JP2005171947A - キャニスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】故障診断機能部品を一体に設けることでキャニスタ全体をコンパクトにし、故障診断機能部品周りから外部へのベーパの漏れを防止すること。
【解決手段】キャニスタ8は、燃料タンク4で発生するベーパを処理する蒸発燃料処理装置に含まれる。キャニスタ8は、ベーパを吸着する吸着剤10をケーシング11に内臓して構成される。故障診断機能部品としてのエアポンプ31、切替弁32及び圧力センサ27は、ケーシング11のほぼ中央に形成された収容凹部41に一体に組み付けられ、蓋15で塞がれる。収容凹部41は、隔壁11aで区画されて外部へ開口する。ケーシング11には、略U形の内部流路40が形成される。内部流路40の第1端部40aからベーパが導入され、導出される。内部流路40bの第2端部40bが大気に連通可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】キャニスタ8は、燃料タンク4で発生するベーパを処理する蒸発燃料処理装置に含まれる。キャニスタ8は、ベーパを吸着する吸着剤10をケーシング11に内臓して構成される。故障診断機能部品としてのエアポンプ31、切替弁32及び圧力センサ27は、ケーシング11のほぼ中央に形成された収容凹部41に一体に組み付けられ、蓋15で塞がれる。収容凹部41は、隔壁11aで区画されて外部へ開口する。ケーシング11には、略U形の内部流路40が形成される。内部流路40の第1端部40aからベーパが導入され、導出される。内部流路40bの第2端部40bが大気に連通可能である。
【選択図】 図1
Description
この発明は、燃料タンクで発生する蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置に使用され、前記蒸発燃料を吸着するための吸着剤をケーシングに内臓してなるキャニスタに関する。
従来、車両に搭載される装置の一つとして、燃料タンクで発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気へ放出させずに処理する蒸発燃料処理装置が知られている。この装置は、ベーパを捕集するキャニスタを備え、キャニスタ内部の吸着剤にベーパを一旦吸着させ、エンジンの運転時に吸気通路で発生する吸気負圧を利用して、キャニスタに捕集された燃料成分をパージ通路を通じて吸気通路へパージしてエンジンでの燃焼に供することにより処理するようになっている。
ところで、この種の処理装置において、万が一、何らかの原因で燃料タンクから吸気通路までの流路途中に孔があいたり、配管接合部にシール不良が生じたりした場合には、ベーパが外部へ漏れるおそれがり、ベーパを適正に処理することができなくなる。従って、このような漏れ故障を早期に発見するための診断を行う必要がある。
この種の故障診断に関する技術は、既に幾つか提案されているが、下記の特許文献1には、故障診断装置の一例が開示されている。
この診断装置は、蒸発燃料処理装置の漏れ検査を行う装置として、ポンプによりキャニスタ内に空気を送出することにより、燃料タンクから吸気通路に至るまでの流路を加圧する。加圧された流路の圧力が所定値よりも低いときに、この装置に漏れ故障が起きていることを診断する。この診断装置は、キャニスタとは別に設けられてキャニスタ内を加圧するポンプモジュールを備える。ポンプモジュールは、ポンプ、電磁弁及びフィルタを含み、それらの部品が一つのハウジングに収容される。
ここで、上記のように蒸発燃料処理装置に必要な故障診断機能を備えた部品として、ポンプモジュールを挙げることができる。ポンプモジュールは、キャニスタの近傍に配置されるのが一般的である。しかし、車載用の取り付けスペースは、一般に限られることから、具体的な構成としては、ポンプモジュールをキャニスタに一体的に取り付けて車両のフレームに固定するのが望ましい。例えば、下記の特許文献2には、キャニスタの上部に対し、第1及び第2の接続部品を介して弁を取り付ける構造が記載される。上記したキャニスタとポンプモジュールについても、特許文献2に記載されるような取付構造を採用することが考えられる。
