JP2005055773A - 偏光性回折格子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の媒質2と第2の媒質3の境界面に、立ち上がり・下がり部が傾斜した矩形波状の凹凸を設け、格子面をA、B、Cの領域に分割し、それぞれの領域毎に、上記の傾斜角を異ならせる。領域Bは格子面に垂直に入射する主光線に対して1次回折光の回折効率が最大になるよう上記傾斜角を選ぶ。領域A、Cにおいては、周辺光に対し上記回折効率が最大になるよう上記傾斜角を選ぶ。
【選択図】 図1
Description
同図において符号1、1’は基板、2は第1の媒質、3は第2の媒質をそれぞれ示す。
偏光性回折格子は、基板1、1’に挟まれた、互いに屈折率の異なる第1の媒質2と第2の媒質3との境界面に、断面が矩形波状に形成されている。すなわち、矩形状の凹凸によって、2つの媒質が互いに同じ幅で入り組むように、基板面に平行な方向に周期的に所定のピッチで交互に並んでいる。凹凸の上面と底面は基板表面に対し平行であり、上面と底面を結ぶ壁面は基板表面に対し垂直になっている。紙面に垂直な方向にはこのような凹凸が、格子ラインとして所定の長さで形成されている。同図では理解を容易にするために縦横とも誇張して示してある。
Q=2πλT/nd2
で表される値のことである。
平面ホログラムの+1次回折光の回折効率は、面に対する光束の入射角度による依存性があまり大きくないが、体積ホログラムのそれは、入射角度に大きく依存する。
同図において符号Pは平面ホログラムによる1次光回折効率を表す曲線、Vは体積ホログラムによる1次光回折効率を表す曲線をそれぞれ示す。
平面ホログラムの場合は、光束が面に対して垂直に入射するとき最も回折効率が高くなる。そして、入射光束が面に対し傾いていっても、回折効率の低下はあまり著しくない。
それに比べ、体積ホログラムの場合は、光束が面に対し垂直に入射したときは、平面ホログラムとほぼ同等の回折効率を示すが、入射角度が−(マイナス)方向に傾いていくと、回折効率はそれより減少し、逆に、入射角度が+方向に傾いていくと、回折効率は上昇し、或る角度θBにおいて最大値を示し、それ以上の角度では減少に転ずる。
この現象は、非特許文献1にも示されている。
一般に偏光性回折格子には光を面に垂直入射(入射角0°)させて使うが、光ピックアップにおいて偏光性回折格子を光源とカップリングレンズの間に配置すると、収束光が偏光性回折格子に入るので光束の中心部は垂直入射するが、周辺部では光の入射角度が+5°や−5°の角度で入射する。+5°で入射した光は回折効率η1が大きく、−5°で入射した光は回折効率η2が小さいと、ビームの左右で回折効率が異なることになり、プッシュプル信号にオフセットが生じてしまう。
この問題を解決するため、本発明者等は回折格子自体を傾ける方式を提案した(特願2003−090769)。
同図において符号g0は格子を傾けないときの光軸に沿った入射光、いわゆる主光線に対する1次回折光の回折効率のグラフ、gθBは格子をθB傾けた場合の主光線に対する1次回折光の回折効率のグラフをそれぞれ示す。
この先願によれば、回折格子を傾けない場合の1次光回折効率はグラフg0で示される。1次光回折効率が最も高くなる入射角度(θB)だけ光軸に対して回折格子自体を傾けて、主光線に対して最も回折効率が大きくなるようにすると、グラフg0は座標軸対称にシフトして、主光線に対する1次光回折効率のグラフgθBを得る。このグラフは光軸に関し+5°や−5°の角度で入射した場合でも回折効率η1とη2が等しくなる。このようにしてプッシュプル信号にオフセットが生じないように構成している。このように構成すると、収束光のすべての角度に対し、回折効率が上昇するので、受光素子に入射する光量も増加し、高速応答も可能になる。
さらに同先願において、全領域でブラッグ角になるように格子を傾斜することで回折効率の低下を抑制する方法が提案されているが、収束光が入射する場合、全領域でブラッグ角になるようにおのおのの格子を少しずつ傾けて加工することは難しい。
