JP2005058822A - 選択透過膜型反応器 - Google Patents

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修 酒井
Nobuhiko Mori
伸彦 森
Akira Takahashi
章 高橋
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Abstract

【課題】触媒上で生成された目的とする生成ガスを、選択透過膜にて有効に分離し、引き抜くことができるような選択透過膜型反応器を提供する。
【解決手段】一端部がガスの入口9で、他端部がガスの出口10である筒状の反応管1と、反応管1内に挿入された、表面に選択透過膜5を有する分離管4と、反応管1と分離管4との間に配置された触媒6とを有する選択透過膜型反応器である。反応管1の内部に、反応管1内部の表面積を高める構造体7を有し、触媒6が、前記構造体7の表面に、又は前記構造体7の表面と反応管1の内周面のうち反応管1と分離管4との間の空間に露出している面1aとに配置されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタン、ブタン、灯油等の炭化水素やメタノール等の含酸素炭化水素を主たる原料ガスとし、そこに第二の原料ガスである水、二酸化炭素、酸素を用い、水蒸気あるいは二酸化炭素の改質反応や部分酸化反応、分解反応等を利用して、水素等の特定成分のガスを生成させ、分離して取り出すために使用される選択透過膜型反応器に関する。
【0002】
【従来の技術】水素ガスは石油化学の基本素材ガスとして大量に使用され、また、クリーンなエネルギー源として大きな期待が寄せられている。このような目的に使用される水素ガスは、メタン、ブタン、灯油等の炭化水素やメタノール等の含酸素炭化水素を主たる原料ガスとして、改質反応、部分酸化反応、分解反応等を利用して生成され、それをパラジウム合金膜等の水素を選択的に透過させることのできる選択透過膜にて分離して取り出すことにより得られる。
【0003】近年、この水素ガスの製造には、前記のような反応と分離とを同時に行うことのできる選択透過膜型反応器(メンブレンリアクタ)が使用される(例えば、特許文献1参照。)。図5は、従来一般的に使用されている選択透過膜型反応器の構造を示す断面概要図である。この選択透過膜型反応器は、一端部がガスの入口39で、他端部がガスの出口40である筒状の反応管31と、反応管31内に挿入された、表面に選択透過膜35を有する有底筒状で基材部分が主として多孔質からなる分離管34と、反応管31と分離管34との間に配置された触媒36とを有する。
【0004】通常、触媒36はペレット形状で、反応管31と分離管34との間の空隙にパックドベッド(Packed Bed)状に充填されており、入口39から供給された原料ガスが、この触媒36に接触して、反応等により水素ガス等の目的とするガスが生成される。例えば、メタンの水蒸気改質では、化1及び化2の反応式に従って、水素、一酸化炭素、二酸化炭素に分解される。
【化1】
CH+HO ←→ CO+3H(改質反応)
【化2】
CO+HO ←→ CO+H(シフト反応)
【0005】こうして得られた水素ガス等の生成ガスは、選択透過膜35を透過して分離管34内に選択的に引き抜かれ、他のガス成分と分離されて取り出される。また、選択透過膜35を透過しない他のガス成分は、出口40より反応器の外部へ排出される。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−40703号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような構造の選択透過膜型反応器は、前記のように反応と分離とを同時に行えることによる装置上のコンパクト化のメリットに加え、生成ガスを引き抜くことにより前記反応の平衡を生成側にシフトさせて、反応温度を低下させることができ、これによって作動温度の低下、金属部材の劣化抑制、省エネルギー化といった効果が期待できる。
【0008】しかしながら、前記従来構造の選択透過膜型反応器は、選択透過膜から比較的近い位置に充填された触媒上で生成された生成ガスは、スムーズに選択透過膜にて分離し、引き抜くことができるが、選択透過膜から比較的遠い位置に充填された触媒上で生成された生成ガスは、選択透過膜にて分離され引き抜かれるにはガスの移動距離が長いことに加えて、他の触媒が物理的な障害となって、選択透過膜に近づきにくいため、選択透過膜にて有効に分離することが困難であり、前述のような生成ガスの引き抜き効果が十分に発現しない。
