JP2005042072A - 硬化性組成物及びそれを用いた硬化処理物品 - Google Patents

硬化性組成物及びそれを用いた硬化処理物品 Download PDF

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Abstract

【課題】 硬度が高く硬化収縮が少ない硬化樹脂層を有する硬化処理物、特に、
膜剥がれやひび割れが生じにくく、十分な硬度を有する硬化処理物、及びそれに
用いる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 ラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)とポリエステル重合成分から構成されるブロック(B)とから成るAB型、ABA型若しくはクシ型のブロック共重合体を少なくとも1つ、ならびに光及び熱の少なくともいずれかで硬化する化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物を基材上に塗布し、硬化させて、硬化樹脂層を有する硬化処理物を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化性組成物を基材上に塗布した後に硬化させることにより得られる硬度が高く硬化収縮が少ない硬化性組成物に関する。また、該硬化性組成物を硬化して得られる硬化樹脂層(硬化膜とも称する)を有する、硬化処理フィルム及び硬化処理物品に関する。また、本発明は、膜剥がれやひび割れの発生が少なく硬化後のカールの少ない、優れた耐擦傷性及び表面硬度を有する反射防止フィルム(以下、反射防止膜とも称する)及び画像表示装置に関する。
近年、プラスチック製品が、加工性、軽量化の観点でガラス製品と置き換わりつつあるが、これらプラスチック製品の表面は傷つきやすいため、耐擦傷性を付与する目的で硬化樹脂層からなるハードコート層を直接塗設したり、硬化樹脂層付きプラスチックフィルム(硬化処理フィルムとも称する)を貼合して用いる場合が多い。また、従来のガラス製品についても、飛散防止のためにプラスチックフィルムを貼合する場合が増えており、これらのフィルム表面の硬度強化のために、その表面に硬化樹脂層を形成することは有用であり、広く行われている。
従来から熱硬化性組成物、あるいは活性エネルギー線硬化性組成物を塗布した後に、硬化させて得られる硬化処理フィルムが種々提案されている。特に、低温で硬化可能な活性エネルギー線(紫外線等)硬化性組成物が広く用いられている。一般に、紫外線硬化性組成物に用いられている硬化性成分は、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やポリウレタンアクリレート(特許文献1等)、ポリエステルアクリレート(特許文献2等)、エポキシアクリレート(特許文献3等)と称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマー、及び無機或いは有機の微粒子が併用される(特許文献4〜5等)。又、ラジカル重合性化合物の酸素重合阻害を回避できるカチオン重合性のプロペニル基含有のポリエステル化合物を用いる(特許文献6)、膜の強度・可撓性を改良するとしてポリウレタンアクリレートとポリエステルアクリレートとを併用する(特許文献7)、膜の耐削れ性改良としてポリエステル樹脂にアクリルモノマーをグラフト化したグラフト共重合を用いる(特許文献8)等が開示されている。
特開昭59−151110号公報 特開昭59−151112号公報 特開平−105738号公報 特開2000−912号公報 特開2000−112379号公報 特開平10−7754号公報 特開平11−70606号公報 特開平8−333467号公報
このような方法の中で、大面積の加工が容易で生産性に優れる活性エネルギー線硬化性組成物を用いる場合が多いが、これらの方法では、硬化樹脂層と基材との密着、得られた硬化処理フイルムの折り曲げ時のクラック、硬化処理フイルムのカール等が実用上に問題のない範囲では、硬化膜の鉛筆硬度が限界(2H〜3Hレベル)となる等の問題が多い。一方、硬度が不充分であっても硬化樹脂層の厚みを通常の3〜10μmよりも単に厚くすれば、得られた硬化処理フィルムの硬度は向上するが、硬化樹脂層のひび割れが生じやすくなると同時に硬化時の体積収縮により基材との接着性が悪化し剥離を生じたり、硬化処理フィルムのカールが大きくなるという問題がある。
また、近年、外観、表面硬度、耐スクラッチ、密着性、曲げ加工性等がより一層優れる硬化樹脂層への要求が高まっている。
さらに、反射防止フィルムの高屈折率層においても、近年、画像表示装置の大画面化、或いはモバイル化の進展により、表示画像の鮮明性、保護フィルム(以下、保護膜とも称する)としての耐久性への要求が高まっている。
しかし、多層積層型の反射防止膜(以下、多層膜反射防止膜とも称する)としての高屈折率層とするには、光学特性を決定するチタン系などの高屈折率酸化物微粒子など上記無機粒子の層中での使用割合を大きくしなければならず、反射防止膜では十分な強度(硬度や耐擦傷性、密着性などの物理的強度)の保持が難しい。これら光学多層膜は物品の最外層に使用されるため、より一層の耐久性を有する保護フィルムが望まれている。
従って、本発明の目的は、硬化性組成物を塗布した後、硬化させることにより、硬度が高く硬化収縮が少ない硬化樹脂層を得ることができる硬化性組成物を提供することである。
本発明の更なる目的は、膜剥がれやひび割れが生じにくく、十分な硬度を有する硬化処理物品を提供することである。また、他の本発明の目的は、プラスチックフィルム基材を使用した場合も膜剥がれ、ひび割れカールが生じにくい、十分な硬度を有する硬化処理フィルムを提供することである。
本発明の更なる目的は、高い反射防止性能を有し、且つ物理的強度にも優れ、安価で、生産性に優れた多層膜反射防止膜を提供することである。
また、本発明の更なる目的は、適切な手段により反射防止処理がされている、物理的強度に優れ、安価で、生産性に優れた、偏光板、及び、画像表示装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段によって達成された。
(1)ラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)とポリエステル重合成分から構成されるブロック(B)とから成るAB型、ABA型若しくはクシ型のブロック共重合体を少なくとも1つ、ならびに光及び熱の少なくともいずれかで硬化する化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
(2)上記のラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)及び上記のポリエステル重合成分から構成されるブロック(B)の少なくともいずれかが、脂環式炭化水素環を構成成分として含有することを特徴とする上記(1)記載の硬化性組成物。
(3)上記のクシ型ブロック共重合体が、ポリエステル重合成分の重合体主鎖の片末端にのみラジカル重合性基を結合して成る一官能性マクロモノマーとラジカル重合性単量体との共重合体であることを特徴とする上記(1)または(2)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(4)上記ブロック共重合体が、上記ブロック(A)の重合成分の側鎖置換基、或はブロック共重合体の主鎖の末端に硬化性反応性基を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5)上記ブロック共重合体の硬化性反応性基が、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、加水分解性基置換のシリル基から少なくとも1つ選ばれることを特徴とする上記(4)記載の硬化性組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物を塗布し、硬化させて得られたものである硬化処理物品。
