JP2000212397A - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

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JP2000212397A
JP2000212397A JP11020470A JP2047099A JP2000212397A JP 2000212397 A JP2000212397 A JP 2000212397A JP 11020470 A JP11020470 A JP 11020470A JP 2047099 A JP2047099 A JP 2047099A JP 2000212397 A JP2000212397 A JP 2000212397A
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JP
Japan
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epoxy resin
group
formula
weight
resin composition
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JP11020470A
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English (en)
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Norihisa Hoshika
典久 星加
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間にわたる常温保存性に優れ、成形時に
加熱された際に硬化反応が発現する、成形性、耐半田ス
トレス性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提
供すること。 【解決手段】 融点が60〜110℃の式(1)で示さ
れるエポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂中に30〜100
重量%含むエポキシ樹脂、1分子内にフェノール性水酸
基を2個以上有するフェノール樹脂、無機充填材、及び
式(2)で示されるホスホニウムボレートである潜伏性
硬化促進剤を、全硬化促進剤中に30〜100重量%含
む硬化促進剤を必須成分とし、全エポキシ樹脂のエポキ
シ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比
が0.5〜2であり、無機充填材の含有量が、全エポキ
シ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部当たり
250〜1400重量部であり、全硬化促進剤の含有量
が、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100
重量部当たり0.4〜20重量部であることを特徴とす
る半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期間にわたる常
温保存性に優れ、成形時に加熱された際に硬化反応が発
現する、成形性、耐半田ストレス性に優れた半導体封止
用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を
封止してなる半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ダイオード、トランジスター、集
積回路等の電子部品はエポキシ樹脂組成物(以下、樹脂
組成物という)で封止されているが、特に集積回路に
は、耐熱性、耐湿性に優れたビフェニル型エポキシ樹脂
に、硬化剤としてパラキシリレン変性フェノール樹脂、
充填材として溶融シリカ、結晶シリカ等の無機充填材を
配合した樹脂組成物が提案されている。これらの樹脂組
成物に用いられているビフェニル型エポキシ樹脂は、平
面構造を有する分子を主鎖に有し、比較的低分子量であ
り、常温では結晶性の固体であるが、いったん融解する
と極めて低粘度の液体になる特性を有している。しか
し、エポキシ樹脂が低分子量化されているため、分子が
動き易く反応の初期段階で架橋反応が速やかに進み、従
って、配合成分の溶融混練時に架橋反応が一部進んでし
まい、溶融混練後は結晶性が失われ、常温でも反応が起
こり易くなり、成形時には流動性が低下してしまうとい
う欠点がある。
【0003】更に、これらの樹脂組成物に用いられてい
る硬化促進剤は、1,8−ジアザビシクロ(5,4,
0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、ベンジ
ルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等である
が、これらの硬化促進剤を用いた樹脂組成物は、常温で
の保存性が悪い。このことに対して、例えば、特公昭5
1−24399号公報には、テトラフェニルホスホニウ
ム・テトラフェニルボレートが常温保存性、及び硬化性
の改善に有効であることが記載されている。しかし、テ
トラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート
は、カチオン性のテトラフェニルホスホニウム基とアニ
オン性のテトラフェニルボレート基のイオン結合が強力
で、融点は300℃以上となり、溶融混練しても均一に
分散することができないため、触媒活性が低くなり、成
形時に良好な硬化反応性を発現することができない。
【0004】そこで、一般に、特開昭55−15335
8号公報に示されるように、テトラフェニルホスホニウ
ム・テトラフェニルボレートを原料の一部に予め溶融混
