JP4093207B2 - ハイブリッド車の駆動装置 - Google Patents

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Description

この発明は、動力源として、エンジンおよびモータ・ジェネレータを有するハイブリッド車の駆動装置に関するものである。
従来、複数の動力源としてエンジンおよびモータ・ジェネレータを搭載したハイブリッド車が知られており、このようなハイブリッド車においては、エンジンおよびモータ・ジェネレータの持つ特性を生かしつつ、燃費を向上し、かつ、排気ガスの低減を図ることが可能である。このように、動力源としてエンジンおよびモータ・ジェネレータを有するハイブリッド車の一例が、特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されているハイブリッド車は、エンジンと第1,第2モータとの二種類の動力源を有しており、それらの動力源と車軸との間の動力伝達経路に、第1,第2の二つの遊星歯車が配置されている。これらの二つの遊星歯車は共に、サンギヤおよびリングギヤと、サンギヤおよびリングギヤに噛合するピニオンギヤを支持するキャリヤとを有している。それらのうち、第1遊星歯車のキャリヤとエンジンとが連結され、第1遊星歯車のリングギヤと車軸および第2遊星歯車のキャリヤとが連結され、さらにその第2遊星歯車のキャリヤが第2円錐クラッチを介して第1モータに連結されている。また、第1遊星歯車のサンギヤと第2遊星歯車のサンギヤとが連結され、それらのサンギヤが第1円錐クラッチを介して第1モータに連結されている。そして、第2遊星歯車のリングギヤが第2モータに連結されている。
そして、この特許文献1に記載されている駆動装置によれば、これらの第1,第2モータおよび第1,第2遊星歯車の連結関係の切り換え、および各モータの回転を制御することによって、無段階な変速比での変速をおこなうことができるとともに、固定された変速比での減速・直結・増速の各駆動をおこなうことが可能となるとされている。
また、特許文献2には、複数の動力源としてエンジンおよび第1,第2の二つのモータを有し、それらの動力源と駆動軸との間の動力伝達経路にプラネタリギヤ(遊星歯車)が配置され、さらに第2のモータの回転軸を、エンジンの出力軸に結合可能とする第1のクラッチと駆動軸に結合可能とする第2のクラッチが設けられた動力出力装置を搭載した車両(すなわちハイブリッド車)が記載されている。
特開平11−334397号公報 特開平11−332018号公報
ところで、上記の特許文献1の公報に記載されているハイブリッド車においては、エンジンのトルクが第1遊星歯車を介して車軸へ伝達される際に、遊星歯車での減速比が小さい場合、すなわち、高速走行時などのように、エンジンのトルクがあまり減速されずに車軸へ伝達されるか、あるいは入力要素と出力要素とが直結状態となってエンジンのトルクが車軸へ伝達される場合には、反力要素として、第1遊星歯車のサンギヤおよび第2遊星歯車のサンギヤに連結されている第1モータの回転が、ほぼ停止させられるかあるいは停止させられる。このとき、第1モータには、入力要素である第1遊星歯車のキャリヤおよび出力要素である第1遊星歯車のリングギヤの回転方向とは逆の回転方向のトルクを出力するように電力が供給される。すなわち反力を得るために第1モータが力行される。このとき、エンジンのトルクの一部が、出力要素に連結されている第2モータで電力に変換されると、すなわち第2モータが回生されると、その電力が第1モータに供給されることによって、エンジンと第1モータと第2モータとの間で動力が循環して動力伝達効率が低下する、いわゆる動力循環が生じてしまうという問題があった。
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、エンジンから車輪に伝達される動力の伝達効率の低下を抑制することの可能なハイブリッド車の駆動装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、差動回転可能な入力要素および出力要素および反力要素を有する第1の動力分配装置と、前記入力要素に連結されるエンジンと、前記反力要素に連結される第1のモータ・ジェネレータと、前記出力要素に連結される第2のモータ・ジェネレータと、前記出力要素と車輪とを動力伝達可能に連結する動力伝達シャフトとを有するハイブリッド車の駆動装置において、前記第1の動力分配装置と並列に配置され、かつ、前記エンジンの動力を、前記第1の動力分配装置の入力要素と、前記動力伝達シャフトとに分配する第2の動力分配装置が設けられていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第2の動力分配装置が、サンギヤと、リングギヤと、サンギヤおよびリングギアに噛合するピニオンギヤを保持するキャリヤとを有し、前記サンギヤと前記入力要素とが連結され、前記エンジンと前記キャリヤとが連結されているとともに、前記リングギヤと前記出力要素とを選択的に連結・解放する第1のクラッチと、前記出力要素と前記動力伝達シャフトとを連結する第1のギヤ列と、前記リングギヤと前記動力伝達シャフトとを連結する第2のギヤ列と、この第2のギヤ列と動力伝達シャフトとを選択的に連結・解放する第2のクラッチとを備えていることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記第2の動力分配装置のサンギヤおよびピニオンギヤおよびキャリヤを一体回転させるロック機構が設けられていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項3の構成に加えて、前記反力要素の回転数よりも前記第1のモータ・ジェネレータの回転数を高速とする増速機構が設けられていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかの構成に加えて、前記第1のクラッチは、前記出力要素の回転数と前記第2の動力分配装置のリングギヤの回転数との対応関係に基づいて、係合・解放される一方向クラッチであることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、第2の動力分配装置により、エンジンの動力が、第1の動力分配装置の入力要素と、第1の動力分配装置の出力要素と車輪とを動力伝達可能に連結する動力伝達シャフトとに分配される。そのため、エンジンの動力を、第1の動力分配装置の出力要素を介して車輪に伝達可能であることに加えて、エンジンの動力を第1の動力分配装置を迂回して直接車輪に伝達させるエンジン直達分を増加させることができ、動力伝達効率を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、第2の動力分配装置により、エンジンの動力が、第1の動力分配装置の入力要素と、動力伝達シャフトとに分配される場合に、第1のクラッチおよび第2のクラッチの係合・解放状態を適宜に制御することによって、エンジンの動力が第1のギヤ列を経由して動力伝達シャフトに伝達される状態、すなわち低速走行に適したローギヤの状態(低速モード)と、エンジンの動力が第2のギヤ列を経由して動力伝達シャフトに伝達される状態、すなわち高速走行に適したハイギヤの状態(高速モード)との2種類の変速比での走行モードを適宜選択して、動力を駆動輪に伝達することができる。そのため、走行状態に応じた適切な変速比を設定した状態で動力を伝達することができ、動力伝達効率を向上することができる。
