JP2005058810A - 静電吸引型流体吐出方法およびその装置 - Google Patents

静電吸引型流体吐出方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化を両立し、かつ吐出先部材での液滴飛散を抑制して鮮明な微細パターンを形成できるようにする。
【解決手段】静電吸引型流体吐出装置は、ノズル11と絶縁性基板16との間に電源14から駆動電圧を印加して、ノズル11内に供給された吐出材料15に電荷を供給し、この吐出材料15をノズル孔から絶縁性基板16に吐出させる。ノズル11の孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、電源14は、駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が1Hz以上の電圧を出力する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク等の流体を帯電させ、その流体をノズルから基板などの対象物上に吐出する静電吸引型流体吐出方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インク等の流体を対象物(記録媒体)上に吐出する流体ジェット方式にはインクジェットプリンタとして実用化されているピエゾやサーマルなどの方式があるが、その他の方式として、吐出する流体を導電性流体とし、導電性流体に電界を印加してノズルから吐出させる静電吸引方式がある。
【0003】
このような静電吸引方式の流体吐出装置(以下、静電吸引型流体吐出装置と称する)としては、例えば特許文献1および特許文献2において開示がある。
【0004】
また、特開2000−127410号公報(特許文献4)には、ノズル孔をスリット状とすると共にノズル孔に突出した針電極を設け、該針電極を用いて微粒子を含むインク吐出する装置が開示されている。
【0005】
また、特開平8−238774号公報(特許文献3)には、ノズル孔より内部のインク室に電圧印加用の電極を設けた装置が開示されている。
【0006】
ここで、従来の静電吸引型流体吐出装置における流体吐出モデルを説明する。
【0007】
静電吸引型流体吐出装置とりわけオンデマンド型の静電吸引型流体吐出装置の設計要因としては、インク液体の導電性(例えば比抵抗10〜1011Ωcm)、表面張力(例えば0.020〜0.040N/m)、粘度(例えば0.011〜0.015Pa・s)、印加電圧(電場)がある。そして、印加電圧としては、ノズルに印加する電圧、およびノズルと対向電極間との距離が特に重要とされていた。
【0008】
静電吸引型流体吐出装置においては、電気流体的な不安定性を利用しており、図24にこの様子を示す。一様電界の中に導電性流体を静置すると、導電性流体の表面に作用する静電力が表面を不安定にし、曳き糸の成長を促す(静電曳き糸現象)。この時の電場は、ノズル100と、ノズル100先端のノズル孔100aと距離hを隔てて対向する対向電極101との間に電圧Vを印加したときに発生する電場Eとする。この時の成長波長λは物理的に導くことが可能であり(例えば、非特許文献1)、次式で表される。
【0009】
【数1】
Figure 2005058810
【0010】
ここで、γ:表面張力(N/m)、ε:真空の誘電率(F/m)、E:電界の強さ(V/m)である。ノズル径d(m)が、λよりも小さい場合、成長は起こらない。すなわち、
【0011】
【数2】
Figure 2005058810
【0012】
が、吐出のための条件となっていた。
【0013】
ここで、Eは平行平板を仮定した場合の電界強度(V/m)で、ノズル−対向電極間距離をh(m)、ノズルに印加する電圧をVとして、
【0014】
【数3】
Figure 2005058810
【0015】
したがって、
【0016】
【数4】
Figure 2005058810
【0017】
となる。
【0018】
【特許文献1】
特公昭36−13768号公報(公告日昭和36年8月18日)
【0019】
【特許文献2】
特開2001−88306号公報(公開日平成13年4月3日)
【0020】
【特許文献3】
特開平8−238774号公報(公開日平成8年9月17日)
【0021】
【特許文献4】
特開2000−127410号公報(公開日平成12年5月9日)
【0022】
【非特許文献1】
画像電子情報学会,第17巻,第4号,1988年,p.185−193
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
流体吐出装置では、一般的により微細なドット形成やライン形成を可能とするために、インクを吐出するノズルの径を小さくしたいといった要望がある。
【0024】
しかしながら、現在実用化されているピエゾ方式やサーマル方式などの流体吐出装置では、ノズル径を小さくして、例えば1plを下回るような微小量の流体の吐出は困難である。これは、流体を吐出するノズルが微細になるほど吐出に必要な圧力が大きくなるためである。
【0025】
また、上述のような流体吐出装置では、液滴の微細化と高精度化は相反する課題であり、両方を同時に実現するのは困難であった。これは以下の理由による。
【0026】
ノズルから吐出された液滴に付与される運動エネルギーは、液滴半径の3乗に比例する。このため、ノズルを微細化した場合に吐出される微細液滴は、吐出時の空気抵抗に耐えるほどの十分な運動エネルギーを確保できず、空気滞留などによる撹乱を受け、正確な着弾を期待できない。さらに、液滴が微細になるほど、表面張力の効果が増すため、液滴の蒸気圧が高くなり蒸発量が激しくなる.このため、微細液滴は飛翔中に著しい質量の消失を招き、着弾時に液滴の形態を保つことすら難しいという問題があった。
【0027】
またさらに、上述した従来の静電吸引型流体吐出装置における流体吐出モデルに基づくと、上記(2)式より、ノズル径の減少は吐出に必要な電界強度の増加を要請することとなる。そして、電界強度は、上記(3)式に示すように、ノズルに印加する電圧(駆動電圧)Vとノズル−対向電極間距離hとによって決まるため、ノズル径の減少は駆動電圧の上昇を招来する。
【0028】
ここで、従来の静電吸引型流体吐出装置における駆動電圧は、1000V以上と非常に高いため、各ノズル間でのリークや干渉化を考慮すると小型化および高密度化は難しく、ノズル径をさらに小さくすると上記問題がより大きなものとなる。また、1000Vを越えるような高電圧のパワー半導体は一般的に高価で周波数応答性も低い。
【0029】
尚、上記特許文献1で開示されているノズル径は0.127mmであり、特許文献2で開示されているノズル径の範囲は50〜2000μm、より好ましくは100〜1000μmといった範囲であった。
【0030】
ノズル径に関して、従来の静電吸引型流体吐出における典型的な動作条件を当てはめて計算してみると、表面張力0.020N/m、電界強度10V/mとして、上記(1)式に代入して計算すると、成長波長λは約140μmとなる。すなわち、限界ノズル径として70μmという値が得られる。すなわち、上記条件下では10V/mの強電界を用いてもノズル径が直径70μm程度以下の場合は背圧を印加して強制的にメニスカス形成させるなどの処置をとらない限り、インクの成長は起こらず、静電吸引型流体吐出は成立しないと考えられていた。すなわち、微細ノズルと駆動電圧の低電圧化は両立しない課題と考えられていた。
【0031】
以上のように、従来の流体吐出装置では、ノズルの微細化と高精度化は相反する課題であり、両方を同時に実現することは困難であった。また、特に静電吸引型流体吐出装置では、ノズルの微細化と駆動電圧の低電圧化とは両立しない課題と考えられていた。
【0032】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ノズルの微細化と微小流体の吐出及び着弾位置の高精度化、さらに、駆動電圧の低電圧化をすべて実現した静電吸引型流体吐出装置を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板との間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が1Hz以上の電圧を出力することを特徴としている。
【0034】
また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、前記駆動電圧は、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が1Hz以上の電圧であることを特徴としている。
【0035】
