JP6123419B2 - 微細ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細アルミノホスフェートゼオライトを効率よく製造する方法と、該製造方法により得られた微細アルミノホスフェートゼオライトを含む触媒、吸着材、及び光学材料に関する。
アルミノホスフェートゼオライトは、特有なイオン交換性能、吸着性能、触媒性能を有することから、化学工業や自動車排気浄化など様々な分野において用途が見出されている。
アルミノホスフェートゼオライトをイオン交換材料、吸着材、触媒として使用する場合、アルミノホスフェートゼオライトの粒子径が大きいと、処理対象となる分子のゼオライト細孔内での拡散が遅くなる場合がある。特に、光学材料として使用される場合、ゼオライトの粒子径が大きいと、光の散乱が大きくなり、十分な透明性が得られない。
このため、ゼオライト細孔内での分子の拡散性の向上、触媒反応速度の向上、および透明な光学材料を得るために、粒子径の小さい微細ゼオライトが求められている。
従来、微細アルミノホスフェートゼオライトを得るために、粒子径の大きいゼオライト粒子を粉砕機により粉砕する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では、粉砕の衝撃によりゼオライトの部分構造が崩れ、結晶性が低下することにより、得られる微細ゼオライトの機能が低下するという問題がある。
一方、ゼオライトの合成時に、特殊な有機物や種結晶を添加して、ゼオライトの核発生および結晶成長を制御することで、微細アルミノホスフェートゼオライトを製造する方法がある。この製造方法について、特殊な有機物を添加する場合は、製造コストが高くなる(非特許文献1)。また、種結晶を添加する場合は、合成したゼオライト中に種結晶が残留する可能性があるので、実用上問題がある。さらに、これらの方法では、得られるゼオライトの粒子径を所望の粒子径に任意に調整することが難しい。
また、特許文献2には、粉砕されたアルミノシリケートゼオライトを特定組成のアルミノシリケート溶液中に分散させ、再結晶化させることにより微細アルミノシリケートゼオライトを製造する方法が提案されているが、この方法は、工程数が多く、煩雑な処理操作を必要とする。
このように、従来においては、高結晶性で、各種の機能に優れた微細アルミノホスフェートゼオライトを簡便にかつ効率よく製造する方法は提供されていない。
特開2003−146649号公報 特開2011−246292号公報
Chemistry of Materials,2008,20,4533.
本発明は、結晶性が高く、各種機能に優れた微細アルミノホスフェートゼオライトを簡便にかつ効率よく製造することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含む、平均粒子径0.7μm以上のゼオライト(以下、「本発明の出発アルミノホスフェートゼオライト」と称す場合がある。)を粉砕した後、ソルボーマル処理することにより、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含む、平均粒子径0.6μm以下の微細ゼオライト(以下、「本発明の微細アルミノホスフェートゼオライト」又は「本発明の微細ゼオライト」と称す場合がある。)を、その結晶性を低下させることなく、従って、本来の機能を低下させることなく製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一の要旨は、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含む、平均粒子径0.7μm以上のゼオライトを粉砕した後、ソルボーマル処理して、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含む、平均粒子径0.6μm以下の微細ゼオライトを製造する微細ゼオライトの製造方法であって、前記ソルボサーマル処理用の液が、水、前記ゼオライトの製造における水熱合成に用いられる有機テンプレート、水と前記有機テンプレートとの混合液、又は前記ゼオライトの製造における水熱合成後に得られる水と有機テンプレートを含む回収上澄み液のいずれかであることを特徴とする微細ゼオライトの製造方法、に存する。
本発明の第二の要旨は、前記ゼオライトが、骨格構造にさらにケイ素原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の微細ゼオライトの製造方法、に存する。
本発明の第三の要旨は、前記ゼオライトが、骨格構造にさらに遷移金属を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の微細ゼオライトの製造方法、に存する
発明によれば、結晶性が高く、アルミノホスフェートゼオライトとしての各種機能に優れ、かつ粒子径の小さい微細アルミノホスフェートゼオライトを簡便にかつ効率よく製造することができる。
