JP2005042585A - 内燃機関における動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸気弁用カム11にて開閉作動される吸気弁7と、排気弁用カム14にて開閉作動される排気弁8と、前記吸気弁用カムを負荷の増加に応じて進角するようにしたバルブタイミング調節機構19とを備えて成る内燃機関において、低乃至中負荷運転域における燃費の向上と、高負荷運転域における排気ガスのクリーン化とを同時に達成する。
【解決手段】前記吸気弁用カムのカムプロフィールを、当該吸気弁の開区間θのうち前半分θ1のカムプロフィールと後半分θ2のカムプロフィールとに分けて、前半分のカムプロフィールを、吸気弁が全閉から緩やかに全開にまで開いて全開の区間が比較的短いリフトカーブIN1を描くように構成する一方、後半分のカムプロフィールを、吸気弁の全開の区間が長くて全開から早急に全閉にまで閉じるリフトカーブIN2を描くように構成する。
【選択図】 図8
【解決手段】前記吸気弁用カムのカムプロフィールを、当該吸気弁の開区間θのうち前半分θ1のカムプロフィールと後半分θ2のカムプロフィールとに分けて、前半分のカムプロフィールを、吸気弁が全閉から緩やかに全開にまで開いて全開の区間が比較的短いリフトカーブIN1を描くように構成する一方、後半分のカムプロフィールを、吸気弁の全開の区間が長くて全開から早急に全閉にまで閉じるリフトカーブIN2を描くように構成する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関において、その吸気弁及び排気弁を開閉作動するための動弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関における動弁装置は、従来から良く知られているように、吸気弁及び排気弁を、クランク軸に連動するカムの回転によって適当をクランク角度の時期において開閉作動するものであり、この動弁装置において、前記吸気弁及び排気弁のリフト量と、クランク軸の回転角度、つまり、クランク角度とのリフトカーブは、図1及び図2に示すように設定しているのが、換言すると、前記吸気弁及び排気弁は、図1及び図2に示すリフトカーブに沿って開き作動する構成しているのが、従来において一般的である。
【0003】
すなわち、これら図1及び図2において符号in1,in2は、吸気弁におけるリフトカーブを、符号EXは、排気弁におけるリフトカーブを各々示し、また、符号Hは、吸気弁における最大リフト量を、符号θは、吸気弁を開いているクランク角度、つまり、開区間である。
【0004】
更にまた、前記図1における吸気弁におけるリフトカーブin1は、図3に示すように、尖り先形状のカムプロフィールを有する尖り先カムA1にて、全閉から緩やかに全開にまで開いて全開の区間が比較的短くそして全開から緩やかに全閉にまで閉じるように構成した場合であり、図2におけるリフトカーブin2は、図4に示すように、台形形状のカムプロフィールを有する台形カムA2にて、全閉から急速に全開にまで開いて全開の区間が比較的長くそして全開から早急に全閉にまで閉じるように構成した場合である。
【0005】
一方、最近の内燃機関においては、吸気行程における吸気のポンピングロスの低減等を図ることのために、例えば、特許文献1に記載しているように、吸気弁に対するバルブタイミング調節機構を設けて、前記吸気弁を開く時期を、内燃機関における負荷の増加に比例して適宜進角することが行われている。
【0006】
つまり、前記図1及び図2における吸気弁のリフトカーブin1,in2を、負荷の増加に比例して二点鎖線で示す位置にまで適宜角度Δθだけ進角するように構成することが行われている。
【0007】
このように、吸気弁に対するバルブタイミング調節機構を備えた内燃機関において、その吸気弁の開閉作動に、前記図3に示す尖り先カムA1を適用した場合には、吸気弁を負荷の増加に応じて図1に二点鎖線で示すように適宜角度Δθだけ進角した高負荷運転域のとき、吸気弁のバルブカーブin1のうち排気弁のリフトカーブEXに対してオーバラップするエリアB1(図1に斜線を施した部分)が狭いから、吸気の排気側への吹き抜けが少なくて、排気ガスをクリーン化できるという利点を有するが、その反面、前記吸気弁を進角しないか或いは進角度の小さい低乃至中負荷運転域において、吸気弁が閉じるときにそのバルブカーブin1のうち下死点(BDC)を越える部分のエリアC1(斜線を施した部分)が狭いことにより、低乃至中負荷運転域における燃費が低くなる。