ところが、特許文献1に記載の診断装置において、ポンプモジュールをキャニスタの上部に接続して取り付けた場合、ポンプモジュールがキャニスタから張り出すことになり、その分だけキャニスタに要する取り付けスペースが大きくなってしまう。また、キャニスタとポンプモジュールとの間を配管で接続しなければならないことから、ポンプモジュールそれ自体や、ポンプモジュールとキャニスタとの間の配管に、万が一、亀裂が生じた場合、その亀裂からベーパが大気へ漏れてしまうおそれがある。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、故障診断機能部品を一体に設けることで全体をコンパクトにし、故障診断機能部品周りから外部へのベーパの漏れを防止することを可能としたキャニスタを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、燃料タンクで発生する蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置に使用され、蒸発燃料を吸着するための吸着剤をケーシングに内臓してなるキャニスタであって、ケーシングは、隔壁で区画されて外部へ開口する収容凹部を含むことと、蒸発燃料処理装置のための故障診断機能部品が、収容凹部に組み付けられることと、故障診断機能部品が組み付けられた状態で収容凹部の開口部を塞ぐための蓋とを備えたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、故障診断機能部品がケーシングの収容凹部に一体に組み付けられるので、故障診断機能部品がケーシングから張り出さない。また、故障診断機能部品が組み付けられた状態で、収容凹部が蓋により塞がれるので、万が一、収容凹部の隔壁に亀裂が生じても、蒸発燃料は収容凹部の中で封じ込められて外部へ漏れることがない。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成において、故障診断機能部品は、ケーシングの内部圧力を変更するためのポンプと、ポンプの大気導出側に設けられる電磁弁とを含むことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、ポンプと電磁弁がケーシングの収容凹部に一体に組み付けられるので、それらの部品がケーシングから張り出さない。このポンプにより、キャニスタの内部圧力が変更され、電磁弁により、キャニスタに対する大気の導入が調整される。また、ポンプ及び電磁弁が組み付けられた状態で、収容凹部が蓋により塞がれるので、万が一、収容凹部の隔壁に亀裂が生じても、蒸発燃料は収容凹部の中で封じ込められて外部へ漏れることがない。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、ケーシングは、その内部に略U形の内部流路を含み、その内部流路が第1端部及び第2端部を含むことと、第1端部から蒸発燃料が導入されると共に蒸発燃料が導出され、第2端部が大気に連通可能に設けられることと、内部流路の屈曲部に対応するケーシングの底部に湾曲面が設けられることとを備えたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、ケーシングの内部流路が略U形をなすことから、その第1端部から第2端部までの間で蒸発燃料の流路が比較的長くなる。また、内部流路の屈曲部に対応するケーシングの底部に湾曲面が設けられることから、内部流路の屈曲部における蒸発燃料の流れが円滑になる。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、ポンプの大気導出側と第2端部とをケーシングの内部にて連結流路により連結したことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項3に記載の発明の作用に加え、ポンプの大気導出側と内部流路の第2端部とがケーシングの内部にて連結流路により連結されるので、ケーシングの外部における配管の張り出しがなくなる。また、連結流路を、ケーシングに一体的に設けることにより、別途の配管が省略される。
請求項1に記載の発明によれば、故障診断機能部品を一体に設けることでキャニスタ全体をコンパクトにすることができ、故障診断機能部品周りから外部へのベーパの漏れを防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、ポンプ及び電磁弁を一体に設けることでキャニスタ全体をコンパクトにすることができ、ポンプ及び電磁弁の周りから外部へのベーパの漏れを防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、ベーパの流路が比較的長くなりベーパを吸着剤に確実に吸着して捕集することができる。また、屈曲部の湾曲面によりベーパの流れを円滑にして、キャニスタによるベーパの処理効率を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、キャニスタの全体をコンパクトにすることができ、キャニスタの構成部品を削減することができる。
