JP2005054002A - 脂肪族ポリエステル組成物およびそれからなるフイルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主としてSi元素とAl元素とを含有した複合酸化物微粒子を含有してなる脂肪族ポリエステル組成物およびそれからなるフイルム。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族ポリエステル組成物およびそれからなるフイルムに関するものである。詳しくは、耐ブロッキング性のために使用する無機微粒子の分散性、および透明性、耐ブロッキング性、表面性に優れるフィルムに適した脂肪族ポリエステル組成物およびそれからなるフイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、樹脂を用いてフィルムを製造したり、フィルムを二次加工する場合、工程通過性やハンドリング性等を考慮し、無機微粒子、有機滑剤等を添加・含有せしめることが行われている。しかしながら、有機滑剤等を添加・含有する方法ではフィルムから有機滑剤がブリードアウトし、工程汚染やフィルム特性を損ねるなどの問題が生じやすく、一般的には無機微粒子を添加・含有せしめる方法が利用されることが多い。
【0003】
一方、環境面から、自然環境下で分解する生分解性を有する熱可塑性樹脂としてポリ乳酸、ポリカプロラクトンと言った脂肪族ポリエステルが開発されてきている。
しかしながら、これらの脂肪族ポリエステルの射出成形、押し出し成形、ブロー成形等によるフィルム等の成形品は剛性に優れているものの、フィルム等の成形物同士のブロッキングが生じやすく、使用時のハンドリングや二次加工時の機械適性に劣る。
【0004】
このため、これらの問題を解決するために多くの提案がなされている。例えば、脂肪族ポリエステルフィルムのハンドリング性(巻き性)や透明性を改良する目的で、シリカ粒子を代表とする無機粒子を含有させる方法(特許文献1参照)、乳酸系ポリマーフィルムの耐ブロッキング剤として、シリカ粒子を代表とする無機粒子を含有せしめることが開示されている(特許文献2,3参照)。さらに、脂肪族ポリエステルフィルムの耐ブロッキング性と透明性とのバランスで、微細なシリカ粒子を含有せしめることが開示されている(特許文献4参照)。
【0005】
しかしながら、上述開示された方法では、脂肪族フィルムの耐ブロッキング性や透明性、表面性は、ある程度改良できるものの十分に満足できるものではない。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−103879号公報(p.3,4)
【0007】
【特許文献2】
特開平8−34913号公報(p.4)
【0008】
【特許文献3】
特開平9−278997号公報(p.6)
【0009】
【特許文献4】
特開2002−12674号公報(p.3)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記した従来技術の問題点を解消することにあり、無機微粒子の粒子分散性に優れた脂肪族ポリエステル組成物、ならびに耐ブロッキング性、透明性、表面性に優れたフイルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は、主としてSi元素とAl元素とを含有した複合酸化物微粒子を含有してなる脂肪族ポリエステル組成物およびそれからなるフィルムによって達成できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリヒドロキシブチレートやポリヒドロキシシバリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリ乳酸等を挙げることができ、特に限定なれるものではないが、機械特性、耐熱性、成形性の点からポリカプロラクトン、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルが好ましい。
また、これらのポリエステルは、単独でも良く、2種以上を使用しても良い。
【0013】
さらに、脂肪族ポリエステルの構成炭素原子中に不斉炭素が存在する場合、L−体、DL−体、D−体の光学異性体が存在するが、これらの異性体の混合率は特に限定されない。
【0014】
また、本発明の脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は、好ましくは5000〜50万である。より好ましくは、1〜50万であり、さらに好ましくは、4〜30万である。重量平均分子量が小さすぎる場合には、得られるフィルムの物性が低下する傾向にあり好ましくない場合がある。重量平均分子量が高すぎる場合には、フィルムの溶融押出製膜が困難になる言った問題を生じる場合がある。
