JP3217266B2 - 潜伏性触媒及び該触媒を配合してなる熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

潜伏性触媒及び該触媒を配合してなる熱硬化性樹脂組成物

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JP3217266B2 JP14906196A JP14906196A JP3217266B2 JP 3217266 B2 JP3217266 B2 JP 3217266B2 JP 14906196 A JP14906196 A JP 14906196A JP 14906196 A JP14906196 A JP 14906196A JP 3217266 B2 JP3217266 B2 JP 3217266B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潜伏性触媒及び該
触媒を配合してなる熱硬化性樹脂組成物に関する。更に
詳しくは、本発明は、種々の熱硬化性樹脂、特にエポキ
シ樹脂及びマレイミド系樹脂に配合して、常温において
は触媒作用を発現することなく長期間にわたって樹脂組
成物を安定に保存することが可能であり、成形時に加熱
すると優れた触媒作用を発揮して良好な成形性及び高品
質の成形品を与えることができる潜伏性触媒、及び該潜
伏性触媒を配合してなる、特に電子電気部品用として有
用な熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂は、一般的には成形時にお
ける樹脂の硬化を速めるために触媒を配合して用いる。
例えば、エポキシ樹脂の場合、硬化触媒としては、アミ
ン類(特開昭58−173852号公報)、イミダゾー
ル系化合物(特開昭56−160056号公報、特開昭
57−59365号公報、特開昭57−100128号
公報)、ジアザビシクロウンデセン(特開昭56−94
761号公報、特開昭59−75923号公報)などの
含窒素複素環式化合物、オルガノシリコーン系化合物
(特開昭56−133855号公報)、オルガノホスフ
ィン系化合物(特開昭56−130953号公報、特開
昭57−2329号公報)、第4級アンモニウム、ホス
ホニウムあるいはアルソニウム化合物(特開昭55−1
53358号公報、特開昭57−194555号公報、
特開昭58−119656号公報他)など種々の化合物
が使用されている。また、マレイミド系樹脂は熱のみで
硬化させることもできるが、硬化により得られる成形品
の性質は、一般的には触媒を用いて硬化した場合の方が
良好である。マレイミド系樹脂の硬化触媒としては、ア
ゾ化合物、有機過酸化物のようなラジカル重合開始剤
(特開平5−51418号公報)、アミン類、イミダゾ
ール系化合物(特開平4−351629号公報)、オル
ガノホスフィン系化合物(特開昭61−233017号
公報、特開平1−45426号公報)、第4級アンモニ
ウムあるいはホスホニウム化合物などのイオン触媒な
ど、種々の化合物が使用されている。
【0003】一般に使用される触媒は、常温などの比較
的低温においても硬化促進効果を示す場合が多いため、
例えば、樹脂と他の配合成分とを混合する際の加熱又は
発熱によって樹脂の硬化を進行させるほか、混合したの
ち樹脂組成物を常温で保存する間にも硬化反応を進める
ために、樹脂組成物の品質、特に溶融粘度の上昇、流動
性の低下による硬化性のばらつきなどを生じやすく、成
形上の障害や成形品の機械的、電気的また化学的特性の
低下の原因となっている。従って、このような触媒を用
いる際には、諸成分との混合時の品質管理を厳重にし、
しかも保存や運搬に当たっては低温に保ち、更に成形条
件の厳密な管理が必要であるなどの煩雑さを避けられな
かった。そのため、近年は常温のような比較的低温では
樹脂の硬化反応を進行させず、成形時に加熱された際に
のみ硬化反応を促進するいわゆる潜伏性触媒を開発する
ための多くの研究が行われているが、その1つに触媒の
活性点をイオン対化し保護基でキャップする潜伏性触媒
がある。例えば、特公昭51−24399号公報には、
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート
(以下TPP−Kという)が、常温保存性及び硬化性改
善に有効であることが記載されている。しかし、TPP
−Kは、カチオン性のテトラフェニルホスホニウム基と
アニオン性のテトラフェニルボレート基のイオン結合が
強力で、融点は300℃以上となり、熱硬化性樹脂組成
物に練り込んでも均一に分散することできないため、触
媒活性が低くなり、成形時に良好な硬化反応性を発現す
ることができない。
【0004】アニオン部とカチオン部のイオン結合が程
よい強さであり、潜伏性触媒として好ましい挙動を示
し、熱硬化性樹脂にドライブレンド可能な触媒の研究が
なされ、特公平5−76490号公報には、潜伏性触媒
としてテトラ置換ホスホニウムテトラ置換ボレートが提
案されている。提案されているテトラ置換ホスホニウム
テトラ置換ボレートのボロン側の置換基は炭化水素基
で、その内の少なくとも1個は炭素数1〜6個のアルキ
ル基である。いずれの場合においても、成形時の硬化反
応の際には保護基であるテトラ置換ボレート基は外れ、
触媒の活性点が露出し硬化反応が進行するが、この保護
基であるテトラ置換ボレート基は硬化反応時の高温によ
り分解する。この分解物はボロン側の置換基により異な
るが、マトリックスと異質のものとして硬化物中に分散
したり、場合によっては揮発分として発生することが考
えられ、熱硬化性樹脂組成物の最終硬化物特性に悪影響
を及ぼす可能性がある。
【0005】一方、この熱硬化性樹脂組成物が用いられ
