JP4400676B2 - ハイブリッド車の駆動装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の走行のための動力源として複数種類の動力装置を備えているハイブリッド車に関し、特に内燃機関とモータ・ジェネレータなどの電動動力源ならびに出力部材との間でのトルクの分配や合成あるいは伝達を、複数組の遊星歯車機構を介しておこなうように構成されたハイブリッド車の駆動装置に関するものである。
周知のように、内燃機関の最も効率の良い運転状態と車両に要求される走行を満足するための内燃機関の運転状態とは必ずしも一致しないので、内燃機関を動力源とする車両の燃費を向上させ、また排ガスを削減するために、変速機などの他の駆動機構を併用する必要がある。その一例が発電機および電動機を内燃機関と併用したハイブリッド車であり、内燃機関を効率の良い運転点で運転し、かつ車両に要求される駆動トルクを電動機で付加でき、しかも減速時にエネルギー回生をおこなってその電力を走行のために使用できるので、走行に対する要求を満たしつつ燃費を向上させることができる。
ハイブリッド車において内燃機関と電動機や発電機とを組み合わせる形式は多様であり、エネルギー回生およびトルクアシストにモータ・ジェネレータを使用するだけでなく、内燃機関の回転数制御およびトルクアシストのための電力の発電にモータ・ジェネレータもしくは発電機を使用する形式のハイブリッド車が提案されている。その一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された装置は、三組の遊星歯車機構を相互に連結して入力要素および反力要素ならびに出力要素とされる要素を五つ備えた歯車機構を構成し、所定の入力要素に内燃機関を連結するとともに、所定の反力要素に第1のモータ・ジェネレータを連結し、さらに残る三つの要素を選択的に出力部材に連結することによりこれらの三つの要素を選択的に出力要素とするように構成されている。そして、いずれかの出力要素に第2のモータ・ジェネレータが連結されている。
したがって特許文献1に記載された装置では、出力要素の回転数が、内燃機関の連結された入力要素の回転数と第1のモータ・ジェネレータが連結された反力要素の回転数との中間の回転数となる場合と、出力要素の回転数が、前記入力要素の回転数と前記反力要素の回転数とのうちの高回転数よりも更に高回転数となる場合との少なくとも二つの駆動状態を設定することができる。前者の場合には、出力要素の回転数が入力回転数より低回転数となるので、出力要素もしくはこれが連結される出力部材には、内燃機関の出力トルクがいわゆる増幅された状態で現れる。また反対に後者の場合には、出力部材に現れるトルクが内燃機関の出力トルクより小さくなる。
特開2000−108693号公報
上記の特許文献1に記載された装置では、内燃機関の出力トルクを第1のモータ・ジェネレータと出力要素とに分配する前記歯車機構が、出力要素の選択の仕方によって、実質的な変速比が変化する変速機として機能する。そのため、内燃機関から出力部材に伝達されるトルクの割合を変化させることができるので、内燃機関の運転状態を特に大きく変化させたり、第2のモータ・ジェネレータによるアシストトルクを特に大きくしたりすることなく、走行に対する要求をある程度満たすことができる。
しかしながら、上記の特許文献1に記載された装置では、差動作用をなす三要素の遊星歯車機構を三組組み合わせて五要素の歯車機構を構成し、そのうちの三つの要素を選択的に出力要素とするようになっているため、歯車機構の構成が大型化および複雑化する問題があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、車載に優れ、しかも動力損失を抑制することのできるハイブリッド車の駆動装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、内燃機関と発電機とを、差動作用のある分配機構を介して出力部材に連結し、前記内燃機関から前記分配機構に入力されたトルクに対して前記発電機によって反力トルクを与えて、前記出力部材にトルクを出力するハイブリッド車の駆動装置において、前記分配機構が、二組の遊星歯車機構を組み合わせて四つの回転要素を有する歯車機構として構成され、前記回転要素のいずれかが前記内燃機関からトルクが入力される入力要素とされるとともに、他のいずれかの要素が前記入力要素のトルクに対する反力トルクが前記発電機から入力される反力要素とされ、前記入力要素と前記反力要素と共に差動作用をなす他の二つの要素が出力要素とされ、これら二つの出力要素を前記出力部材に選択的に連結する連結機構を備えているとともに、前記出力部材に、駆動トルクを補助する他の動力源が連結されており、前記分配機構と前記出力部材との間に、少なくとも二段に変速比を変化させることのできる変速機が設けられ、前記連結機構が、前記反力要素の回転数に対して前記入力要素の回転数が高回転数の場合にその入力要素より更に高回転数となる一方の出力要素を、変速比が最も大きい低速変速比の状態の前記変速機を介して前記出力部材に連結する機構と、前記反力要素と前記入力要素との中間の回転数となる他方の出力要素を、変速比が前記低速変速比より小さい他の変速比の状態の前記変速機を介して前記出力部材に連結する機構とを有していることを特徴とする駆動装置である。なお、その発電機は、電動機と発電機との機能を併せ持ったモータ・ジェネレータあるいはこれに類する装置を含む。
また、請求項2の発明は、内燃機関と発電機とを、差動作用のある分配機構を介して出力部材に連結し、前記内燃機関から前記分配機構に入力されたトルクに対して前記発電機によって反力トルクを与えて、前記出力部材にトルクを出力するハイブリッド車の駆動装置において、前記分配機構が、二組の遊星歯車機構を組み合わせて四つの回転要素を有する歯車機構として構成され、前記回転要素のいずれかが前記内燃機関からトルクが入力される入力要素とされるとともに、他のいずれかの要素が前記入力要素のトルクに対する反力トルクが前記発電機から入力される反力要素とされ、前記入力要素と前記反力要素と共に差動作用をなす他の二つの要素が出力要素とされ、これら二つの出力要素を前記出力部材に選択的に連結する連結機構を備えているとともに、前記入力要素に、駆動トルクを補助する他の動力源が連結されており、前記分配機構と前記出力部材との間に、少なくとも二段に変速比を変化させることのできる変速機が設けられ、前記連結機構が、前記反力要素の回転数に対して前記入力要素の回転数が高回転数の場合にその入力要素より更に高回転数となる一方の出力要素を、変速比が最も大きい低速変速比の状態の前記変速機を介して前記出力部材に連結する機構と、前記反力要素と前記入力要素との中間の回転数となる他方の出力要素を、変速比が前記低速変速比より小さい他の変速比の状態の前記変速機を介して前記出力部材に連結する機構とを有していることを特徴とする駆動装置である。
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記反力要素を所定の固定部に連結して回転しないように固定する固定係合機構を更に備えていることを特徴とする駆動装置である。
