JP2005075095A - ハイブリッド車の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両への搭載性を損なわずに適用可能なハイブリッド駆動装置を提供する。
【解決手段】 エンジン1の出力トルクを動力分配用遊星歯車機構18を介して第1モータ・ジェネレータ2と出力軸7とに分配するハイブリッド車の駆動装置において、前記動力分配用遊星歯車機構18と出力軸7または入力軸43との間に、変速用遊星歯車機構19が介装され、かつ動力分配用遊星歯車機構18と変速用遊星歯車機構19とによって、前記動力分配用遊星歯車機構18のリングギヤ22と出力軸7または入力軸43との間の変速状態を少なくとも三つの状態に切り換える変速機8が構成されていることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、複数種類の動力源を備えたハイブリッド車の駆動装置に関し、特に、動力源と出力部材との間に複数の変速状態が設定可能な変速機を設けたハイブリッド車の駆動装置に関するものである。
従来より、ハイブリッド車として、例えば、内燃機関に加えて電動機やモータ・ジェネレータを駆動力源として備えた車両であって、内燃機関をできるだけ効率の良い状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキ力の過不足を電動機もしくはモータ・ジェネレータで補い、さらには減速時にエネルギーの回生をおこなうことにより、内燃機関による排ガスを低減し、同時に燃費の向上を図るように構成された車両が知られている。
ハイブリッド車の一例として二つのモータ・ジェネレータを使用した例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された装置は、エンジンと第1モータ・ジェネレータと出力軸とを動力分配機構に連結し、出力軸に第2モータ・ジェネレータを連結するとともに、出力軸に変速機を備えている。
また、特許文献2には、複数個の遊星歯車装置を直列に接続して動力分配装置を構成し、これらの歯車の連結状態を切り替えることで3段の変速段を設定する例が記載されている。
特開2003−127679号公報 特開2000−16101号公報
特許文献1の例では、いわゆる機械分配式ハイブリッド駆動装置であるが、動力分配機構からの出力を、その動力分配機構の後段側に配置した変速機によって変速するように構成されている。すなわち動力分配機構の出力側に変速機を追加した構造であり、そのために駆動装置全体としての構造が、大型化する可能性がある。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、駆動装置全体の小型化を図ることが可能なハイブリッド車の駆動装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、変速用遊星歯車機構を動力分配用遊星歯車機構と出力部材との間に設けて変速状態を多様化するように構成したことを特徴とするものである。すなわち、請求項1の発明は、内燃機関の出力トルクを動力分配用遊星歯車機構を介してアシスト動力源と出力部材とに分配するハイブリッド車の駆動装置において、前記動力分配用遊星歯車機構と出力部材との間に、変速用遊星歯車機構が介装され、かつ前記動力分配用遊星歯車機構と変速用遊星歯車機構とによって、前記動力分配用遊星歯車機構の出力要素と出力部材との間の変速状態を三つの状態に切り換える変速機構が構成されていることを特徴とする駆動装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1において、前記各遊星歯車機構のそれぞれが、差動作用をなす三つの回転要素を備え、前記動力分配用遊星歯車機構におけるいずれかの回転要素と変速用遊星歯車機構におけるいずれかの回転要素とを選択的に連結する第1クラッチ機構と、変速用遊星歯車機構における少なくとも二つの回転要素を選択的に連結する第2クラッチ機構と、変速用遊星歯車機構におけるいずれかの回転要素を選択的に固定するブレーキ機構とを更に備えていることを特徴とする駆動装置である。
さらに、請求項3の発明は、請求項2のおいて、前記第1クラッチ機構が、前記動力分配用遊星歯車機構における前記内燃機関に連結された入力要素と変速用遊星歯車機構におけるいずれか第1の回転要素との間に設けられ、前記ブレーキ機構が変速用遊星歯車機構における前記第1の回転要素を選択的に固定するように設けられていることを特徴とする駆動装置である。
