JP2005060754A - 銅、銅合金の表面処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性、樹脂との密着性、はんだ濡れ性のいずれにも優れた表面処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 下記の一般式で表されるテトラゾール化合物、及びハロゲン化合物(単体を含む)を含有することを特徴とする銅、及び銅合金の表面処理剤。
【化1】
Figure 2005060754

(一般式中 R1、R2は炭素数16以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ベンジル基、または、これらにハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基が付加した基、または、アミノ基、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、またはハロゲン原子、水素原子を示す。但し、同時に水素原子ではない。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、銅、及び銅合金の表面処理剤に関する。
電気製品や電子部品実装に用いるプリント配線板は、大部分が回路に銅又は銅合金を用いている。そのため、その配線部分が表面酸化等で着色したり、劣化するのを防止し、かつ、良好なはんだ付け性を保つために様々な方法が開発されている。代表的な方法としては、回路部分を他の金属で覆う方法と有機被膜で覆う方法が知られている。
有機被膜を形成する方法では、銅、および銅合金の変色防止剤として取りアゾール、およびその誘導体が有名である。
これらの化合物を電子材料用にアレンジしたものに、本出願人の出願にかかる特許文献1(特開平4−160173号公報、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール、2−メルカプトピリミジンを含有する酸性の銅変色防止液)がある。
上記化合物は、耐湿性に優れ、被処理物保管時の銅の変色防止に有効であるが、熱に弱いため、加熱すると銅が酸化され、酸化膜が剥離するという問題があった。この問題を解決した本出願にかかる特許文献2(特許第3373356号公報、分子内に窒素又は硫黄あるいはこれら両方を含んでいる銅インヒビターとして働く複素環状物溶液に銅より貴な金属、又はその塩を添加した銅変色防止液)である。
しかし、この表面処理剤は、加熱時の銅の酸化を抑制するのではなく、生成した酸化被膜が剥離しないようにしたものである。加熱時の銅の酸化を抑制し、はんだ濡れ性を向上させるものとして、2位変性ベンズイミダゾールを主成分とした水溶性表面処理剤が提案されている。それらは、例えば、特許文献3(特許第2686168号公報)、特許文献4(特許第2575242号公報)に開示されている。また、表面処理剤の主成分としてイミダゾール誘導体を用いるものとしては、特許文献5(特開平4−206681号公報)、特許文献6(特開平7−243053号公報)がある。
しかし、これらは十分の数ミクロン〜数ミクロン程度の厚付け被膜であるため、樹脂密着性が低い。この問題を解決する表面処理剤として、本発明者らは、メルカプトベンゾオキサゾール誘導体、メルカプトベンゾチアゾール誘導体を提案した。
一方、テトラゾール化合物を含有する表面処理剤も提案されている。例えば、特許文献7(特許第3141145号公報)には、テトラゾール系化合物が、特許文献8(特開2000−282033)にはテトラゾール系化合物とチアジアゾール系化合物をからなる表面処理剤が、また、特許文献9(特開2003−3283)には、過酸化水素、鉱酸、テトラゾール化合物、銀イオン、およびハロゲンイオンを含む表面処理剤による銅表面の粗面化による樹脂との密着性を向上することが提案されている。
特開平4−160173号公報 特許第3373356号公報 特許第2686168号公報 特許第2575242号公報 特開平4−206681号公報 特開平7−243053号公報 特許第3141145号公報 特開2000−282033 特開2003−3283
しかしながら、これらの技術でも、耐熱性、樹脂密着性、はんだ濡れ性のすべてに満足できるものではなく、さらなる改善が望まれている。
本発明は、こうした状況の下に、耐熱性、樹脂との密着性、はんだ濡れ性のいずれにも優れた表面処理剤を提供することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意検討した結果、テトラゾール化合物とハロゲン化合物を含む処理剤が前記目的に好適であることを見出し、更に金属化合物を併用することにより一層良好となることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、
(1) 下記の一般式で表されるテトラゾール化合物、及びハロゲン化合物(単体を含む)を含有することを特徴とする銅、及び銅合金の表面処理剤。
Figure 2005060754
(一般式中 R1、R2は炭素数16以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ベンジル基、または、これらにハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基が付加した基、または、アミノ基、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、またはハロゲン原子、水素原子を示す。但し、同時に水素原子ではない)
(2) ハロゲン化合物がヨウ素化合物(単体を含む)、及びまたは臭素化合物(単体を含む)であることを特徴とする前記(1)記載の銅、及び銅合金の表面処理剤。
(3) 更に、金属化合物(単体を含む)を含むことを特徴とする前記(1)または(2)記載の銅、及び銅合金の表面処理剤。