さらにまた、請求項4の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記歯車機構が二つのサンギヤとそれぞれ一つのキャリヤおよびリングギヤを有するラビニョ型遊星歯車機構によって構成され、前記内燃機関が前記リングギヤに連結されるとともに、前記発電機が前記リングギヤと共にシングルピニオン型遊星歯車機構を形成する第1サンギヤに連結され、前記変速機が、変速比の異なる第1速用および第2速用の少なくとも二対のギヤ対を有し、前記連結機構が、前記リングギヤと共にダブルピニオン型遊星歯車機構を形成する第2サンギヤに、前記第1速用ギヤ対を介して前記出力部材を選択的に連結する機構と、前記キャリヤに第2速用ギヤ対を介して前記出力部材を選択的に連結する機構とを有していることを特徴とする駆動装置である。
請求項1の発明によれば、二つの出力要素のうちの一方を出力部材に連結した状態と、他方の出力要素を出力部材に連結した状態とでは、入力要素にトルクを入力する内燃機関の回転数と出力部材との回転数との比率が異なる。すなわち、内燃機関の出力したトルクのうち出力部材に伝達されるトルクの割合を、出力部材に連結する出力要素を切り換えることにより変更することができる。そのため、駆動形態(運転モード)が複数になって走行要求に適した駆動形態を選択でき、それに伴ってエネルギー効率の良い走行が可能になり、しかも二組の遊星歯車機構で分配機構を構成できるので、装置の全体としての構成を簡素化および小型化することができる。また、請求項1の発明によれば、他の動力源が出力したトルクが出力部材に伝達されて駆動トルクを補助する。またさらに、請求項1の発明によれば、反力要素よりも入力要素の回転数が高回転数の状態でその入力要素より更に高回転数の出力要素が、低速変速比状態の変速機を介して出力部材に連結されるので、分配機構による実質的な変速比を、発電機によって連続的に変化させてスムースな発進および変速をおこなうことができる。
また、請求項2の発明によれば、二つの出力要素のうちの一方を出力部材に連結した状態と、他方の出力要素を出力部材に連結した状態とでは、入力要素にトルクを入力する内燃機関の回転数と出力部材との回転数との比率が異なる。すなわち、内燃機関の出力したトルクのうち出力部材に伝達されるトルクの割合を、出力部材に連結する出力要素を切り換えることにより変更することができる。そのため、駆動形態(運転モード)が複数になって走行要求に適した駆動形態を選択でき、それに伴ってエネルギー効率の良い走行が可能になり、しかも二組の遊星歯車機構で分配機構を構成できるので、装置の全体としての構成を簡素化および小型化することができる。さらに、請求項2の発明によれば、他の動力源が出力したトルクが、内燃機関のトルクと共に入力要素に伝達され、さらに遊星歯車機構から連結機構を介して出力部材に伝達されて、駆動トルクを補助する。またさらに、請求項2の発明によれば、反力要素よりも入力要素の回転数が高回転数の状態でその入力要素より更に高回転数の出力要素が、低速変速比状態の変速機を介して出力部材に連結されるので、分配機構による実質的な変速比を、発電機によって連続的に変化させてスムースな発進および変速をおこなうことができる。
さらに、請求項3の発明によれば、請求項1および請求項2の発明による効果と同様の効果を得られることに加えて、反力要素を固定することにより発電機を機能させない駆動状態とすることができ、その場合には、電気的な動力の伝達が生じないので、エネルギの変化に伴う損失や電気エネルギの伝達時の損失を回避し、燃費の向上に有利になる。
一方、請求項4の発明によれば、請求項1または2の発明による効果と同様の効果を得られることに加えて、分配機構の構成を簡素化あるいは小型化することができ、また変速機にいわゆる平行ギヤを採用できるので、変速比の設定の自由度を向上させることができる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1にこの発明に係る駆動装置の一例をスケルトン図で示してあり、ここに示す例は、内燃機関1と、第1および第2のモータ・ジェネレータ2,3とを動力装置として備え、内燃機関1の出力トルクを分配機構4によって第1モータ・ジェネレータ(MG1)2と出力側とに分配するとともに、第2モータ・ジェネレータ(MG2)3によって駆動トルクのアシスト(補助)をおこなうように構成されており、これは、いわゆる機械分配式2モータハイブリッド駆動装置である。
その内燃機関1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、あるいは天然ガスエンジンなどの燃料を燃焼して動力を出力する動力機関であり、好ましくはスロットル開度などの負荷を電気的に制御でき、また所定の負荷に対して回転数を制御することにより燃費が最も良好な最適運転点に設定できる内燃機関である。以下、内燃機関1をエンジン1と記す。
各モータ・ジェネレータ2,3としては、永久磁石式同期電動機を使用でき、電動機および発電機として機能させることができる。図1に示す具体例では、第1モータ・ジェネレータ2が主として発電機として機能し、したがってこの第1モータ・ジェネレータ2がこの発明の発電機に相当している。
分配機構4は、実質的に二組の遊星歯車機構を組み合わせて構成されており、図1に示す例では、シングルピニオン型遊星歯車機構とダブルピニオン型遊星歯車機構とを組み合わせたラビニョ型遊星歯車機構が使用されている。具体的には、外歯歯車である第1サンギヤ(S1)5と、この第1サンギヤ5に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ(R)6との間に、これら第1サンギヤ5とリングギヤ6とに噛み合っているロングピニオン7が配置されており、これら第1サンギヤ5とリングギヤ6とロングピニオン7との三者でシングルピニオン型遊星歯車機構が構成されている。また、第1サンギヤ5に隣接して第2サンギヤ(S2)8が同一軸線上に配置され、この第2サンギヤ8に噛み合っているショートピニオン9が、前記ロングピニオン7に噛み合っており、したがって第2サンギヤ8と各ピニオン9,7とリングギヤ6との四者でダブルピニオン型遊星歯車機構が構成されている。そして、互いに噛み合っているロングピニオン7とショートピニオン9とは複数対設けられており、これらのピニオン7,9がキャリヤ(C)10によって自転かつ公転するように保持されている。
この分配機構4におけるリングギヤ6にエンジン1からトルクが入力されるように構成されている。したがってリングギヤ6がこの発明の入力要素となっている。図1では、エンジン1がリングギヤ6に直接連結された構成が示されているが、エンジン1とリングギヤ6との間にトルクコンバータや発進用のクラッチ(それぞれ図示せず)を設けてもよい。また、分配機構4における第1サンギヤ5に、第1モータ・ジェネレータ2からトルクを伝達するように構成されており、したがってこの第1サンギヤ5がこの発明の反力要素となっている。具体的には、エンジン1と同一軸線上に反力軸11が配置されており、この反力軸11のエンジン1側とは反対側の端部が、ギヤ対12を介して第1モータ・ジェネレータ2のロータに連結されている。なお、第1モータ・ジェネレータ2のステータは、ケーシング13などの固定部に連結されて固定されている。
上述した分配機構4は、入力要素となっているリングギヤ6と、反力要素となっている第1サンギヤ5と、第2サンギヤ8と、キャリヤ10との四つの要素を回転要素とするものであり、したがって第2サンギヤ8とキャリヤ10とが選択的に出力要素とされる。そして、リングギヤ6と、第1サンギヤ5あるいは第2サンギヤ8と、キャリヤ10との三者で差動作用を生じるように構成されている。
