JP2005043534A - ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、溶液の供給なしに、粒度分布が狭く、高温保存安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法を提供する。
【解決手段】粉体原材料に対し熱を付加する手段と、原材料の撹拌手段とを備えた混合装置を用いて撹拌造粒を行う固体処理剤の製造方法において、予め結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と、水溶性結合剤を、外部からの溶液を添加せずに、該原材料を熱質量分析法で測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱する工程1を経て造粒し、次いで造粒された材料を、該原材料が熱質量分析法で測定される含有水分を放出する温度以下に冷却する工程2により造粒を終了させるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】粉体原材料に対し熱を付加する手段と、原材料の撹拌手段とを備えた混合装置を用いて撹拌造粒を行う固体処理剤の製造方法において、予め結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と、水溶性結合剤を、外部からの溶液を添加せずに、該原材料を熱質量分析法で測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱する工程1を経て造粒し、次いで造粒された材料を、該原材料が熱質量分析法で測定される含有水分を放出する温度以下に冷却する工程2により造粒を終了させるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法に関し、詳しくは、高温条件等での長期保存安定性が改良されたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料は、像様に露光が施された後、現像、脱銀、洗浄、安定化等の各処理工程を経て処理される。処理は、通常自動現像機で行われ、処理液の活性度を一定に保つように補充液で補充する方法が一般に広く用いられている。補充液の補充は、ハロゲン化銀写真感光材料からの溶出物の希釈、蒸発量の補正及び消費成分の補充を目的としている。このような補充処理剤は、濃縮溶液の状態で製造、輸送、保管され、使用時には一定量の水で希釈して補充液として用いられる。しかし、液体処理剤の容器として用いられているプラスチックボトルは、液体危険物の輸送に対する安全性や使用後の廃棄に対する規制が強化されてきている状況にあり、業界では、ボトルを使用しない固体処理剤の使用が普及しはじめている。
【0003】
一般に、錠剤型の固体処理剤の製造方法としては、処理剤の構成成分を混合し、直接圧縮する直接打錠法や、攪拌造粒機を使用し、結合剤を添加し造粒、乾燥、整粒等の工程を経て打錠用顆粒を製造する方法、更に、近年では、流動層造粒乾燥機を使用し打錠用顆粒を製造し、圧縮打錠する間接打錠法が知られている。
【0004】
上記攪拌造粒機を使用し、結合剤を添加し造粒、乾燥、整粒等の工程を経て打錠用顆粒を製造する攪拌造粒法としては、一般的は、混合槽内に挿入された原材料に、外部から液体(この場合は、水あるいは有機溶媒、あるいは、種々の結合剤を水、有機溶媒に溶解した溶液などを指す)を添加し、種々の形状をした撹拌羽根を回転させることにより、せん断、転動、圧密作用などを与えて目的とする造粒物を得る方法である。このような撹拌造粒では、外部より添加された液体が撹拌羽根により分散されることで凝集力を生じ、造粒が進行するものである。
【0005】
ハロゲン化銀写真感光材料用の固体処理剤の製造方法としては、例えば、層内温度を20℃以上、80℃以下の温度で、特定の質量平均粒径を有する粉粒体を、気流により流動層状態に保ち結合水を用いて噴霧造粒する流動層造粒法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、乾燥工程が必要となり、また多量の水分添加が必要となる。
【0006】
また、融点が40℃以上、80℃以下である水溶性結合剤を含有する粉体原料を湿式攪拌造粒し、得られた造粒物を流動層により水溶性結合剤の融点以上、80℃以下の温度で乾燥する湿式攪拌造粒法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
上述の様に外部から液体を添加して造粒する場合には、如何に液体を均一分散するかが、造粒の均一性を支配する重要な因子である。しかしながら、上記の様な水溶性の原材料によって製造されるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の場合、液添加後、均一分散する以前から粉体同士が凝集し造粒が始まってしまうため、外部から液体を添加する方式では、均一分散性には限界があった。このため、造粒の進行が不均一になり、造粒不足により微粉末が残ってしまったり、一方では、造粒過多により粗大粒子ができてしまったりする。具体的には、粒子径125μm以下の顆粒は、流動性が悪く、ブロッキングを起こしやすく、取り扱い性の悪い好ましくない顆粒である。また、粒子径1.5mm以上の顆粒は、溶解性が悪く、圧縮成型し錠剤にする場合は成形性が悪く、得られる錠剤の硬度が低く、個々の錠剤の質量もばらつくことから好ましくない粗大粒子である。これらの好ましくない粒径を有する顆粒については、篩い分けにより除去することも可能ではなるが、この場合、不良品歩留まりが増えるため、製造コスト上は、なるべくこれら好ましくない粒子を減らす必要がある。更に、外部より水を添加した場合、造粒が終了した後に乾燥工程を必要として、コスト負荷の増大や造粒の環境(温湿度等)による影響を受けやすくなる。
【0008】
上記課題に対し、湿式撹拌造粒法で製造するハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤において、湿式撹拌造粒に使用する添加水の表面張力を規定し、かつ添加する水分量を固体量に対して5質量%以下に規定した造粒方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。本発明の方法では、上記方法に対し造粒後の乾燥工程は不要となるが、微量の水分を多量の原材料粉体へ均一に付与することが難しく、造粒後の顆粒粒子間での含水率の変動を起こしやすくなる。また、この方法は、水分との親和性が高く、造粒しやすい一部の水溶性無機化合物への適用に制限されるという課題を有している。
【0009】
また、発色現像主薬の造粒方法において、結晶水を含む発色現像主薬粉体を原材料として用意する工程、粉体原材料を加温する工程、粉体原材料を加圧する工程、各工程によって加温、加圧されて造粒された材料を冷却する工程とからなる発色現像主薬の造粒方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この方法では、新たに加圧手段が必要となり、設備的な負荷が増大するという課題を抱えている。
【0010】
以上の様に、錠剤型の固体処理剤の製造方法として、種々の方法の提案がなされているが、乾燥工程や加圧装置といった設備的な負荷が伴い、また水分による均一分散性や、顆粒間での含水率を均一の調整することが困難であり、また水との親和性が低く造粒し難い有機化合物でも、微量の水分で造粒が可能な新たな造粒方法の開発が要望されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−137057号公報 (特許請求の範囲)
【0012】
【特許文献2】
特開平8−146566号公報 (特許請求の範囲)
【0013】
【特許文献3】
特開2000−2974号公報 (特許請求の範囲)
【0014】
【特許文献4】
特開2002−72423号公報 (特許請求の範囲)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、外部からの溶液(水等)の供給なしに、粒度分布が狭く、高温保存安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
【0017】
1.粉体である原材料に対し熱を付加する手段と、該原材料を撹拌する手段とを備えた混合装置を用いて撹拌造粒を行うハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法において、予め結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と、水溶性結合剤とを、外部からの溶液を添加せずに撹拌しながら、該原材料を、熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱する工程1を経て造粒し、次いで造粒された材料を、該原材料が熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以下に冷却する工程2により造粒を終了させることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0018】
2.前記水溶性結合剤の融点が、前記原材料の熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度よりも高いことを特徴とする前記1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0019】
3.前記原材料の熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度が、40℃以上、100℃以下であることを特徴とする前記1または2項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0020】
4.前記原材料の結晶水または自由水の含有率が、原材料の総質量に対して0.2〜2.0質量%であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0021】
5.前記混合装置が、容器固定型混合装置であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0022】
6.前記容器固定型混合装置が攪拌機構を装備し、該撹拌機構が、フルード数10以下の回転数で回転することを特徴とする前記5項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0023】
7.前記容器固定型混合装置が、水平軸型であることを特徴とする前記6項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0024】
8.前記容器固定型混合装置が、レーディゲミキサーであることを特徴とする前記7項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0025】
9.前記1〜8項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法により製造した固体処理剤を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
【0026】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、粉体である原材料に対し熱を付加する手段と、該原材料を撹拌する手段とを備えた混合装置を用い、予め結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と、水溶性結合剤とを、外部からの溶液を添加せずに撹拌しながら、該原材料を、熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱する工程1を経て造粒し、次いで造粒された材料を、該含有水分を放出する温度以下に冷却する工程2により造粒を終了させることにより、粒度分布が狭く、高温保存安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0027】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法(以下、単に本発明の製造方法ともいう)は、撹拌造粒過程で、外部からの溶液、例えば、水等の供給を必要としない造粒方法である。代わりに、使用する原材料粉体が予め含有している結晶水または自由水を造粒過程で利用することが特徴である。
【0028】
本発明でいう結晶水とは、原材料の結晶中に一定の比率で含まれている水をいい、結晶内の一定の位置に固定されている水である。一定の温度範囲で一定の水蒸気圧を示し、加熱すれば特定の温度で段階的に脱水が起こる。また、自由水とは、結晶に存在する水のうち、結晶水以外の通常の水の状態をとっている部分を言う。すなわち結晶中に比較的ゆるい結合で包含されている水をいう。自由水も結晶水と同様、加熱すれば特定の温度で脱水が起こる。従って、これら結晶水または自由水は、工程1にて、原材料が加熱されることで水蒸気となり原材料から放出される。この放出された水蒸気を原材料中に予め含有されている水溶性結合剤が吸収することで、水溶性結合剤の粘着性が増大し、これが粉体粒子間の接着剤となって造粒が進行する。この過程において、結晶水または自由水は、一旦水蒸気という気体の状態を経て、分子レベルで水溶性結合剤に吸収されるため、従来のように添加水を直接添加する方法に比べて、極めて短時間で、極めて均一に、原材料全体に分布させることができる。
【0029】
本発明の製造方法においては、原材料が予め含有しているような極めて少ない水分、すなわち、0.2質量%以上の含有水分であれば造粒が進行する。そして、造粒の進行は、部分的に進行しすぎることなく、均一に進行し、微粉末や粗大粒子の発生なども大幅に低減される。一方、2.0質量%を超える含有水分では、加熱により放出される水蒸気が多くなりすぎ、造粒が過剰に進行してしまう場合がある。この場合も、均一にすべての粒子が大きくなり、造粒としては安定であるが、粒子が大きくなりすぎた場合には、前述の通り、不具合が発生する。従って、本発明の製造方法においては、原材料の結晶水または自由水の含有率が、原材料の総質量に対して0.2〜2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜1.0質量%の範囲である。
【0030】
尚、通常、ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造に用いる原材料の含水率、すなわち結晶水または自由水の原材料総量に対する含有比率(質量%で表す)の多くは2.0質量%以内であって、必ずいくらかの含水率を有している。
【0031】
工程1で造粒が進行し、所望の大きさまで粒子が成長した後、従来の撹拌造粒では、必須であった乾燥工程は、本発明では必要としない。すなわち、従来の様な外部から水分を添加する方法では、撹拌によるせん断力を用いても十分には均一分散されないため、造粒に必要な量よりもかなり余分の水分を添加しなければならなかったため、この余分な水分を乾燥するための乾燥工程が必要とされている。これに対し、本発明の製造方法では、必要最低限の水分が、原材料の結晶水または自由水から供給されて造粒が進行するため、余分な水分を乾燥する必要がない。この効果は、従来、決して乾燥工程を省くことができなかった、比較的水との親和性の低い有機化合物が主成分の固体処理剤においても、原材料の結晶水または自由水から供給される水分により均一な造粒が可能となり、その結果、全てのハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を製造する上で、乾燥工程の必要が無くなり、設備コスト低減あるいは生産効率の観点で、飛躍的な改良を果たすことができる。
【0032】
本発明の製造方法においては、工程1で造粒が進行し所望の大きさまでに粒子が成長した後、乾燥工程を経ずに、工程2に移る。工程2では、造粒された材料を冷却することにより水溶性結合剤が含有していた水分が、再び元の原材料成分に再吸収され、結晶水または自由水の状態に戻る。その結果、水溶性結合剤は、粘着性を失い、結果として造粒が終了する。この水溶性結合剤から元の原材料成分に水分が戻っていく過程も分子レベルで進行するため、造粒の終了も部分的な不均一が無く、この工程2において、粗大粒子が発生したりすることは無い。このような工程2において造粒の終了過程を引き起こすには、冷却によって顆粒の温度が、結晶水または自由水が原材料粉体から水蒸気として放出されてしまう温度より低く設定することが、必要となる。
【0033】
上述の様に、本発明においては、工程1では、原材料を熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱し、また工程2では、造粒された材料を、原材料が熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以下に冷却することが特徴であるが、上記で規定する熱質量分析法の詳細について、以下説明する。
【0034】
物質の含水量の測定方法としては、例えば、熱質量分析法、示差熱分析、市販の赤外水分計による測定、具体的には赤外ヒーター等の加熱手段を用いて加熱し水分を放出させて、試料の質量変化を調べる方法、あるいは、化学的な方法としてカールフィッシャー法、元素分析等の方法が知られている。原材料の含水量測定には、いずれの方法を用いても良いが、含有する水分を放出する温度を測定する場合には、本発明では、熱質量分析法を用いて行う。
【0035】
本発明に係る熱質量分析(Thermogravimetric Analysis:TG)とは、単位時間当たりに一定の温度幅で温度を変化させながら、試料の質量変化を測定する方法であり、熱天秤と呼ばれ、主に、試料ホルダー、ヒーター、熱電対、とこれらの制御回路からなる装置を用いる。
【0036】
本発明に用いる熱質量分析法の具体的方法としては、セイコーインスツルメンツ社製のTG/DTA200型を用いて、試料である原材料の温度を30℃から100℃まで1分間あたり2℃の割合で上昇させたときの質量の変化を測定し、その質量減少分を原材料が含有する水分質量とする。また、この測定において、試料の質量が減少し始めるときの温度を、本発明における熱質量分析法で含有水分を放出する温度と定義する。
【0037】
本発明に係る熱質量分析法において、結晶水または自由水が水蒸気となる温度は、原材料の種類によって大きく異なるが、ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤として一般的に使用される原材料の場合、大気圧の環境下では、35℃程度のものから150℃位の場合まである。ただし、造粒の進行及び終点を温度で管理するといった場合の造粒安定性という観点から、本発明の製造方法で用いる原材料の熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度としては、40℃以上であることが好ましく、また、後述する混合装置に装備する加熱機構のコストを抑え、原材料の熱による変質を防ぐという観点からは100℃以下であることが好ましい。