本発明では格子を複数の領域に分けて、領域ごとに格子の形状を変える事により、+5°入射、−5°入射のような光軸に関し斜めに入射する光に対して回折効率が等しく、かつ回折効率自体も低下しないようにすることを提案する。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の偏光性回折格子において、前記光学的特性の異なる2つの媒質のうち一方の媒質のみが複屈折性を示す媒質であり、他方の媒質は光学的等方性を示す媒質であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、該回折格子は奇数の領域に分割されており、中央の領域の前記境界面の傾斜角は、使用すべき光の波長に関し、前記基板の面に垂直に入射する光線の1次回折光の回折効率が最大になる角度θBに設定されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、光学的に透明、且つ、互いに平行に配された2枚の基板と、両基板の間に挟まれ、少なくとも一方が複屈折性を示し、互いに光学的特性の異なる2つの媒質が境界面をもって交互に周期的に配列された構造を有し、前記境界面が前記2枚の基板の平行面に対し傾斜する偏光性回折格子において、該回折格子が複数の領域に分割され、各々の領域において前記回折格子の深さが異なることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の偏光性回折格子において、前記複屈折性を示す媒質の面内の直交する2方向の異なる屈折率のうち一方の屈折率と前記光学的等方性を示す媒質の屈折率とが略等しいことを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、請求項6ないし8のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、該回折格子は奇数の領域に分割されており、中央の領域の前記回折格子の深さは、使用すべき光の波長に関し、前記基板の面に垂直に入射する光線の出射角θなる1次回折光の回折効率が最大になる深さに設定されていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、該回折格子を使用すべき所望の光の空気中における波長をλ、格子深さをT、回折格子媒質の屈折率をn、格子ピッチをdとしたとき、Q=2πλT/nd2で定義される回折格子のQ値が、Q>2となるよう構成したことを特徴とする。
請求項13に記載の発明では、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、前記複屈折性を示す媒質は液晶であることを特徴とする。
請求項14に記載の発明では、請求項1ないし13のいずれか1つに記載の偏光性回折格子を、レーザ光源と受光素子を一体化した投受光素子の光入出射面に一体化してユニットを構成してなる光学素子ユニットを特徴とする。
請求項16に記載の発明では、請求項15に記載の光ピックアップ装置を搭載した光ディスクドライブ装置を特徴とする。
図1は本発明のホログラムの実施形態を説明するための図である。
同図において符号1、1’は基板、2は第1の媒質、3は第2の媒質、A、B、Cは壁面の傾斜角を異ならせた3つのブロック、Hは偏光性回折格子、LA、LB、LCは光束をそれぞれ示す。
互いに光学的特性の異なる第1の媒質2と、第2の媒質3は光学的に透明な基板1、1’に挟まれており、両媒質の境界は傾斜した矩形波状の凹凸が形成され、双方の媒質が部分的に相互に入り込むように、周期的に所定のピッチで並んでいる。この構成は基本的には図13に示した構成に類似であるが、図13の構成では、両媒質の凹凸の境界が基板の面に平行な上面・底面と垂直な壁面の繰り返しで構成されていたのに対し、本実施形態では、上記境界が、基板の面に平行な上面・底面を有する点では同じであるが、壁面は基板の面に垂直ではなく、或る特定な角度を有している点が異なる。
本実施形態は壁面が既に傾いているので、主光線は基板に垂直に入射させることができるが、本発明では、基板面に対し壁面の傾斜角度は一定ではないことが特徴である。
図1、2においてブロックBは、基板面に垂直に入射する主光線の1次回折光が最大の回折効率を示す角度に壁面を傾斜させてある。ブロックAは、主光線に対し−θ1の角度で入射する光線の1次回折光が最大の回折効率を示す角度に壁面を傾斜させてある。ブロックCは、主光線に対し+θ1の角度で入射する光線の1次回折光が最大の回折効率を示す角度に壁面を傾斜させてある。
ブロックBの壁面の基板面に対する傾斜角をθBとすると、ブロックAのそれはθB−θ1、ブロックCのそれはθB+θ1となる。すなわち、入射光線と壁面がなす相対角度がすべてθBとなっている。
収束光の最外側の光線の入射角を±θ2としたとき、θ1とθ2の関係は以下に述べるような関係に設定する。