(7)透明支持体上に、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物から形成される硬化被膜を有する硬化処理フィルム。
(8)透明支持体上に、高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも二層の屈折率層を順次積層させてなる多層膜反射防止膜であって、該高屈折率層の屈折率が1.55〜2.50の範囲である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られたものである反射防止膜。
(9)透明支持体上に、防眩性層及び低屈折率層の少なくとも二層の屈折率層を順次積層させてなる多層膜反射防止膜であって、該防眩性層が粒子径0.5〜10μmのマット粒子を更に有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られたものである反射防止膜。
(10)透明支持体上に、屈折率の異なる二層の高屈折率層及びこれらの層上に積層させた屈折率1.55未満の低屈折率層の少なくとも三層の屈折率層を有し、該二層の高屈折率層の少なくともいずれか一方が上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られたものである反射防止膜。
(11)透明支持体と高屈折率層との間にハードコート層を有することを特徴とする上記(8)〜(10)のいずれかに記載の反射防止膜。
(12)上記(8)〜(11)のいずれかに記載の反射防止膜を偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いることを特徴とする偏光板。
(13)上記(8)〜(11)のいずれかに記載の反射防止膜を偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いることを特徴とする偏光板。
(14)上記(8)〜(11)のいずれかに記載の反射防止膜又は上記(12)〜(13)のいずれかに記載の偏光板が、画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロックAとポリエステル重合成分から構成されるブロックBとからなるAB型、ABA型もしくはクシ型のブロック共重合体を少なくとも1つ、ならびに光及び熱の少なくともいずれかで硬化する化合物を含有するものであり、かかる構成を有することにより、得られる硬化樹脂層の膜強度が格段に向上し、硬度が高く硬化収縮が少ない硬化処理物品が得られることが見出された。また、上記の構造をもつ共重合体はポリエステルのもつ優れた耐脆性および強靭性を効果的に発現できる十分な量を導入でき、得られた硬化処理物品は、ポリエステルの弱点であった耐湿性も向上することが見出された。
これは、本発明の硬化膜は、ポリエステル重合成分から構成されるブロックBの重合体の部分とラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロックAのビニルモノマーからなる重合体の部分が共重合したポリマー分子の分子間の相互作用でミクロ相分離構造を形成していることによるものと推定される。
さらに上記ブロックAの重合成分の側鎖置換基、或いはブロック共重合体の主鎖の末端に後述する硬化性反応性基を含有し、また該硬化性反応性基を含有する場合にさらに硬化性組成物中に上記重合体の重合性基と共重合可能な重合性基含有の単量体を含有すると、より一層の膜強度向上効果が得られた。従来のゾル−ゲル素材や共重合体で硬化膜を形成した場合に比べて、上層に有機化合物主体の重合性硬化性組成物を塗布して形成する場合に良好な塗布性が得られ、層間の密着性がよくなることが見出された。これはビニルモノマーからなる重合体の部分が該硬化性反応性基による硬化反応により高分子間に橋かけ構造が形成され、重合したポリマー鎖がさらなる高次構造を形成するものと推定される。
さらに、上記ブロックAまたはBに脂環式炭化水素環を構成成分として含有することにより、透明支持体として用いるプラスチックフィルムの分子との立体的な絡み合いが向上し、硬度と耐脆性がさらに高くなることが見出された。
また、本発明の本発明の硬化性組成物に無機又は有機の微粒子を含有することで、膜としてのユニバーサル硬度を調節、架橋収縮率を小さくできることによりフイルムのカールを減少することができることが見出された。
本発明の硬化性組成物は、硬度が高く硬化収縮が少ないため、膜剥がれやひび割れが生じにくく、十分な硬度を有するハードコート処理物品を提供することができる。また、プラスチックフィルム基材を使用した場合も膜剥がれ、ひび割れカールが生じにくい、十分な硬度を有する硬化処理フィルムを得ることができる。
本発明の硬化性組成物は、硬化処理物品として、積層型反射防止フィルムのハードコート層としても、また、高屈折率層としても用いることができる。特に高屈折率層に用いることにより、ヘイズや反射率の点で反射防止フィルムとしての光学特性が良好であり、かつ密着性も優れており、耐候性(特に偏光性)に優れた反射防止フィルムが得られる。更に、優れた性能を有する画像表示装置が得られる。
以下、本発明を更に詳述する。
本発明の硬化処理物品は、本発明の硬化性組成物を基材上に塗布し、硬化して形成される硬化樹脂層を有するものである。基材は特に限定されるものではなく、該基材上に本発明の硬化性組成物を塗布、硬化して硬化樹脂層を設けることにより、表面保護膜が形成される。基材としては、好ましくはプラスチック製品、ガラス、プラスチックフィルム(シート)等が挙げられ、例えば、建材、自動車表面、電化製品等、幅広く用いることができる。
硬化樹脂層は単層であっても複数層から構成されていてもよい。製造工程上は、簡便な単層であることが好ましい。この場合の単層とは同一組成物で形成される硬化樹脂層を意味し、塗布、乾燥後の組成が、同一組成のものであれば、複数回の塗布で形成されていてもよい。一方、複数層とは組成の異なる複数の組成物で形成されることを意味し、本発明では少なくとも一層が、本発明の硬化性組成物を塗布、硬化して形成される硬化樹脂層であり、特に最外層が本発明の硬化性組成物を塗布し、硬化して形成される硬化樹脂層であることが好ましい。複数層構成の場合には、硬無機微粒子、軟微粒子の充填率の異なる層を硬度の順に適宜積層して作製することもできる。
また、これらの硬化樹脂層の上に、反射防止層、紫外線・赤外線吸収層、選択波長吸収性層、電磁波シールド層や防汚性層等の機能を有する膜を設けることができ、高硬度の機能性フイルム(以下、機能膜とも称する)として供することができる。
更に本発明の硬化処理物品は、透明支持体上に、高屈折率層及び低屈折率層を順次積層させてなる多層膜反射防止膜であってもよく、該高屈折率層が、本発明の上記硬化性組成物を塗布し、硬化して形成される硬化樹脂層であることが好ましい。該高屈折率層は、更に屈折率1.70以上の無機粒子を含有することが好ましい。このようにして得られた硬化膜は、光学的な透明性、膜の強度に優れる。
<硬化性組成物>
[ブロック共重合体]
本発明のブロック共重合体は、ラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)(以下「ブロックA」と称することもある)とポリエステル重合成分から構成されるブロック(B)(以下「ブロックB」と称することもある)とから成るブロック共重合体である。