ている有力な分野として、IC、LSIなどの半導体素
子や電気部品などの封止用材料がある。従来より特性や
コストのバランスの点から、エポキシ樹脂組成物が広く
用いられている。このようなエポキシ樹脂封止材におい
て、従来用いられている硬化促進剤は、2−メチルイミ
ダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ
セン−7、トリフェニルホスフィンなどであるが、これ
らの硬化促進剤は前述のように比較的低温でも硬化促進
効果を示すため、これらを用いたエポキシ樹脂封止材は
常温における保存性が悪く、そのため、常温で保存する
と成形時の流動性の低下から充填不良が発生したり、I
Cチップの金ワイヤーが断線し、導通不良が発生するな
どの問題点が生じる。このためエポキシ樹脂封止材は冷
蔵保存及び冷蔵輸送する必要があり、保存、輸送に多大
なコストがかかっているのが現状である。
【0006】更に近年は、IC、LSIなどの半導体封
止材料における最も大きな問題として、パッケージを実
装する際に発生するクラック、いわゆる半田クラックの
問題がある。この耐半田性を改良するために、無機充填
材を多く含む樹脂組成物が開発されている。多量の無機
充填材の配合を可能とする方法としては、無機充填材の
粒度分布や形状の選択や、エポキシ樹脂の低粘度化など
がある。しかし、樹脂の低粘度化のために樹脂の分子量
を小さくすると、分子が動き易くなって反応の初期段階
では架橋反応が速やかに進み、従って樹脂混練時に架橋
反応が一部進んで所定の流動性が発現せず、また同じ理
由から常温でも反応が起こりやすいので樹脂組成物の常
温保存性が低下するという欠点がある。更に、分子量の
低い樹脂は、初期の反応性は高いが反応の最終段階にお
いては逆に架橋密度が十分に上がらず、封止樹脂が十分
に硬化しないという問題がある。このような半導体封止
材料の最終硬化物特性に対する要求は、特に厳しく、よ
り高品質であることが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、常温におい
ては触媒作用を発現することなく長期間にわたって樹脂
組成物を安定に保存することが可能であり、成形時に加
熱すると優れた触媒作用を発揮して良好な硬化性及び高
品質の成形品を与えることができる潜伏性触媒、及び、
該潜伏性触媒を配合してなる、特に電子電気部品用とし
て有用な熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造を有す
るテトラ置換ホスホニウムテトラ置換ボレートが、熱硬
化性樹脂に配合されたとき、常温においては優れた保存
安定性を、加熱成形時においては優れた硬化性を示し、
且つその最終硬化物は従来用いられている触媒を用いた
場合と比較して何ら劣ることのない物性を示すことを見
いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわち、本発明は、(1)一般式[1]
で示されるホスホニウムボレートからなる潜伏性触媒、
【化5】 (ただし、式中、R1、R2、R3及びR4は、芳香環若し
くは複素環を有する1価の有機基又は1価の脂肪族基で
あり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよ
い。また、Y1、Y2、Y3及びY4は芳香環若しくは複素
環を有する1価の有機基又は1価の脂肪族基であって、
それらのうちの少なくとも1つは、1分子内に酸無水物
基とカルボキシル基とをそれぞれ少なくとも1個有する
芳香族カルボン酸、1分子内に2個以上の水酸基を有す
る多価フェノール化合物、及び1分子内にカルボキシル
基とフェノール性水酸基とをそれぞれ少なくとも1個有
する芳香族化合物の群から選ばれるプロトン供与体がプ
ロトンを1個放出してなる基であり、それらは互いに同
一であっても異なっていてもよい。)
【0010】(2)熱硬化性樹脂100重量部及び請求
項1記載の潜伏性触媒0.4〜20重量部を含有するこ
とを特徴とする熱硬化性樹脂組成物、(3)熱硬化性樹
脂が、エポキシ樹脂及びマレイミド系樹脂からなる群か
ら選択される1種以上の樹脂である請求項2項記載の熱
硬化性樹脂組成物、(4)熱硬化性樹脂組成物が、更に
オキシラン反応性硬化剤を含有する請求項3記載の熱硬
化性樹脂組成物、(5)オキシラン反応性硬化剤が、ジ
アミン、ポリアミン、酸無水物及びフェノール性化合物
よりなる群より選択される1種以上の化合物である請求
項4記載の熱硬化性樹脂組成物、(6)マレイミド系樹
脂が、アルケニルフェノールを含有する樹脂である請求
項3記載の熱硬化性樹脂組成物、(7)(A)1分子内
にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂、(B)1
分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するフェノー
ル樹脂、(C)請求項1記載の潜伏性触媒、及び(D)
無機充填材を含有し、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基
とフェノール樹脂(B)のフェノール性水酸基の当量比
が0.5〜2であり、潜伏性触媒(C)の含有量が、エ
ポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計量100重量部当た
り0.4〜20重量部であり、無機充填材(D)の含有
量が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計量100重
量部当たり200〜2400重量部であることを特徴と
する熱硬化性樹脂組成物、(8)エポキシ樹脂(A)
