JP2005059335A - 可逆性感熱記録媒体用記録消去装置及び可逆性感熱記録媒体用画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱により可逆的に発色及び消色する記録層をもつ感熱記録媒体を所定の消色温度範囲内で加熱処理することにより、その感熱記録媒体上に記録された可視画像を消去する記録消去装置に、第1ヒータ基板5と、感熱記録媒体を第1ヒータ基板に押し付けるための加圧ローラ7とを設ける。この装置は、加圧ローラを加熱するための第2ヒータ基板6を、第1ヒータ基板とは別個に有している。よって、第1ヒータ基板及び加圧ローラの両方を昇温させるスピードを早めることもできるので、消去処理全体に要する時間を短縮することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
図7(a)及び(b)は、ロイコ染料を記録層として用いた感熱記録媒体の基本的な発色/消色プロセスの例をそれぞれ示した説明図である。いずれのプロセスであっても、図示のように、消色状態の記録層をいったん温度T2以上に加熱した後に急冷すると、その記録層が発色状態で固定される。また、発色状態の記録層を温度T2よりも低温側の消色温度範囲(T2〜T1)に加熱すると記録層が消色状態で固定され、元の状態に戻せる。この感熱記録媒体上に可視画像を記録する場合、一般に、サーマルヘッドを用いて画像部分を発色状態として可視画像を記録する。一方、感熱記録媒体上の可視画像を消去する場合には、実用的には、基板上に帯状の発熱体をもちガラス等によって保護層が形成されたセラミックヒータ基板又は内部に熱源を有するローラ状のヒートローラなどが用いられる。
装置の立ち上げ時間を実用的なレベルにした場合に感熱記録媒体100上に記録された可視画像を完全に消去するには、消去用加熱部材を速やかに設定温度まで到達させ、記録層を確実に消色温度に加熱することが重要である。そのためには、まず消去用加熱部材の温度制御が重要となる。図9や図10に示す公知の記録消去装置300,400においても、ヒータ基板302の裏面やヒートローラ402の表面に温度センサを設け、ヒータへの通電を制御し、ヒータをできるだけ一定の温度に維持できるようにしている。しかし、実際には、このような温度制御だけでは、以下のような理由から、A4サイズのような大きなサイズの感熱記録媒体100に対して安定した消去を実現することができない。
そこで、本発明者らは、感熱記録媒体100を消去するときの消去品質に関わる多数のパラメータについて実験を重ねた結果、安定した消去の実現を妨げる最も重要な因子は、加圧ローラ304,404等の加圧部材であると考えた。その理由は次のとおりである。
このように、加圧部材温度を検出してその温度に応じた消去条件の設定することにより、確実な消去と、感熱記録媒体の過剰な加熱を防ぐことが可能になる。
また、請求項2の発明は、請求項1の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、上記加圧部材の温度を測定する加圧部材温度測定手段と、上記加圧部材温度測定手段により測定された加圧部材温度に応じて、上記可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層に対する加熱処理の結果に影響を及ぼす消去条件を制御する消去条件制御手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、上記消去用加熱部材の温度を測定する加熱部材温度測定手段を備えており、上記消去条件制御手段は、上記加圧部材温度測定手段により測定された加圧部材の温度及び上記加熱部材温度測定手段により測定された消去用加熱部材の温度に応じて、該消去用加熱部材及び該加圧部材の少なくとも一方の設定温度を決定する設定温度決定手段と、上記可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層を加熱しているときの上記少なくとも一方の部材の温度を、上記設定温度決定手段により決定された設定温度に保持するための温度制御手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、上記可逆性感熱記録媒体が上記消去用加熱部材と接触して加熱される加熱領域中を通過するように、該可逆性感熱記録媒体を搬送する媒体搬送手段を備えており、上記消去条件制御手段は、上記加圧部材温度測定手段により測定された加圧部材温度に応じて、上記記録媒体搬送手段による可逆性感熱記録媒体の搬送速度を決定する搬送速度決定手段と、上記搬送速度決定手段により決定された搬送速度で上記可逆性感熱記録媒体が搬送されるように、上記媒体搬送手段による可逆性感熱記録媒体の搬送速度を制御する搬送速度制御手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、上記可逆性感熱記録媒体が上記消去用加熱部材と接触して加熱される加熱領域中を通過するように、該可逆性感熱記録媒体を搬送する媒体搬送手段を備えており、上記消去条件制御手段は、上記加圧部材の温度が所定の搬送開始トリガー温度に到達した後に上記可逆性感熱記録媒体が上記加熱領域に入り込むように、上記媒体搬送手段による可逆性感熱記録媒体の搬送開始タイミングを制御する搬送タイミング制御手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、上記消去条件制御手段は、上記加圧部材加熱手段により加熱される前の加圧部材について上記加圧部材温度測定手段により測定された温度に応じて、上記所定の搬送開始トリガー温度を設定するトリガー温度設定手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5又は6の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、上記搬送タイミング制御手段は、上記消去用加熱部材の温度が規定温度に到達した後に上記可逆性感熱記録媒体が上記加熱領域に入り込むように、上記