つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図3はこの発明の第1の具体例を示す図であって、ここに示す具体例では、原動機としての内燃機関(エンジン:Eng)1と、発電機能のある電動機として二つのモータ・ジェネレータ(MG1、MG2)2,3とが動力源として設けられ、また、二組の遊星歯車機構21,22が用いられている。そのエンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、あるいは天然ガスエンジンなどの燃料を燃焼して動力を出力する動力機関であり、好ましくはスロットル開度などの負荷を電気的に制御でき、また所定の負荷に対して回転数を制御することにより燃費が最も良好な最適運転点に設定できる内燃機関である。
このエンジン1が第1の遊星歯車機構21に連結されている。第1遊星歯車機構21は、図3に示すように、シングルピニオン型の遊星歯車機構であって、動力分配機構を構成しており、そのキャリヤ15にエンジン1のクランクシャフトなどの出力部材が連結されている。なお、エンジン1とキャリヤ15との間に、発進用のクラッチやトルクコンバータ(ロックアップクラッチ付のトルクコンバータ)などの動力伝達機構を適宜に設けてもよいことは勿論である。したがってキャリヤ15が入力要素となっている。
また、第1遊星歯車機構21のサンギヤ14に第1モータ・ジェネレータ(MG1)2が連結されている。この第1モータ・ジェネレータ2は、一例として、ロータ5に永久磁石を備えた同期電動機によって構成されており、発電機および電動機として機能するように構成されている。そして、そのロータ5がサンギヤ14に連結され、ステータがケーシング11などに固定されている。したがってサンギヤ14が反力要素となっている。
前記キャリヤ15によって回転自在に保持しているピニオンギヤP1がサンギヤ14に噛み合っており、さらにそのサンギヤ14と同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ16にそのピニオンギヤP1が噛み合っている。したがって、リングギヤ16が出力要素となっている。
このリングギヤ16が第2遊星歯車機構22のサンギヤ18に連結されるとともに、第2モータ・ジェネレータ3にも連結されている。この第2モータ・ジェネレータ(MG2)3は前述した第1モータ・ジェネレータ2と同様に、発電機能と電動機としての機能とを備えた同期電動機が一例として使用される。そして、第2モータ・ジェネレータ3のロータ7が第1遊星歯車機構21のリングギヤ16と第2遊星歯車機構22のサンギヤ17とに連結され、コイルを有するステータ6がケーシング11などの固定部に固定されている。
第2遊星歯車機構22はこの第2モータ・ジェネレータ3に隣接して、エンジン1とは反対側(図3での右側)に、同軸上に配置されている。これは、第2モータ・ジェネレータ3のロータ7の内周側に位置する構成部品を少なくしてその小径化に対する阻害要因をなくすためである。この第2遊星歯車機構22は、ラビニョ型遊星歯車機構であって、実質上、変速機もしくは運転モード切換機構を構成している。
すなわち、この第2遊星歯車機構22は第1サンギヤ(S1)17と第2サンギヤ(S2)18とが設けられており、その第1サンギヤ17にショートピニオンギヤ72が噛合するとともに、そのショートピニオンギヤ72がこれより軸長の長いロングピニオンギヤ73に噛合し、そのロングピニオンギヤ73が前記各サンギヤ17,18と同心円上に配置されたリングギヤ(R)19に噛合している。なお、各ピニオンギヤ72,73は、キャリヤ(C)20によって自転かつ公転自在に保持されている。また、第2サンギヤ18がロングピニオンギヤ73に噛合している。したがって第1サンギヤ17とリングギヤ19とは、各ピニオンギヤ72,73と共にダブルピニオン型遊星歯車機構に相当する機構を構成し、また第2サンギヤ18とリングギヤ19とは、ロングピニオンギヤ73と共にシングルピニオン型遊星歯車機構に相当する機構を構成している。
そして、第1サンギヤ17を選択的に固定する第1ブレーキB1と、前記キャリヤ20と伝達軸12とを選択的に連結する第1のクラッチC1と、第2遊星歯車機構22における所定の二つの回転要素、具体的には、サンギヤ17,18同士を選択的に連結する第2のクラッチC2とが設けられている。なお、伝動軸12は第1遊星歯車機構21のキャリヤ15に連結されている。これらのブレーキB1、クラッチC1,C2は摩擦力によって係合力を生じるいわゆる摩擦係合装置であり、多板形式の係合装置あるいはバンド形式の係合装置を採用することができる。そして、これらのブレーキB1、クラッチC1,C2は、油圧や電磁力などによる係合力に応じてそのトルク容量が連続的に変化するように構成されている。
さらに、第2サンギヤ18に第1遊星歯車機構21の出力要素であるリングギヤ16が接続され、また一方、リングギヤ19がディファレンシャル8を介してドライブシャフト9に接続され、さらにドライブシャフト9は車輪10に接続されている。したがって、上記の第2遊星歯車機構22は、第2サンギヤ18がいわゆる入力要素であり、またリングギヤ19が出力要素となっている。