このブロック共重合体は、AB型、ABA型又はクシ型構造である。以下にその模式図を示す。
Figure 2005042072
本発明のブロック共重合体の質量平均分子量は5×103〜5×105であることが好ましく、より好ましくは8×103〜1×105であり、特に好ましくは1×104〜8×104である。
ブロックAとブロックBの構成比は、ブロックA/ブロックB=95/5〜5/95であることが好ましく、より好ましくはブロックA/ブロックB=90/10〜20/80であり、特に好ましくはブロックA/ブロックB=80/20〜30/70である。
特に、クシ型のブロック共重合体の場合には、後述するポリエステル重合成分の各重合体主鎖の片末端にのみラジカル重合性基を結合して成る一官能性マクロモノマーとラジカル重合性単量体(「ラジカル重合性モノマー」とも称する)の共重合性の観点から、ブロックAとブロックBの構成比は、ブロックA/ブロックB=95/5〜20/80であることが好ましく、より好ましくはブロックA/ブロックB=90/10〜40/60である。
これらブロック共重合体の硬化性組成物中の割合は20〜100質量%、好ましくは30〜99.5質量%、より好ましくは40〜95質量%、さらに好ましくは50〜90質量%である。
[ブロックA]
ラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)(ブロックA)について、以下に述べる。ブロックAは以下の一般式(I)で表されるラジカル重合成分を含有することが好ましい。
Figure 2005042072
前記一般式(I)において、[ ]内は繰り返し単位を表す。
一般式(I)中、V1は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHCO−、−SO2−、−CO−、−CON(Q1)−、−SO2N(Q1)−又はフェニレン基(以下フェニレン基をPhで表すこともある。ただしPhは1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基を含む。以下、同様)を表す。ここで、Q1は水素原子又は炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、フロロベンジル基、メチルベンジル基、シクロヘキシルメチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。
1の好ましい態様として、−COO−、−CONH−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−が挙げられる。
1及びa2は同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、−CN基、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)又は−CH2COOR10基(R10はアルキル基を表す。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)を表す。
Rは、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。脂肪族基としては、炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、及び炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状、並びに炭素原子数5〜16の環状の脂肪族基がより好ましい。
該脂肪族基は置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。
該非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、−OH基、−OR11、−SR11、−COR11、−COOR11、−OCOR11、−SO211、−NHCONHR11、−N(R12)COR11、−N(R12)SO211、−N(R13)(R14)、−CON(R13)(R14)、−SO2N(R13)(R14)、−P(=O)(R15)(R16)、−OP(=O)(R15)(R16)、−Si(R17)(R18)(R19)、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式又は多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
該置換基としてのアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基に導入し得る基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記R11は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。R11における脂肪族基は前記Rで表される脂肪族基と同義である。R11におけるアリール基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。R11における複素環基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示した複素環基と同様のものが挙げられる。
12は、水素原子又はR11基と同様のものを表す。
前記R13及びR14は、各々独立に、水素原子、又はR11と同様のものを表し、更に、R13とR14とは互いに結合して、N原子を含有する5員又は6員の環を形成してもよい。
前記R15及びR16は、各々独立に、−OH、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−OR11を表す。R15及びR16における脂肪族基は前記Rで表される脂肪族基と同義である。R15及びR16におけるアリール基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。但し、かかる極性置換基において、R15及びR16の双方が−OHで表されることはない。
前記R17、R18及びR19は、各々独立に、炭素数1〜22の炭化水素基又は−OR20を表し、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記Rで示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR20は前記−OR11と同様の内容を表す。
前記式(I)におけるRで表されるアリール基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。また、かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記式(I)におけるRで表される複素環基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示した複素環基と同様のものが挙げられる。また、かかる複素環基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
一般式(I)において、更に好ましくは、下記一般式(II)の構造が挙げられる。
Figure 2005042072
ここで、L1は、一般式(I)における−V1−と−R−とを連結する基を表し、直接結合又は総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子に結合する水素原子を除く)を表す。好ましくは直接結合又は総原子数1〜12の連結基を表す。但し、R0が単環式脂環式炭化水素基の場合は、L1は直接結合ではなく、総原子数が1〜12の連結基であることが好ましく、更には総原子数1〜8の連結基であることが好ましい。