従来、静電吸引型流体吐出装置において、ノズル孔径の縮小は吐出に必要な電界強度の増加を招来するため、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化は両立し得ないと考えられていた。これに対し、本願発明では、ノズル孔径をφ0.01μm〜φ25μmの微細径とした場合に局所電界が発生し、吐出における駆動電圧の低下が可能になるという新たな知見に基づき、ノズル孔径を上記範囲内とすることにより、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
【0036】
また、上記の構成では、ノズルに印加する駆動電圧が、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が1Hz以上の電圧となっているので、吐出先部材のチャージアップによる吐出先部材での液滴の飛散領域の拡大と駆動電圧の上昇とを抑制することができる。この結果、吐出先部材に対する微細パターンの形成を、ノズルの低電圧駆動により、かつ鮮明に行うことができる。
【0037】
本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板との間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、前記流体の電気伝導度σS/mおよび比誘電率εに対して、τ=ε/σにて決定される時定数τと駆動電圧周波数fHzとの関係がf≦1/(2τ)となる電圧を出力することを特徴としている。
【0038】
また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、前記駆動電圧は、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、前記流体の電気伝導度σS/mおよび比誘電率εに対して、τ=ε/σにて決定される時定数τと駆動電圧周波数fHzとの関係がf≦1/(2τ)となる電圧であることを特徴としている。
【0039】
従来、静電吸引型流体吐出装置において、ノズル孔径の縮小は吐出に必要な電界強度の増加を招来するため、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化は両立し得ないと考えられていた。これに対し、本願発明では、ノズル孔径をφ0.01μm〜φ25μmの微細径とした場合に局所電界が発生し、吐出における駆動電圧の低下が可能になるという新たな知見に基づき、ノズル孔径を上記範囲内とすることにより、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
【0040】
また、上記の構成では、ノズルに印加する駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、流体の電気伝導度σS/mおよび比誘電率εに対して、τ=ε/σにて決定される時定数τと駆動電圧周波数fHzとの関係がf≦1/(2τ)となる電圧を出力するので、ノズルからの吐出最低電圧の上昇を抑制し、かつ吐出先部材上における液滴の飛散領域を狭くし、吐出先部材上において鮮明な微細パターンを形成することができる。
【0041】
本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板との間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させるとともに、移動手段にて前記ノズルと吐出先部材とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移動させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転し、周波数がfHzである両極性パルス電圧を出力するものであり、前記駆動電圧印加手段の駆動電圧周波数fHzと前記相対移動における相対速度vμm/secとの関係が、f≧5vとなるように、前記駆動電圧出力手段と前記移動手段との少なくとも一方を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴としている。
【0042】
また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させるとともに、前記ノズルと吐出先部材とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移動させる静電吸引型流体吐出方法において、前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、前記駆動電圧として、正負両極性に反転し、周波数がfHzである両極性パルス電圧を出力し、前記駆動電圧周波数fHzと前記相対移動における相対速度vμm/secとの関係が、f≧5vとなるように駆動電圧周波数と相対移動速度との少なくとも一方を制御することを特徴としている。
【0043】
従来、静電吸引型流体吐出装置において、ノズル孔径の縮小は吐出に必要な電界強度の増加を招来するため、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化は両立し得ないと考えられていた。これに対し、本願発明では、ノズル孔径をφ0.01μm〜φ25μmの微細径とした場合に局所電界が発生し、吐出における駆動電圧の低下が可能になるという新たな知見に基づき、ノズル孔径を上記範囲内とすることにより、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
【0044】
また、ノズルに印加する駆動電圧として、正負両極性に反転し、周波数がfHzである両極性パルス電圧を出力し、ノズルと吐出先部材との相対移動における相対速度vμm/secと駆動電圧周波数fHzとの関係が、f≧5vとなるように駆動電圧周波数と相対移動速度との少なくとも一方を制御するので、吐出先部材上における液滴の飛散を抑制して、鮮明な微細パターンを形成することが可能となる。
【0045】
本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板との間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させるとともに、移動手段にて前記ノズルと吐出先部材とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移動させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、400V以下の電圧を出力することを特徴としている。
【0046】
また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、ノズルと吐出先部材、絶縁性基板との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、前記駆動電圧は、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、400V以下の電圧であることを特徴としている。
【0047】
従来、静電吸引型流体吐出装置において、ノズル孔径の縮小は吐出に必要な電界強度の増加を招来するため、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化は両立し得ないと考えられていた。これに対し、本願発明では、ノズル孔径をφ0.01μm〜φ25μmの微細径とした場合に局所電界が発生し、吐出における駆動電圧の低下が可能になるという新たな知見に基づき、ノズル孔径を上記範囲内とすることにより、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
【0048】
また、ノズルに印加する駆動電圧は、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、400V以下の電圧であるので、吐出先部材上に流体を吐出してドット形成する場合、そのドット周辺部への液滴の飛散を抑制し、鮮明な微細パターンを形成することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
〔前提技術〕
先ず、本発明の前提技術について、図面を参照して以下に説明する。
本発明の前提技術に係る静電吸引型流体吐出装置は、そのノズル径を0.01μm〜25μmとしており、かつ、1000V以下の駆動電圧にて吐出流体の吐出制御を可能としている。
【0050】
ここで、従来のインク吐出モデルにおいては、ノズル径の減少は駆動電圧の上昇に繋がるため、50〜70μm以下のノズル径では、吐出インクに背圧を与えるなどの他の工夫を行わない限り、1000V以下の駆動電圧でのインク吐出は不可能と考えられていた。しかしながら、本願発明者らは鋭意検討の結果、あるノズル径以下では、従来のインク吐出モデルとは異なる吐出モデルでの吐出現象が起こることを突き止めた。本前提技術は、このインク吐出モデルにおける新たな知見に基づいている。
【0051】