実施例1で得られたFAPO−5−CalのSEM写真である。 実施例1で得られた粉末1のSEM写真である。 実施例1で得られた微細FAPO−5ゼオライト1のSEM写真である。 実施例1で得られた微細FAPO−5ゼオライト1の水吸着等温線を示すグラフである。 実施例2で得られた微細FAPO−5ゼオライト2のSEM写真である。 実施例3で得られたCHA−SAPO−CalのSEM写真である。 実施例3で得られた粉末3のSEM写真である。 実施例3で得られた微細CHA−SAPOゼオライト1のSEM写真である。 実施例3で得られた微細CHA−SAPOゼオライト1の水吸着等温線を示すグラフである。 実施例4で得られた粉末4のSEM写真である。 実施例4で得られた微細CHA−SAPOゼオライト2のSEM写真である。 実施例7で得られたAPO−5−CalのSEM写真である。 実施例7で得られた粉末5のSEM写真である。 実施例7で得られた微細APO−5ゼオライト1のSEM写真である。 実施例8で得られた粉末6のSEM写真である。 実施例8で得られた微細APO−5ゼオライト2のSEM写真である。 実施例1および実施例2で測定されたXRDチャートである。 実施例3、実施例4、実施例5および実施例6で測定されたXRDチャートである。 実施例7および実施例8で測定されたXRDチャートである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に特定はされない。
[出発アルミノホスフェートゼオライト]
本発明に係るゼオライトは、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含む結晶性アルミノホスフェートゼオライト(以下、「ALPO類」と略することがある)である。
アルミノホスフェートゼオライトは、骨格構造を構成する原子が少なくともアルミニウム原子とリン原子を含むものであり、その一部が他の原子、好ましくはヘテロ原子Meで置換されていても良い。このようなものとして、
I)アルミニウム原子(Al)の一部が、ヘテロ原子Me1(但し、Me1は、周期表2族のアルカリ土類金属、及び3〜12族の遷移金属、好ましくは、周期表第三または第四周期に属する、2族のアルカリ土類金属、7〜13族の遷移金属(ただしAlをのぞく)から選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)で置換されたMe−アルミノホスフェート
II)リン原子(P)の一部がヘテロ原子Me2(但し、Me2は周期表第三または第四周期に属する14族元素)で置換されたMe−アルミノホスフェート
あるいは、
III)アルミニウム原子とリン原子の両方がそれぞれヘテロ原子Me1、Me2で置換されたMe−アルミノホスフェート
が挙げられる。
上記のMeは、アルミノホスフェートゼオライトの骨格構造に1種のみ含まれていても2種以上含まれていてもよい。
ヘテロ原子Me1としては、特に限定されるものではないが、吸着材用途や触媒用途での特性の点から、通常、鉄、コバルト、マグネシウム、亜鉛、銅、パラジウム、イリジウム、白金、銀、金、セリウム、ランタン、プラセオジウム、チタン、ジルコニウム等が挙げられ、好ましくは鉄、コバルト、銅などの8、9、11族の遷移金属、より好ましくは8、11族の遷移金属であり、特に鉄及び/又は銅が好ましい。
また、Me1としては、2価の状態でイオン半径が0.3nm以上、8nm以下であるのが好ましく、更に好ましくは2価、4配位の状態でイオン半径が0.4nm以上、7nm以下のものである。Me1としては、上記の中でも、合成の容易さの点から、鉄、コバルト、マグネシウム、鉛から選ばれる少なくとも一種類の元素であることが好ましく、特に鉄であることが好ましい。
Me2は、ケイ素原子であることが好ましい。
本発明に係るゼオライトの骨格構造を構成するMe、Al及びPの構成割合(モル比)は、通常下記式1−1〜3−1の関係を満たすモル比であり、好ましくは下記式1−2〜3−2の関係を満たすモル比である。
0≦x≦0.3 …1−1
(xは、Me、Al、及びPの合計に対するMeのモル比を示す)
0.2≦y≦0.6 …2−1
(yは、Me、Al、及びPの合計に対するAlのモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 …3−1
(zは、Me、Al、及びPの合計に対するPのモル比を示す)
0.01≦x≦0.3 …1−2
(xは、Me、Al、及びPの合計に対するMeのモル比を示す)
0.3≦y≦0.5 …2−2
(yは、Me、Al、及びPの合計に対するAlのモル比を示す)
0.4≦z≦0.5 …3−2
(zは、Me、Al、及びPの合計に対するPのモル比を示す)
xが上記範囲より小さいと、合成が困難となる傾向があり、上記範囲より大きいと、合成時に不純物が混入しやすい傾向がある。また、y、zが上記範囲外であると、合成が困難である。
また、本発明のALPO類は、そのフレームワーク密度(FD)が、通常13T/nm以上20T/nm以下、好ましくは13.5T/nm以上であり、更に好ましくは14T/nm以上であり、一方、19T/nm以下であることが好ましい。ここで、「T/nm」は、単位体積nmあたり存在するT原子(ゼオライトの骨格構造を構成する酸素原子以外の原子)の数を意味し、フレームワーク密度:FDを示す単位である。ALPO類のフレームワーク密度が上記範囲未満では、構造が不安定となる傾向があり耐久性が低下する問題があり、一方、上記範囲を超えると細孔容量が小さくなり、吸着材や触媒としての使用に適さなくなる傾向がある。
また、本発明のALPO類の構造としては特に限定がなく、例えば、International Zeolite Association(IZA)が定めるコードで、AEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ATO、ATS、CHA、DDR、DFO、ERI、FAU、GIS、LEV、LTA、RTH、RHO、VFIのいずれでもよいが、AEI、AFI、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、CHA、DFO、ERI、FAU、GIS、LEV、LTA、VFIが好ましく、AFI、CHA構造を有するゼオライトが最も好ましい。