そして、請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記動力分配用遊星歯車機構が入力要素と反力要素と出力要素との三要素を有するシングルピニオン型遊星歯車機構により構成され、かつ前記変速用遊星歯車機構がサンギヤとキャリアとリングギヤとを有するシングルピニオン型遊星歯車機構により構成され、前記動力分配用遊星歯車機構の入力要素と前記変速用遊星歯車機構のリングギヤとが第1クラッチ機構を介して連結されるとともに前記変速用遊星歯車機構のキャリアが出力部材に連結され、前記動力分配機構の出力要素と前記変速用遊星歯車機構のサンギヤとが連結され、前記変速用遊星歯車機構のキャリアと前記変速用遊星歯車機構のリングギヤとが第2クラッチ機構を介して選択的に連結され、前記変速用遊星歯車機構のリングギヤを選択的に固定するブレーキ機構が更に設けられていることを特徴とする駆動装置である。
また、請求項5の発明は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記動力分配用遊星歯車機構が入力要素と反力要素と出力要素との三要素を有するシングルピニオン型遊星歯車機構により構成され、かつ前記変速用遊星歯車機構がサンギヤとキャリアとリングギヤとを有するダブルピニオン型遊星歯車機構により構成され、前記動力分配用遊星歯車機構における出力要素が変速用遊星歯車機構のサンギヤに連結され、前記変速用遊星歯車機構のリングギヤが前記出力部材に連結され、前記変速用遊星歯車機構のキャリヤが前記第1クラッチ機構を介して前記動力分配用遊星歯車機構の入力要素に連結され、かつ前記変速用遊星歯車機構のキャリアを選択的に固定する第2ブレーキ機構が更に設けられていることを特徴とする駆動装置である。
さらに、請求項6の発明は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記動力分配用遊星歯車機構が入力要素と反力要素と出力要素との三要素を有するダブルピニオン型遊星歯車機構により構成され、かつ前記変速用遊星歯車機構がサンギヤとキャリアとリングギヤを有するダブルピニオン型遊星歯車機構により構成され、前記動力分配用遊星歯車機構の入力要素と前記変速用遊星歯車機構のキャリヤとが前記第1クラッチ機構を介して連結され、前記動力分配用遊星歯車機構の出力要素が前記変速用遊星歯車機構のサンギヤに連結され、前記変速用遊星歯車機構のリングギヤが前記出力部材に連結され、前記変速用遊星歯車機構のキャリアを選択的に固定する第2ブレーキ機構が更に設けられていることを特徴とする駆動装置である。
この発明によれば、クラッチを係合させることにより、動力分配用遊星歯車機構および変速用遊星歯車機構の回転要素の連結関係が変化し、内燃機関から出力部材に到る間の機構による変速状態が変化する。すなわち、動力分配用遊星歯車機構が変速機の一部として機能する。そのため、部品点数の増加を抑制しつつ、複数の変速状態を設定可能な変速機を備えた駆動装置を得ることができる。その結果、駆動装置の大型化を抑制できる。
また、請求項2から請求項6のいずれかの発明によれば、動力分配用遊星歯車機構と変速用遊星歯車機構の歯車の連結状態を変化させ、また、変速用遊星歯車機構の一要素をブレーキ機構により制動することにより、変速状態を切り替えることができる。つまり、変速機を追加してトルクの増減をおこなうことにより、内燃機関からの出力分トルクの比率を変更することができる。したがって、アシスト動力源からの出力トルクを相対的に変化させることができ、アシスト動力源の仕様の選択の幅を広げることができる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1はこの発明の対象とするハイブリッド車の駆動装置を概念的に示すスケルトン図である。ここに示す駆動装置は、エンジン1と、第1モータ・ジェネレータ2と、このエンジン1の動力を第1モータ・ジェネレータ2および出力軸7に分配する変速機8と、第2モータ・ジェネレータ3とで構成されている。まず、エンジン1の後方に第1モータ・ジェネレータ2が配置され、第1モータ・ジェネレータ2の後方に変速機8が配置されている。さらに、その後方には第2モータジェネレータ3が配置されている。そして、第2モータ・ジェネレータ3の後方には減速機9が配置されている。ここで、「後方」とは、車両の前後方向における後方という意味である。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、スロットル開度(吸気量)や燃料供給量、点火時期などの運転状態を電気的に制御できるように構成されている。そのエンジン1の制御は、例えば、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(ECU)100によっておこなうように構成されている。