先ずは、本願の前提技術において究明されたインク吐出モデルについて説明する。
【0052】
直径d(以下の説明においては、特に断らない限りノズル孔の内径を指す)のノズルに導電性インクを注入し、無限平板導体からhの高さに垂直に位置させたと仮定する。この様子を図18に示す。このとき、ノズル先端(ノズル孔:流体吐出孔)に誘起される電荷Qは、ノズル先端の吐出流体によって形成される半球部に集中すると仮定し、以下の式で近似的に表される。
【0053】
【数5】
Figure 2005058810
【0054】
ここで、Q:ノズル先端に誘起される電荷(C)、ε:真空の誘電率(F/m)、d:ノズル径(直径)(m)、V:ノズルに印加する総電圧である。また、αは、ノズル形状などに依存する比例定数であり、1〜1.5程度の値を取るが、特にd<<h(h:ノズル(ノズル孔)−基板間距離(m))の時はほぼ1となる。
【0055】
また、基板として導電基板を用いた場合、ノズルと対向して基板内の対称位置に、上記電荷Qと反対の極性を持つ鏡像電荷Q’が誘導されると考えられる。基板が絶縁体の場合は、誘電率によって定まる対称位置に同様に電荷Qと逆極性の映像電荷Q’が誘導される。
【0056】
ノズル先端部における集中電界強度Elocは、先端部の曲率半径をRと仮定すると、
【0057】
【数6】
Figure 2005058810
【0058】
で与えられる。ここで、kは、ノズル形状などに依存する比例定数であり、1.5〜8.5程度の値を取るが、多くの場合5程度と考えられる(P.J. Birdseye and D.A. Smith, Surface Science, 23(1970), p.198−210)。また、ここでは、インク吐出モデルを簡単にするため、R=d/2と仮定する。これは、ノズル先端部において表面張力によって導電性インクがノズル径dと同じ曲率径を持つ半球形状に盛り上がっている状態に相当する。
【0059】
次に、ノズル先端の吐出流体に働く圧力のバランスを考える。まず、静電的な圧力Pは、ノズル先端部の液面積をSとすると、
【0060】
【数7】
Figure 2005058810
【0061】
となる。(5)〜(7)式より、圧力Pは、α=1とおいて、
【0062】
【数8】
Figure 2005058810
【0063】
と表される。
【0064】
一方、ノズル先端部における吐出流体の表面張力による圧力Pとすると、
【0065】
【数9】
Figure 2005058810
【0066】
となる。ここで、γ:表面張力である。静電的な力により吐出が起こる条件は、静電的な力が表面張力を上回ることなので、静電的な圧力Pと表面張力による圧力Pとの関係は、
【0067】
【数10】
Figure 2005058810
【0068】
となる。
【0069】
図19に、ある直径dのノズルを与えた時の、表面張力による圧力Pと静電的な圧力Pとの関係を示す。吐出流体の表面張力としては、吐出流体が水(γ=72mN/m)の場合を仮定している。ノズルに印加する電圧を700Vとした場合、ノズル直径dが25μmにおいて静電的な圧力Pが表面張力による圧力Pを上回ることが示唆される。このことより、Vとdとの関係を求めると、
【0070】
【数11】
Figure 2005058810
【0071】
が吐出の最低電圧を与える。
【0072】
また、その時の吐出圧力ΔPは、
【0073】
【数12】
Figure 2005058810
【0074】
より、
【0075】
【数13】
Figure 2005058810
【0076】
となる。
【0077】
ある直径dのノズルに対し、局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合の吐出圧力ΔPの依存性を図20に、吐出臨界電圧(すなわち吐出の生じる最低電圧)Vcの依存性を図21に示す。
【0078】
図20から、局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合(V=700V,γ=72mN/mと仮定した場合)のノズル径の上限が25μmであることが分かる。
【0079】
図21の計算では、吐出流体として水(γ=72mN/m)および有機溶剤(γ=20mN/m)を想定し、k=5の条件を仮定した。この図より、微細ノズルによる電界の集中効果を考慮すると、吐出臨界電圧Vcはノズル径の減少に伴い低下することが明らかであり、吐出流体が水の場合においてノズル径が25μmの場合、吐出臨界電圧Vcは700V程度であることが分かる。
【0080】
従来の吐出モデルにおける電界の考え方、すなわちノズルに印加する電圧Vとノズル−対向電極間距離hとによって定義される電界のみを考慮した場合では、ノズル径が微小になるに従い、吐出に必要な駆動電圧は増加する。
【0081】
これに対し、本前提技術において提案する新たな吐出モデルのように、局所電界強度に注目すれば、微細ノズル化により吐出における駆動電圧の低下が可能となる。このような駆動電圧の低下は、装置の小型化およびノズルの高密度化において極めて有利となる。もちろん、駆動電圧を低下させることで、コストメリットの高い低電圧駆動ドライバの使用をも可能にする。
【0082】
さらに、上記吐出モデルでは、吐出に必要な電界強度は、局所的な集中電界強度に依存することになるため、対向電極の存在が必須とならない。すなわち、従来の吐出モデルでは、ノズル−基板間に電界を印加するため、絶縁体の基板に対してはノズルと反対側に対向電極を配置するか、あるいは基板を導電性とする必要があった。そして、対向電極を配置する場合、すなわち基板が絶縁体の場合では、使用できる基板の厚さに限界があった。
【0083】
これに対し、本前提技術の吐出モデルでは、対向電極を要さずに絶縁性基板などに対しても印字を行うことが可能となり、装置構成の自由度が増す。また、厚い絶縁体に対しても印字を行うことが可能となる。なお、ノズルから吐出される液体は帯電しているので、この液体と基板との間には鏡像力が働く。この鏡像力の大きさと基板からのノズルの距離hとの相関を図22に示す。
【0084】
次に、上記吐出流量の精密制御について考えて見る。円筒状の流路における流量Qは、粘性流の場合、以下のハーゲン・ポアズイユの式によって表される。いま、円筒形のノズルを仮定し、このノズルを流れる流体の流量Qは、次式で表される。
【0085】
【数14】
Figure 2005058810
【0086】
ここで、η:流体の粘性係数(Pa・s)、L:流路すなわちノズルの長さ(m)、d:流路すなわちノズルの径(m)、△P:圧力差(Pa)である。上式より、流量Qは、流路の半径の4乗に比例するため、流量を制限するためには、微細なノズルの採用が効果的である。この(14)式に、(13)式で求めた吐出圧力△Pを代入し、次式を得る。
【0087】
【数15】
Figure 2005058810
【0088】
この式は、直径d、長さLのノズルに電圧Vを引加した際に、ノズルから流出する流体の流出量を表している。この様子を、図23に示す。計算にはL=10mm、η=1(mPa・s)、γ=72(mN/m)の値を用いた。いま、ノズル径を先行技術の最小値50μmと仮定する。電圧Vを徐々に印加していくと、電圧V=1000Vで吐出が開始する。この電圧は、図21でも述べた吐出開始電圧に相当する。そのときのノズルからの流量がY軸に示されている。吐出開始電圧Vc直上で流量は急速に立ち上がっている。このモデル計算上では、電圧をVcより少し上で精密に制御することで微小流量が得られそうに思えるが、片対数で示される図からも予想されるように実際上それは不可能で、特に10−10/s以下、微小量の実現は困難である。また、ある径のノズルを採用した場合には、(11)式で与えられたように、最小駆動電圧が決まってしまう。このため、先行技術のように、直径50μm以上のノズルを用いる限り、10−10/s以下の微小吐出量や、1000V以下の駆動電圧にすることは困難である。
【0089】
図から分かるように、直径25μmのノズルの場合700V以下の駆動電圧で充分であり、直径10μmのノズルの場合500V以下でも制御可能である。また、直径1μmのノズルの場合300V以下でも良いことが分かる。
【0090】
以上の考察は、連続流を考えた場合であるが、ドットを形成するためには、スイッチングの必要性がある。次にそれに関して述べる。
【0091】
静電吸引による吐出は、ノズル端部における流体の帯電が基本である。帯電の速度は誘電緩和によって決まる時定数程度と考えられる。
【0092】
【数16】
Figure 2005058810
【0093】
ここで、ε:流体の比誘電率、σ:流体の導電率(S/m)である。流体の比誘電率を10、導電率を10−6S/mを仮定すると、τ=1.854×10−5secとなる。あるいは、臨界周波数をfcとすると、
【0094】
【数17】
Figure 2005058810
【0095】