【0009】本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒上で生成された目的とする生成ガスを、選択透過膜にて有効に分離し、引き抜くことができるような選択透過膜型反応器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、一端部がガスの入口で、他端部がガスの出口である筒状の反応管と、当該反応管内に挿入された、表面に選択透過膜を有する分離管と、前記反応管と前記分離管との間に配置された触媒とを有する選択透過膜型反応器であって、前記反応管の内部に、当該反応管内部の表面積を高める構造体を有し、前記触媒が、前記構造体の表面に、又は前記構造体の表面と前記反応管の内周面のうち前記反応管と前記分離管との間の空間に露出している面とに配置されている選択透過膜型反応器(第一発明)、が提供される。
【0011】また、本発明によれば、一端部がガスの入口で、他端部がガスの出口であるハニカム構造体と、当該ハニカム構造体の各貫通孔内に挿入された、表面に選択透過膜を有する分離管と、前記ハニカム構造体の貫通孔を仕切る隔壁の表面に配置された触媒とを有する選択透過膜型反応器であって、前記隔壁にフィンが形成されており、前記触媒が、前記隔壁の表面とともに前記フィンの表面にも配置されている選択透過膜型反応器(第二発明)、が提供される。
【0012】更に、本発明によれば、一端部がガスの入口で、他端部がガスの出口であるハニカム構造体と、前記ハニカム構造体の貫通孔を仕切る隔壁の表面に配置された触媒と、前記ガスの出口において前記ハニカム構造体の端面と対向するように配置された選択透過膜とを有する選択透過膜型反応器(第三発明)、が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、第一発明に係る選択透過膜型反応器の実施形態の一例を示す概要図であって、(a)は上面図、(b)は縦断面図である。この選択透過膜型反応器は、一端部がガスの入口9で、他端部がガスの出口10である筒状の反応管1と、反応管1内に挿入された、表面に選択透過膜5を有する有底筒状で基材部分が主として多孔質からなる分離管4と、反応管1と分離管4との間に配置された触媒6とを有するものであって、その特徴的な構成として、反応管1の内部に、フィン7のような反応管1内部の表面積を高める構造体(以下、「高表面積化構造体」と言う。)を有し、触媒6が、このフィン7等の高表面積化構造体の表面に、又はこのフィン7等の高表面積化構造体の表面と、反応管1の内周面のうち反応管1と分離管4との間の空間に露出している面(以下、「露出内周面」と言う。)1aとに配置されている。
【0014】触媒6は、触媒成分をペレット形状やビーズ形状に成形したり、ペレット状の基体に触媒成分を被覆したりすることによって得ることができ、それを図のようにフィン7等の高表面積化構造体の表面や露出内周面1aに接着等により固定して配置してもよいが、一般的には触媒成分粉末を含むスラリーを、ウォッシュコート法等によりフィン7等の高表面積化構造体の表面や露出内周面1aに被覆担持したものが好適である。入口9から供給された原料ガスが、この触媒6に接触すると、反応等により水素ガス等の目的とするガスが生成され、得られた生成ガスは、選択透過膜5を透過して分離管4内に選択的に引き抜かれ、他のガス成分と分離されて取り出される。また、選択透過膜5を透過しない他のガス成分は、出口10より反応器の外部へ排出される。
【0015】第一発明の選択透過膜型反応器は、従来のように反応管と分離管との間の空隙全てに触媒を充填するのではなく、図1に示すように反応管1内部に設けたフィン7等の高表面積化構造体の表面に、又は当該高表面積化構造体の表面と露出内周面1aとに触媒6を配置し、触媒6と選択透過膜5との間にガス移動の物理的障害となるようなものを配置することなく、かつ高表面積構造体を選択透過膜5に近接した構造とすることにより、全ての触媒6上で触媒反応により生成された生成ガスは、容易に選択透過膜5に到達することができ、このため、目的とする生成ガスを、選択透過膜5にて有効に分離し、引き抜くことができる。