また、第1モータ・ジェネレータ2は、例えば同期電動機を用いることが可能であり、この第1モータ・ジェネレータ2は、電動機としての機能と発電機としての機能とを生じるように構成されている。さらに第1モータ・ジェネレータ2にはインバータ(図示せず)を介してバッテリー(図示せず)が電気的に接続されている。そして、前記インバータ(図示せず)を電子制御装置100により制御することにより、第1モータ・ジェネレータ2の出力トルクあるいは回生トルクを適宜に設定するようになっている。なお、第1モータジェネレータ2のステータ11はケーシング10に固定されており、回転しないようになっている。
変速機8は、動力分配用遊星歯車機構18と変速用遊星歯車機構19とにより構成されている。この動力分配用遊星歯車機構18は外歯歯車であるサンギヤ20と、そのサンギヤ20に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ22と、これらサンギヤ20とリングギヤ22とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ21とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知のシングルピニオン型の歯車機構である。前記エンジン1の出力軸が第1の回転要素であるキャリヤ21に連結されている。言い換えれば、キャリヤ21が相対的に入力要素となっている。
これに対して第2の回転要素であるサンギヤ20に、第1モータ・ジェネレータ2のロータ12が連結されている。したがってサンギヤ20が、相対的に、エンジン1に対する反力要素となっており、また第3の回転要素であり、動力分配用遊星歯車機構18の出力要素であるリングギヤ22が変速用遊星歯車機構19のサンギヤ23に連結されている。
変速用遊星歯車機構19は外歯歯車であるサンギヤ23と、そのサンギヤ23に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ25と、これらサンギヤ23とリングギヤ25とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ24とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知のシングルピニオン型の歯車機構である。前記動力分配用遊星歯車機構18のリングギヤ22がサンギヤ23に連結されている。言い換えれば、サンギヤ23が相対的に入力要素となっている。
これに対して第2の回転要素であるリングギヤ25にブレーキB1が接続されており、リングギヤ25を選択的に固定できるようになっている。また第3の回転要素であり、変速用遊星歯車機構19の出力要素であるキャリア24が出力軸7に連結されている。
また変速用遊星歯車機構19のリングギヤ25がクラッチC1を介して動力分配用遊星歯車機構18のキャリア21に連結されている。さらに、動力分配用遊星歯車機構18のリングギヤ22は変速用遊星歯車機構19のサンギヤ23に連結されている。また、変速用遊星歯車機構19のサンギヤ23とキャリア24との間にクラッチC2が介装されている。
減速機9は外歯歯車であるサンギヤ15と、そのサンギヤ15に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ17と、これらサンギヤ15とリングギヤ17とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ16とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知のシングルピニオン型の歯車機構である。そして、前記出力軸7が第1の回転要素であるキャリヤ16に連結されている。すなわちキャリア16が出力要素になっている。
これに対して第2の回転要素であるサンギヤ15に、第2モータ・ジェネレータ3のロータ14が連結されている。したがってサンギヤ15が相対的な入力要素となっており、また第3の回転要素であるリングギヤ17は固定され、回転しないようになっている。つまり、第2モータ・ジェネレータ3の出力トルクを減速機9で増大させ、出力軸7へ加減するようになっている。
また、出力軸7はディファレンシャル4を経由してドライブシャフト5に連結され、ドライブシャフト5は車輪6に連結されている。