【0015】
本発明で使用する脂肪族ポリエステルとしては、例えば、バイオポール(日本モンサント社製)、natureworks(カーギル・ダウ社製)、レイシア(三井化学社製)、ラクティ(島津製作所社製)、ビオノーレ(昭和高分子社製)、ルナーレSE(日本触媒社製)、セルグリーン(ダイセル化学工業社製)、トーンポリマー(ユニオンカーバイト社製)、カバ(ソルベー社製)などが市販されており、これらの脂肪族ポリエステルを使用できる。
【0016】
本発明は、上述した脂肪族ポリエステルに、主としてSi元素とAl元素とを含有した複合酸化物微粒子を含有せしめた脂肪族ポリエステル組成物であり、ポリエステル中の粒子分散性に優れるものであり、さらに得られるフィルムは、耐ブロッキング性、透明性、表面性に優れる特徴を有している。
【0017】
本発明の複合酸化物微粒子は、上記したようにSi元素とAl元素とを含有するものである。Si元素とAl元素とを含有することで、粒子分散性に優れ、得られるフィルムは耐ブロッキング性、透明性の優れたフィルムが得られる。その理由は定かではないが、粒子の表面活性が変化し、その粒子表面の作用によって、粒子分散性や耐ブロッキング性、透明性などのフィルム特性が向上すると考えられる。
【0018】
さらに、本発明の複合酸化物微粒子は、粒子分散性、耐ブロッキング性、透明性などのフィルム特性をより一層良好とする点から、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含み、かつ金属元素含有量のモル比が下記式を満足することが好ましい。複合酸化物微粒子に含まれる金属元素をかかる範囲とすることで、粒子の表面活性が変化し、その粒子表面の作用によって、粒子分散性や耐ブロッキング性、透明性などのフィルム特性が向上すると考えられる。
【0019】
0.1≦ Si元素/Al元素 ≦0.7 (1)
0.1≦ アルカリ金属元素/Al元素 ≦1.2 (2)
0≦アルカリ土類金属元素/Al元素 ≦0.5 (3)
より好ましくは、下記式を満足することである。
【0020】
0.15≦ Si元素/Al元素 ≦0.6 (4)
0.1≦ アルカリ金属元素/Al元素 ≦1.0 (5)
0≦アルカリ土類金属元素/Al元素 ≦0.4 (6)
さらに好ましくは、下記式を満足することである。
【0021】
0.2≦ Si元素/Al元素 ≦0.5 (7)
0.5≦ アルカリ金属元素/Al元素 ≦0.8 (8)
0≦アルカリ土類金属元素/Al元素 ≦0.3 (9)
また、アルカリ金属元素および/またはアルカリ金属元素の種類は、特に限定されないが、粒子表面活性の変化・作用によると考えられる粒子分散性、耐ブロッキング性、透明性などを、さらに良化せしめる点から、アルカリ金属元素がNa元素および/またはK元素、アルカリ土類金属元素がCa元素であることが好ましい。
【0022】
本発明の複合酸化物微粒子は、粒子分散性、得られるフィルム特性の点から、平均粒子径は0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.05〜7μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が0.01μm未満であると粒子同士の凝集、分散性が低下する場合があり、平均粒子径が10μmを越えるとフィルムの透明性が低下したり、フィルム表面粗さが大きくなりすぎたりする場合がある。
【0023】
また、複合酸化物微粒子の含有量は、粒子分散性、得られるフィルム特性の点から0.01〜50重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜20重量%である。含有量が0.01重量%未満であると得られるフィルムの滑り性に劣る場合がある。一方、含有量が50重量%を越えると粒子同士の凝集により、粒子分散性に低下する場合がある。
【0024】
本発明の複合酸化物微粒子の形状は、粒子分散性、フィルムの透明性、耐ブロッキング性の点から、球状係数が0.8〜1.0が好ましく、より好ましくは、0.9〜1.0で、より球状であることが好ましい。特に好ましくは1次粒子が単分散し、かつ球状係数が0.8以上である。球状係数が0.8未満であると粒子同士の凝集が発生し、粒子分散性に劣ったり、得られるフィルムの透明性、耐ブロッキング性が低下する場合がある。さらに1次粒子が単分散でないと粒子分散性に劣ったり、得られるフィルムの透明性、耐ブロッキング性が低下する場合がある。
本発明の複合酸化物微粒子の結晶性は、脂肪族ポリエステル組成物中の微粒子の分散性、および得られるフィルムの耐ブロッキング性、透明性の点から非晶質であることが好ましい。
【0025】