さらに、請求項3の発明によれば、ロック機構により、第2の動力分配装置のサンギヤおよびピニオンギヤおよびキャリヤを一体回転させること、すなわち第2の動力分配装置のサンギヤとキャリヤとの差動をロックすることによって、低速走行と高速走行との中間の走行状態である中速走行に適した変速比の状態(中速モード)を設定して動力を駆動輪に伝達することができる。そのため、走行状態に応じた適切な変速比を設定した状態で動力を伝達することができ、動力伝達効率を向上することができる。
またさらに、請求項4の発明によれば、第2の動力分配装置のサンギヤとキャリヤとの差動をロックさせて中速モードの変速比の状態が設定された場合に、第1のモータ・ジェネレータを高出力化あるいは大型化させることなく、エンジン回転数を制御して動力を駆動輪に伝達することができる。すなわち、中速モードが設定されると、第2の動力分配装置のサンギヤとキャリヤの差動がロックされることによって、第1の動力分配装置の入力要素にはエンジンの動力がすべて伝達され、その結果、第1の動力分配装置の入力要素は高回転数となる。すると、その場合の反力要素として第1のモータ・ジェネレータも高回転数のトルクを出力する必要があるが、この請求項4の発明では、第1のモータ・ジェネレータの回転数を増速させる増速機構が設けられることによって、第1のモータ・ジェネレータの高出力化あるいは大型化を抑制することができる。
そして、請求項5の発明によれば、前記の低速モード、高速モードの各走行モードを設定するため、第1のクラッチおよび第2のクラッチの係合・解放状態を制御する場合に、第1のクラッチが一方向クラッチにより構成されていることにより、第2のクラッチだけを係合・解放制御することによって各走行モードの設定をおこなうことができる。そのため、第1、第2のクラッチの係合・解放制御が容易になり、それらのクラッチの係合・解放状態を制御して変速比を設定する際の変速ショックを低減することができる。
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第1の実施例を、図1のスケルトン図に基づいて説明する。この第1の実施例は、請求項1,2の発明に対応する実施例である。図1に示す車両(ハイブリッド車)Veは、フロントエンジン・フロントドライブ形式の車両であり、車両Veは、エンジンEngおよび第1のモータ・ジェネレータMG1および第2のモータ・ジェネレータMG2を有している。エンジンEngは、燃料の燃焼により生じる熱エネルギを運動エネルギに変換して出力する動力装置であり、エンジンEngとしては、内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることが可能である。
このエンジンEngと第1のモータ・ジェネレータMG1と第2のモータ・ジェネレータMG2とが同軸上に配置されているとともに、エンジンEngおよび第1のモータ・ジェネレータMG1ならびに第2のモータ・ジェネレータMG2の回転軸線(図示せず)が、車両Veの幅方向(図での左右方向)に配置されている。また、前記回転軸線方向において、エンジンEngと第1のモータ・ジェネレータMG1および第2のモータ・ジェネレータMG2との間に、第1の動力分配装置1および第2の動力分配装置2が設けられている。
第1の動力分配装置1は、第2の動力分配装置2を介して伝達されるエンジンEngのトルクを、第1のモータ・ジェネレータMG1と、車輪(前輪)3とに分配する機能を有している。また第2の動力分配装置2は、エンジンEngのトルクを、第1の動力分配装置を経由して車輪3へ伝達する経路と、動力伝達シャフト4を介して直接車輪3へ伝達する経路との2系統に分配する機能を有している。なお、エンジンEngと第2の動力分配装置2との間の動力伝達経路には、エンジントルクの変動が第2の動力分配装置2に伝達されることを抑制するダンパ機構5が設けられている。
また、第1の動力分配装置1は、第1遊星歯車機構6により構成されている。この第1遊星歯車機構6は、シングルピニオン形式の遊星歯車機構であり、エンジンEngのクランクシャフト7および後述する第2の動力分配装置2を構成している第2遊星歯車機構16のサンギヤ17と同軸上に配置されたサンギヤ8と、このサンギヤ8と同軸上に配置されたリングギヤ9と、サンギヤ8およびリングギヤ9に噛合されたピニオンギヤ10を自転かつ公転可能に保持するキャリヤ11とを有している。
そして、サンギヤ8と第1のモータ・ジェネレータMG1のロータ12とが一体回転するように連結されている。また、リングギヤ9と、アウターロータ型のモータ・ジェネレータである第2のモータ・ジェネレータMG2のロータ13とが一体回転するように連結されている。さらに、このリングギヤ9の外周に形成されているギヤ14と、動力伝達シャフト4に一体化されている第1のギヤ15とが噛合されている(このギヤ14と第1のギヤ15とのギヤ列を第1のギヤ列と称する)。そして、キャリヤ11と、後述の第2遊星歯車機構16のサンギヤ17とが一体回転するように連結されている。したがって、キャリヤ11が第1遊星歯車機構6の入力要素であり、リングギヤ9が第1遊星歯車機構6の出力要素であり、サンギヤ8が第1遊星歯車機構6の反力要素となっている。
一方、第2の動力分配装置2は、第2遊星歯車機構16により構成されている。この第2遊星歯車機構16は、前記の第1遊星歯車機構6と同様、シングルピニオン形式の遊星歯車機構であり、エンジンEngのクランクシャフト7と同軸上に配置されたサンギヤ17と、このサンギヤ17と同軸上に配置されたリングギヤ18と、サンギヤ17およびリングギヤ18に噛合されたピニオンギヤ19を自転かつ公転可能に保持するキャリヤ20とを有している。
また、リングギヤ18と第1遊星歯車機構6のリングギヤ9とを選択的に連結・解放する第1のクラッチC1が設けられている。さらに、このリングギヤ18の外周に形成されているギヤ21と、第2のギヤ22とが噛合され(このギヤ21と第2のギヤ22とのギヤ列を第2のギヤ列と称する)、その第2のギヤ22と動力伝達シャフト4とを選択的に連結・解放する第2のクラッチC2が設けられている。そして、キャリヤ20が、エンジンEngのクランクシャフト7にダンパ機構5を介して連結されている。したがって、キャリヤ20が第2遊星歯車機構16の入力要素であり、リングギヤ18が第2遊星歯車機構16の出力要素であり、サンギヤ17が第2遊星歯車機構16の反力要素となっている。
上記のように構成された、第1のクラッチC1と第2のクラッチC2との係合・解放状態を制御することによって、エンジンEngのトルクが動力伝達シャフト4へ伝達される際の動力伝達状態を変更することができる。具体的には、第1のクラッチC1が係合され第2のクラッチC2が解放された場合は、ギヤ14と第1のギヤ15とを経由してトルクが動力伝達シャフト4へ伝達されるとともに、第2のギヤ22から動力伝達シャフト4へはトルクが伝達されない動力伝達状態となる。これに対して、第1のクラッチC1が解放され第2のクラッチC2が係合された場合は、ギヤ14から第1のギヤ15へトルクが伝達され、かつ、ギヤ21と第2のギヤ22とを経由してトルクが動力伝達シャフト4へ伝達される動力伝達状態となる。
ここで、リングギヤ9の外周に形成されたギヤ14と第1のギヤ15との間における変速比が、リングギヤ18の外周に形成されたギヤ21と第2のギヤ22との間における変速比よりも大きくなるように設定されている。したがって、第1のクラッチC1が係合され第2のクラッチC2が解放された状態では、ギヤ14と第1のギヤ15を経由してトルクが動力伝達シャフト4へ伝達されることによって、変速比が大きく低速走行に適したローギヤの状態(低速モード)が設定される。一方、第1のクラッチC1が解放され第2のクラッチC2が係合された状態では、ギヤ21と第2のギヤ22とを経由してトルクが動力伝達シャフト4へ伝達されることによって、変速比が小さく高速走行に適したハイギヤの状態(高速モード)が設定される。