なお、ALPO類は1種のみを用いてもよく、2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明の出発アルミノホスフェートゼオライトの平均粒子径は、通常0.7μm以上であり、その製造方法にもよるが、好ましくは0.7μmを超え、特に好ましくは1μm以上である。また、その上限は特に限定はないが、通常30μm以下であり、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下である。
本発明の微細アルミノホスフェートゼオライトの平均粒子径は、0.6μm以下であり、好ましくは0.6μm未満、より好ましくは0.4μm以下であり、さらに好ましくは0.3μm以下である。また、その下限は特に制限はなく、用途に応じて適宜決定されるが、通常は0.1μm以上である。本発明によれば平均粒子径0.1μm以下であるといった極微細アルミノホスフェートゼオライトの製造も可能である。
なお、本発明におけるアルミノホスフェートゼオライトの平均粒子径とは、電子顕微鏡でアルミノホスフェートゼオライトを観察した際の、任意の10〜30点のゼオライト粒子の一次粒子径の平均値をいう。
[出発アルミノホスフェートゼオライトの製造]
本発明の出発アルミノホスフェートゼオライトは、少なくともアルミニウム原子原料、リン原子原料、有機テンプレートを含む水性ゲルから水熱合成することにより製造することができる。骨格構造を構成するアルミニウムおよび/またはリン原子が他のヘテロ原子Meで置換されているアルミノホスフェートゼオライトを合成する場合は、水性ゲルにヘテロ原子原料も含む。
出発アルミノホスフェートゼオライトとしては、有機テンプレートを含有しないアルミノホスフェートゼオライトであってもよいが、粉砕工程におけるゼオライト構造へのダメージが少ない点から、出発アルミノホスフェートゼオライトに有機テンプレートを含有することが好ましい。
<アルミニウム原子原料>
アルミニウム原子原料は特に限定されず、通常、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。取り扱いが容易な点及び反応性が高い点で、アルミニウム原子原料としては擬ベーマイトが好ましい。
<リン原子原料>
リン原子原料は、通常、リン酸であるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。リン原子原料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<ヘテロ原子原料>
ヘテロ原子原料は特に限定されず、ヘテロ原子が金属である場合は、金属の硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、ペンタカルボニル、フェロセン等の有機金属化合物などが使用される。金属原子原料としては、金属種、或いは化合物種の異なるものを2種以上併用してもよい。
ヘテロ原子がケイ素である場合、ケイ素原子原料は特に限定されず、通常、fumed(ヒュームド)シリカ、シリカゾル、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸エチル、ケイ酸メチル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。高純度で、反応性が高い点で、ケイ素原子原料としてはfumedシリカが好ましい。
<有機テンプレート>
本発明に係る水性ゲルには、ゼオライト製造の際のテンプレートとして一般に使用される、アミン、イミン、四級アンモニウム塩、モルホリン等の有機テンプレートを用いることができる。有機テンプレートとして2種以上のものを組み合わせて用いてもよく、その場合、その組み合わせ及び比率も任意である。
<水性ゲルの調製>
水性ゲルは、上述のアルミニウム原子原料、リン原子原料、及び必要に応じて用いられるヘテロ原子原料と有機テンプレートを水と混合して調製される。
アルミニウム原子原料、リン原子原料、及びヘテロ原子原料は、前述の好適なモル比のアルミノホスフェートゼオライトが得られるような割合で用いられる。
有機テンプレートは、ゼオライト結晶性の高さや合成コストの安やなど観点から、水性ゲル中のアルミニウム原子原料を酸化物換算したときの、Alに対するテンプレートの合計のモル比で、通常0.2以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上であって、通常4以下、好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下である。テンプレートの総量が上記下限より少ないと結晶化しにくかったり、安定性が低下する傾向があり、上記上限より多いとゼオライトの収率が不十分である場合がある。
また、水性ゲル中の水の割合は、合成のし易さ及び生産性の高さの観点から、アルミニウム原子原料を酸化物で表したとき、Alに対する水のモル比で、通常3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であって、通常200以下、好ましくは150以下、さらに好ましくは120以下である。