同図において符号gA、gB、gCはブロックA、B、Cにおける1次回折光の回折効率のグラフをそれぞれ示す。
同図(a)に示すグラフの実線の部分が光束の中心を通る横断面における1次回折光の回折効率である。ブロックAおよびBにおいては、収束光の最外側の光線の角度θ2(入射角の限界値)において1次光回折効率が最大になるように設定している。すなわち、最外側の光線の回折効率が主光線の回折効率と等しくなっている。したがって、光量損失をかなり低減できる。
このθ1の設定方法は、光束断面が、回折格子のライン方向に平行な辺を有する長方形の場合に最高の回折効率を示すことが明らかである。実際の光束断面は通常の場合円形なので、±θ2における回折効率がグラフgBとグラフgA等の交点における回折効率よりも若干小さくなっても、±θ1の絶対値を小さくしてさらにグラフgBの中心側に近づけた方が、総合の回折効率はより大きくなる。
逆に図3(b)において、θ1の絶対値をもっと小さくして、グラフgBを省略することもできる。この場合は領域を2分割にすることになる。
エッチングで格子を作ったり、機械加工で格子を作ったりする場合、領域分割してその領域ごとに傾きを変えるのであれば、領域ごとに露光したり、領域ごとに切削すれば良いので、1つずつの格子を傾きを変えて加工する方法に比べ加工時間はかからずに、かつ高効率を得ることができる。
本実施形態によれば、体積性のある格子を基板に対して斜めに傾けて+1次回折光に高効率を得ると共に、収束光が入った場合でも周辺部の格子傾き角度を中心部と異ならせることにより回折効率の低下を抑制できるので、高速記録・再生と信頼性の高いプッシュプル信号を得ることができる。さらに+1次回折光だけが高効率になるので、受光素子は+1次光だけを受光すれば良く1個で済む。±1次光を受光して2個の受光素子を必要とする構成よりも受光素子が少ないので、低コスト化と小型化を図れる。
図5は図4に示す実施形態の回折効率の一例を示す線図である。
図4において符号は図1における符号に準ずる。
本実施形態ではブロックごとに格子の壁の高さ、あるいは溝の深さ(以下、回折格子の深さ、もしくは単に深さと呼ぶ)を異ならせている。図4における構成を数値例で示せば、波長650nmのレーザ光に対して、ピッチ1.0μm、深さ2.7μmで、壁面は約8°傾斜している。このような偏光回折格子の回折効率は図5に示すようになる。
すなわち、垂直入射の主光線に対して1次回折光が最大回折効率となるよう設定されており、その効率は80%以上の値を示している。この回折格子のみであると、光線の入射角が±6°の場合、回折効率が20%以下まで低下してしまう。そこで±6°傾いた光線が入射する領域の格子の、傾斜角は変えずに深さだけを3.7μmにすると、±6°傾いて入射した場合でも40%以上の回折効率が得られる。このように領域により深さを変えることで垂直入射する光だけではなく傾いて入射する光に対しても高い効率で回折させることができるようになるので、前記と同様、高速再生と信頼性の高いプッシュプル信号を得ることができる。
すなわち、ブロックA、Cの幅を中央側にもう少し広げて、且つ、グラフgA、gCのピーク値がもっと中央寄りになるようにそれぞれの深さを選定する。この操作はQ値をより高くすることで可能である。深さの選定の基準は、主光線が角度θで出射するとしたとき、グラフgA、gCのピーク値に対応する入射角の光線が、回折格子を出るとき入射角に対する相対出射角がθになるような深さである。この目的のためにはブロックAとブロックCの深さが等しくならなくても構わない。
ただし、ブロックAの幅は、ブロックAとブロックBの境界におけるグラフgBの回折効率の値がグラフgAのピーク値を上回らない範囲とする。ブロックCの幅についても同様とする。なぜなら、この条件を外れると総合の回折効率がかえって減少するからである。
従来から、矩形回折格子の回折効率は、格子を薄い平面型格子として近似したスカラー回折理論からの理論式より計算予測できた。
スカラー回折理論による矩形格子の回折効率理論式は、以下のようである。
波長λの単色光が格子をを透過した際、溝の山と谷で生じる位相変化δは、
δ=π・ΔnT/λ ・・・・・(1)
である。ここで、Tは格子の深さ、Δnは格子部屈折率差を表す。
±m次回折光の回折効率(光強度効率)ηm(垂直入射)は、
ηm=4(sin(mπq)/mπ)2sin2δ ・・・・・(2)
となる。ここでqは矩形格子のデューティを表す。