搬送開始タイミングを制御することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2、3、4、5、6又は7の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、装置外部の温度を測定する外部温度測定手段を備えており、上記消去条件制御手段は、上記外部温度測定手段により測定された装置外部の温度及び上記加圧部材温度に応じて、上記消去条件を制御することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項2、3、4、5、6又は7の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、上記消去用加熱部材と接触して加熱される加熱領域に入り込む前の上記可逆性感熱記録媒体の温度を測定する記録媒体温度測定手段を備えており、上記消去条件制御手段は、上記記録媒体温度測定手段により測定された可逆性感熱記録媒体の温度及び上記加圧部材温度に応じて、上記消去条件を制御することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の可逆性記録媒体用記録消去装置において、上記消去用加熱部材及び上記加圧部材加熱手段の少なくとも一方は、帯状又は線状の発熱体をもつヒータ基板であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、熱により可逆的に発色及び消色する可逆性感熱記録層をもつ可逆性感熱記録媒体を加熱処理して、該可逆性感熱記録媒体上に可視画像を記録する記録部と、上記可逆性感熱記録媒体を所定の消色温度範囲内で加熱処理することにより、該可逆性感熱記録媒体上に記録された可視画像を消去する消去部とを備えた可逆性感熱記録媒体用画像記録装置において、上記消去部は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置であることを特徴とするものである。
ここで、上記特許文献3で提案した装置のように消去用加熱部材によって加圧部材を加熱する構成であっても、同様に消去残りを抑制することは可能である。しかし、一般に加圧部材は、消去用加熱部材に対して可逆性感熱記録媒体を均一に押し付けるのが望ましいことから、金属の芯金を軸とする金属ローラなどが用いられることが多い。このような加圧部材は、一般に熱容量の大きいものである。しかも、消去用加圧部材は、加圧部材よりもはるかに熱容量が少ない可逆性感熱記録媒体の記録層の温度を所望の消色温度にすることが本来の目的であることから、その本来の目的を達成するのに適した構成が採用される。したがって、このような消去用加圧部材を加圧部材の加熱処理に利用する構成であると、加圧部材を所望の温度まで昇温させるのに要する時間は長いものとなる。加えて、消去用加熱部材によって加圧部材を加熱する構成では、消去用加熱部材の熱を加圧部材に与えることで加圧部材を加熱するため、消去用加熱部材を所望の設定温度まで昇温させるのに要する時間も長くなる。これに対し、本発明は、加圧部材を加熱する加圧部材加熱手段が消去用加熱部材とは別個に設けられたものである。よって、上記特許文献3で提案した装置のように消去用加熱部材によって加圧部材を加熱する場合に比べて、消去用加熱部材及び加圧部材の両方を昇温させるスピードを早めることができる。
また、可逆性感熱記録媒体の消去処理を行う場合には、一般に、可逆性感熱記録媒体の一部を消去用加熱部材と加圧部材との間のニップ部に挟み込み、その可逆性感熱記録媒体の先端から後端に向かって順次加熱処理を行う構成が採用される。加熱処理前の可逆性感熱記録媒体の温度は消色温度よりずっと低い室温程度であるため、上記構成を採用すると、その加熱処理の間に加圧部材の温度が急速に低下する。その結果、可逆性感熱記録媒体の先端部分を加熱処理する時と、後端部分を加熱処理している時とでは、加圧部材の温度に大きな差が生じる。そのため、可逆性感熱記録媒体の先端側では良好に消去できても、後端側では消去用加熱部材の熱が加圧部材により多く奪われる結果、記録層を消色温度まで十分に加熱することができなくなり、消去残りを生ずることがある。また、複数の可逆性感熱記録媒体を連続して加熱処理する場合、同様の理由で、後の方に加熱処理される可逆性感熱記録媒体では消去残りが生じやすい。一方、次の加熱処理を開始する前に消去用加熱部材で加圧部材を予備加熱するようにすれば、この消去残りを防止することが可能である。しかし、この場合には、その予備加熱が終わるまで次の可逆性感熱記録媒体に対する加熱処理を待つ必要が生じ、全体の処理時間が長くなってしまう。これに対し、本発明は、上述したように消去用加熱部材とは別個に設けられた加圧部材加熱手段によって加圧部材を加熱する構成となっているので、加熱処理中であっても加圧部材に熱を与えることができる。よって、先端部分を加熱処理する時と後端部分を加熱処理している時との間で生じる加圧部材の温度差を小さくでき、後端部分での消去残りの発生を効果的に抑制することができる。また、連続して加熱処理を行う場合も、本発明によれば、各加熱処理の間で加圧部材を予備加熱する時間を確保する必要がない。したがって、連続した消去処理全体の処理時間が長くすることなく、各可逆性感熱記録媒体に対して消去残りのない消去処理が可能となる。
このような効果により、文書用途として、従来の紙の代わりに、繰り返し使用可能な可逆性感熱記録媒体を実用的に利用することが可能となる。その結果、紙の大量消費による環境や資源への問題、廃棄物処理などの問題を軽減又は回避することが可能となる。
図2(a)及び(b)は、本実施形態に係る記録消去装置の消去対象となる可逆性感熱記録媒体(以下、「感熱記録媒体」という。)100の代表的な例を示す厚さ方向の断面図である。図2(a)に示す感熱記録媒体100は、支持体101の上面に可逆性感熱記録層(以下、「記録層」という。)102及び保護層103が順次積層された構成を有するものである。また、図2(b)に示す感熱記録媒体100は、支持体101の上面に記録層102及び保護層103が積層され、かつ、支持体101の下面にバックコート層104を有するものである。