以下、本発明のキャニスタを含む蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を具体化した一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1に、自動車に搭載された蒸発燃料処理装置と、その故障診断装置を概略構成図に示す。自動車に搭載されたエンジン1は、外気を吸入するための吸気通路2と、排気ガスを排出するための排気通路3とを備える。エンジン1の燃焼室(図示略)には、燃料タンク4に貯留された燃料が、燃焼のために燃料ポンプ5等よりなる所定の燃料供給装置により供給される。
吸気通路2には、吸気量を調節するために開閉されるスロットルバルブ6が設けられる。スロットルバルブ6には、その開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ21が設けられる。吸気通路2には、吸気圧PMを検出するための吸気圧センサ22が設けられる。エンジン1には、その回転速度(エンジン回転速度)NEを検出するための回転速度センサ23が設けられる。この他、自動車には、その車速SPDを検出するための車速センサ24が設けられる。これらスロットルセンサ21、吸気圧センサ22、回転速度センサ23及び車速センサ24は、エンジン1及び自動車の運転状態を検出するための運転状態検出手段に相当する。
自動車には、蒸発燃料処理装置が搭載される。この装置は、燃料タンク4で発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気中へ放出させることなく捕集して処理するためのものである。この装置は、燃料タンク4で発生するベーパを、ベーパライン7を通じて捕集する本発明のキャニスタ8を備える。ベーパライン7には、同ライン7におけるベーパの流れを制御するためのベーパ制御弁9が設けられる。ベーパ制御弁9は、電磁弁より構成される。ベーパライン7には、同ライン7におけるベーパの圧力(ベーパ圧力)Pbを検出するためのベーパ圧センサ25が設けられる。この他、燃料タンク4には、燃料タンク4の雰囲気温度を検出するための温度センサ26が設けられる。
キャニスタ8は、ベーパを吸着するための吸着剤10をケーシング11に内蔵して構成される。吸着材10は活性炭より構成される。キャニスタ8から延びる大気パイプ12は、大気に連通する。キャニスタ8から延びるパージライン13は、スロットルバルブ6より下流の吸気通路2に連通する。パージライン13には、同ライン13におけるベーパのパージ流量を制御するためのパージ制御弁14が設けられる。パージ制御弁14は、電磁弁より構成される。
キャニスタ8を構成するケーシング11のほぼ中央部には、この蒸発燃料処理装置のための故障診断機能部品としてのエアポンプ31、切替弁32及び圧力センサ27が一体に組み付けられる。エアポンプ31は、ケーシング11から気体を吸引することにより、燃料タンク4から吸気通路2までのベーパライン7、キャニスタ8及びパージライン13を含む処理流路内を減圧するものである。そして、減圧された処理流路内の圧力が所定値よりも高いときに、蒸発燃料処理装置に漏れ故障が起きているものと診断するようになっている。このときの圧力挙動を監視するために、ベーパ圧センサ25又は圧力センサ27が使用される。ベーパ圧センサ25は、ベーパ発生に伴う圧力挙動を監視するためにも使用される。
図2に、図1に示すケーシング11、エアポンプ31及び切替弁32等を等価な構成図により示す。図2に示すように、キャニスタ8は、エアポンプ31と、そのエアポンプ31の大気導入側に設けられるエアフィルタ33と、エアポンプ31の大気導出側に設けられる切替弁32、オリフィス34及びトラップキャニスタ35とを含む。エアフィルタ33は、エアポンプ31に導入される大気を清浄化する。エアポンプ31は、吸引力を発生させることにより、ケーシング11に対して負圧を発生させる。切替弁32とオリフィス34は、エアポンプ31とトラップキャニスタ35との間にて互いに並列に接続される。切替弁32は、電磁弁より構成される。切替弁32は、エアポンプ31による発生負圧を遮断及び導通させるために開閉される。オリフィス34は、切替弁32が閉じたとき、エアポンプ31とケーシング11との間に微小な連通を確保する。トラップキャニスタ35は、万が一、ケーシング11からベーパが漏れ出たときにそれを捕集する。
この実施形態で、蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を制御するために、電子制御装置(ECU)30が設けられる。ECU30には、上記した各種センサ21〜27が接続される。同じく、ECU30には、ベーパ制御弁9、パージ制御弁14、エアポンプ31及び切替弁32がそれぞれ接続される。ECU30は、エンジン1の運転状態に応じて蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を制御するために、各種センサ21〜27からの検出信号に基づき各弁9,14,32及びエアポンプ31を制御する。