【0038】
次いで、本発明の製造方法で用いられる混合装置について、その詳細を説明する。
【0039】
一般に原材料を乾式混合する混合装置としては、ヘンシェルミキサー、V型混合機、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、Wコーンミキサー、バイブローミル、ターブラー等が知られており、その詳細は、例えば、粉体機器・装置ハンドブック(粉体機器・装置ハンドブック編集委員会編、日刊工業新聞社)に記載されている。
【0040】
混合装置としては、(a)容器回転型混合機、(b)容器固定型混合機、(c)流体運動型混合機に大別される。
【0041】
(a)容器回転型混合機とは、円筒型、V型、ダブルコーン型等の容器を水平軸の周りに回転させ粉体に転動モーションを与えて混合を行う方式である。また、混合性を向上させるため、容器内に邪魔板や撹拌羽根を有するものもある。
【0042】
(b)容器固定型混合装置とは、固定された容器の中の粉体に撹拌羽根の回転、振動を与えて混合を行う。
【0043】
(c)流体運動型混合機とは、ジェットポンプ等を使用し気流により粉体を流動させて撹拌を行う混合機である。
【0044】
本発明の製造方法における撹拌造粒は、原材料に対して熱を加える手段と原材料を撹拌する手段を備えた混合装置であり、(a)(b)(c)いずれを用いても良いが、撹拌する手段としては撹拌羽根の回転によって行うのが、粉体に対して与えるせん断、転動、圧密作用が効果的であることから、(b)容器固定型混合機を用いるのが好ましい。
【0045】
(b)容器固定型混合装置の具体的な装置としては、例えば、以下のような混合装置を挙げることができる。
【0046】
〔I〕リボン型混合機
固定容器内で、スパイラルを形成したリボン状の撹拌羽根を低速回転させる混合機で、例えば、リボンミキサー(日和機械工業(株)製)、バッチニーダー(佐竹化学機械工業(株)製)、リボコーン((株)大順製作所製)等が挙げられる。
【0047】
〔II〕パドル型混合機
混合槽内部に撹拌軸を有し、この軸に撹拌羽根を取り付けて粉末の混合を行う装置で、水平軸型の混合機と垂直軸型の混合機とがある。水平軸型の混合機としては、例えば、レーディゲミキサー(マツボー製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)などがあり、垂直型の混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株))、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、ニュースピードニーダー(岡田精工(株)製)等が挙げられる。
【0048】
〔III〕円錐遊星スクリュー型混合機
逆円錐型容器に撹拌羽根として自転公転するスクリューを取り付けた混合機であり、例えば、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、SVミキサー(神鋼パンテック(株)製)等が挙げられる。
【0049】
せん断力が得られやすく混合効率が良いという点で、〔II〕パドル型混合機がより好ましく、スケールアップ時のデッドスペースができにくい、撹拌羽根によるせん断力によって発生する摩擦熱が蓄熱しにくいといった観点から、パドル型混合機の中でも水平軸型が好ましい。例えば、パドル型混合機であるレーディゲミキサー(マツボー製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株))、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、ニュースピードニーダー(岡田精工(株)製)、が好ましく、このなかでも水平軸型のレーディゲミキサー(マツボー製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)がより好ましい。
【0050】
容器固定型混合機を用いる場合の撹拌羽根の回転数は、造粒が進行した粒子をせん断力による破壊を避ける観点から、速くしすぎない方が好ましい。撹拌羽根の回転数を規定する尺度として、以下に定義するフルード数が挙げられる。
【0051】
フルード数=V/√(R×g)
V:撹拌羽根の先端の周速(m/s)
R:撹拌羽根の回転半径(m)
g:重力加速度(m/s2)
本発明の製造方法における撹拌造粒では、フルード数を10以下で運転することが好ましく、4以下で運転することがより好ましい。
【0052】
混合装置に装備する加熱装置としては、電熱ヒーターによる加熱方式、ウオータージャケットに温水を循環することによる加熱方式、温風を容器内に送り込むことによる加熱方式等が挙げられるが、本発明では、これらの方式に限定されず任意の方法を用いることができる。この中で、エネルギー費用、伝熱効率、加熱ムラが少ないといった点から、混合容器の外周壁にウォータージャケットを装備し、温水を循環する方式が好ましい。
【0053】
また、本発明に係る工程2における冷却方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。
【0054】
(1)前記混合装置に冷却機構を装備し、同一容器内で冷却する方式
すなわち、造粒を行った混合装置に冷却機構を設けておき、工程2に移る際、加熱手段を停止して冷却手段を作動させることで、造粒が完了した材料を冷却する。冷却手段としては、加熱手段と同様にチラーを装備するウォータージャケットに冷水を循環させる方法、容器内に冷風を送り込む方法等任意の方法を用いることができる。
【0055】
(2)別の混合装置に移し替えて冷却する方式
すなわち、工程1で造粒を行った後、別の混合機に造粒物を移し替えて撹拌しつつ冷却する。混合機は、前述の(a)容器回転型混合機、(b)容器固定型混合機、(c)流体運動型混合機いずれを用いても良い。また、別の混合機に移し替えた後の操作としては、単に撹拌するだけでも良いし、チラーを装備するウォータージャケットに冷水を循環させる方法、容器内に冷風を送り込む方法等の任意の冷却機構を設けて冷却効率を高めても良い。
【0056】
(3)別の容器に移し替えて放置する方式
すなわち、工程1で造粒を行った後、別の容器に造粒物を移し替えて放置することで冷却する。放置する部屋の環境温度を適宜調整するなどの工夫を施しても良い。
【0057】
冷却効率という観点からは、(2)の方式が好ましく、設備投資額が少なくてすむという観点からは、(1)または(3)の方式が好ましいが、生産工場の規模、必要生産能力を考慮して、任意の方法を用いればよい。
【0058】
本発明の製造方法により造粒された材料は、次いで固体化処理が施される。
固体化処理する方法としては、特開平4−29136号、同4−85535号、同4−85536号、同4−85533号、同4−85534号、同4−172341号、同2−109042号、同2−109043号、同3−39735号、同3−39739号、特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号、英国特許第1,213,808号等の各公報に記載の方法、すなわち、錠剤を作製する圧縮成形には、例えば、油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、ブリケッティングマシンを用いることができる。
【0059】
圧縮成形した錠剤型処理剤は、任意の形状を取ることが可能であるが、生産性、取扱い性の観点からまたはユーザーサイドで使用する場合の粉塵の問題から円筒型、いわゆる錠剤が好ましい。
【0060】
本発明に係る固体処理剤を適用できるハロゲン化銀写真感光材料としては、特に制限はなく、多種多様の写真要素、例えば、モノクロハロゲン化銀写真感光材料(一般用モノクロフィルム、医療用フィルム、印刷用フィルム等)、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができる。
【0061】
次いで、本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の構成要素について説明する。
【0062】
本発明の製造方法においては、結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と共に、水溶性結合剤を使用することが特徴の1つである。
【0063】
本発明に係る水溶性結合剤としては、水溶性高分子または糖類であることが好ましく、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、アクリル酸−アクリル酸エステル系共重合体、アクリル酸−アクリルアミド系共重合体、アクリル酸系ベタイン型共重合体、セルロース類、デキストリン類、デキストラン類、二糖類、単糖類などが挙げられ、具体的化合物としては、ポリビニルピロリドンK−17(例えば、BASF製ルビスコールK−17)、ソルビット、マンニット、でんぷん分解物(例えば、松谷化学製パインフロー、日殿化学製オイルQ)が好ましい。
【0064】
本発明では、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリドン、糖アルコール、デキストリンおよびそれらの誘導体が特に好ましく用いられる。
【0065】
本発明に好ましく用いられるポリアルキレングリコールは、下記一般式〔A〕で表される。
【0066】
一般式〔A〕
HO−(A)n1−(B)n2−(C)n3−H
上記一般式〔A〕おいて、A、BおよびCは、各々−CH2CH2O−、−CH(R)CH2O−、−CH2CH2CH2O−または−CH2CH(R)CH2O−を表す。Rは置換または未置換の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)または水酸基を表す。n1、n2およびn3は各々0または1〜500の整数を表す。一般式〔A〕で表される化合物の平均分子量は、1000〜20000の範囲が好ましい。ここでいう平均分子量は、水酸基価より算出したものである。
【0067】
以下に、本発明において好ましいポリアルキレングリコールの具体的例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0068】
【化1】
【0069】
上記具体的例示化合物の中でも、A−1で表されるいわゆるポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0070】
本発明で用いられるセルロース類としては、メチルセルロース、ジメチルセルロース、トリメチルセルロース、エチルセルロース、ジエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0071】
本発明で好ましく用いられるデキストリン類としては、アミロデキストリン、エリトロディストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン等が挙げられる。
【0072】
本発明でいう単糖類とは、単一のポリヒドロキシアルデヒド、ポリヒドロキシケトンおよびこれらの還元誘導体、酸化誘導体、デオキシ誘導体、アミノ誘導体、チオ誘導体等の広い範囲の誘導体の総称である。多くの糖は、一般式−CnH2nOn−で表されるが、この一般式で表される糖骨格から誘導される化合物も含めて、ここでは単糖類と定義する。これらの単糖類のうちで好ましいものは、炭素数が3〜7のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトースおよびその誘導体である。
【0073】
本発明に用いられる単糖類の具体的例示化合物を以下に示す。
(1)グリセルアルデヒド、(2)ジヒドロキシアセトン(二量体を含む)、(3)D−エリトロース、(4)L−エリトロース、(5)D−トレオース、(6)L−トレオース、(7)D−リボース、(8)L−リボース、(9)D−アラビノース、(10)L−アラビノース、(11)D−キシロース、(12)L−キシロース、(13)D−リキソース、(14)L−リキソース、(15)D−キシルロース、(16)L−キシルロース、(17)D−リブロース、(18)L−リブロース、(19)2−デオキシ−D−リボース、(20)D−アロース、(21)L−アロース、(22)D−アルトロース、(23)L−アルトロース、(24)D−グルコース、(25)L−グルコース、(26)D−マンノース、(27)L−マンノース、(28)D−グロース、(29)L−グロース、(30)D−イドース、(31)L−イドース、(32)D−ガラクトース、(33)L−ガラクトース、(34)D−タロース、(35)L−タロース、(36)D−キノボース、(37)ジギタロース、(38)ジギトキソース、(39)シマロース、(40)D−ソルボース、(41)L−ソルボース、(42)D−タガトース、(43)D−フコース、(44)L−フコース、(45)2−デオキシ−D−グルコース、(46)D−プシコース、(47)D−フルクトース、(48)L−フルクトース、(49)L−ラムノース、(50)D−ラムノース、(51)D−ガラクトサミン、(52)D−マンノサミン、(53)D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、(54)D−グリセロ−D−マンノヘプトース、(55)D−グリセロ−L−マンノヘプトース、(56)D−グリセロ−D−グロヘプトース、(57)D−グリセロ−D−イドヘプトース、(58)D−グリセロ−L−グルコヘプトース、(59)D−グリセロ−L−タロヘプトース、(60)D−アルトロヘプツロース、(61)D−マンノヘプツロース、(62)D−アルトロ−3−ヘプツロース、(63)D−グルクロン酸、(64)L−グルクロン酸等。
【0074】
単糖類のカルボニル基を還元して得られる多価アルコールを糖アルコールと呼び、本発明では特に好ましく用いられる。糖アルコールの具体的例示化合物を以下に示す。
【0075】
(65)トレイット、(66)エリトリット(エリスリトール)、(67)アラビット(アラビトール)、(68)リビット(リビトール)、(69)キシリット、(70)ソルビット(ソルビトール、グリシトール)、(71)マンニット(マンニトール)、(72)イジット、(73)タリット、(74)ズルシット(ガラクチトール)、(75)アリット(アロズルシット)等。
【0076】
本発明でいう二糖類とは、2分子の単糖類より成るものの総称であり、具体的例示化合物を以下に示す。
【0077】
(76)アガロビオース、(77)N−アセチルキトビオース、(78)N−アセチルラクトサミン、(79)イソマルトース、(80)キシロビオース、(81)ゲンチオビオース、(82)コージビオース、(83)スクロース(ショ糖)、(84)セロビオース、(85)ソホロース、(86)α,α−トレハロース、(87)マルトース(麦芽糖)、(88)メリビオース、(89)ラクトース(乳糖)、(90)ラミナリビオース、(91)ルチノース等。
【0078】
本発明で用いられるベタイン構造を有するビニル重合体は、重合性ビニル重合体の1分子中に陽イオンとして四級アンモニウムとカルボン酸の陰イオンを持った分子内塩を少なくとも1種構成単位として有する重合体を意味する。ベタイン構造には、溶液中もしくは結晶状態において、水和物、例えば、
R3N+CH2COO−+H2O→(OH)−R3N+CH2COOH
の形で存在しているものも含まれる。
【0079】
ベタイン構造を有する重合性ビニル単量体を単独で重合させたものであっても良いが別の重合性ビニル単量体と共重合させることが好ましい。本発明では、下記一般式IおよびIIで表される重合性ビニル単量体をそれぞれ少なくとも1種含む共重合体であることが好ましい。
【0080】
【化2】
【0081】
この場合、一般式IおよびIIで表される単量体以外に、他の重合性ビニル単量体を共重合させてもよい。上記一般式Iにおいて、R1は水素原子またはメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。R2およびR5はそれぞれ炭素数1〜4のアルキレン基を表し、特に、メチレン基もしくはエチレン基が好ましい。R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜18のアルキル基を表し、特にメチル基もしくはエチル基が好ましい。また、Aは酸素原子またはNH基を表し、特に酸素原子が好ましい。上記一般式IIにおいて、R6はR1同様、水素原子またはメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。R7は炭素数1〜18の飽和、不飽和のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。本発明で用いられる重合体の好ましい重合比率は、一般式Iで表される単量体20〜60質量%、一般式IIで表される単量体30〜70質量%、および他の重合性ビニル単量体0〜50質量%である。
【0082】
上記単量体は、特開昭55−17009号に記載の方法等により合成できる。前記重合体は、例えば、三菱油化社製(ユカフォーマー)として市販されている。
【0083】
本発明の製造方法においては、造粒により所望の粒径にし、圧縮成型して錠剤型の固体処理剤とする場合、十分な硬度を得るために、最低限必要な水溶性結合剤は、原材料の総量に対して1質量%以上である。また、水溶性結合剤を20質量%以上含有すると、造粒が過剰に進行して粒子が大きくなりすぎたり、処理液に溶解した際不溶解が出て写真処理特性に悪影響が出たり、又原材料コスト高となったりすることから、1〜20質量%が、本発明の好ましい範囲であり、より好ましくは、2〜15質量%の範囲である。
【0084】
次いで、本発明の製造方法で用いられる原材料の詳細について説明する。
本発明に係る固体処理剤が、カラー発色現像で用いる発色現像剤である場合には、発色現像主薬を使用する。
【0085】
本発明で用いることのできる発色現像主薬としては、p−フェニレンジアミン誘導体(以下、p−フェニレンジアミン系化合物ともいう)、特に水溶性基を有するp−フェニレンジアミン系化合物が好ましい。
【0086】
水溶性基を有するp−フェニレンジアミン系化合物は、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン等の水溶性基を有しないパラフェニレンジアミン系化合物に比べ、ハロゲン化銀写真感光材料の汚染がなくかつ皮膚についても皮膚がカブレにくいという長所を有する。
【0087】
前記水溶性基は、p−フェニレンジアミン系化合物のアミノ基またはベンゼン核上に少なくとも1つ有するものが挙げられ、具体的な水溶性基としては−(CH2)n−CH2OH、−(CH2)m−NHSO2−(CH2)nCH3、−(CH2)m−O−(CH2)n−CH3、−(CH2CH2O)nCmH2m+1(m及びnはそれぞれ0以上の整数を表す。)、−COOH基、−SO3H基等が好ましいものとして挙げられる。