【0008】
これに対して、吸気弁に対するバルブタイミング調節機構を備えた内燃機関において、その吸気弁の開閉作動に、前記図4に示す台形カムA2を適用した場合には、前記吸気弁を進角しないか或いは進角度の小さい低乃至中負荷運転域において、吸気弁が閉じるときにそのバルブカーブin2のうち下死点(BDC)を越える部分のエリアC2(斜線を施した部分)が広くて吸気の吹き戻しが大きく、吸入空気量を必要以上に増加しないので、燃費を、吸気弁を前記図3に示す尖り先カムA1にて開閉作動する場合よりも改善できるという利点を有するが、その反面、吸気弁を負荷の増加に応じて図2に二点鎖線で示すように進角した高負荷運転域のとき、前記吸気弁のバルブカーブin2のうち排気弁のリフトカーブEXに対してオーバラップするエリアB2(図2に斜線を施した部分)が、前者の場合よりも増大するから、排気側への吸気の吹き抜けが多くなり、排気ガスの悪化を招来することになる。
【0009】
そこで、先行技術としての特許文献2は、吸気弁に対するバルブタイミング調節機構を備えた内燃機関において、その吸気弁に対するカムを、二つにして、低乃至中負荷運転域においては、前記両カムのうち一方のカムにて、前記図1に示すバルブカーブin1に沿うように開き作動するが、高負荷運転域になると、吸気弁の開閉作動を、前記一方のカムによる開閉作動から他方のカムによる開閉作動に切り換えることにより、この他方のカムにて、排気弁のリフトカーブEXに対してオーバラップするエリアをなくするか或いは少なくするようなバルブカーブに沿うように開き作動することを提案している。
【0010】
【特許文献1】
特開昭61−279713号公報
【特許文献2】
特開平5−5430号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この特許文献2に記載の先行技術のものは、一つの吸気弁に二つのカムを必要することに加えて、この吸気弁を両カムのうちいずれか一方のカムによる開閉作動に切り換えるため機構を必要とするから、構造が極めて複雑で、耐久性が低いばかりか、大幅な大型化及び重量のアップを招来するのであり、しかも、二つのカムを使用しての切り換え式であるから、その切り換え時において、内燃機関の出力にトルク変動が発生するという問題があった。
【0012】
本発明は、これらの問題を解消することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明は、
「少なくとも、吸気弁用カムにて開閉作動される吸気弁と、排気弁用カムにて開閉作動される排気弁と、前記吸気弁用カムを負荷の増加に応じて進角するようにしたバルブタイミング調節機構とを備えて成る内燃機関において、
前記吸気弁用カムにおけるカムプロフィールを、吸気弁の開区間のうち前半分のカムプロフィールと後半分のカムプロフィールとに分けて、前半分のカムプロフィールを、吸気弁が全閉から緩やかに開くように構成する一方、後半分のカムプロフィールを、吸気弁が早急に全閉にまで閉じるように構成した。」
ことを特徴としている。
【0014】
【作 用】
このように構成することにより、吸気弁における全体のリフトカーブのうち前半分におけるリフトカーブは、前記図1及び図3に示す吸気弁A1による全体のリフトカーブin1のうちその中心線in1′よりも前半分のリフトカーブと同じか、或いはこの前半分のリフトカーブに近似する形状にできる一方、前記吸気弁における全体のリフトカーブのうち後半分におけるリフトカーブは、前記図2及び図4に示す吸気弁A2による全体のリフトカーブin2のうちその中心線in2′よりも後半分のリフトカーブと同じか、或いはこの後半分のリフトカーブに近似する形状にできるから、吸気弁を進角させないか、進角度の低い低乃至中負荷運転域において、吸気弁が閉じるときにその全体のリフトカーブのうち後半分のリフトカーブが下死点(BDC)を越える部分のエリアを広くことができる状態のもとで、吸気弁を進角した高負荷運転域において、吸気弁が開き始めるときにその全体のリフトカーブのうち前半分のリフトカーブが排気弁のリフトカーブに対してオーバラップするエリアを狭くすることができる。
【0015】
【発明の効果】
従って、本発明によると、吸気弁用のカムにおけるカムプロフィールによって、低乃至中負荷運転域における燃費の向上と、高負荷運転域における排気ガスのクリーン化とを同時に達成できるから、前記先行技術に比べて、構造が簡単で、耐久性が高いばかりか、大幅に小型・軽量化でき、しかも、出力にトルク変動が発生することがない効果を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図5〜図8の図面について説明する。
