JP2005054704A - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自己の気密性に関する故障診断を任意時期に高精度に行う機能を発揮し、蒸発燃料が外部へ漏れることを最小限に抑えること。
【解決手段】蒸発燃料処理装置は、エンジン1の燃料タンク4で発生するベーパを一時的に捕集するためのキャニスタ8と、キャニスタ8の内部圧力を変更するためのポンプモジュール15とを備える。ポンプモジュール15は、キャニスタ8を含むベーパ処理流路における気密性に関する故障を診断するために作動し、その処理流路の内部圧力を変更する。燃料タンク4の内側には、インナーケース18が固定される。キャニスタ8及びポンプモジュール15は、このインナーケース18の中に収容されることにより、燃料タンク4の中に配置される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、エンジンの燃料タンクで発生する蒸発燃料を一時的に捕集し、その捕集された蒸発燃料をエンジンの吸気通路へパージして処理するために使用される蒸発燃料処理装置に関する。
従来より、車両に搭載される装置の一つとして、燃料タンクで発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気へ放出させずに処理する蒸発燃料処理装置が知られている。この装置は、ベーパを捕集するキャニスタを備え、そのキャニスタ内部に収容された吸着剤にベーパを一時的に吸着させる。そして、エンジンの運転時には、吸気通路で発生する吸気負圧を利用して、キャニスタに捕集されたベーパをパージ通路を通じて吸気通路へパージし、エンジンでの燃焼に供することにより処理するようになっている。
この種の蒸発燃料処理装置の一例が、特許文献1に記載されている。この装置は、燃料タンク内で発生したベーパを一時的に蓄えるためのキャニスタと、燃料タンクの内圧が所定値以上になると、ベーパをキャニスタに供給するように制御する制御弁とを備え、これらキャニスタ及び制御弁が燃料タンクの中に配置される。このようにしてキャニスタと制御弁との接続経路を燃料タンクの中で完結させている。従って、万が一、キャニスタと制御弁との接続経路等からベーパが漏れても、ベーパが燃料タンクの中に封じ込められるので、ベーパが外部へ漏れるおそれがない。
ここで、一般には、キャニスタを燃料タンクの外に設けた蒸発燃料処理装置が広く知られている。この装置において、万が一、何らかの原因で燃料タンクから吸気通路までの流路途中に孔があいたり、配管接合部にシール不良が生じたりした場合には、その孔などからベーパが外部へ漏れるおそれがあり、ベーパを適正に処理できなくなる。従って、このような気密性に関する故障を早期に発見するための故障診断を行う必要がある。
この種の故障診断に関する技術は、既に幾つか提案されているが、下記の特許文献2には、故障診断装置の一例が開示されている。この装置は、蒸発燃料処理装置の漏れ検査を行う装置として、ポンプによりキャニスタ内に空気を送出することにより、燃料タンクから吸気通路に至るまでの流路を加圧する。加圧された流路の圧力が所定値よりも低いときに、この処理装置に漏れ故障が起きていると診断する。この故障診断装置は、キャニスタとは別に、キャニスタ内を加圧するためのポンプモジュールを備える。この故障診断装置によれば、ポンプモジュールを使用することで、任意時期に高精度に故障診断を行うことが可能である。
特開2001−152978号公報(第2〜9頁,図1〜6) 特開2003−155958号公報(第2〜7頁,図1〜5)
ところが、特許文献1に記載の蒸発燃料処理装置のようにキャニスタ等を燃料タンクの中に設けるタイプの装置においても、キャニスタ等の気密性に関する故障診断を行うことが、法規上要求される場合がある。しかしながら、特許文献1には、この種の故障診断に関する技術について何も記載されておらず、示唆もされていない。
そこで、特許文献1に記載の蒸発燃料処理装置においても、特許文献2に記載されるように、任意時期に高精度に故障診断を行えるようにすることが望ましいが、現状では、具体的な構成について何も提案されていない。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、自己の気密性に関する故障診断を任意時期に高精度に行う機能を発揮し、蒸発燃料が外部へ漏れることを最小限に抑えることを可能とした蒸発燃料処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンの燃料タンクで発生する蒸発燃料を一時的に捕集するためのキャニスタを備えた蒸発燃料処理装置であって、キャニスタの内部圧力を変更するための圧力変更手段を備え、キャニスタ及び圧力変更手段が燃料タンクの中に配置されることを趣旨とする。