なお、上記の第1のクラッチC1および第2のクラッチC2、あるいは後述する第3のクラッチC3および第4のクラッチC4としては、摩擦式クラッチ、電磁式クラッチ等を用いることが可能であり、それらのうち第3のクラッチC3としては同期式噛み合いクラッチを用いることが可能である。同期噛み合い式クラッチとしては、ドグクラッチ、または平歯車とシンクロナイザーリングとを組み合わせたクラッチを用いることが可能である。
上記の第1のモータ・ジェネレータMG1は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼備している。そして、この第1のモータ・ジェネレータMG1は、例えばケーシング(図示せず)などに固定されるステータ23と、前述した回転可能なロータ12とを有している。
一方、第2のモータ・ジェネレータMG2は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼備している。そして、この第2のモータ・ジェネレータMG2は、前述のように、いわゆるアウターロータ型のモータ・ジェネレータであって、例えばケーシング(図示せず)などに固定されるステータ24と、そのステータ24を中心にその円周方向に回転可能なロータ13とを有している。なお、図中の25,26は、それぞれ、第1のモータ・ジェネレータMG1のステータ23のコイル25、第2のモータ・ジェネレータMG2のステータ24のコイル26である。
また、エンジンEngおよび第1のモータ・ジェネレータMG1ならびに第2のモータ・ジェネレータMG2の回転軸線と平行な回転軸線を中心として回転可能なデファレンシャル27が設けられており、このデファレンシャル27のリングギヤ28と、動力伝達シャフト4に一体化されているギヤ29とが噛合されている。そして、デファレンシャル27と車輪3とがドライブシャフト30により連結されている。
つぎに、車両Veにおける制御系統を、図2のブロック図に基づいて説明する。車両Veの全体を制御する電子制御装置31が設けられており、電子制御装置31は、演算処理装置(CPU)および記憶装置(ROM,RAM)および入出力インタフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。この電子制御装置31には、エンジン回転数、車速、加速要求(アクセル開度)、制動要求、エンジン始動要求、蓄電装置32の蓄電量、シフトポジションなどの信号が入力され、電子制御装置31からは、エンジンEngを制御する信号、第1のモータ・ジェネレータMG1および第2のモータ・ジェネレータMG2を制御する信号、アクチュエータ33を制御する信号などが出力される。
蓄電装置32は、第1のモータ・ジェネレータMG1および第2のモータ・ジェネレータMG2との間で、インバータ34を経由して電力の授受をおこなうことの可能な二次電池であり、蓄電装置32としては、バッテリまたはキャパシタなどを用いることが可能である。さらに、前記アクチュエータ33は、第1のクラッチC1および第2のクラッチC2、あるいは後述する第3のクラッチC3および第4のクラッチC4ならびにブレーキB1などを制御するものである。各クラッチC1,C2,C3,C4として摩擦式クラッチを用いる場合、あるいは第3のクラッチC3として同期噛み合い式クラッチを用いる場合、あるいはブレーキB1として油圧制御式のブレーキを用いる場合は、アクチュエータ33としては油圧制御装置を用いることが可能である。この油圧制御装置は、油圧回路およびソレノイドバルブなどを有する公知の構造である。
上記の図1で説明した、第1の実施例によるハイブリッド車の駆動装置におけるエンジンEngの制御、および第1のモータ・ジェネレータMG1の制御、ならびに第2のモータ・ジェネレータMG2の制御の一例を、図5、図6の共線図に基づいて説明する。この発明においては、この第1の実施例の他に、後述する第2、第3の実施例について説明しており、そのため、図5、図6の共線図の他に、図7ないし図9の複数の共線図が用いられている。そして各共線図には、第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数、第2のモータ・ジェネレータMG2の回転数、エンジンEngの回転数などが示されている。なお、回転数は回転速度と等価のパラメータである。また、各共線図において、「零」は回転要素が停止することを意味し、「正」は回転要素が正方向に回転することを意味し、「逆」は回転要素が逆方向に回転することを意味する。さらに、矢印の向きは回転要素に加えられるトルクの向きを意味する。そして、各共線図によれば、各要素同士の連結関係が、基線BL上における位置で示されるとともに、各要素の回転方向および回転数が示される。
初めに、第1のクラッチC1が係合され、第2のクラッチC2が解放された状態、すなわち変速比が大きく低速走行に適したローギヤの状態(低速モード)が設定された場合について、図5の共線図(線分L1)に基づいて説明する。まず、横軸である基線BLの長手方向の異なる位置に各要素が配置されている。具体的には、第2の遊星歯車機構16のキャリヤ20およびエンジンEngと、一体回転する第2遊星歯車機構16のサンギヤ17および第1遊星歯車機構6のキャリヤ11とが、基線BL上で隣り合う位置に配置されている。また、基線BL上で、前記のキャリヤ20およびエンジンEngおよびサンギヤ17およびキャリヤ11の両側に、一体回転する第1遊星歯車機構6のサンギヤ8および第1のモータ・ジェネレータMG1と、第1のクラッチC1が係合されていることにより一体回転する第2遊星歯車機構16のリングギヤ18および第1遊星歯車機構6のリングギヤ9およびギヤ14および第2のモータ・ジェネレータMG2とが、別々に配置されている。なお、ギヤ14と、第1のギヤ15および第1のギヤ15と一体回転する動力伝達シャフト4とは一体回転しないが、ギヤ14と第1のギヤ15とが直接噛合されているため、便宜上、同じ要素として取り扱っている。同様に、ギヤ21と第2のギヤ22とは一体回転しないが、ギヤ21と第2のギヤ22とが直接噛合されているため、便宜上、同じ要素として取り扱っている。
まず、エンジンEngのトルクが、キャリヤ20およびキャリヤ11に伝達されるとともに、サンギヤ8および第1のモータ・ジェネレータMG1が反力要素として機能し、キャリヤ11,20のトルクがリングギヤ9,18に伝達される。ここで、第1のクラッチC1が係合されていることによって、二つのリングギヤ9,18は一体回転するとともに、その二つのリングギヤ9,18に走行負荷が働く。したがって、エンジンEngから第2の動力分配装置2および第1の動力分配装置1に伝達されたトルクの一部が、リングギヤ9,18およびギヤ14,15を経由して動力伝達シャフト4に伝達され、次いで、そのトルクが車輪3に伝達される。
このように、第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数および回転方向を制御することにより、エンジンEngとリングギヤ9,18との間の変速比が、無段階に(連続的に)制御される。この場合の変速比制御は、基本的には、エンジンEngの運転状態を最適燃費運転状態に近づけるように、エンジンEngとリングギヤ9,18との間の変速比、およびエンジントルクが制御される。
また、第1のモータ・ジェネレータMG1は、正回転では回生が実行される。そして回生が実行される第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数が、第2遊星歯車機構16のサンギヤ17の回転数よりも低い場合において、この実施例と比較例とを対比する。比較例とは、動力分配装置が一組の遊星歯車機構により構成された従来のハイブリッド車の駆動装置の例である。サンギヤに第1のモータ・ジェネレータが連結された比較例と、この実施例とを比較すると、運動エネルギを第1のモータ・ジェネレータMG1により電気エネルギに変換し、その電気エネルギを蓄電装置32に充電するという一連の電力の流通量(いわゆる電気パス)を低減することができる。