本発明の複合酸化物微粒子は、更に表面処理剤で表面処理することで粒子分散性、得られるフィルムの透明性が優れるものとなる。表面処理剤およびその方法は特に限定されない。表面処理剤としては、例えばトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のクロロシラン化合物、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジメチルシラン等のシラン化合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シラン化合物等低分子シラン化合物、水溶性有機シリコンレジン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の高分子シラン化合物、また、γ−グリコキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ化合物等を挙げることができる。粒子分散性、得られるフィルムの透明性の点から、低分子のシラン化合物が好ましく、特にはアミノ系シラン化合物が好ましい。
【0026】
表面処理剤量は粒子分散性やフィルムの透明性、耐ブロッキング性によって適宜選択することが可能であるが、複合酸化物微粒子に対して0.01〜30重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜20重量%の範囲である。
【0027】
表面処理する方法としては、表面処理剤の種類によって、適宜選択することが可能であり、例えば一般的な湿式処理、または乾式処理方法を利用することができる。湿式処理としては、溶媒中に本発明の複合酸化物微粒子と表面処理剤を加え、ヘンシェルミキサー、スパーミキサーなどの高剪断力混合機を用いて均一に混合した後、溶媒を除去することによって表面処理を行う。また乾式処理としてはマイクロナイザー、ジェットミルなどで複合酸化物微粒子に表面処理剤を添加することで処理することができる。
【0028】
さらに、本発明の複合酸化物微粒子は、20μmフィルター残分が3重量%以下であることが、フィルムの耐ブロッキング性、透明性、表面性等の点から好ましい。より好ましくは、2重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以下である。20μmフィルター残分を3重量%以下とする方法は、従来公知の重量分級機、慣性分級機、遠心分級機を採用することができる。
【0029】
本発明の主としてSi元素とAl元素とを含有した複合酸化物微粒子は、種々の方法で製造することができる。例えば、アルミニウムの塩およびケイ素の塩の混合水溶液をアンモニア水で加水分解して調整する不均一共沈殿法、アルミニウム水の代わりに尿素を用いて調整する均一沈殿法、アルミニウムの水酸化物およびケイ酸のいずれか一方の塩の溶液に他方の酸化物を浸漬させたもの、またはそれにアンモニア水を加えたものを焼成して調整する方法、共有結合性のAlCl3、SiCl4などの塩化物を水素および酸素の存在下で燃焼する方法、あるいは結晶性ゼオライトを水スラリーとし、アルカリ金属塩共存下で、塩酸、硫酸、リン酸等の酸で処理する方法等を挙げることができる。
【0030】
本発明の複合酸化物微粒子を含有する脂肪族ポリエステル組成物は、脂肪族ポリエステルへ複合酸化物微粒子を配合・添加する方法で製造することができる。
例えば(1)複合酸化物微粒子を脂肪族ポリエステルの製造反応工程の任意の段階で添加する方法、(2)複合酸化物微粒子とポリエステルとを直接、あるいは予めブレンダー、ミキサーなどで混合した後、通常の一軸、二軸押出し機を用いて溶融混練する方法、(3)複合酸化物微粒子とポリエステルとを直接、あるいは予めブレンダー、ミキサーなどで混合した後、通常のベント式の一軸、二軸押出し機を用いて溶融混練する方法などを挙げることができる。中でも複合酸化物微粒子をポリエステルに分散性よく含有させることができ、かつ得られるフイルムの透明性、耐ブロッキング性などの品質安定性の点から、(3)の方法が好ましい。
【0031】
本発明の脂肪族ポリエステル組成物から製造されるフイルムは、未延伸のシート状のものでもよいし、一軸または二軸に延伸された延伸フイルムであってもよい。
【0032】
本発明の脂肪族ポリエステル組成物からなるフイルムの具体的な製造方法を説明する。脂肪族ポリエステル組成物を例えば60〜140℃程度の温度において乾燥し、十分に水分を除去する。乾燥後、180〜280℃程度の温度で、溶融押出しして未延伸シートとし、続いて脂肪族ポリエステル組成物のTg(ガラス転移温度)+5〜30℃の温度範囲で二軸延伸する。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは二軸同時延伸のいずれでもよく、延伸倍率は、通常、縦、横それぞれ2〜6倍が適当である。また、二軸延伸後、さらに縦、横方向のいずれかに再延伸してもよい。次いで熱処理しフィルムとする。熱処理温度は、80〜150℃の温度範囲が適当である。