さらに前記第2モータ・ジェネレータ3は、インバータ(図示せず)を経由してバッテリー(図示せず)に接続されている。そして、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置100によってインバータ(図示せず)を制御することにより、第2モータ・ジェネレータ3の力行および回生ならびにそれぞれの場合におけるトルクおよび回転数を制御するように構成されている。なお、第2モータ・ジェネレータ3のステータ13はケーシング10に固定されている。
変速機8は、これらのクラッチC1,C2、および、ブレーキB1の係合の組み合わせを変化させることで、複数の変速状態を設定できるように構成されている。この各変速状態の間での変速は、車速や要求駆動力(もしくはアクセル開度)などの走行状態に基づいて制御される。そして、その制御をおこなうためのマイクロコンピュータを主体とした電子制御装置100が設けられている。
エンジン1の最適燃費運転は、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を高低に変化させることにより、エンジン1の回転数を連続的に(無段階に)変化させることでおこなわれる。すなわち、エンジン1の回転数を例えば燃費が最もよい回転数に設定する無段変速制御は、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を制御することによっておこなうことができる。この無段変速制御は変速機8の変速状態がどのような状態であってもおこなうことができる。なお、このように動力分配用遊星歯車機構18を用いて動力を分配する方式のハイブリッド駆動装置は機械分配式ハイブリッド駆動装置と呼ばれる。
次に、各変速状態の切替とブレーキ等の組み合わせとについて図2および図7を使用して説明する。なお、図7の「ON」は係合を表し、「OFF」は解放を表す。なお、図2に示す「MG1」は第1モータ・ジェネレータ2を表す。
車速が低い間は変速機8は第1速に設定される。第1速はブレーキB1を係合し、クラッチC1およびクラッチC2を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構18からの出力トルクは変速用遊星歯車機構19のサンギヤ23に入力される。リングギヤ25は固定されているので、動作状態は図2の共線図における直線Aに示す状態となり、変速機8の出力回転数が変速機8への入力回転数よりも低回転数となる。
車速が上昇すると、変速機8は第2速に設定される。第2速はクラッチC1を係合し、クラッチC2およびブレーキB1を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構18からの出力トルクはクラッチC1を経由して変速用遊星歯車機構19のリングギヤ25に入力される。ブレーキB1が解放されているので、リングギヤ25は回転可能となる。したがって、動作状態は図2の直線Bに示す状態となり、出力回転数は第1速時よりも高回転数となる。
車速がさらに上昇すると、変速機8は第3速に設定される。第3速はクラッチC2のみを係合し、クラッチC1およびブレーキB1を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構18のリングギヤ22と出力軸7とが連結され、図2の直線Cに示す状態となり、動力分配用遊星歯車機構18からの出力トルクは、変速用遊星歯車機構19を経由しないでディファレンシャル4を経由して車輪6を駆動する。したがって、変速機8による動力損失を軽減することができる。
変速機8の変速状態を適切に設定することにより、エンジンからの出力分トルクの比率を上げることができる。そのためモータ・ジェネレータからの出力トルクを相対的に低下させることができ、モータ・ジェネレータの大型化を抑制できる。そのため、駆動装置の大型化を抑制することができる。
また、モータ・ジェネレータからの出力トルクを相対的に低下させることができるので、モータージェネレータ間の電力の受け渡し時における損失を抑制でき、駆動装置全体の効率を上げることができる。そのため、燃費の増加を抑制できる。
さらに、変速がされると、回転数やトルクの急激な変化が発生するが、変速が開始されると同時にエンジン回転数が一定となるように第1モータ・ジェネレータ2が制御され、併せて、出力トルクが一定となるように第2モータ・ジェネレータ3も制御される。そのため、変速ショックを防止することができる。
また、第2モータ・ジェネレータ3を減速機9より車両前方に配置することで、パワートレーン全体の共振周波数を上げることが可能となり、パワートレーンの共振を抑制することができる。さらに、共振が抑えられることで、第2モータ・ジェネレータ3を貫通する駆動軸の径を小さくすることができる。