上記発明の構成において、キャニスタは、一般に、燃料タンクの内部に連通可能とされ、エンジンの吸気通路に対し配管により連通可能とされて使用される。これにより、燃料タンクからキャニスタを経由して吸気通路に至る蒸発燃料の処理流路が構成される。従って、この処理流路を、キャニスタを中心とする所定の範囲で封鎖した上で、圧力変更手段を作動させることにより、キャニスタの内部圧力と共に処理流路の内部圧力が変更される。ここで、キャニスタを含む処理流路の内部圧力を、一旦、所定値に変更してからその内部圧力の挙動を圧力センサにより監視することで、キャニスタを含む処理流路の気密性に関する故障診断を行うことが可能となる。また、キャニスタ及び圧力変更手段が燃料タンクの中に配置されることから、キャニスタとそれに関連する流路が燃料タンクの中で完結することになる。従って、万が一、キャニスタやその関連流路等から蒸発燃料が漏れても、蒸発燃料が燃料タンクの中に封じ込められるので、蒸発燃料が外部へ漏れるおそれがない。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、燃料タンクの内側にインナーケースが設けられ、キャニスタ及び圧力変更手段は、インナーケースの中に収容されることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、燃料タンクの中でキャニスタ及び圧力変更手段がインナーケースの中に収容されることから、キャニスタ及び圧力変更手段がインナーケースにより燃料から遮断される。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、圧力変更手段は、ポンプモジュールであり、ポンプモジュールは、ポンプと、ポンプの大気導入側に設けられる逆止弁と、ポンプの大気導出側に設けられる電磁弁とを含むことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、圧力変更手段の構成が特定され、請求項1又は2に記載の発明と同様の作用が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、自己の気密性に関する故障診断を任意時期に高精度に行う機能を発揮することができ、蒸発燃料が外部へ漏れることを最小限に抑えることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、キャニスタ及び圧力変更手段を燃料濡れから保護することができ、キャニスタ及び圧力変更手段の正常機能を確保することができる。
請求項3に記載の発明によれば、圧力変更手段の構成がポンプモジュールに特定され、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られる。
以下、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1に、自動車に搭載された蒸発燃料処理装置と、その故障診断装置を概略構成図に示す。自動車に搭載されたエンジン1は、外気を吸入するための吸気通路2と、排気ガスを排出するための排気通路3とを備える。エンジン1の燃焼室(図示略)には、燃料タンク4に貯留された燃料が、燃焼のために燃料ポンプ5等よりなる所定の燃料供給装置により供給される。
吸気通路2には、吸気量を調節するために開閉されるスロットルバルブ6が設けられる。スロットルバルブ6には、その開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ21が設けられる。吸気通路2には、吸気圧PMを検出するための吸気圧センサ22が設けられる。エンジン1には、その回転速度(エンジン回転速度)NEを検出するための回転速度センサ23が設けられる。これらスロットルセンサ21、吸気圧センサ22及び回転速度センサ23は、エンジン1及び自動車の運転状態を検出するための運転状態検出手段に相当する。
自動車には、蒸発燃料処理装置が搭載される。この装置は、燃料タンク4で発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気中へ放出させることなく捕集して処理するためのものである。この装置は、燃料タンク4で発生するベーパを、ベーパライン7を通じて捕集する本発明のキャニスタ8を備える。ベーパライン7には、同ライン7におけるベーパの流れを制御するためのベーパ制御弁9が設けられる。ベーパ制御弁9は、電磁弁より構成される。キャニスタ8には、その内部圧力(流路圧)PCを検出するための流路圧センサ24が設けられる。燃料タンク4には、燃料タンク4の中の圧力(タンク内圧)PTを検出するためのタンク内圧センサ25が設けられる。