が、融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂である請
求項7記載の熱硬化性樹脂組成物、(9)無機充填材
(D)の含有量が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合
計量100重量部当たり250〜1400重量部である
請求項7又は8記載の熱硬化性樹脂組成物、(10)結
晶性エポキシ樹脂が、一般式[2]、一般式[3]又は
一般式[4]で示される化合物である請求項8又は9記
載の熱硬化性樹脂組成物
【0011】
【化6】 (ただし、式中、R5は水素、炭素数1〜6の鎖状もし
くは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選
択される基又は原子であり、それらは互いに同一であっ
ても異なっていても良い。)
【0012】
【化7】 (ただし、式中、R6は水素、炭素数1〜6の鎖状もし
くは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選
択される基又は原子であり、それらは互いに同一であっ
ても異なっていても良い。)
【0013】
【化8】 (ただし、式中、R7は水素、炭素数1〜6の鎖状もし
くは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選
択される基又は原子であり、それらは互いに同一であっ
ても異なっていても良い。)を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の潜伏性触媒は、一般式
[1]で示されるホスホニウムボレートからなる。
【化9】
【0015】ただし、一般式[1]において、ホスホニ
ウム基のR1、R2、R3及びR4は、芳香環若しくは複素
環を有する1価の有機基又は1価の脂肪族基であり、そ
れらは互いに同一であっても異なっていてもよい。この
ようなホスホニウム基としては、例えば、テトラフェニ
ルホスホニウム基、テトラトリルホスホニウム基、テト
ラエチルフェニルホスホニウム基、テトラメトキシフェ
ニルホスホニウム基、テトラナフチルホスホニウム基、
テトラベンジルホスホニウム基、エチルトリフェニルホ
スホニウム基、n−ブチルトリフェニルホスホニウム
基、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム
基、トリメチルフェニルホスホニウム基、メチルジエチ
ルフェニルホスホニウム基、メチルジアリルフェニルホ
スホニウム基、テトラ−n−ブチルホスホニウム基など
を挙げることができる。一般式[1]において、R1
2、R3及びR4は、芳香環を有する1価の有機基であ
ることが特に好ましく、また、一般式[1]で示される
ホスホニウムボレートの融点は特に限定されるものでは
ないが、均一分散の点からは250℃以下であることが
好ましい。特に、テトラフェニルホスホニウム基を有す
るホスホニウムボレートは、熱硬化性樹脂との相溶性が
良好であり、好適に使用することができる。
【0016】一般式[1]において、ボレート基の
1、Y2、Y3及びY4は芳香環若しくは複素環を有する
1価の有機基又は1価の脂肪族基であって、それらのう
ちの少なくとも1つは、1分子内に酸無水物基とカルボ
キシル基とをそれぞれ少なくとも1個有する芳香族カル
ボン酸、1分子内に2個以上の水酸基を有する多価フェ
ノール化合物、及び1分子内にカルボキシル基とフェノ
ール性水酸基とをそれぞれ少なくとも1個有する芳香族
化合物の群から選ばれるプロトン供与体がプロトンを1
個放出してなる基であり、それらは互いに同一であって
も異なっていてもよい。このようなボレート基を与える
プロトン供与体としては、例えば、無水トリメリット酸
等の酸無水物基含有芳香族カルボン酸、ヒドロキノン、
カテコール、レゾルシン、ジヒドロキシナフタレン、
4,4−ビフェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェ
ニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2
−ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,5−ジメチル−
4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ
メチル−4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、4,4
−ジヒドロキシスチルベン、4,4−ジヒドロキシ−α
−メチルスチルベン、ビスフェノールフルオレン等の多
価フェノール化合物類、サリチル酸、ヒドロキシ安息香
酸、ヒドロキシナフトエ酸等の化合物が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0017】本発明の一般式[1]で示されるホスホニ
ウムボレートからなる潜伏性触媒は、熱硬化性樹脂に配
合された場合、常温においては触媒活性を示さないので
熱硬化性樹脂の硬化反応が進むことがなく、成形時の高
温において触媒活性が発現し、しかもいったん発現する
と従来の硬化促進剤よりも強い触媒活性を示して熱硬化
性樹脂の硬化度を高める。本発明の一般式[1]で示さ
れるホスホニウムボレートからなる潜伏性触媒は、常温
においてはアニオン性のテトラ置換ボレート基が保護基
として作用し、活性点となるカチオン性のテトラ置換ホ
スホニウム基とイオン結合を形成することによりキャッ
プする。又、熱硬化性樹脂と他の配合成分とを混合する
際の加熱あるいは発熱によっても、この保護基は外れな
い。つまり、カチオン性のテトラ置換ホスホニウム基と
アニオン性のテトラ置換ボレート基の間のイオン結合の