図3は、ロイコ染料と顕色剤の組み合わせによる消色温度特性の違いを示すグラフであり、図4は、このときのロイコ染料と顕色剤の構造を示す図である。図3に示すように、消色温度範囲の広さは、材料の組み合わせにより大きく異なり、中には適切な消色温度範囲が10℃以下のものもある。感熱記録媒体100を文書用として利用する場合、わずかな消去残りでも使用上の不快感が生じるため、完全に消去できることが求められる。これは、読めれば実用上問題とならなかった従来のカード用途のものよりも、はるかに厳しい条件となる。具体的には、カードでは消去残り濃度(消去後の画像部分の画像濃度と地肌部の画像濃度との濃度差)が0.02程度で実用化できるが、文書用では0.01以下であることが要求される。従って、このような厳しい条件を満たすためには、記録消去装置の温度制御を、従来よりもいっそう高い精度で行う必要がある。また、実用的にみると、このような精度の高い温度制御と同時に、迅速に消去処理ができることはさらに重要なことである。消去処理に要する時間の大部分は、装置の立ち上げ時間と、感熱記録媒体100の搬送開始から消去部(および印字部)を通過し、排紙を完了するまでの時間である。このように装置の立ち上げ時間を含む消去処理全体の時間を短くし、しかも上述した消去に関する厳しい条件を満たすような消去を行うことが、実用上重要な課題である。
まず、本実験で用いる実験用の記録消去装置(以下、「実験装置」という。)の構成及び動作について説明する。本実験では、後述する実施例1〜4に係る記録消去装置を実験装置として用いる。この実験装置は、帯状の発熱体を有する第1ヒータ基板5を消去用加熱部材として用いたものである。第1ヒータ基板5は、セラミック基板上に幅3mmの帯状に形成された100Wまたは200Wの発熱体をもち、この上に発熱体を保護するガラス層、さらにその上に感熱記録媒体100との滑りをよくするテフロン(登録商標)層がある。本実験装置は、感熱記録媒体100の搬送経路に第1ヒータ基板5が設置されており、これに感熱記録媒体100を押し当てるための加圧部材としての加圧ローラ7が接している。加圧ローラ7は、直径10mmの芯金に対し、外形16mm、ゴム厚3mm、ゴム硬度Hs(JIS−A)30度のシリコーンゴムをつけたローラであり、図中矢印の方向に回転する。また、本実験装置では、加圧ローラ7と第1ヒータ基板5とが接する部分(ニップ部)から加圧ローラの回転方向とは逆向きに90度の位置で、加圧部材加熱手段としての第2ヒータ基板6が加圧ローラ7の表面に接している。この第2ヒータ基板6も第1ヒータ基板5と同様のものである。これらのヒータ基板5,6は、加圧ローラ7に対してそのローラ軸方向に長さ215mmで接しており、図示しない3つのバネにより3箇所で押し付けられている。その線圧は0.8N/cmである。また、各ヒータ基板5,6の裏面の中央付近にはサーミスタからなる第2温度センサ9及び第3温度センサ10が設置されている。これらの温度センサ9,10によって検知した温度に基づき、各ヒータ基板5,6の温度制御(オン/オフ制御)が行われる。また、実験として実温度を測定する場合には、各ヒータ基板5,6の発熱体上に熱電対を設置し、加圧ローラ7とのニップ部の温度を測定する。また、加圧ローラ7の表面温度については、第1ヒータ基板5とのニップ部の反対側で加圧ローラ7に接するように設けた小径ローラ表面温度測定用熱電対(アンリツ社製)からなる第1温度センサ8によって測定する。なお、その他の詳細については、後述する実施例にて説明する。
本実験1〜8のうち、実験1〜4の条件及び評価結果は、下記の表1に示すとおりである。
実験1は、加圧ローラ7を加熱するための第2ヒータ基板6を用いずに、第1ヒータ基板5(200W)のみを使用して加熱処理を行ったものである。実験1では、第1ヒータ基板5の表面温度及び加圧ローラ7の表面温度がともに30℃である状態から通電を開始した。そして、第1ヒータ基板5を設定温度(160℃)まで昇温させた後、その設定温度に保持した。このときの第1ヒータ基板5の裏面の実温度は、設定温度に対して±5℃の範囲で制御された。本実験1では、立ち上げ時間を10秒、20秒、30秒と変化させて消去後の感熱記録媒体の消去状態、特に画像部における消去後の画像濃度を測定して評価した。ここで、立ち上げ時間とは、画像が記録された感熱記録媒体100が通電開始からニップ部への進入が開始されるまでの時間である。
この点について考察すると、第1ヒータ基板5の表面温度は、本実験1の場合には8秒でほぼ設定温度の160℃に到達するが、それだけでは十分に消去することができない。これは、加圧ローラ7の表面温度データから次のように考えられる。すなわち、立ち上げ時間が10秒の場合、第1ヒータ基板5の表面は設定温度の160℃に達しているが、加圧ローラの表面温度は45℃にしか達していない。これに対し、30秒の場合には、加圧ローラの表面温度が80℃にまで達している。そのため、温度が室温程度である感熱記録媒体100がニップ部に進入するときの第1ヒータ基板5から供給される熱は、立ち上げ時間10秒の場合より30秒の場合の方が加圧ローラ7側に逃げにくくなっている。したがって、感熱記録媒体100の記録層102は第1ヒータ基板5によって効率的に加熱される結果、その記録層102の温度は消色温度範囲内で長時間保たれ、完全な消去ができたものと考えられる。
実験2は、第1ヒータ基板5だけでなく、加圧ローラを加熱するための第2ヒータ基板6も使用して消去処理を行ったものである。実験2では、両ヒータ基板5,6とも100Wとし、合計して200Wとした。また、各ヒータ基板5,6とも設定温度は160℃とした。そして、実験1と同様にして、立ち上げ時間を10秒、20秒、30秒と変化させ、消去後の感熱記録媒体の消去状態について評価した。その評価結果は、表1に示すように、10秒ではわずかに消去残りが認められるものの、20秒、30秒では消去残りは認められなかった。このときの加圧ローラ7の温度は、10秒の場合では55℃であるが、20秒の場合では77℃、30秒の場合では83℃にまで達している。本実験2では、第1ヒータ基板5が設定温度に到達するのは通電開始から15秒を要するが、十分な消去に必要な立ち上げ時間は20秒となる。この結果から、完全な消去に必要な立ち上げ時間は、上記実験1のように200Wの第1ヒータ基板5だけで消去処理を行う場合には30秒であったが、これよりも約10秒短くすることができた。