なお、水性ゲル中には、所望により、上記以外の成分を含有していてもよい。このような成分としては、アルカリ金属の水酸化物や塩、アルコール等の親水性有機溶媒が挙げられる。
<水熱合成>
水熱合成は、上記のようにして調製された水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧力下、又は結晶化を阻害しない程度の気体加圧下で、攪拌又は静置状態で所定温度を保持することにより行われる。
水熱合成の際の反応温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上であって、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。反応時間は通常2時間以上、好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上であって、通常30日以下、好ましくは10日以下、さらに好ましくは4日以下である。反応温度は反応中一定でもよいし、段階的又は連続的に変化させてもよい。
<テンプレートを含有する出発アルミノホスフェートゼオライト>
水熱合成後、テンプレートを含有するゼオライトを水熱合成反応液より分離する。水熱合成反応液からのテンプレートを含有するゼオライトの分離方法は特に限定されない。通常、濾過又はデカンテーション等により分離し、テンプレートを含有するゼオライト固体と、テンプレートを含む上澄み液(以下、この上澄み液を「回収上澄み液」と称す場合がある。)を得る。
水熱合成反応液から分離したテンプレートを含有するゼオライト固体を水洗後、室温から150℃以下の温度で乾燥して、生成物であるテンプレートを含有するゼオライトを得ることができる。
<テンプレートを含有しない出発アルミノホスフェートゼオライト>
水熱合成反応液から分離されたテンプレートを含有するゼオライトから、テンプレートを除去することでテンプレートを含有しない出発アルミノホスフェートゼオライトを得ることができる。この場合のテンプレートの除去方法は特に限定されない。通常、空気又は酸素含有の不活性ガス、あるいは不活性ガスの雰囲気下に、300℃から1000℃の温度で焼成したり、エタノール水溶液、HCl含有エーテル等の抽出溶剤による抽出等の方法により、テンプレートを含有するゼオライトからテンプレートを除去する方法が挙げられる。
テンプレートの除去は、生産性の面で焼成によることが好ましい。この場合、焼成温度については、好ましくは400℃から900℃、より好ましくは450℃から850℃、さらに好ましくは500℃から800℃である。焼成時間は通常0.5〜12時間程度である。
[出発アルミノホスフェートゼオライトの粉砕]
上記のようにして得られた本発明の出発アルミノホスフェートゼオライトの粉砕はいかなる方法で行ってもよいが、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、ジェットミルなどを用いて行なうことができる。また、粉砕は湿式で行っても乾式で行ってもよいが、粉砕のし易さ及びゼオライト粒径の均一さの点において、湿式で行うことが好ましい。
上記粉砕手段のなかでビーズミルは、粉砕時のゼオライトの非晶質化を最低限に抑えることができ、好ましい。ビーズミルは、通常粒径30〜1000μmのセラミックビーズを用い、解砕・粉砕を行う装置である。粉砕メディアに微小ビーズを用いるため、ボールミルや遊星ボールミルと異なり、処理する粉末がビーズと衝突する頻度が多く、また一回の衝突の際、粒子に与える力が小さいため、表面を非晶質化させることなく効率よく粉砕できる。ただし、ビーズミルを用いた場合でも、ゼオライトの非晶質化は避けられず、ある程度の非晶質化が起こる。
ビーズミル等を用いて湿式粉砕する場合、出発アルミノホスフェートゼオライト、好ましくはテンプレートを含有する出発アルミノホスフェートゼオライトを分散媒に添加してスラリー(以下、「原料スラリー」と称す場合がある。)を調製し、この原料スラリーを粉砕処理に供する。分散媒としては、水、エタノール等のアルコール、或いはこれらの混合溶媒などが挙げられるが、取り扱い性、コスト等の面で水を用いることが好ましい。また、粉砕されたゼオライト再凝集の防止の点ではエタノール等のアルコールも好ましい。
原料スラリー中の出発アルミノホスフェートゼオライトの量は、取り扱い性、粉砕効率、生産性等の面から、水等の分散媒100mLに対して0.5〜100g、特に5〜80g程度とすることが好ましい。なお、このスラリー中には、必要に応じて界面活性剤、凝集防止剤等を添加してもよいが、一般的には、これらは添加しない方が好ましい。
また、前述の水熱合成反応液を冷却後、そのまま粉砕処理に供することも可能ではあるが、この場合、不純物が混入し易い、水熱合成反応液による粉砕機械の腐食等の問題を生じるため、水熱合成反応液から一旦出発アルミノホスフェートゼオライトを分離回収し、この出発アルミノホスフェートゼオライトを分散媒に分散させて湿式粉砕を行うことが好ましい。
粉砕条件や粉砕処理の時間には特に制限はなく、所望の平均粒子径の微細アルミノホスフェートゼオライトが得られる程度に適宜調製される。
本発明では、上記粉砕により、ゼオライトの平均粒子径を通常0.6μm以下、好ましくは0.01〜0.5μm程度として、次のソルボーマル処理に供する。
[ソルボーマル処理]
本発明に係るソルボーマル処理は、粉砕した出発アルミノホスフェートゼオライト(以下、「粉砕ゼオライト」と称す場合がある。)をソルボーマル処理用液に分散させ、耐圧容器に入れ、自己発生圧力下、又は結晶化を阻害しない程度の気体加圧下で、攪拌又は静置状態で所定温度を保持することにより行われる。