非特許文献1にも示されているが、Q>2の領域の格子は体積格子の特性を示し、特定の入射角度に対して高い回折効率を示す。一方、Q<2である格子については入射角によらずほぼ一定の回折効率を示す。以上のことから、本発明の傾斜格子を適用することにより高回折効率化の効果が得られる領域は、回折格子のQ値がQ>2であるような領域の格子である。すなわち、Q>2とすることにより、体積ホログラムの特性が現れ、特定の角度で高い回折効率が得られるので高速再生に適している。
同図において符号0はガラス基板、2oは延伸膜基材をそれぞれ示す。
従来技術の項で説明したように、偏光性回折格子を構成する材料として、複屈折性を有する有機延伸膜が適している。有機延伸膜の具体例としては、ポリイミドや、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の高分子フィルムを、延伸により分子鎖を一軸方向に配向させ、面内複屈折を発生させる。
同図(a)で延伸膜基材2oとして例えばポリアミド酸膜をガラス基板0上に形成し、
同図(b)で剥離後、
同図(c)で加熱延伸を行って有機延伸膜2(この場合はポリイミド複屈折膜)を得る。
延伸の時の温度や加える力により複屈折率差Δnは変えることができ、安価で量産可能な方法である。
以下、有機延伸膜を本発明に用いた場合の偏光性回折格子の作製工程を説明する。
同図において符号1’はカバーガラス、4、4’はレジスト、5はイオンビーム、6は電極、7は等方性物質をそれぞれ示す。
基板1に第1の媒質2として有機延伸膜を載せる(a)。さらにレジスト4を重ねる(b)。ブロックAの格子凹部に相当するマスクを重ねて露光し、格子凹部のみレジスト4を残す(c)。イオンビーム用レジストを一様に重ねる(d)。エッチング等によりレジスト4を除去する(e)。電極6の上で基板1自体をブロックAに必要な所定の角度傾けて、イオンビーム5を照射する(f)。所定の深さの凹部が得られたら、(b)の工程に戻って以下順次ブロックB、ブロックCの凹部を形成する(g)。
残っているレジストを除去する(h)。少なくとも凹部には等方性媒質7を充填し、カバーガラス1’を重ねて完成となる(i)。
このようにして、ブロックごとに異なる傾斜角を有する偏光性回折格子が形成される。
複屈折性材料として有機延伸膜を使うことにより大面積に加工でき、コストダウンを図れる。また基板の屈折率を任意に選べるのでコストダウンもしやすい。
同図において符号8は液晶を示す。
複屈折性を有する材料として、有機延伸膜の代わりに液晶を用いることができる。
基本的には図7に示した作製工程と同様であるが、図7(a)において、基板1の上に有機延伸膜2の代わりに等方性物質7を載せて以後の工程に進む。図7(i)において、格子溝を充填する媒質として、等方性物質7の代わりに液晶8を用いることによって図8に示す偏光性回折格子が得られる。
同図において符号9は透明電極を示す。
液晶を用いると、図7とは全く異なる作製工程で偏光性回折格子を作ることができる。
基板1、および基板1’に予め所望の回折格子に対応する間隔の帯状の透明電極9を、外部から電圧印加可能な状態に形成しておく。両基板1、1’の間に液晶8を封入して後、外部からしかるべき電圧を印加する。電圧印加部分8aの液晶の配向方向が所望の一定方向になった状態で液晶を硬化させる。例えば、紫外線照射で硬化する樹脂を配合しておくと良い。
基板に形成しておく透明電極9を上下で所定量ずらしておくと、電圧印加時に斜め方向に格子が形成される。このずれ量を領域ごとに少しずつずらせば斜めの傾き角度が領域ごとに異なることになり、図8に示した偏光性回折格子とほぼ同等な偏光性回折格子を得ることができる。
複屈折性材料として液晶を使うことにより大面積に加工でき、電圧印加と紫外線露光だけで格子を形成できるので、高価なエッチング装置を必要とせずコストダウンを図れる。
同図において符号10は光源、11は受光素子、12は偏光性回折格子、13はコリメートレンズ、14は1/4波長板、15は対物レンズ、16は光記録媒体、Lは光束をそれぞれ示す。