実験3は、上記実験2と同様に、第1ヒータ基板5及び第2ヒータ基板6の両方を使用して消去処理を行ったものであり、第1ヒータ基板5の設定温度を180℃とし、第2ヒータ基板6の設定温度を160℃としたものである。各ヒータ基板5,6及び加圧ローラ7がともに30℃である状態から通電を開始し、第1ヒータ基板5が設定温度に到達した後、具体的には通電開始から15秒後に、感熱記録媒体100をニップ部に進入させた。この結果、表1に示すように、このような短い立ち上げ時間でも十分に消去できることが確認された。よって、上記実験2と同様に室温付近から立ち上げる場合には、第1ヒータ基板5の設定温度を高めに設定することによって、立ち上げ時間を短くしても十分な消去ができることが判明した。
実験4は、上記実験2と同様に、第1ヒータ基板5及び第2ヒータ基板6の両方を使用して消去処理を行ったものであり、両ヒータ基板5,6の設定温度をいずれも160℃としたものである。ただし、感熱記録媒体100の搬送速度は20mm/secと遅くした。各ヒータ基板5,6及び加圧ローラ7がともに30℃である状態から通電を開始し、第1ヒータ基板5が設定温度に到達した後、具体的には通電開始から13秒後に、感熱記録媒体100をニップ部に進入させた。この結果、表1に示すように、このような短い立ち上げ時間でも十分に消去できることが確認された。よって、上記実験2と同様に室温付近から立ち上げる場合には、感熱記録媒体100の搬送速度を遅くすることによって、十分な消去に必要な立ち上げ時間を短くすることができることが判明した。
なお、本実験のように搬送速度を20mm/secとした場合、感熱記録媒体100がニップ部を通過するのに要する時間は15秒であり、搬送速度が30mm/secの場合に比べて5秒長くなる。しかし、立ち上げ時間を含めた消去処理全体の時間は、搬送速度が30mm/secである上記実験2の場合には30秒(立ち上げ時間20秒と消去時間10秒)である。これに対し、本実験3では28秒である。よって、消去処理全体の時間で見れば、本実験3の方が上記実験2の場合よりも短くすることができる。
本実験5では、実験装置を設置する部屋の環境温度を10℃、20℃、30℃と変化させ、加圧ローラ7の温度が室温になるまで放置した後に通電を開始した。そして、加圧ローラ7の温度が75℃になるのを第1温度センサ8によって検出し、それをトリガーとして感熱記録媒体100をニップ部に進入するように搬送制御を行った。本実験5の結果、立ち上げ時間は初期温度が低いほど長くなったが、どの場合も、消去残りはほとんどなく、確実な消去が可能になることがわかる。これは、環境温度が変動しても、加圧ローラ7の温度が常に消去に必要な温度まで暖められているため、感熱記録媒体100の記録層102が第1ヒータ基板5によって消色温度範囲内で確実に加熱されたからである。
本実験6は、上記実験5とほぼ同じ条件で、複数の感熱記録媒体100を連続して消去処理した後、少し時間を空けて加圧ローラ7の温度がまだ60℃までしか冷えてないときに、再度消去処理を行ったものである。本実験6では、搬送開始トリガー設定温度が75℃と65℃の2つの場合を比較した。加圧ローラ7の温度は消去処理の開始の際にすでに60℃になっているので、立ち上げ時間は、搬送開始トリガー設定温度が75℃の場合は12秒、搬送開始トリガー設定温度が65℃の場合は8秒と、上記実験5に比べて立ち上げ時間が短縮された。しかも、いずれの場合も、消去残りはほとんどなく、確実な消去ができた。これは、加圧ローラ7が冷えていない状態においては、搬送開始トリガー設定温度を低く設定しても、消去残りがほとんどない確実な消去が可能となることを意味する。
実験7は、上記実験5と同じ条件で、複数の感熱記録媒体100を連続して消去処理した後、あまり時間を空けずに加圧ローラ7の温度がまだ80℃までしか冷えてないときに、再度消去処理を行ったものである。本実験7では、消去処理の開始の際にすでに加圧ローラ7の温度が75℃以上であるので、消去処理の開始と同時に感熱記録媒体100がニップ部に進入することになる。本実験7の結果、感熱記録媒体100の先端部にある画像部の消去が不十分であった。また、後端部に近い画像部では十分な消去ができた。これは、感熱記録媒体100がニップ部に進入した直後においては、まだ第1ヒータ基板5が設定温度の160℃に達しておらず、後端部あたりで第1ヒータ基板5が設定温度に達したためである。
実験8は、上記実験7と同じ条件で消去処理を行うが、加圧ローラ7が搬送開始トリガー温度に到達するだけでなく、第1ヒータ基板7の温度が設定温度(160℃)に到達してから、感熱記録媒体100がニップ部に進入するように搬送制御を行ったものである。その結果、表2に示すように、感熱記録媒体100の全面で確実な消去ができた。これは、感熱記録媒体100がニップ部に進入するときに、加圧ローラ7及び第1ヒータ基板5が十分に暖められていたからである。
また、上述した実験1〜8では、感熱記録媒体100に記録された画像を消去する機能のみ有する記録消去装置を例に挙げて説明したが、図1(c)や図1(d)に示すように、微細な発熱素子をライン状に並べた記録用加熱部材としてのサーマルヘッド13により熱を加えて感熱記録媒体100上に画像を記録する記録装置と組み合わせることにより、消去の確実性を向上させる効果と、感熱記録媒体100への過剰なストレスを減らす効果をもつ可逆性感熱記録媒体用画像記録装置を実現することもできる。なお、これらの装置については、以下の実施例にて説明する。
尚、本実施例1では、本発明の特徴部分を説明するのに必要な構成だけを挙げて説明するが、必要に応じて、搬送ガイド、給紙ローラ、給紙センサ、給紙トレイ、排紙ローラ、排紙トレイ、排気ファンなども設けられる。後述する他の実施例2〜6でも同様である。