なお、出発アルミノホスフェートゼオライトの粉砕を湿式粉砕で行った場合、粉砕処理液をそのままソルボーマル処理に共することも可能であるが、この場合には、粉砕時に混入した不純物などがそのままソルボーマル処理系内に持ち込まれたり、分散媒を除去する乾燥工程の負荷が大きくなるといった不具合があるため、湿式粉砕後のスラリーから粉砕ゼオライトを濾過又はデカンテーション等により分離して、あるいはスラリーのゼオライト濃度が高い場合には分離することなくそのまま、室温から200℃で乾燥して、粉砕ゼオライトの乾燥粉末を回収し、これをソルボーマル処理用液中に分散させてソルボーマル処理を行うことが好ましい。
ソルボーマル処理の際の反応温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上であって、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。反応時間は通常2時間以上、好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上であって、通常30日以下、好ましくは10日以下、さらに好ましくは4日以下である。反応温度は反応中一定でもよいし、段階的又は連続的に変化させてもよい。
ソルボーマル処理用液の組成は特に限定がなく、水或は前述の有機テンプレートのみを用いてもよく、場合によって水とテンプレートとの混合液を用いてもよい。ただし、製造コストの低減や環境負担の軽減の点からは水のみを用いることが好ましい。また、出発アルミノホスフェートゼオライトの製造における水熱合成後に得られる水と有機テンプレートを含む回収上澄み液をソルボーマル処理用液として再利用することも、製造コストの面から好ましい。
ソルボーマル処理用液中の粉砕アルミノホスフェートゼオライトの量は、特に限定がなく、取り扱い性や生産性の観点から、通常100mLのソルボーマル処理用液に対し、0.5〜100g程度であるが、製造コストの点から5〜80g程度が好ましい。
ソルボーマル処理後は、ゼオライトをソルボーマル処理液より分離する。その分離方法は特に限定されないが、通常、濾過又はデカンテーション等により分離し、水洗後、室温から150℃以下の温度で乾燥して本発明の微細アルミノホスフェートゼオライトを得ることができる。
なお、出発アルミノホスフェートゼオライトに有機テンプレートを含有する場合は、ソルボーマル処理後のゼオライトから前記のテンプレート除去方法でテンプレートを除去する。
[微細ゼオライトの用途]
本発明の微細ゼオライトの製造方法によれば、結晶性が高く、各種の機能に優れた微細アルミノホスフェートゼオライトを、簡便かつ効率よく製造することができる。本発明の微細ゼオライトの用途としては特に制限はないが、水蒸気吸・脱着特性、触媒活性にも優れ、また、光学特性にも優れることから、自動車排ガス処理用触媒、吸着材、或いは光学材料として特に好適に用いられる。
<自動車排ガス処理用触媒>
本発明の微細ゼオライトを自動車排ガス処理用触媒として用いる場合、本発明の微細ゼオライトはそのまま粉末状で用いてもよく、また、シリカ、アルミナ、粘土鉱物等のバインダーと混合し、造粒や成形を行って使用することもできる。また、自動車排ガス処理用触媒として用いる場合、塗布法や、成形法を用いて所定の形状に成形して用いることもでき、好ましくはハニカム状に成形して用いることができる。
本発明の微細ゼオライトを含む触媒の成形体を塗布法によって得る場合、通常、微細ゼオライトとシリカ、アルミナ等の無機バインダーとを混合し、スラリーを作製し、コージェライト等の無機物で作製された成形体の表面に塗布し、焼成することにより作成され、好ましくはこの際にハニカム形状の成形体に塗布することによりハニカム状の触媒を得ることができる。
本発明の微細ゼオライトを含む触媒の成形体を成形する場合、通常、微細ゼオライトをシリカ、アルミナ等の無機バインダーやアルミナ繊維、ガラス繊維等の無機繊維と混練し、押出法や圧縮法等の成形を行い、引き続き焼成を行うことにより作成され、好ましくはこの際にハニカム形状に成形することによりハニカム状の触媒を得ることができる。
本発明の微細ゼオライトを含む触媒は、窒素酸化物を含む排ガスを接触させて窒素酸化物を浄化する自動車排ガス処理用触媒として有効である。該排ガスには窒素酸化物以外の成分が含まれていてもよく、例えば炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、窒素、酸素、硫黄酸化物、水が含まれていてもよい。具体的には、本発明の自動車排ガス処理用触媒により、ディーゼル自動車、ガソリン自動車、定置発電・船舶・農業機械・建設機械・二輪車・航空機用の各種ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービン等から排出される多種多様の排ガスに含まれる窒素酸化物を浄化することができる。
本発明の微細ゼオライトを含む触媒を使用する際の、触媒と排ガスの接触条件としては特に限定されるものではないが、排ガスの空間速度は通常100/h以上、好ましくは1000/h以上であり、通常500000/h以下、好ましくは100000/h以下であり、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、通常700℃以下、好ましくは500℃以下で用いられる。