【0016】また、従来のように反応管と分離管との間の空隙全てに触媒を充填した場合に比して、原料ガスと触媒との接触面積が減少するのを防ぐために、反応管1の内部にフィン7等の高表面積化構造体を設け、この高表面積化構造体の表面に、又はこの高表面積化構造体の表面と露出内周面1aとに触媒6を配置しているので、原料ガスと触媒6との接触面積を十分に確保することが可能で、従来と遜色のない反応効率を得ることができる。なお、触媒6はフィン7等の高表面積化構造体の表面にのみ配置するようにしてもよいが、図1の例のように、反応管1の内周面と選択透過膜5との間に障害物が無く、反応管1の内周面の少なくとも一部が、反応管1と分離管4との間の空間に露出しているような場合には、高表面積化構造体の表面に加えて、露出内周面1aにも触媒を配置するようにすれば、触媒総量を増やすことができるので好適である。
【0017】なお、高表面積化構造体として反応管1の内周面にフィンを形成する場合、そのフィンの形状は特に限定されるものではなく、図1のフィン7のように反応管1の中心部に向かって形成されたものの他、例えば、図2に示すフィン8のように、反応管1の内周面に沿って螺旋状に形成されたようなものであってもよい。この場合、入口9から反応器内へ供給された原料ガスは、図中の矢印で示すように、フィン8間に形成された螺旋状のガス通路を通り、分離管4の周囲を螺旋状に周りながら移動するので、触媒6上で反応生成したガスが分離管4表面の選択透過膜5と接触する時間が増大し、効果的に分離することができる。この場合、フィン8の先端と選択透過膜5の間の隙間をなるべく小さくすることにより、当該隙間部分からガス漏れが生じて螺旋状のガス流れに支障を来さないようにするのが好ましい。また、第一発明における高表面積化構造体は、図1や図2のようなフィンに限定されるものではなく、反応管内部の表面積を高め、かつ触媒を担持することが可能であれば、どのような構造のものであってもよい。
【0018】図3は、第二発明に係る選択透過膜型反応器の実施形態の一例を示す概要図であって、(a)は上面図、(b)は縦断面図である。この選択透過膜型反応器は、一端部がガスの入口19で、他端部がガスの出口20であるハニカム構造体11と、ハニカム構造体11の各貫通孔(セル)12内に挿入された、表面に選択透過膜15を有する有底筒状で基材部分が主として多孔質からなる分離管14と、ハニカム構造体11の貫通孔12を仕切る隔壁(リブ)13の表面に配置された触媒16とを有する選択透過膜型反応器であって、その特徴的な構成として、隔壁13にフィン17が形成されており、触媒16が、隔壁の表面とともに前記フィン17の表面にも配置されている。
【0019】触媒は、触媒成分をペレット形状やビーズ形状に成形したものや、基体に触媒成分を被覆したものを、隔壁13の表面やフィン17の表面に接着等により固定して配置してもよいが、一般的には、触媒成分粉末を含むスラリーをウォッシュコート法等により、隔壁13の表面やフィン17の表面に被覆担持するのが好適である。入口19から供給された水蒸気を含む原料ガスが、貫通孔12内においてこの触媒16に接触すると、水蒸気改質反応等により水素ガス等の目的とするガスが生成され、得られた生成ガスは、選択透過膜15を透過して分離管14内に選択的に引き抜かれ、他のガス成分と分離されて取り出される。また、選択透過膜14を透過しない他のガス成分は、出口20より反応器の外部へ排出される。
【0020】この第二発明の選択透過膜型反応器も、基本的な構造は第一発明の選択透過膜型反応器と同様である。すなわち、図3に示すように隔壁13の表面と隔壁13に形成されたフィン17の表面とにのみ触媒を選択透過膜15になるべく近接するように配置し、かつ触媒16と選択透過膜15との間にガス移動の物理的障害となるようなものを配置しない構造とすることにより、全ての触媒16上で触媒反応により生成された生成ガスは、容易に選択透過膜15に到達することができ、このため、目的とする生成ガスを、選択透過膜15にて有効に分離し、引き抜くことができる。
【0021】また、隔壁13にフィン17を形成して、隔壁13の表面のみならずフィン17上にも触媒16を配置しているので、原料ガスと触媒16との接触面積を十分に確保することが可能で、従来と遜色のない高い反応効率を得ることができる。なお、フィン17の形状は特に限定されるものではなく、図3のように隔壁に直交するように形成されたものだけでなく、様々な形状とすることができる。
【0022】図4は、第三発明に係る選択透過膜型反応器の実施形態の一例を示す概要図であって、(a)は上面図、(b)は縦断面図である。この選択透過膜型反応器は、一端部がガスの入口29で、他端部がガスの出口30であるハニカム構造体と、ハニカム構造体21の貫通孔(セル)22を仕切る隔壁(リブ)23の表面に配置された触媒26と、ガスの出口30においてハニカム構造体21の端面と対向するように配置された選択透過膜25とを有するものである。選択透過膜25は、図のように多孔質の板状体24の表面に成膜された状態で配置されていることが好ましい。