光源10から出た特定の方向に偏光した発散光束Lは、偏光性回折格子12によっても変化を受けず、コリメートレンズ13に入射する。光束Lは平行光に変換され、1/4波長板14に入射して位相の変調を受け対物レンズ15に入射する。ここで光束Lは収束光となり、光記録媒体16に入射し、反射される。光記録媒体16に記録された情報により変調を受けた反射光は、再度対物レンズ15に入射後、もとの平行光束に変換され、1/4波長板14に再入射する。結果的に光束Lは、1/2波長の位相変換を受け、もとの光束に対し偏光面が90°変化する。この平行光束はコリメートレンズ13に再度入射して、収束光となって偏光性回折格子12に入射する。光束Lは偏光面が90°変わっているため、偏光性回折格子12によってそのほとんどが1次回折光となり、受光素子11に入射する。なお、同図において、紙面に垂直方向がトラック方向である。
1.回折効率が高いので、高速記録再生に対応できる。
2.回折効率が最大になる入射角で光が入射するようになっているので入射角度による回折効率アンバランスが生じず、正確なトラッキング信号検出ができる。
3.周辺部の光も回折効率が高いのでプッシュプル信号の低下が小さい。
4.周辺部の光も回折効率を高めているので、光軸ずれ等により回折格子に入射する光の角度が変わってもオフセットはほとんど生じない。
5.高回折効率なので高速記録再生が可能である。
同図において符号17はグレーティング、18は光学的に透明な等方性媒質、20は投受光素子、30は光学素子ユニットを示す。
本実施形態は、図10に長円形Dで示した部分、すなわち、光源10と受光素子11が一体となった投受光素子20に偏光性回折格子12を一体化した構成の光学素子ユニット30である。グレーティング17は、光源からの光束を0次光、±1次光の3本の光束に分離し、トラッキング等に利用するために挿入してある。戻り光が偏光性回折格子12で1次回折した光束が受光素子11に入射する過程でグレーティング17に入射しないように構成してある。
本実施形態の光学素子ユニット30は、経時変化の少ない、安定した信号検出ができる。
同図において符号40は光ピックアップ装置、50は光ディスクドライブ装置、60はパソコンをそれぞれ示す。
光ディスクドライブ装置50はパソコン60からの指示およびデータによって、指定の読み書きを行う。読み書きにあたっては、光学素子ユニット30を含む光ピックアップ装置40が動作する。
さらに入射角度により回折効率の低下が抑えられているので、プッシュプル信号の低下も小さい。したがって光ディスクドライブ装置の記録再生速度の高速化と安定したサーボ制御を達成することができる。
2 第1の媒質
3 第2の媒質
4 レジスト
5 イオンビーム
6 電極
7 等方性物質
8 液晶
9 電極
20 投受光素子
30 光学素子ユニット
40 光ピックアップ装置
50 光ディスクドライブ装置
Claims (17)
- 光学的に透明、且つ、互いに平行に配された2枚の基板と、両基板の間に挟まれ、少なくとも一方が複屈折性を示し、互いに光学的特性の異なる2つの媒質が境界面をもって交互に周期的に配列された構造を有し、前記境界面が前記2枚の基板の平行面に対し傾斜する偏光性回折格子において、該回折格子が複数の領域に分割され、各々の領域において前記境界面の傾斜する角度が異なることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項1に記載の偏光性回折格子において、前記光学的特性の異なる2つの媒質のうち一方の媒質のみが複屈折性を示す媒質であり、他方の媒質は光学的等方性を示す媒質であることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項2に記載の偏光性回折格子において、前記複屈折性を示す媒質の面内の直交する2方向の異なる屈折率のうち一方の屈折率と前記光学的等方性を示す媒質の屈折率とが略等しいことを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、該回折格子は奇数の領域に分割されており、中央の領域の前記境界面の傾斜角は、使用すべき光の波長に関し、前記基板の面に垂直に入射する光線の1次回折光の回折効率が最大になる角度θBに設定されていることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項4に記載の偏光性回折格子において、前記奇数の領域のうち最外側の領域の前記境界面の傾斜角は、前記回折格子に入射させるべき収束性の光束のうち1次回折光の回折効率を最大にしたい光線の相対入射角度が前記θBになるように設定されていることを特徴とする偏光性回折格子。