そして、電子制御装置100が設けられ、各モータ・ジェネレータ2,3がバッテリなどの所定の蓄電装置およびインバータに接続され、そのインバータを制御することにより各モータ・ジェネレータ2,3のトルクや回転数あるいは発電量などを制御するように構成されている。さらに、各クラッチC1,C2を係合状態あるいは解放状態に制御できるようになっている。
上記の各クラッチC1,C2、およびブレーキB1を係合・解放させることにより三つの運転モード(あるいは動力伝達経路)を設定することができる。その運転モードを設定するための各クラッチC1,C2およびブレーキB1の係合・解放状態を示す作動係合表を図4に示してある。なお、図4において「on」は係合状態を示し、「off」は解放状態を示す。これらの各運転モードを簡単に説明すると、先ず、低速モードは、図3に示すハイブリッド駆動装置が搭載され車両が高負荷かつ低車速で走行する際に設定されるモードであり、ブレーキB1を係合させて第2遊星歯車機構22を減速機として機能させるモードである。したがって、第1遊星歯車機構21は、第2遊星歯車機構22に対してリングギヤ16のみが連結されているので、単独で増減速作用もしくはトルクの合成・分配作用を行い、その出力トルクを第2遊星歯車機構22に伝達する。これに対して、第2遊星歯車機構22は、サンギヤ17がブレーキB1によって固定され、その状態でサンギヤ18に第1遊星歯車機構21からトルクが伝達されるので、そのサンギヤ18が入力要素、サンギヤ17が固定要素(もしくは反力要素)、リングギヤ19が出力要素となる。したがって、第2遊星歯車機構22が減速機として機能する。
この状態における共線図を図5に示してあり、第1遊星歯車機構21のキャリヤ15にエンジン1から動力を入力するとともに、第1モータ・ジェネレータ2を発電機として機能させてサンギヤ14に反力トルクを与えると、リングギヤ16にこれらのトルクを合成したトルクが現れる。言い換えれば、エンジントルクが第1モータ・ジェネレータ2とリングギヤ16とに分配される。またそのリングギヤ16がキャリヤ15およびサンギヤ14の回転数に対して第1遊星歯車機構21のギヤ比(サンギヤ14とリングギヤ16との歯数の比)で定まる回転数で回転する。
これは、図5のほぼ左半分に示す状態であり、リングギヤ16の回転数を一定とした場合、第1モータ・ジェネレータ2の回転数に応じてキャリヤ15の回転数すなわちエンジン回転数が変化する。したがって、例えば車両が停止していることによりリングギヤ16が停止している場合であっても、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を大きくすることにより、エンジン1をアイドリング状態に維持できる。また、このような場合、リングギヤ16に現れるトルクは、エンジン1の出力したトルクより小さくなる。
一方、第2遊星歯車機構22は、その一方のサンギヤ17がブレーキB1によって固定された状態で、他方のサンギヤ18にリングギヤ16からトルクが入力され、さらにリングギヤ19が出力軸13に連結されているので、サンギヤ18を入力要素、リングギヤ19を出力要素、サンギヤ17を固定要素(もしくは反力要素)とした減速機として機能する。これは図5のほぼ右半分に示す状態であり、出力要素であるリングギヤ9もしくはこれと一体の出力軸13の回転数は、入力要素であるサンギヤ10の回転数より小さくなり、またトルクは増幅されて出力軸13に伝達される。
車速がある程度増大した後に、中速モードに切り替えられる。この中速モードは、図4に示すように、第1のクラッチC1を係合させて設定される。すなわち、低速モードを設定していたブレーキB1を解放するとともに、第1のクラッチC1を係合させることになる。その第1のクラッチC1は、各遊星歯車機構21,22のキャリヤ15,20同士を連結するものであるから、これらのキャリヤ15,20の回転数が異なっている状態で係合させれば、その係合に伴ってキャリヤ15,20の回転数の変化が生じる。その場合のショックを防止もしくは抑制するために、クラッチC1を滑りを伴って次第に係合させ、あるいは各キャリヤ15,20の回転数を一致させた状態で係合させる同期切替を実行する。
図6は、一例として同期状態での共線図であって、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を低下させ、さらには逆転力行(逆回転方向にモータとして駆動)させると、エンジン1を連結してあるキャリヤ15の回転数が低下し、ついには第2遊星歯車機構22におけるキャリヤ20の回転数と一致する。これが同期状態であり、この状態でクラッチC1を係合させれば、回転変動やそれに起因するショックを生じさせることなく、低速モードから中速モードに切り替えることができる。