具体的には、サンギヤ17に第1のモータ・ジェネレータMG1が連結された従来装置では、図5で矢印Cで示すような大きさの反力が必要とされるが、この発明のように、第1のモータ・ジェネレータMG1がサンギヤ8に連結され、従来よりもさらに減速されていることによって、矢印Aで示すような、前記の矢印Cで示す反力よりも小さな反力で前記の変速比を制御することができる。すなわち、従来と比較して、第1のモータ・ジェネレータMG1で消費される電力を低減することができ、その結果、いわゆる電気パスを低減することができる。
つぎに、第1のクラッチC1が解放され、第2のクラッチC2が係合された状態、すなわち変速比が小さく高速走行に適したハイギヤの状態(高速モード)が設定された状態について、図6の共線図の線分(実線)H1に基づいて説明する。基線BL上における各要素の配置は、第2の遊星歯車機構16のキャリヤ20およびエンジンEngと、一体回転する第2遊星歯車機構16のサンギヤ17および第1遊星歯車機構6のキャリヤ11と、一体回転する第1遊星歯車機構6のサンギヤ8および第1のモータ・ジェネレータMG1とについては、上述の「低速モード」が設定された状態における各要素の配置と同じである。この図6の共線図の線分(実線)1に示す「高速モード」が設定された状態では、第1のクラッチC1が解放されていることにより、第2遊星歯車機構16のリングギヤ18と第1遊星歯車機構6のリングギヤ9とが、別々に、基線BL上で隣り合う位置に配置されている。なお、ギヤ21と、第2のギヤ22と、第2のクラッチC2が係合されていることにより第2のギヤ22と一体回転する動力伝達シャフト4とは一体回転しないが、ギヤ21と第2のギヤ22とが直接噛合されているため、便宜上、同じ要素として取り扱っている。
まず、エンジンEngのトルクが、第2遊星歯車機構16のキャリヤ20に入力されるとともに、第1遊星歯車機構6のサンギヤ8および第1のモータ・ジェネレータMG1が反力要素として機能する。また、第2のクラッチC2が係合されていることにより、走行負荷が働く二つリングギヤ9,18の回転数の差が一定に保持される。この回転数の差は、二つのリングギヤ9,18と、動力伝達シャフト4に形成された第1、第2のギヤ15,22との間の変速比の設定により吸収されて、動力伝達シャフト4が所定の回転数で回転する。したがって、エンジンEngから第2の動力分配装置2に伝達されたトルクの一部が、第1の動力分配装置1に伝達され、そのリングギヤ9およびギヤ14,15および動力伝達シャフト4を経由して車輪3に伝達される。そしてそれに併せて、エンジンEngから第2の動力分配装置2に伝達された他のトルクの一部が、リングギヤ18およびギヤ21,22および動力伝達シャフト4を経由して車輪3に伝達される。
この「高速モード」が設定された場合も、上記の「低速モード」が設定された場合と同様に、第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数および回転方向を制御することにより、エンジンEngとリングギヤ9,18との間の変速比が、無段階に(連続的に)制御され、エンジンEngの運転状態を最適燃費運転状態に近づけるように、エンジンEngとリングギヤ9,18との間の変速比、およびエンジントルクが制御される。
また、この場合は、第1のモータ・ジェネレータMG1を回生させることにより反力が形成される。そのため、従来のハイブリッド車の駆動装置のように、第1のモータ・ジェネレータMG1を力行して反力を形成するとともに、エンジンEngのトルクの一部を第2のモータ・ジェネレータMG2で電力に変換し、その電力を第1のモータ・ジェネレータMG1に再び供給するという、いわゆる動力循環が発生することを回避することができる。その結果、第1のモータ・ジェネレータMG1および第2のモータ・ジェネレータMG2および蓄電装置32を含む電気回路内における電力の流通量(電気パス)を低減することが可能となる。
図10は、この第1の実施例において、エンジンEngと動力伝達シャフト4との変速比と、エンジンEngから車輪3に伝達される動力の伝達効率との関係の一例を示す特性線図である。この第1の実施例における「高速モード」が設定された状態に対応する特性が曲線(実線)H10で示され、「低速モード」が設定された状態に対応する特性が曲線(一点鎖線)L10で示されている。なお、ここでは、比較例として従来のハイブリッド車の駆動装置に対応する特性が曲線(二点鎖線)M10で示されている。この図10に示すように、従来例(曲線(二点鎖線)M10)では、前述したように、遊星歯車機構が一組なので、トルクの伝達効率が最高になる点(ピーク)は一カ所であるのに対して、この第1の実施例によれば、「高速モード」と「低速モード」との二つの走行モードを設定することが可能なことによって、ピークを二カ所持つことができる。そして、走行状態に応じて、二つのモードを効果的に切り換えることによって、動力伝達効率の低下を抑制することができる。
さらに、図11は、第1の動力分配装置1および第2の動力分配装置2の入力要素と出力要素との変速比と、第1のモータ・ジェネレータMG1および第2のモータ・ジェネレータMG2および蓄電装置32を含む電気回路内における電力流通量(電気パス)との関係の一例を示す特性線図である。上記の図10の場合と同様に、この第1の実施例における「高速モード」が設定された状態に対応する特性が曲線(実線)H11で示され、「低速モード」が設定された状態に対応する特性が曲線(一点鎖線)L11で示されている。また、比較例として従来のハイブリッド車の駆動装置に対応する特性が曲線(二点鎖線)M11で示されている。
この図11に示すように、走行状態に応じて、「高速モード」と「低速モード」との二つの走行モードを、適宜に切り替えて設定することによって、特に範囲Dで示す使用頻度の高い変速比の領域において、従来例と比べて電気パスを低減することができ、その結果、第1のモータ・ジェネレータMG1あるいは第2のモータ・ジェネレータMG2を小型化することができる。
このように、この発明の第1の実施例によれば、第1の動力分配装置1および第2の動力分配装置2が設けられ、第2のギヤ列と動力伝達シャフト4との間の動力伝達経路が、接続・遮断される。そのため、走行状態に応じて、適切な走行モードを選択することにより、低速走行時の電気パスを低減し、さらに高速走行時の動力循環の発生の回避することができる。
また、この発明の第1の実施例によれば、エンジンEngからのトルクが、第2の動力分配装置2で、第1の動力分配装置1(すなわち従来のハイブリッド車の駆動装置における動力分割機構)への入力トルク分と、動力伝達シャフト4へのいわゆるエンジン直達分のトルクとに分配されることによって、従来に比べて第1の動力分配装置1への入力トルクが低減されることになり、その結果、第1の動力分配装置1を小型化することができる。
つぎに、この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第2の実施例を、図3のスケルトン図に基づいて説明する。この第2の実施例は、請求項3,4の発明に対応する実施例である。図3において、前述の図1の構成と同じ構成については、図1と同じ符号を付してその構成の説明を省略する。
この図3に示す第2の実施例におけるハイブリッド車の駆動装置は、前述の第1の実施例(図1)に示すハイブリッド車の駆動装置に対して、第2の動力分配装置2を構成している第2遊星歯車機構16の各要素同士の差動をロックするロック機構35が設けられていること、また、第1のモータ・ジェネレータMG1から出力されるトルクによる回転の回転速度を増速してサンギヤ8に伝達させる増速機構36が設けられていることを特徴としている。