図1(a)に示す記録消去装置は、各部に電源を供給するための電源部1と、感熱記録媒体100の搬送を行うための駆動ユニット2を備えている。また、加圧ローラ7の温度に応じて第1ヒータ基板5の設定温度を選択し、第1ヒータ基板5をその設定温度まで昇温し保持させ、かつ、加圧ローラ7を加熱する加圧部材加熱手段としての第2ヒータ基板6を設定温度まで昇温し保持させるための消去条件制御手段を構成する設定温度決定手段及び温度制御手段としての温度制御回路3も備えている。また、第1ヒータ基板5が設定温度まで到達したのを受けて感熱記録媒体100の搬送タイミングや搬送速度を制御するための搬送制御回路4も備えている。また、感熱記録媒体100を加熱するための帯状発熱体を有する消去用加熱部材である第1ヒータ基板5、感熱記録媒体100を第1ヒータ基板5に押し付けて搬送させるための加圧部材である加圧ローラ7、加圧ローラ7の表面温度を測定するサーミスタからなる第1温度センサ8、第1ヒータ基板5の温度を測定するサーミスタからなる加熱部材温度測定手段としての第2温度センサ9、第2ヒータ基板5の温度を測定するサーミスタからなる第3温度センサ10、感熱記録媒体100を搬送する媒体搬送手段としての搬送ローラ11も備えている。尚、加圧ローラ7が感熱記録媒体100を搬送させる媒体搬送手段としても機能する場合には、搬送ローラ11を設けなくてもよい。
また、図1(b)は、消去用加熱部材として、内部にハロゲンランプを有するステンレスパイプからなるヒートローラ5’を用いた例を示す概略構成図である。この記録消去装置は、消去用加熱部材としてヒートローラ5’を用いる点以外は、図1(a)に示す記録消去装置の構成と同様である。
第2温度センサ9及び第3温度センサ10による温度測定によって、第1ヒータ基板5及び第2ヒータ基板6の温度が設定温度まで到達したことを検知すると、温度制御回路3から搬送制御回路4へ信号が送られる。この信号を受信した搬送制御回路4は、搬送ローラ10を回転駆動させて感熱記録媒体100の搬送を開始させ、感熱記録媒体100を第1ヒータ基板5と加圧ローラ7の間に形成されるニップ部に送り込む。これにより、感熱記録媒体100上の画像を消去するための加熱処理が開始される。感熱記録媒体100がニップ部を通過している間も、温度制御回路3によって第1ヒータ基板5及び/又は第2ヒータ基板6の温度が設定温度に保たれるように温度制御される。
図1(c)及び(d)の画像記録装置を用いて、画像が形成された感熱記録媒体100を消去部から記録部へ連続的に通過させ、画像の書き換えを行った。その結果、前の画像は完全に消去されており、消去残りはなく、新たな画像が良好に形成され、感熱記録媒体100の画像は完全に別の画像に書き換えることができた。また、この書換処理をそれぞれ画像を変えながら100回繰り返したが、画像はすべて確実に書き換えられ、感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。
本実施例2では、上記実施例1の記録消去装置又は画像記録装置と同じ装置を使用しているが、その制御動作が異なっている。尚、以下の説明では、図1(a)に示す記録消去装置を例に挙げて説明する。
また、加圧ローラ7は、第1ヒータ基板5と第2ヒータ基板6の両方を用いて短時間で加熱され、装置の立ち上げ時間を短くできる。実際に、本実施例2に係る記録消去装置により消去処理を行ったところ、感熱記録媒体100上に記録されていた画像を確実に消去することができた。また、消去後の感熱記録媒体100には波うちがほとんどなかった。また、同じ感熱記録媒体100を使って、記録装置による画像の書き込みと本実施例2の記録消去装置による消去とを100回繰り返したが、感熱記録媒体100の消去は確実に行われ、感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。
尚、図1(b)の記録消去装置について本実施例2を適用した場合でも、まったく同様の結果であった。また、図1(c)及び(d)の画像記録装置について本実施例2を適用し、書換処理をそれぞれ画像を変えながら100回繰り返したが、画像はすべて確実に書き換えられ、感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。
本実施例3では、上記実施例1の記録消去装置又は画像記録装置と同じ装置を使用しているが、その制御動作は、上記制御例1に基づく点で異なっている。尚、以下の説明では、図1(a)に示す記録消去装置を例に挙げて説明する。
また、加圧ローラ7は、第1ヒータ基板5と第2ヒータ基板6の両方を用いて短時間で加熱され、装置の立ち上げ時間を短くできる。実際に、本実施例3に係る記録消去装置により消去処理を行ったところ、感熱記録媒体100上に記録されていた画像を確実に消去することができた。また、同じ感熱記録媒体100を使って、記録装置による画像の書き込みと本実施例3の記録消去装置による消去とを100回繰り返したが、感熱記録媒体100の消去は確実に行われ、波うちもほとんどなく、感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。
尚、図1(b)の記録消去装置について本実施例3を適用した場合でも、まったく同様の結果であった。また、図1(c)及び(d)の画像記録装置について本実施例3を適用し、書換処理をそれぞれ画像を変えながら100回繰り返したが、画像はすべて確実に書き換えられ、感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。