【0023】触媒は、触媒成分をペレット形状やビーズ形状に成形したものや、基体に触媒成分を被覆したものを、隔壁23の表面に接着等により固定して配置してもよいが、一般的には、触媒成分粉末を含むスラリーをウォッシュコート法等により隔壁23の表面に被覆担持するのが好適である。入口29から供給された原料ガスが、貫通孔22内においてこの触媒26に接触すると、反応等により水素ガス等の目的とするガスが生成され、得られた生成ガスは、出口30からハニカム構造体21の外部に抜け、選択透過膜25を透過して選択的に引き抜かれ、他のガス成分と分離されて取り出される。また、選択透過膜25を透過しない他のガス成分は、ハニカム構造体21の出口30側の端面と選択透過膜25との間を抜けて外部へ排出される。
【0024】この第三発明の選択透過膜型反応器においては、図4に示すようにハニカム構造体21の隔壁23の表面にのみ触媒26を配置し、触媒26とハニカム構造体21の外部にある選択透過膜25との間にガス移動の物理的障害となるようなものを配置しない構造とすることにより、全ての触媒26上で触媒反応により生成された生成ガスは、容易に選択透過膜25に到達することができ、このため、目的とする生成ガスを、選択透過膜25にて有効に分離し、引き抜くことができる。なお、触媒26上で生成したガスが、選択透過膜25にて有効に引き抜かれるようにするため、ハニカム構造体21の出口30側端面と選択透過膜25とは、選択透過膜25を透過しないガスの排出を妨げない程度に近接していることが好ましい。
【0025】第一ないし第三発明の選択透過膜型反応器において、触媒や選択透過膜の材質は、使用する原料ガス及び目的とする生成ガスの種類等に応じて選定することができ、例えばメタン等の炭化水素を原料ガスとして、水素ガスを生成し、分離する場合には、ニッケル系やPt、Ru、Rh等の貴金属系の触媒が高比表面積のアルミナやチタニア、ジルコニア上に高分散担持されたものと、パラジウム又はPd−Ag合金のようなパラジウム合金からなる選択透過膜が好適に使用できる。
【0026】また、反応管やハニカム構造体の材質としては、SUSやインコロイ等の高耐熱性で熱伝導性の良い金属を主成分とすることが好ましいが、コージェライト等のセラミック材料を用いてもよい。表面に選択透過膜を形成する多孔質の分離管や板状体には、アルミナやチタニア等の材質からなるセラミック多孔質体やステンレススティールの金属製多孔体を用いることが好ましい。また、選択透過膜は分離管の外側でなく、場合によっては分離管の内側にあってもよいし、分離管の両側に被覆されていてもよい。また、板状体においてはハニカム構造体に対向する側であってもよいし、その逆側でもよい。高表面積化構造体の材質としては、コージェライト質や炭化珪素質、窒化珪素質のようなセラミックスや、ステンレススティール等の金属質のものが好適に使用できる。
【0027】また、図1〜3に示す実施形態おいては、有底筒状の分離管を使用しているが、有底形状でなく無底形状であってもフランジ等により一端部を気密な構造にできる工夫を施すなどすれば用いることができる。更にまた、本発明の選択透過膜型反応器の使用形態として、選択透過膜の透過出口側(透過されたガスが膜内から出て行く側)の分圧を下げるような工夫をすると、選択透過膜の透過性が向上するので好ましい。具体的には、透過出口側に水蒸気等のスイープガスを流したり、真空ポンプにて透過出口側の分圧を下げるといった方法が好ましい。
【0028】第一ないし第三発明の選択透過膜型反応器における生成、分離の対象となるガスの種類は特に限定されるものではないが、メタン、ブタン、灯油等の炭化水素ガスやメタノール等の含酸素炭化水素からの水素の生成、分離に特に好適に使用することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
図1に示すような構造を有する選択透過膜型反応器を作製した。分離管4は、一端部が閉じられた有底筒状のアルミナ多孔体(外径10mm、長さ200mm)からなり、その表面に選択透過膜5として、水素を選択的に透過するPd−Ag合金膜がメッキにより成膜されている。合金膜組成は、水素透過性能を考慮してPdが80wt%、Agが20wt%となるようにし、膜厚は平均3μmとした。反応管1は、300〜1000℃程度の高温に耐え得るようにSUSを使用し、内周面に高表面化構造体としてフィン7を形成した。反応管1の内径は40mmで、フィン7の先端部と選択透過膜5とのクリアランスは平均3mmである。触媒は、粉末状のニッケル系触媒を含むスラリーを、ウォッシュコート法により、反応管1の内周面とフィン7の表面に被覆担持した。