合した後に、他の配合成分と溶融混練する手法がとられ
る。しかしこの手法では、溶融混合の際に、テトラフェ
ニルホスホニウム・テトラフェニルボレートのイオン結
合が既に外れた構造となるため、常温での硬化反応性を
抑えることができず、常温保存性が低下してしまう。
【0005】そこで、アニオン部とカチオン部のイオン
結合が程よい強さであり、溶融混練時の温度では硬化反
応性が低いが、成形時の温度での硬化反応性は非常に高
いという潜伏性硬化促進剤として好ましい挙動を示し、
原料の一部と予め溶融混合することが不要な、即ち他の
配合成分とドライブレンド可能な触媒の研究がなされ、
特開昭61−204954号公報には、潜伏性硬化促進
剤としてテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート
が提案されている。このテトラ置換ホスホニウム・テト
ラ置換ボレートのボロンに結合する官能基は炭化水素基
で、その内の少なくとも1個は炭素数1〜6個のアルキ
ル基であり、他の配合成分とドライブレンド可能であ
り、常温保存性に優れているとされているが、長期間に
わたる常温保存性という観点からは、なお十分とはいえ
ない。従って、これらの樹脂組成物を常温で保存した場
合、成形時の流動性の低下から、充填不良が発生した
り、ICチップの金線ワイヤーが断線し、導通不良が発
生する等の問題点が生じる。このため、これらの樹脂組
成物は、冷蔵保存及び冷蔵輸送する必要があり、保存、
輸送に多大なコストがかかっているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長期間にわ
たる常温保存性、成形性、耐半田ストレス性に優れた半
導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導
体素子を封止してなる半導体装置を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、 [1] (A)融点が60〜110℃の式(1)で示さ
れるエポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂中に30〜100
重量%含むエポキシ樹脂、(B)1分子内にフェノール
性水酸基を2個以上有するフェノール樹脂、(C)無機
充填材、及び(D)式(2)で示されるホスホニウムボ
レートである潜伏性硬化促進剤を、全硬化促進剤中に3
0〜100重量%含む硬化促進剤を必須成分とし、全エ
ポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノー
ル性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材の
含有量が、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量
100重量部当たり250〜1400重量部であり、全
硬化促進剤の含有量が、全エポキシ樹脂と全フェノール
樹脂の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部で
あることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成
物。
【化4】 (n=1〜5。式中のR1は炭素数1〜5のアルキレン
基であり、それらは互いに同一であっても異なっていて
もよい。式中のR2は炭素数1〜5のアルキル基、ハロ
ゲンの中から選択される基又は原子であり、それらは互
いに同一であっても異なっていてもよい。m=0〜3)
【0008】
【化5】 (ただし、式中、X1、X2、X3、及びX4は、芳香環も
しくは複素環を有する1価の有機酸又は1価の脂肪族基
であり、それらは互いに同一であっても異なっていても
よい。Y1、Y2、Y3、及びY4は、芳香環もしくは複素
環を有する1価の有機酸又は1価の脂肪族基であって、
それらのうち少なくとも1つは、分子外に放出しうるプ
ロトンを少なくとも1個有するプロトン供与体がプロト
ンを1個放出してなる基であり、それらは互いに同一で
あっても異なっていてもよい。)
【0009】[2] 融点が60〜110℃の式(1)
で示されるエポキシ樹脂が式(3)である第[1]項記
載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【化6】 (k=1〜3) [3] 式(2)で示される潜伏性硬化促進剤のプロト
ン供与体が、1分子内に少なくとも1個のカルボキシル
基を有する芳香族カルボン酸である第[1]、又は
[2]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 [4] 式(2)で示される潜伏性硬化促進剤のプロト
ン供与体が、1分子内に少なくとも1個のフェノール性
水酸基を有する化合物である第[1]、又は[2]項記
載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 [5] 第[1]、[2]、[3]、又は[4]項記載
の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子
を封止してなることを特徴とする半導体装置、を提供す
るものであり、従来の樹脂組成物に比べ、常温でも硬化
が進むことなく長期間にわたって安定に保存することが
可能であり、成形時に加熱された際に硬化反応が発現し
て、良好な成形性及び高品質の成形品を与えることがで
きる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いる式(1)で示され
るエポキシ樹脂は、剛直なナフトール骨格を1分子内に
少なくとも2つ以上有しており、配向性を強く示し、常