となる。このfcよりも早い周波数の電界の変化に対しては、応答できず吐出は不可能になると考えられる。上記の例について見積もると、周波数としては10kHz程度となる。
【0096】
次に、ノズル内における表面張力の低下について考える。電極の上に絶縁体を配置し、その上に滴下した液体と電極の間に電圧を印加すると液体と絶縁体の接触面積が増す、すなわちぬれ性がよくなることが見いだされ、エレクトロウェッティング(Electrowetting)現象と呼ばれている。この効果は、円筒形のキャピラリー形状においても成り立ち、エレクトロキャピラリー(Electrocpapillary)と呼ばれることもある。エレクトロウェッティング効果による圧力と、印加電圧、キャピラリーの形状、溶液の物性値との間に以下の関係がある。
【0097】
【数18】
Figure 2005058810
【0098】
ここで、ε:真空の誘電率、ε:絶縁体の誘電率、t:絶縁体の厚さ、d:キャピラリーの内径である。流体として、水を考えてこの値を計算してみると、上述の特許文献1の実施例の場合を計算してみると、高々30000Pa(0.3気圧)にすぎないが、本前提技術の場合、ノズルの外側に電極を設けることにより30気圧相当の効果が得られることがわかった。これにより、微細ノズルを用いた場合でもノズル先端部への流体の供給は、この効果により速やかに行われる。この効果は、絶縁体の誘電率が高いほど、またその厚さが薄いほど顕著になる。エレクトロキャピラリー効果を得るためには、厳密には絶縁体を介して電極を設置する必要があるが、十分な絶縁体に十分な電場がかかる場合、同様の効果が得られる。
【0099】
以上の議論において、注意すべき点は、これらの近似理論は従来のように電界強度として、ノズルに印加する電圧Vと、ノズルと対向電極間の距離hとで決まる電界ではなく、ノズル先端における局所的な集中電界強度に基づいている。
また、本前提技術において重要なのは、局所的な強電界と、流体を供給する流路が非常に小さなコンダクタンスを持つことである。そして、流体自身が微小面積において十分に帯電することである。帯電した微小流体は、基板などの誘電体、または導体を近づけると、鏡像力が働き基板に対し直角に飛翔する。このために、実施例ではノズルは作成の容易さからガラスキャピラリーを使っているが、これに限定されるものではない。
【0100】
〔実施の形態1〕
以下の実施の形態においては、超微細ノズルから静電力によって超微細液体を吐出させる場合におけるノズルの駆動条件について究明した結果について説明する。
【0101】
静電吸引型流体吐出装置においては、前述の前提技術にて説明したように、ノズル孔の直径(ノズル径)をφ0.01〜25μmの範囲とすることにより、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化との両立が可能である。
【0102】
また、ノズルからの吐出材料となる液体の吐出量は、ノズルと吐出先部材との間の電位差やノズルと吐出先部材との間の距離、すなわちギャップによって制御することができる。基本的には、電位差が大きいほど、またギャップが小さいほど、ノズル先端の電界強度を大きくすることができるため、その吐出量を制御することが容易となる。
【0103】
しかしながら、上記のような静電吸引型流体吐出方法には、次のような問題点がある。すなわち、絶縁性の吐出先部材に対して液体の吐出を行った場合、DCバイアスや片側極性のパルス電圧など、+または−の片側極性のバイアスを駆動電圧としてノズルに印加した場合、吐出液体中の電荷によって吐出先部材がチャージアップし、その表面電位が上昇する。そして、この表面電位上昇の影響により、吐出駆動力となるノズル(ノズル内部の駆動電極)と吐出先部材との間の電位差が不安定となり吐出不良が発生する。
【0104】
この結果、片側極性のバイアスを使用して安定吐出を行うためには、上記電位差を確保するために、ノズルの駆動電極にさらに高いバイアスを与える必要があり、ノズルの低電圧駆動が困難となる。実際に、DCバイアスによる吐出最低電圧は、図14に示すように、吐出先部材として表面抵抗値が1015Ω/sqのポリイミドを使用した場合の方が、吐出先部材として表面抵抗値が1010Ω/sqのガラス基板あるいは導電体のSUS基板を使用した場合よりも高くなり、前者の方が吐出特性において劣っている。
【0105】
そこで、このような吐出最低電圧の上昇を抑制するために、ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧を使用するのが好ましい。この場合には、図15に示すように、DCバイアスを使用する場合と比較して、吐出最低電圧が低下することがわかる。これは、吐出先部材への着弾液滴の帯電電荷が正負交互となり、吐出先部材上へは順次逆極性の電荷が滴下されるため、吐出先部材でのチャージアップを抑制しながら吐出が行われることによる。このように、ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧を使用することは、ノズルからの吐出安定性を高める上で有効である。
【0106】
ところが、ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧を使用した場合であっても、図16に示すように、吐出先部材への描画パターン形成時に、描画パターンの周辺に微小な液滴の飛散りが発生し、描画パターンが乱れる事態を招来する。これは次の理由による。
【0107】
例えば、図17(a)に示すように、ノズルの駆動電圧として周波数の低いパルス電圧を使用し、このパルス電圧の正極性パルスにてノズルからの吐出が行われる構成の場合、吐出先部材である絶縁性基板16上には正電荷を有する液体が連続的に吐出される。このとき、図17(b)に示すように、先に滴下されている液体上に後から液体が滴下されると、両液体は同極性に帯電しているために絶縁性基板16上において反発し合い、例えば後から滴下された液体がさらに微細な液滴となって絶縁性基板16上に飛び散ることになる。
【0108】
上記のような微細液滴の飛散りは、例えば、吐出材料を導電性材料として絶縁性基板16上に配線パターンを描画した場合に、基板の電気特性に悪影響を及ぼすことになる。
【0109】
そこで、本発明の静電吸引型流体吐出装置では、さらに、ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧を使用する構成において、吐出先部材上における吐出材料の飛散りを抑制して、描画像の乱れの少ない鮮明な微細パターンを形成できるようにする。
【0110】
以下、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置について詳細に説明する。
図1は本実施の形態における静電吸引型流体吐出装置の概略構成図である。図1に示すように、静電吸引型流体吐出装置では、液滴吐出ヘッドとなるノズル11とステージ12とが対向配置されている。すなわち、ノズル11は先端部が下方を向くように配置され、ノズル11の下方にステージ12が水平に設けられている。ノズル11は図示しない駆動装置に駆動されて任意の方向へ移動可能となっている。例えば、ノズル11はノズル11を独立して移動させるための3次元ロボットに備え付けられている。なお、ノズル11とステージ12とは相対移動すればよく、したがってテージ12が駆動装置に駆動されて移動するものであってもよい。
【0111】
ノズル11内には駆動電極13が設けられ、この駆動電極13には電源(駆動電圧印加手段)14が接続されている。また、ノズル11内には液体からなる吐出材料(流体)15が充填され、ステージ12上には吐出材料15の吐出先である絶縁性基板(吐出先部材)16が固定される。ステージ12は接地されており、したがって絶縁性基板16はステージ12を通じて接地される。絶縁性基板16にはノズル11から吐出された吐出材料15により、例えば微細な配線パターンが形成される。
【0112】
ノズル11は、超微細液体を吐出可能とするために、低コンダクタンスの流路がノズル11の近傍に設けられているか、もしくはノズル11自身が低コンダクタンスのものとなっている。このために、ノズル11は、ガラス製キャピラリーが好適であるが、導電性物質に絶縁材でコーティングしたものでも可能である。
【0113】
ノズル11をガラス製とする理由は、容易に数μm程度のノズル孔を形成できること、ノズル孔の閉塞時にはノズル端を破砕することにより新しいノズル端を再生できること、ガラスノズルの場合、テーパー角がついているために、不要な溶液が表面張力によって上方へと移動し、ノズル端に滞留せず、ノズル詰まりの原因にならないこと、およびノズル11が適度な柔軟性を持つため、可動ノズルの形成が容易であること等による。
【0114】
具体的には、芯入りガラス管(商品名:株式会社ナリシゲ製GD−1)を用い、キャピラリープラーにより作成することができる。芯入りガラス管を用いた場合には次のような利点がある。
【0115】
