JP2005060173A - アルミノフォスフェート類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アルミノフォスフェート類製造原料混合物の水熱合成によりフレームワーク密度(FD)が13T/nm3以上20T/nm3以下のテンプレート含有アルミノフォスフェート類を製造する方法において、水熱合成に際して原料混合物を最高到達温度まで昇温する過程で、75℃以上115℃以下の温度領域に1.3時間以上おかれることを特徴とするテンプレート含有アルミノフォスフェート類の製造方法。
【選択図】 なし
Description
FAU構造を有するアルミノフォスフェートは、構造の安定性が低いことが知られている。即ち、例えば、特許文献3によると完全にテンプレートを除去したSAPO−37は、大気中の水分で結晶構造が破壊されることが知られており、このような合成方法の改良によっても、産業上の利用は極めて困難であると考えられる。
発明を完成させるに至った。
(アルミノフォスフェート類の基本構成)
本発明において、アルミノフォスフェート類とは、International Zeolite Association (IZA)の規定による結晶性アルミノフォスフェート類を意味し、骨格構造を構成する原子が酸素、アルミニウム及びリンであり、その一部が他の原子(Me)で置換されていても良い。他の原子(Me)としては、周期表の2A族、7A族、8族、1B族、2B族、3B族(但し、Alを除く)及び4B族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の原子が挙げられる。中でも、I)アルミニウム原子がヘテロ原子(Me1:但し、Me1は、周期表の2A族、7A族、8族、1B族、2B族、3B族(但し、Alを除く)元素から選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)で一部置換されたMe−アルミノフォスフェート、II)リン原子がヘテロ原子(Me2:但し、Me2は周期表の4B族元素)で置換されたMe−アルミノフォスフェート、あるいは、III)アルミニウムとリンの両方がヘテ
ロ原子(それぞれMe1、Me2)で置換されたMe−アルミノフォスフェートが吸着特性、触媒性能の点から好ましい。
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.2≦y≦0.6 …2−1
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 …3−1
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す)
0.01≦x≦0.3 …1−2
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.3≦y≦0.5 …2−2
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.4≦z≦0.5 …3−2
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す)
他の原子Meは、1種でも2種以上含まれていても良い。好ましいMe(Me1,Me2)は
、周期表第3又は第4周期に属する元素である。Me1は2価の状態でイオン半径が0.3以上、0.8Å以下であるのが好ましく、更に好ましくは2価、4配位の状態でイオン半径が0.4以上、0.7Å以下である。上記の中でも、合成の容易さ、吸着特性、触媒特性の点から、Fe,Co,Mg,Znから選ばれる少なくとも一種類の元素であるのが好ましく、特にFeであるのが好ましい。Me2は、好ましくは周期表第三または第四周期に属する4B族元素であり、更に好ましくはSiである。
が好ましく、17.5T/nm3以下が更に好ましい。ここで、フレームワーク密度(T
/nm3)は、ゼオライトの単位体積nm3あたり存在するT原子(ゼオライトの骨格を構成する酸素以外の元素の原子)の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。上記範囲未満では、構造が不安定となり耐久性が低下する問題があり、一方、上記範囲を越えると吸着量、触媒活性が小さくなり、触媒や吸着材としての使用に適さない。
、AFR、AFS、AFT、AFX、ATO、ATS、CHA、ERI、LEV、VFIが挙げられるが、中でも、吸着特性、触媒活性の点から、AEI、AEL、 AFI、C
