポキシ樹脂は、一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(5)のスチルベン型エポキシ樹脂との混合物であり、一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂、及び一般式(5)のスチルベン型エポキシ樹脂には、共に置換基の種類等により種々の構造のものがあり、一般式(4)及び一般式(5)の各々のスチルベン型エポキシ樹脂は、一種類の構造のものでも、二種類以上の構造のものの混合物でもかまわない。一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(5)のスチルベン型エポキシ樹脂との混合は、両方の化合物を混合することにより融点が低くなれば良く、混合方法については特に限定しない。例えば、スチルベン型エポキシ樹脂の原料であるスチルベン型フェノール類をグリシジルエーテル化する前に混合しておいたり、両方のスチルベン型エポキシ樹脂を溶融混合する方法等があるが、いずれの場合においても融点は50〜150℃となるように調整する。
一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂としては、入手のし易さ、性能、原料価格の点から、5−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−2,3’,5’−トリメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物が特に好ましい。
一般式(5)のスチルベン型エポキシ樹脂としては、性能、原料価格の点から、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−ターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−ターシャリブチル−5,5’−ジメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物が特に好ましい。
【0011】
本発明に用いられるフェノール樹脂は、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマー全般を言う。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、パラキシリレン・メタキシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独又は混合して用いてもよい。これらのフェノール樹脂は、分子量、軟化点、水酸基当量等に制限なく使用することができる。
本発明に用いられる全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比は、好ましくは0.5〜2、特に好ましくは0.7〜1.5である。0.5〜2の範囲を外れると、硬化性、耐湿性等が低下するので好ましくない。
【0012】
本発明に用いられる一般式(1)で示される硬化促進剤の置換基R1〜R4は、芳香環もしくは複素環を有する有機基、又は1価の脂肪族基であり、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。このような基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、アリル基、メトキシ基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、エチルフェニル基、フェノキシ基、ナフチル基等が挙げられ、又、一般式(1)を構成するホスホニウムカチオンとしては、例えば、テトラフェニルホスホニウムカチオン、テトラトリルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラメトキシホスホニウムカチオン、テトラナフチルホスホニウムカチオン、テトラベンジルホスホニウムカチオン、エチルトリフェニルホスホニウムカチオン、ノルマルブチルトリフェニルホスホニウムカチオン、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムカチオン、トリメチルフェニルホスホニウムカチオン、メチルジエチルフェニルホスホニウムカチオン、メチルジアリルフェニルホスホニウムカチオン、テトラノルマルブチルホスホニウムカチオン等が挙げられる。式中のArは、2価の芳香環もしくは複素環を含む基である。X及びYは1価のプロトン供与性置換基がプロトンを放出してなる基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。同一Arの置換基X、Yはホウ素原子と結合してキレート環を形成する。このような有機基X-Ar-Yを与えるプロトン供与体としては、芳香族もしくは複素環式の多官能カルボン酸又は多価フェノール類が特に好ましく、例えば、カテコール、サリチル酸、オルトフタル酸、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、3,4−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、2−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸、4−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、1,8−ナフタル酸、2,2’−ビナフトール等の2価芳香族有機酸等が挙げられる。又、レゾルシン、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,2’−ビフェノール−3−カルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等の3価以上の芳香族多価有機酸類でも問題ない。上記化合物が一例として挙げられるが、これらに限定されるものではなく、上記化合物は単独又は2種以上の併用が可能である。
本発明に用いられる一般式(1)で示される硬化促進剤は、潜伏性を有するものであり、比較的低温域においては触媒活性を示さないので、樹脂組成物の硬化反応が進むことがない。即ち、各成分の加熱混練時に、一部の架橋反応が速やかに進むことがなく所定の流動性を保持し、又、同じ理由から樹脂組成物の常温保存性にも優れる。しかも成形時の高温域では従来の硬化促進剤よりも強い触媒活性を示し、樹脂組成物を高度に硬化させる。
一般式(1)のX-Ar-Yで示される有機基がホウ素原子と結合してキレート環構造を形成することで、低温における触媒活性を抑制する作用は、従来の環状キレート構造を形成しないプロトン供与体の場合より一層効果的となり、樹脂組成物の保存安定性を向上させる。
本発明に用いられる一般式(1)で示される硬化促進剤の配合量としては、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり0.4〜20重量部が好ましく、通常70〜150℃で混合することができる。配合量が0.4重量部未満だと、加熱成形時に充分な硬化性が得られないおそれがあり、一方、20重量部を越えると、硬化が速すぎて成形時に流動性の低下による充填不良等を生じるおそれがあるので好ましくない。
又、この硬化促進剤の特性を損なわない範囲で、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、2−メチルイミダゾール等の他の硬化促進剤と併用しても何ら問題はない。