<吸着材>
本発明の微細ゼオライトは、優れた水蒸気の吸・脱着特性を示し、水蒸気吸着材として有効に用いることができる。
その吸・脱着特性の程度は、条件により異なるが、一般的に、低温から、通常水蒸気の吸着が困難な高温領域まで吸着可能であり、また高湿度状態から、通常水蒸気の吸着が困難な低湿度領域まで吸着可能であり、かつ比較的低温の100℃以下で脱着が可能である。
本発明の微細ゼオライトは、特に水蒸気吸着材として優れた性能を示すが、本発明の微細ゼオライトを水蒸気吸着材として用いる場合に、シリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物や粘土等のバインダー成分や、熱伝導性の高い成分と共に使用することができる。本発明の微細ゼオライトをこれらの他の成分と共に用いる場合、水蒸気吸着材中の本発明の微細ゼオライトの含有量は、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。その上限値には特に制限はないが、通常100%以下、好ましくは99%以下である。
<光学材料>
本発明の微細ゼオライト、特に遷移金属含む微細ゼオライトによれば、高エネルギーを有する光をより低いエネルギーを有する光へ変換することができる。例えば、紫外領域でのエネルギーから、より低いエネルギーの光、例えば可視光に変換することができる。従って、本発明の微細ゼオライトは、蛍光体として好適に用いられる。また、太陽光線の紫外部を可視光に変換することで、太陽電池からの電力生産の効率を増加する光学材料としても特に好適に用いられる。
本発明の微細ゼオライトを光学材料として用いる場合、本発明の微細ゼオライトはそのまま粉末状で用いてもよいが、成膜プロセスによって光学薄膜として使用することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、走査型電子顕微鏡(SEM)写真の撮影には日立製作所社製「S5200」を用い、X線回折(XRD)測定には、リガク社製「RINT2500」を用いた。
また、得られたゼオライトの水蒸気吸着等温線の測定方法は以下の通りである。
[水蒸気吸着等温線]
調製したゼオライト試料を120℃で5時間真空排気した後、25℃における水蒸気吸着等温線を水蒸気吸着量測定装置(日本ベル(株)社製「ベルソーブ18」)により、以下の条件で測定した。
空気恒温槽温度 :50℃
吸着温度 :25℃
初期導入圧力 :3.0torr
導入圧力設定点数:0
飽和蒸気圧 :23.755torr
平衡時間 :500秒
<実施例1>
特開2011−177712号公報の製造例1に開示されている方法により、AFI型鉄アルミノホスフェートゼオライト(以下、「FAPO−5」と適宜称する。)を合成した。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄み液(以下、「上澄み液1」と適宜称する。)と沈殿物とをそれぞれ回収した。その沈殿物を水で洗浄し、100℃で乾燥した後、テンプレートを含有するFAPO−5(FAPO−5−Asmade)を得た。テンプレートを含有するFAPO−5−Asmadeを空気中、550℃で6時間焼成することで、テンプレートを含有しないFAPO−5(FAPO−5−Cal)を得た。
FAPO−5−CalのSEM写真を図1に示す。このFAPO−5−Calの平均粒子径は20μmであった。
FAPO−5−AsmadeおよびFAPO−5−CalのXRDを図17に示す。
60gのFAPO−5−Calを水100mLに分散させ、原料スラリーを調製した。一方、粒径φ300μmのZrOビーズを用いたビーズミル(アシザワファインテック株式会社製「MiniCer」)を、回転数3000rpmで回転軸を回転させ、原料スラリーを8分かけて投入した。投入後60分粉砕処理してスラリーを回収し、磁性皿上で150℃で3時間乾燥させ、粉末1を回収した。得られた粉末1のSEM写真を図2に示す。粉末1の平均粒子径は0.5μmであった。
また、粉末1のXRDを図17に示す。
粉末1のXRDより、粉砕により、ゼオライトの粒径が小さくなるが、ゼオライトに由来するXRDピーク強度が大幅に低下しており、このことから、粉砕工程でゼオライト粒子の非晶質化が進行していることが分かる。
次に、0.5gの粉末1を2gの上澄み液1に分散させ、得られたスラリーをステンレス製オートクレーブに仕込み、190℃で3時間反応させた。このソルボーマル処理後、冷却して、生成した固体を濾過した。得られた固体をイオン交換水で洗浄し、100℃で1時間乾燥した後、550℃で6時間空気中にて焼成を行って、微細FAPO−5ゼオライト1を得た。
微細FAPO−5ゼオライト1のSEM写真を図3に示す。この微細FAPO−5ゼオライト1の平均粒子径は0.5μmであった。
また、微細FAPO−5ゼオライト1のXRDを図17に示す。
これらの結果から、ソルボーマル処理により、粉末1の平均粒子径は変化せず、結晶性が向上したことが分かる。
上記の粉砕およびソルボーマル処理により得られた微細FAPO−5ゼオライト1の水吸着等温線を図4に示す。
<実施例2>
実施例1で得られた60gのFAPO−5−Asmade(平均粒子径20μm)を水100mLに分散させて原料スラリーを調製し、実施例1におけると同様にしてビーズミルを用いて粉砕処理を行い、スラリーを回収し、同様に乾燥を行って、粉末2を回収した。得られた粉末2の平均粒子径は0.5μmであった。