具体的には、第2の動力分配装置2を構成している第2遊星歯車機構16のサンギヤ17とキャリヤ20とを選択的に連結・解放する第3のクラッチC3が設けられている。すなわち、この第3のクラッチC3が、第2遊星歯車機構16の差動をロックするロック機構35を構成している。第3のクラッチC3が係合状態に制御されて、第2遊星歯車機構16の入力要素であるキャリヤ20と、反力要素であるサンギヤ17とが一体回転するようになると、出力要素であるリングギヤ18もそれらキャリヤ20、サンギヤ17と一体回転することになり、その結果、第2遊星歯車機構16の差動がロックされる。
第2遊星歯車機構16の差動がロックされると、エンジンEngのトルクがダンパ機構5を介して直接第1の動力分配装置1に入力されることになり、前述の第1の実施例で説明した「低速モード」と「高速モード」との中間の走行状態に適した変速比の状態(中速モード)を設定することができる。したがって、走行状態に応じて、これらの「低速モード」、「中速モード」、「高速モード」を適宜に切り替えて設定することによって、低速走行時の電気パスを低減し、さらに高速走行時の動力循環の発生の回避することができる。
また、第1のモータ・ジェネレータMG1のロータ12と、第1の動力分配装置1を構成している第1遊星歯車機構6のサンギヤ8との間に、第1のモータ・ジェネレータMG1から出力されるトルクの回転速度を増速してサンギヤ8に伝達させる増速機構36が設けられている。この増速機構36は、ロータ12の内周部分に形成された第3遊星歯車機構37と、その第3遊星歯車機構37の差動をロックする第4のクラッチC4と、後述のサンギヤ38の回転を選択的に固定するブレーキB1とにより構成されている。さらに具体的には、この第3遊星歯車機構37は、シングルピニオン形式の遊星歯車機構であり、前述の第2の動力分配装置2を構成している第2遊星歯車機構16のサンギヤ17と同軸上に配置されたサンギヤ38と、このサンギヤ38と同軸上に配置されたリングギヤ39と、サンギヤ38およびリングギヤ39に噛合されたピニオンギヤ40を自転かつ公転可能に保持するキャリヤ41とを有している。
そして、リングギヤ39が、ロータ12の内周部分に、そのロータ12と一体回転するように形成されている。また、キャリヤ41と、前述の第1の動力分配装置を構成している第1遊星歯車機構6のサンギヤ8とが一体回転するように連結されている。さらに、サンギヤ38とキャリヤ41とを選択的に連結(第3遊星歯車機構37の差動をロックする)・解放する第4のクラッチC4が設けられている。そして、サンギヤ38の回転を選択的に固定するブレーキB1が、ケース42などに固定されて設けられている。
この増速機構36の作用としては、まず、ブレーキB1が係合され、第4のクラッチC4が解放されるとともに、エンジンEngからのトルクが、第3遊星歯車機構37のキャリヤ41に入力される。すると、サンギヤ38で反力を受け、キャリヤ41の回転数よりもリングギヤ39の回転数の方が大きくなる(すなわち増速される)。これにより、第1のモータ・ジェネレータMG1が受け持つ反力トルクを低下させることができ、その結果、第1のモータ・ジェネレータMG1に要求される出力が低減され、第1のモータ・ジェネレータMG1を小型化すること、もしくはその大型化を回避することができる。
上記の図3で説明した、第2の実施例によるハイブリッド車の駆動装置におけるエンジンEngの制御、および第1のモータ・ジェネレータMG1の制御、ならびに第2のモータ・ジェネレータMG2の制御の一例を、図6の共線図に基づいて説明する。具体的には、この第2の実施例の特徴である、「中速モード」が設定された状態、すなわち、第1のクラッチC1および第2のクラッチC2がともに解放され、第3のクラッチC3が係合されている状態について、図6の共線図の線分(一点鎖線)M1に基づいて説明する。基線BL上における各要素の配置については、第2のクラッチC2が解放されていることにより、第2遊星歯車機構16のリングギヤ18と、ギヤ21および第2のギヤ22および動力伝達シャフト4との連結関係がないこと以外は、前述の「高速モード」が設定された場合の各要素の配置と同じである。
この図6の共線図の線分(一点鎖線)M1に示す「中速モード」が設定された状態では、前述の「高速モード」が設定された場合と同様に、まず、エンジンEngのトルクが、第2遊星歯車機構16のキャリヤ20に入力されるとともに、第1遊星歯車機構6のサンギヤ8および第1のモータ・ジェネレータMG1が反力要素として機能する。また、第3のクラッチC3が係合されていることにより、第2遊星歯車機構16のサンギヤ17およびキャリヤ20およびリングギヤ18が一体回転する。したがって、エンジンEngから第2の動力分配装置2に伝達されたトルクの全てが第1の動力分配装置1に伝達され、そのリングギヤ9およびギヤ14,15および動力伝達シャフト4を経由して車輪3に伝達される。
この「中速モード」が設定された場合も、前述の「低速モード」あるいは「高速モード」が設定された場合と同様に、第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数および回転方向を制御することにより、エンジンEngとリングギヤ9との間の変速比が、無段階に(連続的に)制御される。この場合も、基本的には、エンジンEngの運転状態を最適燃費運転状態に近づけるように、エンジンEngと、リングギヤ9との間の変速比が制御される。
前述の図10において、第1の実施例では、比較例として従来のハイブリッド車の駆動装置に対応する特性を示している曲線(二点鎖線)M10は、この第2の実施例を説明する際には、「中速モード」が設定された状態に対応する特性を示す線図(曲線(二点鎖線)M12)として見ることができる。この場合、図10に示すように、「高速モード」と「低速モード」と「中速モード」との三つの走行モードを設定することが可能なことによって、この第2の実施例によれば、動力の伝達効率が最高になる点(ピーク)を三カ所持つことができる。そして、走行状態に応じて、動力の伝達効率がなるべく高くなるように、これら三つの走行モードを効果的に切り替えることによって、低速走行時の電気パスを低減し、さらに高速走行時の動力循環の発生の回避することができる。
このように、この発明の第2の実施例によれば、前述の第1に実施例で説明した「高速モード」および「低速モード」に加えて、それらの中間の速度での走行状態に適した「中速モード」を設定することができる。そのため、走行状態に応じて、さらに適切な走行モードを設定することができ、低速走行時の電気パスを低減し、さらに、高速走行時に動力循環が発生してしまうことを回避することができる。
また、第1のモータ・ジェネレータMG1のロータ12と、第1遊星歯車機構6のサンギヤ8との間に、第1のモータ・ジェネレータMG1から出力されるトルクの回転速度を増速してサンギヤ8に伝達させる増速機構36が設けられていることによって、第1のモータ・ジェネレータMG1が受け持つ反力トルクを低下させることができ、第1のモータ・ジェネレータMG1を小型化すること、もしくはその大型化を回避することができる。
さらに、この増速機構36により、第1のモータ・ジェネレータMG1が受け持つ反力トルクを低下させることができることによって、いわゆるアシストモータとして第2のモータ・ジェネレータMG2の大型化を回避することもできる。