1における連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合又は二重結合)、炭素原子−複素原子結合(複素原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、複素原子−複素原子結合等から構成される原子団の任意の組み合わせで構成される。連結基として具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2005042072
連結基の具体例中、j1、j2は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、ハロゲン原子、臭素原子、ヨウ素原子)又は炭素数1〜6の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフロロメチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、クロロエチル基等)を表し、j3は、水素原子又は炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセチルフェニル基、トリフロロフェニル基等)を表し、j4、j5は、同じでも異なってもよく、炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(具体的には前記j3と同一の内容を表す)を表す。j6は水素原子又はアルキル基を表し、アルキル基としてはj1と同一の内容を表す。
また、上記R0は、炭素数5〜30個の環状構造を構成する脂環式炭化水素基であり、単環式、多環式、架橋環式、スピロ環式等の環状構造が挙げられる。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。炭素数は6〜25が好ましい。
以下に上記R0における脂環式炭化水素基のうち、脂環式炭化水素環の部分の構造例を挙げる。なお、下記構造例において、共役しない位置に二重結合を含有してもよい。
Figure 2005042072
Figure 2005042072
また、これらの脂環式炭化水素基は少なくとも1種の置換基を有していてもよい。脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アシル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の具体的な内容は、前記式(I)中のRで例示したと同一の内容のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素環は、少なくともブロック共重合体のブロックA、後記するブロックBのいずれか、または両方に含まれていることが好ましい。
[硬化性反応性基]
本発明のラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)は、硬化性反応性基を含有することも好ましい。これら硬化性反応性基は、1つ含有しても複数含有してもよい。
これらの硬化性反応性基を含有する重合成分は、硬化反応に関与しうる反応性基を置換基中に含有する、ブロックAを構成する重合成分と共重合可能な一官能性単量体に相当する繰り返し単位からなる。
具体的には、例えば下記一般式(III)で示される重合成分が挙げられる。
Figure 2005042072
式(III)中、a1、a2、V1、L1は、各々一般式(I)および(II)中の各記号と同一のものを表す。
−V1−L1−の結合基は、水素原子を除く原子数の総和が1〜20個であることが好ましく、更には4〜8個が好ましい。この範囲において、硬化反応が速やかに進行するとともに、形成された膜の強度も充分に保持される。
Yは、硬化性反応性基を表す。
硬化性反応性基としては例えば、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、酸無水物含有基、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)、イソシアナート基(保護されており、加熱によりイソシアナート基を発生するブロックイソシアナート基でも良い)、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基:下記一般式(IV)で表される基(例えば(メタ)アクリロイル基、スチリル基等)、カチオン重合可能な基:活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる重合性基を含有する官能基(例えば、エポキシ基、チオポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)、加水分解性基置換のシリル基等が挙げられる。
Figure 2005042072
上記式(IV)中、a3、a4、V2は、各々一般式(I)〜(III)中のa1、a2、V1と同一の内容を表す。
硬化性反応性基としての性能をもつ加水分解性基置換のシリル基としては、(R71O)3-a(R72)aSi−の構造をもつものが挙げられる。
(R71O)基は、アルコキシ基(R71が脂肪族基の場合)又はアシルオキシ基(R71が−COR70の場合)を表わし、加水分解してシラノール基[典型的には(HO)3-a−Si(R72)a−]となり縮重合反応が進行する。
71が脂肪族基の場合、炭素数1〜8の置換されてもよい直鎖もしくは分岐の脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフロロエチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等)が挙げられる。
71が−COR70の場合のR70は炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜6の置換されてもよい直鎖もしくは分岐の脂肪族基(具体的には前記R71の脂肪族基と同義であり、具体例も同じものが挙げられる)、置換されてもよいフェニル基(例えばフェニル基、メトキシフェニル基、フロロフェニル基、トリル基、キシリル基、等)が挙げられる。
その中でも、好ましい(R71O)基としては、(R71O)基の加水分解反応性及び脱離して副生したアルコール類もしくはカルボン酸類の塗膜での乾燥工程での乾燥性の点から炭素数1〜4のアルコキシ基あるいは炭素数1〜3のアシルオキシ基が挙げられる。
72は炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜12の脂肪族基又は炭素数6〜12のアリール基を表わす。これらの炭化水素基は、置換されていてもよい。具体的には、前記ブロックAにおける一般式(I)のRと同義のものが挙げられ、具体例も同じである。aは0または1を表す。
硬化性反応性基としては、これらの中で、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、加水分解性基置換のシリル基が好ましく挙げられる。
これらの硬化性反応性基は、単量体段階から導入されてもよいし、高分子反応により導入してもよい。高分子反応は、従来公知の化学結合しうる官能基どうしとの組合せを適宜に選択して行なうことができる。例えば岩倉義男、栗田恵編「反応性高分子」(株)講談社刊、(1977年)等に記載されている方法が挙げられる。
これらの硬化性反応性基を有する共重合性成分の含有量は、全重合体成分中1〜50質量%の範囲であることが好ましく、3〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜25質量%の範囲であることが硬化膜の強度等から特に好ましい。