HA、LEVから選ばれるいずれかであるのが好ましく、特にCHAが好ましい。
<アルミノフォスフェート類の製造方法>
以下、アルミノフォスフェート類の製造方法を説明する。
アルミノフォスフェート類は、アルミニウム源、Me原子源(特に好ましくは鉄源)、リン源およびテンプレートを原料として用い、それらを混合した後、水熱合成により製造される。
塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、ペンタカルボニル、フェロセン等の有機金属化合物などが使用される。これらのうち、水に対する溶解性の観点からは無機酸塩、有機酸塩が好ましい。場合によってはコロイド状の酸化物、あるいは微粉末状の酸化物を用いても良い。
きにくいという効果がある。
次に、アルミノフォスフェート類の製造方法における水熱合成について説明する。
<アルミノフォスフェート類の製造>
上記に従って、製造されたテンプレートを含有したアルミノフォスフェート類は、通常、その使用目的に応じて、焼成、抽出等により、細孔構造に取り込まれた有機テンプレートの全部または一部を除去して活性化することにより使用される。
焼成ガスは、空気等の含酸素ガス、窒素等の不活性ガスとも使用可能であるが、温度制御の容易さ、テンプレート除去率制御の容易さの観点から、酸素濃度20vol%以下の不活性ガス希釈酸素が好ましく用いられる。
酸素以外の含有ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが用いられるが、場合によっては水蒸気、窒素酸化物を体積比で10%まで混合させてもかまわない。
XRD測定条件
X線源 :Cu−Kα線(λ=1.54184Å)、
出力設定 :40kV・30mA
測定時光学条件 :
発散スリット=1°
散乱スリット=1°
受光スリット=0.2mm
回折ピークの位置 2θ(回折角)
測定範囲 2θ=4〜50度
スキャン速度 :0.05°(2θ/sec)、連続スキャン
試料:めのう乳鉢を用いて人力で粉砕した試料約100mg
同一形状のサンプルホルダーを用いて試料量が一定となるようにした。
炭素及び窒素分析(CN分析)
PERKIN ELMER 2400 SeriesII CHNS/O Analyzerを用いて行った。
元素分析
試料を空気流通下、550℃で6時間焼成し、塩酸に溶解した後、ICP法により組成分析
を行った。
吸着特性(55℃)
試料を120℃で5時間、真空排気した後、55℃における水蒸気吸着等温線を水蒸気吸着量測定装置(ベルソーブ18:日本ベル(株))により以下の方法で測定した。
空気恒温槽温度 :60℃
吸着温度 :55℃
初期導入圧力 :3.0torr
導入圧力設定点数 :0
飽和蒸気圧 :118.11torr
平衡時間 :500秒
耐久性試験
試料を90℃に保たれた真空容器内に保持し、5℃の飽和水蒸気雰囲気と90℃ 飽和水蒸気雰囲気にそれぞれ90秒曝す操作を繰り返した。90℃の飽和水蒸気雰囲気に曝されたときに試料に吸着した水は、5℃の飽和水蒸気雰囲気で一部が脱着し、5℃に保った水だめに移動する。m回目の吸着からn回目の脱着で、5℃の水だめに移動した水の総量(Qn;m(g))と試料の乾燥重量(W(g))から一回あたりの平均吸着量(Cn;m (g/g))を以下のようにして求めた。
[Cn;m]=[Qn;m]/(n−m+1)/W
水210gに85%リン酸86.5gを加え、これに擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)40.8gをゆっくりと加え、3時間攪拌した。これに、硫酸第一鉄7水和物41.7gを水218gに溶かした液を加え、さらにモルホリン19.0g、トリエチルアミン65.9gをゆっくりと加えてさらに3時間攪拌した。そして以下の組成を有するゲル状の出発反応物を得た。
0.4FeSO4:0.8Al2O3:P2O5:0.5モルホリン:1.5トリエチルアミ
ン: 70H2O
上記の出発物質をテフロン(登録商標)製内筒を有するステンレス製オートクレーブ(内容積約1L)に仕込み、以下のように水熱合成を行った。100rpmで攪拌しながら室温から140℃まで、14℃/hrの昇温速度で直線的に昇温し、最高到達温度140℃で72時間反応させた。最高到達温度に昇温する過程で、75℃〜115℃の範囲におかれた時間(昇温時間)を表1に示す。
この鉄アルミノフォスフェート3gを採取し、縦型の石英焼成管に入れ、空気175ml/分、窒素325ml/分の混合ガス(酸素濃度 5 vol%)を流通させながら、0.