【0017】
これらの図において、符号1は、シリンダブロックを示し、このシリンダブロック1におけるシリンダ2内には、図示しないクランク軸の回転によって往復動するピストン3を内蔵している。
【0018】
符号4は、前記シリンダブロック1の上面に前記シリンダ2を塞ぐように締結したシリンダヘッドを示し、このシリンダヘッド4には、前記シリンダ2内への吸気ポート5と、シリンダ2内からの排気ポート6とが形成され、前記吸気ポート5のシリンダ2内への開口部には、吸気弁7が、前記排気ポート6のシリンダ2内への開口部には、排気弁8が各々設けられ、前記吸気弁7におけるリフタ9は、前記シリンダヘッド4に軸支した吸気弁用カム軸10上のカム11に、前記排気弁8におけるタフタ12は、前記シリンダヘッド4に軸支した排気弁用カム軸13上のカム14に各々接当している。
【0019】
前記クランク軸の回転を、前記排気弁用カム軸13上の輪体15にタイミングチエン16又はタイミングベルトにて伝えて、前記排気弁用カム軸13を回転駆動することにより、前記排気弁8を適宜クランク角度の位相において開き作動する一方、前記排気弁用カム軸13の回転を、互いに噛合する一対の歯車対17,18を介して前記吸気弁用カム軸10に伝えて、これを回転することにより、前記吸気弁7を、適宜クランク角度の位相において適宜のランク角度θの区間において開き作動する。
【0020】
また、前記排気弁用カム軸13と、前記歯車17との間には、例えば、前記特許文献1,2に記載されているように、前記吸気弁7を開く時期を、内燃機関における負荷に比例して進角するようにしたバルブタイミング調節機構19が設けられている。
【0021】
前記排気弁8に対するカム14は、そのカムプロフィールを前記従来と同様に構成することにより、排気弁8を、図8に示すリフトカーブEXに沿って開き作動するように構成されている。
【0022】
一方、前記吸気弁7に対するカム11は、吸気弁7を、図8に示すリフトカーブINに沿って開き作動するようにしたカムプロフィールに構成されている。
【0023】
すなわち、前記吸気弁用カム11におけるカムプロフィールを、図7に示すように、当該吸気弁開区間θのうち前半分のθ1(θ1=2/θ)の部分におけるカムプロフィールと、後半分のθ2(θ2=2/θ)の部分におけるカムプロフィールとに分けて、前半分のカムプロフィールを、吸気弁7が全閉から緩やかに全開にまで開いて全開の区間が比較的短いリフトカーブIN1を描くように構成する一方、後半分のカムプロフィールを、吸気弁7が全開の区間が長くて全開から早急に全閉にまで閉じるリフトカーブIN2を描くように構成する。
【0024】
換言すると、吸気弁7における全体のリフトカーブINのうちその中心線IN′より前側の部分を、全閉から緩やかに全開にまで開いて全開の区間が比較的短いリフトカーブIN1を描いて、この前半分のリフトカーブIN1が、前記図1及び図3に示す、従来における吸気弁A1による全体のリフトカーブin1のうちその中心線in1′より前半分のリフトカーブと同じか、これと近似するように構成する一方、前記吸気弁7における全体のリフトカーブINのうちその中心線IN′より後側の部分を、全開の区間が長くて全開から早急に全閉にまで閉じるリフトカーブIN2を描いて、この後半分のリフトカーブIN2が、前記図2及び図4に示す、従来における吸気弁A2による全体のリフトカーブin2のうちその中心線in2′より後半分のリフトカーブと同じか、これと近似するように構成する。
【0025】
このように構成することにより、吸気弁7を、バルブタイミング調節機構18にて進角させないか、その進角度の低い低乃至中負荷運転域において、吸気弁7が閉じるときにその全体のリフトカーブINのうち後半分のリフトカーブIN2が下死点(BDC)を越える部分のエリアCを、前記図2及び図3の場合と同様に、広くことができる状態のもとで、吸気弁7を適宜角度Δθだけ進角した高負荷運転域において、吸気弁7が開き始めるときにその全体のリフトカーブINのうち前半分のリフトカーブIN2が排気弁8のリフトカーブEXに対してオーバラップするエリアBを、前記図1及び図3の場合と同様に狭くすることができる。
【0026】