これらの硬化性反応性基(一般式(III)における[Y−L1−結合基])は、ブロック共重合体の主鎖の末端に含有することも好ましい。
[ブロックAのその他の重合成分]
また、本発明のブロックAは、前記重合成分以外の他の重合成分を含有していてもよい。
かかる他の重合成分に相当する単量体の例としては、ビニルシクロアルカン類(ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、クロロメチルスチレン、メトキシカルボニルスチレン、メトキシメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホンアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、p175から184、培風舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
これら繰り返し単位成分は、ビニルシクロアルカン類、スチレン及びその誘導体(ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ハロゲン置換スチレン、メトキシスチレン、メトキシカルボニルスチレン等)の場合は、全繰り返し単位成分中の50質量%以下、それ以外の繰り返し単位成分の場合は、30質量%以下で含有されることが好ましい。
[ブロックB]
次に、ブロックBを構成し得る、ポリエステル重合成分について述べる。
ブロックBにおける、ポリエステル重合成分は、ジオールとジカルボン酸との重縮合反応又はヒドロキシカルボン酸の自己縮重合反応によって形成されるポリエステル重合体鎖を含有することからなる。
ポリエステル重合成分としては、下記の一般式(V)又は(VI)で表される重合成分を含有することが好ましい。
Figure 2005042072
一般式(V)又は一般式(VI)中、E1及びE2は、互いに同じでも異なってもよく、各々2価の脂肪族基、2価の芳香族基又はこれら残基の組み合わせにより構成された有機残基を表す〔各々の2価の有機残基の結合中に、−C(k2)(k3)−、−O−、−S−、−N(k4)−、−SO2−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−NHCONH−、−CON(k4)−、−SO2N(k4)−及び−Si(k5)(k6)−(k2、k3及びk4はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、k5及びk6はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基を表す)から選ばれた少なくとも1つの結合基を介在させてもよい〕。
3は2価の脂肪族基を表す。
上記式(V)で表されるポリエステル重合成分において、E1及びE2は、互いに同じでも異なってもよく、各々、2価の脂肪族基又は2価の芳香族基を含有する2価の有機残基を表す。
2価の脂肪族基としては、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数3〜30のシクロアルカン環基、炭素数6〜30のシクロアルケン環基、2価の芳香族基としては、炭素数6〜14のアリール基、複素原子(例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子)を少なくとも1つ含有する5員〜6員の環数の複素環基又は縮環構造を形成してもよい複素環基が挙げられる。
好ましくは、E1及びE2の少なくともいずれか一方が、2価の炭素数3〜30個の脂環式炭化水素環を含有する。より好ましくは、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式炭化水素環が挙げられる。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を挙げることができる。特に炭素数6〜25が好ましい。
脂環式炭化水素環の構造例としては、前記のブロックAのR0において挙げた脂環式炭化水素環の部分の構造例と同様のものが挙げられる。
また、これらの脂環式炭化水素環は少なくとも1種の置換基を有していてもよい。脂環式炭化水素環の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、アシル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の具体的な内容は、ブロックAのRで例示したと同一の内容のものが挙げられる。
上記式(V)で表されるポリエステル重合成分において、E1及びE2の少なくともいずれか一方が、脂環式炭化水素基を含有する好ましい態様において、ポリエステル重合成分中、脂環式炭化水素基の含有量は5〜100モル%が好ましく、より好ましくは20〜100モル%、特に好ましくは50〜100モル%である。
式(VI)で表されるポリエステル重合成分において、E3は2価の脂肪族基を表し、具体的には、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数3〜12のアルキニル基を表す。
1、E2及びE3の具体的な例としては、各々以下の有機残基が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005042072
Figure 2005042072
ポリエステル重合成分の合成法は、従来公知の重縮合反応によって合成され、具体的には、滝山栄一郎「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社(1986年刊)、高分子学会編「重縮合と重付加」共立出版(1980年刊)、I.Goodman「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering Vol.12」p1. John Wiley & Sons(1985年刊)等に記載の方法に従って合成することができる。
[ブロック共重合体の製造]
本発明のブロック共重合体において、AB型及びABA型ブロック共重合体は、ブロックBを構成するポリエステル重合成分に相当する重合体の各主鎖の末端にラジカル重合性基を結合してなるマクロモノマーを高分子開始剤とし、これとブロックAを構成するラジカル重合性単量体とをラジカル重合反応することで製造することができる。
即ち、ポリエステル重合成分の各重合体主鎖の片末端のみにラジカル重合性基を結合して成るマクロモノマーを高分子開始剤としたときには、AB型ブロック共重合体が得られる。又、ポリエステル重合成分の各重合体主鎖の両末端にラジカル重合性基を結合して成るマクロモノマーを高分子開始剤としたときには、ABA型ブロック共重合体が得られる。
ポリエステル重合成分の重合体主鎖の末端に結合するラジカル重合性基としてはペルオキシド基又はアゾビス基の熱重合性基、ジチオカーバメイト基又はザンテート基の光重合性基等が挙げられる。
熱重合性基をポリエステル重合成分の各主鎖の末端に結合した高分子開始剤は、例えばP.S.Anand etal, Makromol.Chem. 183,1685(1982), 上田明等、 高分子論文集 33(No.3)、131(1976)、森屋泰夫等 強化プラスチック 29(No.3)107等に記載の内容と同様にして製造することが出来る。
ジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤を用いて光ラジカル重合する方法は高分子開始剤のブロック重合反応が完全に進行することが好ましい。
ジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤の具体的態様としては、下記式(Q−I)〜(Q−IV)で表される構造が好ましく挙げられる。