すなわち、従来では、エンジンEngのトルクが第1遊星歯車機構6を介して動力伝達シャフト4へ伝達される際に、第1遊星歯車機構6での減速比が大きい場合は、第1遊星歯車機構6の反力要素となる第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数が増大して、エンジンEngの運動エネルギが電気エネルギに変換される割合が大きくなる。そしてそれに相反して、エンジンEngから動力伝達シャフト4に伝達される動力の伝達効率が低下する。そのため、エンジンEngの出力トルクが、要求されるトルクに対して不足する事態が生じ、そのトルクの不足分は、第2のモータ・ジェネレータMG2が出力するトルクによって補われることになる。その結果、その不足分を補うために第2のモータ・ジェネレータMG2(いわゆるアシストモータ)を高出力化させることが必要となり、第2のモータ・ジェネレータMG2の大型化を招いてしまう場合があった。
これに対して、この発明では、増速機構36を設け、第1のモータ・ジェネレータMG1が受け持つ反力トルクを低下させることによって、エンジンEngの運動エネルギが、第1のモータ・ジェネレータMG1が受けもつ反力トルクを生じさせるために消費される電気エネルギに変換される割合を低下させることができる。そのため、エンジンEngの出力トルクが不足して、第2のモータ・ジェネレータMG2によりそのトルクの不足分を補う事態が生じることを低減することができ、その結果、第2のモータ・ジェネレータMG2の大型化を回避することができる。
なお、第1の実施例および第2の実施例における、第1のモータ・ジェネレータMG1および第2のモータ・ジェネレータMG2は、それぞれのステータ23,24のコイル25,26が、それらの軸線方向において互いに重なるように配置されている。すなわち、第1のモータ・ジェネレータMG1の、第2のモータ・ジェネレータMG2に対向する側のコイル25と、第2のモータ・ジェネレータの、第1のモータ・ジェネレータMG1に対向する側のコイル26とが、それらの径方向で互いに相対回転可能な程度の所定の間隔を開けて、それらの軸線方向互いに重なる(オーバーラップする)ように、第1のモータ・ジェネレータMG1と第2のモータ・ジェネレータMG2とが隣接して配置されている。そのため、それらのコイル25,26をオーバーラップさせた分だけ軸線方向の寸法を短縮することができ、駆動装置の小型・軽量化に寄与することができる。
また、上記のようにコイル25,26をオーバーラップさせて、第1のモータ・ジェネレータMG1と第2のモータ・ジェネレータMG2とを配置することによって、それらのモータ・ジェネレータの電源ケーブルなどを、コイル25,26をオーバーラップさせた部分の所定の箇所から集中して取り出すことができ、車両搭載時のケーブルの取り扱い作業などを容易にすることができる。
さらに、上記のように、第1のモータ・ジェネレータMG1を、第1,第2の動力分配装置1,2および第2のモータ・ジェネレータMG2を挟んでエンジンEngの反対側に配置することで、エンジンEngのクランクシャフト7付近の外周部にスペースが確保できるため、前述したエンジンEngと第2の動力分配装置2との間に設けられているダンパ機構5として、コイルスプリングを従来のものよりも外周側に配置して低ばね化を図ることなどにより、低速からの広い範囲においてエンジンEngの振動を吸収することのできる、いわゆるロングトラベルダンパを採用することができる。
従来は、エンジンEng始動時やバッテリの出力低下時などにおいて、エンジンEngの回転数を、共振点を通過して上昇させることができなくなる可能性があったため、クランクシャフト7などが共振により強度低下してしまうことを回避するために、トルクリミッタを設ける必要があった。しかしながら、この発明による駆動装置においては、上述した第2の動力分配装置2の作用により、エンジンEngのトルクを2段階に減速することができ、なおかつ前記のロングトラベルダンパなどの採用によって、共振点を従来よりも低回転数側に移行することができる。そのため、エンジンEng始動時やバッテリの出力低下時などにおいても、エンジンEngの回転数を容易に、共振点を通過して上昇させることができる。その結果、トルクリミッタなどの制限装置が不要となり、駆動装置の小型・軽量化に寄与することができる。
つぎに、この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第3の実施例を、図4のスケルトン図に基づいて説明する。この第3の実施例は、請求項5の発明に対応する実施例である。図4において、前述の図1、図2の構成と同じ構成については、図1、図2と同じ符号を付してその構成の説明を省略する。
この図4に示す第3の実施例におけるハイブリッド車の駆動装置は、前述の第1の実施例(図1)あるいは第2の実施例(図3)に示すハイブリッド車の駆動装置に対して、第1の動力分配装置1を構成している第1遊星歯車機構6のリングギヤ19と、第2の動力分配装置2を構成している第2遊星歯車機構16のリングギヤ18との間に、それらを選択的に連結・解放する第1のクラッチC1に換えて、第1の動力分配装置1を構成している第1遊星歯車装置6Aのキャリヤ11Aと、第2の動力分配装置2を構成している第2遊星歯車機構16のリングギヤ18との間に、一方向クラッチF1が設けられていることを特徴としている。
なお、前述の第1の実施例あるいは第2の実施例では、第1の動力分配装置1を構成している第1遊星歯車機構6が、シングルピニオン形式の遊星歯車機構である例を示しているのに対して、この第3の実施例では、第1の動力分配機構1が、ダブルピニオン形式の遊星歯車機構である第4遊星歯車機構6Aにより構成されている例を示している。また、前述の第1の実施例あるいは第2の実施例では、第2のモータ・ジェネレータMG2が、アウターロータ型のモータ・ジェネレータであって、第1のモータ・ジェネレータMG1と同一軸線上に、隣接して配置されている例を示しているのに対して、この第3に実施例では、第2のモータ・ジェネレータMG2は、第1のモータ・ジェネレータMG1と同様の、いわゆるインナーロータ型のモータ・ジェネレータであって、第1のモータ・ジェネレータMG1の軸線と平行な他の軸線上に配置されている(いわゆる複軸式である)例を示している。
具体的に説明すると、この実施例3における第1の動力分配装置1を構成している第4遊星歯車機構6Aは、ダブルピニオン形式の遊星歯車機構であり、エンジンEngのクランクシャフト7および第2の動力分配装置2を構成している第2遊星歯車機構16のサンギヤ17と同軸上に配置されたサンギヤ8Aと、このサンギヤ8Aと同軸上に配置されたリングギヤ9Aと、サンギヤ8Aに噛合されたピニオンギヤ10Aと、このピニオンギヤ10Aおよびリングギヤ9Aに噛合されたピニオンギヤ10Bと、これらのピニオンギヤ10A,10Bを自転かつ公転可能に保持するキャリヤ11Aとを有している。
そして、サンギヤ8Aと第1のモータ・ジェネレータMG1のロータ12とが一体回転するように連結されている。また、リングギヤ9Aと第2遊星歯車機構16のサンギヤ17とが一体回転するように連結されている。さらに、キャリヤ11Aの外周側に形成されているギヤ14Aと動力伝達シャフト4に一体化されている第1のギヤ15とが噛合されている。そして、そのキャリヤ11Aと第2遊星歯車機構16のリングギヤ18との間に、一方向クラッチF1が設けられている。この一方向クラッチF1は、キャリヤ11Aとリングギヤ18とが共に正方向に回転する場合において、キャリヤ11Aの回転数がリングギヤ18の回転数より大きい場合は解放され、リングギヤ18の回転数がキャリヤ11Aの回転数と一致した場合に係合されることによって、リングギヤ18の回転数をキャリヤ11Aの回転数以下に規制するものである。またさらに、第1のギヤ15と、第2のモータ・ジェネレータMG2のロータ13Aと一体回転するように連結されているギヤ43とが噛合されている。したがって、リングギヤ9Aが第4遊星歯車機構6Aの入力要素であり、キャリヤ11Aが第4遊星歯車機構6Aの出力要素であり、サンギヤ8Aが第4遊星歯車機構6Aの反力要素となっている。