このようにして設定される中速モードでは、第1遊星歯車機構21のリングギヤ16と第2遊星歯車機構22のサンギヤ18、および第1遊星歯車機構21のキャリヤ15と第2遊星歯車機構22のキャリヤ20とがそれぞれ連結されるから、第1および第2遊星歯車機構21,22が、四つの回転要素を有する複合遊星歯車機構を構成する。すなわち、キャリヤ15が入力要素、サンギヤ14が他の入力要素、リングギヤ16およびこれと一体のサンギヤ18が反力要素、リングギヤ19が出力要素となる。この複合遊星歯車機構についての共線図を図7に示してある。
この中速モードでは、エンジン1を駆動している状態で、主として、第2モータ・ジェネレータ3を発電機として機能させ、また第1モータ・ジェネレータ2をモータとして機能させ、これらのモータ・ジェネレータ2,3の回転数を制御することにより、エンジン回転数を適宜に設定することができる。その場合、図7に示すように、エンジン1を示す線と出力軸13を示す線とが互いに隣接しており、各モータ・ジェネレータ2,3の回転数を特に高回転数とすることなく、“1”に近い変速比を設定することができる。すなわち、中速状態でエンジン回転数を最適燃費点に近い回転数に設定しても電力への変換を伴う動力伝達の割合や動力循環の程度が少なくなり、したがってエンジン1を効率良く運転できるとともに、動力損失を抑制し、その結果、全体として燃費を向上させることができる。また、歯車に係る荷重を低下させて歯車の耐久性を向上させることができるとともに、ギヤノイズを低減でき、さらには摩擦による動力損失を低減して燃費の向上の点で有利になる。
さらに、より高速で走行する場合に適した高速モードについて説明すると、この高速モードは、図4に示すように、第2のクラッチC2を係合させることにより設定される。この場合、第1クラッチC1および第1ブレーキB1は、解放状態とされるから、第1遊星歯車機構21は前述した低速モードの場合と同様の状態になる。すなわち、キャリヤ15に入力されたエンジントルクに対して、第1モータ・ジェネレータ2を発電機として駆動するトルクがサンギヤ14に反力トルクとして作用し、これらのトルクを合成したトルクが出力要素であるリングギヤ16に生じる。これに対して、第2遊星歯車機構22では、そのサンギヤ17,18同士が第2のクラッチC2によって連結されるので、第2遊星歯車機構22の全体が一体となって回転する。すなわち、第2遊星歯車機構22は、それらの全体が一体回転し、特に変速作用は生じない。
この状態を図8に共線図で示してあり、エンジン1による駆動トルクと第1モータ・ジェネレータ2による反力トルクとを合成したトルクが、リングギヤ16からそのまま出力軸13に出力される。したがってこの場合は、第1モータ・ジェネレータ2が発電機として機能し、その電力が第2モータ・ジェネレータ3に供給されてこれがモータとして機能する。この各モータ・ジェネレータ2,3を介した動力の伝達方向は、エンジントルクをそのまま伝達する方向(いわゆる直達トルクの方向)と同じであるから、動力循環は生じない。そのため、歯車に係る荷重を低下させて歯車の耐久性を向上させることができるとともに、ギヤノイズを低減でき、さらには摩擦による動力損失を低減して燃費の向上の点で有利になる。
この高速モードでは、エンジン回転数に対して第1モータ・ジェネレータ2の回転数を僅かに低回転数とするだけで、出力軸13の回転数(すなわち出力回転数)をエンジン回転数(すなわち入力回転数)より高回転数とすることができる。これは、いわゆるオーバードライブ状態であって、高車速時にエンジン回転数を相対的に低くして効率の良い運転を行い、燃費を向上させることができる。
なお、中速モードと高速モードとの切り替えの場合もいわゆる同期切替を行うことが好ましい。中速モードと高速モードとの切り替えは、各クラッチC1,C2の係合・解放の状態を変更することにより実行されるのに対して高速モードでは、第2遊星歯車機構22の全体が一体となって回転し、かつそのサンギヤ17,18同士を第2のクラッチC2で連結するから、結局、各遊星歯車機構21,22の各回転要素が同一の回転数となった状態が同期状態である。これを図9に共線図で示してある。
この同期状態は、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を制御することにより設定することができ、この状態で、各クラッチC1,C2の係合・解放の状態を変更すれば、中速モードと高速モードとの間の切り替えに伴う回転変動が生じないので、ショックを悪化させることなく、運転モードの切り替えを行うことができる。
ところで、上述した各共線図に示すように、各遊星歯車機構21,22を構成している回転部材の回転数は、出力軸13の回転数(すなわち車速)やエンジン回転数あるいは設定されている運転モードなどによって変化する。特に、前述したピニオンギヤP1,72,73の回転数(絶対回転数やキャリヤ15,20との相対回転数)が大きく変化する。これらのピニオンギヤP1,72,73の回転数は、共線図上では、各遊星歯車機構21,22のサンギヤやキャリヤあるいはリングギヤなどの回転要素を示す線の外側の線に示され、したがってピニオンギヤP1,72,73の回転数は、いずれかの回転要素を固定したり、逆回転方向に回転させたりした場合に大きくなる。