解離に必要なエネルギーは、成形時にのみ得られるもの
である。このとき、ホスホニウムボレートの保護基は外
れ活性点が露出し、硬化反応が進行する。このために
は、カチオン性のテトラ置換ホスホニウム基とアニオン
性のテトラ置換ボレート基のイオン結合が強すぎないこ
とが重要であるが、TPP−Kはイオン結合が強すぎ
る。そのため、融点が300℃以上となり、樹脂組成物
に混練しても均一分散ができず、硬化促進剤としての効
果を十分に発現させることができない。そこで、テトラ
フェニルホスホニウム基とその保護基の結合力を程よく
弱めた構造が望まれる。具体的には、ボロンに結合する
官能基の種類をフェニル基よりも電子吸引性の高い官能
基に変えれば、ボレートアニオンの陰イオン性が低減
し、テトラフェニルホスホニウム基とのイオン結合が弱
くなると共に、融点が200〜250℃となり、樹脂組
成物に均一に混練することが可能となる。
【0018】また、本発明の潜伏性触媒は、カチオン性
のテトラ置換ホスホニウム基と、アニオン性のテトラ置
換ボレート基の解離に必要なエネルギーは、熱硬化性樹
脂と他の配合成分とを混合する際の加熱あるいは発熱に
よっては得られないため、保護基は外れず、低温での反
応性は低い。成形時の高温では解離に必要なエネルギー
が得られるため、保護基が外れ、高い反応性を示す。つ
まり低温での反応性は低いが高温での反応性は非常に高
いという潜伏性触媒として理想的な反応挙動を示す。そ
のため常温における保存性の向上、混練時に反応が少な
いために封止樹脂の低粘度化、更に高温に加熱したとき
の高い反応性などを達成することができる。本発明の潜
伏性触媒は成形時に保護基が外れる際、保護基の分解物
が発生するが、この保護基の分解物は有効な官能基を分
子内に少なくとも2個有したものであり、発生すると同
時にマトリックスである熱硬化性樹脂と反応し、硬化の
架橋内に取り込まれるため、最終硬化物特性に悪影響を
与えない。本発明のホスホニウムボレートからなる潜伏
性触媒は、エポキシ樹脂、特にフェノール樹脂又はカル
ボン酸無水物硬化剤を含むエポキシ樹脂に対してとりわ
け有用である。また、本発明のホスホニウムボレートか
らなる潜伏性触媒は、マレイミド系樹脂、特にコモノマ
ーとしてアルケニルフェノール類を含有するマレイミド
系樹脂に対しても有用である。
【0019】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性
樹脂100重量部及び潜伏性触媒0.4〜20重量部を
含有する。熱硬化性樹脂と潜伏性触媒の混合は、通常適
度の高温下、例えば、70〜150℃、好ましくは80
〜110℃で行うことができる。潜伏性触媒の含有量が
熱硬化性樹脂100重量部当たり0.4重量部未満であ
ると、加熱成形時において十分な硬化性が得られないお
それがある。一方、20重量部を超えると、硬化が速す
ぎて成形時に流動性の低下により充填不良などが生ずる
おそれがある。本発明の潜伏性触媒は、1種を単独で使
用することができ、2種以上を混合して使用することも
でき、更に本発明の目的を損なわない範囲で他の硬化促
進剤と併用することも可能である。本発明のホスホニウ
ムボレートからなる潜伏性触媒は、該潜伏性触媒によっ
て熱硬化が促進されるすべての熱硬化性樹脂に対して特
に制限なく使用することができる。本発明の潜伏性触媒
は、従来よりホスフィン又はホスホニウム塩触媒が有効
である熱硬化性樹脂に対して特に有用である。このよう
な熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂及びマ
レイミド系樹脂を挙げることができるが、これらの樹脂
以外にも、更に、反応性モノマーがシアネート類、イソ
シアネート類、アクリレート類である樹脂、アルケニル
樹脂、アルキニル樹脂などを挙げることができる。
【0020】本発明の熱硬化性樹脂組成物に使用するエ
ポキシ樹脂は、通常1分子内にオキシラン環を2個以上
有する化合物であり、分子量は340〜7,000程度
で、液状より固体に至るものまでを使用することができ
る。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、含臭素エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エ
ポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジヒドロキシ
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹
脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エ
ポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、複素環
式エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、トリスヒドロ
キシンフェニルメタン型エポキシ樹脂、スチルベン型エ
ポキシ樹脂及びジシクロペンタジエンとフェノール類を
付加反応により重合させたフェノール樹脂をグリシジル
エーテル化することによって得られるエポキシ樹脂など
を挙げることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物に
使用するマレイミド系樹脂は、マレイミド基を少なくと
も1個分子内に有する樹脂であり、特に限定されるもの
ではないが、ビスマレイミド樹脂などを例示することが
できる。
【0021】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、オキシ