これらの出力要素と出力部材との間に、両者の間で選択的にトルクを伝達させる連結機構が設けられている。図1に示す具体例では、変速機における同期連結機構が、この発明の連結機構に相当している。具体的に説明すると、上記の反力軸11の外周側に、それぞれ中空軸である第1および第2の中間軸14,15が、回転自在に嵌合されている。外周側の第2中間軸15が、前記キャリヤ10に連結されており、内周側の第1中間軸14が、前記第2サンギヤ8に連結されるとともに、第2中間軸15の先端側(エンジン1とは反対側)に突出している。
これらの中間軸14,15から所定寸法離れ、かつこれらの中間軸14,15に対して平行に、この発明の出力部材に相当する出力軸16が回転自在に配置されている。そして、前記第1中間軸14と出力軸16との間に、第1速用ギヤ対17と、第3速用ギヤ対18とが配置されている。これらのギヤ対17,18は、軸線方向において互いに隣接して配置されている。また、前記第2中間軸15と出力軸16との間に、第2速用ギヤ対19と、第4速用ギヤ対20とが配置されている。これらのギヤ対19,20は、軸線方向において互いに隣接して配置されている。これらのギヤ対17,18,19,20のそれぞれは、各中間軸14,15側の駆動ギヤと、これに常時噛み合っている出力軸16側の従動ギヤとから構成されており、駆動ギヤの歯数に対する従動ギヤの歯数の比率が、第1速用ギヤ対17から第4速用ギヤ対20の順に次第に小さくなるように設定されている。したがってこれらのギヤ対17,〜20がいわゆる平行ギヤ式の変速機を構成し、その第1速用ギヤ対17がこの発明における低速変速比を設定することになる。
上記の各ギヤ対17,〜20における従動ギヤは、出力軸16に対して回転自在に保持されている。そして、これらの従動ギヤを出力軸16に対して選択的に連結する同期連結機構(シンクロナイザー)21,22が設けられており、そのうちの第1の同期連結機構21が、第1速用ギヤ対17と第3速用ギヤ対18との間に配置され、また第2の同期連結機構22が、第2速用ギヤ対19と第4速用ギヤ対20との間に配置されている。これらの同期連結機構21,22は従来知られているものと同様の構成であって、出力軸16に一体化させたハブ21h,22hの外周側にスリーブ21s,22sをスプライン嵌合させ、そのスリーブ21s,22sを軸線方向に移動させることにより、隣接する従動ギヤに形成されているスプラインに嵌合させて、ハブ21h,22hすなわち出力軸16と従動ギヤとをトルク伝達可能に連結するように構成されている。
上記の出力軸16に取り付けた出力ギヤ23が、デファレンシャル(終減速機)24のリングギヤ25に噛み合っている。さらに出力軸16と前記第2モータ・ジェネレータ3のロータとがギヤ対26を介して連結されている。なお、第2モータ・ジェネレータ3のステータはケーシング13などの固定部に連結されて固定されている。したがって、第2モータ・ジェネレータ3は出力部材に対して直接トルクを伝達するようになっている。
なお、特には図示しないが、各モータ・ジェネレータ2,3はバッテリーなどの蓄電装置およびインバータに接続されていて、その力行および回生を電気的に制御されるとともに、各モータ・ジェネレータ2,3の間で電力を授受できるようになっている。また、同期連結機構21,22の切換制御を手動によっておこなうように構成することもできるが、適宜のアクチュエータを使用して電気的に制御することもできる。その切換制御は、例えばマイクロコンピュータを主体として電子制御装置によっておこなうことができ、その電子制御装置もしくは前記切換制御を実行する機能的手段が、この発明の切換手段に相当する。
つぎに上記の駆動装置の作用について説明する。上述したように分配機構4は、出力要素として第2サンギヤ8とキャリヤ10とを選択的に使用することができる。その出力要素の選択は、図1に示す例では、同期連結機構21,22によっておこなう。そして、この選択の仕方によって、すなわち第2サンギヤ8を出力要素とした場合とキャリヤ10を出力要素とした場合とでは、エンジン1の出力トルクに対する駆動トルクあるいは出力軸16に現れる出力軸トルクとの関係が変化する。言い換えれば、駆動装置の全体としての運転モードが変化する。
図2は、前述した同期連結機構21,22の動作状態(すなわちスリーブ21s,22sの位置)と設定される変速段との関係をまとめて示す図表である。図2において、「17側」、「18側」などの表示は、各スリーブ21s,22sが移動して係合している方向を示し、×印はスリーブ21s,22sがいずれにも係合していない中立状態を示す。
先ず、第1速は、第1同期連結機構21のスリーブ21sを第1速用ギヤ対17側に移動してその従動ギヤを出力軸16に連結することにより設定される。この状態では、第2サンギヤ8が出力要素となり、第1速用ギヤ対17を介して出力軸16に連結される。これを共線図で示すと、図3の(A)の状態となり、分配機構4における出力要素である第2サンギヤ8の回転数は、反力要素である第1サンギヤ5の回転数より入力要素であるリングギヤ6の回転数を高回転数とした場合には、その入力要素であるリングギヤ6の回転数より更に高回転数になる。そして、出力軸16の回転数は、第1速用ギヤ対17によるギヤ比に従って、第2サンギヤ8の回転数を減速した回転数となる。
この第1速は通常、車両の発進時に設定され、停止状態からの発進を全て上記の駆動装置によって制御するとすれば、エンジン1を燃費の良好な回転数に制御しておき、その状態で第1モータ・ジェネレータ2の回転数をエンジン回転数より大幅に高くして、出力要素である第2サンギヤ8の回転を止めておく。その状態から第1モータ・ジェネレータ2の回転数を次第に低下させると、エンジン1の回転数を一定に維持すれば、第2サンギヤ8の回転数が次第に増大し、車両が発進する。その場合、第1モータ・ジェネレータ2は回転数を低下させるように制御されて発電をおこない、その電力が第2モータ・ジェネレータ3に供給されて、第2モータ・ジェネレータ3が電動機として機能することにより駆動トルクのアシスト(補助)をおこなう。つまり、第2モータ・ジェネレータ3が、この発明の電動機に相当する。
こうして出力要素である第2サンギヤ8の回転数を増大させるために第1モータ・ジェネレータ2の回転数を低下させると、車速の増大に伴って、ついには第1モータ・ジェネレータ2の回転数が、従前とは反対の負回転となる。図3の(A)にはその状態を実線で示してあり、この状態では、第1モータ・ジェネレータ2は要求される反力トルクを発生するために負回転方向に増速するように制御することになる。すなわち、第1モータ・ジェネレータ2が電動機として作用することになる。これは、第1モータ・ジェネレータ2が電力を消費する状態であって、エネルギー効率の悪い状態であるから、これを避けるために、運転モードが変更される。具体的には、第1速から第2速に変速される。
第2速では、キャリヤ10が出力要素となる。上記の図1に示す構成では、一例として、図3に示すように第1モータ・ジェネレータ2の回転数を負回転方向に制御して設定すると、第2速用ギヤ対19における従動ギヤの回転数と出力軸16との回転数が一致する(すなわち同期する)。この同期状態で、第1同期連結機構21が中立状態になり、かつ第2同期連結機構22におけるスリーブ22sが、第2速用ギヤ対19側に移動してその従動ギヤと出力軸16とを係合させる。第2速の状態での共線図を図3の(B)に示してある。したがってキャリヤ10が出力要素となるとともに、第2速用ギヤ対19を介してキャリヤ10が出力軸16に連結される。このような切り換えは、互いに連結され、また連結が解かれる部材の相対回転数が一致している同期状態で実行されるので、ショックが生じず、少なくともショックが抑制される。