【0088】
本発明に好ましく用いられる発色現像主薬の具体的例示化合物としては、特開平4−86741号公報の第26〜31頁に記載されている(C−1)〜(C−16)が挙げられる。
【0089】
上記発色現像主薬は、通常、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の塩の形態で用いられる。
【0090】
また、前記発色現像主薬は単独であるいは二種以上併用して、また所望により黒白現像主薬、例えば、フェニドン、4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル−3−ピラゾリドンやメトール等と併用して用いてもよい。
【0091】
また、本発明においては、発色現像剤中に、特開2000−2974号公報の段落番号〔0099〕〜同〔0112〕に記載の一般式[A]及び[B]で示される化合物を含有することができる。上記化合物を用いることにより、固体処理剤化されると他の化合物に比べ錠剤の保存性が良くなるばかりでなく、錠剤強度も保てるという点で効果があり、しかも写真性能的に安定で未露光部にも生じるカブリも少ないという利点もある。
【0092】
本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤中には、保恒剤として亜硫酸塩を微量用いることができる。該亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0093】
本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤には、緩衝剤を用いることが好ましく、緩衝剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ酸)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができる。
【0094】
現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等に表されるチオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,610,122号及び同4,119,462号記載のp−アミノフェノール類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドロジン類、メソイオン型化合物、イオン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて添加することができる。
【0095】
また、カブリ防止等の目的で塩素イオン及び臭素イオンを用いることができる。本発明においては、好ましくは塩素イオンとして1.0×10−2〜1.5×10−1モル/L、より好ましくは4×10−2〜1×10−1モル/L含有する。従って、本発明に係る固体処理剤には、処理槽のカラー現像液が上記の濃度範囲になる様に調整することが好ましい。
【0096】
本発明において、処理槽中のカラー現像液中に臭素イオンを好ましくは3.0×10−3〜1.0×10−3モル/L含有する。これも塩素イオンと同様、固形処理剤中の臭素濃度を上記の範囲になる様に調整することが好ましい。
【0097】
発色現像剤に直接添加される場合、塩素イオン供給物質として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化カドミウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは塩化ナトリウム、塩化カリウムである。
【0098】
また、発色現像剤及び現像剤中に添加される蛍光増白剤の対塩の形態で供給されてもよい。臭素イオンの供給物質として、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化ニッケル、臭化カドミウム、臭化セリウム、臭化タリウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは臭化カリウム、臭化ナトリウムである。
【0099】
本発明に用いられる発色現像剤及び現像剤には、必要に応じて、塩素イオン、臭素イオンに加えて任意のカブリ防止剤を添加できる。カブリ防止剤としては、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げることができる。
【0100】
本発明に用いられる発色現像剤及び現像剤には、トリアジニルスチルベン系蛍光増白剤を含有させることができる。
【0101】
本発明で用いることのできる蛍光増白剤としては、特開2000−2974号公報の段落番号〔0122〕〜同〔0135〕に詳細が記載されている一般式[E]で示される化合物が好ましい。
【0102】
更に、本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤組成物には、必要に応じて、メチルセロソルブ、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、β−シクロデキストリン、その他特公昭47−33378号、同44−9509号各公報記載の化合物を現像主薬の溶解度を上げるための有機溶剤として使用することができる。
【0103】
更に、現像主薬とともに補助現像剤を使用することもできる。これらの補助現像剤としては、例えばメトール、フェニドン、N,N−ジエチル−p−アミノフェノール塩酸塩、N,N,N′,N′−テトラメチル−p−フェニレンジアミン塩酸塩等が知られている。
【0104】
更にまた、その他ステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効果促進剤等各種添加剤を用いることができる。
【0105】
また、発色現像剤及び黒白現像剤組成物には、特開平4−118649号公報第63頁下から第8行〜第64頁下から第3行に記載の一般式[K]で示されるキレート剤及びその例示化合物K−1〜K−22を用いることができる。
【0106】
これらキレート剤の中でも、とりわけ、K−2、K−9、K−12、K−13、K−17、K−19が好ましく用いられ、とりわけ特に、K−2及びK−9が好ましい。
【0107】
これらキレート剤の添加量は発色現像液及び黒白現像液1l当たり0.1〜20gの範囲になる様に固形処理剤に添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜8gの範囲である。
【0108】
更にまた、上記発色現像剤及び黒白現像用固体処理剤にはアニオン、カチオン、両性、ノニオンの各界面活性剤を含有させることができる。
【0109】
また、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加してもよい。
【0110】
本発明に係る固体処理剤が漂白剤又は漂白定着剤である場合、好ましく用いられる漂白主剤は、下記一般式[C]で表わされる有機酸の第2鉄錯塩である。
【0111】
【化3】
【0112】
一般式[C]において、A1〜A4はそれぞれ同一でも異ってもよく、−CH2OH、−COOM又は−PO3M1M2を表す。M、M1、M2はそれぞれ水素原子、アルカリ金属又はアンモニウムを表す。Xは炭素数3〜6の置換、未置換のアルキレン基を表す。
【0113】
一般式[C]で表わされる有機酸の第2鉄錯塩は、漂白能力が高い為に固形する際の使用量が少なくても済み、軽量化、小型化の錠剤化が計れるばかりでなく錠剤化した時の錠剤の保存性が良くなるという効果があり好ましい。
【0114】
前記一般式[C]で示される化合物の好ましい具体例として、以下の化合物を挙げることができる。
【0115】
【化4】
【0116】
【化5】
【0117】
これら(C−1)〜(C−12)の化合物の第2鉄錯塩としては、これらの第2鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩を任意に用いることができる。本発明の目的の効果及び溶解度の点からは、これらの第2鉄錯塩のアンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0118】
前記化合物例の中で、本発明において特に好ましく用いられるものは、(C−1)、(C−3)、(C−4)、(C−5)、(C−9)であり、とりわけ特に好ましいものは(C−1)である。
【0119】
本発明において漂白剤又は漂白定着剤には、漂白主剤として上記一般式[C]で示される化合物の鉄錯塩以外に、下記化合物の第2鉄錯塩等を用いることができる。
【0120】
〔A−1〕エチレンジアミン四酢酸
〔A−2〕トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸
〔A−3〕ジヒドロキシエチルグリシン酸
〔A−4〕エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
〔A−5〕ニトリロトリスメチレンホスホン酸
〔A−6〕ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸
〔A−7〕ジエチレントリアミン五酢酸
〔A−8〕エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸
〔A−9〕ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸
〔A−10〕エチレンジアミンジプロピオン酸
〔A−11〕エチレンジアミンジ酢酸
〔A−12〕ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
〔A−13〕ニトリロトリ酢酸
〔A−14〕ニトリロ三プロピオン酸
〔A−15〕トリエチレンテトラミン六酢酸
〔A−16〕エチレンジアミン四プロピオン酸
〔A−17〕β−アラニンジ酢酸
前記有機酸第2鉄錯塩の添加量は、漂白液又は漂白定着液1Lとしたときに、0.01モル〜2.0モルの範囲で含有することが好ましく、従って、固体処理剤は処理槽中の漂白液又は漂白定着液の有機酸第2鉄錯塩の濃度が上記範囲になる様に調整する。
【0121】
漂白剤、漂白定着剤及び定着剤には、特開昭64−295258号明細書に記載のイミダゾール及びその誘導体又は同明細書記載の一般式[I]〜[IX]で示される化合物及びこれらの例示化合物の少なくとも一種を含有することにより迅速性に対して効果を奏しうる。
【0122】
上記の促進剤の他、特開昭62−123459号公報の第51頁から第115頁に記載の例示化合物及び特開昭63−17445号公報の第22頁から第25頁に記載の例示化合物、特開昭53−95630号、同53−28426号公報記載の化合物等も同様に用いることができる。
【0123】
漂白剤又は漂白定着剤には、上記以外に臭化アンモニウム、臭化カリウム、臭化ナトリウムの如きハロゲン化物、各種の蛍光増白剤、消泡剤あるいは界面活性剤を含有せしめることもできる。
【0124】
本発明に係る固体処理剤が定着剤又は漂白定着剤である場合、定着剤又は漂白定着剤に用いられる定着主剤としては、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩が好ましく用いられる。チオシアン酸塩の含有量は少なくとも定着液又は漂白定着液1L当り0.1モル以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル以上であり、特に好ましくは1.0モル以上である。またチオ硫酸塩の含有量は少なくとも0.2モル以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル以上である。また本発明においては、チオシアン酸塩とチオ硫酸塩を併用することが好ましい。
【0125】
本発明に用いられる定着剤又は漂白定着剤には、これら定着主剤の他に各種の塩から成るpH緩衝剤を単独或いは2種以上含むことができる。更に、アルカリハライドまたはアンモニウムハライド、例えば、臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化アンモニウム等の再ハロゲン化剤を多量に含有させることが望ましい。また、アルキルアミン類、ポリエチレンオキサイド類等の通常定着剤又は漂白定着剤に添加することが知られている化合物を適宜添加することができる。
【0126】
定着剤または漂白定着剤には、特開昭64−295258号公報の第56頁に記載の一般式[FA]で示される化合物及びこの例示化合物を添加するのが好ましい。一般式[FA]で示される化合物を用いることにより、少量のハロゲン化銀写真感光材料を長期間にわたって処理する際に、定着能を有する処理液中でのスラッジの発生を抑制することができる。
【0127】
本発明に係る固体処理剤が安定剤である場合、安定剤には第2鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤を含有することが好ましい。ここにキレート安定度定数とは、L.G.Sillen・A.E.Martell著、”Stability Constants of Metal−ion Complexes”,TheChemical Society,London(1964)。S.Chaberek・A.E.Martell著、”Organic Sequestering Agents”,Wiley(1959)等により一般に知られた定数を意味する。
【0128】
第2鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤としては特開平3−182750号等に記載のものが挙げられる。
【0129】
上記キレート剤の使用量は、安定液とした際の安定液1L当り0.01〜50gが好ましく、より好ましくは0.05〜20gの範囲で良好な結果が得られる。
【0130】
また、安定剤に添加する好ましい化合物としては、アンモニウム化合物が挙げられる。これらは各種の無機化合物のアンモニウム塩によって供給される。アンモニウム化合物の添加量は、安定液とした際に、安定液1L当り0.001モル〜1.0モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.002〜2.0モルの範囲である。さらに安定剤には、亜硫酸塩を含有させることが好ましい。
【0131】
更に、安定剤には前記キレート剤と併用して金属塩を含有することが好ましい。かかる金属塩としては、Ba、Ca、Ce、Co、In、La、Mn、Ni、Bi、Pb、Sn、Zn、Ti、Zr、Mg、Al又はSrの金属塩があり、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の無機塩又は水溶性キレート剤として供給できる。
【0132】
また、安定剤には、有機酸塩(例えば、クエン酸、酢酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸等)、pH調整剤(例えば、リン酸塩、ホウ酸塩、塩酸、硫酸塩等)等を添加することができる。なお、本発明に係る固体処理剤においては、公知の防黴剤を使用することができる。
【0133】
本発明に係る固体処理剤が黒白用現像錠剤である場合、黒白用現像錠剤に用いることができる現像主薬としては、レダクトン類、特にアスコルビン酸及び/又はエリソルビン酸(立体異性)及びそれらの塩を含有することが好ましい。
【0134】
更に、以下のような現像主薬を含有しても良い。ジヒドロキシベンゼン類(例えば、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロモハイドロキノン、ジクロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸カリウム、ハイドロキノンモノスルホン酸ナトリウムなど)3−ピラゾリドン類(例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−エチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−2−アセチル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−(2−ベンゾチアゾール)−3−ピラゾリドン、3−アセトキシ−1−フェニル−3−ピラゾリドンなど)、アミノフェノール類(例えば、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−メチル−o−アミノフェノール、N−メチル−p−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノールなど)、1−アリル−3−アミノピラゾリン類(例えば、1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−メチルアミノフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−アミノ−m−メチルフェニル)−3−アミノピラゾリンなど)、ピラゾロン類(例えば、4−アミノピラゾロン)など、或いはこれらの混合物などが挙げられる。
【0135】
黒白用現像錠剤は、亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩を含有することが好ましい。更に錠剤を溶解し現像液とした場合の液中の亜硫酸塩量は0.05モル/リットル以上、0.3モル/リットル未満、更に0.1モル/リットル以上、0.3モル/リットル未満が好ましい。
【0136】
その他、緩衝剤として(例えば、炭酸塩、硼酸、硼酸塩、アルカノールアミンなど)、アルカリ剤、溶解助剤(例えば、ポリエチレングリコール類、及びこれらのエステルなど)、pH調整剤(例えば、クエン酸のごとき有機酸など)、増感剤(例えば、四級アンモニウム塩など)、現像促進剤、硬膜剤(例えば、グルタールアルデヒドなどのジアルデヒド類)、界面活性剤、更にカブリ防止剤としてアゾール系有機カブリ防止剤(例えば、インダゾール系、イミダゾール系、ベンツイミダゾール系、トリアゾール系、ベンツトリアゾール系、テトラゾール系、チアジアゾール系)、処理液に用いられる水道水中に混在するカルシウムイオンを隠蔽するための隠蔽剤としてヘキサメタ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸カルシウム、ポリ燐酸塩、ヂエチレントリアミン5酢酸等を含有させても良い。更に銀汚れ防止剤、例えば、特開昭56−24347号記載の化合物を用いることもできる。
【0137】
黒白用現像錠剤で得られる現像液のpHは10.5以下の範囲のものが好ましく、更に好ましくは9〜10.0の範囲である。
【0138】
黒白用現像錠剤で得られる現像液には、特開昭56−106244号に記載のアルカノールアミンなどのアミノ化合物を用いることができる。