【0033】
本発明におけるフイルムの複合酸化物微粒子の含有量は、フィルムの耐ブロッキング性、透明性、表面性の点から、好ましくは0.001〜2重量%であり、より好ましくは0.001〜1重量%である。複合酸化物微粒子の含有量が、かかる範囲を超えると耐ブロッキング性、透明性、表面性のいずれかに劣る場合がある。
【0034】
本発明のフイルムの厚さは、使用用途によって適宜選択することができるが、通常100μm以下が好ましく、より好ましくは1〜50μmである。
【0035】
また、本発明のフイルムは、耐ブロッキング性、透明性、ならびに目的とする用途によって、本発明の脂肪族ポリエステル組成物からなる層と、複合酸化物微粒子を含有しない脂肪族ポリエステル層、もしくは他の脂肪族ポリエステル層、さらには他のポリエステル層からなる積層フイルムであってもよい。さらにその積層フイルムは三層以上の積層フイルムであってもよい。その積層フイルムの積層比、含有複合酸化物微粒子量は、特に限定されるものでなく、目的に応じてその比、量を設計できる。
【0036】
なお、本発明の脂肪族ポリエステル組成物およびフイルムには、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、また各種の添加剤、例えばカルボジイミド、エポキシ化合物などの末端封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等、さらに、例えば炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の複合酸化物微粒子以外の微粒子も必要に応じて適宜含有していてもよい。
【0037】
【実施例】
以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
【0038】
実施例中の特性は次のようにして測定した。
A.複合酸化物微粒子の特性
(a)平均粒子径
脂肪族ポリエステル組成物およびフイルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、粒子を観察する。TEMの切片厚さは約200nmとし、少なくとも100個の粒子について観察を行い、面積平均粒子径を求めた。
(b)球状係数
脂肪族ポリエステル組成物およびフイルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、粒子を観察する。TEMの切片厚さは約200nmとし、少なくとも100個の粒子について観察を行い、下記式に従い、長径と短径の比から球状係数を求めた。
【0039】
球状係数=短径/長径
(c)複合酸化物微粒子中の金属元素量
蛍光X線測定および原子吸光法により、各元素量の強度をそれぞれの標準物質から得られた検量線と比較して定量した。
(d)複合酸化物微粒子の結晶性
X線回折を用いて結晶性を評価した。
B.脂肪族ポリエステル組成物の重量平均分子量
クロロホルム溶媒を用い、分子量分布曲線GPC装置で測定した。
C.脂肪族ポリエステル組成物中の粒子分散性
脂肪族ポリエステル組成物1kgを十分乾燥し、温度200℃、20μmフィルター/10mmφをセットした25mm単軸押出機へ供給し、脂肪族ポリエステル組成物1kg押出後の圧力上昇値を測定した。この値によって脂肪族ポリエステル組成物中の粒子分散性を判定した。数値が小さいほど粒子分散性は良好である。
D.フイルム特性評価
(a)耐ブロッキング性
スリップテスターを用い、ASTMD−1894B法に従って、静摩擦係数(μs)、動摩擦係数(μd)を測定し、この値でフィルムの耐ブロッキング性を判定した。数値が小さいほど耐ブロッキング性が良好である。
(b)透明性
JIS K−7105に準じて、フィルムヘイズを測定し、この値でフィルムの透明性を判定した。数値が小さいほど透明性が良好である。
(c)表面性(フィルム欠点数)
15cm×15cm程度のフィルムを偏光板を通した際に観察されるフィルム欠点数(数十μmオーダーの大きさの異物、欠点を観察し、個数/m2としてカウント)を測定し、表面性として判定した。この個数が少ないほど表面性は良好である。
【0040】
参考例1