温では結晶化している固体であるが、融点以上の温度域
では急速に融解して低粘度の液状に変化するものであ
る。又、同じく結晶性のビフェニル型エポキシ樹脂より
も強い配向性を示し、フェノール樹脂、及びその他の成
分と混合、加熱混練後、冷却し樹脂組成物としても、剛
直なナフトール骨格により結晶性が損なわれず、常温で
も反応が起こりにくい。このため、常温保存しても樹脂
組成物の成形時の流動性が低下しない。本発明の式
(1)で示されるエポキシ樹脂の融点としては、60〜
110℃が好ましい。60℃未満だと、常温で液状又は
半固形状であり、作業性の問題や、これを用いた樹脂組
成物の常温保存性が低下するおそれがあるので好ましく
ない。110℃を越えると、溶融混練時に十分融解せ
ず、均一分散できないので成形性及び硬化性が低下し、
不均一な成形品となり、強度が各部分によって異なるた
めに半導体装置の性能が低下するので好ましくない。エ
ポキシ樹脂の融点は、示差走査熱量計を用いて、常温か
ら昇温速度5℃/分で昇温したときの結晶融解ピークの
頂点の温度を示す。更に、半導体装置の長期信頼性の点
から、不純物として含有される塩素イオン、ナトリウム
イオン、その他のフリーのイオンは、極力少ないことが
望ましい。本発明の式(1)で示されるエポキシ樹脂の
含有量は、これを調節することにより、常温保存性を最
大限に引き出すことができ、全エポキシ樹脂中に30〜
100重量%が好ましく、特に、50〜100重量%が
好ましい。30重量%未満だと、常温保存性が不十分と
なるので好ましくない。本発明の式(1)で示されるエ
ポキシ樹脂の特性を損なわない範囲で、例えば、ビフェ
ニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、
スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジ
シクロペンタジエン変性エポキシ樹脂、トリフェノール
メタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメ
タン型エポキシ樹脂等の他のエポキシ樹脂を併用しても
良い。
【0011】本発明で用いる1分子内にフェノール性水
酸基を2個以上有するフェノール樹脂としては、例え
ば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック
樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェ
ノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テ
ルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹
脂等が挙げられる。これらのフェノール樹脂は、分子
量、軟化点、水酸基当量等に制限なく使用することがで
き、単独でも混合して用いても良い。更に、半導体装置
の長期信頼性の点から、不純物として含有される塩素イ
オン、ナトリウムイオン、その他のフリーのイオンは、
極力少ないことが望ましい。全エポキシ樹脂のエポキシ
基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比は
0.5〜2が好ましく、この範囲を外れると、樹脂組成
物の硬化性の低下、或いは硬化物のガラス転移温度の低
下等のおそれがあるので好ましくない。
【0012】本発明で用いる無機充填材としては、例え
ば、溶融シリカ粉末、球状シリカ粉末、結晶シリカ粉
末、二次凝集シリカ粉末、多孔質シリカ粉末、アルミ
ナ、クレー、タルク等が挙げられる。特に、流動性の向
上という点から球状シリカが好ましい。球状シリカの粒
子の形状としては、流動性改善のために限りなく真球状
であり、且つ粒度分布がブロードであることが好まし
い。又、無機充填材の含有量としては、全エポキシ樹脂
と全フェノール樹脂の合計量100重量部当たり250
〜1400重量部が好ましい。250重量部未満だと、
低熱膨張化、低吸水化が得られず、耐半田ストレス性が
不十分となり、1400重量部を越えると、樹脂組成物
の流動性が低下し成形時に充填不良等が生じたり、高粘
度化による半導体装置中のダイパッド、金線ワイヤーの
ずれ等の不都合が生じるので好ましくない。
【0013】本発明で用いる潜伏性硬化促進剤は、式
(2)で示されるテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換
ボレートである。ただし、式(2)において、テトラ置
換ホスホニウム基のX1、X2、X3、及びX4は、芳香環
もしくは複素環を有する1価の有機基又は1価の脂肪族
基であり、それらは互いに同一であっても異なっていて
もよい。このようなテトラ置換ホスホニウム基として
は、例えば、テトラフェニルホスホニウム基、テトラト
リルホスホニウム基、テトラエチルフェニルホスホニウ
ム基、テトラメトキシフェニルホスホニウム基、テトラ
ナフチルホスホニウム基、テトラベンジルホスホニウム
基、エチルトリフェニルホスホニウム基、n−ブチルト
リフェニルホスホニウム基、2−ヒドロキシエチルトリ
フェニルホスホニウム基、トリメチルフェニルホスホニ
ウム基、メチルジエチルフェニルホスホニウム基、メチ
ルジアリルフェニルホスホニウム基、テトラ−n−ブチ
ルホスホニウム基等が挙げられる。特に、X1、X2、X
3、及びX4は、芳香環を有する1価の有機基であること
が好ましく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂との相溶性
の点から、テトラ置換ホスホニウム基がテトラフェニル
ホスホニウム基であることがより好ましい。
【0014】式(2)において、テトラ置換ボレート基
のY1、Y2、Y3、及びY4は、芳香環もしくは複素環を