ラン反応性硬化剤を含有せしめることができる。使用す
るオキシラン反応性硬化剤には、特に制限はなく、例え
ば、ジアミノジフェニルメタンなどのジアミン、ジエチ
レントリアミンなどのポリアミン、無水フタル酸、無水
トリメリット酸などの芳香族酸無水物、ヘキサヒドロ無
水フタル酸などの脂環式酸無水物、フェノールノボラッ
ク樹脂などのフェノール系化合物などを挙げることがで
きる。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂が
1分子内にエポキシ樹脂を2個以上有するエポキシ樹脂
及び1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するフ
ェノール樹脂よりなり、本発明の潜伏性触媒及び無機充
填材を含有し、エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール
樹脂のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であ
り、潜伏性触媒の含有量がエポキシ樹脂とフェノール樹
脂の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部が好
ましい。
【0022】本発明の熱硬化性樹脂組成物に使用する1
分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するフェノー
ル樹脂には特に制限はなく、例えば、フェノールノボラ
ック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、パラキシリレン
変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン
変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジ
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂などを挙げるこ
とができる。これらのフェノール樹脂は、分子量、軟化
点、水酸基当量などに制限なく使用することができる。
また、これらのフェノール樹脂は、1種を単独で使用す
ることができ、2種以上を混合しても使用することもで
きる。本発明の熱硬化性樹脂組成物を電子電気部品用に
使用する場合は、樹脂中の塩素含有量が低いことが長期
信頼性の点から好ましい。本発明の熱硬化性樹脂組成物
を表面実装対応の封止樹脂として用いる場合には、フェ
ノール樹脂がキシリレン変性フェノール樹脂であること
ががより好ましい。キシリレン変性フェノール樹脂は水
酸基が少ないので、成形品の吸水率が小く、また、キシ
リレンとフェノールが結合している構造のために分子が
適度の屈曲性を有し、硬化反応における立体障害も少な
く、硬化性の阻害も少なく、更に平均分子量を小さくす
ることによって低粘度化が可能であり、平均分子量を小
さくしても化学構造から硬化性の低下などを起こしにく
いという特徴を有している。フェノール樹脂が有するフ
ェノール性水酸基は、エポキシ樹脂が有するオキシラン
環と反応して架橋構造を形成する。エポキシ樹脂のエポ
キシ基とフェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比
が0.5未満であっても、2を超えても、樹脂組成物の
硬化性の低下、あるいは硬化物のガラス転移温度の低下
などが生じるおそれがある。
【0023】本発明の熱硬化性樹脂組成物に使用する無
機充填材には特に制限はなく、公知の無機充填材を使用
することができる。このような無機充填材としては、例
えば、アルミナ、溶融シリカ、球状シリカ、結晶シリ
カ、2次凝集シリカ、クレー、タルクなどを挙げること
ができる。本発明の組成物を半導体封止用として用いる
場合には、流動性の向上という点から無機充填材が球状
シリカであることが好ましい。球状シリカの形状は、流
動性改善のために粒子自体の形状は限りなく真球状であ
り、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。
【0024】本発明のエポキシ樹脂及びフェノール樹脂
を含有する熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂が融点
50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂であることが特に
好ましい。このような結晶性エポキシ樹脂は、フェニ
ル、ビフェニル、ビスフェノール、ナフタレンなどの平
面構造を有する分子を主鎖に有し、比較的低分子量であ
るために、結晶性を示すものである。結晶性エポキシ樹
脂は、常温では結晶性の固体であるが、いったん溶融す
ると極めて低粘度の液体になる特性を有している。従来
のエポキシ樹脂、例えば、オルソクレゾールノボラック
型エポキシ樹脂の低粘度化タイプを用いても、溶融粘度
が十分に低下せず、かつエポキシ樹脂自体が常温で融け
やすいため成形作業に困難を伴う場合があるが、結晶性
エポキシ樹脂を用いるとこれらの難点を解決することが
できる。
【0025】結晶性エポキシ樹脂としては、一般式
[2]で示されるビフェニル型エポキシ樹脂、一般式
[3]で示されるジヒドロキシジフェニルメタン型エポ
キシ樹脂及び一般式[4]で示されるスチルベン型エポ
キシ樹脂を特に好適に使用することができる。一般式
[2]におけるR5、一般式[3]におけるR6及び一般
式[4]におけるR7は、水素、炭素数1〜6の鎖状も
しくは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から
選択される基又は原子であり、それらは互いに同一であ