キャニスタ8は、ベーパを吸着するための吸着剤10をケーシング11に内蔵して構成される。吸着材10は活性炭より構成される。キャニスタ8から延びる大気パイプ12の先端は、燃料タンク4の給油口4aの近傍において大気に連通する。キャニスタ8から延びるパージライン13は、スロットルバルブ6より下流の吸気通路2に連通する。パージライン13には、同ライン13におけるベーパのパージ流量を制御するためのパージ制御弁14が設けられる。パージ制御弁14は、電磁弁より構成される。
キャニスタ8を構成するケーシング11のほぼ中央部には、この蒸発燃料処理装置のための故障診断機能部品であり、本発明の圧力変更手段を構成するポンプモジュール15が一体的に組み付けられる。ポンプモジュール15は、燃料タンク4内及びケーシング11から気体を吸引することにより、燃料タンク4から吸気通路2までのベーパライン7、キャニスタ8及びパージライン13を含む処理流路内を減圧するものである。そして、減圧された処理流路内の圧力が所定値よりも高いときに、蒸発燃料処理装置にその気密性に関する故障が起きているものとする診断を行うようになっている。
ベーパライン7の先端部には、差圧弁16及びフロート弁17が設けられる。差圧弁16は、燃料タンク4の中の圧力と給油口4aの付近における圧力との圧力差に応じて開閉する。フロート弁17は、燃料タンク4の中の燃料液面が所定値以上に上昇したときに閉じる。
燃料タンク4の内側には、インナーケース18が固定される。キャニスタ8は、このインナーケース18の中に収容される。燃料タンク4は、タンク本体19aと、そのタンク本体19aの上側開口部19bを閉鎖する蓋体19cとから構成される。蓋体19cは、タンク本体19aに対し、締め付けにより着脱可能に構成される。インナーケース18は、蓋体19cの内側に一体的に設けられる。キャニスタ8は、インナーケース18に収容された状態で、蓋体19cの内側にブラケット20及びボルト20a等を介して固定される。インナーケース18の上部には、同ケース18の内部にタンク内圧を導入するための導入パイプ18aが設けられる。導入パイプ18aに燃料が入るのを防ぐために、このパイプ18aは先端部が上方へ曲げられ、その開口部に隙間を確保した状態でキャップ18bが装着される。
図2に、図1における燃料タンク4の中のキャニスタ8等の構成を等価構成図により示す。図2に示すように、ポンプモジュール15は、エアポンプ31と、そのエアポンプ31の大気導入側に設けられる逆止弁32及びエアフィルタ33と、エアポンプ31の大気導出側に設けられる切替弁34、オリフィス35及びトラップキャニスタ36とを含む。エアフィルタ33は、エアポンプ31に導入される大気を清浄化するものである。逆止弁32は、エアポンプ31から大気へ向かう気体の流れを阻止する。エアポンプ31は、吸引力を発生させることにより、燃料タンク4及びケーシング11に対して負圧を発生させるものである。切替弁34とオリフィス35は、エアポンプ31とトラップキャニスタ36との間にて互いに並列に接続される。切替弁34は、本発明の電磁弁に相当する。切替弁34は、エアポンプ31による発生負圧を遮断及び導通させるために開閉切り替えされるものである。オリフィス35は、漏れの限界となる基準孔径を持つものである。トラップキャニスタ36は、万が一、ケーシング11からベーパが漏れ出たときにそれを捕集するためのものである。
図1に示すように、この実施形態で、蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を制御するために、電子制御装置(ECU)30が設けられる。ECU30には、上記した各種センサ21〜25が接続される。同じく、ECU30には、ベーパ制御弁9、パージ制御弁14、エアポンプ31及び切替弁34がそれぞれ接続される。ECU30は、エンジン1の運転状態に応じて蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を制御するために、各種センサ21〜25からの検出信号に基づき各弁9,14,34及びエアポンプ31を制御する。
ECU30は、周知のように中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ROMには、各種制御プログラム及び所定のデータが予め記憶される。RAMには、CPUの演算結果が一時記憶される。バックアップRAMには、予め記憶したデータが保存される。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ21〜25の検出信号に基づき、蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置に関する各種制御を実行する。