有する1価の有機基又は1価の脂肪族基であって、それ
らのうちの少なくとも1つは、分子外に放出しうるプロ
トンを少なくとも1個有するプロトン供与体がプロトン
を1個放出してなる基であり、Y1、Y2、Y3、及びY4
は、互いに同一であっても異なっていてもよい。このよ
うなテトラ置換ボレート基を与えるプロトン供与体とし
ては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ステアリン
酸、安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、フタ
ル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸や
その無水物の部分開環体、フェノール、1−ナフトー
ル、2−ナフトール、ポリフェノール、イソシアヌル
酸、ベンゾトリアゾール、更にこれらのうち芳香環を有
する化合物の芳香環に置換基を有する化合物等が挙げら
れる。特に、安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ
酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸や、
フェノール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフ
ェノールF、1−ナフトール、2−ナフトール、ポリフ
ェノール等のフェノール性化合物が好ましい。又、本発
明の潜伏性硬化促進剤の融点は、特に限定されるもので
はないが、均一分散の点からは250℃以下であること
が好ましい。
【0015】本発明の潜伏性硬化促進剤は、樹脂組成物
に配合された場合、常温では触媒活性を示さないので樹
脂組成物の硬化反応が進むことがなく、成形時の温度で
触媒活性が発現し、しかもいったん発現すると、従来の
硬化促進剤よりも強い触媒活性を示して樹脂組成物を高
度に硬化させる点で優れている。その理由としては、本
発明の潜伏性硬化促進剤は、常温ではアニオン性のテト
ラ置換ボレート基が保護基として作用し、活性点となる
カチオン性のテトラ置換ホスホニウム基とイオン結合を
形成することによりキャップしており、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂と他の配合成分とを溶融混練する際の加
熱或いは発熱によっても、この保護基は外れないからで
ある。つまり、カチオン性のテトラ置換ホスホニウム基
とアニオン性のテトラ置換ボレート基の間のイオン結合
の解離に必要なエネルギーは、成形時の温度でのみ得ら
れるものであり、このとき保護基が外れ、活性点が露出
し硬化反応が進行するからである。
【0016】従来の硬化促進剤であるテトラフェニルホ
スホニウム・テトラフェニルボレートは、イオン結合が
強すぎ、融点が300℃以上となるため、樹脂組成物に
混練しても均一分散ができず、硬化促進剤としての効果
を十分に発現させることができない。その対策として、
テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート
を原料の一部に予め溶融混合した後に、他の配合成分と
溶融混練する手法が提案されている。しかしこの手法で
は、溶融混練時にテトラフェニルホスホニウム・テトラ
フェニルボレートが、既に保護基のテトラフェニルボレ
ート基が外れた構造となるために、溶融混練時の温度で
の硬化反応性が高くなり、常温保存性が低下し、目的と
する効果が十分に発現しない。
【0017】そこで、テトラ置換ホスホニウム基とその
保護基であるテトラ置換ボレート基のイオン結合を程よ
く弱めた構造が望まれる。具体的には、ボロンに結合す
る官能基の種類を、フェニル基よりも電子吸引性の高い
官能基に変えれば、テトラ置換ボレート基のアニオン性
が低減し、テトラ置換ホスホニウム基とのイオン結合が
弱くなるとともに、融点も低くなり、樹脂組成物に均一
に溶融混練することが可能となる。
【0018】本発明の潜伏性硬化促進剤である式(2)
で示されるテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレー
トにおいて、保護基であるテトラ置換ボレート基は、ボ
ロンに結合する官能基が、フェニル基よりも電子吸引性
の高い官能基であるため、テトラ置換ボレート基のアニ
オン性が低減し、カチオン性のテトラ置換ホスホニウム
基とのイオン結合がある程度弱まるので、融点も180
〜260℃に低下し、原料の一部と予め溶融混合しなく
ても、他の配合成分とのドライブレンドのみで均一分散
でき、成形時に速やかな硬化反応性を示すものと考えら
れる。
【0019】又、本発明の潜伏性硬化促進剤は、カチオ
ン性のテトラ置換ホスホニウム基とアニオン性のテトラ
置換ボレート基との解離に必要なエネルギーを、エポキ
シ樹脂と他の配合成分とを溶融混練する際の加熱或いは
発熱によっては得られないため、溶融混練時の温度では
保護基が外れず、硬化反応性が低いが、成形時の温度で
は解離に必要なエネルギーが得られるため、保護基が外
れ、高い硬化反応性を示す。つまり、溶融混練時の温度
では硬化反応性が低いが、成形時の温度での硬化反応性
は非常に高いという、潜伏性硬化促進剤として理想的な
反応挙動を示す。そのため、樹脂組成物の常温保存性を
向上し、溶融混練時の硬化反応性を低く抑え、低粘度化
し、更に成形時の温度での高い硬化反応性等を達成する
ことができる。
【0020】本発明の潜伏性硬化促進剤の含有量は、こ
れを調節することにより、常温保存性を最大限に引き出
すことができ、全硬化促進剤中に30〜100重量%が
好ましく、特に、50〜100重量%が好ましい。30
重量%未満だと、常温保存性が不十分となるので好まし
くない。本発明の潜伏性硬化促進剤の特性を損なわない