この発明に係るハイブリッド駆動装置は、ピニオンギヤP1,72,73の回転数を抑制するように構成されている。具体的には、ピニオンギヤの回転数に基づいてエンジン回転数を制御し、あるいは運転モードを切り替えるように構成されている。図1はこの発明に係るハイブリッド駆動装置による制御例を示しており、前述した電子制御装置100において所定の短時間毎に繰り返し実行される。先ず、入力信号の処理が実行される(ステップS1)。ここで、入力信号は、エンジン回転数や車速、設定されている運転モード、各モータ・ジェネレータ2,3についてバッテリの充電状態(SOC:State of Charge)、アクセル開度などで表されるエンジン要求出力などである。
つぎに、エンジン要求出力が“大”(所定値以上)でかつ低速モードが設定されているか否かが判断される(ステップS2)。ここで、エンジン要求出力について判断しているのは、エンジン要求出力が大きい場合には、より高車速側の運転モードへの切り替えが実行されるからであり、また低速モードについて判断しているのは、中速モードに切り替えるまでの間に、エンジン回転数や車速が増大していずれかのピニオンギヤP1,72,73の回転数が所定の許容回転数を超える可能性があるからである。
したがってステップS2で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなく、このルーチンを一旦終了する。これに対してステップS2で肯定的に判断された場合には、ピニオン回転数制限内(前記所定の許容回転数内)でエンジン最高回転数で運転する(ステップS3)。すなわち、エンジン要求出力を満たすために、いずれかのピニオンギヤP1,72,73についての許容回転数の範囲内で、エンジン回転数を可及的に高くする。言い換えれば、ピニオンギヤの回転数がエンジン回転数によって制御されることになる。その状態で、車速が所定の基準車速V1に到ったか否かが判断される(ステップS4)。この基準車速V1は、低速モードでエンジン最高回転数のとき、いずれかのピニオンギヤの回転数が許容最高回転数になる車速であり、予め設定しておくことができる。
このステップS4で否定的に判断された場合には、ステップS3の制御を継続する。したがって、低速モードの間では、エンジン回転数を可及的に高くして走行することになり、その結果、加速性能が良好になる。一方、車速が基準車速V1に達してステップS4で肯定的に判断された場合には、ピニオン回転数制限内となるようにエンジン回転数を低下させながら、ブレーキB1およびクラッチC1をスリップさせつつ次第に解放および係合させて運転モードを切り替える(ステップS5)。すなわち、ピニオンギヤの回転数が許容最高回転数となる車速およびエンジン回転数となっていて各キャリヤ15,20の回転数が必ずしも同期していないので、滑りを伴って次第にクラッチC1を係合させ、これにより回転数の変化やそれに伴うトルク変動(ショック)を防止もしくは抑制する。また、このようにして低速モードから中速モードに切り替わると、動力伝達経路の全体としての変速比が相対的に小さくなるから、ピニオン回転数を所定の許容回転数内に維持するために、エンジン回転数を運転モードの切り替えの進行に伴って次第に低下させる。
こうしてブレーキB1が解放し、かつクラッチC1が係合することにより、中速モードへのモード切替が終了する(ステップS6)。そして、車速の上昇と共にピニオン回転数制限内でエンジン回転数を上昇させる(ステップS7)。
上記の図1に示す制御を行った場合のエンジン回転数、加速度、ピニオン回転数の変化を図2に模式的に示してある。図2の実線はピニオン許容最高回転数を最も高回転数とした場合、鎖線はピニオン許容最高回転数を中回転数とした場合、破線はピニオン許容最高回転数を低回転数とした場合をそれぞれ示している。許容最高回転数を中回転数あるいは低回転数に設定した場合には、エンジン回転数が制限を受けて運転モードの切替時にエンジン回転数を低下させることになるが、ブレーキB1とクラッチC1との係合・解放状態を滑りを伴って切り替えるので、エンジン出力を可及的に大きくすることができ、エンジン回転数の低下幅や加速度の変化を小さくすることができる。したがって、ピニオン回転数を許容範囲の回転数に抑制でき、しかも運転モードの切替に伴う加速性能の低下を防止できる。
なお、運転モードの切り替えは、各キャリヤ15,20の回転数が可及的に同期した状態で実行し、しかも出力トルクは第2モータ・ジェネレータ3で補償できるので、ショックの悪化を防止もしくは抑制することができる。そのため、摩擦係合させるとしても、クラッチC1やブレーキB1の耐久性が低下することが防止もしくは抑制され、あるいはクラッチC1やブレーキB1として大型のものあるいは高級なものを使用する必要性を回避できる。
この発明に係るハイブリッド駆動装置は、運転モードのいわゆる同期切替を行うこともでき、その場合にもいずれかのピニオンギヤP1,72,73の回転数が許容最高回転数を超えないように制御する。その例を図10にフローチャートで示してある。ここに示す制御例も前述した図1に示す制御例と同様に、低速モードから中速モードへの切り替えの際の制御例であり、したがって入力信号の処理(ステップS11)、およびエンジン要求出力が“大”でかつ低速モードが設定されているか否かの判断(ステップS12)、ならびにピニオン回転数制限内でエンジン最高回転数での運転(ステップS13)が、図1に示すステップS1ないしステップS3と同様にして実行される。