次に、キャニスタ8及びポンプモジュール15の構成を図3〜6を参照して詳しく説明する。図3にキャニスタ8の正断面図を示す。図4に図3のA−A線に沿った断面図を示す。この断面図は、図1に示すキャニスタ8の断面図に整合する。図5にキャニスタ8の平面図を示す。図6に図4の主要部を拡大断面図に示す。
図3に示すように、ケーシング11は、全体が略U形の筒状体をなし、そのほぼ中央部にはU形の谷部11aが形成される。ケーシング11は、その下部が底板41により閉鎖される。ケーシング11の内部は、谷部11aの中央部に対応して配置された仕切板42により第1室43と第2室44とに区画される。
略U形の筒状体の一端部、即ち、第1室43の上部に対応する第1端部45から、第1室43にベーパが導入されると共にベーパが導出される。この第1端部45には、ベーパライン7を介して燃料タンク4に接続され、タンクポート46aを含むベーパライン継手46と、パージライン13に接続され、パージポート47aを含むパージライン継手47が設けられる。第1端部45には、インナースリーブ48が形成される。インナースリーブ48の中には、パージポート47aに対応してパージバッファキャニスタ49が設けられる。このキャニスタ49は、インナーケース50と、インナーケース50の中にて上下一対の多孔板51,52に挟まれて収容される吸着剤10とを含む。インナースリーブ48の下端開口には、多孔板53が取り付けられる。第1室43の下部には、底板41に対してスプリング54により支持される多孔板55が設けられる。この多孔板55の下は、第1空気層56となっている。第1室43には、上側の多孔板53と下側の多孔板55とで挟まれて吸着剤10が収容される。
略U形の筒状体の他端部、即ち、第2室44の上部に対応する第2端部57が大気に連通可能に設けられる。この第2端部57には、大気ポート58aを含むパイプ継手58が設けられる。第2室44の上部には、大気ポート58aに対応して大気バッファキャニスタ59が設けられる。このキャニスタ59は、上側の多孔板60と下側の多孔ブロック61とに挟まれて収容される吸着剤10とを含む。第2室44の下部には、底板41に対してスプリング54により支持される多孔板62が設けられる。この多孔板62の下は、第2空気層63となっている。第2空気層63と第1空気層56とは互いに連通する。第2室44には、上側の多孔ブロック61と下側の多孔板63とで挟まれて吸着剤10が収容される。
ケーシング11の谷部11aには、ポンプモジュール15が組み付けられる。図3に示すように、ポンプモジュール15は、前述したトラップキャニスタ36、切替弁34及びエアポンプ36等がケース71に収容されて構成される。谷部11aの底には、差込孔11bが形成される。ポンプモジュール15のケース71の下端には、係合部71aが設けられる。トラップキャニスタ36の上部には、大気導出ポート72aを含むダクト72が形成される。このダクト72は、横方向へ伸びてパイプ継手58に接続される。
ここで、ポンプモジュール15をケーシング11に組み付けるには、ケーシング11の谷部11aに対し、ポンプモジュール15を垂直に降下させる。そして、ポンプモジュール15の係合部71aを谷部11aの差込孔11bに差し込んで係合させる。これと同時に、ダクト72をパイプ継手58に接続する。これにより、ポンプモジュール15がケーシング11に組み付けられる。
図4,6に示すように、エアポンプ31は、DCモータ73と、そのモータ73により回転されるベーン74とを含む。エアポンプ31の大気導入側には、逆止弁32が設けられる。逆止弁32の上流側には、ウレタン製のエアフィルタ33が設けられる。エアフィルタ33は、ケース71の長手方向に沿って設けられる。エアフィルタ33の上流側には、大気パイプ12に接続される大気導入ポート75aを含む大気パイプ継手75が設けられる。
切替弁34は、ソレノイド76と、ソレノイド76により駆動される弁ロッド77と、弁ロッド77の先端に固定される弁体78と、弁体78に整合する弁座79a,79bと、弁体78を一方向へ付勢するスプリング80とを備える。切替弁34を構成するケース71の一部には、オリフィス35が設けられる。
トラップキャニスタ36は、ケース71の内部にて、一対の多孔板81,82に挟まれて収容される吸着剤10により構成される。一方の多孔板81の上側は、大気導出ポート72aに連通する空気層83が設けられる。