ECU30は、周知のように中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ROMには、各種制御プログラム及び所定のデータが予め記憶される。RAMには、CPUの演算結果が一時記憶される。バックアップRAMには、予め記憶したデータが保存される。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ21〜27の検出信号に基づき、蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置に関する各種制御を実行する。
次に、キャニスタ8の構成を図3〜6を参照して詳しく説明する。図3にキャニスタ8の正断面図を示す。図4に図3のA−A線に沿った断面図を示す。図5にキャニスタ8の平面図を示す。図6に図4の主要部を拡大して示す。
図3,4に示すように、ケーシング11は、その内部に略U形の内部流路40を含み、その流路40が第1端部40a及び第2端部40bを含む。ケーシング11は、そのほぼ中央に、隔壁11aで区画されて外部へ開口する収容凹部41を含む。ケーシング11は、その下部が底蓋42により閉鎖される。ケーシング11の内部流路40は、収容凹部41に対応して配置された仕切壁11bにより第1室43と第2室44とに区画される。
第1室43の上部に対応する第1端部40aからは、ベーパが導入されると共にベーパが導出される。第1端部40aに対応して、ベーパライン7を通じて燃料タンク4に接続されるベーパライン継手45と、パージライン13に接続されるパージライン継手46がそれぞれ設けられる。第1端部40aには、インナースリーブ47が形成される。インナースリーブ47の中には、パージライン継手46に対応してパージバッファキャニスタ48が設けられる。このキャニスタ48は、吸着剤10及び多孔板49を含む。インナースリーブ47の下端開口には、多孔板50が取り付けられる。第1室43の下部には、底蓋42に対してスプリング51等により支持される多孔板52が設けられる。この多孔板52の下は、第1空気層53となっている。第1室43には、上側の多孔板50と下側の多孔板52とで挟まれて吸着剤10が収容される。
第2室44の上部に対応する第2端部40bは、大気に連通可能に設けられる。第2端部40bには、大気ポート54が設けられる。大気ポート54の上側及び下側には、それぞれ多孔板55,56が設けられる。第2室44の下部には、底蓋42に対してスプリング51等により支持される多孔板57が設けられる。この多孔板57の下は、第2空気層58となっている。第2空気層58と第1空気層53とは互いに連通する。第2室44には、上側の多孔板56と下側の多孔板57とで挟まれて吸着剤10が収容される。底蓋42は、ケーシング11の底部にて、内部流路40の屈曲部に配置される。この底蓋42には、湾曲面42aが設けられる。
ケーシング11の収容凹部41には、蓋15が装着される。図4に示すように、収容凹部41には、エアポンプ31、切替弁32及び圧力センサ27が組み付けられる。エアポンプ31及び切替弁32は、蒸発燃料処理装置のための本発明の故障診断機能部品に相当する。エアポンプ31及び切替弁32が収容凹部41に組み付けられた状態で、その凹部41の開口部41aに蓋15が装着されることで収容凹部41が塞がれる。圧力センサ27は、この蓋15の裏面に予め取り付けられることで収容凹部41に組み付けられる。収容凹部41には、エアポンプ31に対応して大気導出ポート59が設けられる。この大気導出ポート59に対応して多孔板60が設けられる。大気導出ポート59と第2端部40bの大気ポート54は、ケーシング11の内部に設けられた連結流路61により連結される。この連結流路61の中には、吸着剤10と多孔板62が重ねて収容される。この多孔板62の上側は、押さえ蓋63により塞がれる。連結流路61に収容された吸着剤10、多孔板55,60,62により、前述したトラップキャニスタ35が構成される。
図4,6に示すように、エアポンプ31は、DCモータ31aと、そのモータ31aにより回転されるベーン31bとを含む。エアポンプ31の大気導入側には、連結チューブ36が設けられる。連結チューブ36の上流側には、前述したエアフィルタ33が設けられる。エアフィルタ33は、3枚のウレタン製板より多層に構成される。エアフィルタ33は、隔壁11aを挟んで収容凹部41の裏側に形成された凹部64に配置される。このエアフィルタ33の側面は、押さえ蓋65により塞がれる。エアフィルタ33の上流側には、大気パイプ12に接続される大気パイプ継手66が設けられる。大気パイプ継手66は、キャニスタ8が車両に搭載された状態で、エアフィルタ33への異物の堆積を防止するために、エアフィルタ33より下方の位置がよく、大気パイプ継手66は地面方向に設置するのが望ましい。