【0139】
この他、本発明に係る黒白用現像錠剤で得られる現像液には、L.F.A.メソン著「フォトグラフィック・プロセッシング・ケミストリー」フォーカル・プレス社刊(1966年)の22〜229頁、米国特許第2,193,015号、同2,592,364号、特開昭48−64933号などに記載のものを用いてよい。
【0140】
一方、アルカリ剤としては緩衝作用を有する炭酸塩が好ましい。炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。更に、現像処理液中の炭酸塩量は、0.3モル/リットル以上0.8モル/リットル未満が好ましい。
【0141】
本発明に用いられる黒白用定着液は、固体処理剤である黒白用定着剤を調製し、溶解して調液することが好ましい。定着剤としては、定着主薬としてチオ硫酸塩を含有することが好ましい。チオ硫酸塩は、具体的には、リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウムの塩として用いられるが、好ましくは、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸ナトリウム塩として用いることにより、定着速度の速い定着液が得られる。
【0142】
その他、定着主薬として沃化物塩やチオシアン酸塩なども用いることができる。本発明に用いられる黒白用定着液は、亜硫酸塩を含有する。亜硫酸塩としては、固体リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩等が用いられる。
【0143】
本発明に用いられる黒白用定着剤は、水溶性クロム塩又は水溶性アルミニウム塩等を含有しても良い。水溶性クロム塩としてはクロム明ばんなどが挙げられ、水溶性アルミニウム塩としては硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムカリウム、塩化アルミニウムなどを挙げることができる。
【0144】
本発明に用いられる黒白用定着剤には酢酸イオンを含有することができる。酢酸イオンの種類は任意で、定着液中での酢酸イオンを解離する任意の化合物に対して本発明は適用できるが、酢酸や酢酸のリチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩などが好ましく用いられ、特にナトリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。更に、クエン酸、酒石酸、りんご酸、琥珀酸、フェニル酢酸及びこれらの光学異性体などが含まれてもよい。これらの塩としては、例えば、クエン酸カリウム、クエン酸リチウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸水素リチウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素アンモニウム、酒石酸アンモニウムカリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、りんご酸ナトリウム、りんご酸アンモニウム、琥珀酸ナトリウム、琥珀酸アンモニウムなどに代表されるリチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩などが好ましい物として挙げられる。
【0145】
キレート剤としては、例えば、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸類及びこれらの塩などが挙げられる。
【0146】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル化物、スルホン化物などのアニオン活性剤、ポリエチレングリコール系、エステル系などのノニオン界面活性剤、両性活性剤などが挙げられる。湿潤剤としては、例えばアルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。
【0147】
定着促進剤としては、チオ尿素誘導体、分子内に三重結合を有するアルコール、チオエーテルなどが挙げられる。
【0148】
【実施例】
以下、実施例を示し本発明の構成及び効果を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0149】
実施例1
《顆粒の作製》
〔顆粒1−1の作製〕
以下に記載の方法に従って、比較例の顆粒1−1を作製した。
【0150】
操作1:メタヒドロキシベンズアルデヒドを45kg、三井ヘンシェルミキサーFM−500J(三井金属(株)製)に投入し、900rpmで3分間撹拌して微粉末状に粉砕した。
【0151】
操作2:続いて、ヘンシェルミキサーに、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを7.5kg、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを60kg、亜硫酸ナトリウム(無水)を30kg、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK−17 BASF製)を7.5kg、それぞれ投入し、215rpmで撹拌羽根を回転しつつ、純水を原材料の総質量に対して4.0質量%相当量添加し、添加終了後1分間撹拌して造粒を行った。
【0152】
操作3:この造粒物を流動層乾燥機スリットフローFB−15(大河原製作所製)に投入し、55℃の温風で3時間乾燥して、顆粒1−1を作製した。乾燥後の顆粒の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法で測定)であった。
【0153】
〔顆粒1−2の作製〕
以下に記載の方法に従って、比較例の顆粒1−2を作製した。
【0154】
操作1:メタヒドロキシベンズアルデヒドの45kgを、三井ヘンシェルミキサーFM−500J(三井金属(株)製)に投入し、900rpmで3分間撹拌して微粉末状に粉砕した。
【0155】
操作2:続いて、ヘンシェルミキサーに、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを7.5kg、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを60kg、亜硫酸ナトリウム(無水)を30kg、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK−17 BASF製)を7.5kg、それぞれ投入し、215rpmで撹拌羽根を回転しつつ、界面活性剤として1−オクタンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液を、原材料の総質量に対して0.4質量%相当量添加し、添加終了後1分間撹拌して造粒を行った。1−オクタンスルホン酸ナトリウム1質量%水溶液の表面張力は40dyn/cm2であった。
【0156】
操作3:次いで、ミキサー内を13.3kPaに減圧しつつ、ウォータージャケットに55℃の温水を循環して原材料を加温しながら215rpmで2時間撹拌し、減圧乾燥を行って、顆粒1−2を作製した。乾燥後の顆粒の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0157】
〔顆粒1−3の作製〕
以下に記載の方法に従って、本発明の顆粒1−3を作製した。
【0158】
操作1:メタヒドロキシベンズアルデヒドの45kgを、三井ヘンシェルミキサーFM−500J(三井金属(株)製)に投入し、900rpmで3分間撹拌して微粉末状に粉砕した。
【0159】
操作2:続いて、ヘンシェルミキサーに、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを7.5kg、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを60kg、亜硫酸ナトリウム(無水)を30kg、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK−17 BASF製)を7.5kg、それぞれ投入し、ウォータージャケットに75℃の温水を循環し原材料を加熱しながら、215rpm(フルード数7に相当)で撹拌して造粒を行った。このとき混合物の温度を65℃まで上昇したとき、所望の粒子径まで成長した。また、使用した原材料の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0160】
操作3:次に、ウォータージャケットを15℃の水に切り替えて、羽根を215回転で回転しつつ、温度が40℃に下がるまで冷却して、顆粒1−3を作製した。この顆粒1−3の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0161】
〔顆粒1−4の作製〕
以下に記載の方法に従って、レーディゲミキサーを用いて本発明の顆粒1−4を作製した。
【0162】
操作1:メタヒドロキシベンズアルデヒドの90kgを、レーディゲミキサーFKM−1200D((株)マツボー製)に投入し、解砕用チョッパーを3000rpmで回転しつつ、撹拌用スキ状ショベルを100rpmで10分間撹拌して微粉末状に粉砕した。
【0163】
操作2:続いて、レーディゲミキサーに、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを15kg、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを120kg、亜硫酸ナトリウム(無水)を60kg、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK−17 BASF製)を15kgを、それぞれ投入し、ウォータージャケットに75℃の温水を循環して原材料を加熱しながら、スキ状ショベルを100rpm(フルード数2.4に相当)で撹拌して造粒を行った。このとき混合物の温度を65℃まで上昇したとき、所望の粒子径まで成長した。また、使用した原材料の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0164】
操作3:次に、ウオータージャケットを15℃の水に切り替えて、ショベル回転数115rpmで撹拌し、顆粒の温度が40℃に下がるまで冷却して、顆粒1−4を作製した。この顆粒1−4の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0165】
《顆粒の評価》
〔粒度分布の測定〕
エアージェットシーブ(ホソカワミクロン製)を用い、篩い分け法により125μm未満、125μm〜1.49mm、1.50mm以上の3つの粒径群に篩い分けた後、各粒径群の質量比率(%)を求めた。
【0166】
〔固体処理剤の高温保存安定性の評価〕
(錠剤の作製)
上記作製した顆粒1−1〜1−4の各々5kgに、1−オクタンスルホン酸スルホン酸ソーダ100gずつ添加し、クロスロータリー混合機で3分間混合した後、ロータリー打錠機タブコレクト18HU(菊水製作所製)で直径30mmの臼とスミカク杵を用いて、1錠あたり9gの質量で50kNの打錠圧で圧縮成型し、各錠剤500個を作製した。
【0167】
(錠剤の評価)
錠剤の高温保存性は、作製した各錠剤の中から無作為にサンプリングし、それぞれをアルミラミネートフィルムで個別に包装し、これを50℃の恒温槽中で1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間保存したのち、各錠剤の着色の程度と純水3.5リットルに錠剤を1錠溶解したときの溶液状態を目視観察し、下記の基準に則り恒温保存安定性の評価を行った。
【0168】
溶解方法としては、純水3.5リットルを5リットルビーカーに入れ、35℃に水温を調整しつつ錠剤を1錠入れ、マグネチックスターラーにて2時間撹拌して調製した。
【0169】
尚、高温保存後に生成する着色物質は、水への溶解度が低く、あまり多く生成すると不溶解物が残ってしまうことが判っている。
【0170】
◎:全く錠剤に着色が認められず、また溶液中に不溶解物が認められない
○:わずかに錠剤に着色は認められるが、溶液中での不溶解物の発生はない
△:錠剤は薄茶色に着色しているが、溶液中での不溶解物の発生はなく、実用上許容の範囲にある
×:錠剤は茶褐色に変色し、また溶液中で不溶解物の発生が僅かに認められる
××:錠剤は濃茶褐色に変色し、また溶液中に多量の不溶解物の発生が認められる
以上により得られた結果を表1に示す。
【0171】
【表1】
【0172】
表1の結果より明らかな様に、本発明の製造方法により作製した顆粒1−3及び1−4は、比較例に対し、粒度分布が狭く、かつ高温下での保存安定性に優れていることが分かる。
【0173】
実施例2
《顆粒の作製》
実施例1に記載の顆粒1−3の作製において、顆粒作製に用いる原材料の含水率を、表2に記載の様に変更した以外は同様にして、顆粒2−1〜2−7を作製した。
【0174】
《顆粒の評価》
上記作製した顆粒2−1〜2−7と、実施例1で作製した顆粒1−3について、実施例1に記載の方法に従って、粒度分布の測定と固体処理剤の高温保存安定性の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
【0175】
【表2】
【0176】
表2の結果より明らかな様に、本発明の顆粒の中でも、特に、含水率が0.2〜2.0質量%の範囲にある原材料を使用することにより、本発明の目的効果がより一層発揮されていることが分かる。
【0177】
実施例3
《顆粒の作製》
実施例1に記載の顆粒1−3の作製において、顆粒作製時の攪拌回転数(フルード数)を、表3に記載の様に変更した以外は同様にして、顆粒3−1〜3−3を作製した。
【0178】
《顆粒の評価》
上記作製した顆粒3−1〜3−3と、実施例1で作製した顆粒1−3について、実施例1に記載の方法に従って、粒度分布の測定と固体処理剤の高温保存安定性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
【0179】
【表3】
【0180】
表3の結果より明らかな様に、本発明の顆粒の中でも、特に、顆粒作製時の攪拌回転数(フルード数)を、300rpm(10フルード)以下とすることにより、本発明の目的効果がより一層発揮されていることが分かる。
【0181】
実施例4
《現像処理液の準備》
以下に記載の組成からなるカラーネガティブ用の現像処理液を準備した。
【0182】
〔発色現像スタート液(タンク母液):1Lあたり〕
亜硫酸ナトリウム 4.5g
炭酸カリウム 33.0g
ジレチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 4.0g
硫酸ヒドロキシルアミン 3.0g
臭化アンモニウム 1.3g
沃化アンモニウム 2.0mg
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
硫酸塩 4.5g
水を加えて1Lとし、水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて、pHを10.0に調整した。
【0183】
〔漂白スタート液(タンク母液):1Lあたり〕
1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム 133g
1,3−プロピレンジアミン4酢酸ナトリウム 5g
臭化アンモニウム 60g
マレイン酸 40g
コハク酸 40g
水を加えて1Lとし、アンモニア水または20%硫酸を用いて、pHを4.3に調整した。
【0184】
〔定着スタート液(タンク母液):1Lあたり〕
チオ硫酸アンモニウム 175g
亜硫酸ナトリウム 20g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 2g
2−メルカプト−1,3,4−トリアゾール 2g
水を加えて1Lとし、アンモニア水または20%硫酸を用いて、pHを7.3に調整した。
【0185】
〔安定スタート液(タンク母液):1Lあたり〕
m−ヒドロキシベンズアルデヒド 1.0g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.2g
水を加えて1Lとし、アンモニア水または20%硫酸を用いて、pHを7.0に調整した。
【0186】
《現像処理条件》
上記各処理液を用いて、コニカ社製の自動現像機(カラーネガティブフィルムプロセッサー)KP46Jを改造して、下記の条件で現像処理を行った。
【0187】
現像処理は、カラーネガフィルムとして標準的なシーンを撮影したコニカ社製のCENTURIA SUPER100を用いて、下記の安定槽(1〜3槽)のタンク容量の1.5倍容積分の補充がなされるまで、連続処理を行った。
【0188】
なお、各処理液の補充方法は、コニカ社製のECOJET−N Type 03−LRの発色現像剤、漂白剤及び定着剤の各錠剤を使用した。また、安定用の錠剤は、前記実施例1で作製した錠剤1−1〜1−4を、それぞれ50℃の恒温槽中で3ヶ月間保存したものを使用した。
《フィルム汚れの評価》
上記方法に従って得られたランニング処理済みのカラーネガフィルム表面を目視観察し、下記の基準に則りフィルム汚れの評価を行った。
【0189】
○:フィルム表面に、全く汚れの付着が認められない
△:フィルム表面に、極わずかな汚れの付着が認められが、プリントへの影響はなく、実害性はない
×:フィルム表面に、明らかに汚れの付着が認められ、プリントへの影響が懸念される
××:フィルム表面に、激しい汚れの付着が認められ、プリントへの影響が大きい
以上により得られた結果を、表4に示す。
【0190】
【表4】
【0191】
表4の結果より明らかなように、高温保存処理を施した安定用錠剤を用いて、カラーネガティブフィルムの連続処理を行っても、本発明の顆粒より作製した錠剤は、比較例に対し、連続処理をおこなっても、フィルムへの汚れの付着が少ないことが分かる。
【0192】
【発明の効果】
本発明により、外部からの溶液(水等)の供給なしに、粒度分布が狭く、高温保存安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法に関し、詳しくは、高温条件等での長期保存安定性が改良されたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料は、像様に露光が施された後、現像、脱銀、洗浄、安定化等の各処理工程を経て処理される。処理は、通常自動現像機で行われ、処理液の活性度を一定に保つように補充液で補充する方法が一般に広く用いられている。補充液の補充は、ハロゲン化銀写真感光材料からの溶出物の希釈、蒸発量の補正及び消費成分の補充を目的としている。このような補充処理剤は、濃縮溶液の状態で製造、輸送、保管され、使用時には一定量の水で希釈して補充液として用いられる。しかし、液体処理剤の容器として用いられているプラスチックボトルは、液体危険物の輸送に対する安全性や使用後の廃棄に対する規制が強化されてきている状況にあり、業界では、ボトルを使用しない固体処理剤の使用が普及しはじめている。