次に、キャニスタ8におけるベーパ等の流れを図7〜12に従って説明する。
給油時には、ベーパ制御弁9が開けられることにより、燃料タンク4で発生するベーパが、図7に破線の矢印で示すように、タンクポート46a、多孔板53、第1室43の吸着剤10、多孔板55、第1空気層56、第2空気層63、多孔板62、第2室44の吸着剤10、大気バッファキャニスタ59、大気ポート58a、ダクト72及び大気導出ポート72aの順に流れる。このとき、ベーパ中の燃料成分は、吸着剤10に吸着されることから、大気導出ポート72aからポンプモジュール15に導入される気体は、燃料成分をほとんど含まない気体のみとなる。従って、ポンプモジュール15に導入された気体は、図8に実線の矢印で示すように、その中のトラップキャニスタ36、切替弁34、エアフィルタ33及び大気導入ポート75aを経由し、大気パイプ12を通じて大気中へ放出される。
一方、自動車の走行時には、パージ制御弁14が開けられることにより、吸気通路2で発生する負圧が、パージライン13を通じて、キャニスタ8のパージポート47aに作用する。従って、この負圧により、大気が、図8に実線で示す矢印と逆方向に、ポンプモジュール15を流れ、更に図7に実線の矢印で示すように、大気バッファキャニスタ59、第2室44の吸着剤10、多孔板62、第2空気層63、第1空気層56、多孔板55、第1室43の吸着剤10、多孔板53、パージバッファキャニスタ49及びパージポート47aの順に流れてパージライン13へ導出される。このとき、第2室44及び第1室43等の吸着剤10に吸着されていたベーパ(燃料成分)が大気の流れに引かれてパージライン13へ導出され、吸気通路2へパージされる。
故障診断の参照データを得るときは、ベーパ制御弁9が開けられ、パージ制御弁14が閉められる。また、エアポンプ31を駆動させて負圧を発生させる。これにより、燃料タンク4で発生するベーパが、図9に実線の矢印で示すように、タンクポート46a、多孔板53、第1室43の吸着剤10、多孔板55、第1空気層56、第2空気層63、多孔板62、第2室44の吸着剤10、大気バッファキャニスタ59、大気ポート58a、ダクト72及び大気導出ポート72aの順に流れる。このとき、ベーパ中の燃料成分は、吸着剤10に吸着されることから、大気導出ポート72aからポンプモジュール15に導入される気体は、燃料成分をほとんど含まない気体のみとなる。また、ポンプモジュール15に導入された気体は、図10に実線の矢印で示すように、その中のトラップキャニスタ36、切替弁34、オリフィス35、エアポンプ31、逆止弁32、エアフィルタ33及び大気導入ポート75aを経由し、大気パイプ12を通じて大気中へ放出される。このとき、大気導入ポート75aから導入される大気は、エアフィルタ33を通り、切替弁34にてトラップキャニスタ36から流れる気体に合流して流れる。
故障診断時には、ベーパ制御弁9が閉められ、パージ制御弁14が閉められる。また、切替弁34を駆動させてオリフィス35を通らない流路に切り替える。更に、エアポンプ31を駆動させて負圧を発生させる。これにより、ベーパ制御弁9からキャニスタ8までのベーパライン7と、キャニスタ8のケーシング11と、キャニスタ8からパージ制御弁14までのパージライン13とを含む処理流路内を密閉し、この状態で密閉処理流路内にエアポンプ31により発生させた負圧が作用する。このとき、密閉処理流路内の気体は、図11に実線の矢印で示すように、タンクポート46aから多孔板53、パージポート47aから多孔板53、第1室43の吸着剤10、多孔板55、第1空気層56、第2空気層63、多孔板62、第2室44の吸着剤10、大気バッファキャニスタ59、大気ポート58a、ダクト72及び大気導出ポート72aの順に流れる。また、ポンプモジュール15に導入された気体は、図12に実線の矢印で示すように、その中のトラップキャニスタ36、切替弁34、エアポンプ31、逆止弁32、エアフィルタ33及び大気導入ポート75aを経由し、大気パイプ12を通じて大気中へ放出される。このようにして上記した密閉処理流路内を負圧により減圧させる。そして、このときの密閉処理流路内の圧力挙動を監視することにより、処理流路内の気密性の診断を行うことができる。