切替弁32は、ソレノイド32aと、ソレノイド32aにより駆動される弁ロッド32bと、弁ロッド32bの先端に固定される弁体32cと、弁体32cに整合する弁座32d,32eと、弁体32cを一方向へ付勢するスプリング32fとを備える。切替弁32を構成する収容ケース67の一部には、前述したオリフィス34が設けられる。
ここで、エアポンプ31、切替弁32及び圧力センサ27等をケーシング11の収容凹部41に組み付けるには、図7に示すように、これらの部品31,32,27を、収容凹部41に対して垂直に下ろす。図8に、収容凹部41の内部をケーシングの正面図に示す。図7,8に示すように、収容凹部41には、電磁弁32を嵌合する嵌合穴68、弁座32dに対応する弁孔69、エアポンプ31の連結チューブ36に整合する連結孔70がそれぞれ形成される。収容凹部41には、エアポンプ31に対応して、一対の挿入溝71が形成される。開口部41aの周囲には、蓋15に対応して、複数の挿入孔72が形成される。
従って、弁体32c及び弁ロッド32bを組み付けた切替弁32は、嵌合穴68に嵌合して組み付けられる。エアポンプ31は、連結孔70に連結チューブ36を整合させて収容凹部41に組み付けられる。蓋15の裏面には、予め圧力センサ27をネジ37で固定しておく。そして、開口部41aの周囲に、ゴム製のシール38を介在させ、切替弁32の上面にゴム製のワッシャ39を介在させて、蓋15を開口部41aに装着して固定する。蓋15には、複数のスナップフック15aが形成される。これらのスナップフック15aを、対応する挿入孔72に嵌め込むことにより、蓋15がケーシング11に対して固定され、収容凹部41が密閉される。
図9に、収容凹部41に蓋15を装着した状態を平面図に示す。図10に、図9のB−B線断面図を示す。図11に、図10の分解図を示す。エアポンプ31には、上記した挿入溝71に挿入される一対の爪31dが設けられる。従って、エアポンプ31は、各爪31cを対応する挿入溝71に挿入することにより、収容凹部41に位置決めされて組み付けられる。この組み付け状態において、連結チューブ36は連結孔70に嵌合される。
次に、図12〜17を参照してキャニスタ8におけるベーパ等の流れを説明する。
給油時には、ベーパ制御弁9が開けられることにより、燃料タンク4で発生するベーパが、図12に破線矢印で示すように、ベーパライン継手45、多孔板50、第1室43の吸着剤10、多孔板52、第1空気層53、第2空気層58、多孔板57、第2室44の吸着剤10、大気ポート54、連結通路61の吸着剤10(トラップキャニスタ35)及び大気導出ポート59の順に流れる。このとき、ベーパ中の燃料成分は、吸着剤10に吸着されることから、大気導出ポート59から収容凹部41に導入される気体は、燃料成分をほとんど含まない気体のみとなる。従って、収容凹部41に導入された気体は、図13に実線矢印で示すように、切替弁32、エアフィルタ33及び大気パイプ継手66を経由し、大気パイプ12を通じて大気中へ放出される。
給油時には、ベーパ制御弁9が開けられることにより、燃料タンク4で発生するベーパが、図12に破線矢印で示すように、ベーパライン継手45、多孔板50、第1室43の吸着剤10、多孔板52、第1空気層53、第2空気層58、多孔板57、第2室44の吸着剤10、大気ポート54、連結通路61の吸着剤10(トラップキャニスタ35)及び大気導出ポート59の順に流れる。このとき、ベーパ中の燃料成分は、吸着剤10に吸着されることから、大気導出ポート59から収容凹部41に導入される気体は、燃料成分をほとんど含まない気体のみとなる。従って、収容凹部41に導入された気体は、図13に実線矢印で示すように、切替弁32、エアフィルタ33及び大気パイプ継手66を経由し、大気パイプ12を通じて大気中へ放出される。
一方、自動車の走行時には、パージ制御弁14が開けられることにより、吸気通路2で発生する負圧が、パージライン13を通じて、キャニスタ8のパージライン継手46に作用する。従って、この負圧により、図13に示す実線矢印とは逆方向に、大気が収容凹部41を流れ、更に図12に実線矢印で示すように、トラップキャニスタ35、大気ポート54、第2室44の吸着剤10、多孔板57、第2空気層58、第1空気層53、多孔板52、第1室43の吸着剤10、多孔板50、パージバッファキャニスタ48及びパージライン継手46の順に流れてパージライン13へ導出される。このとき、第2室44及び第1室43等の吸着剤10に吸着されていたベーパ(燃料成分)が大気の流れに引かれてパージライン13へ導出され、吸気通路2へパージされる。