キャリヤ10を出力要素とした運転モード、すなわち第2速の状態では、入力要素であるリングギヤ6と反力要素である第1サンギヤ5との中間の回転数であるキャリヤ10が出力要素となるので、そのキャリヤ10に現れるトルクは、エンジン1の出力トルクより大きくなる。言い換えれば、分配機構4がトルクコンバータとして機能する。
第2速で設定される運転モードでは、エンジン回転数を一定に維持した場合、反力要素である第1サンギヤ5の回転数を増大させることにより、出力要素であるキャリヤ10の回転数が増大する。すなわち、第1モータ・ジェネレータ2を負回転・力行状態からその回転数を次第に低下させて正回転状態とし、さらに発電機として機能させつつその回転数を増大させることにより、キャリヤ10の回転数、すなわち車速が増大する。この場合、第1モータ・ジェネレータ2で生じた電力が第2モータ・ジェネレータ3に供給されてこれが電動機として機能するので、その出力トルクによって駆動トルクがアシストされる。
第2速の状態で第1モータ・ジェネレータ2の回転数を次第に増大させると、キャリヤ10の回転数が次第に増大するとともに第1サンギヤ5の回転数が次第に低下する。そのため、図4の(A)に示す状態になると、第3速用ギヤ対18における従動ギヤの回転数と出力軸16との回転数が一致する(すなわち同期する)。この同期状態で、第2同期連結機構22が中立状態になり、かつ第1同期連結機構21におけるスリーブ21sが、第3速用ギヤ対18側に移動してその従動ギヤと出力軸16とを連結する。第3速の状態での共線図を図4の(B)に示してある。したがって第2サンギヤ8が出力要素となるとともに、第3速用ギヤ対18を介して第2サンギヤ8が出力軸16に連結される。このような切り換えは、互いに連結され、また連結が解かれる部材の相対回転数が一致している同期状態で実行されるので、ショックが生じず、少なくともショックが抑制される。
第3速では第2サンギヤ8が出力要素となっているので、前述した第1速の場合と同様の運転モードであり、したがって第1モータ・ジェネレータ2の回転数を低下させることにより出力要素である第2サンギヤ8の回転数が増大する。すなわち車速の増大に応じて第1モータ・ジェネレータ2の回転数を低下させることになる。そして、車速がある程度増大すると、第1モータ・ジェネレータ2が負回転・力行状態になることがある。図1に示す具体例では、第4速に同期した状態で第1モータ・ジェネレータ2が負回転・力行状態となる。その例を図5に示してある。
図5の(A)は第3速の状態を示しており、車速の増大に伴って出力要素である第2サンギヤ8の回転数が増大していることにより、反力要素である第1サンギヤ5に連結されている第1モータ・ジェネレータ2が逆回転し、力行状態となる。この状態では、第4速用ギヤ対20における従動ギヤと出力軸16との回転数が一致(同期)する。したがって、この同期状態で第1同期連結機構21が中立状態に切り換えられ、かつ第2同期連結機構22におけるスリーブ22sが、第4速用ギヤ対20側に移動させられて、その従動ギヤと出力軸16とを連結する。こうして、ショックを悪化させることなく、運転モードが切り換えられる。
この第4速を設定している運転モードは、上述した第2速を設定している運転モードと同様であるから、車速の増大に伴って第1モータ・ジェネレータ2の回転数を増大させることになる。その場合、第1モータ・ジェネレータ2は発電機として機能するので、その電力を第2モータ・ジェネレータ3に供給して第2モータ・ジェネレータ3によって駆動トルクのアシストをおこなうことができる。
このように、この発明に係る上記の駆動装置では、車速の増大に伴って反力要素の回転数を低下させる運転モードと、これとは反対に反力要素の回転数を増大させる運転モードとに切り換えることができる。そのため、反力要素である第1サンギヤ5に連結されている第1モータ・ジェネレータ2を過度に負回転・力行状態に制御したり、あるいは過度に正回転・回生状態に制御したりする必要がなくなる。特に、上記の具体例のように変速機が3段以上の多段であれば、変速機でトルクを増大させることができるので、第1モータ・ジェネレータ2の回転数の制御幅を抑制することができる。その結果、エンジン1が出力したトルクのうち多くの部分が電力に変換されることなく出力軸16に伝達され、いわゆるエンジン直達分が増大するので、エネルギー損失が抑制され、また第1モータ・ジェネレータ2として比較的容量の小さい小型のものを使用でき、ひいてはこの第1モータ・ジェネレータ2から電力を受けて電動機として機能する第2モータ・ジェネレータ3を比較的小さい容量の小型のものとすることができる。すなわちこの発明に係る駆動装置によれば、分配機構4が二組の遊星歯車機構を組み合わせて小型化できることと相まって、車載性の良好な駆動装置とすることができる。
ところで、上述した具体例における各中間軸14,15と出力軸16との間に設けられるギヤ対の配列に特に制約はないのであって、第1中間軸14と出力軸16との間に、奇数段のギヤ対を設ける替わりに偶数段のギヤ対を設け、また第2中間軸15と出力軸16との間に、偶数段のギヤ対を設ける替わりに奇数段のギヤ対を設けてもよい。その一例を図6に示してある。
図6に示す駆動装置では、キャリヤ10に連結されている第2中間軸15と出力軸16との間に、第1速用ギヤ対17と第3速用ギヤ対18とが設けられてとともに、これに対応して第1同期連結機構21が、出力軸16と同軸上でかつ各ギヤ対17,18の間に配置されている。また、第1中間軸14と出力軸16との間には、第2速用ギヤ対19が設けられ、かつ第4速用ギヤ対20に替えて後進段用ギヤ対27が設けられている。なお、後進段用ギヤ対27は駆動ギヤに対して従動ギヤを反対方向に回転させる必要があるので、アイドルギヤを駆動ギヤと従動ギヤとの間に介在させた三つのギヤによって構成されている。そして、これら第2速用ギヤ対19と後進段用ギヤ対27との間に第2同期連結機構22が配置されている。他の構成は、図1に示す構成と同様であり、図6に図1と同様の符号を付してその説明を省略する。
図6に示す構成の駆動装置では、主として発進時に使用される第1速は、図7に作動係合表として示すように、第1同期連結機構21のスリーブ21sを第1速用ギヤ対17側に移動させてその従動ギヤと出力軸16とを連結することにより設定される。その場合、第1速用ギヤ対17が連結されているキャリヤ10が出力要素となる。このキャリヤ10の回転数が、第1モータ・ジェネレータ2の回転数をエンジン回転数より低回転数とすることにより、エンジン回転数より低回転数となるので、出力要素であるキャリヤ10に現れるトルクは、エンジントルクより大きくなる。すなわち、発進時の駆動トルクとしてエンジントルクを増幅したトルクを発生させることができるので、発進加速性が良好になる。
また、図6に示す構成では、後進段用のギヤ対27を備えているので、主としてエンジントルクを使用して後進走行することができ、バッテリーなどの蓄電装置の負荷を低減できるとともに、後進走行時の動力損失を低減もしくは防止することができる。なお、図6に示す構成の駆動装置であっても、二種類の運転モードを設定できること、そのためにエネルギー効率の良好な走行をおこなうことができること、各モータ・ジェネレータ2,3を小型化できること、分配機構4の構成を簡素化して小型化できること、運転モードの切り換えを同期状態でおこなうことによりショックを防止できることなど、前述した図1に示す例と同様の作用・効果を得ることができる。