【0031】
(実施例2)
図2に示すような構造を有する選択透過膜型反応器を作製した。分離管4は、一端部が閉じられた有底筒状のアルミナ多孔体(外径30mm、長さ300mm)からなり、その表面に選択透過膜5として、水素を選択的に透過するPd−Ag合金膜がメッキにより成膜されている。合金膜の膜厚は平均2.5μmである。反応管1は内径が90mmであり、その内部には、高表面化構造体として、内周面に沿って螺旋状にフィン8が形成されている。触媒6には、ルテニウム系触媒を担持して使用した。その他の構成は、前記実施例1と同様である。
【0032】
(実施例3)
図3に示すような構造を有する選択透過膜型反応器を作製した。分離管14は、一端部が閉じられた有底筒状のアルミナ多孔体(外径7mm、長さ100mm)からなり、その表面に選択透過膜15として、水素を選択的に透過するPd−Ag合金膜がメッキにより成膜されている。合金膜組成は、Pdが70wt%、Agが30wt%となるようにし、膜厚は平均2μmとした。ハニカム構造体11には、コージェライト質のものを使用し、分離管14が挿入される貫通孔(セル)12は、一辺の長さが30mmの正方形セルとし、隔壁(リブ)13の厚さは2mmとした。隔壁12には、その先端部が選択透過膜15の近傍に達するようにフィン17を形成した。触媒は、粉末状のニッケル系触媒を含むスラリーを、ウォッシュコート法により、隔壁13とフィン17の表面に被覆担持した。
【0033】
(実施例4)
図4に示すような構造を有する選択透過膜型反応器を作製した。選択透過膜25は、アルミナ多孔体からなる板状体24の表面に、水素を選択的に透過するPd−Ag合金をメッキすることにより成膜されたものである。合金膜組成は、Pdが80wt%、Agが20wt%となるようにし、膜厚は平均10μmとした。ハニカム構造体21には、コージェライト質で、隔壁(リブ)23の厚さが6ミリインチ、1平方インチ当たりの貫通孔(セル)22の数が400個であるものを使用した。ハニカム構造体21の出口30側端面と選択透過膜25とのクリアランスは5mmとした。触媒は、粉末状のニッケル系触媒を含むスラリーを、ウォッシュコート法により、隔壁23の表面に被覆担持した。
【0034】
(比較例)
図5に示すような構造を有する従来型の選択透過膜型反応器を作製した。触媒36には、大きさが3mm程度のペレット状に成形したニッケル系触媒を使用し、これを反応管31と分離管34との間の空隙にパックドベッド状に充填した。その他の構成は、前記実施例1と同様である。
【0035】
(評価)
図6に示すような装置を使用し、前記実施例1〜4及び比較例の選択透過膜型反応器について評価を行った。この装置は、原料ガス源として、メタン、ブタン等の炭化水素や、メタノール等の含酸素炭化水素、水、二酸化炭素、酸素を使用できるようライン接続し、これらを必要に応じて選択し、混合して選択透過膜型反応器に供給できるようになっている。なお、水は気化器で気化して供給される。また、選択透過膜型反応器にニッケル系の触媒を使用している場合において、その触媒表面が酸化されているときには、原料ガスを供給する前にその還元処理を行う必要があるため、前記ラインを通じて選択透過膜型反応器に還元のための水素を供給できるようにしている。
【0036】膜透過ガスラインと膜非透過ガスラインは、その上流側がそれぞれ選択透過膜型反応器の膜透過側(分離管の内部)と膜非透過側(反応管の出口)に接続されている。膜透過ガスラインの下流側には、ガス量を測定するための流量計と、ガス成分を定量するためのガスクロマトグラフが接続されている。膜非透過ガスラインの下流側にも、同様に流量計とガスクロマトグラフが接続されているが、更に流量計の上流側に、常温にて水等の液体成分を捕集するための液体トラップが設けられている。また、選択透過膜型反応器の周囲には、当該反応器の外部加熱が可能なように加熱用ヒータが設置されている。