っても異なっていても良い。本発明の組成物において、
一般式[2]で示されるエポキシ樹脂、一般式[3]で
示されるエポキシ樹脂及び一般式[4]で示されるエポ
キシ樹脂は、それぞれ単独でも2種以上を混合して使用
することも可能である。結晶性エポキシ樹脂の融点が5
0℃以上であると、常温で融解することがなく、前混合
工程などでの作業性に優れる。結晶性エポキシ樹脂の融
点が150℃以下であると、混練装置中で容易に融解し
て均一に混練することができる。
【0026】本発明のエポキシ樹脂及びフェノール樹脂
を含有する熱硬化性樹脂組成物においては、無機充填材
の含有量が、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計量
100重量部当たり200〜2400重量部であること
が好ましい。無機充填材の含有量がエポキシ樹脂及びフ
ェノール樹脂の合計量100重量部当たり200重量部
未満だと、無機充填材による補強効果が充分に発現しな
いおそれがある。2400重量部を越えると樹脂の流動
性が低下し成形時に充填不良などが生じるおそれがあ
る。特に無機充填材の含有量が、エポキシ樹脂及びフェ
ノール樹脂の合計量100重量部当たり250〜140
0重量部であれば、樹脂組成物の吸水率が低下し、半導
体封止用として使用する場合、耐半田性が向上しクラッ
クの発生を防止することができる。さらに、溶融時の樹
脂組成物の粘度が低く、半導体パッケージ内部の金線変
形を引き起こすおそれがないため、特に好ましい。本発
明の潜伏性触媒は、単独で使用することができ、あるい
は他の硬化促進剤と混合して用いることができる。他の
硬化促進剤と混合して使用する場合、本発明の潜伏性触
媒は、潜伏性触媒と他の硬化促進剤の合計量の50重量
%以上であることが好ましい。本発明の潜伏性触媒が5
0重量%未満であると、本発明の目的を十分に達成する
ことができないおそれがある。本発明の潜伏性触媒と混
合使用することができる他の硬化促進剤としては、例え
ば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニ
ウムテトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]ウンデセン−7などを挙げることができ
る。
【0027】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応
じて、カーボンブラックなどの着色剤、ブロム化エポキ
シ樹脂、三酸化アンチモンなどの難燃剤、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシランなどのカップリング
剤、シリコーンオイル、ゴムなどの低応力成分、離型
剤、酸化防止剤、表面活性剤、カップリング剤などの各
種添加剤を配合することができる。本発明のエポキシ樹
脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、潜伏性触
媒、無機充填材、その他添加剤などをミキサーにて常温
混合し、ロール、押出機などの混練機にて混練し、冷却
後粉砕し成形材料とすることができる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定
されるものではない。実施例及び比較例において使用し
た触媒及び硬化促進剤の略号及び構造を、まとめて以下
に示す。
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】評価方法 (1)スパイラルフロー:EMMI−I−66に準じた
スパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175
℃、注入圧力70kg/cm、硬化時間2分で測定す
る。スパイラルフローは流動性のパラメータであり、数
値が大きい方が流動性が良好である。単位cm。 (2)硬化トルク:キュラストメータ[(株)オリエンテ
ック製、JSRキュラストメータIVPS型]を用い、1
75℃、90秒後のトルクを求める。キュラストメータ
におけるトルクは硬化性のパラメータであり、数値の大
きい方が硬化性が良好である。単位kgf−cm。 (3)30℃保存性:材料を30℃にて1週間保存した
後スパイラルフローを測定し、材料調製直後のスパイラ
ルフローに対する百分率として表す。単位%。 (4)ガラス転移温度(以下Tgという):材料を金型
温度175℃、硬化時間2分で成形し、175℃で8時
間処理した後、TMA[セイコー電子工業(株)製、56
0M]にて、線膨張法により、ガラス転移温度を測定す
る。単位℃。 (5)25℃保存性:材料を25℃にて1週間保存した
後スパイラルフローを測定し、材料調製直後のスパイラ
ルフローに対する百分率として表す。単位cm。 (6)硬化性:材料を金型温度175℃、硬化時間2分
で成形し、型開き10秒後に、測定したショアD硬度の
値を硬化性とする。 (7)耐半田性:80pQFP(厚さ1.5mm)8個
を、85℃、相対湿度85%で168時間処理した後、
240℃のIRリフロー240℃/10秒間の処理を2
回行い、パッケージクラック個数を目視で観察し、クラ
ックの生じたパッケージがn個であるとき、n/8と表
示する。
【0032】実施例1 オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂[日本化薬(株)、EOCN−10 25−65、軟化点65℃、エポキシ当量210] 67重量部 フェノールノボラック樹脂[住友デュレズ(株)、PR−51470、軟化点1 05℃、水酸基当量104] 33重量部 TPPK−TMA 3.重量部 溶融シリカ 300重量部 カルナバワックス 2重量部 を配合し、熱ロールで90℃で8分間混練して成形材料