そして、これに続くステップS14では、車速が他の基準車速V2に達したか否かが判断される。この基準車速V2は、低速モードから中速モードへの同期切替時に、ピニオン回転数が許容最高回転数となるエンジン回転数での同期車速であり、予め設定しておくことができる。このステップS14で否定的に判断された場合には、ステップS13の制御を継続する。すなわち、ピニオン回転数が許容最高回転数となるようにエンジン回転数を可及的に高回転数にする制御を同期車速V2まで継続する。ステップS13の制御を継続することにより、車速が同期車速V2になってステップS14で肯定的に判断された場合には、エンジン回転数を同期回転数まで低下させる(ステップS15)。
同期回転数は、クラッチC1を係合させることに起因していずれかの回転部材に回転数の変化が生じない回転数であり、例えば前述した図6に示す状態である。同期回転数になるまでエンジン回転数を低下させた状態で同期切替が実行される(ステップS16)。すなわち、ブレーキB1が解放され、かつクラッチC1が係合させられる。その場合、キャリヤ15,20などの回転部材の回転数が変化しないので、運転モードの切り替えに起因してショックが生じることはない。
こうしてブレーキB1が解放し、かつクラッチC1が係合することにより、中速モードへのモード切替が終了する(ステップS17)。そして、車速の上昇と共にピニオン回転数制限内でエンジン回転数を上昇させる(ステップS18)。
上記の図10に示す制御を行った場合のエンジン回転数、加速度、ピニオン回転数の変化を図11に模式的に示してある。図11の実線はピニオン許容最高回転数を最も高回転数とした場合、鎖線はピニオン許容最高回転数を中回転数とした場合、破線はピニオン許容最高回転数を低回転数とした場合をそれぞれ示している。許容最高回転数を中回転数あるいは低回転数に設定した場合には、車速が上記の同期車速V2に達した時点でエンジン回転数を低下させ、ブレーキB1およひクラッチC1の係合・解放状態を切り替えて、運転モードの同期切替を実行するので、ショックが生じない。その場合、ピニオン回転数が許容最高回転数を超えないので、遊星歯車機構の耐久性の低下などを回避もしくは抑制できる。なお、運転モードの切り替え時には出力トルクは第2モータ・ジェネレータ3で補償できるので、加速度の一時的な低下を防止もしくは抑制することができる。
さらに、この発明に係る上記のハイブリッド駆動装置では、エンジン回転数を増大させる過程で、運転モードの同期切替をおこなうこともできる。その例を図12にフローチャートで示してある。ここに示す制御例も前述した図1もしくは図10に示す制御例と同様に、低速モードから中速モードへの切り替えの際の制御例であり、したがって入力信号の処理(ステップS21)、およびエンジン要求出力が“大”でかつ低速モードが設定されているか否かの判断(ステップS22)が、図1に示すステップS1およびステップS2、もしくは図10に示すステップS11およびステップS12と同様にして実行される。
そのステップS22で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなくこのルーチンを一旦終了する。これに対してステップS22で肯定的に判断された場合には、エンジン回転数が所定の基準値Ne1もしくはそれ以下となるように運転し、エンジン回転数をその所定の基準値Ne1まで徐々に上昇させる(ステップS23)。この基準値Ne1は、低速モードから中速モードへの同期切替時に、ピニオン回転数が許容最高回転数となるエンジン回転数であり、予め定めておくことができる。したがってステップS23では、低速モードから中速モードに切り替える際の同期回転数を超えない範囲でエンジン回転数を次第に増大させることになる。
この状態でエンジン回転数が上記の基準値Ne1になり、かつ車速が前述した他の基準車速V2に達したか否かが判断される(ステップS24)。すなわち、エンジン回転数および車速が同期状態にまで増大したか否かが判断される。このステップS24で否定的に判断された場合には、ステップS23の制御を継続する。その制御を継続することによりステップS24で肯定的に判断された場合には、直ちに同期切替が実行される(ステップS25)。したがって、エンジン回転数および車速が増大している過程で運転モードが低速モードから中速モードに切り替えられるので、いわゆる加速伸び感のあるフィーリングを得ることができる。
こうしてブレーキB1が解放し、かつクラッチC1が係合することにより、中速モードへのモード切替が終了する(ステップS26)。そして、車速の上昇と共にピニオン回転数制限内でエンジン回転数を上昇させる(ステップS27)。