(1)芯側ガラスがインクに対し濡れやすいために、インクの充填が容易になる。(2)芯側ガラスが親水性で、外側ガラスが疎水的であるためにノズル端部において、インクの存在領域が芯側のガラスの内径程度に限られ、電界の集中効果がより顕著となる。(3)微細ノズル化が可能となる。(4)十分な機械的強度が得られる。
【0116】
ノズル径の下限値は、制作上の都合から0.01μmが好ましく、また、ノズル径の上限値は、図8に示した静電的な力が表面張力を上回る時のノズル径の上限が25μmであること、および図20に示した局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合のノズル径の上限が25μmであることから25μmが好ましく、15μmがより好ましい。特に、局所的な電界集中効果をより効果的に利用するには、ノズル径は0.01〜8μmの範囲が望ましい。本実施の形態において、ノズル径はφ0.1〜φ20μmの範囲に設定している。
【0117】
また、ノズル11は、キャピラリーチューブに限らず、微細加工により形成される2次元パターンノズルでもかまわない。ノズル11を成形性の良いガラスとした場合、ノズル11を電極として利用することはできないから、ノズル11内には、金属線(例えばタングステン線)を駆動電極13として挿入する。なお、ノズル11内にメッキにて駆動電極13を形成しても良い。また、ノズル11自体を導電性物質で形成した場合には、その上に絶縁材をコーティングする。
【0118】
また、駆動電極13は、ノズル11内に充填された液体である吐出材料15に浸されるように配置する。吐出材料15は図示しない供給源から供給される。
【0119】
電源(駆動電圧印加手段)14の動作は、例えばコンピュータからなる制御装置(駆動電圧印加手段)17により制御される。すなわち、制御装置17からの吐出信号が電源14に供給され、この吐出信号に応じて電源14からパルス波形の電圧が駆動電極13に印加される。ノズル11内の吐出材料15はこの電圧により帯電し、ノズル11から吐出される。上記駆動電圧の一例を図2に示す。この駆動電圧は、極性が順次正負に判定する両極性パルス電圧であり、その周波数は1Hz以上となっている。
【0120】
絶縁性基板16としては、表面抵抗値が1010Ω/sq以上のものであれば良く、ポリイミドやアクリル、ポリカーボネード等の高分子材料以外に、低湿度環境下のガラス等からなるものも上記範囲内に当てはまる。
【0121】
上記の構成において、まず、ノズル11からの微細液体の吐出原理について説明する。この吐出原理は次のように考えられている。静電吸引型流体吐出装置では、電源14から駆動電極13に駆動電圧が印加されることにより、駆動電極13から吐出材料15に電荷が供給される。この電荷は、ノズル11内部の吐出材料15を通じて、ノズル11の先端部に形成された、静電容量を有するメニスカス40に移動する。そして、静電吸引型流体吐出装置40の電荷量が所定量に達すると、ノズル11から絶縁性基板16への液体の吐出が行われる。
【0122】
次に、静電吸引型流体吐出装置におけるノズル11から吐出材料15を吐出して絶縁性基板16に所望のパターンを形成する場合の動作について説明する。
【0123】
ノズル11は、3次元ロボット等の駆動装置により、所望のパターニングデータに応じてX軸方向およびY軸方向に2次元駆動される。この際、ノズル11は、さらにノズル11の先端と絶縁性基板16との距離(ギャップ)が常に30〜200μmの範囲内となるように、Z軸方向の位置が制御される。上記のギャップ測定手段としては、レーザを利用した変位計あるいはレーザを利用したギャップ測長計が利用される。
【0124】
ノズル11の上記移動に伴い、ノズル11の駆動電極13に対して電源14から両極性パルス電圧(駆動電圧)が印加される。これにより、ノズル11内の吐出材料15においてノズル11の先端方向に向けて電荷の移動が始まる。そして、ノズル11の先端部において吐出材料15により形成されるメニスカス40に電荷が蓄積されてその周辺部の電界強度が上昇する。その後、電界強度がノズル11から吐出材料15を吐出させるための臨界点を超えると、ノズル11から吐出材料15が吐出され、絶縁性基板16上に着弾する。この場合、ノズル11の駆動電圧として1Hz以上の両極性パルス電圧が駆動電極13に印加されているので、絶縁性基板16上に着弾する液体の極性は正負交互となる。また、1発の吐出時間は500msec以下となる。
【0125】
次に、静電吸引型流体吐出装置による絶縁性基板16への描画動作における両極性パルス電圧の周波数特性について説明する。
【0126】
図3には、ポリイミド基板(絶縁性基板16)上に銀ナノペーストを吐出材料として吐出した場合の駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を示し、図4には駆動電圧周波数とライン描画時における絶縁性基板16上での液滴飛散領域幅との関係を示している。
【0127】
駆動電極13に駆動電圧として両極性パルス電圧を印加した場合、交互に印加される正電圧および負電圧のそれぞれに応じてノズル11から吐出材料15の液滴が吐出される。このときの吐出時間は両極性パルス電圧の周波数に応じて変化し、この吐出時間に比例して絶縁性基板16上に着弾する吐出材料15の一滴の電荷量が変化する。
【0128】
この場合、両極性パルス電圧の周波数を下げて一発(一回の吐出)あたりの電荷量を増やすと、図3に示すように、吐出最低電圧(ノズル11からの吐出開始電圧)が上昇する。これは、一発あたりの電荷量が増加すると、絶縁性基板16上に着弾した液滴の電荷量(絶縁性基板16のチャージ量)が大きくなって絶縁性基板16とノズル11との間の電位差が低下し、持続的に安定吐出を行うのに必要な駆動電極13への印加電圧(駆動電圧)の値が高くなることによる。
【0129】
すなわち、図3においては、駆動電圧周波数が1Hzよりも低くなると吐出最低電圧(吐出開始電圧)が上昇し始めており、このように駆動電圧周波数が1Hz未満の条件では、駆動電圧がDCバイアス(DC電圧)である場合のように、ノズル11からの吐出動作が、絶縁性基板16のチャージアップの影響を受け始めている。
【0130】
実際に、図3に示すように、絶縁性基板16上への吐出材料15の吐出による描画時における絶縁性基板16上での液滴の飛散領域幅は、駆動電圧周波数が1Hz未満の条件下において急激に増大していることが確認できる。逆に、駆動電圧周波数が1Hz以上の条件下では、絶縁性基板16上での液滴の飛散領域幅を50μm以下に抑制することができ、良好な描画像を安定して形成することができる。
【0131】
以上のように、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、ノズル11の駆動電極13に印加する駆動電圧として1Hz以上の両極性パルス電圧を使用しているので、絶縁性基板16のチャージアップによる絶縁性基板16での液滴の飛散領域の拡大と駆動電圧の上昇とを抑制することができる。この結果、絶縁性基板16に対する微細パターンの形成を、ノズル11の低電圧駆動により、かつ鮮明に行うことができる。
【0132】
なお、本実施の形態では、駆動電圧としての両極性パルス電圧をノズル11の駆動電極13に印加するものとして説明したが、ノズル11からの吐出に必要な駆動電圧は駆動電極13に印加される電圧と対向電極として機能するステージ12との間の電位差である。したがって、駆動電圧は、ステージ12にのみ印加される電圧である構成、あるいはステージ12に印加される電圧と駆動電極13に印加される電圧との合成電圧(電位差)である構成であってもよい。
【0133】
また、駆動電圧である両極性パルス電圧としては、AC等のようなスルーレートの低い波形であっても利用可能である。
【0134】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態を図面に基づいて以下に説明する。
図5(a)および図5(b)は、ノズル11の駆動電極13に印加される駆動電圧としての両極性パルス電圧の波形とノズル11先端における吐出材料15の表面電位との関係を示す波形図であって、図5(a)はノズル11から吐出材料15の吐出が起きない場合、図5(b)は同吐出が起こる場合を示している。図6は、ノズル11において駆動電極13から供給される電荷がノズル11先端のメニスカス40に蓄積される動作の説明図である。図7は、図5(b)の駆動電圧(駆動電圧周波数)を使用した場合のノズル11からの吐出材料15の吐出および不吐出の様子を示す説明図である。図8は、駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を示すグラフ、図9は、駆動電圧周波数と絶縁性基板16上における液滴の飛散領域幅との関係を示すグラフである。図10は、吐出材料15として、染色インクおよび銀ナノペーストを使用した場合における駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を広い周波数範囲で示すグラフである。なお、本実施の形態においては、前記の実施形態と同じ部分の説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0135】