【0013】
本発明に用いられる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融破砕シリカ粉末、溶融球状シリカ粉末、結晶シリカ粉末、2次凝集シリカ粉末、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、特に溶融球状シリカ粉末が好ましい。形状は限りなく真球状であることが好ましく、又、粒子の大きさの異なるものを混合することにより充填量を多くすることができる。
この無機充填材の配合量としては、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり200〜2400重量部が好ましい。200重量部未満だと、無機充填材による補強効果が充分に発現しないおそれがあり、2400重量部を越えると、樹脂組成物の流動性が低下し成形時に充填不良等が生じるおそれがあるので好ましくない。特に無機充填材の配合量が全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり250〜1400重量部であれば、樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低く、パッケージクラックの発生を防止することができ、更に溶融時の樹脂組成物の粘度が低くなるため、半導体パッケージ内部の金線変形を引き起こすおそれがなく、より好ましい。又、無機充填材は、予め充分混合しておくことが好ましい。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(D)成分の他、必要に応じてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(D)成分、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、押出機等の混練機で混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明の樹脂組成物を用いて、半導体等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。
【0015】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合単位は重量部とする。
実施例及び比較例において使用した硬化促進剤の略号及び構造を、以下に示す。
4PPB−CT
【化11】
【0016】
4PPB−SA
【化12】
【0017】
4PPB−DHN
【化13】
【0018】
4PPB−HNA
【化14】
【0019】
4PPB−OBP
【化15】
【0020】
4PPB−BNP
【化16】
【0021】
4PPB−ICA
【化17】
【0022】
4PPB−BZ
【化18】
【0023】
実施例1
式(6)の結晶性エポキシ樹脂(融点105℃) 51.5重量部
【化19】
【0024】
式(7)のフェノール樹脂(軟化点73℃) 48.5重量部
【化20】
4PPB−CT 3.2重量部
溶融球状シリカ(平均粒径15μm) 830重量部
カーボンブラック 2.0重量部
臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂 1.7重量部
カルナバワックス 2.8重量部
を常温でミキサーを用いて混合した後、100℃で二軸ロールを用いて混練し、冷却後粉砕し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0025】
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。スパイラルフローは流動性のパラメータであり、数値が大きい方が流動性が良好である。単位cm。
硬化性:キュラストメータ[ オリエンテック製、JSRキュラストメータIVPS型]を用い、175℃、60秒後のトルクを求める。キュラストメータにおけるトルクは硬化性のパラメータであり、数値の大きい方が流動性が良好である。単位kgf−cm。
保存安定性:スパイラルフローの残存率を求める。スパイラルフローの残存率は、樹脂組成物を30℃で1週間保存した後スパイラルフローを測定し、初期のスパイラルフロー値に対する百分率として表したもので、数値が大きい方が、保存安定性が良好である。単位%。
耐パッケージクラック性:低圧トランスファー成形機を用いて、175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間2分で80pQFP(厚さ1.5mm)を成形し、175℃、8時間の後硬化を行い、8個のパッケージを得た。85℃、相対湿度85%で168時間吸湿させた後、240℃のIRリフロー処理を10秒で2回行い、パッケージクラック個数を目視で観察し、クラックの生じたパッケージがn個であるとき、n/8と表示した。
【0026】
実施例2〜8
表1の処方に従って配合し、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
比較例1〜4
表2の処方に従って配合し、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
なお、実施例2〜7、比較例1〜4に使用した結晶性エポキシ樹脂Aは、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンを主成分とする樹脂60重量%と4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−5−ターシャリブチル−2,3’,5’−トリメチルスチルベンを主成分とする樹脂40重量%の混合物である(融点120℃、エポキシ当量209)。
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は保存安定性に優れ、これを用いて封止された半導体装置は耐パッケージクラック性に優れている。
Claims (5)
- (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)一般式(1)で示される硬化促進剤、及び(D)無機充填材を必須成分とし、全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材(D)の配合量が全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり200〜2400重量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)が、融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が、一般式(4)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(5)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂との混合物である請求項2記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1、2、3、又は4記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止してなることを特徴とする半導体装置。
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