35℃/分で315℃まで昇温し、そのまま315℃で6時間焼成を行い、アルミノフォスフェート焼成物を得た。CN分析の結果、炭素、窒素含有率はそれぞれ、3.16重量%、1.3重量%であった。55℃における吸着量測定の結果、相対蒸気圧0.3における吸着量は0.23g/gであった。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を吸着耐久性試験に供した。表1に1回目から1500回目までの平均吸着量[Q1;1500(g/g)]、および1501回目から2000回目までの平均吸着量[Q1500;2000(g/g)]を示す。平均吸着量に大きな低下はなかった。また、耐久性試験後の55℃における吸着量は、相対蒸気圧0.3において0.2g/gであり、水蒸気吸着量の大きな低下はなかった。又、試験後のXRD測定では純粋なCHA構造が確認され、試験前後で結晶性に大きな変化は観測されなかった。
鉄アルミノフォスフェートを、焼成温度を340℃とした以外は実施例1と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を耐久性試験に供した。
鉄アルミノフォスフェートを、焼成温度を340℃とした以外は実施例1と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を吸着耐久性試験に供した。耐久性試験の結果を表1に示す。
造が確認され、試験前後で結晶性に大きな変化は観測されなかった。
鉄アルミノフォスフェートを、焼成温度を300℃とした以外は実施例1と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を吸着耐久性試験に供した。耐久性試験の結果を表1に示す。平均吸着量の大きな低下はなかった。試験前後のXRD測定結果をそれぞれ、図1、図2に示す。試験前後で結晶性に大きな変化は観測されなかった。
最高到達温度に昇温する過程で、75℃〜115℃の範囲におかれた時間(昇温時間)を表1に示す。
鉄アルミノフォスフェートを、焼成温度を320℃とした以外は実施例1と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を吸着耐久性試験に供した。耐久性試験の結果を表1に示す。平均吸着量の大きな低下はなかった。また、試験後のXRD測定の結果、純粋なCHA構造が確認され、試験前後で結晶性に大きな変化は観測されなかった。
0.4FeSO4:0.8Al2O3:P2O5:1.0モルホリン:1.0トリエチルアミ
ン: 70H2O
上記出発反応物を、最高到達温度を160℃とし、室温から160℃までほぼ直線的に12.3℃/hrの昇温速度で昇温し、160℃で72時間反応させた以外は、実施例1と同様に水熱合成を行った。最高到達温度に昇温する過程で、75℃〜115℃の範囲におかれた時間(昇温時間)を表1に示す。
実施例1と同様に沈殿物の分離、乾燥、分析を行ったところ、沈殿物中のアルミニウム(Al)、鉄(Fe)とリン(P)の合計に対する各元素の構成割合(mol%)は表1に示す通りであった。上記沈殿物のXRD測定の結果、上記沈殿物はCHA構造を有する鉄アルミノフォスフェート(FD:14.5T/nm3)であることが確認された。この鉄
アルミノフォスフェートを、焼成温度を330℃とした以外は実施例1と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を吸着耐久性試験に供した。耐久性試験の結果を表1に示す。
平均吸着量の大きな低下はなかった。試験前後のXRD測定結果をそれぞれ、図3、図4に示す。試験前後で結晶性に大きな変化は観測されなかった。
の鉄アルミノフォスフェートを、焼成温度を320℃とした以外は実施例1と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を吸着耐久性試験に供した。耐久性試験の結果を表1に示す。平均吸着量の大きな低下はなかった。また、試験後のXRD測定の結果、純粋なCHA構造が確認された。試験前後で結晶性に大きな変化は観測されなかった。
(比較例1)
実施例1において、水熱合成を行う際に、室温から140℃に35℃/hrの昇温速度でほぼ直線的に昇温した以外は、実施例1と同様に水熱合成を行った。75℃〜115℃の範囲におかれた時間(昇温時間)は、表1に示すとおりであった。実施例1と同様に沈殿物の分離、乾燥、分析を行ったところ、沈殿物中のアルミニウム(Al)、鉄(Fe)とリン(P)の合計に対する各元素の構成割合(mol%)は、表1に示すとおりであった。上記沈殿物のXRD測定の結果、上記沈殿物はCHA構造を有する鉄アルミノフォスフェート(FD:14.5T/nm3)であることが確認された。この鉄アルミノフォス