【0003】
一般に、錠剤型の固体処理剤の製造方法としては、処理剤の構成成分を混合し、直接圧縮する直接打錠法や、攪拌造粒機を使用し、結合剤を添加し造粒、乾燥、整粒等の工程を経て打錠用顆粒を製造する方法、更に、近年では、流動層造粒乾燥機を使用し打錠用顆粒を製造し、圧縮打錠する間接打錠法が知られている。
【0004】
上記攪拌造粒機を使用し、結合剤を添加し造粒、乾燥、整粒等の工程を経て打錠用顆粒を製造する攪拌造粒法としては、一般的は、混合槽内に挿入された原材料に、外部から液体(この場合は、水あるいは有機溶媒、あるいは、種々の結合剤を水、有機溶媒に溶解した溶液などを指す)を添加し、種々の形状をした撹拌羽根を回転させることにより、せん断、転動、圧密作用などを与えて目的とする造粒物を得る方法である。このような撹拌造粒では、外部より添加された液体が撹拌羽根により分散されることで凝集力を生じ、造粒が進行するものである。
【0005】
ハロゲン化銀写真感光材料用の固体処理剤の製造方法としては、例えば、層内温度を20℃以上、80℃以下の温度で、特定の質量平均粒径を有する粉粒体を、気流により流動層状態に保ち結合水を用いて噴霧造粒する流動層造粒法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、乾燥工程が必要となり、また多量の水分添加が必要となる。
【0006】
また、融点が40℃以上、80℃以下である水溶性結合剤を含有する粉体原料を湿式攪拌造粒し、得られた造粒物を流動層により水溶性結合剤の融点以上、80℃以下の温度で乾燥する湿式攪拌造粒法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
上述の様に外部から液体を添加して造粒する場合には、如何に液体を均一分散するかが、造粒の均一性を支配する重要な因子である。しかしながら、上記の様な水溶性の原材料によって製造されるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の場合、液添加後、均一分散する以前から粉体同士が凝集し造粒が始まってしまうため、外部から液体を添加する方式では、均一分散性には限界があった。このため、造粒の進行が不均一になり、造粒不足により微粉末が残ってしまったり、一方では、造粒過多により粗大粒子ができてしまったりする。具体的には、粒子径125μm以下の顆粒は、流動性が悪く、ブロッキングを起こしやすく、取り扱い性の悪い好ましくない顆粒である。また、粒子径1.5mm以上の顆粒は、溶解性が悪く、圧縮成型し錠剤にする場合は成形性が悪く、得られる錠剤の硬度が低く、個々の錠剤の質量もばらつくことから好ましくない粗大粒子である。これらの好ましくない粒径を有する顆粒については、篩い分けにより除去することも可能ではなるが、この場合、不良品歩留まりが増えるため、製造コスト上は、なるべくこれら好ましくない粒子を減らす必要がある。更に、外部より水を添加した場合、造粒が終了した後に乾燥工程を必要として、コスト負荷の増大や造粒の環境(温湿度等)による影響を受けやすくなる。
【0008】
上記課題に対し、湿式撹拌造粒法で製造するハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤において、湿式撹拌造粒に使用する添加水の表面張力を規定し、かつ添加する水分量を固体量に対して5質量%以下に規定した造粒方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。本発明の方法では、上記方法に対し造粒後の乾燥工程は不要となるが、微量の水分を多量の原材料粉体へ均一に付与することが難しく、造粒後の顆粒粒子間での含水率の変動を起こしやすくなる。また、この方法は、水分との親和性が高く、造粒しやすい一部の水溶性無機化合物への適用に制限されるという課題を有している。
【0009】
また、発色現像主薬の造粒方法において、結晶水を含む発色現像主薬粉体を原材料として用意する工程、粉体原材料を加温する工程、粉体原材料を加圧する工程、各工程によって加温、加圧されて造粒された材料を冷却する工程とからなる発色現像主薬の造粒方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この方法では、新たに加圧手段が必要となり、設備的な負荷が増大するという課題を抱えている。
【0010】
以上の様に、錠剤型の固体処理剤の製造方法として、種々の方法の提案がなされているが、乾燥工程や加圧装置といった設備的な負荷が伴い、また水分による均一分散性や、顆粒間での含水率を均一の調整することが困難であり、また水との親和性が低く造粒し難い有機化合物でも、微量の水分で造粒が可能な新たな造粒方法の開発が要望されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−137057号公報 (特許請求の範囲)
【0012】
【特許文献2】
特開平8−146566号公報 (特許請求の範囲)
【0013】
【特許文献3】
特開2000−2974号公報 (特許請求の範囲)
【0014】
【特許文献4】
特開2002−72423号公報 (特許請求の範囲)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、外部からの溶液(水等)の供給なしに、粒度分布が狭く、高温保存安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
【0017】
1.粉体である原材料に対し熱を付加する手段と、該原材料を撹拌する手段とを備えた混合装置を用いて撹拌造粒を行うハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法において、予め結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と、水溶性結合剤とを、外部からの溶液を添加せずに撹拌しながら、該原材料を、熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱する工程1を経て造粒し、次いで造粒された材料を、該原材料が熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以下に冷却する工程2により造粒を終了させることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0018】
2.前記水溶性結合剤の融点が、前記原材料の熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度よりも高いことを特徴とする前記1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0019】
3.前記原材料の熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度が、40℃以上、100℃以下であることを特徴とする前記1または2項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0020】
4.前記原材料の結晶水または自由水の含有率が、原材料の総質量に対して0.2〜2.0質量%であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0021】
5.前記混合装置が、容器固定型混合装置であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0022】
6.前記容器固定型混合装置が攪拌機構を装備し、該撹拌機構が、フルード数10以下の回転数で回転することを特徴とする前記5項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0023】
7.前記容器固定型混合装置が、水平軸型であることを特徴とする前記6項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0024】
8.前記容器固定型混合装置が、レーディゲミキサーであることを特徴とする前記7項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
【0025】
9.前記1〜8項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法により製造した固体処理剤を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
【0026】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、粉体である原材料に対し熱を付加する手段と、該原材料を撹拌する手段とを備えた混合装置を用い、予め結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と、水溶性結合剤とを、外部からの溶液を添加せずに撹拌しながら、該原材料を、熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱する工程1を経て造粒し、次いで造粒された材料を、該含有水分を放出する温度以下に冷却する工程2により造粒を終了させることにより、粒度分布が狭く、高温保存安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0027】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法(以下、単に本発明の製造方法ともいう)は、撹拌造粒過程で、外部からの溶液、例えば、水等の供給を必要としない造粒方法である。代わりに、使用する原材料粉体が予め含有している結晶水または自由水を造粒過程で利用することが特徴である。
【0028】
本発明でいう結晶水とは、原材料の結晶中に一定の比率で含まれている水をいい、結晶内の一定の位置に固定されている水である。一定の温度範囲で一定の水蒸気圧を示し、加熱すれば特定の温度で段階的に脱水が起こる。また、自由水とは、結晶に存在する水のうち、結晶水以外の通常の水の状態をとっている部分を言う。すなわち結晶中に比較的ゆるい結合で包含されている水をいう。自由水も結晶水と同様、加熱すれば特定の温度で脱水が起こる。従って、これら結晶水または自由水は、工程1にて、原材料が加熱されることで水蒸気となり原材料から放出される。この放出された水蒸気を原材料中に予め含有されている水溶性結合剤が吸収することで、水溶性結合剤の粘着性が増大し、これが粉体粒子間の接着剤となって造粒が進行する。この過程において、結晶水または自由水は、一旦水蒸気という気体の状態を経て、分子レベルで水溶性結合剤に吸収されるため、従来のように添加水を直接添加する方法に比べて、極めて短時間で、極めて均一に、原材料全体に分布させることができる。
【0029】
本発明の製造方法においては、原材料が予め含有しているような極めて少ない水分、すなわち、0.2質量%以上の含有水分であれば造粒が進行する。そして、造粒の進行は、部分的に進行しすぎることなく、均一に進行し、微粉末や粗大粒子の発生なども大幅に低減される。一方、2.0質量%を超える含有水分では、加熱により放出される水蒸気が多くなりすぎ、造粒が過剰に進行してしまう場合がある。この場合も、均一にすべての粒子が大きくなり、造粒としては安定であるが、粒子が大きくなりすぎた場合には、前述の通り、不具合が発生する。従って、本発明の製造方法においては、原材料の結晶水または自由水の含有率が、原材料の総質量に対して0.2〜2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜1.0質量%の範囲である。
【0030】
尚、通常、ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造に用いる原材料の含水率、すなわち結晶水または自由水の原材料総量に対する含有比率(質量%で表す)の多くは2.0質量%以内であって、必ずいくらかの含水率を有している。
【0031】
工程1で造粒が進行し、所望の大きさまで粒子が成長した後、従来の撹拌造粒では、必須であった乾燥工程は、本発明では必要としない。すなわち、従来の様な外部から水分を添加する方法では、撹拌によるせん断力を用いても十分には均一分散されないため、造粒に必要な量よりもかなり余分の水分を添加しなければならなかったため、この余分な水分を乾燥するための乾燥工程が必要とされている。これに対し、本発明の製造方法では、必要最低限の水分が、原材料の結晶水または自由水から供給されて造粒が進行するため、余分な水分を乾燥する必要がない。この効果は、従来、決して乾燥工程を省くことができなかった、比較的水との親和性の低い有機化合物が主成分の固体処理剤においても、原材料の結晶水または自由水から供給される水分により均一な造粒が可能となり、その結果、全てのハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を製造する上で、乾燥工程の必要が無くなり、設備コスト低減あるいは生産効率の観点で、飛躍的な改良を果たすことができる。
【0032】
本発明の製造方法においては、工程1で造粒が進行し所望の大きさまでに粒子が成長した後、乾燥工程を経ずに、工程2に移る。工程2では、造粒された材料を冷却することにより水溶性結合剤が含有していた水分が、再び元の原材料成分に再吸収され、結晶水または自由水の状態に戻る。その結果、水溶性結合剤は、粘着性を失い、結果として造粒が終了する。この水溶性結合剤から元の原材料成分に水分が戻っていく過程も分子レベルで進行するため、造粒の終了も部分的な不均一が無く、この工程2において、粗大粒子が発生したりすることは無い。このような工程2において造粒の終了過程を引き起こすには、冷却によって顆粒の温度が、結晶水または自由水が原材料粉体から水蒸気として放出されてしまう温度より低く設定することが、必要となる。
【0033】
上述の様に、本発明においては、工程1では、原材料を熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱し、また工程2では、造粒された材料を、原材料が熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以下に冷却することが特徴であるが、上記で規定する熱質量分析法の詳細について、以下説明する。
【0034】
物質の含水量の測定方法としては、例えば、熱質量分析法、示差熱分析、市販の赤外水分計による測定、具体的には赤外ヒーター等の加熱手段を用いて加熱し水分を放出させて、試料の質量変化を調べる方法、あるいは、化学的な方法としてカールフィッシャー法、元素分析等の方法が知られている。原材料の含水量測定には、いずれの方法を用いても良いが、含有する水分を放出する温度を測定する場合には、本発明では、熱質量分析法を用いて行う。
【0035】
本発明に係る熱質量分析(Thermogravimetric Analysis:TG)とは、単位時間当たりに一定の温度幅で温度を変化させながら、試料の質量変化を測定する方法であり、熱天秤と呼ばれ、主に、試料ホルダー、ヒーター、熱電対、とこれらの制御回路からなる装置を用いる。
【0036】
本発明に用いる熱質量分析法の具体的方法としては、セイコーインスツルメンツ社製のTG/DTA200型を用いて、試料である原材料の温度を30℃から100℃まで1分間あたり2℃の割合で上昇させたときの質量の変化を測定し、その質量減少分を原材料が含有する水分質量とする。また、この測定において、試料の質量が減少し始めるときの温度を、本発明における熱質量分析法で含有水分を放出する温度と定義する。
【0037】
本発明に係る熱質量分析法において、結晶水または自由水が水蒸気となる温度は、原材料の種類によって大きく異なるが、ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤として一般的に使用される原材料の場合、大気圧の環境下では、35℃程度のものから150℃位の場合まである。ただし、造粒の進行及び終点を温度で管理するといった場合の造粒安定性という観点から、本発明の製造方法で用いる原材料の熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度としては、40℃以上であることが好ましく、また、後述する混合装置に装備する加熱機構のコストを抑え、原材料の熱による変質を防ぐという観点からは100℃以下であることが好ましい。
【0038】
次いで、本発明の製造方法で用いられる混合装置について、その詳細を説明する。
【0039】
一般に原材料を乾式混合する混合装置としては、ヘンシェルミキサー、V型混合機、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、Wコーンミキサー、バイブローミル、ターブラー等が知られており、その詳細は、例えば、粉体機器・装置ハンドブック(粉体機器・装置ハンドブック編集委員会編、日刊工業新聞社)に記載されている。
【0040】
混合装置としては、(a)容器回転型混合機、(b)容器固定型混合機、(c)流体運動型混合機に大別される。
【0041】
(a)容器回転型混合機とは、円筒型、V型、ダブルコーン型等の容器を水平軸の周りに回転させ粉体に転動モーションを与えて混合を行う方式である。また、混合性を向上させるため、容器内に邪魔板や撹拌羽根を有するものもある。
【0042】
(b)容器固定型混合装置とは、固定された容器の中の粉体に撹拌羽根の回転、振動を与えて混合を行う。
【0043】
(c)流体運動型混合機とは、ジェットポンプ等を使用し気流により粉体を流動させて撹拌を行う混合機である。
【0044】
本発明の製造方法における撹拌造粒は、原材料に対して熱を加える手段と原材料を撹拌する手段を備えた混合装置であり、(a)(b)(c)いずれを用いても良いが、撹拌する手段としては撹拌羽根の回転によって行うのが、粉体に対して与えるせん断、転動、圧密作用が効果的であることから、(b)容器固定型混合機を用いるのが好ましい。
【0045】
(b)容器固定型混合装置の具体的な装置としては、例えば、以下のような混合装置を挙げることができる。
【0046】
〔I〕リボン型混合機
固定容器内で、スパイラルを形成したリボン状の撹拌羽根を低速回転させる混合機で、例えば、リボンミキサー(日和機械工業(株)製)、バッチニーダー(佐竹化学機械工業(株)製)、リボコーン((株)大順製作所製)等が挙げられる。
【0047】
〔II〕パドル型混合機