を得た。スパイラルフロー、硬化トルク、30℃保存性
及びTgを測定した。この成形材料のスパイラルフロー
は82cm、硬化トルクは85kgf−cmであった。
また、30℃保存性は93%、Tgは178℃であっ
た。 実施例2〜 表1の配合に従い、実施例1と全く同じ操作を繰り返
し、同様に評価した。以上の評価結果を表1に示す。
【0033】比較例1 実施例1の触媒TPPK−TMA3.重量部の代わり
に、触媒としてTPPを0.8重量部使用した以外は、
実施例1と全く同じ操作を繰り返した。得られた材料の
スパイラルフローは70cm、硬化トルクは74kgf
−cmであった。また、30℃保存性は56%、Tgは
171℃であった。触媒としてTPPを用いると、保存
安定性が良くない。 比較例2 実施例1のフェノールノボラック樹脂33重量部、触媒
TPPK−TMA3.重量部の代わりに、フェノール
ノボラック樹脂を31.1重量部、硬化促進剤としてD
BU30重量%を含有するフェノールノボラック樹脂
[サンアプロ(株)、SA841]を2.7重量部使用し
た以外は、実施例1と同様の操作で材料化した。この材
料のスパイラルフローは73cm、硬化トルクは70k
gf−cmであった。また、30℃間保存性は53%、
Tgは169℃であった。硬化促進剤としてDBUを用
いると、保存安定性が良くない。
【0034】比較例3、4 表2の配合に従い、実施例1と全く同じ操作を繰り返
し、同様に評価した。評価結果を表2に示す。実施例1
の本発明組成物からなる材料は、いずれも製造直後
の流動性は良好であり、また、30℃で1週間保存した
後も全て90%以上のスパイラルフロー値を示し、保存
安定性に優れている。また、Tgもいずれも178℃以
上の高い値を示している。これに対して、比較例3、4
の触媒TPPK−NO、触媒TPPK−SAを使用した
材料は、30℃の保存性は実施例1〜5と同等の値を示
すものの、Tgは7〜14℃低い値を示している。これ
は、硬化反応時に発生する、触媒の活性点の保護基であ
るボレートアニオンの分解物が1官能のナフトール及び
ステアリン酸がプロトンを1個放出してなる基であるた
め、マトリックスであるエポキシ基と反応し、架橋密度
を低下させていることに由来する。本発明の触媒では、
この硬化反応時に発生するボレートアニオンの分解物
は、オキシラン反応性官能基を2つ以上有する化合物が
プロトンを1個放出してなる基であり、架橋に取り込ま
れる。そのため、従来の触媒を用いた場合よりTgは向
上する。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】次に、実施例4〜7で無機充填材量を増加
した材料を作製し、耐半田性の評価を行った。 実施例 式[5]のビフェニル型エポキシ樹脂(融点105℃)
51.5重量部
【0038】
【化13】
【0039】 式[6]のフェノール樹脂(軟化点73℃) 48.5重量部
【化14】
【0040】 球状シリカ(平均粒径15μm) 830重量部 TPPK−TMA 5.1重量部 カーボンブラック 2重量部 カルナバワックス 2.8重量部 臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量275) 1.7重量部 を、常温でミキサーで混合した後、100℃で二軸ロー
ルにて混練し、冷却後粉砕し成形材料とした。得られた
成形材料のスパイラルフローは91cm、ショア硬度は
84、25℃保存性は83%、Tgは156℃、耐半田
性は0/8であった。
【0041】実施例5〜7、比較例5、6 実施例と同様にして、表3、表4の配合に従って実施
例6と全く同様にして成形材料を得た。評価結果を表
3、表4に示すなお、実施例6以外で用いた式(7)、
式(8)、式(9)及び式(10)の構造式を以下に示
す。
【0042】
【化16】 (融点96℃)
【0043】
【化17】 (ただし、n=0が1に対し、n=1が0.4、n=2
が0.25からなる混合物、軟化点65℃、エポキシ当
量250)
【0044】
【化18】 (ただしn=0が1に対し、n=1が0.25、n≧2
が0.35からなる混合物、軟化点60℃、エポキシ当
量170)
【0045】実施例4〜7の本発明の組成物からなる材
料は、いずれも製造直後の流動性は良好であり、また、
いずれもショア硬度は80以上、25℃で1週間保存し
た後も83%以上のスパイラルフロー値を示し、保存安
定性に優れている。また、Tgもいずれも153℃以上
の高い値を示し、且つ耐半田性試験では、クラックは全
く発生しなかった。これに対して、比較例5、6の材料
は、流動性、25℃保存安定性は実施例4〜7と同等の
性能であるが、Tgは10℃程度低めである。耐半田性
試験では、試験した8個の試料のうち、1〜2個にクラ
ックが発生した。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【発明の効果】本発明の潜伏性触媒は、常温においては
触媒作用を発現することなく長期間にわたって樹脂組成
物を安定に保存することが可能であり、成形時に加熱す
ると優れた触媒作用を発揮して良好な成形性及び高品質
の成形品を与える。本発明の潜伏性触媒を配合してなる
エポキシ樹脂組成物は、特に電子電気部品用として有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/55 C08K 5/55 C08L 63/00 C08L 63/00 C 79/08 79/08 (56)参考文献 特開 昭49−118797(JP,A) 特開 昭50−71799(JP,A) 特開 昭61−204954(JP,A) 特開 平4−183711(JP,A) 特開 平4−351629(JP,A) 特開 平7−330787(JP,A) 特開 平8−196911(JP,A) 特許2939166(JP,B2) 特公 平5−76490(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/40 C08G 59/68 C08G 73/12 B01J 31/24 C08L 63/00 - 63/10 C08L 79/08 C08K 5/55