これにより、低乃至中負荷運転域における燃費の向上と、高負荷運転域における排気ガスのクリーン化とを同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来における吸気弁及び排気弁のリフトカーブを示す図である。
【図2】従来における別の吸気弁及び排気弁のリフトカーブを示す図である。
【図3】前記図1に示す吸気弁のリフトカーブを得るためのカムを示す図である。
【図4】前記図2に示す吸気弁のリフトカーブを得るためのカムを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す要部縦断正面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】本発明の実施の形態に使用する吸気弁用カムを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における吸気弁及び排気弁のリフトカーブを示す図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 シリンダ
3 ピストン
4 シリンダヘッド
5 吸気ポート
6 排気ポート
7 吸気弁
8 排気弁
10 吸気弁用カム軸
11 吸気弁用カム
13 排気弁用カム軸
14 排気弁用カム
16 タイミングチエン
19 バルブタイミング調節機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関において、その吸気弁及び排気弁を開閉作動するための動弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関における動弁装置は、従来から良く知られているように、吸気弁及び排気弁を、クランク軸に連動するカムの回転によって適当をクランク角度の時期において開閉作動するものであり、この動弁装置において、前記吸気弁及び排気弁のリフト量と、クランク軸の回転角度、つまり、クランク角度とのリフトカーブは、図1及び図2に示すように設定しているのが、換言すると、前記吸気弁及び排気弁は、図1及び図2に示すリフトカーブに沿って開き作動する構成しているのが、従来において一般的である。
【0003】
すなわち、これら図1及び図2において符号in1,in2は、吸気弁におけるリフトカーブを、符号EXは、排気弁におけるリフトカーブを各々示し、また、符号Hは、吸気弁における最大リフト量を、符号θは、吸気弁を開いているクランク角度、つまり、開区間である。
【0004】
更にまた、前記図1における吸気弁におけるリフトカーブin1は、図3に示すように、尖り先形状のカムプロフィールを有する尖り先カムA1にて、全閉から緩やかに全開にまで開いて全開の区間が比較的短くそして全開から緩やかに全閉にまで閉じるように構成した場合であり、図2におけるリフトカーブin2は、図4に示すように、台形形状のカムプロフィールを有する台形カムA2にて、全閉から急速に全開にまで開いて全開の区間が比較的長くそして全開から早急に全閉にまで閉じるように構成した場合である。
【0005】
一方、最近の内燃機関においては、吸気行程における吸気のポンピングロスの低減等を図ることのために、例えば、特許文献1に記載しているように、吸気弁に対するバルブタイミング調節機構を設けて、前記吸気弁を開く時期を、内燃機関における負荷の増加に比例して適宜進角することが行われている。
【0006】
つまり、前記図1及び図2における吸気弁のリフトカーブin1,in2を、負荷の増加に比例して二点鎖線で示す位置にまで適宜角度Δθだけ進角するように構成することが行われている。
【0007】
このように、吸気弁に対するバルブタイミング調節機構を備えた内燃機関において、その吸気弁の開閉作動に、前記図3に示す尖り先カムA1を適用した場合には、吸気弁を負荷の増加に応じて図1に二点鎖線で示すように適宜角度Δθだけ進角した高負荷運転域のとき、吸気弁のバルブカーブin1のうち排気弁のリフトカーブEXに対してオーバラップするエリアB1(図1に斜線を施した部分)が狭いから、吸気の排気側への吹き抜けが少なくて、排気ガスをクリーン化できるという利点を有するが、その反面、前記吸気弁を進角しないか或いは進角度の小さい低乃至中負荷運転域において、吸気弁が閉じるときにそのバルブカーブin1のうち下死点(BDC)を越える部分のエリアC1(斜線を施した部分)が狭いことにより、低乃至中負荷運転域における燃費が低くなる。
【0008】