酸性白土(SiO272.1%、Al2O372%、Fe2O33.87%、MgO3.25%、CaO1.06%の金属成分含有)を乾燥分換算で100重量部採取し、50重量%濃度の硫酸溶液を200重量部を加え、適正な条件下(例えば、90℃、5時間)で処理した。次いで硫酸根がなくなるまで水洗し、粒状物を得た。引き続き粒状物に水を加え固形分濃度が20%程度となるように調整し、ミキサーにて撹拌解砕し、スラリー状にした。該スラリーにアルミン酸アルカリ溶液(Na2O21%、Al2O318.8%)とNaOH、および水とを適宜加え混合した。該混合液を20℃で攪拌し、均一なスラリーを得た。次いでスラリーを適正条件下(例えば95℃に加熱し、攪拌下で4時間反応)で反応させ、さらに数分間から数時間の条件で熟成させた後、ろ過法によりろ別し、反応生成物(アルミノケイ酸ナトリム)を得た。該反応生成物をPH2に調整した希塩酸に分散させた後、攪拌下で、50℃に加熱し、1時間経過後、反応液をろ過、水洗し、ろ上物を乾燥し、さらに350℃で2時間焼成し、粉砕器で解砕・分散させ、非晶質の主としてSi元素とAl元素とを含有する複合酸化物微粒子を製造した。上記した方法に従い製造した複合酸化物微粒子1−▲1▼〜▲3▼の特性を表1に示した。
【0041】
参考例2
80℃に加温した0.1重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に、予め目的とする組成になるように、SiO2として2重量%に調整した珪酸ナトリウム水溶液とAl2O3として0.5重量%に調整したアルミン酸ナトリウム水溶液とを80℃に保持しながら5時間かけて添加し、次いで反応液を適正条件下(例えば80℃で、1時間)撹拌後、室温まで冷却した。次いで、得られた複合酸化物微粒子の水スラリーを限外濾過膜にて水洗した。引き続き、該スラリーを乾燥・解砕・分散させ、非晶質の主としてSi元素とAl元素とを含有する複合酸化物微粒子2−▲1▼を製造した。得られた複合酸化物微粒子の特性を表1に示した。
【0042】
参考例3
市販のシリカゾル(シリカ濃度40重量%、平均粒子径0.045μm)に純水を加え、シリカ濃度1重量%の調整液に、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えPH12.5とした。次いで80℃に加温し、予め目的とする組成になるように、SiO2として1.5重量%に調整した珪酸ナトリウム水溶液とAl2O3として0.5重量%に調整したアルミン酸ナトリウム水溶液とを適正条件下(例えば80℃に保持しながら、20時間)で添加し、次いで反応液を適正条件下(例えば80℃で、1時間)撹拌後、室温まで冷却した。次いで、得られた複合酸化物微粒子の水スラリーを限外濾過膜にて水洗した。引き続き、該スラリーを乾燥・解砕・分散させ、非晶質の主としてSi元素とAl元素とを含有する複合酸化物微粒子2−▲2▼を製造した。得られた複合酸化物微粒子の特性を表1に示した。
【0043】
参考例4
予め目的とする組成、粒子径になるように、参考例3と同様の方法で複合酸化物微粒子の水スラリーを製造した。次いで、粒子の水スラリーを限外濾過膜を用いて塩化カリウム水溶液にて複合酸化物微粒子に含まれたナトリウム元素をカリウム元素に部分置換し、次いで余分のイオンの除去を行った。その後、該スラリーを乾燥し、粉砕機で解砕・分散させ、非晶質の主としてSi元素とAl元素とを含有する複合酸化物微粒子2−▲3▼を製造した。得られた複合酸化物微粒子の特性を表1に示した。
【0044】
実施例1
ポリ乳酸A(重量平均分子量15万、L−乳酸成分量98.5%、D−乳酸成分量1.5%、融点168℃)95重量部と参考例1で得た複合酸化物微粒子1−▲1▼5重量%とをフィーダーを用いてベント式二軸押出機に供給し、ベントを使用し、温度200℃、滞留時間2分で混練し、複合酸化物微粒子5重量%含有する脂肪族ポリエステル組成物を得た。得られた脂肪族ポリエステル組成物1kgを25mm単軸押出機で押出し、ポリマー濾過テストを実施した結果、圧力上昇値は4.0MPaと小さく、組成物中の粒子分散性は良好であった。結果を表1,2に示した。
【0045】
次いで、該脂肪族ポリエステル組成物とポリ乳酸Aとを複合酸化物微粒子が0.1重量%となるように混合した後、120℃、2KPa以下の真空条件下で5時間乾燥した。引き続いて該乾燥品をスクリュー径50mmの単軸押出機に供給して230℃で溶融させ、T型口金よりシート状に押し出し、30℃の冷却ドラムで冷却固化せしめ未延伸フィルムを得た。次いで未延伸フィルムを85℃に加熱して縦方向に3倍延伸し、さらに80℃に加熱して横方向に3.5倍延伸し、145℃で加熱処理して、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたフィルムについて各種評価を実施した。フイルム特性結果を表2に示した。フイルムの透明性(フィルムヘイズ)、耐ブロッキング性(滑り性)、表面性(フィルム欠点数)ともに良好であった。
【0046】
比較例1
複合酸化物微粒子を平均粒子径0.3μmの乾式法シリカ(日本アエロジル(株)製アエロジルOX−50)に変更した以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル組成物およびフィルムを得た。
【0047】