以上説明したこの実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、キャニスタ8は、燃料タンク4の内部に対してベーパライン7を介して連通可能に設けられる。同じく、キャニスタ8は、吸気通路2に対してパージライン13を介して連通可能に設けられる。これにより、燃料タンク4からキャニスタ8を経由して吸気通路2に至るベーパの処理流路が構成される。従って、この処理流路を、キャニスタ8を中心とするベーパ制御弁9からパージ制御弁14までの範囲にて、それら制御弁9,14を閉じることにより封鎖する。その上で、ポンプモジュール15を作動させることにより、キャニスタ8の内部圧力と共に上記処理流路の内部圧力が変更される。即ち、ポンプモジュール15によりキャニスタ8の内部を減圧することにより、その内部に負圧が導入される。ここで、キャニスタ8を含む処理流路の内部圧力(流路圧PC)を、一旦所定値に変更して、それらの内部圧力の挙動を流路圧センサ24の検出値により監視することに、キャニスタを含む処理流路の気密性に関する故障を診断することが可能となる。このため、蒸発燃料処理装置それ自体が、自己の気密性に関する故障診断を任意時期に高精度に行う機能を発揮することができる。
また、この実施形態の蒸発燃料処理装置では、ポンプモジュール15がキャニスタ8と一体となって燃料タンク4の中に配置されるので、キャニスタ8とそれに関連する処理流路の一部が燃料タンク4の中で完結することになる。従って、万が一、キャニスタ8やそれに関連する処理流路等からベーパが漏れても、ベーパが燃料タンク4の中に封じ込められるので、ベーパが外部へ漏れることがない。このため、ベーパが外部(大気)へ漏れることを最小限に抑えることができる。
この実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、燃料タンク4の中でポンプモジュール15と一体的なキャニスタ8がインナーケース18の中に収容される。従って、キャニスタ8及びポンプモジュール15がインナーケース18により燃料から遮断される。このため、キャニスタ8及びポンプモジュール15を燃料濡れから保護することができ、キャニスタ8及びポンプモジュール15の正常機能を確保することができる。
この実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、ポンプモジュール15がキャニスタ8のケーシング11のほぼ中央部における谷部11aに一体的に組み付けられるので、ケーシング11におけるポンプモジュール15の張り出しがなくなる。このため、ポンプモジュール15を一体的に設けてなるキャニスタ8として全体をコンパクトなものにすることができる。このため、インナーケース18の中におけるキャニスタ8のスペース効率を向上させることができる。延いては、インナーケース18をコンパクトなものにすることができ、燃料タンク4の中におけるインナーケース18のスペース効率を向上させることができる。
また、ポンプモジュール15をケーシング11に取り付けるために、ブラケット等の特別な取付部品を使う必要がなく、取り付けのための付属部品数を削減することができる。更に、キャニスタ8の全体重心がそのキャニスタ8のほぼ中央部に位置するので、自動車走行時に燃料タンク4に振動が加わるときでも、キャニスタ8とポンプモジュール15とが一体的な振動挙動を示すことになる。このため、ポンプモジュール15について振動の悪影響を受け難くすることができる。具体的には、キャニスタ8のケーシング11とポンプモジュール15との連結部分に無理な荷重が作用して折損などが起こることを防止することができる。
この実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、キャニスタ8のケーシング11が略U形の筒状体をなすことから、その一端部から他端部までの間でベーパの流路が比較的長くなる。このため、第1室43に収容された吸着剤10と、第2室44に収容された吸着剤10を含めて、ベーパが通過すべき吸着剤10の中の距離が長くなり、ベーパを吸着剤10により確実に吸着させて捕集することができる。また、ポンプモジュール15は、ケーシング11の谷部11aに差し込まれて外付けされる。このため、ポンプモジュール15と、それ以外のキャニスタ8の構成を別途に製造した後、両者を組み付けるだけでよいので、ポンプモジュールをケーシングに内蔵するタイプのキャニスタに比べて、ポンプモジュール15を含むキャニスタ8の製造を容易なものにすることができる。
この実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、ポンプモジュール15のエアポンプ31により負圧を発生させることにより、ケーシング11の内部圧力が減圧される。また、逆止弁32により、エアポンプ31から大気へのベーパの逆流が止められる。更に、切替弁34より、ケーシング11に対する大気の導入が調整される。このように、ポンプモジュール15により、負圧発生と大気流れ調整機能を確保することができる。