さらに、エンジン1の出力トルクは動力分配用遊星歯車機構18により第1モータ・ジェネレータ2と変速用遊星歯車機構19とに分配されるが、この動力分配機能は変速機8の変速状態に関わりなく行うことができる。また、クラッチC1を設置することにより新しい変速状態を設定することができる。つまり、変速機8は動力分配の機能と変速の機能を併せて有していることになる。したがって、動力分配の機能と変速の機能を一つの変速機8で共用することで、部品点数の増加を抑制しつつ、複数の変速状態を設定可能な変速機8を実現できる。そのため、パワートレーンの大きさを小さくすることができ車載性が向上する。
また、動力分配用遊星歯車機構18は動力分配用遊星歯車機構18のリングギヤ22の回転数が低下したとしてもエンジン1の回転数が一定となるように第1モータ・ジェネレータ2の回転数を制御することができる。すなわち、この変速機8はクラッチC1、C2およびブレーキB1の係合状態を車両の走行状態にあわせて切り替えることにより変速機8の変速状態を変化させる機能と、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を変化させることによりエンジン1の回転数を一定に保つ無段変速機能を併存している。そのため、動力性能を向上させつつ燃費の向上を図ることができる。
また、クラッチの係合圧を制御して、それ以上のトルクの入力を制限する、いわゆるトルクリミッタとして機能させることもできる。したがって、エンジンの出力軸に設けられているトーショナルダンバ内にトルクリミッタを設ける必要がなく、部品の点数を削減することができる。また、上限のトルク、すなわち、トルクリミッタとして機能するトルク値は任意に設定可能なので、リミッタが作動するトルク値を低くすることができる。そのため、入力軸の径を小さくすることができ、コストを削減することができる。
また、急激なトルクの変化が発生した場合にも、トルクリミッタとして機能するトルク値を適切に設定することにより、振動の発生を抑制できる。そのため、入力軸の径を小さくすることができ、コストを削減できる。
なお、これらの変速段は、変速機8内の遊星歯車機構18,19の数やクラッチの数を増やすとともに、クラッチなどの係合機構の係合・解放の組み合わせを増加させることによって、3段以上の多数の変速段とすることができる。
また、図2に示すように、車速が変化して、出力軸の回転数が変化し、動力分配用遊星歯車機構18のリングギヤの回転数が変化し、そして、エンジン回転数が最適燃費線から外れたとしても、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を増減することで、エンジン回転数を一定に保つことができる。すなわち、変速段に関係なく自動変速機能を生かすことができる。
つぎに、この発明の対象となる駆動装置の他の実施例を以下に説明する。図3は、この発明の対象とする他の例の車両の駆動装置を概念的に示すスケルトン図であり、変速機を二組の遊星歯車機構を組み合わせて構成した例である。なお、図3の実施例において図1の構成と同じ構成については図1と同じ符号を付してある。また、図3に示す実施例は、図1に示す実施例の変形例であり、図1の構成と同じ部分について得られる作用・効果は同一である。
変速機26は、動力分配用遊星歯車機構34と変速用遊星歯車機構35から構成されている。この動力分配用遊星歯車機構34は外歯歯車であるサンギヤ27と、そのサンギヤ27に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ29と、これらサンギヤ27とリングギヤ29とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ28とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知の歯車機構である。
そして、第1の回転要素であるサンギヤ27に、第1モータ・ジェネレータ2のロータ12が連結されている。したがってサンギヤ27がエンジン1に対する反力要素となっている。また、第2の回転要素であるキャリヤ28は入力軸43を経由してエンジン1に連結されている。言い換えれば、キャリヤ28が相対的な入力要素となっている。また第3の回転要素であり、動力分配用遊星歯車機構34の出力要素であるリングギヤ29が変速用遊星歯車機構35のサンギヤ30に連結されている。そして、キャリア32とサンギヤ30との間に クラッチC4が介装されている。