故障診断の参照データを得るときは、ベーパ制御弁9が開けられ、パージ制御弁14が閉められる。また、エアポンプ31を駆動させて負圧を発生させる。これにより、燃料タンク4で発生するベーパが、図14に実線矢印で示すように、ベーパライン継手45、多孔板50、第1室43の吸着剤10、多孔板52、第1空気層53、第2空気層58、多孔板57、第2室44の吸着剤10、大気ポート54、トラップキャニスタ35及び大気導出ポート59の順に流れる。このとき、ベーパ中の燃料成分は、吸着剤10に吸着されることから、大気導出ポート59から収容凹部41に導入される気体は、燃料成分をほとんど含まない気体のみとなる。また、収容凹部41に導入された気体は、図15に実線矢印で示すように、切替弁32、オリフィス34、エアポンプ31、エアフィルタ33及び大気パイプ継手66を経由し、大気パイプ12を通じて大気中へ放出される。このとき、大気パイプ継手66から導入される大気は、エアフィルタ33を通り、切替弁32にて大気導入ポート59から流れる気体に合流して流れる。
故障診断時には、ベーパ制御弁9が開けられ、パージ制御弁14が閉められる。また、切替弁32を駆動させてオリフィス34を通らない流路に切り替えられる。更に、エアポンプ31を駆動させて負圧を発生させる。これにより、燃料タンク4からキャニスタ8までのベーパライン7と、キャニスタ8のケーシング11と、キャニスタ8からパージ制御弁14までのパージライン13とを含む処理流路内を密閉し、この状態で密閉処理流路内にエアポンプ31により発生させた負圧が作用する。このとき、密閉処理流路内の気体は、図16に実線矢印で示すように、ベーパライン継手45及びパージライン継手46から多孔板50、第1室43の吸着剤10、多孔板52、第1空気層53、第2空気層58、多孔板57、第2室44の吸着剤10、大気ポート54、トラップキャニスタ35及び大気導出ポート59の順に流れる。また、収容凹部41に導入された気体は、図17に実線矢印で示すように、大気導出ポート59、切替弁32、エアポンプ31、エアフィルタ33及び大気パイプ継手66を経由し、大気パイプ12を通じて大気中へ放出される。このようにして上記した密閉処理流路内を負圧により減圧させる。そして、このときの密閉処理流路内の圧力挙動を、ベーパ圧センサ25又は圧力センサ27により監視することにより、処理流路内の気密性の診断を行うことができる。
以上説明したこの実施形態のキャニスタ8によれば、故障診断機能部品としてのエアポンプ31及び切替弁32や圧力センサ27がケーシング11の収容凹部41に一体に組み付けられるので、これらの部品31,32,27がケーシング11から張り出さない。また、上記部品31,32,27が組み付けられた状態で、収容凹部41が蓋15により塞がれるので、万が一、収容凹部41の隔壁11aに亀裂が生じても、第1室43や第2室44の中のベーパは収容凹部41の中で封じ込められて外部へ漏れることがない。このため、故障診断機能部品としてのエアポンプ31及び切替弁32等を収容凹部41に一体に設けることでキャニスタ8の全体をコンパクトにすることができ、上記部品31,32,27の周りから外部へのベーパの漏れを防止することができる。この結果、キャニスタ8をコンパクトにできることから、キャニスタ8の自動車に対する搭載性を向上させることができる。また、各部品31,32,27をケーシング11に取り付けるためにブラケット等の特別な取付部品を使う必要がなく、各部品31,32等のための付属部品数を削減することができる。更に、キャニスタ8の全体重心がそのキャニスタ8のほぼ中央部に位置するので、自動車走行時に車体に振動が加わるときでも、キャニスタ8と各部品31,32,27とが一体的な振動挙動を示すことになる。このため、各部品31,32,27について振動の影響を受け難くすることができる。具体的には、キャニスタ8のケーシング11と各部品31,32,27との連結部分に無理な荷重が作用して破損することを防止することができる。
この実施形態のキャニスタ8によれば、ケーシング11の内部流路40が略U形をなすことから、その第1端部40aから第2端部40bまでの間でベーパの流路が比較的長くなる。このため、第1室43に収容された吸着剤10と、第2室44に収容された吸着剤10を含め、ベーパが吸着剤10を通過すべき距離が長くなり、ベーパを吸着剤10により確実に吸着させて捕集することができる。また、内部流路40の屈曲部に対応する底蓋42に湾曲面42aが設けられるので、その屈曲部におけるベーパの流れが円滑になる。このため、キャニスタ8によるベーパの処理効率を向上させることができる。