この実施形態のポンプモジュール15によれば、トラップキャニスタ36がケーシング11とエアポンプ31との間に配置されるので、万が一、ケーシング11からベーパが排出されても、そのベーパをトラップキャニスタ36により捕集することができ、ベーパがエアポンプ31へ流れることを防止することができる。
この実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、キャニスタ8の第1室43と第2室44とが仕切板42により区画されると共に、ケーシング11の谷部11aに位置するポンプモジュール15により分断される。これにより、第1室43の吸着剤10と第2室44の吸着剤10とが仕切板42及びポンプモジュール15により断熱することができる。このため、例えば、第1室43の吸着剤10の発熱が第2室44の吸着剤10に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
尚、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
(1)前記実施形態では、図2に示すように、導入パイプ18aの先端部を上方へ曲げ、その開口部にキャップ18bを装着した。これに対し、図13に示すように、導入パイプ18aの先端部を鉤状に屈曲させ、その先端部にカップ状の液溜槽18cを設けてもよい。この場合、導入パイプ18aに入ろうとする燃料が液溜槽18cに溜められるので、インナーケース18に対する燃料の侵入を防止することができる。或いは、図14に示すように、液溜槽18cに加えて、導入パイプ18aの開口部にフロート弁18dを設けてもよい。この場合、液溜槽18cの作用効果に加え、液溜槽18cの中の液位が上昇したときに、フロート弁18dにより導入パイプ18aの開口部を閉じることにより、インナーケース18に対する燃料の侵入を防止することができる。
(2)前記実施形態では、キャニスタ8のケーシング11の内部を仕切板42により第1室43と第2室44とに区画した。これに対し、図15に示すように、仕切板を省略して、第1室43と第2室44とを互いに直接連通させてもよい。この場合、底板41には、一つのスプリング65を介して一枚の多孔板66が支持される。底板41と多孔板66との間には、一続きの空気層67が設けられる。
(3)前記実施形態では、ポンプモジュール15を、キャニスタ8等のを含む処理流路内を減圧して負圧にするために使用したが、処理流路内を加圧して正圧にするために使用してもよい。
蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を示す概略構成図。 燃料タンク中のキャニスタ等を示す等価構成図。 キャニスタの正断面図。 図3のA−A線断面図。 キャニスタの平面図。 図4の主要部を示す拡大断面図。 ベーパ等の流れを示すキャニスタの正断面図。 ベーパ等の流れを示すキャニスタの側断面図。 ベーパ等の流れを示すキャニスタの正断面図。 ベーパ等の流れを示すキャニスタの側断面図。 ベーパ等の流れを示すキャニスタの正断面図。 ベーパ等の流れを示すキャニスタの側断面図。 別の実施形態に係り、燃料タンク中のキャニスタ等を示す等価構成図。 別の実施形態に係り、燃料タンク中のキャニスタ等を示す等価構成図。 別の実施形態に係るキャニスタの正断面図。
符号の説明
1 エンジン
4 燃料タンク
8 キャニスタ
15 ポンプモジュール(圧力変更手段)
18 インナーケース
31 エアポンプ
32 逆止弁
34 切替弁

Claims (3)

  1. エンジンの燃料タンクで発生する蒸発燃料を一時的に捕集するためのキャニスタを備えた蒸発燃料処理装置であって、
    前記キャニスタの内部圧力を変更するための圧力変更手段を備え、前記キャニスタ及び前記圧力変更手段が前記燃料タンクの中に配置されることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 前記燃料タンクの内側にインナーケースが設けられ、
    前記キャニスタ及び前記圧力変更手段は、前記インナーケースの中に収容される
    ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記圧力変更手段は、ポンプモジュールであり、
    前記ポンプモジュールは、ポンプと、前記ポンプの大気導入側に設けられる逆止弁と、前記ポンプの大気導出側に設けられる電磁弁とを含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸発燃料処理装置。
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