変速用遊星歯車機構35はダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成されている。すなわちサンギヤ30とリングギヤ31とが同心円上に配置され、サンギヤ30とリングギヤ31との間には、互い噛み合った状態でキャリヤ32によって保持されたピニオンギヤ33,50が配置されている。その一方のピニオンギヤ33がサンギヤ30に噛み合い、かつ他方のピニオンギヤ50がリングギヤ31に噛み合っている。また、キャリア32はブレーキB2によって選択的に固定されるようになっている。
そして、リングギヤ31は出力軸7を経由してディファレンシャル4と連結され、ディファレンシャル4はドライブシャフト5を経由して車輪6と連結されている。また、キャリア32はクラッチC4を経由して動力分配用遊星歯車機構34のリングギヤ29に連結されるとともに、クラッチC3を経由して入力軸43と連結されている。そして、入力軸43はエンジン1と連結されている。
次に、各変速状態の切替とブレーキ等の組み合わせとについて図4および図7を使用して説明する。なお、図7の「ON」は係合を表し、「OFF」は解放を表す。なお、図4に示す「MG1」は第1モータ・ジェネレータ2を表す。
車速が低い間は変速機26は第1速に設定される。第1速はブレーキB2を係合し、クラッチC3およびクラッチC4を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構34からの出力トルクは変速用遊星歯車機構35のサンギヤ30に入力される。キャリア32は固定されているので、動作状態は図4の共線図における直線Aに示す状態となり、変速機26の出力回転数が変速機26への入力回転数よりも低回転数となる。
車速が上昇すると、変速機26は第2速に設定される。第2速はクラッチC3を係合し、クラッチC4およびブレーキB2を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構34からの出力トルクは変速用遊星歯車機構35のサンギヤ30に入力される。クラッチC3が係合されているので、キャリア32の回転数はエンジン回転数と同じ回転数となる。したがって、動作状態は図4の直線Bに示す状態となり、出力回転数は第1速時よりも高回転数となる。
車速が更に上昇すると、変速機26は第3速に設定される。第3速はクラッチC4のみを係合し、クラッチC3およびブレーキB2を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構34のリングギヤ29と変速用遊星歯車機構35のキャリア32とが連結される。したがって、サンギヤ30とキャリア32の回転数が同じ回転数となり、変速用遊星歯車機構19の差動作用は生じない。したがって、動作状態は図4の直線Cに示す状態となり、サンギヤの30の回転数がそのまま出力軸7に現れることになる。
クラッチC4が係合された場合、変速用遊星歯車機構35は一体回転して、動力が伝達されるので、歯車の摩擦損失などが軽減され、変速機26の伝達効率を向上させることができる。
つぎに、この発明の対象となる駆動装置の第3の実施例を以下に説明する。図5は、この発明の対象とする第3の車両の駆動装置を概念的に示すスケルトン図であり、変速機を二組の遊星歯車機構を組み合わせて構成した例である。なお、図5の実施例において図3の構成と同じ構成については図3と同じ符号を付してある。また、図5に示す実施例は、図3に示す実施例の変形例であり、図3の構成と同じ部分について得られる作用・効果は同一である。
変速機36は、動力分配用遊星歯車機構37と変速用遊星歯車機構35とから構成されている。動力分配用遊星歯車機構37はダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成されている。すなわちサンギヤ38とリングギヤ42とが同心円上に配置され、サンギヤ38とリングギヤ42との間には、互い噛み合った状態でキャリヤ40によって保持されたピニオンギヤ39,41が配置されている。その一方のピニオンギヤ39がサンギヤ38に噛み合い、かつ他方のピニオンギヤ41がリングギヤ42に噛み合っている。
そして、動力分配用遊星歯車機構37のキャリア40は変速用遊星歯車機構35のサンギヤ30に連結されるとともに、クラッチC4を経由して変速用遊星歯車機構35のキャリア32に接続されている。また、動力分配用遊星歯車機構37のサンギヤ38は第1モータ・ジェネレータ2のロータ12に連結されている。さらに、動力分配用遊星歯車機構37のリングギヤ42は入力軸43を経由してエンジン1に連結されている。