すなわち、第1ヒータ基板5によって加熱される感熱記録媒体100から加圧ローラ7への熱の拡散については、そのローラ表面とその内部との温度勾配も問題となる。すなわち、この温度勾配が大きいほど熱の拡散が速くなり、この温度勾配が小さければ熱の拡散は遅くなる。したがって、この温度勾配が小さいときは、この温度勾配が大きいときよりも低い搬送開始トリガー温度に設定しても、十分な消去が可能となる。そして、搬送開始トリガー温度を低い温度に設定できれば、感熱記録媒体100を送り込む前の第2ヒータ基板6による加熱時間を短くできるので、装置の立ち上げ時間の更なる短縮が可能となる。この点については、上記実験6において確認されている。ここで、本実施例3の構成では、第1温度センサ8により測定される加圧ローラ7の温度Trは、加圧ローラ7の表面温度であるため、加圧ローラ7の内部温度を直接測定することができない。そこで、本実施例3の構成においては、例えば、加圧ローラ7の表面温度が低い(たとえば室温)場合には内部温度も低いと想定し、搬送開始トリガー温度を高めに設定し、その表面温度が高い場合は内部温度もある程度高いと想定し、トリガー温度をやや低めに設定するようにする。なお、もちろん、加圧ローラ7の内部温度を測定するセンサ等の温度測定手段を設け、その測定結果に応じて搬送開始トリガー温度を設定するようにすれば、より正確な制御が可能となる。
本実施例4では、上記実施例1の記録消去装置又は画像記録装置と同じ装置を使用しているが、その制御動作は、上記制御例1に基づく点で異なっている。尚、以下の説明では、図1(a)に示す記録消去装置を例に挙げて説明する。
また、加圧ローラ7は、第1ヒータ基板5と第2ヒータ基板6の両方を用いて短時間で加熱され、装置の立ち上げ時間を短くできる。実際に、本実施例4に係る記録消去装置により消去処理を行ったところ、感熱記録媒体100上に記録されていた画像を確実に消去することができた。また、消去後の感熱記録媒体100には波うちがほとんどなかった。また、同じ感熱記録媒体100を使って、記録装置による画像の書き込みと本実施例4の記録消去装置による消去とを100回繰り返したが、感熱記録媒体100の消去は確実に行われ、波うちもほとんどなく、感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。
尚、図1(b)の記録消去装置について本実施例4を適用した場合でも、まったく同様の結果であった。また、図1(c)及び(d)の画像記録装置について本実施例4を適用し、書換処理をそれぞれ画像を変えながら100回繰り返したが、画像はすべて確実に書き換えられ、感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。
図5(a)及び(b)は、本実施例5に係る記録消去装置及び画像記録装置をそれぞれ示す概略構成図である。図5(a)に示す記録消去装置の基本構成は、図1(a)に示した記録消去装置と同様であり、図5(b)に示す記録消去装置の基本構成は、図1(c)に示した画像記録装置と同様である。しかし、図5(a)及び(b)に示す装置には、外部温度を測定する外部温度測定手段としての第4温度センサ12が設けられている点で、図1(a)及び(c)と異なっている。この第4温度センサ12は、搬送制御回路4に接続されている。以下、図5(a)に示す記録消去装置を例に挙げて説明する。
尚、図5(b)の画像記録装置について本実施例5を適用し、書換処理をそれぞれ画像を変えながら100回繰り返したが、画像はすべて確実に書き換えられ、しかも、感熱記録媒体100は感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。
図6(a)及び(b)は、本実施例6に係る記録消去装置及び画像記録装置をそれぞれ示す概略構成図である。本実施例6に係るこれらの装置は、上記実施例5の装置における第4温度センサ12に代えて、感熱記録媒体100の温度を測定する第5温度センサ12’を用いる点以外は、上記実施例5と同様である。
具体的には、上記実施例5と同様に、感熱記録媒体100の消去開始の指示により加圧ローラ7を回転を開始させ、第1温度センサ8によって加圧ローラ7の温度Trを測定するとともに、第5温度センサ12’によって感熱記録媒体100の温度Tmを測定する。そして、本実施例6では、第5温度センサ12’により測定された温度Tmに対して予め決められた加圧ローラ7の搬送開始トリガー温度を選択する。搬送制御回路4は、第1温度センサ8により測定される加圧ローラの温度が、選択された搬送開始トリガー温度に達し、かつ、第2温度センサ9により測定される第1ヒータ基板5が設定温度に到達したとき、搬送ローラ10を回転駆動させて感熱記録媒体100の搬送を開始させる。
尚、図6(b)の画像記録装置について本実施例6を適用し、書換処理をそれぞれ画像を変えながら100回繰り返したが、画像はすべて確実に書き換えられ、しかも、感熱記録媒体100は波うちなどの損傷がほとんどなく、感熱記録媒体100は良好な状態が保たれていた。まったく同様の結果であった。
特に、上述した各実施例1〜7で説明した記録消去装置は、加圧ローラ7の温度を測定する加圧部材温度測定手段としての第1温度センサ8と、この第1温度センサ8により測定された加圧ローラ温度に応じて、感熱記録媒体100の記録層102に対する加熱処理の結果に影響を及ぼす消去条件を制御する消去条件制御手段を備えている。
例えば、上記実施例1では、第1ヒータ基板5又はヒートローラ5’の温度を測定する加熱部材温度測定手段としての第2温度センサ9を備え、温度制御回路3が上記消去条件制御手段として機能する。そして、この温度制御回路3は、第1温度センサ8により測定された加圧ローラ7の温度及び第2温度センサ9により測定された第1ヒータ基板5又はヒートローラ5’の温度に応じて、第1ヒータ基板5又はヒートローラ5’及び該加圧ローラ7の少なくとも一方の設定温度を決定する設定温度決定手段と、感熱記録媒体100の記録層102を加熱しているときの上記少なくとも一方の部材の温度を、決定された設定温度に保持するための温度制御手段として機能する。この構成により、上記実施例1で説明したように、感熱記録媒体100の表面全体について、その記録層102を均一に消色温度範囲で加熱することができるとともに、加圧ローラ7が第1ヒータ基板5と第2ヒータ基板6の両方を用いて短時間で加熱されるため装置の立ち上げ時間を短くできる。