本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置は図1に示した構成を有する。この静電吸引型流体吐出装置においては、ノズル11の駆動電極13に両極性パルス電圧を印加した場合の電圧波形、およびこの電圧印加に基づいてノズル11先端の吐出材料15に蓄積される電荷による表面電位との関係が図5(a)または図5(b)のようになる。
【0136】
すなわち、図5(a)(b)および図6において、ノズル11の駆動電極13に両極性パルス電圧101を印加すると、ノズル11内部の駆動電極13からノズル11先端に向けて吐出材料15内を電荷が移動し、この電荷がノズル11先端のメニスカス40に蓄積される。これにより、メニスカス表面電位102は、立上り電位101aおよび立下り電位101bで最大となるような飽和曲線を描きながら上昇する。この場合、メニスカス表面電位102が吐出に必要な駆動力を得るための吐出可能最低電位103に達した時点にて、ノズル11からの吐出材料15の吐出が開始される。
【0137】
したがって、図5(a)に示すように、メニスカス表面電位102が吐出可能最低電位103に到達しないうちにパルスが反転するような(逆極性電圧が印加されるような)駆動電圧周波数の場合には、ノズル11からの吐出材料15の吐出は生じない。そこで、ノズル11からの吐出材料15の吐出が行われるようにするには、両極性パルス電圧101の振幅を大きくするか、あるいは駆動電圧周波数を下げて両極性パルス電圧101の正電圧および負電圧それぞれの印加時間を長くする必要がある。
【0138】
ここで、駆動電圧周波数を低下させる場合に注目すると、吐出材料15の電気伝導度σS/mおよび比誘電率εにて決定される帯電時定数τと両極性パルス電圧101における正電圧および負電圧それぞれの印加時間Tとの大小関係によりノズル11からの吐出の有無を設定することができる。したがって、図5(b)に示すように、駆動電圧周波数fHzを帯電時定数τよりも印加時間Tが大きくなるように設定すること、すなわち、駆動電圧周波数fを、f≦1/(2τ)を満たすように設定することにより、ノズル11からの吐出材料15の吐出を行わせることができる。図7には、図5(b)の駆動電圧(駆動電圧周波数)に対応してノズル11からの吐出材料15の吐出および不吐出の様子を示す。
【0139】
具体例として、ポリイミド基板(絶縁性基板16)上に銀ナノペーストを吐出材料15として吐出させた場合について、図8には駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を示し、図9には駆動電圧周波数と絶縁性基板16における液滴の飛散領域幅との関係を示す。
【0140】
図8の結果では、駆動電圧周波数が約50Hz以上になると吐出最低電圧が上昇している。これは、メニスカス表面電位102を吐出可能最低電位103に到達させるために、印加電圧(両極性パルス電圧)を大きくせざるを得ない駆動電圧周波数条件であることを意味している。すなわち、駆動電圧周波数が50Hz以上である場合は、f≦1/(2τ)を満たさない駆動周波数条件である。
【0141】
また、図9の結果では、駆動電圧周波数が50Hz以上において、絶縁性基板16上における液滴の飛散領域が大きくなり、絶縁性基板16上の描画像の乱れが大きくなっていることがわかる。すなわち、絶縁性基板16上における液滴の飛散をできるだけ抑制して、鮮明な微細パターンを得るためには、50Hz以下の駆動電圧周波数で吐出を行う必要がある。
【0142】
図10には、吐出材料15として、電気伝導度が10−4−6(S/cm)の染色インクおよび電気伝導度が10−7−9(S/cm)の銀ナノペーストを使用した場合における駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を広い周波数範囲で示す。すなわち、図10は銀ナノペーストについては、低い周波数範囲を示す図3と高い周波数範囲を示す図8とを合成したものとなっている。
【0143】
なお、図10に基づく駆動電圧周波数fの好ましい範囲は、1Hz≦fかつf≦1/(2τ)である。
【0144】
以上のように、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、駆動電圧として、駆動電圧周波数fが、f≦1/(2τ)を満たすような両極性パルス電圧を使用してノズル11を駆動することにより、吐出最低電圧の上昇を抑制し、かつ絶縁性基板16上における液滴の飛散領域を狭くし、絶縁性基板16上において鮮明な微細パターンを形成することができる。
【0145】
なお、本実施の形態では、駆動電圧としての両極性パルス電圧をノズル11の駆動電極13に印加するものとして説明したが、ノズル11からの吐出に必要な駆動電圧は駆動電極13に印加される電圧と対向電極として機能するステージ12との間の電位差である。したがって、駆動電圧は、ステージ12にのみ印加される電圧である構成、あるいはステージ12に印加される電圧と駆動電極13に印加される電圧との合成電圧(電位差)である構成であってもよい。
【0146】
また、駆動電圧である両極性パルス電圧としては、AC等のようなスルーレートの低い波形であっても利用可能である。
【0147】
〔実施の形態3〕
本発明の実施のさらに他の形態を図面に基づいて以下に説明する。
【0148】
本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置は図11に示す構成を有する。すなわち、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、ステージ12が移動装置(移動手段)21に駆動されて移動する。制御装置(制御手段)22は、移動装置21の移動方向、移動速度および移動タイミング等を制御する。制御装置22は、さらに電源14からノズル11の駆動電極13に供給される駆動電圧の電圧値、駆動電圧周波数および駆動電圧の印加タイミング等を制御する。
【0149】
図12は、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるステージ12の走査速度と絶縁性基板16上における液滴の飛散領域幅との関係を示すグラフである。図12には、ポリイミド基板(絶縁性基板16)上に銀ナノペーストを吐出材料15としてライン描画を行った場合の吐出実験結果を示している。この場合のノズル径は約1μmであり、駆動電圧周波数は50Hzである。ノズル11と絶縁性基板16(ステージ12)との相対移動は、ステージ12を移動させて行っている。
【0150】
図12の結果では、走査速度が10μm/sec以下となる範囲において、絶縁性基板16上における液滴の飛散領域が急激に狭くなっていることがわかる。これは、ノズル11から吐出材料15を吐出する場合において、絶縁性基板16上に既に着弾しているドット(液滴)の位置に対する次に着弾するドット(液滴)の位置のずれ量が、絶縁性基板16上における液滴の飛散領域幅に影響することを意味している。
【0151】
したがって、絶縁性基板16上における液滴の飛散領域幅を最小限に抑制する上での理想的な状態は、絶縁性基板16に対して走査速度がゼロの状態にて、すなわち絶縁性基板16上に既に着弾している液滴上の位置にノズル11が存在する状態にて、両極性パルス電圧の正電圧と負電圧とで交互に吐出材料15を吐出するものである。この状態では、常にほぼ0Vに除電された周辺絶縁部(絶縁性基板16の表面)よりも低抵抗な描画部(着弾液滴部)がノズル11の真下位置に存在することになり、絶縁性基板16上の着弾位置のチャージアップが抑制される。したがって、この場合には、吐出最低電圧の上昇が抑制され、かつ絶縁性基板16上における、同極性電荷を有する液滴同士の反発による液滴の飛散が抑制される。
【0152】
これに対し、ノズル11と絶縁性基板16とが相対移動しながら吐出材料15の吐出が行われ、その走査速度(相対速度)が速くなると、ノズル11からの吐出材料15の吐出位置が直前の着弾位置よりも少しずれた状態となる。この場合には、絶縁性基板16上の電位と描画ライン上の電位との両方の影響を受けながら吐出が行われるため、吐出安定性が低下し、絶縁性基板16上において吐出位置周囲への吐出材料15の飛散が起きやすくなる。
【0153】
具体的に、図12に示した結果において、液滴の飛散領域幅が広くなる臨界点である走査速度(ステージ速度)10μm/sec、駆動周波数50Hzの条件とは、直前の着弾位置から0.1μm離れた位置に次の逆極性電荷を持った液滴が着弾するような条件である。すなわち、一般的に駆動電圧周波数fHz、吐出走査速度vμm/secの吐出条件において、ドット間隔v/2fを0.1μm以下とすることにより、絶縁性基板16上における液滴の飛散を低減することができる。上記の結果から、両極性パルス電圧における駆動電圧周波数fHzと吐出走査速度vμm/secの関係を導くと、v/2f≦0.1μmより、f≧5vとなる。