これに対して、吸気弁に対するバルブタイミング調節機構を備えた内燃機関において、その吸気弁の開閉作動に、前記図4に示す台形カムA2を適用した場合には、前記吸気弁を進角しないか或いは進角度の小さい低乃至中負荷運転域において、吸気弁が閉じるときにそのバルブカーブin2のうち下死点(BDC)を越える部分のエリアC2(斜線を施した部分)が広くて吸気の吹き戻しが大きく、吸入空気量を必要以上に増加しないので、燃費を、吸気弁を前記図3に示す尖り先カムA1にて開閉作動する場合よりも改善できるという利点を有するが、その反面、吸気弁を負荷の増加に応じて図2に二点鎖線で示すように進角した高負荷運転域のとき、前記吸気弁のバルブカーブin2のうち排気弁のリフトカーブEXに対してオーバラップするエリアB2(図2に斜線を施した部分)が、前者の場合よりも増大するから、排気側への吸気の吹き抜けが多くなり、排気ガスの悪化を招来することになる。
【0009】
そこで、先行技術としての特許文献2は、吸気弁に対するバルブタイミング調節機構を備えた内燃機関において、その吸気弁に対するカムを、二つにして、低乃至中負荷運転域においては、前記両カムのうち一方のカムにて、前記図1に示すバルブカーブin1に沿うように開き作動するが、高負荷運転域になると、吸気弁の開閉作動を、前記一方のカムによる開閉作動から他方のカムによる開閉作動に切り換えることにより、この他方のカムにて、排気弁のリフトカーブEXに対してオーバラップするエリアをなくするか或いは少なくするようなバルブカーブに沿うように開き作動することを提案している。
【0010】
【特許文献1】
特開昭61−279713号公報
【特許文献2】
特開平5−5430号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この特許文献2に記載の先行技術のものは、一つの吸気弁に二つのカムを必要することに加えて、この吸気弁を両カムのうちいずれか一方のカムによる開閉作動に切り換えるため機構を必要とするから、構造が極めて複雑で、耐久性が低いばかりか、大幅な大型化及び重量のアップを招来するのであり、しかも、二つのカムを使用しての切り換え式であるから、その切り換え時において、内燃機関の出力にトルク変動が発生するという問題があった。
【0012】
本発明は、これらの問題を解消することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明は、
「少なくとも、吸気弁用カムにて開閉作動される吸気弁と、排気弁用カムにて開閉作動される排気弁と、前記吸気弁用カムを負荷の増加に応じて進角するようにしたバルブタイミング調節機構とを備えて成る内燃機関において、
前記吸気弁用カムにおけるカムプロフィールを、吸気弁の開区間のうち前半分のカムプロフィールと後半分のカムプロフィールとに分けて、前半分のカムプロフィールを、吸気弁が全閉から緩やかに開くように構成する一方、後半分のカムプロフィールを、吸気弁が早急に全閉にまで閉じるように構成した。」
ことを特徴としている。
【0014】
【作 用】
このように構成することにより、吸気弁における全体のリフトカーブのうち前半分におけるリフトカーブは、前記図1及び図3に示す吸気弁A1による全体のリフトカーブin1のうちその中心線in1′よりも前半分のリフトカーブと同じか、或いはこの前半分のリフトカーブに近似する形状にできる一方、前記吸気弁における全体のリフトカーブのうち後半分におけるリフトカーブは、前記図2及び図4に示す吸気弁A2による全体のリフトカーブin2のうちその中心線in2′よりも後半分のリフトカーブと同じか、或いはこの後半分のリフトカーブに近似する形状にできるから、吸気弁を進角させないか、進角度の低い低乃至中負荷運転域において、吸気弁が閉じるときにその全体のリフトカーブのうち後半分のリフトカーブが下死点(BDC)を越える部分のエリアを広くことができる状態のもとで、吸気弁を進角した高負荷運転域において、吸気弁が開き始めるときにその全体のリフトカーブのうち前半分のリフトカーブが排気弁のリフトカーブに対してオーバラップするエリアを狭くすることができる。
【0015】
【発明の効果】
従って、本発明によると、吸気弁用のカムにおけるカムプロフィールによって、低乃至中負荷運転域における燃費の向上と、高負荷運転域における排気ガスのクリーン化とを同時に達成できるから、前記先行技術に比べて、構造が簡単で、耐久性が高いばかりか、大幅に小型・軽量化でき、しかも、出力にトルク変動が発生することがない効果を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図5〜図8の図面について説明する。