得られたポリエステル組成物およびフィルム特性結果を表1,2に示した。得られたポリエステル組成物中の粒子分散性、フイルムの耐ブロッキング性、透明性、表面性に劣るものであった。
【0048】
実施例2〜6、比較例2,3
実施例2〜6、比較例2は、微粒子の種類および量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、脂肪族ポリエステル組成物およびフィルムを得た。得られたポリエステル組成物およびフィルム特性結果を表1,2に示した。
【0049】
実施例2〜6は、いずれも本発明の範囲内で、脂肪族ポリエステル組成物中の粒子分散性、フイルムの各種特性ともに優れていた。
【0050】
一方、比較例2,3は、本発明の範囲外であり、脂肪族ポリエステル組成物中の粒子分散性、フイルム特性のいずれかに劣るものであった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
実施例7
参考例1で製造した複合酸化物微粒子1−▲1▼を加熱ジャケットを有する撹拌付き容器に投入し、ゆっくり撹拌しながら70℃まで昇温した。次いで表面処理剤として、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを複合酸化物微粒子1−▲1▼に対して5重量%となるように表面処理処理容器に取り付けたノズルから噴霧注入し、130℃まで加熱し、10分間表面処理し、冷却した。次いで、得られたγ−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した複合酸化物微粒子を用い、実施例1と同様の方法で方法で、脂肪族ポリエステル組成物およびフィルムを得た。得られたポリエステル組成物およびフィルム特性結果を表3,4に示した。表面処理剤で表面処理した複合酸化物微粒子を含有した脂肪族ポリエステル組成物中の粒子分散性、フイルムの各種特性ともに優れていた。
【0054】
実施例8〜10
表面処理剤の種類および処理量を適宜変更して実施例7と同様の方法で表面処理した複合酸化物微粒子を製造し、次いで実施例1と同様の方法で方法で、脂肪族ポリエステル組成物およびフィルムを得た。得られたポリエステル組成物およびフィルム特性結果を表3,4に示した。
【0055】
実施例8〜10は、いずれも本発明の範囲内で、表面処理剤で表面処理した複合酸化物微粒子を含有した脂肪族ポリエステル組成物中の粒子分散性、フイルムの各種特性ともに優れていた。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【発明の効果】
本発明の脂肪族ポリエステル組成物およびそれからなるフイルムは、特定の複合酸化物微粒子を含有し、複合酸化物微粒子の分散性に優れる。さらに該組成物から得られるフィルムは、透明性、耐ブロッキング性、表面性に優れる。
Claims (7)
- 主としてSi元素とAl元素とを含有した複合酸化物微粒子を含有してなる脂肪族ポリエステル組成物。
- 複合酸化物微粒子の平均粒子径が0.01〜10μmであり、かつ脂肪族ポリエステル中の含有量が0.01〜50重量%である請求項1に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
- 複合酸化物微粒子がアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含み、かつ金属元素含有量のモル比が下記式を満足してなる請求項1または2項に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
0.1≦ Si元素/Al元素 ≦0.7 (1)
0.05≦ アルカリ金属元素/Al元素 ≦1.2 (2)
0≦アルカリ土類金属元素/Al元素 ≦0.5 (3) - 複合酸化物微粒子の球状係数が0.8〜1.0である請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
- 複合酸化物微粒子の結晶性が非晶質である請求項1〜4のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
- 表面処理剤で表面処理した複合酸化物微粒子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル組成物からなるフイルム。
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JP2003206712A JP4311106B2 (ja) | 2003-08-08 | 2003-08-08 | 脂肪族ポリエステル組成物およびそれからなるフイルム |
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