また、上記実施例2では、感熱記録媒体100が第1ヒータ基板5又はヒートローラ5’と接触して加熱される加熱領域中を通過するように、感熱記録媒体100を搬送する媒体搬送手段としての搬送ローラ11を備え、搬送制御回路4が上記消去条件制御手段として機能する。そして、この搬送制御回路4は、第1温度センサ8により測定された加圧ローラ温度に応じて、搬送ローラ11による感熱記録媒体100の搬送速度を決定する搬送速度決定手段と、決定された搬送速度で感熱記録媒体100が搬送されるように、搬送ローラ11による感熱記録媒体100の搬送速度を制御する搬送速度制御手段として機能する。この構成により、上記実施例2で説明したように、感熱記録媒体100の表面全体について、その記録層102を均一に消色温度範囲で加熱することができるとともに、加圧ローラ7が第1ヒータ基板5と第2ヒータ基板6の両方を用いて短時間で加熱されるため装置の立ち上げ時間を短くできる。
また、上記実施例3も、搬送制御回路4が上記消去条件制御手段として機能する。そして、本実施例3の搬送制御回路4は、加圧ローラ7の温度が所定の搬送開始トリガー温度に到達した後に感熱記録媒体100が上記加熱領域に入り込むように、搬送ローラ11による感熱記録媒体100の搬送開始タイミングを制御する搬送タイミング制御手段として機能する。この構成により、上記実施例3で説明したように、感熱記録媒体100の表面全体について、その記録層102を均一に消色温度範囲で加熱することができるとともに、加圧ローラ7が第1ヒータ基板5と第2ヒータ基板6の両方を用いて短時間で加熱されるため装置の立ち上げ時間を短くできる。特に、上記搬送制御回路4が、第2ヒータ基板6により加熱される前の加圧ローラ7について第1温度センサ8により測定された温度に応じて上記所定の搬送開始トリガー温度を設定するトリガー温度設定手段としての機能も有していれば、加圧ローラ7の加熱時間をより短縮できるので装置の立ち上げ時間を更に短くできる。
また、上記実施例4も、搬送制御回路4が上記消去条件制御手段として機能する。そして、本実施例4の搬送制御回路4は、加圧ローラ7の温度が所定の搬送開始トリガー温度に到達し、かつ、第1ヒータ基板5又はヒートローラ5’の温度も規定温度に到達した後に、感熱記録媒体100が上記加熱領域に入り込むように、搬送開始タイミングを制御する。この構成により、上記実施例4で説明したように、装置をある程度連続使用しているときに、加圧ローラ7の温度のみが搬送開始トリガー温度以上で第1ヒータ基板5が設定温度以下である場合であっても、確実な消去が可能になる。
また、上記実施例5では、装置外部の温度を測定する外部温度測定手段としての第4温度センサ12を備え、搬送制御回路4が上記消去条件制御手段として機能する。そして、本実施例5の搬送制御回路4は、第4温度センサ12により測定された装置外部の温度及び上記加圧ローラ温度に応じて、上記実施例4と同様の制御を行う。この構成により、上記実施例5で説明したように、装置の立ち上げ時間を無駄に長くすることなく、十分な消去が可能となる。
また、上記実施例6では、第1ヒータ基板5又はヒートローラ5’と接触して加熱される加熱領域に入り込む前の感熱記録媒体100の温度を測定する記録媒体温度測定手段としての第5温度センサ12’を備え、搬送制御回路4が上記消去条件制御手段として機能する。そして、本実施例6の搬送制御回路4は、第5温度センサ12’により測定された感熱記録媒体100の温度及び上記加圧ローラ温度に応じて、上記実施例4と同様の制御を行う。この構成により、上記実施例5と同様に、装置の立ち上げ時間を無駄に長くすることなく、十分な消去が可能となる。
また、上記実施例1〜6では、消去用加熱部材及び加圧部材加熱手段が、それぞれ、帯状又は線状の発熱体をもつ第1ヒータ基板5及び第2ヒータ基板である。帯状又は線状の発熱体は、既存の発熱体の中でも通電開始から設定温度まで昇温するスピードが早い。よって、このような発熱体を有するヒータ基板であれば、装置の立ち上げ時間を短縮する点で有利である。
また、上記実施例1〜6では、感熱記録媒体100を加熱処理してこれに可視画像を記録する記録部を構成するサーマルヘッド13、プラテンローラ14及び画像記録制御回路15と、感熱記録媒体100を所定の消色温度範囲内で加熱処理することにより、これに記録された可視画像を消去する消去部とを備えた画像記録装置であって、その消去部に上述した記録消去装置を採用したものについても説明している。このように画像の記録と画像の消去を両立した装置であっても、その消去部に上述した記録消去装置を採用しているので、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
2 駆動モータ
3 温度制御回路
4 搬送制御回路
5 第1ヒータ基板
5’ ヒートローラ
6 第2ヒータ基板
7 加圧ローラ
8 第1温度センサ
9 第2温度センサ
10 第3温度センサ
11 搬送ローラ
12 第4温度センサ
12’ 第5温度センサ
13 サーマルヘッド
14 プラテンローラ
15 画像記録制御回路
100 感熱記録媒体
101 支持体
102 記録層
103 保護層
104 バックコート層
Claims (11)
- 熱により可逆的に発色及び消色する可逆性感熱記録層をもつ可逆性感熱記録媒体を所定の消色温度範囲内で加熱処理することにより、該可逆性感熱記録媒体上に記録された可視画像を消去する可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
上記可逆性感熱記録媒体に接触するように設置され、該可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層を加熱し消去するための消去用加熱部材と、
上記可逆性感熱記録媒体に接触して、該可逆性感熱記録媒体を上記消去用加熱部材に押し付けるための加圧部材とを備え、
該加圧部材を加熱するための加圧部材加熱手段を、上記消去用加熱部材とは別個に有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項1の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
上記加圧部材の温度を測定する加圧部材温度測定手段と、