【0017】
これらの図において、符号1は、シリンダブロックを示し、このシリンダブロック1におけるシリンダ2内には、図示しないクランク軸の回転によって往復動するピストン3を内蔵している。
【0018】
符号4は、前記シリンダブロック1の上面に前記シリンダ2を塞ぐように締結したシリンダヘッドを示し、このシリンダヘッド4には、前記シリンダ2内への吸気ポート5と、シリンダ2内からの排気ポート6とが形成され、前記吸気ポート5のシリンダ2内への開口部には、吸気弁7が、前記排気ポート6のシリンダ2内への開口部には、排気弁8が各々設けられ、前記吸気弁7におけるリフタ9は、前記シリンダヘッド4に軸支した吸気弁用カム軸10上のカム11に、前記排気弁8におけるタフタ12は、前記シリンダヘッド4に軸支した排気弁用カム軸13上のカム14に各々接当している。
【0019】
前記クランク軸の回転を、前記排気弁用カム軸13上の輪体15にタイミングチエン16又はタイミングベルトにて伝えて、前記排気弁用カム軸13を回転駆動することにより、前記排気弁8を適宜クランク角度の位相において開き作動する一方、前記排気弁用カム軸13の回転を、互いに噛合する一対の歯車対17,18を介して前記吸気弁用カム軸10に伝えて、これを回転することにより、前記吸気弁7を、適宜クランク角度の位相において適宜のランク角度θの区間において開き作動する。
【0020】
また、前記排気弁用カム軸13と、前記歯車17との間には、例えば、前記特許文献1,2に記載されているように、前記吸気弁7を開く時期を、内燃機関における負荷に比例して進角するようにしたバルブタイミング調節機構19が設けられている。
【0021】
前記排気弁8に対するカム14は、そのカムプロフィールを前記従来と同様に構成することにより、排気弁8を、図8に示すリフトカーブEXに沿って開き作動するように構成されている。
【0022】
一方、前記吸気弁7に対するカム11は、吸気弁7を、図8に示すリフトカーブINに沿って開き作動するようにしたカムプロフィールに構成されている。
【0023】
すなわち、前記吸気弁用カム11におけるカムプロフィールを、図7に示すように、当該吸気弁開区間θのうち前半分のθ1(θ1=2/θ)の部分におけるカムプロフィールと、後半分のθ2(θ2=2/θ)の部分におけるカムプロフィールとに分けて、前半分のカムプロフィールを、吸気弁7が全閉から緩やかに全開にまで開いて全開の区間が比較的短いリフトカーブIN1を描くように構成する一方、後半分のカムプロフィールを、吸気弁7が全開の区間が長くて全開から早急に全閉にまで閉じるリフトカーブIN2を描くように構成する。
【0024】
換言すると、吸気弁7における全体のリフトカーブINのうちその中心線IN′より前側の部分を、全閉から緩やかに全開にまで開いて全開の区間が比較的短いリフトカーブIN1を描いて、この前半分のリフトカーブIN1が、前記図1及び図3に示す、従来における吸気弁A1による全体のリフトカーブin1のうちその中心線in1′より前半分のリフトカーブと同じか、これと近似するように構成する一方、前記吸気弁7における全体のリフトカーブINのうちその中心線IN′より後側の部分を、全開の区間が長くて全開から早急に全閉にまで閉じるリフトカーブIN2を描いて、この後半分のリフトカーブIN2が、前記図2及び図4に示す、従来における吸気弁A2による全体のリフトカーブin2のうちその中心線in2′より後半分のリフトカーブと同じか、これと近似するように構成する。
【0025】
このように構成することにより、吸気弁7を、バルブタイミング調節機構18にて進角させないか、その進角度の低い低乃至中負荷運転域において、吸気弁7が閉じるときにその全体のリフトカーブINのうち後半分のリフトカーブIN2が下死点(BDC)を越える部分のエリアCを、前記図2及び図3の場合と同様に、広くことができる状態のもとで、吸気弁7を適宜角度Δθだけ進角した高負荷運転域において、吸気弁7が開き始めるときにその全体のリフトカーブINのうち前半分のリフトカーブIN2が排気弁8のリフトカーブEXに対してオーバラップするエリアBを、前記図1及び図3の場合と同様に狭くすることができる。
【0026】
これにより、低乃至中負荷運転域における燃費の向上と、高負荷運転域における排気ガスのクリーン化とを同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来における吸気弁及び排気弁のリフトカーブを示す図である。