- 光学的に透明、且つ、互いに平行に配された2枚の基板と、両基板の間に挟まれ、少なくとも一方が複屈折性を示し、互いに光学的特性の異なる2つの媒質が境界面をもって交互に周期的に配列された構造を有し、前記境界面が前記2枚の基板の平行面に対し傾斜する偏光性回折格子において、該回折格子が複数の領域に分割され、各々の領域において前記回折格子の深さが異なることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項6に記載の偏光性回折格子において、前記光学的特性の異なる2つの媒質のうち一方の媒質のみが複屈折性を示す媒質であり、他方の媒質は光学的等方性を示す媒質であることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項7に記載の偏光性回折格子において、前記複屈折性を示す媒質の面内の直交する2方向の異なる屈折率のうち一方の屈折率と前記光学的等方性を示す媒質の屈折率とが略等しいことを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項6ないし8のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、該回折格子は奇数の領域に分割されており、中央の領域の前記回折格子の深さは、使用すべき光の波長に関し、前記基板の面に垂直に入射する光線の出射角θなる1次回折光の回折効率が最大になる深さに設定されていることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項9に記載の偏光性回折格子において、前記奇数の領域のうち最外側の領域の前記回折格子の深さは、前記回折格子に入射させるべき収束性の光束のうち1次回折光の回折効率を最大にしたい光線の入射角に対する相対出射角度が前記θになるように設定されていることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項1ないし10のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、該回折格子を使用すべき所望の光の空気中における波長をλ、格子深さをT、回折格子媒質の屈折率をn、格子ピッチをdとしたとき、Q=2πλT/nd2で定義される回折格子のQ値が、Q>2となるよう構成したことを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項1ないし11のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、前記複屈折性を示す媒質は有機延伸膜であることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項1ないし11のいずれか1つに記載の偏光性回折格子において、前記複屈折性を示す媒質は液晶であることを特徴とする偏光性回折格子。
- 請求項1ないし13のいずれか1つに記載の偏光性回折格子を、レーザ光源と受光素子を一体化した投受光素子の光入出射面に一体化してユニットを構成してなることを特徴とする光学素子ユニット。
- 請求項1ないし13のいずれか1つに記載の偏光性回折格子と、光源と、対物レンズと、受光素子とを有する記録媒体記録再生のための光ピックアップ装置であって、前記光源からの光束の光路中に前記偏光性回折格子を配置し、前記記録媒体からの反射光を前記偏光性回折格子により分岐し、前記受光素子で受光することを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項15に記載の光ピックアップ装置を搭載したことを特徴とする光ディスクドライブ装置。
- 請求項1に記載の偏光性回折格子を作製する方法であって、光学的に透明な第1の基板の片面に、外部から電圧印加可能な状態に帯状の透明電極を所定の等間隔に形成し、同じく透明な第2の基板の片面に、外部から電圧印加可能な状態に帯状の透明電極を複数の領域に分けて形成し、各領域内では前記透明電極を前記所定の等間隔に形成し、領域間では前記所定の等間隔とは異なる間隔で配置し、前記両基板の前記透明電極を形成した面を、前記帯状電極が配列方向に所定量ずれて向き合うように対向させ、その間に光硬化型液晶を封入し、前記両基板の前記透明電極間に電圧を印加しながら光照射を行うことによって、前記液晶の電圧印加による配向状態のまま前記液晶を固化させることを特徴とする偏光性回折格子の作製方法。
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