Figure 2005042072
上記式(Q−I)〜(Q−IV)中、[ ]内は繰り返し単位を表す。
3は、ラジカル発生基TとD3とを連結する2価連結基表す。
4は、ラジカル発生基TとD4とを連結する2価連結基表す。
3は−CH2−又は−CO−を表す。D4は−O−又は−NH−を表す。R1は−OH、−OR5又は−N(R6) (R7)を表す(但し、R5は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。R6及びR7は水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す)。
2は水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、−COR8又は−CONHR9を表す(R8及びR9はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基を表す)。
一般式(Q−I)及び(Q−IV)中、Tはジチオカーバメイト基又はザンテート基を表す。具体的には、Tとしては以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005042072
これらの基が光の照射によりラジカルを発生するラジカル発生基の一例である。ここで挙げた高分子開始剤は光重合開始剤すなわち光重合高分子開始剤であり、ラジカル開始剤機能、連鎖移動機能及び停止反応機能を有し、光リビングラジカル重合反応を起こす(例えば、大津隆行、高分子、37、248(1988)に記載の内容が挙げられる)。光照射によって光重合高分子開始剤における、−[C(=S)−S−C]−結合の−S−と−C−との間にブロックAのラジカル重合性モノマーが挿入され、これらの繰り返しで重合反応が進行し、ポリエステル重合成分から構成される重合成分(B)とラジカル重合性単量体を含有する重合成分(A)とからなるABブロック共重合体が生成する。
前記式中、R51、R52及びR53は、各々同じでも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、アリール基、または複素環基を表す。また、R51とR52とは、窒素原子を含む環を形成する残基を表す。ここでR51とR52が、ともに水素原子を表すことはない。
54、R55及びR56は、脂肪族基、アリール基または複素環基を表す。
51〜R53;R54〜R56が脂肪族基、アリール基または複素環基を表す場合、各有機基は、前記式(I)中のRと同一の内容のものが挙げられる。
また、これらの各有機残基は、置換基を有してもよく、置換される置換基としては、前記のRで置換される置換基と同一の内容のものが挙げられる。
51とR52の総炭素数は18以下が好ましく、12以下がより好ましい。
3及びL4は、TとD3またはD4とを連結する2価連結基を表し、単結合または総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子またはケイ素原子に結合する水素原子を除く)を表す。好ましくは単結合または総原子数1〜18の連結基を表す。
3及びL4における連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合または二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては下記のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005042072
前記において、z1、z2は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、ハロゲン原子、臭素原子、ヨウ素原子)又は炭素数1〜6の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフロロメチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、クロロエチル基等)を表し、z3は、水素原子又は炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセチルフェニル基、トリフロロフェニル基等)を表し、z4、z5は、同じでも異なってもよく、炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(具体的には前記z3で示した炭化水素基と同一の内容を表わす)を表わす。
3及びL4で表される連結基としては、さらに2価の脂環式基(脂環式構造の炭化水素環としては、例えばシクロへプタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、ビシクロペンタン環、トリシクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、ビシクロノナン環、トリシクロデカン環、等)、2価のアリール環基(アリール環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環等)で示される基等の原子団の任意の組合せで構成されるものをも含む。
連結基L3及びL4の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005042072
ABA型ブロック共重合体は前記のように、ポリエステルの各重合体主鎖の両末端にラジカル重合性基を結合して成るマクロモノマーを高分子開始剤とすることにより得られる。好ましい態様は末端のラジカル重合性基として光重合性基を結合した光重合高分子開始剤とラジカル重合性単量体との光ラジカル重合反応によって製造される。
具体的には前記一般式(Q−I)〜(Q−IV)におけるR1、R2がさらに下記式(S−I)又は式(S−II)で表される基を結合して成るものが挙げられる。
Figure 2005042072
光重合高分子開始剤の合成法を次に述べる。
ポリエステル重合成分の各重合体主鎖の末端のヒドロキシル基に官能基(T)を導入する方法は、従来公知の低分子化合物におけるアルコール類からエステル化する反応あるいはアルコール類からウレタン化する反応を用いる事で合成することができる。即ち、分子内にジチオカーバメイト基又はザンテート基を含有するカルボン酸類、カルボン酸エステル類、カルボン酸ハライド類又はカルボン酸無水物類との反応でエステル化し、本発明における光重合高分子開始剤を合成する方法、あるいは、分子内にジチオカーバメイト基又はザンテート基を含有するモノイソシアナート類との反応でウレタン化し合成する方法等によって達せられる。具体的には、日本化学会編「新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応〔II〕」、第5章、丸善(株)、(1977年刊)、「同、有機化合物の合成と反応〔III〕」、第1652頁、丸善(株)、(1978年刊)等に詳細に記載された方法を用いて合成することができる。
前記一般式(Q−I)〜(Q−IV)で示されるジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤、すなわち光重合高分子開始剤は、上記の様にしてポリエステル重合成分の各重合体主鎖の末端のカルボキシル基に官能基(T)を導入する方法により合成することができる。その導入方法としては、従来公知の低分子化合物におけるカルボン酸類からエステル化する反応あるいはカルボン酸類から酸アミド化する反応を用いる事で合成することができる。即ち、分子内にジチオカーバメイト基又はザンテート基を含有し且つカルボキシル基と化学反応する官能基としては、例えば、−OH基、ハロゲン体(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、−NH2、−COOR31(R31は、メチル基、トリフロロメチル基、2,2,2−トリフロロエチル基等)、及び下記で示す基等を含有する化合物とポリエステル重合成分に相当する重合体を高分子反応する事で該光重合高分子開始剤が合成される。