(4) 金属化合物が亜鉛、マンガン、錫、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、またはその化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか1項に記載の銅、及び銅合金の表面処理剤。
に関する。
本発明の表面処理剤によれば、銅または銅合金の表面をむらなく均一に被覆することができ、銅または銅合金表面が高温、多湿の環境下にさらされた後でも、表面に酸化被膜が形成されにくく、しかもモールディング樹脂やカバーフィルムなどの樹脂との密着性、およびはんだ濡れ性のいずれも向上させることができる。
本発明に使用する上記一般式で示されるテトラゾール化合物として特に好ましいものを例示すると以下のものを挙げることができる。
1−メチルテトラゾール、1−エチルテトラゾール、1−プロピルテトラゾール、1−ブチルテトラゾール、1−ペンチルテトラゾール、1−ヘキシルテトラゾール、1−ドデシルテトラゾール、1−フェニルテトラゾール、1−ナフチルテトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−エチル−1H−テトラゾール、5−プロピル−1H−テトラゾール、5−ブチル−1H−テトラゾール、5−ペンチル−1H−テトラゾール、5−ヘキシル−1H−テトラゾール、5−ドデシル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−ナフチル−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メチルテトラゾール、1−エチル−5−メチルテトラゾール、1−プロピル−5−メチルテトラゾール、1−ブチル−5−メチルテトラゾール、1−ペンチル−5−メチルテトラゾール、1−ヘキシル−5−メチルテトラゾール、1−ドデシル−5−メチルテトラゾール、1−フェニル−5−メチルテトラゾール、1−ナフチル−5−メチルテトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、1−メチル−5−フェニルテトラゾール、1−エチル−5−フェニルテトラゾール、1−プロピル−5−フェニルテトラゾール、1−ブチル−5−フェニルテトラゾール、1−ペンチル−5−フェニルテトラゾール、1−ヘキシル−5−フェニルテトラゾール、1−ドデシル−5−フェニルテトラゾール、1−フェニル−5−フェニルテトラゾール、1−ナフチル−5−フェニルテトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−5−アミノテトラゾール、1−エチル−5−アミノテトラゾール、1−プロピル−5−アミノテトラゾール、1−ブチル−5−アミノテトラゾール、1−ペンチル−5−アミノテトラゾール、1−ヘキシル−5−アミノテトラゾール、1−ドデシル−5−アミノテトラゾール、1−フェニル−5−アミノテトラゾール、1−ナフチル−5−アミノテトラゾール、5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプトテトラゾール、1−エチル−5−メルカプトテトラゾール、1−プロピル−5−メルカプトテトラゾール、1−ブチル−5−メルカプトテトラゾール、1−ペンチル−5−メルカプトテトラゾール、1−ヘキシル−5−メルカプトテトラゾール、1−ドデシル−5−メルカプトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1−ナフチル−5−メルカプトテトラゾール等。
これらのテトラゾール化合物は、2種類以上の混合物として使用してもよく、本発明の表面処理剤中に0.05〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/L含有される。0.05g/L未満では成膜性が低く良好な特性がだせない。100g/Lを超えても、持ち出しなどによる液のロスが増えるだけで、メリットがない。
又、本発明に使用するハロゲン化合物(単体を含む)としては、塩素、臭素、ヨウ素の各化合物が好ましい。特に好ましいのは、臭素化合物およびヨウ素化合物であり、中でもこれらのアルカリ金属化合物が推奨される。
これらのハロゲン化合物は、2種類以上の混合物として使用してもよく、本発明の表面処理剤中に、1mg/L〜100g/L、好ましくは10mg/L〜20g/L含有される。1mg/L未満では耐熱性、樹脂との密着性、はんだ濡れ性向上効果が低く、100g/Lを超えても持ち出しなどによる液のロスが増えるだけでメリットがない。
本発明の表面処理剤は、更に金属化合物を併用することにより一層の向上効果を奏する。
この金属化合物としては、好ましくは亜鉛、マンガン、錫、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、またはその化合物をあげることができる。これらの金属化合物は、2種類以上の混合物として使用してもよく、本発明の表面処理剤中に1mg/L〜100g/L、好ましくは10mg/L〜20g/L含有される。
1mg/L未満では耐熱性、樹脂密着性、はんだ濡れ性向上効果が低く、100g/Lを越えても、持ち出し等による液のロスが増えるだけで、メリットがない。
上記金属化合物の具体例をあげると、好ましいものとして以下を挙げることができる。