【0154】
なお、上記の条件は、描画するラインの幅およびドットの直径が1〜10μmの範囲において好適である。
【0155】
以上のように、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、絶縁性基板16上に吐出材料15の微細液滴を吐出してライン描画を行う場合、f≧5vを満たすように、駆動電圧周波数fHzおよび吐出走査速度vμm/secを設定することにより、絶縁性基板16上における液滴の飛散を抑制して、鮮明な微細パターンを形成することが可能となる。
【0156】
なお、本実施の形態では、駆動電圧としての両極性パルス電圧をノズル11の駆動電極13に印加するものとして説明したが、ノズル11からの吐出に必要な駆動電圧は駆動電極13に印加される電圧と対向電極として機能するステージ12との間の電位差である。したがって、駆動電圧は、ステージ12にのみ印加される電圧である構成、あるいはステージ12に印加される電圧と駆動電極13に印加される電圧との合成電圧(電位差)である構成であってもよい。
【0157】
また、駆動電圧である両極性パルス電圧としては、AC等のようなスルーレートの低い波形であっても利用可能である。
【0158】
また、本実施の形態において、移動装置21はステージ12を移動させるものとしているが、絶縁性基板16に描画するためにはステージ12(絶縁性基板16)とノズル11とが相対移動すればよく、したがって移動装置21はノズル11とステージ12との少なくとも一方を移動させるものであればよい。
【0159】
〔実施の形態4〕
本発明の実施のさらに他の形態を図面に基づいて以下に説明する。
【0160】
本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置は図1に示した構成を有する。図13は、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるノズル11の駆動電極13に印加する駆動電圧(両極性パルス電圧)と絶縁性基板16上における液滴の飛散領域との関係を示すグラフである。
【0161】
図13では、ポリイミド基板(絶縁性基板16)上に銀ナノペーストを吐出材料15として吐出し、描画を行った実験結果を示している。この場合のノズル径は約1μmであり、駆動電圧周波数は50Hz、ノズル11と絶縁性基板16(ステージ12)との相対移動速度(走査速度)は200μm/secとしている。このような条件で吐出を行うと、吐出ピッチは2μmとなり、ノズル径1μmで吐出された着弾ドット径(着弾液滴径)は約1μmであるため、着弾形態はラインではなくドットとなる。
【0162】
図13の結果では、駆動電圧(パルス印加電圧)を大きくするに連れて、吐出材料15を吐出した場合における絶縁性基板16での液滴の飛散領域幅が急激に広くなっている。これは、同一の位置に同極性の電荷を持った液滴が大量に着弾されるためである。すなわち、駆動電圧が高くなるとノズル11からの吐出材料15の吐出量が多くなり、それが絶縁性基板16上に着弾した場合における着弾液滴中の同極性電荷同士の反発により、液滴の飛散領域が拡大する。特に、駆動電圧が400Vを超えると飛散領域が急激に拡大している。逆に、駆動電圧が400以下では飛散領域が相対的に狭くなっている。すなわち、駆動電圧を400V以下とすることにより、周辺部への液滴の飛散を抑制した吐出を行うことができる。なお、この場合、駆動電圧の下限値は例えば吐出最低電圧となる。
【0163】
以上のように、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、絶縁性基板16上に微細液滴を吐出してドット形成する場合に、ノズル11の駆動電極13に印加する駆動電圧を400V以下としているので、絶縁性基板16上において、着弾ドット(着弾液滴)周辺部への液滴の飛散を抑制し、鮮明な微細パターンを形成することができる。
【0164】
なお、本実施の形態では、駆動電圧としての両極性パルス電圧をノズル11の駆動電極13に印加するものとして説明したが、ノズル11からの吐出に必要な駆動電圧は駆動電極13に印加される電圧と対向電極として機能するステージ12との間の電位差である。したがって、駆動電圧は、ステージ12にのみ印加される電圧である構成、あるいはステージ12に印加される電圧と駆動電極13に印加される電圧との合成電圧(電位差)である構成であってもよい。
【0165】
また、駆動電圧である両極性パルス電圧としては、AC等のようなスルーレートの低い波形であっても利用可能である。
【0166】
また、以上の実施の形態において、液滴の飛散領域幅は、描画するラインの幅に厳密に影響されるものではなく、描画パターン領域を含みその両側に広がる、液滴が不要に飛散している領域全体の幅と見なすことができる。
【0167】
【発明の効果】
本発明の構成では、ノズルの孔径をφ0.01μm〜φ25μmとしているので、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
【0168】
また、本発明の構成では、ノズルに印加する駆動電圧が、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が1Hz以上の電圧となっているので、吐出先部材のチャージアップによる吐出先部材での液滴の飛散領域の拡大と駆動電圧の上昇とを抑制することができる。この結果、吐出先部材に対する微細パターンの形成を、ノズルの低電圧駆動により、かつ鮮明に行うことができる。
【0169】
また、本発明の構成では、ノズルに印加する駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、流体の電気伝導度σS/mおよび比誘電率εに対して、τ=ε/σにて決定される時定数τと駆動電圧周波数fHzとの関係がf≦1/(2τ)となる電圧を出力するので、ノズルからの吐出最低電圧の上昇を抑制し、かつ吐出先部材上における液滴の飛散領域を狭くし、吐出先部材上において鮮明な微細パターンを形成することができる。
【0170】
また、本発明の構成では、ノズルに印加する駆動電圧として、正負両極性に反転し、周波数がfHzである両極性パルス電圧を出力し、ノズルと吐出先部材との相対移動における相対速度vμm/secと駆動電圧周波数fHzとの関係が、f≧5vとなるように駆動電圧周波数と相対移動速度との少なくとも一方を制御するので、吐出先部材上における液滴の飛散を抑制して、鮮明な微細パターンを形成することが可能となる。
【0171】
また、本発明の構成では、ノズルに印加する駆動電圧が、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、400V以下の電圧であるので、吐出先部材上に流体を吐出してドット形成する場合、そのドット周辺部への液滴の飛散を抑制し、鮮明な微細パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態における静電吸引型流体吐出装置の概略構成図である。
【図2】図1に示した電源から出力される駆動電圧の一例を示す波形図である。
【図3】図1に示した静電吸引型流体吐出装置におけるノズルの駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を示すグラフである。
【図4】図1に示した静電吸引型流体吐出装置でのライン描画時におけるノズルの駆動電圧周波数と絶縁性基板上での液滴飛散領域幅との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の他の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるノズルの駆動電極に印加される駆動電圧としての両極性パルス電圧の波形とノズル先端における吐出材料の表面電位との関係を示す波形図であって、図5(a)はノズルから吐出材料の吐出が起きない場合を示すものであり、図5(b)は同吐出が起こる場合を示すものである。
【図6】図1に示した静電吸引型流体吐出装置のノズルにおいて駆動電極から供給される電荷がノズル先端のメニスカスに蓄積される動作の説明図である。
【図7】図5(b)に示した駆動電圧を使用した場合のノズルからの吐出材料の吐出および不吐出の様子を示す説明図である。
【図8】図1に示した静電吸引型流体吐出装置における駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を示すグラフである。
【図9】図1に示した静電吸引型流体吐出装置における駆動電圧周波数と絶縁性基板上での液滴の飛散領域幅との関係を示すグラフである。