さらに、この発明の他の具体例について説明する。上述した各具体例では、第2モータ・ジェネレータ3をギヤ対26を介して出力軸16に連結した構成としたが、以下の具体例では、エンジン1から出力軸16に向けたトルクの伝達方向での出力軸16よりいわゆる上流側の部材に第2モータ・ジェネレータ3からトルクが伝達されるように構成されている。これは、前述した各具体例の構成では、第2モータ・ジェネレータ3と出力軸16との間の変速比がギヤ対26による変速比に固定されるのに対して、第2モータ・ジェネレータ3と出力軸16との間の変速比を変化させるための構成である。
図8に示す例は、前述した図6に示す構成の一部を変更したものであって、第2モータ・ジェネレータ3がギヤ対26を介して第1中間軸14に連結されており、また後進段を設定するギヤ対に替えて第4速を設定するギヤ対20が設けられており、さらに第1速および第3速では第2中間軸15からトルクを出力し、第2速および第4速では第1中間軸14からトルクを出力するように構成されている。
すなわち、第2中間軸15と出力軸16との間に、第1速用ギヤ対17および第3速用ギヤ対18ならびにこれらのギヤ対17,18を出力軸16に対して選択的に連結する第1同期連結機構21が設けられている。また、第1中間軸14と出力軸16との間に、第2速用ギヤ対19および第4速用ギヤ対20ならびにこれらのギヤ対19,20を出力軸16に対して選択的に連結する第2同期連結機構22が設けられている。そして、第1中間軸14上で第2速用ギヤ対19と第4速用ギヤ対20との間に、第2モータ・ジェネレータ3を第1中間軸14に連結するためのギヤ対26が配置されている。なお、このギヤ対26は、チェーンなどの他の伝動機構に変更してもよい。その第1中間軸14は分配機構4を構成している遊星歯車機構における第2サンギヤ8に連結されているから、結局、駆動力を補助するための第2モータ・ジェネレータ3が、出力要素もしくはこれに一体の部材にトルクを伝達するように構成されている。なお、図8において符号28はダンパー機構を示し、エンジン1の出力軸とリングギヤ6との間に介在されている。他の構成は図6に示す構成と同様であるから、図8に図6と同じ符号を付してその説明を省略する。
したがって図8に示す遊星歯車機構の構成および出力軸16にトルクを伝達する変速機ならびに連結機構の構成は、各変速段でトルクを出力する要素が異なるものの基本的には、前述した図6もしくは図1に示す構成と同様であるから、図8に示す駆動装置における遊星歯車機構についての作動係合表は前述した図2と同様になる。また、上記の分配機構4を構成している遊星歯車機構における四つの回転要素の相互の関係を、遊星歯車機構のギヤ比(サンギヤの歯数とリングギヤの歯数との比)に相当する間隔で相互に平行に引いた線分で表す共線図では、出力要素であるキャリヤ10を挟んだ両側に、発電機である第1モータ・ジェネレータ2が連結されている反力要素としての第1サンギヤ5とエンジン1が連結されている入力要素であるリングギヤ6とが位置し、そのリングギヤ6を挟んでキャリヤ10とは反対側に、この発明の電動機に相当する第2モータ・ジェネレータ3が連結されている他の出力要素である第2サンギヤ8が位置している。
図8に示す駆動装置の作用を図9の共線図を参照して説明すると、発進には第1速を設定するので、キャリヤ10の回転を止めた状態からその回転数を次第に増大させる。すなわち、エンジン1を所定の回転数に設定した状態で第1モータ・ジェネレータ2をエンジン1とは逆方向に回転させることにより、キャリヤ10の回転を止めておき、その状態でスリーブ21sを第1速用ギヤ対17側に係合させる。そして、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を次第に低下させると、キャリヤ10の回転数が次第に増大し、第2中間軸15および第1速用ギヤ対17を介して出力軸16にトルクが伝達されて車両が発進する。その場合、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を低下させるように制御するから、第1モータ・ジェネレータ2は発電をおこなう。そして、第1モータ・ジェネレータ2の回転数がゼロの状態では、エンジン1の出力したトルクが遊星歯車機構やギヤ対などの機械的構成要素を介して出力軸16に伝達される。言い換えれば、エンジン1の出力した動力が電力に変換されることなく走行のために使用され、エンジン1から出力軸16へのいわゆる直達分が増大するので、動力損失を防止もしくは低減できる。
車速が増大して第2速に切り換える場合、第2速では第2サンギヤ8を出力要素として第1中間軸14からトルクを出力することになり、第1モータ・ジェネレータ2およびこれが連結されている第1サンギヤ5を固定している状態では、第1速での出力要素であるキャリヤ10と第2サンギヤ8との回転数が相違している。したがって、その変速中には、第1モータ・ジェネレータ2の回転数を増大させてキャリヤ10と第2サンギヤ8との回転数を近づけ、第1速用ギヤ対17と第2速用ギヤ対19とのそれぞれにおける従動ギヤの回転数を同期させる。その状態で、第1同期連結機構21におけるスリーブ21sをニュートラル状態に外し、かつ第2同期連結機構22におけるスリーブ22sを第2速用ギヤ対19側に移動して、第2速用ギヤ対19と出力軸16とを連結する。その結果、各同期連結機構21,22での連結状態の切り換えに伴って回転数の変動が生じないので、ショックのない変速をおこなうことができる。
第2サンギヤ8およびそれに連結された第1中間軸14からトルクを出力する駆動モードにおいても、第1モータ・ジェネレータ2を固定した状態では、運動エネルギと電気的エネルギとの変換をおこなわないので、動力損失を防止もしくは低減できる。その状態では、第2速用ギヤ対19における従動ギヤの回転数すなわち出力軸16の回転数と第3速用ギヤ対18における従動ギヤの回転数とが異なっている。そこで、第2速と第3速との間での変速をおこなう場合、第1モータ・ジェネレータ2を逆回転方向に制御して、キャリヤ10と第1サンギヤ5との回転数の比率が、第2速用ギヤ対19のギヤ比と第3速用ギヤ対18のギヤ比との比率に対応した比率となるように制御する。こうすることにより、各ギヤ対18,19における従動ギヤの回転数が同期するので、その時点で、第2同期連結機構22におけるスリーブ22sをニュートラル状態に切り換え、かつ第1同期連結機構21におけるスリーブ21sを第3速用ギヤ対18側に移動して、そのギヤ対18を出力軸16に連結することにより第3速を設定する。したがってこのような変速の場合においても、変速ショックの発生することを防止することができる。
そして、図8に示す駆動装置では、第2速と第4速とで出力軸16に対するトルクの伝達をおこなう第1中間軸14に、いわゆるアシスト動力源としての第2モータ・ジェネレータ3がギヤ対26を介して連結されているので、各変速段において、第2モータ・ジェネレータ3が出力するトルクによって駆動トルクを補助することができる。その場合、各変速段では、ギヤ対26のみならず、第2速用ギヤ対19あるいは第4速用ギヤ対20のギヤ比(変速比)もしくは分配機構4を構成している遊星歯車機構のギヤ比(サンギヤの歯数とリングギヤの歯数との比)に応じて、第2モータ・ジェネレータ3のトルクが増大させられて出力軸16に伝達される。すなわち、第2モータ・ジェネレータ3の出力トルクを増大させて出力軸16に伝達でき、しかもその変速比すなわち増大率を変化させることができるので、その変速比を適当な値に設定することにより、第2モータ・ジェネレータ3を高回転数・低トルクで駆動することにより、車両に対する駆動要求を満たすことが可能になる。モータ・ジェネレータの体格はその出力トルク容量に大きく依存して決まるので、第2モータ・ジェネレータ3が高回転数・低トルク型でよいことにより、小型のものを採用でき、その結果、駆動装置の全体を小型・軽量化することが可能になる。