範囲で、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェ
ニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、1,8−
ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の他の
硬化促進剤を併用しても良い。本発明の全硬化促進剤の
配合量としては、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の
合計量100重量部当たり0.4〜20重量部が好まし
い。0.4重量部未満だと、加熱成形時に十分な硬化性
が得られないおそれがあり、20重量部を越えると、硬
化が速すぎて成形時に流動性が低下し、充填不良等が生
じるおそれがあるので好ましくない。本発明の潜伏性硬
化促進剤と他の配合成分との溶融混練は、通常適度の高
温下、例えば、70〜150℃、好ましくは80〜11
0℃で行うことができる。
【0021】本発明の樹脂組成物は、(A)〜(D)成
分の他、必要に応じてγ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン等のカップリング剤、ブロム化エポキシ樹
脂、酸化アンチモン、ヘキサブロムベンゼン、リン化合
物等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色
剤、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその
金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤、
及びシリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤等の種々
の添加剤を適宜配合しても差し支えない。本発明の樹脂
組成物は、(A)〜(D)成分、及びその他の添加剤等
をミキサーを用いて常温混合し、ロール、ニーダー、押
出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られ
る。本発明の樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子
部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスフ
ァーモールド、コンプレッションモールド、インジェク
ションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。
【0022】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定され
るものではない。配合割合は重量部とする。実施例及び
比較例で使用した硬化促進剤の略号及び構造を以下に示
す。 テトラフェニルホスホニウム・テトラキス(1−ナフト
イルオキシ)ボレート(以下、TPPK−NAという)
【化7】
【0023】テトラフェニルホスホニウム・テトラキス
(1−ナフチルオキシ)ボレート(以下、TPPK−N
Oという)
【化8】
【0024】 実施例1 式(4)のエポキシ樹脂(融点67℃、エポキシ当量196g/eq) 49.7重量部
【化9】 パラキシリレン変性フェノール樹脂(軟化点70℃、水酸基当量177g/e q) 50.3重量部 溶融球状シリカ粉末(平均粒径15μm) 714.3重量部 TPPK−NA 2.5重量部 臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量275g/eq) 8.4重量部 三酸化アンチモン 8.4重量部 カーボンブラック 2.5重量部 カルナバワックス 4.2重量部 を、常温でミキサーを用いて混合し、70〜100℃で
2軸ロールを用いて混練し、冷却後粉砕して樹脂組成物
を得た。得られた樹脂組成物を以下の方法で評価した。
結果を表1に示す。
【0025】スパイラルフロー:EMMI−I−66に
準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度
175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で
測定した。スパイラルフローは流動性のパラメータであ
り、値が大きい方が流動性が良好である。単位はcm。 ゲル化時間:175℃の熱板上で溶融後、へらで練りな
がら硬化するまでの時間を測定した。単位は秒。 25℃保存性:25℃で3日間保存した後、スパイラル
フローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する
百分率として表した。単位は%。 硬化トルク:キュラストメータ((株)オリエンテック
・製、JSRキュラストメータIVPS型)を用い、金
型温度175℃、加熱開始90秒後のトルクを求めた。
キュラストメータにおけるトルクは硬化性のパラメータ
であり、数値の大きい方が硬化性が良好である。単位は
kgf−cm。 耐半田ストレス性:樹脂組成物をタブレット化し、低圧
トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入
圧力100kg/cm2、硬化時間2分の条件で80p
QFP(厚さ1.5mm、チップサイズ6×6mm)を
成形した。ポストキュアとして175℃で8時間処理し
たパッケージ8個を、85℃、相対湿度85%の環境下
で168時間処理した後、IRリフロー処理(240
℃)を行った。処理後の内部の剥離、及びクラックの有
無を超音波探傷機で観察し、不良パッケージの個数を数
えた。不良パッケージの個数がn個であるとき、n/8
と表示する。
【0026】実施例2〜4、比較例1〜6 表1の配合に従い、実施例1と同様にして樹脂組成物を