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[1]で示されるホスホニウムボ
    レートからなる潜伏性触媒。 【化1】 (ただし、式中、R1、R2、R3及びR4は、芳香環若し
    くは複素環を有する1価の有機基又は1価の脂肪族基で
    あり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよ
    い。また、Y1、Y2、Y3及びY4は芳香環若しくは複素
    環を有する1価の有機基又は1価の脂肪族基であって、
    それらのうちの少なくとも1つは、1分子内に酸無水物
    基とカルボキシル基とをそれぞれ少なくとも1個有する
    芳香族カルボン酸、1分子内に2個以上の水酸基を有す
    る多価フェノール化合物、及び1分子内にカルボキシル
    基とフェノール性水酸基とをそれぞれ少なくとも1個有
    する芳香族化合物の群から選ばれるプロトン供与体がプ
    ロトンを1個放出してなる基であり、それらは互いに同
    一であっても異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂100重量部及び請求項1
    記載の潜伏性触媒0.4〜20重量部を含有することを
    特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂及びマレ
    イミド系樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂
    である請求項2記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱硬化性樹脂組成物が、更にオキシラン
    反応性硬化剤を含有する請求項3記載の熱硬化性樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 オキシラン反応性硬化剤が、ジアミン、
    ポリアミン、酸無水物及びフェノール性化合物よりなる
    群より選択される1種以上の化合物である請求項4記載
    の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 マレイミド系樹脂が、アルケニルフェノ
    ールを含有する樹脂である請求項3記載の熱硬化性樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】 (A)1分子内にエポキシ基を2個以上
    有するエポキシ樹脂、(B)1分子内にフェノール性水
    酸基を2個以上有するフェノール樹脂、(C)請求項1
    記載の潜伏性触媒、及び(D)無機充填材を含有し、エ
    ポキシ樹脂(A)のエポキシ基とフェノール樹脂(B)
    のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、潜
    伏性触媒(C)の含有量が、エポキシ樹脂とフェノール
    樹脂の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部で
    あり、無機充填材(D)の含有量が、エポキシ樹脂とフ
    ェノール樹脂の合計量100重量部当たり200〜24
    00重量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 エポキシ樹脂(A)が、融点50〜15
    0℃の結晶性エポキシ樹脂である請求項7記載の熱硬化
    性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 無機充填材(D)の含有量が、エポキシ
    樹脂とフェノール樹脂の合計量100重量部当たり25
    0〜1400重量部である請求項7、8記載の熱硬化性
    樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 結晶性エポキシ樹脂が、一般式
    [2]、一般式[3]又は一般式[4]で示される化合
    物である請求項8、9記載の熱硬化性樹脂組成物。 【化2】 (ただし、式中、R5は水素、炭素数1〜6の鎖状もし
    くは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選
    択される基又は原子であり、それらは互いに同一であっ
    ても異なっていても良い。) 【化3】 (ただし、式中、R6は水素、炭素数1〜6の鎖状もし
    くは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選
    択される基又は原子であり、それらは互いに同一であっ
    ても異なっていても良い。) 【化4】 (ただし、式中、R7は水素、炭素数1〜6の鎖状もし
    くは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選
    択される基又は原子であり、それらは互いに同一であっ
    ても異なっていても良い。)
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