【図10】図1に示した静電吸引型流体吐出装置において、吐出材料として染色インクおよび銀ナノペーストを使用した場合の駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を広い周波数範囲で示しグラフである。
【図11】本発明の実施のさらに他の形態の静電吸引型流体吐出装置の概略構成である。
【図12】本発明の実施のさらに他の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるステージの走査速度と絶縁性基板上での液滴の飛散領域幅との関係を示すグラフである。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるノズルの駆動電極に印加する駆動電圧と絶縁性基板上における液滴の飛散領域との関係を示すグラフである。
【図14】吐出先部材として表面抵抗値が1015Ω/sqのポリイミドを使用した場合と吐出先部材として表面抵抗値が1010Ω/sqのガラス基板あるいは導電体のSUS基板を使用した場合とにおけるDCバイアスによる吐出最低電圧を示す説明図である。
【図15】ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧を使用する場合とDCバイアスを使用する場合とにおける吐出最低電圧を示す説明図である。
【図16】ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧を使用しての描画パターン形成時に、描画パターンの周辺に微小な液滴の飛散りが発生した状態を示す説明図である。
【図17】図17(a)は、ノズルの駆動電圧としての周波数の低いパルス電圧の一例を示す波形図、図17(b)は、絶縁性基板上において液滴の飛散りが発生する原理の説明図である。
【図18】本発明の前提技術におけるノズルの電界強度の説明図である。
【図19】本発明の前提技術における、表面張力圧力と静電的圧力のノズル径依存性のモデル計算結果を示したグラフである。
【図20】本発明の前提技術における、吐出圧力のノズル径依存性のモデル計算結果を示したグラフである。
【図21】本発明の前提技術における、吐出限界電圧のノズル径依存性のモデル計算結果を示したグラフである。
【図22】本発明の前提技術における、荷電液滴と基板との間に働く鏡像力とノズル−基板間距離との相関を示したグラフである。
【図23】本発明の前提技術における、ノズルから流出する流量と印加電圧との相関関係のモデル計算結果を示したグラフである。
【図24】従来の静電吸引型インクジェット方式の考え方である、電気流体力学的な不安定性による静電曳き糸現象による曳き糸成長の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
11 ノズル
12 ステージ
13 駆動電極
14 電源(駆動電圧印加手段)
15 吐出材料(流体)
16 絶縁性基板(吐出先部材)
17 制御装置(駆動電圧印加手段)
21 移動装置(移動手段)
22 制御装置(制御手段)
40 メニスカス
101 両極性パルス電圧
102 メニスカス表面電位
103 吐出可能最低電位

Claims (8)

  1. ノズルと吐出先部材との間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、
    前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、
    前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が1Hz以上の電圧を出力することを特徴とする静電吸引型流体吐出装置。
  2. ノズルと吐出先部材との間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、
    前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、
    前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、前記流体の電気伝導度σS/mおよび比誘電率εに対して、τ=ε/σにて決定される時定数τと駆動電圧周波数fHzとの関係がf≦1/(2τ)となる電圧を出力することを特徴とする静電吸引型流体吐出装置。
  3. ノズルと吐出先部材との間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させるとともに、移動手段にて前記ノズルと吐出先部材とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移動させる静電吸引型流体吐出装置において、
    前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、
    前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転し、周波数がfHzである両極性パルス電圧を出力するものであり、
    前記駆動電圧印加手段の駆動電圧周波数fHzと前記相対移動における相対速度vμm/secとの関係が、f≧5vとなるように、前記駆動電圧出力手段と前記移動手段との少なくとも一方を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする静電吸引型流体吐出装置。
  4. ノズルと吐出先部材との間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させるとともに、移動手段にて前記ノズルと吐出先部材とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移動させる静電吸引型流体吐出装置において、
    前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、
    前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、400V以下の電圧を出力することを特徴とする静電吸引型流体吐出装置。
  5. ノズルと吐出先部材との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、
    前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、
    前記駆動電圧は、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が1Hz以上の電圧であることを特徴とする静電吸引型流体吐出方法。
  6. ノズルと吐出先部材との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、
    前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、
    前記駆動電圧は、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、前記流体の電気伝導度σS/mおよび比誘電率εに対して、τ=ε/σにて決定される時定数τと駆動電圧周波数fHzとの関係がf≦1/(2τ)となる電圧であることを特徴とする静電吸引型流体吐出方法。
  7. ノズルと吐出先部材との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させるとともに、前記ノズルと吐出先部材とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移動させる静電吸引型流体吐出方法において、
    前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、
    前記駆動電圧として、正負両極性に反転し、周波数がfHzである両極性パルス電圧を出力し、
    前記駆動電圧周波数fHzと前記相対移動における相対速度vμm/secとの関係が、f≧5vとなるように駆動電圧周波数と相対移動速度との少なくとも一方を制御することを特徴とする静電吸引型流体吐出方法。
  8. ノズルと吐出先部材との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔から前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、
    前記ノズルの孔径はφ0.01μm〜φ25μmであり、
    前記駆動電圧は、正負両極性に反転する両極性パルス電圧であり、400V以下の電圧であることを特徴とする静電吸引型流体吐出方法。
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