粉末2のXRDを図17に示す。粉末2のXRDより、粉砕によりゼオライトの粒径が小さくなるが、ゼオライトに由来するXRDピーク強度が大幅に低下しており、このことから、粉砕工程でゼオライト粒子の非晶質化が進行していることが分かる。
次に、0.5gの粉末2を2gの上澄み液1に分散させ、得られたスラリーをステンレス製オートクレーブに仕込み、実施例1と同様にソルボーマル処理をした後、冷却して、生成した固体を濾過した。得られた固体をイオン交換水で洗浄し、同様に乾燥、焼成を行って、微細FAPO−5ゼオライト2を得た。
微細FAPO−5ゼオライト2のSEM写真を図5に示す。この微細FAPO−5ゼオライト2の平均粒子径は0.5μmであった。
また、微細FAPO−5ゼオライト2のXRDを図17に示す。
これらの結果から、ソルボーマル処理により、粉末2の平均粒子径は変化せず、結晶性が向上したことが分かる。
<実施例3>
特開2003−183020号公報に開示されている方法により、CHA型シリコアルミノホスフェートゼオライト(以下、「CHA−SAPO」と適宜称する。)を合成した。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄み液(以下、「上澄み液2」と適宜称する。)と沈殿物とをそれぞれ回収した。その沈殿物を水で洗浄し、100℃で乾燥した後、テンプレートを含有するCHA−SAPO(CHA−SAPO−Asmade)を得た。テンプレートを含有するCHA−SAPO−Asmadeを空気中、550℃で6時間焼成することで、テンプレートを含有しないCHA−SAPO(CHA−SAPO−Cal)を得た。
CHA−SAPO−CalのSEM写真を図6に示す。このCHA−SAPO−Calの平均粒子径は8μmであった。テンプレートを含有しないCHA−SAPO−CalのXRDを図18に示す。
20gのCHA−SAPO−Calをエタノール100mLに分散させて原料スラリーを調製し、実施例1におけると同様にしてビーズミルを用いて粉砕処理を行い、スラリーを回収し、同様に乾燥を行って、粉末3を回収した。得られた粉末3のSEM写真を図7に示す。粉末3の平均粒子径は0.4μmであった。
また、粉末3のXRDを図18に示す。
粉末3のXRDにより、粉砕によりゼオライトの粒径が小さくなるが、ゼオライトに由来するXRDピーク強度が大幅に低下しており、このことから、粉砕工程でゼオライト粒子の非晶質化が進行していることが分かる。
次に、0.5gの粉末3を2gの上澄み液2に分散させ、得られたスラリーをステンレス製オートクレーブに仕込み、実施例1と同様にソルボーマル処理をした後、冷却して、生成した固体を濾過した。得られた固体をイオン交換水で洗浄し、同様に乾燥、焼成を行って、微細CHA−SAPOゼオライト1を得た。
微細CHA−SAPOゼオライト1のSEM写真を図8に示す。この微細CHA−SAPOゼオライト1の平均粒子径は0.4μmであった。
また、微細CHA−SAPOゼオライト1のXRDを図18に示す。
これらの結果から、ソルボーマル処理により粉末3の平均粒子径は変化せず、結晶性が向上したことが分かる。
上記の粉砕およびソルボーマル処理により得られた微細CHA−SAPOゼオライト1の水吸着等温線を図9に示す。
<実施例4>
実施例3で得られたCHA−SAPO−Asmade(平均粒子径8μm)60gをエタノール100mLに分散させて原料スラリーを調製し、原料スラリー投入後の粉砕処理時間を480分としたこと以外は実施例1におけると同様にしてビーズミルを用いて粉砕処理を行い、スラリーを回収し、同様に乾燥を行って、粉末4を回収した。得られた粉末4のSEM写真を図10に示す。粉末4の平均粒子径は0.08μmであった。
また、粉末4のXRDを図18に示す。粉末4のXRDより、粉砕によりゼオライトの粒径が小さくなるが、ゼオライトに由来するXRDピーク強度が大幅に低下しており、このことから、粉砕工程でゼオライト粒子の非晶質化が進行していることが分かる。
次に、0.5gの粉末4を水0.1mLに分散させ、得られたスラリーをステンレス製オートクレーブに仕込み、反応時間を24時間としたこと以外は、実施例1と同様にソルボーマル処理した後、冷却して、生成した固体を濾過した。得られた固体をイオン交換水で洗浄し、同様に乾燥、焼成を行って、微細CHA−SAPOゼオライト2を得た。
微細CHA−SAPOゼオライト2のSEM写真を図11に示す。この微細CHA−SAPOゼオライト2の平均粒子径は0.08μmであった。
また、微細CHA−SAPOゼオライト2のXRDを図18に示す。
これらの結果から、ソルボーマル処理により、粉末4の平均粒子径は変化せず、結晶性が向上したことが分かる。
<実施例5>
実施例4で得られた0.5gの粉末4をモルホリン(和光純薬製)0.1mLに分散させてスラリーを調製したこと以外は実施例4と同様にしてソルボーマル処理した後、冷却して、生成した固体を濾過した。得られた固体をイオン交換水で洗浄し、同様に乾燥、焼成を行って、微細CHA−SAPOゼオライト3を得た。
微細CHA−SAPOゼオライト3のXRDを図18に示す。このXRDより、ソルボーマル処理により結晶性が向上したことが分かる。
<実施例6>
実施例4で得られた0.5gの粉末4を2mLの上澄み液2に分散させてスラリーを調製したこと以外は実施例4と同様にしてソルボーマル処理した後、冷却して、生成した固体を濾過した。得られた固体をイオン交換水で洗浄し、同様に乾燥、焼成を行って、微細CHA−SAPOゼオライト4を得た。