Figure 2005042072
光ラジカル重合反応は光Inifertor反応として知られており、例えばT.Otsu and M.Yoshida, Polym.Bull.7,197(1982)大津隆行、高分子、37、248(1988)などに記載の内容と同様にして合成される。
次に本発明のブロック共重合体がクシ型ブロック共重合体である場合の製造法について述べる。
本発明のクシ型共重合体は、クシの部分がブロックBの重合成分から構成される。ラジカル重合性単量体と、本発明のポリエステル重合成分の各重合体主鎖の片末端にのみラジカル重合性基を結合してなる一官能性マクロモノマーとをラジカル重合して得ることができる。
ジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤の一般式(Q−I)〜(Q−IV)におけるTが、CH(d1)=C(d2)−V3−で表されるものが好ましい。ここでd1、d2及びV3は前記一般式(I)で表されるラジカル重合成分のa1、a2及びV1とそれぞれ同一の内容を表す。
ポリエステル重合成分の各重合体主鎖の片末端のヒドロキシル基のみに重合性二重結合基を導入する方法は、従来公知の低分子化合物におけるアルコール類からエステル化する反応、又はアルコール類からウレタン化する反応を用いる事で合成することができる。即ち、分子内に重合性二重結合基を含有するカルボン酸類、カルボン酸エステル類、カルボン酸ハライド類又はカルボン酸無水物類との反応でエステル化し、マクロモノマーを合成する方法あるいは、分子内に重合性二重結合基を含有するモノイソシアナート類との反応でウレタン化し、マクロモノマーを合成する方法によって達せられる。具体的には、日本化学会編「新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応〔II〕」、第5章、丸善(株)、(1977年刊)、「同、有機化合物の合成と反応〔III〕」、第1652頁、丸善(株)、(1978年刊)等に詳細に記載された方法を用いて合成することができる。
ジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤の一般式(Q−I)〜(Q−IV)におけるTがCH(d1)=C(d2)−V3−で表される構造をもつマクロモノマーは、前記の様にしてポリエステル重合成分の各重合体主鎖の片末端のカルボキシル基のみに重合性二重結合基を導入する方法により合成することができる。その導入方法としては、従来公知の低分子化合物におけるカルボン酸類からエステル化する反応、又はカルボン酸類から酸アミド化する反応を用いる事で合成することができる。即ち、分子内に重合性二重結合基を含有し且つカルボキシル基と化学反応する官能基としては、例えば、−OH基、ハロゲン体(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、−NH2、−COOR31(R31は、メチル基、トリフロロメチル基、2,2,2−トリフロロエチル基等)とともに下記で示す基等を含有する化合物とポリエステルオリゴマーを高分子反応する事で該マクロモノマーが合成される。
AB型又はABA型ブロック共重合体に供されるポリエステル重合成分は質量平均分子量2×103〜5×104、好ましくは3×103から4×104、より好ましくは3×103から3×104である。
クシ型ブロック共重合体に供されるポリエステル重合成分は質量平均分子量2000〜20000であることが好ましい。より好ましくは3000〜15000である。この範囲においてラジカル重合反応性と得られた重合体の膜特性が良好となる。
<光および熱の少なくともいずれかで硬化する化合物>
本発明の硬化性組成物は、硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種が併用される。これらは、前記本発明のブロック共重合体中の硬化反応に関わる部位の硬化反応に応じて、光および/または熱で硬化する従来公知の化合物を適宜選択して使用することができる。
例として、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)高分子学会編「高分子データハンドブック 基礎編」培風舘(1986年)等に記載されている化合物を用いることができる。
また、有機シラン系化合物、ポリイソシアナート系化合物、ポリオール系化合物、ポリアミン系化合物、酸無水化合物類、ポリエポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば堀内弘編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)、等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)等に記載された化合物類が挙げられる。
例えば一般式(III)の硬化性反応性基(Y)が加水分解性基置換のシリル基を硬化反応に関わる部位として含有する場合には、ゾルゲル反応の触媒として公知の酸、塩基触媒または金属キレート化合物を硬化促進剤として用いることができる。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トリフロロメチルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等のブレンステッド酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネート等のルイス酸が挙げられる。
塩基としては、アンモニア、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン等の無機・有機の化合物が挙げられる。
金属キレート化合物としては、活性メチレン化合物(例えば、ジケトン類、β−ケトエステル類等)とAl、Ti、Zr等の金属原子とのキレート化合物等が挙げられる。例えば特開2000−275403号公報段落番号[0071]〜[0083]中に記載の化合物等が挙げられる。
また、組成物の保存安定性の観点から、光の作用によって酸又は塩基等の硬化促進剤を発生する化合物を使用しても良い。これらの化合物を使用する場合には、活性エネルギー線の照射によって硬化性組成物の硬化が可能になる。
光の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO3 -(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、BF4 -等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。光の作用で塩基を発生する化合物も公知のものを使用することができ、具体的にはニトロベンジルカルバメート類、ジニトロベンジルカルバメート類等を挙げることができる。
本発明では特に光の作用により、上記記載の酸を発生する化合物を用いることが好ましい。これらの光の作用により、酸あるいは塩基を発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。本発明の光の作用によって硬化反応を促進する化合物の添加量としては、硬化性組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