上記加圧部材温度測定手段により測定された加圧部材温度に応じて、上記可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層に対する加熱処理の結果に影響を及ぼす消去条件を制御する消去条件制御手段とを備えることを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項2の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
上記消去用加熱部材の温度を測定する加熱部材温度測定手段を備えており、
上記消去条件制御手段は、
上記加圧部材温度測定手段により測定された加圧部材の温度及び上記加熱部材温度測定手段により測定された消去用加熱部材の温度に応じて、該消去用加熱部材及び該加圧部材の少なくとも一方の設定温度を決定する設定温度決定手段と、
上記可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層を加熱しているときの上記少なくとも一方の部材の温度を、上記設定温度決定手段により決定された設定温度に保持するための温度制御手段とを有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項2の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
上記可逆性感熱記録媒体が上記消去用加熱部材と接触して加熱される加熱領域中を通過するように、該可逆性感熱記録媒体を搬送する媒体搬送手段を備えており、
上記消去条件制御手段は、
上記加圧部材温度測定手段により測定された加圧部材温度に応じて、上記記録媒体搬送手段による可逆性感熱記録媒体の搬送速度を決定する搬送速度決定手段と、
上記搬送速度決定手段により決定された搬送速度で上記可逆性感熱記録媒体が搬送されるように、上記媒体搬送手段による可逆性感熱記録媒体の搬送速度を制御する搬送速度制御手段とを有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項2の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
上記可逆性感熱記録媒体が上記消去用加熱部材と接触して加熱される加熱領域中を通過するように、該可逆性感熱記録媒体を搬送する媒体搬送手段を備えており、
上記消去条件制御手段は、上記加圧部材の温度が所定の搬送開始トリガー温度に到達した後に上記可逆性感熱記録媒体が上記加熱領域に入り込むように、上記媒体搬送手段による可逆性感熱記録媒体の搬送開始タイミングを制御する搬送タイミング制御手段を有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項5の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
上記消去条件制御手段は、上記加圧部材加熱手段により加熱される前の加圧部材について上記加圧部材温度測定手段により測定された温度に応じて、上記所定の搬送開始トリガー温度を設定するトリガー温度設定手段を有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項5又は6の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
上記搬送タイミング制御手段は、上記消去用加熱部材の温度が規定温度に到達した後に上記可逆性感熱記録媒体が上記加熱領域に入り込むように、上記搬送開始タイミングを制御することを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項2、3、4、5、6又は7の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
装置外部の温度を測定する外部温度測定手段を備えており、
上記消去条件制御手段は、上記外部温度測定手段により測定された装置外部の温度及び上記加圧部材温度に応じて、上記消去条件を制御することを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項2、3、4、5、6又は7の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置において、
上記消去用加熱部材と接触して加熱される加熱領域に入り込む前の上記可逆性感熱記録媒体の温度を測定する記録媒体温度測定手段を備えており、
上記消去条件制御手段は、上記記録媒体温度測定手段により測定された可逆性感熱記録媒体の温度及び上記加圧部材温度に応じて、上記消去条件を制御することを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9の可逆性記録媒体用記録消去装置において、
上記消去用加熱部材及び上記加圧部材加熱手段の少なくとも一方は、帯状又は線状の発熱体をもつヒータ基板であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体用記録消去装置。 - 熱により可逆的に発色及び消色する可逆性感熱記録層をもつ可逆性感熱記録媒体を加熱処理して、該可逆性感熱記録媒体上に可視画像を記録する記録部と、
上記可逆性感熱記録媒体を所定の消色温度範囲内で加熱処理することにより、該可逆性感熱記録媒体上に記録された可視画像を消去する消去部とを備えた可逆性感熱記録媒体用画像記録装置において、
上記消去部は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の可逆性感熱記録媒体用記録消去装置であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体用画像記録装置。
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2003
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