例えば、亜鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、蟻酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、水酸化マンガン、酸化マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン、蟻酸マンガン、酢酸マンガン、錫、水酸化錫、酸化錫、蟻酸錫、酢酸錫、塩化錫、臭化錫、ヨウ化錫、鉄、水酸化鉄、酸化鉄、蟻酸鉄、酢酸鉄、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、塩化ニッケル、蟻酸ニッケル、酢酸ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルト、塩化コバルト、蟻酸コバルト、酢酸コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルト、銅、水酸化銅、酸化銅、塩化銅、硫酸銅、リン酸銅、炭酸銅、蟻酸銅、酢酸銅、シュウ酸銅、臭化銅、ヨウ化銅、金、塩化金、塩化金酸、臭化金、ヨウ化金、亜硫酸金、チオ硫酸金、シアン化金、シンア化金カリウム、シアン化金ナトリウム、銀、水酸化銀、酸化銀、硝酸銀、ヨウ化銀、臭化銀、コハク酸イミド銀、ヒダントイン銀、シアン化銀、シアン化銀カリウム、シアン化銀ナトリウム、白金、塩化白金、塩化白金酸、パラジウム、水酸化パラジウム、酸化パラジウム、塩化パラジウム、塩化パラジウム酸、ヨウ化パラジウム、硫酸パラジウム、ロジウム、水酸化ロジウム、酸化ロジウム、塩化ロジウム、塩化ロジウム酸、ヨウ化ロジウム、硫酸ロジウム、ルテニウム、水酸化ルテニウム、酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、塩化ルテニウム酸、ヨウ化ルテニウム、硫酸ルテニウム等である。
本発明の表面処理剤は、上記の化合物を有効成分とする溶液として供される。溶液は、水溶液が好ましい。
本発明の表面処理剤は、そのpHを1〜14、好ましくは2〜12とする。この範囲外では成膜性が低く、良好な特性が出ない。
また、本発明の表面処理剤を使用して、銅または銅合金を表面処理する温度は、5〜90℃、好ましくは10〜70℃である。5℃以下では成膜性が低く、良好な特性が出ない。90℃を越えても作業性が悪くなるだけで、メリットがない。
また、表面処理時間は、0.1〜300秒、好ましくは1〜120秒である。0.1秒未満では成膜性が低く、良好な特性が出ない。300秒を越えて処理時間を長くしても特にメリットがない。
以下に、本発明の実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
下記表に示す表面処理剤の水溶液に、100mm×100mm、厚さ70μmの圧延銅生箔を浸漬して表面処理しその後適当なサイズに切断したものを試験片として以下の試験を行った。はんだ濡れ性試験については、プリント配線板を表面処理剤溶液に浸責して表面処理した後試験を行った。
表面処理の結果は、以下の基準で評価した。
外観: 処理ムラなどの外観不良がないものを○、外観不良のあるものを×
耐湿性:40℃、湿度90%の環境下に、96時間放置後の銅箔表面の変色の有無を
目視で観察し、変色のないものを○、変色したものを×とした。
耐熱性:オーブン中で170℃、1時間加熱後の銅箔の変色の有無を目視で観察し、
変色のないものを○、変色したものを×とした。
樹脂密着性1:エポキシモールディング樹脂との密着性(剪断強度)が
10kgf/cm2 以上のものを○、未満のものを×とした。
樹脂密着性2:ポリイミドカバーフィルムとの密着性(90度ピール強度)が
0.5kg/cm2 以上のものを○、未満のものを×とした。
はんだ濡れ性:40℃、湿度90%の環境下に96時間放置後、175℃、6時間加熱
したプリント配線板(銅回路幅0.8mm)をポストフラックス(Rタ
イプ)処理し、銅回路部に0.6mmφの錫鉛共晶はんだボールを搭載
し、リフローさせた後、はんだ濡れ長さが2mm以上のものを○、2m
m未満のものを×とした。
Figure 2005060754
Figure 2005060754
Figure 2005060754
上記の結果から、ジフェニルイミダゾール系表面処理剤では、樹脂密着性が劣り、2−メルカプトベンゾオキサゾール表面処理剤では耐熱性とはんだ濡れ性が劣り、また、テトラゾール系単独では耐熱性、はんだ濡れ性が劣っている。これらに対して本発明のテトラゾール化合物とハロゲン化合物の併用系、さらには、これに金属化合物を添加した表面処理剤では、外観、耐湿性、耐熱性、樹脂密着性、およびはんだ濡れ性のいずれも良好な結果が得られていることが分かる。
また、銅表面を粗化処理する処理剤として提案されている特開2003−3283に開示のもの(比較例4)は、耐湿性、耐熱性、はんだ濡れ性に劣ることが示されている。

Claims (4)

  1. 下記の一般式で表されるテトラゾール化合物、及びハロゲン化合物(単体を含む)を含有することを特徴とする銅、及び銅合金の表面処理剤。
    Figure 2005060754
    (一般式中 R1、R2は炭素数16以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ベンジル基、または、これらにハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基が付加した基、または、アミノ基、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、またはハロゲン原子、水素原子を示す。但し、同時に水素原子ではない。)
  2. ハロゲン化合物がヨウ素化合物(単体を含む)、及びまたは臭素化合物(単体を含む)であることを特徴とする請求項1記載の銅、及び銅合金の表面処理剤。
  3. 更に、金属化合物(単体を含む)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の銅、及び銅合金の表面処理剤。
  4. 金属化合物が亜鉛、マンガン、錫、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、またはその化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の銅、及び銅合金の表面処理剤。
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