上記の図4で説明した、第3の実施例によるハイブリッド車の駆動装置におけるエンジンEngの制御、および第1のモータ・ジェネレータMG1の制御、ならびに第2のモータ・ジェネレータMG2の制御の例を、図7ないし図9の共線図に基づいて説明する。初めに基線BL上における各要素の配置について説明すると、一体回転する第2遊星歯車機構16のサンギヤ17および第1遊星歯車機構6のキャリヤ11と、第2の遊星歯車機構16のキャリヤ20およびエンジンEngとが、基線BL上で隣り合う位置に配置されている。また、基線BL上で、前記のサンギヤ17およびキャリヤ11およびキャリヤ20およびエンジンEngの両側に、一体回転する第1遊星歯車機構6のサンギヤ8および第1のモータ・ジェネレータMG1と、一方向クラッチF1が係合されている場合に一体回転する第2遊星歯車機構16のリングギヤ18と第1遊星歯車機構6のリングギヤ9およびギヤ14および第2のモータ・ジェネレータMG2とが、別々に配置されている。
ここで、ギヤ14と、第1のギヤ15および第1のギヤ15と一体回転する動力伝達シャフト4とは一体回転しないが、ギヤ14と第1のギヤ15とが直接噛合されているため、便宜上、同じ要素として取り扱っている。なお、第2のクラッチC2が係合される場合には、ギヤ21と、第2のギヤ22と、第2のクラッチC2が係合されていることにより第2のギヤ22と一体回転する動力伝達シャフト4とは一体回転しないが、ギヤ21と第2のギヤ22とが直接噛合されているため、便宜上、同じ要素として取り扱っている。
まず、エンジンEngによる走行(すなわち通常走行)状態時における制御例を、図7の共線図に基づいて説明する。なお、図7の(a)は、この場合の代表的な共線図(この図では「低速モード」が設定された状態を示している)である。そして図7の(b)は、この場合に、走行モードが「低速モード」から「高速モード」へ切り換えられる時の各要素の状態を説明するため、上記の図7の(a)の共線図を、第1遊星歯車機構6の各要素による共線図の部分と、第2遊星歯車機構16の各要素による共線図の部分とに分けて記載したものである。また、図7の(b)で、線分(実線)L2,L3は「低速モード」が設定された状態を示し、線分(一点鎖線)H2,H3は「高速モード」が設定された状態を示している。
「低速モード」が設定された状態では、エンジンEngのトルクが、第2遊星歯車機構16のキャリヤ20に入力されるとともに、第1遊星歯車機構6Aのサンギヤ8Aおよび第1のモータ・ジェネレータMG1が反力要素として機能する。また、この状態では、一方向クラッチF1が係合されることにより、リングギヤ18とキャリヤ11Aとが一体回転する。したがって、エンジンEngから第2の動力分配装置2に伝達されたトルクの一部が、第1の動力分配装置1に伝達され、そのキャリヤ11Aおよびギヤ14A,15および動力伝達シャフト4を経由して車輪3に伝達される(図7の(a))。
この「低速モード」が設定された状態から「高速モード」が設定される状態へ切り換える場合(図7の(b))は、第2のクラッチC2の係合圧が上昇を開始させられる(すなわちトルク相の開始を意味する)とともに、リングギヤ18から動力伝達シャフト4へ伝達するべきトルクを、第2のクラッチC2で全て負担することが可能な係合圧となり、かつ、一方向クラッチF1で負担するべき伝達トルクが零となった時点で、この変速段階におけるトルク相が終了する。なお、このトルク相においては、車速が変化しない限り、リングギヤ18およびキャリヤ11Aの回転数も変化しない。
続いて、第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数を上昇させると、車速が一定(すなわちキャリヤ11Aの回転数が一定)であれば、リングギヤ9Aの回転数が上昇する。この時、リングギヤ9Aとサンギヤ17とは一体回転するため、第2の動力分配装置2の側では、キャリヤ20を支点として、リングギヤ18の回転数が低下し始める(すなわちイナーシャ相の開始を意味する)。なお、この場合の第2のクラッチC2の係合圧は、動力伝達シャフト4と、リングギヤ18と一体回転するギヤ21に噛合された第2のギヤ22との相対回転を許容する係合圧である。
その後、リングギヤ18とキャリヤ11Aとの回転数差が、リングギヤ18と動力伝達シャフト4との間の変速比と、リングギヤ9Aと動力伝達シャフト4との間の変速比とに対応する所定の回転数差になった時点で、第2のクラッチC2の係合圧がさらに高められて、所定の回転数差が保持される。このようにして、リングギヤ18の回転数が、車速に対応する回転数に同期した時点で、イナーシャ相が終了する。すなわち、「低速モード」から「高速モード」への変速(切り換え)が終了して、「高速モード」が設定される。
これに対して、「高速モード」が設定された状態から「低速モード」が設定される状態へ切り換える場合(同じく図7の(b))は、「高速モード」が設定された状態で係合されている、第2のクラッチC2の係合圧が低下させられるとともに、第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数が低下させられる。そしてそれに伴って、リングギヤ18の回転数が上昇し、キャリヤ20の回転数とキャリヤ11Aの回転数とが一致した時点で、一方向クラッチF1が係合状態となり、「低速モード」が設定される。
つぎに、第2のモータ・ジェネレータMG2による走行(すなわち電気自動車走行)時における制御例を、図8の共線図に基づいて説明する。この図8の共線図は、上記の図7の(b)の共線図と同様、第1遊星歯車機構6の各要素による共線図の部分と、第2遊星歯車機構16の各要素による共線図の部分とに分けて記載したものであり、図8で、線分(実線)E1,E2が、「電気自動車走行」の状態を示している。
「電気自動車走行」の状態では、一方向クラッチF1は解放状態となっていて、第2のクラッチC2は解放される。そしてこの状態では、第2のモータ・ジェネレータMG2が正回転で力行制御され、その第2のモータ・ジェネレータMG2トルクが、ギヤ43,15を経由して動力伝達シャフト4に伝達されるとともに、ギヤ43,15,14Aを経由して第1遊星歯車機構6Aのキャリヤ11Aに入力される。したがって、第2のモータ・ジェネレータMG2のトルクの一部が、動力伝達シャフト4を経由して、直結状態で車輪3に伝達される。そして、第1のモータ・ジェネレータMG1が、その回転数が零となるように停止させられて(すなわち回生制御されて)、第1遊星歯車機構6のサンギヤ8Aおよび第1のモータ・ジェネレータMG1が反力要素として機能する。また、サンギヤ17とリングギヤ9Aとが一体回転し、エンジンEngの回転数が零となり、リングギヤ18は逆方向に回転する。
またつぎに、上記の「電気自動車走行」の状態から「通常走行」の状態へ切り換えられる場合の制御例を、図9の共線図に基づいて説明する。この図9の共線図は、上記の図7の(b)あるいは図8の共線図と同様、第1遊星歯車機構6の各要素による共線図の部分と、第2遊星歯車機構16の各要素による共線図の部分とに分けて記載したものである。また、図9で、線分(実線)E3,E4は、「電気自動車走行」の状態を示し、線分(一点鎖線)S1,S2は、「エンジンEngの始動」が開始される状態を示し、線分(二点鎖線)H4,H5は、エンジンEngが始動された後の「通常走行」の状態を示している。
「電気自動車走行」の状態から「通常走行」すなわちエンジンEngによる走行に切り換えられる場合、まず「電気自動車走行」の状態(線分(実線)E3,E4)から、第1のモータ・ジェネレータMG1を逆回転で力行させることにより、キャリヤ11Aの回転数とリングギヤ18の回転数との差を所定の回転数差にする(線分(一点鎖線)S1,S2)。そして第2のクラッチC2を係合させる。その後に、第1のモータ・ジェネレータMG1の回転数を零に近づけることにより、リングギヤ18を支点として、エンジンEngの回転数を上昇させるとともに、燃料を燃焼させることによってエンジンEngを始動させる。そして、エンジンEngの始動後は、要求駆動力に基づいてエンジンEngに対する要求出力を求め、最適燃費線に応じてエンジン回転数およびエンジントルクを制御する(線分(二点鎖線)H4,H5)。