混合槽内部に撹拌軸を有し、この軸に撹拌羽根を取り付けて粉末の混合を行う装置で、水平軸型の混合機と垂直軸型の混合機とがある。水平軸型の混合機としては、例えば、レーディゲミキサー(マツボー製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)などがあり、垂直型の混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株))、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、ニュースピードニーダー(岡田精工(株)製)等が挙げられる。
【0048】
〔III〕円錐遊星スクリュー型混合機
逆円錐型容器に撹拌羽根として自転公転するスクリューを取り付けた混合機であり、例えば、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、SVミキサー(神鋼パンテック(株)製)等が挙げられる。
【0049】
せん断力が得られやすく混合効率が良いという点で、〔II〕パドル型混合機がより好ましく、スケールアップ時のデッドスペースができにくい、撹拌羽根によるせん断力によって発生する摩擦熱が蓄熱しにくいといった観点から、パドル型混合機の中でも水平軸型が好ましい。例えば、パドル型混合機であるレーディゲミキサー(マツボー製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株))、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、ニュースピードニーダー(岡田精工(株)製)、が好ましく、このなかでも水平軸型のレーディゲミキサー(マツボー製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)がより好ましい。
【0050】
容器固定型混合機を用いる場合の撹拌羽根の回転数は、造粒が進行した粒子をせん断力による破壊を避ける観点から、速くしすぎない方が好ましい。撹拌羽根の回転数を規定する尺度として、以下に定義するフルード数が挙げられる。
【0051】
フルード数=V/√(R×g)
V:撹拌羽根の先端の周速(m/s)
R:撹拌羽根の回転半径(m)
g:重力加速度(m/s2)
本発明の製造方法における撹拌造粒では、フルード数を10以下で運転することが好ましく、4以下で運転することがより好ましい。
【0052】
混合装置に装備する加熱装置としては、電熱ヒーターによる加熱方式、ウオータージャケットに温水を循環することによる加熱方式、温風を容器内に送り込むことによる加熱方式等が挙げられるが、本発明では、これらの方式に限定されず任意の方法を用いることができる。この中で、エネルギー費用、伝熱効率、加熱ムラが少ないといった点から、混合容器の外周壁にウォータージャケットを装備し、温水を循環する方式が好ましい。
【0053】
また、本発明に係る工程2における冷却方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。
【0054】
(1)前記混合装置に冷却機構を装備し、同一容器内で冷却する方式
すなわち、造粒を行った混合装置に冷却機構を設けておき、工程2に移る際、加熱手段を停止して冷却手段を作動させることで、造粒が完了した材料を冷却する。冷却手段としては、加熱手段と同様にチラーを装備するウォータージャケットに冷水を循環させる方法、容器内に冷風を送り込む方法等任意の方法を用いることができる。
【0055】
(2)別の混合装置に移し替えて冷却する方式
すなわち、工程1で造粒を行った後、別の混合機に造粒物を移し替えて撹拌しつつ冷却する。混合機は、前述の(a)容器回転型混合機、(b)容器固定型混合機、(c)流体運動型混合機いずれを用いても良い。また、別の混合機に移し替えた後の操作としては、単に撹拌するだけでも良いし、チラーを装備するウォータージャケットに冷水を循環させる方法、容器内に冷風を送り込む方法等の任意の冷却機構を設けて冷却効率を高めても良い。
【0056】
(3)別の容器に移し替えて放置する方式
すなわち、工程1で造粒を行った後、別の容器に造粒物を移し替えて放置することで冷却する。放置する部屋の環境温度を適宜調整するなどの工夫を施しても良い。
【0057】
冷却効率という観点からは、(2)の方式が好ましく、設備投資額が少なくてすむという観点からは、(1)または(3)の方式が好ましいが、生産工場の規模、必要生産能力を考慮して、任意の方法を用いればよい。
【0058】
本発明の製造方法により造粒された材料は、次いで固体化処理が施される。
固体化処理する方法としては、特開平4−29136号、同4−85535号、同4−85536号、同4−85533号、同4−85534号、同4−172341号、同2−109042号、同2−109043号、同3−39735号、同3−39739号、特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号、英国特許第1,213,808号等の各公報に記載の方法、すなわち、錠剤を作製する圧縮成形には、例えば、油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、ブリケッティングマシンを用いることができる。
【0059】
圧縮成形した錠剤型処理剤は、任意の形状を取ることが可能であるが、生産性、取扱い性の観点からまたはユーザーサイドで使用する場合の粉塵の問題から円筒型、いわゆる錠剤が好ましい。
【0060】
本発明に係る固体処理剤を適用できるハロゲン化銀写真感光材料としては、特に制限はなく、多種多様の写真要素、例えば、モノクロハロゲン化銀写真感光材料(一般用モノクロフィルム、医療用フィルム、印刷用フィルム等)、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができる。
【0061】
次いで、本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の構成要素について説明する。
【0062】
本発明の製造方法においては、結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と共に、水溶性結合剤を使用することが特徴の1つである。
【0063】
本発明に係る水溶性結合剤としては、水溶性高分子または糖類であることが好ましく、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、アクリル酸−アクリル酸エステル系共重合体、アクリル酸−アクリルアミド系共重合体、アクリル酸系ベタイン型共重合体、セルロース類、デキストリン類、デキストラン類、二糖類、単糖類などが挙げられ、具体的化合物としては、ポリビニルピロリドンK−17(例えば、BASF製ルビスコールK−17)、ソルビット、マンニット、でんぷん分解物(例えば、松谷化学製パインフロー、日殿化学製オイルQ)が好ましい。
【0064】
本発明では、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリドン、糖アルコール、デキストリンおよびそれらの誘導体が特に好ましく用いられる。
【0065】
本発明に好ましく用いられるポリアルキレングリコールは、下記一般式〔A〕で表される。
【0066】
一般式〔A〕
HO−(A)n1−(B)n2−(C)n3−H
上記一般式〔A〕おいて、A、BおよびCは、各々−CH2CH2O−、−CH(R)CH2O−、−CH2CH2CH2O−または−CH2CH(R)CH2O−を表す。Rは置換または未置換の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)または水酸基を表す。n1、n2およびn3は各々0または1〜500の整数を表す。一般式〔A〕で表される化合物の平均分子量は、1000〜20000の範囲が好ましい。ここでいう平均分子量は、水酸基価より算出したものである。
【0067】
以下に、本発明において好ましいポリアルキレングリコールの具体的例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0068】
【化1】
【0069】
上記具体的例示化合物の中でも、A−1で表されるいわゆるポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0070】
本発明で用いられるセルロース類としては、メチルセルロース、ジメチルセルロース、トリメチルセルロース、エチルセルロース、ジエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0071】
本発明で好ましく用いられるデキストリン類としては、アミロデキストリン、エリトロディストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン等が挙げられる。
【0072】
本発明でいう単糖類とは、単一のポリヒドロキシアルデヒド、ポリヒドロキシケトンおよびこれらの還元誘導体、酸化誘導体、デオキシ誘導体、アミノ誘導体、チオ誘導体等の広い範囲の誘導体の総称である。多くの糖は、一般式−CnH2nOn−で表されるが、この一般式で表される糖骨格から誘導される化合物も含めて、ここでは単糖類と定義する。これらの単糖類のうちで好ましいものは、炭素数が3〜7のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトースおよびその誘導体である。
【0073】
本発明に用いられる単糖類の具体的例示化合物を以下に示す。
(1)グリセルアルデヒド、(2)ジヒドロキシアセトン(二量体を含む)、(3)D−エリトロース、(4)L−エリトロース、(5)D−トレオース、(6)L−トレオース、(7)D−リボース、(8)L−リボース、(9)D−アラビノース、(10)L−アラビノース、(11)D−キシロース、(12)L−キシロース、(13)D−リキソース、(14)L−リキソース、(15)D−キシルロース、(16)L−キシルロース、(17)D−リブロース、(18)L−リブロース、(19)2−デオキシ−D−リボース、(20)D−アロース、(21)L−アロース、(22)D−アルトロース、(23)L−アルトロース、(24)D−グルコース、(25)L−グルコース、(26)D−マンノース、(27)L−マンノース、(28)D−グロース、(29)L−グロース、(30)D−イドース、(31)L−イドース、(32)D−ガラクトース、(33)L−ガラクトース、(34)D−タロース、(35)L−タロース、(36)D−キノボース、(37)ジギタロース、(38)ジギトキソース、(39)シマロース、(40)D−ソルボース、(41)L−ソルボース、(42)D−タガトース、(43)D−フコース、(44)L−フコース、(45)2−デオキシ−D−グルコース、(46)D−プシコース、(47)D−フルクトース、(48)L−フルクトース、(49)L−ラムノース、(50)D−ラムノース、(51)D−ガラクトサミン、(52)D−マンノサミン、(53)D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、(54)D−グリセロ−D−マンノヘプトース、(55)D−グリセロ−L−マンノヘプトース、(56)D−グリセロ−D−グロヘプトース、(57)D−グリセロ−D−イドヘプトース、(58)D−グリセロ−L−グルコヘプトース、(59)D−グリセロ−L−タロヘプトース、(60)D−アルトロヘプツロース、(61)D−マンノヘプツロース、(62)D−アルトロ−3−ヘプツロース、(63)D−グルクロン酸、(64)L−グルクロン酸等。
【0074】
単糖類のカルボニル基を還元して得られる多価アルコールを糖アルコールと呼び、本発明では特に好ましく用いられる。糖アルコールの具体的例示化合物を以下に示す。
【0075】
(65)トレイット、(66)エリトリット(エリスリトール)、(67)アラビット(アラビトール)、(68)リビット(リビトール)、(69)キシリット、(70)ソルビット(ソルビトール、グリシトール)、(71)マンニット(マンニトール)、(72)イジット、(73)タリット、(74)ズルシット(ガラクチトール)、(75)アリット(アロズルシット)等。
【0076】
本発明でいう二糖類とは、2分子の単糖類より成るものの総称であり、具体的例示化合物を以下に示す。
【0077】
(76)アガロビオース、(77)N−アセチルキトビオース、(78)N−アセチルラクトサミン、(79)イソマルトース、(80)キシロビオース、(81)ゲンチオビオース、(82)コージビオース、(83)スクロース(ショ糖)、(84)セロビオース、(85)ソホロース、(86)α,α−トレハロース、(87)マルトース(麦芽糖)、(88)メリビオース、(89)ラクトース(乳糖)、(90)ラミナリビオース、(91)ルチノース等。
【0078】
本発明で用いられるベタイン構造を有するビニル重合体は、重合性ビニル重合体の1分子中に陽イオンとして四級アンモニウムとカルボン酸の陰イオンを持った分子内塩を少なくとも1種構成単位として有する重合体を意味する。ベタイン構造には、溶液中もしくは結晶状態において、水和物、例えば、
R3N+CH2COO−+H2O→(OH)−R3N+CH2COOH
の形で存在しているものも含まれる。
【0079】
ベタイン構造を有する重合性ビニル単量体を単独で重合させたものであっても良いが別の重合性ビニル単量体と共重合させることが好ましい。本発明では、下記一般式IおよびIIで表される重合性ビニル単量体をそれぞれ少なくとも1種含む共重合体であることが好ましい。
【0080】
【化2】
【0081】
この場合、一般式IおよびIIで表される単量体以外に、他の重合性ビニル単量体を共重合させてもよい。上記一般式Iにおいて、R1は水素原子またはメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。R2およびR5はそれぞれ炭素数1〜4のアルキレン基を表し、特に、メチレン基もしくはエチレン基が好ましい。R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜18のアルキル基を表し、特にメチル基もしくはエチル基が好ましい。また、Aは酸素原子またはNH基を表し、特に酸素原子が好ましい。上記一般式IIにおいて、R6はR1同様、水素原子またはメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。R7は炭素数1〜18の飽和、不飽和のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。本発明で用いられる重合体の好ましい重合比率は、一般式Iで表される単量体20〜60質量%、一般式IIで表される単量体30〜70質量%、および他の重合性ビニル単量体0〜50質量%である。
【0082】
上記単量体は、特開昭55−17009号に記載の方法等により合成できる。前記重合体は、例えば、三菱油化社製(ユカフォーマー)として市販されている。
【0083】
本発明の製造方法においては、造粒により所望の粒径にし、圧縮成型して錠剤型の固体処理剤とする場合、十分な硬度を得るために、最低限必要な水溶性結合剤は、原材料の総量に対して1質量%以上である。また、水溶性結合剤を20質量%以上含有すると、造粒が過剰に進行して粒子が大きくなりすぎたり、処理液に溶解した際不溶解が出て写真処理特性に悪影響が出たり、又原材料コスト高となったりすることから、1〜20質量%が、本発明の好ましい範囲であり、より好ましくは、2〜15質量%の範囲である。
【0084】
次いで、本発明の製造方法で用いられる原材料の詳細について説明する。
本発明に係る固体処理剤が、カラー発色現像で用いる発色現像剤である場合には、発色現像主薬を使用する。
【0085】
本発明で用いることのできる発色現像主薬としては、p−フェニレンジアミン誘導体(以下、p−フェニレンジアミン系化合物ともいう)、特に水溶性基を有するp−フェニレンジアミン系化合物が好ましい。
【0086】
水溶性基を有するp−フェニレンジアミン系化合物は、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン等の水溶性基を有しないパラフェニレンジアミン系化合物に比べ、ハロゲン化銀写真感光材料の汚染がなくかつ皮膚についても皮膚がカブレにくいという長所を有する。
【0087】
前記水溶性基は、p−フェニレンジアミン系化合物のアミノ基またはベンゼン核上に少なくとも1つ有するものが挙げられ、具体的な水溶性基としては−(CH2)n−CH2OH、−(CH2)m−NHSO2−(CH2)nCH3、−(CH2)m−O−(CH2)n−CH3、−(CH2CH2O)nCmH2m+1(m及びnはそれぞれ0以上の整数を表す。)、−COOH基、−SO3H基等が好ましいものとして挙げられる。
【0088】
本発明に好ましく用いられる発色現像主薬の具体的例示化合物としては、特開平4−86741号公報の第26〜31頁に記載されている(C−1)〜(C−16)が挙げられる。
【0089】
上記発色現像主薬は、通常、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の塩の形態で用いられる。
【0090】
また、前記発色現像主薬は単独であるいは二種以上併用して、また所望により黒白現像主薬、例えば、フェニドン、4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル−3−ピラゾリドンやメトール等と併用して用いてもよい。
【0091】
また、本発明においては、発色現像剤中に、特開2000−2974号公報の段落番号〔0099〕〜同〔0112〕に記載の一般式[A]及び[B]で示される化合物を含有することができる。上記化合物を用いることにより、固体処理剤化されると他の化合物に比べ錠剤の保存性が良くなるばかりでなく、錠剤強度も保てるという点で効果があり、しかも写真性能的に安定で未露光部にも生じるカブリも少ないという利点もある。
【0092】
本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤中には、保恒剤として亜硫酸塩を微量用いることができる。該亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0093】
本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤には、緩衝剤を用いることが好ましく、緩衝剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ酸)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができる。
【0094】
現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等に表されるチオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,610,122号及び同4,119,462号記載のp−アミノフェノール類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドロジン類、メソイオン型化合物、イオン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて添加することができる。