フェートを、焼成温度を340℃とした以外は実施例1と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。CN分析の結果、炭素、窒素含有率はそれぞれ、2.76重量%、1.1重量%であった。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を吸着耐久性試験に供した。耐久性試験の結果を表1に示す。
(比較例2)
最高到達温度を140℃、室温から140℃までほぼ直線的に35℃/hrの速度で昇
温し、140℃で72時間反応させた以外は、実施例6と同様に水熱合成を行った。最高到達温度に昇温する過程で、75℃〜115℃の範囲におかれた時間(昇温時間)を表1に示す。
この鉄アルミノフォスフェートを、焼成温度を350℃とした以外は実施例6と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を吸着耐久性試験に供した。耐久性試験の結果を表1に示す。平均吸着量の大きな低下が観測された。また、試験後のXRD測定の結果、試験後に結晶性の大幅な低下が観測された。このことから、昇温時間が短いと、耐久性が劣ることが明らかである。
(比較例3)
最高到達温度を180℃、室温から180℃までほぼ直線的に45℃/hrの速度で昇温し、180℃で24時間反応させた以外は、実施例6と同様に水熱合成を行った。最高到達温度に昇温する過程で、75℃〜115℃の範囲におかれた時間を表1に示す。
この鉄アルミノフォスフェートを、焼成温度を320℃とした以外は実施例6と同様に焼成し、アルミノフォスフェート焼成物を得た。CN分析の結果、炭素、窒素含有率はそれぞれ、3.02重量%、1.23重量%であった。この鉄アルミノフォスフェート焼成物を耐久性試験に供した。耐久性試験の結果を表1に示す。平均吸着量の大きな低下が観測された。また、試験後のXRD測定の結果、試験後に結晶性の大幅な低下が観測された。耐久試験前後のXRDパターンをそれぞれ図7、8に示す。このことから、昇温時間が短いと、耐久性が劣ることが明らかである。
Claims (7)
- アルミノフォスフェート類製造原料混合物の水熱合成によりフレームワーク密度(FD)が13T/nm3以上20T/nm3以下のテンプレート含有アルミノフォスフェート類を製造する方法において、水熱合成に際して原料混合物を最高到達温度まで昇温する過程で、75℃以上115℃以下の温度領域に1.3時間以上おかれることを特徴とするテンプレート含有アルミノフォスフェート類の製造方法。
- 最高到達温度が200℃以下である請求項1に記載のテンプレート含有アルミノフォスフェート類の製造方法。
- アルミノフォスフェート類の骨格構造を構成するMe、Al、Pのモル比が下記式1〜3である、請求項1または2に記載のテンプレート含有アルミノフォスフェート類の製造方法。
(但し、Meは周期表の2A族、7A族、8族、1B族、2B族,、3B族(但し、Alを除く)、4B族の元素から選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)
0≦x≦0.3 …1
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.2≦y≦0.6 …2
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 …3
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す) - MeがFeである請求項3に記載のテンプレート含有アルミノフォスフェート類の製造方法。
- アルミノフォスフェート類の構造が、IZAが定めるコードで、AEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、ATO、ATS、CHA、ERI、LEV、VFIから選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のテンプレート含有アルミノフォスフェート類の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかの方法で製造されたテンプレート含有アルミノフォスフェート類を焼成することを特徴とするアルミノフォスフェート類の製造方法。
- 焼成を300℃以上450℃以下で、0.5時間以上100時間以下行うことを特徴とする請求項6に記載のアルミノフォスフェート類の製造方法。
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