得、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示
す。なお、実施例2〜4、比較例2、3では、4,4′
−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3′,
5,5′−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポ
キシ樹脂(融点105℃、エポキシ当量195g/e
q、以下、エポキシ樹脂Aという)を用いた。比較例1
では、式(5)を主成分とするエポキシ樹脂(融点55
℃、エポキシ当量196g/eq)を用いた。実施例
3、比較例5では、硬化促進剤として、1,8−ジアザ
ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBU
という)を用いた。比較例4では、硬化促進剤として、
フェノールノボラック樹脂(軟化点62℃、水酸基当量
105g/eq)95重量部に対しテトラフェニルホス
ホニウム・テトラフェニルボレート5重量部を溶融混合
したもの(以下、溶融混合物Bという)を用いた。
【化10】
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明に従うと、常温で硬化が進むこと
なく長期間にわたって安定に保存することが可能であ
り、成形時に加熱された際に硬化反応が発現して、良好
な成形性、硬化性を示す半導体封止用エポキシ樹脂組成
物が得られ、これを用いた半導体装置は耐半田ストレス
性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CC042 CC052 CD041 CE002 DE146 DJ016 DJ036 DJ046 EW177 FD016 FD090 FD130 FD157 FD160 GQ05 4J036 AA02 AA04 AF03 AF05 AF08 AF17 BA02 BA03 CD07 DA10 FA03 FA05 FB08 GA04 GA06 HA12 JA07 4M109 AA01 BA01 CA21 EA03 EB03 EB04 EB06 EB07 EB08 EB09 EB12 EB13 EB19 EC03 EC05 EC14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)融点が60〜110℃の式(1)
    で示されるエポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂中に30〜
    100重量%含むエポキシ樹脂、(B)1分子内にフェ
    ノール性水酸基を2個以上有するフェノール樹脂、
    (C)無機充填材、及び(D)式(2)で示されるホス
    ホニウムボレートである潜伏性硬化促進剤を、全硬化促
    進剤中に30〜100重量%含む硬化促進剤を必須成分
    とし、全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂
    のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無
    機充填材の含有量が、全エポキシ樹脂と全フェノール樹
    脂の合計量100重量部当たり250〜1400重量部
    であり、全硬化促進剤の含有量が、全エポキシ樹脂と全
    フェノール樹脂の合計量100重量部当たり0.4〜2
    0重量部であることを特徴とする半導体封止用エポキシ
    樹脂組成物。 【化1】 (n=1〜5。式中のR1は炭素数1〜5のアルキレン
    基であり、それらは互いに同一であっても異なっていて
    もよい。式中のR2は炭素数1〜5のアルキル基、ハロ
    ゲンの中から選択される基又は原子であり、それらは互
    いに同一であっても異なっていてもよい。m=0〜3) 【化2】 (ただし、式中、X1、X2、X3、及びX4は、芳香環も
    しくは複素環を有する1価の有機酸又は1価の脂肪族基
    であり、それらは互いに同一であっても異なっていても
    よい。Y1、Y2、Y3、及びY4は、芳香環もしくは複素
    環を有する1価の有機酸又は1価の脂肪族基であって、
    それらのうち少なくとも1つは、分子外に放出しうるプ
    ロトンを少なくとも1個有するプロトン供与体がプロト
    ンを1個放出してなる基であり、それらは互いに同一で
    あっても異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】 融点が60〜110℃の式(1)で示さ
    れるエポキシ樹脂が、式(3)である請求項1記載の半
    導体封止用エポキシ樹脂組成物。 【化3】 (k=1〜3)
  3. 【請求項3】 式(2)で示される潜伏性硬化促進剤の
    プロトン供与体が、1分子内に少なくとも1個のカルボ
    キシル基を有する芳香族カルボン酸である請求項1、又
    は2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 式(2)で示される潜伏性硬化促進剤の
    プロトン供与体が、1分子内に少なくとも1個のフェノ
    ール性水酸基を有する化合物である請求項1、又は2記
    載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3、又は4記載の半導体
    封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止し
    てなることを特徴とする半導体装置。
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