【図2】従来における別の吸気弁及び排気弁のリフトカーブを示す図である。
【図3】前記図1に示す吸気弁のリフトカーブを得るためのカムを示す図である。
【図4】前記図2に示す吸気弁のリフトカーブを得るためのカムを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す要部縦断正面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】本発明の実施の形態に使用する吸気弁用カムを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における吸気弁及び排気弁のリフトカーブを示す図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 シリンダ
3 ピストン
4 シリンダヘッド
5 吸気ポート
6 排気ポート
7 吸気弁
8 排気弁
10 吸気弁用カム軸
11 吸気弁用カム
13 排気弁用カム軸
14 排気弁用カム
16 タイミングチエン
19 バルブタイミング調節機構
Claims (1)
- 少なくとも、吸気弁用カムにて開閉作動される吸気弁と、排気弁用カムにて開閉作動される排気弁と、前記吸気弁用カムを負荷の増加に応じて進角するようにしたバルブタイミング調節機構とを備えて成る内燃機関において、
前記吸気弁用カムにおけるカムプロフィールを、吸気弁の開区間のうち前半分のカムプロフィールと後半分のカムプロフィールとに分けて、前半分のカムプロフィールを、吸気弁が全閉から緩やかに開くように構成する一方、後半分のカムプロフィールを、吸気弁が早急に全閉にまで閉じるように構成したことを特徴とする内燃機関における吸気弁用動弁装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003201766A JP2005042585A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | 内燃機関における動弁装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003201766A JP2005042585A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | 内燃機関における動弁装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005042585A true JP2005042585A (ja) | 2005-02-17 |
Family
ID=34261733
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003201766A Pending JP2005042585A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | 内燃機関における動弁装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005042585A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011069377A (ja) * | 2011-01-14 | 2011-04-07 | Mitsubishi Motors Corp | 内燃機関の可変動弁装置 |
JP2011069376A (ja) * | 2011-01-14 | 2011-04-07 | Mitsubishi Motors Corp | 内燃機関の可変動弁装置 |
-
2003
- 2003-07-25 JP JP2003201766A patent/JP2005042585A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011069377A (ja) * | 2011-01-14 | 2011-04-07 | Mitsubishi Motors Corp | 内燃機関の可変動弁装置 |
JP2011069376A (ja) * | 2011-01-14 | 2011-04-07 | Mitsubishi Motors Corp | 内燃機関の可変動弁装置 |
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