ところで、この発明における連結機構としては、上述した各同期連結機構21,22以外に適宜の構造のものを採用することができる。その一例として、いわゆる歯の噛み合いにより係合するドグクラッチを採用してもよい。このようなドグクラッチは完全係合と完全解放との二つの状態しか存在しないのでは、変速過渡時にエネルギを吸収することがないが、上述したように、第1モータ・ジェネレータ2を制御することにより各変速段のギヤ対の回転数を同期させることができるので、変速ショックのない変速が可能である。また、ドグクラッチは摩擦クラッチと比較した場合、係合状態を維持するための外力(例えば油圧)を必要としないので、例えば油圧ポンプを駆動することによる動力損失を回避でき、また摩擦クラッチにおけるような引き摺り損失を回避できる。
なお、図8に示すように、出力軸16側に同期連結機構22を配置し、その同期連結機構22の外周側に、ギヤ対26を配置すれば、同期連結機構22を設けることにより生じる軸線方向での空間部分を有効利用してギヤ対26を配置できる。そのため、軸線方向に並ぶ部材の数が少なくなって、駆動装置の全体としての軸長を短くでき、あるいはスペースの有効利用により、駆動装置を小型化し、車載性を向上させることができる。
上述した各具体例におけるハイブリッド車の駆動装置では、複数対の変速用ギヤ対からなる歯車変速機構が、四つの回転要素を有するいわゆる複合式の遊星歯車機構の出力側に連結されている。したがって二つの出力要素のそれぞれが出力軸16に対して同時に連結されても出力軸16に対するトルクの伝達の点で矛盾が生じず、駆動装置の全体の回転が止まることはない。このような状態は、第1同期連結機構21を第1速側もしくは第3速側に動作させると同時に、第2同期連結機構22を第2速側もしくは第4速側に動作させることにより設定され、これを、仮に機械直結変速段と称する。
その機械直結変速段をも設定するように構成した場合の作動係合表を図10に示してある。図10に示す例では、第1同期連結機構21を第1速側に作用させると同時に第2同期連結機構22を第2速側に作用させる「1−2ロック」段と、第2同期連結機構22を第2速側に作用させると同時に第1同期連結機構21を第3速側に作用させる「2−3ロック」段と、第1同期連結機構21を第3速側に作用させると同時に第2同期連結機構22を第4速側に作用させる「3−4ロック」段との三つの機械直結変速段を、第1速から第4速の変速段に加えて設定するように構成されている。そして、これらの機械直結変速段の変速比は、機械直結変速段以外の変速段の変速比の中間の値になる。
機械直結変速段では、分配機構4を構成している遊星歯車機構の二つの出力要素8,10が単一の出力軸16に連結されるので、遊星歯車機構および変速機は特定の動作状態に固定される。言い換えれば、エンジン1と出力軸16とが機械的に直結された状態となる。したがってその状態では、第1モータ・ジェネレータ2による発電およびその電力を使用した第2モータ・ジェネレータ3の力行をおこなわせないように制御することにより、電力を介した動力の伝達がおこなわれないので、動力の伝達効率が向上し、ひいては車両の全体としての燃費が向上する。
なお、機械直結変速段以外の変速段では、二つの出力要素のうちのいずれか一方のみが出力軸16に連結されているので、遊星歯車機構が差動作用をおこなうことができ、したがって第1モータ・ジェネレータ2によるいわゆる反力トルクを制御することにより、エンジン1と出力軸16との間の回転数比(すなわち変速比)を連続的に変化させることができる。これを図10には「電気CVT」と記載してある。
このように機械直結変速段を併用するように構成すれば、更に多様な駆動状態を選択することが可能になるので、乗り心地や動力性能を損なうことなく燃費を向上させることができる。
上述したように機械直結変速段は、エンジン1と出力軸16とを機械的に直結し、これらの間の遊星歯車機構や変速機の動作状態を特定の状態に固定する変速段である。したがってそのような動作状態の特性を活かすことのできる車両の走行状態で機械直結変速段を設定することが望ましい。そのためには、車速やアクセル開度などの車両の走行状態から所定の条件の成立を判断し、その判断の結果に基づいて機械直結変速段を設定し、もしくは他の変速段(電気CVT変速段)を設定するように構成することが好ましい。
図11のその判断をおこなうためのフローチャートを示している。なお、このフローチャートに基づく制御を実行する手段(例えば図示しない電子制御装置)が、この発明の制御手段に相当する。図11において、先ず、機械直結変速段を設定するための条件の成立が判断される(ステップS1)。その条件の一例は、車速が予め定めた所定の範囲内であり、かつ車速と要求駆動力との変化が所定値以下の定常走行状態にあり、さらに機械直結変速段の方が燃費がよいことである。他の条件の例は、運転者の手動操作によって機械直結変速段が選択されていることである。更に他の条件は、ナビゲーション装置や通信手段などで得られた道路情報が、高速道路などの定常走行もしくはこれに近い走行を維持する道路であることを示している場合である。
これらいずれかの条件もしくはいずれか複数の条件が成立した場合に、ステップS1で肯定的に判断され、機械直結変速段が設定される(ステップS2)。なお、設定される機械直結変速段は、車速などの車両の走行状態に適した前述の三つの機械直結変速段のいずれかである。これとは反対にステップS1で否定的に判断された場合には、第1速、第2速、第3速、第4速の電気CVT変速段のいずれかが、車両の走行状態に基づいて設定される(ステップS3)。
機械直結変速段を選択する条件として、上記の車両の走行状態に基づく条件以外に、駆動装置の状況に基づく条件を採用することもできる。その一例は、各モータ・ジェネレータ2,3の負荷が大きく、また遊星歯車機構もしくは変速機の温度が高いことである。このような条件が成立した場合に、機械直結変速段が設定される。機械直結変速段では、モータ・ジェネレータ2,3が力行動作や回生動作をおこなわないので、電気系統での損失(発熱)がなくなり、その結果、各機構の温度や潤滑油の温度を低下させ、あるいは温度上昇を抑制することができる。
上記の各モータ・ジェネレータ2,3は、発電機および電動機のいずれとしても動作させることができ、また機械直結変速段はモータ・ジェネレータ2,3を使用して設定する変速段ではないので、これらのモータ・ジェネレータ2,3を発電機および電動機のいずれとしても動作させることができる。したがって、上記の温度を条件として機械直結変速段を設定する場合、低温でありかつ発熱量が少なく、また許容温度が高いなどの温度条件の緩い方のモータ・ジェネレータ2,3によってトルクアシストをおこない、もしくはエネルギの回生をおこなう。このようにすれば、駆動力の段差を緩和できるので、変速が頻繁に生じるいわゆるシフトハンチングを回避もしくは抑制することができる。また、エネルギ回生をおこなうことにより燃費を向上させることができる。
また、いずれかのモータ・ジェネレータ2,3を使用してトルクアシストとエネルギ回生とをおこなう場合、高速側の変速段でトルクアシストをおこない、かつ低速側の変速段で回生をおこなうことにより、電力収支を調整することとしてもよい。このようにすれば、バッテリーなどの蓄電装置における充電容量(SOC)を所定範囲に維持しつつ走行を継続することができる。