この実施形態のキャニスタ8によれば、エアポンプ31の大気導出側と内部流路40の第2端部40bとがケーシング11の内部にて連結流路61により連結されるので、ケーシング11の外部における配管の張り出しがない。この意味でも、キャニスタ8の全体をコンパクトにすることができる。また、連結流路61を、ケーシング11に一体的に設けることにより、別途の配管が省略される。このため、キャニスタ8の構成部品を削減することができる。
また、この実施形態のキャニスタ8によれば、エアポンプ31、切替弁32及び圧力センサ27等の部品は、ケーシング11の収容凹部41に組み付けられる。このため、これらの部品31,32,27及び蓋15を、それら以外のキャニスタ8の構成を別途に製造してから組み付ければよい。この結果、上記部品31,32,27に準ずる部品をケーシングの中に内蔵するタイプのキャニスタに比べて、キャニスタ8の製造を容易なものにすることができる。
この実施形態のキャニスタ8によれば、エアポンプ31により負圧を発生させることにより、ケーシング11の内部圧力が減圧される。更に、切替弁32より、ケーシング11に対する大気の導入が切り替えられる。このように、エアポンプ31及び切替弁32により、負圧の発生と大気の流れの調整機能を確保することができる。
この実施形態のキャニスタ8によれば、トラップキャニスタ35が内部流路40と収容凹部41との間に配置される。このため、万が一、内部流路40の第2端部40bからベーパが排出されても、そのベーパをトラップキャニスタ35により捕集することができ、ベーパがエアポンプ31へ流れることを防止することができる。
この実施形態のキャニスタ8によれば、第1室43と第2室44とが、仕切板11bにより区画されると共に、ケーシング11の収容凹部41を構成する隔壁11aにより分断される。これにより、第1室43の吸着剤10と第2室44の吸着剤10とが仕切板11b及び隔壁11aにより断熱することができる。このため、例えば、第1室43の吸着剤10の発熱が第2室44の吸着剤10に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
尚、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
(1)前記実施形態では、キャニスタ8のケーシング11の内部を仕切板11bにより第1室43と第2室44とに区画した。これに対し、図18に示すように、仕切板を省略して、第1室43と第2室44とを互いに直接連通させてもよい。この場合、底蓋42には、一つのスプリング73を介して一枚の多孔板74が支持される。底蓋42と多孔板74との間には、一続きの空気層75が設けられる。
(2)前記実施形態では、キャニスタ8に故障診断機能部品としてエアポンプ31、切替弁32及び圧力センサ27を設けたが、これらの部品31,32,27以外の部品を故障診断機能部品として設けてもよい。
4 燃料タンク
8 キャニスタ
10 吸着剤
11 ケーシング
11a 隔壁
15 蓋
27 圧力センサ
31 エアポンプ
32 切替弁(電磁弁)
40 内部流路
40a 第1端部
40b 第2端部
41 収容凹部
41a 開口部
42 底蓋
42a 湾曲面
61 連結流路
8 キャニスタ
10 吸着剤
11 ケーシング
11a 隔壁
15 蓋
27 圧力センサ
31 エアポンプ
32 切替弁(電磁弁)
40 内部流路
40a 第1端部
40b 第2端部
41 収容凹部
41a 開口部
42 底蓋
42a 湾曲面
61 連結流路
Claims (4)
- 燃料タンクで発生する蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置に使用され、前記蒸発燃料を吸着するための吸着剤をケーシングに内臓してなるキャニスタであって、
前記ケーシングは、隔壁で区画されて外部へ開口する収容凹部を含むことと、
前記蒸発燃料処理装置のための故障診断機能部品が、前記収容凹部に組み付けられることと、
前記故障診断機能部品が組み付けられた状態で前記収容凹部の開口部を塞ぐための蓋と
を備えたことを特徴とするキャニスタ。 - 前記故障診断機能部品は、前記ケーシングの内部圧力を変更するためのポンプと、前記ポンプの大気導出側に設けられる電磁弁とを含むことを特徴とする請求項1に記載のキャニスタ。
- 前記ケーシングは、その内部に略U形の内部流路を含み、その内部流路が第1端部及び第2端部を含むことと、
前記第1端部から前記蒸発燃料が導入されると共に前記蒸発燃料が導出され、前記第2端部が大気に連通可能に設けられることと、
前記内部流路の屈曲部に対応する前記ケーシングの底部に湾曲面が設けられることと
を備えたことを特徴とする請求項2に記載のキャニスタ。 - 前記ポンプの大気導出側と前記第2端部とを前記ケーシングの内部にて連結流路により連結したことを特徴とする請求項3に記載のキャニスタ。
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