微細CHA−SAPOゼオライト4のXRDを図18に示す。このXRDより、ソルボーマル処理により結晶性が向上したことが分かる。
<実施例7>
特開2007−144417号公報に開示されている方法により、AFI型アルミノホスフェート(以下、「APO−5」と適宜称する。)を合成した。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄み液(以下、「上澄み液3」と適宜称する。)と沈殿物とをそれぞれ回収した。その沈殿物を水で洗浄し、100℃で乾燥した後、テンプレートを含有するAPO−5(APO−5−Asmade1)を得た。テンプレートを含有するAPO−5−Asmadeを、空気中、550℃で6時間焼成することで、テンプレートを含有しないAPO−5(APO−5−Cal)を得た。
APO−5−CalのSEM写真を図12に示す。このAPO−5−Calの平均粒子径は17μmであった。
APO−5−CalのXRDを図19に示す。
15gのAPO−5−Calを水100mLに分散させて原料スラリーを調製し、実施例1におけると同様にしてビーズミルを用いて粉砕処理を行い、スラリーを回収し、同様に乾燥を行って粉末5を回収した。得られた粉末5のSEM写真を図13に示す。この粉末5の平均粒子径は0.5μmであった。
また、粉末5のXRDを図19に示す。粉末5のXRDより、粉砕によりゼオライトの粒径が小さくなるが、ゼオライトに由来するXRDピーク強度が大幅に低下しており、このことから、粉砕工程でゼオライト粒子の非晶質化が進行していることが分かる。
次に、0.5gの粉末5を2gの上澄み液3に分散させ、得られたスラリーをステンレス製オートクレーブに仕込み、実施例1と同様にソルボーマル処理をした後、冷却して、生成した固体を濾過した。得られた固体をイオン交換水で洗浄し、同様に乾燥、焼成を行って、微細APO−5ゼオライト1を得た。
微細APO−5ゼオライト1のSEM写真を図14に示す。この微細APO−5ゼオライト1の平均粒子径は0.5μmであった。
また、微細APO−5ゼオライト1のXRDを図19に示す。
これらの結果から、ソルボーマル処理により、粉末5の平均粒子径は変化せず、結晶性が向上したことが分かる。
<実施例8>
非特許文献VERIFIED SYNTHESES OF ZEOLITIC MATERIALS(Second Revised Edition)(2001、ELSEVIER1)に記載されている方法により、APO−5を合成した。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄み液(以下、「上澄み液4」と適宜称する。)と沈殿物とをそれぞれ回収した。その沈殿物を水で洗浄し、100℃で乾燥した後、テンプレートを含有するAPO−5(APO−5−Asmade2)を得た。
APO−5−Asmade2の平均粒子径は17μmであった。APO−5−Asmade2のXRDを図19に示す。
15gのAPO−5−Asmade2を水100mLに分散させ、原料スラリーを調製し、原料スラリー投入後の粉砕処理時間を480分としたこと以外は実施例1におけると同様にしてビーズミルを用いて粉砕処理を行い、スラリーを回収し、同様に乾燥を行って、粉末6を回収した。得られた粉末6のSEM写真を図15に示す。粉末6の平均粒子径は0.2μmであった。
また、粉末6のXRDを図19に示す。粉末6のXRDより、粉砕によりゼオライトの粒径が小さくなるが、ゼオライトに由来するXRDピーク強度が大幅に低下しており、このことから、粉砕工程でゼオライト粒子の非晶質化が進行していることが分かる。
次に、0.5gの粉末6を2gの上澄み液4に分散させ、得られたスラリーをステンレス製オートクレーブに仕込み、実施例1と同様にソルボーマル処理した後、冷却して、生成した固体を濾過した。得られた固体をイオン交換水で洗浄し、同様に乾燥、焼成を行って、微細APO−5ゼオライト2を得た。
微細APO−5ゼオライト2のSEM写真を図16に示す。この微細APO−5ゼオライト2の平均粒子径は0.3μmであった。
また、微細APO−5ゼオライト2のXRDを図19に示す。
これらの結果から、ソルボーマル処理により、粉末6の平均粒子径は変化せず、結晶性が向上したことが分かる。

Claims (3)

  1. 骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含む、平均粒子径0.7μm以上のゼオライトを粉砕した後、ソルボーマル処理して、骨格構造に少なくともアルミニウム原子とリン原子とを含む、平均粒子径0.6μm以下の微細ゼオライトを製造する微細ゼオライトの製造方法であって、
    前記ソルボサーマル処理用の液が、水、前記ゼオライトの製造における水熱合成に用いられる有機テンプレート、水と前記有機テンプレートとの混合液、又は前記ゼオライトの製造における水熱合成後に得られる水と有機テンプレートを含む回収上澄み液のいずれかであることを特徴とする微細ゼオライトの製造方法。
  2. 前記ゼオライトが、骨格構造にさらにケイ素原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の微細ゼオライトの製造方法。
  3. 前記ゼオライトが、骨格構造にさらに遷移金属を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の微細ゼオライトの製造方法。
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