上記の図12に示す制御を行った場合のエンジン回転数、加速度、ピニオン回転数の変化を図13に模式的に示してある。図13の実線はピニオン許容最高回転数を最も高回転数とした場合、鎖線はピニオン許容最高回転数を中回転数とした場合、破線はピニオン許容最高回転数を低回転数とした場合をそれぞれ示している。許容最高回転数を中回転数あるいは低回転数に設定した場合には、エンジン回転数を相対的に低回転数とし、同期切替のためにエンジン回転数を低下させる必要がない。そのため、エンジン回転数や車速は、運転モードの切り替えの前後に亘って増大傾向となり、その結果、いわゆる加速伸び感のあるフィーリングとなる。また、このような制御を行っても、ピニオン回転数を許容最高回転数の範囲内に設定できるので、遊星歯車機構の強度が不利になったり、耐久性が低下したりすることはない。さらに、エンジン回転数を相対的に低回転数に制御するので、ピニオン回転数が高くなりやすいが、同期車速が低下するので、制御の全体としては、同期切替を行ってもピニオン回転数が高くなることを防止もしくは回避できる。
さらにまた、図12の制御を行う構成では、同期切替車速が低下し、それに伴って同期切替時の第1モータ・ジェネレータ2の絶対回転数が低下するので、高トルクを出力することが可能になる。そして、低速モードでは、エンジン低回転数高トルク域を使用することになり、そのため低速でのピーク加速度を大きくして動力性能を良好なものとすることができる。
ところで、上述した説明から知られるように、この発明のハイブリッド駆動装置は、複数組の遊星歯車機構と複数の係合装置を主体とし、かつ複数の運転モードを設定可能なギヤトレーンを有している。そのギヤトレーンは、図3に示すものに限定されないのであり、以下に、他の例を示す。なお、以下の説明では、図3に示す例と同一の部材に図3と同一の符号を付してその説明を省略することがある。
図14に示すハイブリッド駆動装置は、第2遊星歯車機構27としてシングルピニオン型の遊星歯車機構が設けられている。そのキャリヤ24にエンジン1からトルクで伝達される伝達軸12がクラッチC5を介して連結されている。なお、エンジン1の出力側に、発進用のクラッチやトルクコンバータ(ロックアップクラッチ付のトルクコンバータ)などの動力伝達機構を適宜に設けてもよいことは勿論である。また、キャリヤ24はクラッチC4を介して出力軸13にも連結されている。
また、第2遊星歯車機構27のサンギヤ23に第2モータ・ジェネレータ(MG2)3のロータ7が連結されているとともに、第1遊星歯車機構26の出力要素であるリングギヤ16にも連結されている。
さらに、前記キャリヤ24によって回転自在に保持しているピニオンギヤP2がサンギヤ23に噛み合っており、さらにそのサンギヤ23と同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ25にそのピニオンギヤP2が噛み合っている。そして、前記リングギヤ25を選択的に固定するブレーキB2が設けられているとともにリングギヤ25はクラッチC3を介して出力軸13に連結されている。
この図14に示す具体例における各構成要素の配列は、前述した第1の具体例と同様であって、第2遊星歯車機構27が第2モータ・ジェネレータ3に対して出力軸13側に隣接し、かつ軸線方向に並んで配置されている。言い換えれば、第2モータ・ジェネレータ3の内周側に第2遊星歯車機構27が侵入した状態とはなっていない。そのため、出力軸13側の外径を小さくすることが可能であり、車載性の良好なものとなる。また、全体としての軸長を短縮化できること、共振周波数を相対的に高くできることなどの上記の第1の具体例と同様の作用を生じる。
上記の各クラッチC3,C4,C5およびブレーキB2を係合・解放させることにより三つの運転モードを設定することができる。その運転状態を設定するための各クラッチC3,C4,C5およびブレーキB2の係合・解放状態を示す作動係合表を図15に示してある。
図14に示す構成であれば、複数の運転モードを設定するために使用される遊星歯車機構が二組であるから、装置の全体としての構成部品の点数を可及的に少なくすることができ、それに伴って全体としての外径のみならず軸長を小さくし、ひいては全体として小型化して車載性の良好なものとすることができ、併せて第2遊星歯車機構27を第2モータ・ジェネレータ3に対する変速機として機能させることができるために、第2モータ・ジェネレータ3を出力トルクが相対的に小さい小型のものとすることが可能になる。
また、図16に示す例は、上述した図3に示す構成のうち、第2遊星歯車機構38を、外径(歯数)の異なる二つのピニオン32,35をキャリヤ36によって同軸上に保持することにより、四要素からなるいわゆるステップドピニオン型の遊星歯車機構としたものであり、他の構成は図3に示す構成と同様である。したがって図16に示す例については、図3に示す構成と異なる部分のみを説明し、図3に示す構成と同様の部分については、図16に図3と同一の符号を付してその説明を省略する。