図11のステップS1での条件の更に他の例は、車速がゼロで、車両のメインスイッチがオフが成立することである。すなわち、車両が停止状態を維持することの条件が成立することである。その場合の機械直結変速段は、第1速と第2速との中間の変速比の機械直結変速段である。前述したように機械直結変速段では、エンジン1と出力軸16とが機械的に直結された状態となるので、エンジン1の慣性力および摩擦力が、出力軸16の回転を止める方向に作用する。
したがって車両が停止状態を維持する条件が成立したことにより機械直結変速段を設定すれば、エンジン1の慣性力や摩擦力によって車両を停止状態に維持でき、いわゆるパーキングブレーキの作用を生じさせることができる。そのため出力軸を噛み合い機構などによって固定する従来のパーキングロック機構を廃止できるなど、駆動装置の構成を簡素化することが可能になる。また、シフトケーブルの取り回しを簡素化でき、さらにアクチュエータなどの追加をおこなうことなくシフトバイワイヤ化が可能であるから、商品性を向上させることができる。
さらに、パーキング状態での機械直結変速段を第1速と第2速との間の変速比とすることにより、大きい制動力を生じさせることができると同時に、第2同期連結機構22のスリーブ22sをニュートラル状態とすることにより、直ちに第1速を設定できる。そのため、発進応答性が良好になる。なお、連結機構として噛み合い式のドグクラッチを採用した場合、車両停止状態で機械直結変速段を設定する際に第1モータ・ジェネレータ2をモータとして機能させることにより、エンジン1が停止していてもギヤを回転させて、ドグクラッチの噛み合いを確実に達成することができる。
ところで、上述した図8に示す駆動装置は、第2モータ・ジェネレータ3をギヤ対26によって第1中間軸14に連結した構成となっているが、これに替えて図12に示すように構成してもよい。すなわち、図12に示す駆動装置では、第2モータ・ジェネレータ3の出力軸が第4速用ギヤ対20に、ギヤ対26を介して連結されている。その第4速用ギヤ対20は、第1中間軸14に常時連結され、出力軸16には、第2同期連結機構22によって選択的に連結されるように構成されているので、第2モータ・ジェネレータ3は、結局、第1中間軸14に常時連結されている。
したがって図12に示すような構成では、図8に示す構成と比較して、第1中間軸14に取り付けるギヤの数を減らすことができるので、構成部品を少なくできると同時に、軸線方向に並べて配置する部品の数が少なくなって全体としての軸長を短くすることができ、ひいては駆動装置の全体としての構成を簡素化することができる。
図8を参照して説明したように、エンジン1から出力軸16に向けたトルクの伝達方向で変速機より上流側に、駆動トルクを補助する機能を有する動力源である第2モータ・ジェネレータ3を設けることにより、その出力トルクを複数の変速比で変化させることが可能になる。そして、そのような機能を有効に活かすことにより第2モータ・ジェネレータ3を高回転・低トルク型として小型化を図ることができる。このような作用・効果は、要は、第2モータ・ジェネレータ3が変速機より上流側に配置されていることにより得られるのであるから、第2モータ・ジェネレータ3は第1中間軸14に連結する以外に、例えば入力要素であるリングギヤ6に連結してもよい。その例を図13に示してある。なお、図13に示す構成における遊星歯車機構の四要素の共線図上での配列は、反力要素である第1サンギヤ5(第1モータ・ジェネレータ2)、出力要素であるキャリヤ10、入力要素であるリングギヤ6(エンジン1および第2モータ・ジェネレータ3)、出力要素である第2サンギヤ8の順になる。
したがって図13に示すように構成しても、図8に示す構成の駆動装置と同様の作用・効果を得ることができる。また、図13に示す構成における第2モータ・ジェネレータ3の配置位置は、従来の一般の車両における発進クラッチやトルクコンバータが配置されていた位置であり、したがって既存の変速機もしくは駆動装置を大幅に変更することなく、あるいは大型化することなく、図13の構成の駆動装置を得ることができる。
この発明の更に他の具体例を図14に示す。この図14に示す駆動装置は、前述した図8に示す構成のうち、第2モータ・ジェネレータ3およびこれに関連するギヤ対26を省くとともに、第1モータ・ジェネレータ2をケーシング13などの所定の固定部に選択的に連結して固定する固定係合機構29を設け、他の構成は図8と同様にしたものである。なお、固定係合機構29は、ケーシング13に一体化された固定ハブ29hと第1モータ・ジェネレータ2の出力軸に一体化されて回転ハブ30hとに、軸線方向に移動可能なスリーブ29sを係合させることにより、第1モータ・ジェネレータ2を固定するように構成されている。
したがって、図14に示す構成における遊星歯車機構の四要素の共線図上での配列は、反力要素である第1サンギヤ5(第1モータ・ジェネレータ2)、出力要素であるキャリヤ10、入力要素であるリングギヤ6(エンジン1)、出力要素である第2サンギヤ8の順になる。
図14に示す構成の駆動装置では、分配機構4を構成する四要素の遊星歯車機構が差動作用を生じるので、エンジン1からリングギヤ6にトルクが入力している状態で、第1モータ・ジェネレータ2から第1サンギヤ5に反力トルクを入力することにより、出力要素であるキャリヤ10もしくは第2サンギヤ8に現れるトルクを適宜に制御でき、また同時にエンジン回転数を適宜に制御できる。そして、キャリヤ10もしくは第2サンギヤ8から出力されたトルクを、いずれかの変速段用ギヤ対を介して出力軸6に伝達し、所望の駆動力を発生させることができる。これは、いわゆる電気的な無段変速の状態である。
その場合、第1モータ・ジェネレータ2が反力トルクを発生し、あるいは駆動トルクを出力すれば、機械的な動力を一旦電力に変化することになり、それに伴う動力損失が生じる可能性がある。したがっていずれか一つの変速段用ギヤ対を介してトルクを出力している場合には、第1モータ・ジェネレータ2を停止させて、機械的動力と電力との変換をおこなわないことが好ましく、これに適する変速段を選択すると同時に前記固定係合機構29によって第1モータ・ジェネレータ2を固定する。その状態を図15の作動係合表に(〇)のシンボルで示してある。
他方、図14に示す構成であっても、前述した具体例と同様に機械直結変速段を設定することが可能である。その機械直結変速段は、前述したように第1同期連結機構21と第2同期連結機構22とのそれぞれを、いずれかの変速段を設定するように動作させることによって設定され、図15には、これを第2速(2nd)、第4速(4th)、第6速(6th)として示してある。これらの変速段では、基本的には、第1モータ・ジェネレータ2を発電機および電動機のいずれとしても動作させる必要はないので、電力損失などの形での損失を防止でき、燃費を向上させることができる。なお、機械直結変速段では、反力要素である第1サンギヤ5を含む四つの各回転要素が、エンジン回転数もしくは出力軸16の回転数とギヤ比とに応じた回転数で回転する。したがって、前記固定係合機構29は、解放状態として第1モータ・ジェネレータ2の回転を許容する。なおその場合、第1モータ・ジェネレータ2を発電機として機能させてエネルギ回生をおこない、あるいは電動機として機能させてトルクアシストをおこなってもよいことは、上述した具体例と同様である。