次に、各変速状態の切替とブレーキ等の組み合わせとについて図6および図7を使用して説明する。なお、図7の「ON」は係合を表し、「OFF」は解放を表す。なお、図6に示す「MG1」は第1モータ・ジェネレータ2を表す。
車速が低い間は変速機36は第1速に設定される。第1速はブレーキB2を係合し、クラッチC3およびクラッチC4を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構37からの出力トルクは変速用遊星歯車機構35のサンギヤ30に入力される。キャリア32は固定されているので、動作状態は図6の共線図における直線Aに示す状態となり、変速機36の出力回転数が変速機36への入力回転数よりも低回転数となる。
車速が上昇すると、変速機36は第2速に設定される。第2速はクラッチC3を係合し、クラッチC4およびブレーキB2を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構37からの出力トルクは変速用遊星歯車機構35のリングギヤ31に入力される。クラッチC3が係合されているので、キャリア32の回転数はエンジン回転数と同じ回転数となる。したがって、動作状態は図6の直線Bに示す状態となり、出力回転数は第1速時よりも高回転数となる。
車速が更に上昇すると、変速機36は第3速に設定される。第3速はクラッチC4のみを係合し、クラッチC3およびブレーキB2を解放することで設定される。これにより、動力分配用遊星歯車機構37のリングギヤ42と変速用遊星歯車機構35のキャリア32とが連結される。したがって、サンギヤ30とキャリア32の回転数が同じ回転数となり、変速用遊星歯車機構35の差動作用は働かない。したがって、動作状態は図6の直線Cに示す状態となり、サンギヤの30の回転数がそのまま出力軸7に現れることになる。
クラッチC2が係合された場合、変速用遊星歯車機構35は一体回転して、動力が伝達されるので、歯車の摩擦損失などが軽減され、変速機36の伝達効率を向上させることができる。
ここで、上述した各具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、エンジン1が「内燃機関」に相当し、変速機8,26,36が「変速機」に相当する。また、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3が「アシスト動力源」に相当する。さらに、入力軸43または出力軸7が「出力部材」に相当する。さらに、動力分配用遊星歯車機構18,34,37が「動力分配用遊星歯車機構」に相当する。さらに、クラッチC1,C3が「第1クラッチ機構」に相当し、クラッチC2,C4が「第2クラッチ機構」に相当する。そして、ブレーキB1,B2が「ブレーキ機構」に相当する。また、変速用遊星歯車機構19,35が「変速用遊星歯車機構」に相当し、リングギヤ22が「出力要素」に相当する。
なお、共線図から判るように、パワーオンダウンシフト時(例えば2速から1速へ変速する場合)に、第1モータ・ジェネレータ2のトルクを増大させると、その回転数が低下し、その回転数の低下分の慣性トルクすなわちイナーシャトルクが動力分配用遊星歯車機構18のサンギヤ20に作用する。この結果、リングギヤ22から出力されるいわゆる直達トルクが増大する。このような制御を変速制御の過渡状態で実効することにより駆動トルク(出力軸トルク)の落ち込みを抑制することができる。
また、クラッチC1,C2,C3,C4、ブレーキB1,B2は油圧制御式、電磁制御式のいずれでもよい。また、本発明における「内燃機関」と「アシスト動力源」とは、駆動力の発生の原理が異なる。本実施例では「内燃機関」を使用して熱エネルギーを運動エネルギーに変換したが、内燃機関の他に外燃機関等を用いてもよい。要は、熱エネルギーを運動エネルギーに変換する装置であればよい。そして、この発明におけるクラッチ機構やブレーキ機構は、上述した具体例で示したもの以外に、多板式のものと一方向クラッチとを併用した機構、あるいはバンド式のものなど、適宜の構成のものを使用することができる。
この発明の一例であるハイブリッド車の駆動装置を概念的に示すスケルトン図である。 図1に示す車両についての共線図である。 この発明の他の一例であるハイブリッド車の駆動装置を概念的に示すスケルトン図である。 図3に示す車両についての共線図である。 この発明の第3の例であるハイブリッド車の駆動装置を概念的に示すスケルトン図である。 図5に示す車両についての共線図である。 図1、図3、図5に示す車両で設定できる各変速状態を設定するためのクラッチおよびブレーキの係合・解放の状態をまとめて示す図表である。
符号の説明