さらに、「惰力走行」の状態で減速される場合について説明すると、まず「低速モード」が設定されている場合、「惰力走行」前の状態では、第2のクラッチC2は解放され、一方向クラッチF1は係合状態にある。次いで、アクセルペダルが戻されると、エンジンEngではフューエルカット制御が実行されるとともに、車両Veの運動エネルギがエンジンEngに伝達されてエンジンブレーキ力が発生する。それと並行して、リングギヤ18の回転数が低下して、一方向クラッチF1が解放状態となり、第2のモータ・ジェネレータMG2で回生が実行される。
また、「高速モード」が設定されている場合は、「惰力走行」前の状態では、第2のクラッチC2は係合され、一方向クラッチF1は解放状態にある。次いで、アクセルペダルが戻されると、エンジンEngではフューエルカット制御が実行されるとともに、車両Veの運動エネルギがエンジンEngに伝達されてエンジンブレーキ力が発生する。それと並行して、第2のクラッチC2が解放されて、第2のモータ・ジェネレータMG2で回生が実行される。
このように、この発明の第3の実施例によれば、第1遊星歯車機構6Aのキャリヤ11Aと第2遊星歯車機構16のリングギヤ18との間に一方向クラッチF1が設けられ、キャリヤ11Aの回転数がリングギヤ18の回転数以上になるように、一方向クラッチF1の係合方向が設定されている。そのため、第2のクラッチC2だけを係合・解放制御することによって、「低速モード」、「高速モード」の各走行モードの設定や、「通常走行」、「電気自動車走行」、「惰力走行」の各走行状態の切り換えなどの制御をおこなうことができる。その結果、複数のクラッチの係合・解放をおこない変速制御する場合に比べて、クラッチの係合・解放制御が容易になり、変速制御の際の変速ショックを低減することができる。
なお、上記の第3の実施例では、第1のモータ・ジェネレータMG1と第2のモータ・ジェネレータMG2とが、いわゆる複軸式の構成で配置された例を示しているが、第3の実施例においても、前述の第2の実施例および第2の実施例のように、第1のモータ・ジェネレータMG1と第2のモータ・ジェネレータMG2とを同一軸線上に隣接して配置させた構成としてもよい。
ここで、実施例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、第1遊星歯車機構6のキャリヤ11、リングギヤ9Aが、この発明の入力要素に相当し、第1遊星歯車機構6のリングギヤ9、キャリヤ11Aが、この発明の出力要素に相当し、第1遊星歯車機構6のサンギヤ8,8Aがこの発明の反力要素に相当する。また、ギヤ14,14Aと第1のギヤ15とのギヤ列が、この発明の第1のギヤ列に相当し、ギヤ21と第2のギヤ22とのギヤ列が、この発明の第2のギヤ列に相当する。
この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第1の実施例を示すスケルトン図である。 この発明におけるハイブリッド車の制御系統を示すブロック図である。 この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第2の実施例を示すスケルトン図である。 この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第3の実施例を示すスケルトン図である。 この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第1の実施例における、各要素の回転状態を示す共線図である。 この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第2の実施例における、各要素の回転状態を示す共線図である。 この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第3の実施例における、各要素の回転状態を示す共線図である。 この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第3の実施例における、別の各要素の回転状態を示す共線図である。 この発明におけるハイブリッド車の駆動装置の第3の実施例における、さらに別の各要素の回転状態を示す共線図である。 この発明の各実施例において、動力分配装置の変速比と動力伝達効率との関係の一例を示す線図である。 この発明の各実施例において、動力分配装置の変速比と電力流通量との関係の一例を示す線図である。
符号の説明
1…第1の動力分配装置、 2…第2の動力分配装置、 6…第1遊星歯車機構、 16…第2遊星歯車機構、 37…第3遊星歯車機構、 6A…第4遊星歯車機構、 8,17,8A…サンギヤ、 9,18,9A…リングギヤ、 11,20,11A…キャリヤ、 15…第1のギヤ、 22…第2のギヤ、 Eng…エンジン、 Ve…車両、 C1…第1のクラッチ、 C2…第2のクラッチ、 C3…第3のクラッチ、 C4…第4のクラッチ、 F1…一方向クラッチ、 B1…ブレーキ、 MG1…第1のモータ・ジェネレータ、 MG2…第2のモータ・ジェネレータ。

Claims (5)

  1. 差動回転可能な入力要素および出力要素および反力要素を有する第1の動力分配装置と、前記入力要素に連結されるエンジンと、前記反力要素に連結される第1のモータ・ジェネレータと、前記出力要素に連結される第2のモータ・ジェネレータと、前記出力要素と車輪とを動力伝達可能に連結する動力伝達シャフトとを有するハイブリッド車の駆動装置において、
    前記第1の動力分配装置と並列に配置され、かつ、前記エンジンの動力を、前記入力要素と、前記動力伝達シャフトとに分配する第2の動力分配装置が設けられていることを特徴するハイブリッド車の駆動装置。
  2. 前記第2の動力分配装置が、サンギヤと、リングギヤと、サンギヤおよびリングギアに噛合するピニオンギヤを保持するキャリヤとを有し、
    前記サンギヤと前記入力要素とが連結され、前記エンジンと前記キャリヤとが連結されているとともに、前記リングギヤと前記出力要素とを選択的に連結・解放する第1のクラッチと、
    前記出力要素と前記動力伝達シャフトとを連結する第1のギヤ列と、
    前記リングギヤと前記動力伝達シャフトとを連結する第2のギヤ列と、
    この第2のギヤ列と動力伝達シャフトとを選択的に連結・解放する第2のクラッチと
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車の駆動装置。
  3. 前記第2の動力分配装置のサンギヤおよびピニオンギヤおよびキャリヤを一体回転させるロック機構が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車の駆動装置。
  4. 前記反力要素の回転数よりも前記第1のモータ・ジェネレータの回転数を高速とする増速機構が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車の駆動装置。
  5. 前記第1のクラッチは、前記出力要素の回転数と前記第2の動力分配装置のリングギヤの回転数との対応関係に基づいて、係合・解放される一方向クラッチであることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のハイブリッド車の駆動装置。
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