したがって図14に示す構成の駆動装置は、分配機構4を構成している遊星歯車機構の差動機能を利用して第1モータ・ジェネレータ2によってエンジン回転数を制御し、また第1モータ・ジェネレータ2を回生および力行できるいわゆるハイブリッド機能を備えているので、車両全体としての燃費を向上させることができる。また、変速機が有段式のものであっても、変速比の切り換え時には、第1モータ・ジェネレータ2による回転数制御によって変速段用ギヤ対の回転数を同期回転数に設定できるから、いわゆるトルク抜けや変速ショックのない変速が可能になる。さらに、このような回転数制御が可能であることにより、摩擦係合装置やこれを制御する流体制御装置が不要であり、しかも特別な発進装置も不要であるから、駆動装置およびその制御装置を簡素化することができる。
さらに上述した複数の機械直結変速段を設定できるので、電力を介した駆動状態を少なくして燃費を向上させることができると同時に電力収支の調整が容易になり、しかも機械直結変速段の数が多いことにより変速段毎のトルク段差が小さくなり、その結果、変速の際のトルク変化が小さくなってドライバビリティが向上するとともに、機械直結変速段でのエンジン1の運転点が最適燃費運転点に近くなり、この点でも燃費を向上させることができる。
ところで、上記の第1モータ・ジェネレータ2がこの発明の発電機に相当するが、この発明は上述した各具体例に限定されないのであり、この発明における発電機は、電動機としての機能を有していないものであってもよく、あるいは電動機と並列に用いられるように構成された発電機であってもよい。またこの発明の連結機構は上記の同期連結機構以外に、多板クラッチや噛み合いクラッチ(ドグクラッチ)などの他の構成のものであってもよい。また、この発明の変速機は、上述したいわゆる平行ギヤ式の歯車列を有する変速機に限らず、遊星歯車機構などの他の歯車列を備えたもの、あるいは無段階に変速比を変化させることのできる変速機であってもよい。
この発明に係る駆動装置の一例を模式的に示すスケルトン図である。 各変速段あるいは運転モードを設定するための連結機構の作動係合表を示す図表である。 第1速と第2速との同期状態を示す共線図である。 第2速と第3速との同期状態を示す共線図である。 第3速と第4速との同期状態を示す共線図である。 この発明に係る駆動装置の他の例を模式的に示すスケルトン図である。 その各変速段あるいは運転モードを設定するための連結機構の作動係合表を示す図表である。 この発明に係る駆動装置の更に他の例を模式的に示すスケルトン図である。 図8に示す駆動装置の動作状態説明するための共線図である。 図8に示す駆動装置を機械直結変速段の設定可能な構成とした場合の各変速段を設定する作動係合表を示す図表である。 機械直結変速段を設定するための制御フローチャートの一例を簡略化して示す図である。 この発明に係る駆動装置の更に他の例を模式的に示すスケルトン図である。 第2モータ・ジェネレータを入力要素に連結したこの発明の一例を模式的に示すスケルトン図である。 補助駆動装置を備えていないこの発明の一例を模式的に示すスケルトン図である。 図14に示す駆動装置についての作動係合表を示す図表である。
符号の説明
1…内燃機関(エンジン)、 2,3…モータ・ジェネレータ、 4…分配機構、 5…第1サンギヤ、 6…リングギヤ、 8…第2サンギヤ、 10…キャリヤ、 16…出力軸、 17,18,19,20,27…(変速段用)ギヤ対、 21,22…同期連結機構、 29…固定係合機構。

Claims (4)

  1. 内燃機関と発電機とを、差動作用のある分配機構を介して出力部材に連結し、前記内燃機関から前記分配機構に入力されたトルクに対して前記発電機によって反力トルクを与えて、前記出力部材にトルクを出力するハイブリッド車の駆動装置において、
    前記分配機構が、二組の遊星歯車機構を組み合わせて四つの回転要素を有する歯車機構として構成され、
    前記回転要素のいずれかが前記内燃機関からトルクが入力される入力要素とされるとともに、他のいずれかの要素が前記入力要素のトルクに対する反力トルクが前記発電機から入力される反力要素とされ、前記入力要素と前記反力要素と共に差動作用をなす他の二つの要素が出力要素とされ、
    これら二つの出力要素を前記出力部材に選択的に連結する連結機構を備えているとともに、前記出力部材に、駆動トルクを補助する他の動力源が連結されており、
    前記分配機構と前記出力部材との間に、少なくとも二段に変速比を変化させることのできる変速機が設けられ、
    前記連結機構が、前記反力要素の回転数に対して前記入力要素の回転数が高回転数の場合にその入力要素より更に高回転数となる一方の出力要素を、変速比が最も大きい低速変速比の状態の前記変速機を介して前記出力部材に連結する機構と、前記反力要素と前記入力要素との中間の回転数となる他方の出力要素を、変速比が前記低速変速比より小さい他の変速比の状態の前記変速機を介して前記出力部材に連結する機構とを有している
    ことを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。
  2. 内燃機関と発電機とを、差動作用のある分配機構を介して出力部材に連結し、前記内燃機関から前記分配機構に入力されたトルクに対して前記発電機によって反力トルクを与えて、前記出力部材にトルクを出力するハイブリッド車の駆動装置において、
    前記分配機構が、二組の遊星歯車機構を組み合わせて四つの回転要素を有する歯車機構として構成され、
    前記回転要素のいずれかが前記内燃機関からトルクが入力される入力要素とされるとともに、他のいずれかの要素が前記入力要素のトルクに対する反力トルクが前記発電機から入力される反力要素とされ、前記入力要素と前記反力要素と共に差動作用をなす他の二つの要素が出力要素とされ、
    これら二つの出力要素を前記出力部材に選択的に連結する連結機構を備えているとともに、前記入力要素に、駆動トルクを補助する他の動力源が連結されており、
    前記分配機構と前記出力部材との間に、少なくとも二段に変速比を変化させることのできる変速機が設けられ、
    前記連結機構が、前記反力要素の回転数に対して前記入力要素の回転数が高回転数の場合にその入力要素より更に高回転数となる一方の出力要素を、変速比が最も大きい低速変速比の状態の前記変速機を介して前記出力部材に連結する機構と、前記反力要素と前記入力要素との中間の回転数となる他方の出力要素を、変速比が前記低速変速比より小さい他の変速比の状態の前記変速機を介して前記出力部材に連結する機構とを有している
    ことを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。
  3. 前記反力要素を所定の固定部に連結して回転しないように固定する固定係合機構を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車の駆動装置。
  4. 前記歯車機構が二つのサンギヤとそれぞれ一つのキャリヤおよびリングギヤを有するラビニョ型遊星歯車機構によって構成され、
    前記内燃機関が前記リングギヤに連結されるとともに、前記発電機が前記リングギヤと共にシングルピニオン型遊星歯車機構を形成する第1サンギヤに連結され、
    前記変速機が、変速比の異なる第1速用および第2速用の少なくとも二対のギヤ対を有し、
    前記連結機構が、前記リングギヤと共にダブルピニオン型遊星歯車機構を形成する第2サンギヤに、前記第1速用ギヤ対を介して前記出力部材を選択的に連結する機構と、前記キャリヤに第2速用ギヤ対を介して前記出力部材を選択的に連結する機構とを有している
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車の駆動装置。
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