【0037】このような装置にて、まず、ニッケル系触媒を使用している選択透過膜型反応器に対しては、400℃程度に加熱した状態で水素を供給し、表面が酸化されたニッケル系触媒の還元処理を行う。その後、各種原料ガス源から一定割合にて混合された原料ガスを選択透過膜型反応器の入口側より供給し、触媒にて部分酸化、分解、改質反応等を進行させる。この反応で生成した水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水等や未反応成分のうち、膜透過成分である水素のみが選択透過膜(Pd−Ag合金膜)を透過し、膜透過ガスラインより流量計を経て、ガスクロマトグラフに供給され、成分の分析が行われる。水素以外の膜非透過ガスは、膜非透過ガスラインに送られ、液体トラップにて水等の液体成分が除去された後、流量計を経て、ガスクロマトグラフに供給される。
【0038】この装置により、各種反応条件にて部分酸化、分解、改質反応を行い、水素の分離回収を実施したところ、実施例1〜4の選択透過膜型反応器を用いた場合には、比較例の選択透過膜型反応器を用いた場合に比べて、水素の回収効率が5〜50ポイント上昇した。この結果から、本発明の選択透過膜型反応器を用いることにより、生成した水素が選択透過膜の全体に渡って濃度分極無く有効に引き抜かれ、反応率及び水素回収効率が向上することがわかる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の選択透過膜型反応器によれば、触媒上で生成された目的とする生成ガスを、選択透過膜にて有効に分離し、引き抜くことができ、触媒上における改質反応等の平衡を生成側にシフトさせる効果が向上する。そして、これにより、従来に比して反応器の作動温度を低下させることが可能となり、金属部材の劣化抑制、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一発明に係る選択透過膜型反応器の実施形態の一例を示す概要図であって、(a)は上面図、(b)は縦断面図である。
【図2】第一発明に係る選択透過膜型反応器の実施形態の他の一例を示す断面概要図である。
【図3】第二発明に係る選択透過膜型反応器の実施形態の一例を示す概要図であって、(a)は上面図、(b)は縦断面図である。
【図4】第三発明に係る選択透過膜型反応器の実施形態の一例を示す概要図であって、(a)は上面図、(b)は縦断面図である。
【図5】従来一般的に使用されている選択透過膜型反応器の構造を示す断面概要図であって、(a)は上面図、(b)は縦断面図である。
【図6】実施例において使用した試験装置の構成を示す概要図である。
【符号の説明】
1…反応管、4…分離管、5…選択透過膜、6…触媒、7…フィン、8…フィン、9…入口、10…出口、11…ハニカム構造体、12…貫通孔、13…隔壁、14…分離管、15…選択透過膜、16…触媒、17…フィン、19…入口、20…出口、21…ハニカム構造体、22…貫通孔、23…隔壁、24…板状体、25…選択透過膜、26…触媒、29…入口、30…出口、31…反応管、34…分離管、35…選択透過膜、36…触媒、39…入口、40…出口。

Claims (5)

  1. 一端部がガスの入口で、他端部がガスの出口である筒状の反応管と、当該反応管内に挿入された、表面に選択透過膜を有する分離管と、前記反応管と前記分離管との間に配置された触媒とを有する選択透過膜型反応器であって、
    前記反応管の内部に、当該反応管内部の表面積を高める構造体を有し、前記触媒が、前記構造体の表面に、又は前記構造体の表面と前記反応管の内周面のうち前記反応管と前記分離管との間の空間に露出している面とに配置されている選択透過膜型反応器。
  2. 前記構造体が、前記反応管の内周面に形成されたフィンである請求項1記載の選択透過膜型反応器。
  3. 前記フィンが、前記反応管の内周面に沿って螺旋状に形成されている請求項2記載の選択透過膜型反応器。
  4. 一端部がガスの入口で、他端部がガスの出口であるハニカム構造体と、当該ハニカム構造体の各貫通孔内に挿入された、表面に選択透過膜を有する分離管と、前記ハニカム構造体の貫通孔を仕切る隔壁の表面に配置された触媒とを有する選択透過膜型反応器であって、
    前記隔壁にフィンが形成されており、前記触媒が、前記隔壁の表面とともに前記フィンの表面にも配置されている選択透過膜型反応器。
  5. 一端部がガスの入口で、他端部がガスの出口であるハニカム構造体と、前記ハニカム構造体の貫通孔を仕切る隔壁の表面に配置された触媒と、前記ガスの出口において前記ハニカム構造体の端面と対向するように配置された選択透過膜とを有する選択透過膜型反応器。
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