【0095】
また、カブリ防止等の目的で塩素イオン及び臭素イオンを用いることができる。本発明においては、好ましくは塩素イオンとして1.0×10−2〜1.5×10−1モル/L、より好ましくは4×10−2〜1×10−1モル/L含有する。従って、本発明に係る固体処理剤には、処理槽のカラー現像液が上記の濃度範囲になる様に調整することが好ましい。
【0096】
本発明において、処理槽中のカラー現像液中に臭素イオンを好ましくは3.0×10−3〜1.0×10−3モル/L含有する。これも塩素イオンと同様、固形処理剤中の臭素濃度を上記の範囲になる様に調整することが好ましい。
【0097】
発色現像剤に直接添加される場合、塩素イオン供給物質として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化カドミウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは塩化ナトリウム、塩化カリウムである。
【0098】
また、発色現像剤及び現像剤中に添加される蛍光増白剤の対塩の形態で供給されてもよい。臭素イオンの供給物質として、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化ニッケル、臭化カドミウム、臭化セリウム、臭化タリウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは臭化カリウム、臭化ナトリウムである。
【0099】
本発明に用いられる発色現像剤及び現像剤には、必要に応じて、塩素イオン、臭素イオンに加えて任意のカブリ防止剤を添加できる。カブリ防止剤としては、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げることができる。
【0100】
本発明に用いられる発色現像剤及び現像剤には、トリアジニルスチルベン系蛍光増白剤を含有させることができる。
【0101】
本発明で用いることのできる蛍光増白剤としては、特開2000−2974号公報の段落番号〔0122〕〜同〔0135〕に詳細が記載されている一般式[E]で示される化合物が好ましい。
【0102】
更に、本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤組成物には、必要に応じて、メチルセロソルブ、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、β−シクロデキストリン、その他特公昭47−33378号、同44−9509号各公報記載の化合物を現像主薬の溶解度を上げるための有機溶剤として使用することができる。
【0103】
更に、現像主薬とともに補助現像剤を使用することもできる。これらの補助現像剤としては、例えばメトール、フェニドン、N,N−ジエチル−p−アミノフェノール塩酸塩、N,N,N′,N′−テトラメチル−p−フェニレンジアミン塩酸塩等が知られている。
【0104】
更にまた、その他ステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効果促進剤等各種添加剤を用いることができる。
【0105】
また、発色現像剤及び黒白現像剤組成物には、特開平4−118649号公報第63頁下から第8行〜第64頁下から第3行に記載の一般式[K]で示されるキレート剤及びその例示化合物K−1〜K−22を用いることができる。
【0106】
これらキレート剤の中でも、とりわけ、K−2、K−9、K−12、K−13、K−17、K−19が好ましく用いられ、とりわけ特に、K−2及びK−9が好ましい。
【0107】
これらキレート剤の添加量は発色現像液及び黒白現像液1l当たり0.1〜20gの範囲になる様に固形処理剤に添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜8gの範囲である。
【0108】
更にまた、上記発色現像剤及び黒白現像用固体処理剤にはアニオン、カチオン、両性、ノニオンの各界面活性剤を含有させることができる。
【0109】
また、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加してもよい。
【0110】
本発明に係る固体処理剤が漂白剤又は漂白定着剤である場合、好ましく用いられる漂白主剤は、下記一般式[C]で表わされる有機酸の第2鉄錯塩である。
【0111】
【化3】
【0112】
一般式[C]において、A1〜A4はそれぞれ同一でも異ってもよく、−CH2OH、−COOM又は−PO3M1M2を表す。M、M1、M2はそれぞれ水素原子、アルカリ金属又はアンモニウムを表す。Xは炭素数3〜6の置換、未置換のアルキレン基を表す。
【0113】
一般式[C]で表わされる有機酸の第2鉄錯塩は、漂白能力が高い為に固形する際の使用量が少なくても済み、軽量化、小型化の錠剤化が計れるばかりでなく錠剤化した時の錠剤の保存性が良くなるという効果があり好ましい。
【0114】
前記一般式[C]で示される化合物の好ましい具体例として、以下の化合物を挙げることができる。
【0115】
【化4】
【0116】
【化5】
【0117】
これら(C−1)〜(C−12)の化合物の第2鉄錯塩としては、これらの第2鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩を任意に用いることができる。本発明の目的の効果及び溶解度の点からは、これらの第2鉄錯塩のアンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0118】
前記化合物例の中で、本発明において特に好ましく用いられるものは、(C−1)、(C−3)、(C−4)、(C−5)、(C−9)であり、とりわけ特に好ましいものは(C−1)である。
【0119】
本発明において漂白剤又は漂白定着剤には、漂白主剤として上記一般式[C]で示される化合物の鉄錯塩以外に、下記化合物の第2鉄錯塩等を用いることができる。
【0120】
〔A−1〕エチレンジアミン四酢酸
〔A−2〕トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸
〔A−3〕ジヒドロキシエチルグリシン酸
〔A−4〕エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
〔A−5〕ニトリロトリスメチレンホスホン酸
〔A−6〕ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸
〔A−7〕ジエチレントリアミン五酢酸
〔A−8〕エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸
〔A−9〕ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸
〔A−10〕エチレンジアミンジプロピオン酸
〔A−11〕エチレンジアミンジ酢酸
〔A−12〕ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
〔A−13〕ニトリロトリ酢酸
〔A−14〕ニトリロ三プロピオン酸
〔A−15〕トリエチレンテトラミン六酢酸
〔A−16〕エチレンジアミン四プロピオン酸
〔A−17〕β−アラニンジ酢酸
前記有機酸第2鉄錯塩の添加量は、漂白液又は漂白定着液1Lとしたときに、0.01モル〜2.0モルの範囲で含有することが好ましく、従って、固体処理剤は処理槽中の漂白液又は漂白定着液の有機酸第2鉄錯塩の濃度が上記範囲になる様に調整する。
【0121】
漂白剤、漂白定着剤及び定着剤には、特開昭64−295258号明細書に記載のイミダゾール及びその誘導体又は同明細書記載の一般式[I]〜[IX]で示される化合物及びこれらの例示化合物の少なくとも一種を含有することにより迅速性に対して効果を奏しうる。
【0122】
上記の促進剤の他、特開昭62−123459号公報の第51頁から第115頁に記載の例示化合物及び特開昭63−17445号公報の第22頁から第25頁に記載の例示化合物、特開昭53−95630号、同53−28426号公報記載の化合物等も同様に用いることができる。
【0123】
漂白剤又は漂白定着剤には、上記以外に臭化アンモニウム、臭化カリウム、臭化ナトリウムの如きハロゲン化物、各種の蛍光増白剤、消泡剤あるいは界面活性剤を含有せしめることもできる。
【0124】
本発明に係る固体処理剤が定着剤又は漂白定着剤である場合、定着剤又は漂白定着剤に用いられる定着主剤としては、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩が好ましく用いられる。チオシアン酸塩の含有量は少なくとも定着液又は漂白定着液1L当り0.1モル以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル以上であり、特に好ましくは1.0モル以上である。またチオ硫酸塩の含有量は少なくとも0.2モル以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル以上である。また本発明においては、チオシアン酸塩とチオ硫酸塩を併用することが好ましい。
【0125】
本発明に用いられる定着剤又は漂白定着剤には、これら定着主剤の他に各種の塩から成るpH緩衝剤を単独或いは2種以上含むことができる。更に、アルカリハライドまたはアンモニウムハライド、例えば、臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化アンモニウム等の再ハロゲン化剤を多量に含有させることが望ましい。また、アルキルアミン類、ポリエチレンオキサイド類等の通常定着剤又は漂白定着剤に添加することが知られている化合物を適宜添加することができる。
【0126】
定着剤または漂白定着剤には、特開昭64−295258号公報の第56頁に記載の一般式[FA]で示される化合物及びこの例示化合物を添加するのが好ましい。一般式[FA]で示される化合物を用いることにより、少量のハロゲン化銀写真感光材料を長期間にわたって処理する際に、定着能を有する処理液中でのスラッジの発生を抑制することができる。
【0127】
本発明に係る固体処理剤が安定剤である場合、安定剤には第2鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤を含有することが好ましい。ここにキレート安定度定数とは、L.G.Sillen・A.E.Martell著、”Stability Constants of Metal−ion Complexes”,TheChemical Society,London(1964)。S.Chaberek・A.E.Martell著、”Organic Sequestering Agents”,Wiley(1959)等により一般に知られた定数を意味する。
【0128】
第2鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤としては特開平3−182750号等に記載のものが挙げられる。
【0129】
上記キレート剤の使用量は、安定液とした際の安定液1L当り0.01〜50gが好ましく、より好ましくは0.05〜20gの範囲で良好な結果が得られる。
【0130】
また、安定剤に添加する好ましい化合物としては、アンモニウム化合物が挙げられる。これらは各種の無機化合物のアンモニウム塩によって供給される。アンモニウム化合物の添加量は、安定液とした際に、安定液1L当り0.001モル〜1.0モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.002〜2.0モルの範囲である。さらに安定剤には、亜硫酸塩を含有させることが好ましい。
【0131】
更に、安定剤には前記キレート剤と併用して金属塩を含有することが好ましい。かかる金属塩としては、Ba、Ca、Ce、Co、In、La、Mn、Ni、Bi、Pb、Sn、Zn、Ti、Zr、Mg、Al又はSrの金属塩があり、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の無機塩又は水溶性キレート剤として供給できる。
【0132】
また、安定剤には、有機酸塩(例えば、クエン酸、酢酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸等)、pH調整剤(例えば、リン酸塩、ホウ酸塩、塩酸、硫酸塩等)等を添加することができる。なお、本発明に係る固体処理剤においては、公知の防黴剤を使用することができる。
【0133】
本発明に係る固体処理剤が黒白用現像錠剤である場合、黒白用現像錠剤に用いることができる現像主薬としては、レダクトン類、特にアスコルビン酸及び/又はエリソルビン酸(立体異性)及びそれらの塩を含有することが好ましい。
【0134】
更に、以下のような現像主薬を含有しても良い。ジヒドロキシベンゼン類(例えば、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロモハイドロキノン、ジクロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸カリウム、ハイドロキノンモノスルホン酸ナトリウムなど)3−ピラゾリドン類(例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−エチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−2−アセチル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−(2−ベンゾチアゾール)−3−ピラゾリドン、3−アセトキシ−1−フェニル−3−ピラゾリドンなど)、アミノフェノール類(例えば、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−メチル−o−アミノフェノール、N−メチル−p−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノールなど)、1−アリル−3−アミノピラゾリン類(例えば、1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−メチルアミノフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−アミノ−m−メチルフェニル)−3−アミノピラゾリンなど)、ピラゾロン類(例えば、4−アミノピラゾロン)など、或いはこれらの混合物などが挙げられる。
【0135】
黒白用現像錠剤は、亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩を含有することが好ましい。更に錠剤を溶解し現像液とした場合の液中の亜硫酸塩量は0.05モル/リットル以上、0.3モル/リットル未満、更に0.1モル/リットル以上、0.3モル/リットル未満が好ましい。
【0136】
その他、緩衝剤として(例えば、炭酸塩、硼酸、硼酸塩、アルカノールアミンなど)、アルカリ剤、溶解助剤(例えば、ポリエチレングリコール類、及びこれらのエステルなど)、pH調整剤(例えば、クエン酸のごとき有機酸など)、増感剤(例えば、四級アンモニウム塩など)、現像促進剤、硬膜剤(例えば、グルタールアルデヒドなどのジアルデヒド類)、界面活性剤、更にカブリ防止剤としてアゾール系有機カブリ防止剤(例えば、インダゾール系、イミダゾール系、ベンツイミダゾール系、トリアゾール系、ベンツトリアゾール系、テトラゾール系、チアジアゾール系)、処理液に用いられる水道水中に混在するカルシウムイオンを隠蔽するための隠蔽剤としてヘキサメタ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸カルシウム、ポリ燐酸塩、ヂエチレントリアミン5酢酸等を含有させても良い。更に銀汚れ防止剤、例えば、特開昭56−24347号記載の化合物を用いることもできる。
【0137】
黒白用現像錠剤で得られる現像液のpHは10.5以下の範囲のものが好ましく、更に好ましくは9〜10.0の範囲である。
【0138】
黒白用現像錠剤で得られる現像液には、特開昭56−106244号に記載のアルカノールアミンなどのアミノ化合物を用いることができる。
【0139】
この他、本発明に係る黒白用現像錠剤で得られる現像液には、L.F.A.メソン著「フォトグラフィック・プロセッシング・ケミストリー」フォーカル・プレス社刊(1966年)の22〜229頁、米国特許第2,193,015号、同2,592,364号、特開昭48−64933号などに記載のものを用いてよい。
【0140】
一方、アルカリ剤としては緩衝作用を有する炭酸塩が好ましい。炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。更に、現像処理液中の炭酸塩量は、0.3モル/リットル以上0.8モル/リットル未満が好ましい。
【0141】
本発明に用いられる黒白用定着液は、固体処理剤である黒白用定着剤を調製し、溶解して調液することが好ましい。定着剤としては、定着主薬としてチオ硫酸塩を含有することが好ましい。チオ硫酸塩は、具体的には、リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウムの塩として用いられるが、好ましくは、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸ナトリウム塩として用いることにより、定着速度の速い定着液が得られる。
【0142】
その他、定着主薬として沃化物塩やチオシアン酸塩なども用いることができる。本発明に用いられる黒白用定着液は、亜硫酸塩を含有する。亜硫酸塩としては、固体リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩等が用いられる。
【0143】
本発明に用いられる黒白用定着剤は、水溶性クロム塩又は水溶性アルミニウム塩等を含有しても良い。水溶性クロム塩としてはクロム明ばんなどが挙げられ、水溶性アルミニウム塩としては硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムカリウム、塩化アルミニウムなどを挙げることができる。
【0144】