第2遊星歯車機構38の二つのサンギヤ31,33と、それぞれ一つのキャリヤ36およびリングギヤ34とを備え、第1のサンギヤ33とリングギヤ34とにピニオンギヤ35が噛み合うことによりシングルピニオン型の遊星歯車機構を形成している。また、上記のピニオンギヤ35より小径の(歯数の少ない)他のピニオンギヤ32が上記のピニオンギヤ35と同軸上にキャリヤ36によって保持され、当該他のピニオンギヤ32に第2のサンギヤ31が噛み合っている。したがって第2のサンギヤ31とリングギヤ34との間にシングルピニオン型遊星歯車機構が形成されている。
そして、第2のサンギヤ31が第2モータ・ジェネレータ3に連結され、さらに第2モータ・ジェネレータ3と第1遊星歯車機構37のキャリヤ29とがクラッチC6を介して連結されている。また、第2のサンギヤ31とリングギヤ34を連結するクラッチC7が設けられており、リングギヤ34を選択的に連結するブレーキB3が設けられている。さらに、第1のサンギヤ33と前記第1遊星歯車機構37のリングギヤ30とが伝達軸12を介して連結されている。なお、これらのクラッチC3,C4およびブレーキB3は油圧多板式の摩擦係合装置を採用でき、またブレーキB2はバンドブレーキであってもよい。また、エンジン1は第1遊星歯車機構37のキャリヤ29にのみ連結されている。
この図16に示す具体例における各構成要素の配列は、前述した第1の具体例と同様であって、第2遊星歯車機構38が第2モータ・ジェネレータ3に対して出力軸材13側に隣接し、かつ軸線方向に並んで配置されている。言い換えれば、第2モータ・ジェネレータ3の内周側に第2遊星歯車機構38が侵入した状態とはなっていない。そのため、出力軸13側の外径を小さくすることが可能であり、車載性の良好なものとなる。また、全体としての軸長を短縮化できること、共振周波数を相対的に高くできることなどの上記の第1の具体例と同様の作用を生じる。
上記の各クラッチC6,C7およびブレーキB3を係合・解放させることにより三つの運転モードを設定することができる。その運転状態を設定するための各クラッチC6,C7およびブレーキB3の係合・解放状態を示す作動係合表を図17に示してある。
上記の図16に示す例によれば、必要とする遊星歯車機構が実質的に二組となり、その結果、複数の運転モードを設定できるハイブリッド駆動装置を全体として小型化し、車載性を向上させることができる。また、第2遊星歯車機構38を第2モータ・ジェネレータ3に対する変速機として機能させることができるために、第2モータ・ジェネレータ3を出力トルクが相対的に小さい小型のものとすることができる。
つぎに、図18に示す例について説明する。図18に示す例は、上述した図3に示す構成のうち、第3遊星歯車機構47としてシングルピニオン型遊星歯車機構を追加したものである。すなわち、この第3遊星歯車機構47は、第2モータ・ジェネレータ3のトルクを増幅して出力軸13に伝達するためのものであって、サンギヤ43に第2モータ・ジェネレータ3のロータ7が連結されている。そのサンギヤ43と同心円上に配置されたリングギヤ45は固定されており、これらのサンギヤ43とリングギヤ45とに噛み合っているピニオンギヤP3を保持しているキャリヤ44が出力軸13に連結されている。
なお、ラビニョ型遊星歯車機構からなる第2遊星歯車機構22の全体を一体化させるためのクラッチとして前述した第2のクラッチC2に替えて、キャリヤ20とリングギヤ19とを連結する第8のクラッチC8が設けられている。また、サンギヤ17を選択的に固定するブレーキとして前記第1のブレーキB1に替えて第4ブレーキB4が設けられている。さらに、クラッチC9は前記第1のクラッチC1の替わるものである。
この図18に示す例における各構成要素の配列は、前述した第1の具体例と同様であって、第2遊星歯車機構47が第2モータ・ジェネレータ3に対して出力軸13側に隣接し、かつ軸線方向に並んで配置されている。言い換えれば、第2モータ・ジェネレータ3の内周側に第2遊星歯車機構47が侵入した状態とはなっていない。そのため、出力軸13側の外径を小さくすることが可能であり、車載性の良好なものとなる。また、全体としての軸長を短縮化できること、共振周波数を相対的に高くできることなどの上記の第1の具体例と同様の作用を生じる。
上記の各クラッチC8,C9,およびブレーキB4を係合・解放させることにより三つの運転モードを設定することができる。その運転状態を設定するための各クラッチC8,C9およびブレーキB4の係合・解放状態を示す作動係合表を図19に示してある。
したがって、図18に示す構成であれば、第2モータ・ジェネレータ3のトルクが第3遊星歯車機構47によって増幅されるので、要求される出力トルクに対して第2モータ・ジェネレータ3を相対的に低トルクで小型のものとすることができる。
つぎに、図20に示す例は、上述した図18に示す構成のうち、第2遊星歯車機構をラビニョ型遊星歯車機構に替えてシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成した例である。すなわち、この第2遊星歯車機構55は、サンギヤ52と、キャリヤ53と、リングギヤ54とを回転要素としており、そのサンギヤ52には第1遊星歯車機構51の出力要素であるリングギヤ50が連結されている。また、キャリヤ53には出力軸13が連結されるとともに、クラッチC11を介してリングギヤ54が連結されている。またリングギヤ54には第1遊星歯車機構51の反力要素であるサンギヤ48がクラッチC10を介して連結されている。そして、このリングギヤ54の回転を選択的に阻止するブレーキB5が設けられている。また、エンジン1は第1遊星歯車機構51の入力要素であるキャリヤ49にのみ連結されている。