1…エンジン、 2…第1モータ・ジェネレータ、 3…第2モータ・ジェネレータ、 5…ドライブシャフト、 43…入力軸、 7…出力軸 18,34,37…動力分配用遊星歯車機構、 8,26,36…変速機、 19,35…変速用遊星歯車機構、 C1,C2,C3,C4…クラッチ、 B1,B2…ブレーキ、 100…電子制御装置(ECU)、 22…リングギヤ。

Claims (6)

  1. 内燃機関の出力トルクを動力分配用遊星歯車機構を介してアシスト動力源と出力部材とに分配するハイブリッド車の駆動装置において、
    前記動力分配用遊星歯車機構と出力部材との間に、変速用遊星歯車機構が介装され、かつ前記動力分配用遊星歯車機構と変速用遊星歯車機構とによって、前記動力分配用遊星歯車機構の出力要素と出力部材との間の変速状態を少なくとも三つの状態に切り換える変速機が構成されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。
  2. 前記各遊星歯車機構のそれぞれが、差動作用をなす三つの回転要素を備え、
    前記動力分配用遊星歯車機構におけるいずれかの回転要素と変速用遊星歯車機構におけるいずれかの回転要素とを選択的に連結する第1クラッチ機構と、変速用遊星歯車機構における少なくとも二つの回転要素を選択的に連結する第2クラッチ機構と、変速用遊星歯車機構におけるいずれかの回転要素を選択的に固定するブレーキ機構とを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車の駆動装置。
  3. 前記第1クラッチ機構が、前記動力分配用遊星歯車機構における前記内燃機関に連結された入力要素と変速用遊星歯車機構におけるいずれか第1の回転要素との間に設けられ、前記ブレーキ機構が変速用遊星歯車機構における前記第1の回転要素を選択的に固定するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車の駆動装置。
  4. 前記動力分配用遊星歯車機構が入力要素と反力要素と出力要素との三要素を有するシングルピニオン型遊星歯車機構により構成され、かつ前記変速用遊星歯車機構がサンギヤとキャリアとリングギヤとを有するシングルピニオン型遊星歯車機構により構成され、
    前記動力分配用遊星歯車機構の入力要素と前記変速用遊星歯車機構のリングギヤとが第1クラッチ機構を介して連結されるとともに前記変速用遊星歯車機構のキャリアが出力部材に連結され、前記動力分配機構の出力要素と前記変速用遊星歯車機構のサンギヤとが連結され、前記変速用遊星歯車機構のキャリアと前記変速用遊星歯車機構のリングギヤとが第2クラッチ機構を介して選択的に連結され、
    前記変速用遊星歯車機構のリングギヤを選択的に固定するブレーキ機構が更に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッド車の駆動装置。
  5. 前記動力分配用遊星歯車機構が入力要素と反力要素と出力要素との三要素を有するシングルピニオン型遊星歯車機構により構成され、かつ前記変速用遊星歯車機構がサンギヤとキャリアとリングギヤとを有するダブルピニオン型遊星歯車機構により構成され、
    前記動力分配用遊星歯車機構における出力要素が変速用遊星歯車機構のサンギヤに連結され、前記変速用遊星歯車機構のリングギヤが前記出力部材に連結され、前記変速用遊星歯車機構のキャリヤが前記第1クラッチ機構を介して前記動力分配用遊星歯車機構の入力要素に連結され、
    かつ前記変速用遊星歯車機構のキャリアを選択的に固定する第2ブレーキ機構が更に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッド車の駆動装置。
  6. 前記動力分配用遊星歯車機構が入力要素と反力要素と出力要素との三要素を有するダブルピニオン型遊星歯車機構により構成され、かつ前記変速用遊星歯車機構がサンギヤとキャリアとリングギヤを有するダブルピニオン型遊星歯車機構により構成され、
    前記動力分配用遊星歯車機構の入力要素と前記変速用遊星歯車機構のキャリヤとが前記第1クラッチ機構を介して連結され、前記動力分配用遊星歯車機構の出力要素が前記変速用遊星歯車機構のサンギヤに連結され、前記変速用遊星歯車機構のリングギヤが前記出力部材に連結され、
    前記変速用遊星歯車機構のキャリアを選択的に固定する第2ブレーキ機構が更に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッド車の駆動装置。
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