本発明に用いられる黒白用定着剤には酢酸イオンを含有することができる。酢酸イオンの種類は任意で、定着液中での酢酸イオンを解離する任意の化合物に対して本発明は適用できるが、酢酸や酢酸のリチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩などが好ましく用いられ、特にナトリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。更に、クエン酸、酒石酸、りんご酸、琥珀酸、フェニル酢酸及びこれらの光学異性体などが含まれてもよい。これらの塩としては、例えば、クエン酸カリウム、クエン酸リチウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸水素リチウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素アンモニウム、酒石酸アンモニウムカリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、りんご酸ナトリウム、りんご酸アンモニウム、琥珀酸ナトリウム、琥珀酸アンモニウムなどに代表されるリチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩などが好ましい物として挙げられる。
【0145】
キレート剤としては、例えば、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸類及びこれらの塩などが挙げられる。
【0146】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル化物、スルホン化物などのアニオン活性剤、ポリエチレングリコール系、エステル系などのノニオン界面活性剤、両性活性剤などが挙げられる。湿潤剤としては、例えばアルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。
【0147】
定着促進剤としては、チオ尿素誘導体、分子内に三重結合を有するアルコール、チオエーテルなどが挙げられる。
【0148】
【実施例】
以下、実施例を示し本発明の構成及び効果を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0149】
実施例1
《顆粒の作製》
〔顆粒1−1の作製〕
以下に記載の方法に従って、比較例の顆粒1−1を作製した。
【0150】
操作1:メタヒドロキシベンズアルデヒドを45kg、三井ヘンシェルミキサーFM−500J(三井金属(株)製)に投入し、900rpmで3分間撹拌して微粉末状に粉砕した。
【0151】
操作2:続いて、ヘンシェルミキサーに、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを7.5kg、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを60kg、亜硫酸ナトリウム(無水)を30kg、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK−17 BASF製)を7.5kg、それぞれ投入し、215rpmで撹拌羽根を回転しつつ、純水を原材料の総質量に対して4.0質量%相当量添加し、添加終了後1分間撹拌して造粒を行った。
【0152】
操作3:この造粒物を流動層乾燥機スリットフローFB−15(大河原製作所製)に投入し、55℃の温風で3時間乾燥して、顆粒1−1を作製した。乾燥後の顆粒の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法で測定)であった。
【0153】
〔顆粒1−2の作製〕
以下に記載の方法に従って、比較例の顆粒1−2を作製した。
【0154】
操作1:メタヒドロキシベンズアルデヒドの45kgを、三井ヘンシェルミキサーFM−500J(三井金属(株)製)に投入し、900rpmで3分間撹拌して微粉末状に粉砕した。
【0155】
操作2:続いて、ヘンシェルミキサーに、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを7.5kg、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを60kg、亜硫酸ナトリウム(無水)を30kg、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK−17 BASF製)を7.5kg、それぞれ投入し、215rpmで撹拌羽根を回転しつつ、界面活性剤として1−オクタンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液を、原材料の総質量に対して0.4質量%相当量添加し、添加終了後1分間撹拌して造粒を行った。1−オクタンスルホン酸ナトリウム1質量%水溶液の表面張力は40dyn/cm2であった。
【0156】
操作3:次いで、ミキサー内を13.3kPaに減圧しつつ、ウォータージャケットに55℃の温水を循環して原材料を加温しながら215rpmで2時間撹拌し、減圧乾燥を行って、顆粒1−2を作製した。乾燥後の顆粒の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0157】
〔顆粒1−3の作製〕
以下に記載の方法に従って、本発明の顆粒1−3を作製した。
【0158】
操作1:メタヒドロキシベンズアルデヒドの45kgを、三井ヘンシェルミキサーFM−500J(三井金属(株)製)に投入し、900rpmで3分間撹拌して微粉末状に粉砕した。
【0159】
操作2:続いて、ヘンシェルミキサーに、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを7.5kg、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを60kg、亜硫酸ナトリウム(無水)を30kg、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK−17 BASF製)を7.5kg、それぞれ投入し、ウォータージャケットに75℃の温水を循環し原材料を加熱しながら、215rpm(フルード数7に相当)で撹拌して造粒を行った。このとき混合物の温度を65℃まで上昇したとき、所望の粒子径まで成長した。また、使用した原材料の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0160】
操作3:次に、ウォータージャケットを15℃の水に切り替えて、羽根を215回転で回転しつつ、温度が40℃に下がるまで冷却して、顆粒1−3を作製した。この顆粒1−3の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0161】
〔顆粒1−4の作製〕
以下に記載の方法に従って、レーディゲミキサーを用いて本発明の顆粒1−4を作製した。
【0162】
操作1:メタヒドロキシベンズアルデヒドの90kgを、レーディゲミキサーFKM−1200D((株)マツボー製)に投入し、解砕用チョッパーを3000rpmで回転しつつ、撹拌用スキ状ショベルを100rpmで10分間撹拌して微粉末状に粉砕した。
【0163】
操作2:続いて、レーディゲミキサーに、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを15kg、パラトルエンスルホン酸ナトリウムを120kg、亜硫酸ナトリウム(無水)を60kg、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK−17 BASF製)を15kgを、それぞれ投入し、ウォータージャケットに75℃の温水を循環して原材料を加熱しながら、スキ状ショベルを100rpm(フルード数2.4に相当)で撹拌して造粒を行った。このとき混合物の温度を65℃まで上昇したとき、所望の粒子径まで成長した。また、使用した原材料の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0164】
操作3:次に、ウオータージャケットを15℃の水に切り替えて、ショベル回転数115rpmで撹拌し、顆粒の温度が40℃に下がるまで冷却して、顆粒1−4を作製した。この顆粒1−4の含水率は、0.4質量%(カールフィッシャー法)であった。
【0165】
《顆粒の評価》
〔粒度分布の測定〕
エアージェットシーブ(ホソカワミクロン製)を用い、篩い分け法により125μm未満、125μm〜1.49mm、1.50mm以上の3つの粒径群に篩い分けた後、各粒径群の質量比率(%)を求めた。
【0166】
〔固体処理剤の高温保存安定性の評価〕
(錠剤の作製)
上記作製した顆粒1−1〜1−4の各々5kgに、1−オクタンスルホン酸スルホン酸ソーダ100gずつ添加し、クロスロータリー混合機で3分間混合した後、ロータリー打錠機タブコレクト18HU(菊水製作所製)で直径30mmの臼とスミカク杵を用いて、1錠あたり9gの質量で50kNの打錠圧で圧縮成型し、各錠剤500個を作製した。
【0167】
(錠剤の評価)
錠剤の高温保存性は、作製した各錠剤の中から無作為にサンプリングし、それぞれをアルミラミネートフィルムで個別に包装し、これを50℃の恒温槽中で1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間保存したのち、各錠剤の着色の程度と純水3.5リットルに錠剤を1錠溶解したときの溶液状態を目視観察し、下記の基準に則り恒温保存安定性の評価を行った。
【0168】
溶解方法としては、純水3.5リットルを5リットルビーカーに入れ、35℃に水温を調整しつつ錠剤を1錠入れ、マグネチックスターラーにて2時間撹拌して調製した。
【0169】
尚、高温保存後に生成する着色物質は、水への溶解度が低く、あまり多く生成すると不溶解物が残ってしまうことが判っている。
【0170】
◎:全く錠剤に着色が認められず、また溶液中に不溶解物が認められない
○:わずかに錠剤に着色は認められるが、溶液中での不溶解物の発生はない
△:錠剤は薄茶色に着色しているが、溶液中での不溶解物の発生はなく、実用上許容の範囲にある
×:錠剤は茶褐色に変色し、また溶液中で不溶解物の発生が僅かに認められる
××:錠剤は濃茶褐色に変色し、また溶液中に多量の不溶解物の発生が認められる
以上により得られた結果を表1に示す。
【0171】
【表1】
【0172】
表1の結果より明らかな様に、本発明の製造方法により作製した顆粒1−3及び1−4は、比較例に対し、粒度分布が狭く、かつ高温下での保存安定性に優れていることが分かる。
【0173】
実施例2
《顆粒の作製》
実施例1に記載の顆粒1−3の作製において、顆粒作製に用いる原材料の含水率を、表2に記載の様に変更した以外は同様にして、顆粒2−1〜2−7を作製した。
【0174】
《顆粒の評価》
上記作製した顆粒2−1〜2−7と、実施例1で作製した顆粒1−3について、実施例1に記載の方法に従って、粒度分布の測定と固体処理剤の高温保存安定性の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
【0175】
【表2】
【0176】
表2の結果より明らかな様に、本発明の顆粒の中でも、特に、含水率が0.2〜2.0質量%の範囲にある原材料を使用することにより、本発明の目的効果がより一層発揮されていることが分かる。
【0177】
実施例3
《顆粒の作製》
実施例1に記載の顆粒1−3の作製において、顆粒作製時の攪拌回転数(フルード数)を、表3に記載の様に変更した以外は同様にして、顆粒3−1〜3−3を作製した。
【0178】
《顆粒の評価》
上記作製した顆粒3−1〜3−3と、実施例1で作製した顆粒1−3について、実施例1に記載の方法に従って、粒度分布の測定と固体処理剤の高温保存安定性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
【0179】
【表3】
【0180】
表3の結果より明らかな様に、本発明の顆粒の中でも、特に、顆粒作製時の攪拌回転数(フルード数)を、300rpm(10フルード)以下とすることにより、本発明の目的効果がより一層発揮されていることが分かる。
【0181】
実施例4
《現像処理液の準備》
以下に記載の組成からなるカラーネガティブ用の現像処理液を準備した。
【0182】
〔発色現像スタート液(タンク母液):1Lあたり〕
亜硫酸ナトリウム 4.5g
炭酸カリウム 33.0g
ジレチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 4.0g
硫酸ヒドロキシルアミン 3.0g
臭化アンモニウム 1.3g
沃化アンモニウム 2.0mg
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
硫酸塩 4.5g
水を加えて1Lとし、水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて、pHを10.0に調整した。
【0183】
〔漂白スタート液(タンク母液):1Lあたり〕
1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム 133g
1,3−プロピレンジアミン4酢酸ナトリウム 5g
臭化アンモニウム 60g
マレイン酸 40g
コハク酸 40g
水を加えて1Lとし、アンモニア水または20%硫酸を用いて、pHを4.3に調整した。
【0184】
〔定着スタート液(タンク母液):1Lあたり〕
チオ硫酸アンモニウム 175g
亜硫酸ナトリウム 20g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 2g
2−メルカプト−1,3,4−トリアゾール 2g
水を加えて1Lとし、アンモニア水または20%硫酸を用いて、pHを7.3に調整した。
【0185】
〔安定スタート液(タンク母液):1Lあたり〕
m−ヒドロキシベンズアルデヒド 1.0g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.2g
水を加えて1Lとし、アンモニア水または20%硫酸を用いて、pHを7.0に調整した。
【0186】
《現像処理条件》
上記各処理液を用いて、コニカ社製の自動現像機(カラーネガティブフィルムプロセッサー)KP46Jを改造して、下記の条件で現像処理を行った。
【0187】
現像処理は、カラーネガフィルムとして標準的なシーンを撮影したコニカ社製のCENTURIA SUPER100を用いて、下記の安定槽(1〜3槽)のタンク容量の1.5倍容積分の補充がなされるまで、連続処理を行った。
【0188】
なお、各処理液の補充方法は、コニカ社製のECOJET−N Type 03−LRの発色現像剤、漂白剤及び定着剤の各錠剤を使用した。また、安定用の錠剤は、前記実施例1で作製した錠剤1−1〜1−4を、それぞれ50℃の恒温槽中で3ヶ月間保存したものを使用した。
《フィルム汚れの評価》
上記方法に従って得られたランニング処理済みのカラーネガフィルム表面を目視観察し、下記の基準に則りフィルム汚れの評価を行った。
【0189】
○:フィルム表面に、全く汚れの付着が認められない
△:フィルム表面に、極わずかな汚れの付着が認められが、プリントへの影響はなく、実害性はない
×:フィルム表面に、明らかに汚れの付着が認められ、プリントへの影響が懸念される
××:フィルム表面に、激しい汚れの付着が認められ、プリントへの影響が大きい
以上により得られた結果を、表4に示す。
【0190】
【表4】
【0191】
表4の結果より明らかなように、高温保存処理を施した安定用錠剤を用いて、カラーネガティブフィルムの連続処理を行っても、本発明の顆粒より作製した錠剤は、比較例に対し、連続処理をおこなっても、フィルムへの汚れの付着が少ないことが分かる。
【0192】
【発明の効果】
本発明により、外部からの溶液(水等)の供給なしに、粒度分布が狭く、高温保存安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法を提供することができた。
Claims (9)
- 粉体である原材料に対し熱を付加する手段と、該原材料を撹拌する手段とを備えた混合装置を用いて撹拌造粒を行うハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法において、予め結晶水または自由水を含有する原材料の粉末と、水溶性結合剤とを、外部からの溶液を添加せずに撹拌しながら、該原材料を、熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以上になるまで加熱する工程1を経て造粒し、次いで造粒された材料を、該原材料が熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度以下に冷却する工程2により造粒を終了させることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
- 前記水溶性結合剤の融点が、前記原材料の熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
- 前記原材料の熱質量分析法により測定される含有水分を放出する温度が、40℃以上、100℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
- 前記原材料の結晶水または自由水の含有率が、原材料の総質量に対して0.2〜2.0質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
- 前記混合装置が、容器固定型混合装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
- 前記容器固定型混合装置が攪拌機構を装備し、該撹拌機構が、フルード数10以下の回転数で回転することを特徴とする請求項5に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
- 前記容器固定型混合装置が、水平軸型であることを特徴とする請求項6に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
- 前記容器固定型混合装置が、レーディゲミキサーであることを特徴とする請求項7に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法により製造した固体処理剤を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
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JP2003201475A JP2005043534A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料の処理方法 |
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JP2007300861A (ja) * | 2006-05-11 | 2007-11-22 | Pauretsuku:Kk | チョコレートコーティング装置及び方法、並びに固形チョコレートの成形方法 |
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