この図20に示す具体例における各構成要素の配列は、前述した第1の具体例と同様であって、第2遊星歯車機構47が第2モータ・ジェネレータ3に対して出力軸13側に隣接し、かつ軸線方向に並んで配置されている。言い換えれば、第2モータ・ジェネレータ3の内周側に第2遊星歯車機構47が侵入した状態とはなっていない。そのため、出力軸13側の外径を小さくすることが可能であり、車載性の良好なものとなる。また、全体としての軸長を短縮化できること、共振周波数を相対的に高くできることなどの上記の第1の具体例と同様の作用を生じる。
上記の各クラッチC10,C11、およびブレーキB5を係合・解放させることにより三つの運転モードを設定することができる。その運転状態を設定するための各クラッチC10,C11およびブレーキB5の係合・解放状態を示す作動係合表を図21に示してある。
したがって図20の構成では、複数の運転モードを設定するために使用される遊星歯車機構が二組であるから、装置の全体しての構成部品の点数を可及的に少なくすることができ、それに伴って全体としての外径のみならず軸長を小さくし、ひいては全体として小型化して車載性の良好なものとすることができる。
そして、図22に示す例は、上述した図20に示す構成のうち、第2遊星歯車機構69をダブルピニオン型遊星歯車機構に変更し、第1遊星歯車機構59と第3遊星歯車機構63との連結を変更したものであり、他の構成は図20に示す構成と同様である。すなわち、第2遊星歯車機構69では、サンギヤ64とリングギヤ68とが同心円上に配置され、サンギヤ64とリングギヤ68との間には、互い噛み合った状態でキャリヤ66によって保持されたピニオンギヤ65,67が配置されている。その一方のピニオンギヤ65がサンギヤ64に噛み合い、かつ他方のピニオンギヤ67がリングギヤ68に噛み合っている。
そして、リングギヤ68は出力軸13に連結されるとともにクラッチC12を介してキャリヤ66に連結されている。またキャリヤ66はクラッチC13を介して第3遊星歯車機構63のリングギヤ62に連結されているとともに、ブレーキB6によって選択的に固定されるようになっている。またサンギヤ64は第2モータ・ジェネレータ3のロータ7に連結されるとともに第1遊星歯車機構59のキャリヤ57に連結されている。
第1遊星歯車機構59のリングギヤ58は第3遊星歯車機構63のキャリヤ61に連結されている。そして第3遊星歯車機構60のキャリヤ61にはエンジン1が連結されている。そして、第1モータ・ジェネレータ2のロータ5は第1遊星歯車機構59のサンギヤ56に連結されるとともに、第3遊星歯車機構63のサンギヤ60にも連結されている。
この図22に示す例における各構成要素の配列は、前述した第1の例と同様であって、第2遊星歯車機構69が第2モータ・ジェネレータ3に対して出力軸13側に隣接し、かつ軸線方向に並んで配置されている。言い換えれば、第2モータ・ジェネレータ3の内周側に第2遊星歯車機構69が侵入した状態とはなっていない。そのため、出力軸13側の外径を小さくすることが可能であり、車載性の良好なものとなる。また、全体としての軸長を短縮化できること、共振周波数を相対的に高くできることなどの上記の第1の具体例と同様の作用を生じる。
上記の各クラッチC12,C13、およびブレーキB6を係合・解放させることにより三つの運転モードを設定することができる。その運転状態を設定するための各クラッチC12,C13およびブレーキB6の係合・解放状態を示す作動係合表を図23に示してある。
ここで、上述した各具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、第1モータ・ジェネレータ2が「第1の電動機」に相当し、第2モータ・ジェネレータ3が「第2の電動機」に相当する。また、エンジン1が「原動機」に相当し、出力軸13が「出力部材」に相当する。そして、前述したステップS3,S13,S15,S23を実行する機能的手段が、この発明のピニオン回転数制御手段に相当し、ステップS5,S16,S25を実行する機能的手段が、この発明の切替制御手段に相当する。
1…原動機(エンジン)、 2…第1モータ・ジェネレータ、 3…第2モータ・ジェネレータ、 13…出力軸、 21,26,37,51,59…第1遊星歯車機構、 22,27,38,55,69…第2遊星歯車機構、 47,55,63…第3遊星歯車機構、 B1,B2,B3,B4,B5,B6…ブレーキ機構、 C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11,C12,C13…クラッチ機構、 32,35,72,73,P1,P2…ピニオンギヤ、 100…電子制御装置。