さらに硬化を促進する他の硬化促進剤として、脱水剤を使用しても良い。脱水剤としては、例えば、カルボン酸オルトエステル(オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル等)、酸無水物(無水酢酸等)等を挙げることができる。
これら硬化促進剤の使用量は化合物の種類、硬化反応に関わる部位の違いによってまちまちであるが、一般的には硬化性組成物全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。
本発明の硬化性組成物に供するオルガノシラン化合物は、分子内に少なくとも1つの加水分解によりシラノール基を与えることのできる官能基を有するオルガノシラン化合物を表し、本発明の組成物中では、加水分解、縮合して得られる加水分解物および/または部分縮合物となり組成物中における結合剤としての働きをするものである。
好ましくは下記一般式(VII)で表される有機ケイ素化合物、及び/又は、その誘導体化合物である。
一般式(VII)
(R61m3−Si(Y)n3
一般式(VII)式中、R61は置換又は無置換の、脂肪族基又はアリール基を表す。Yは、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、OH基、OR62基、OCOR62基を表す。但し、R62は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。m3は0〜3の整数を表す。n3は1〜4の整数を表す。m3とn3の合計は4である。
一般式(VII)においてR61は置換又は無置換の、炭素数1〜30脂肪族基又は炭素数6〜14のアリール基が好ましい。
脂肪族基として好ましくは、炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
脂肪族基は、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは1〜8である。
また、アリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
前記脂肪族基の置換基としては特に制限はない。具体的には、前記の一般式(I)中のRで表される脂肪族基に導入し得る置換基と同一の内容のものが挙げられる。
一般式(VII)において、n3=4のもの(以下4官能オルガノシランと称す)としては、テトラアルコキシシラン(アルコキシ基として、メトキシ,エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、テトラアセトキシシラン等を挙げることができる。
n3=3のもの(以下3官能オルガノシランと称す)、n3=2のもの(以下2官能オルガノシランと称す)の具体的化合物としては、例えば特開平9−169951号公報の段落番号[0021]、特開2000−275403号公報の段落番号[0016]〜[0021]記載の化合物等が挙げられる。
本発明に用いられる有機ケイ素は、活性エネルギー線反応性基を含有する置換基を有することが好ましい。該置換基は、好ましくは炭素数2〜10の有機基である。活性エネルギー線反応性基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和基、カチオン重合性基が挙げられる。
これら反応性基としてのラジカル重合可能なエチレン性不飽和基、或はカチオン重合性基の例としては、前記したブロック共重合体が含有する硬化性反応性基と同様のものが挙げられる。
該有機ケイ素化合物は、より好ましくは下記一般式(VIII)で表される有機ケイ素化合物、及び/又はその誘導体化合物である。
一般式(VIII) (R41e(R42bSi(Y)d
一般式(VIII)中、R41及びYは、前記一般式(VII)中のR61及びYと同一の内容を表す。
42は、活性エネルギー線反応性基を含有する有機基を表す。eは0、1又は2、bは1又は2、dは2又は3を表し、e+b+d=4である。
42は、総原子数2〜22の活性エネルギー線反応性基を含有する有機基を表す。但し、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子等に置換される水素原子を除く。
42中の活性エネルギー線反応性基としては、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基であることが好ましく、上記の反応性基と同様の内容のものが挙げられる。
一般式(VIII)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば特開2000−275403号公報の段落番号[0023]〜[0025]、段落番号[0041]〜[0042]記載の化合物等が挙げられる。
前記したラジカル重合性基含有化合物とカチオン重合性基含有化合物とを併用する場合、ラジカル重合性基含有化合物:カチオン重合性基含有化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
本発明において、出発化合物となる有機ケイ素化合物の含有量は、組成物全固形分中の0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは1〜40質量%、特に好ましくは2〜30質量%である。
本発明の組成物中の有機ケイ素化合物は、1種類のみを使用してもよいが、二種類以上を混合して使用すれば、様々な目的に応じたコーティング層を得ることが可能である。
例えば、Si原子に加水分解性基が3個結合している3官能の有機ケイ素化合物及び2官能の有機ケイ素化合物から選ばれる化合物が、耐脆性の点から好ましい。この場合、異なる3官能の前記有機ケイ素化合物を、混合して使用してもよいし、2官能と3官能の前記有機ケイ素化合物を混合して使用してもよい。尚、2官能の前記有機ケイ素化合物を使用する時には、3官能の前記有機ケイ素化合物と混合することが好ましい。又、加水分解・縮合の反応性を高めることから4官能の有機ケイ素化合物を組みあわせることも好ましい。
さらには、前記有機ケイ素化合物を加水分解し、かつ部分的に縮合反応した部分縮合化合物を含有した組成物とすれば、塗膜の際の反応速度が増加し、硬化温度が低下するため、効率的に塗膜加工が可能である。また、2〜4官能の化合物の中で同一官能数の化合物を2種以上併用する場合、あるいは異なる官能数の化合物を2種類以上を併用する場合、加水分解後に併用してもよいし、加水分解前に併用して共加水分解を行ってもよい。
この加水分解物は、速やかに脱水縮合が進み、オリゴマーになり、加水分解後1〜100時間、好ましくは3〜50時間放置させると、この反応が十分に進む様になる。
本発明の硬化性組成物において、更にシラノール基或はアルコキシ基を有するオリゴマーを併用することができる。このことにより、本発明の硬化性組成物は、物理強度、耐薬品性、耐候性がさらに改良される。具体的には、特開平11−258403号公報記載の化合物例(AA−1)〜(AA−11)、(AA−19)、(AA−20)等が挙げられる。
前記の有機ケイ素化合物の加水分解・縮合反応は、触媒存在下で行われることが好ましい。該触媒としては、前記の一般式(III)の硬化性反応性基(Y)が加水分解性基置換のシリル基を硬化反応に関わる部位として含有する場合のゾルゲル反応の触媒が挙げられる。
これらの触媒化合物の硬化性組成物中の割合は、出発原料である全ての有機ケイ素化合物量に対し、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。反応条件は有機ケイ素化合物の反応性により適宜調節されることが好ましい。
一方、一般式(III)の硬化性反応性基(Y)が水酸基、アミノ基、メルカプト基等の活性水素原子を有する基である場合に用いる硬化剤としては、例えばポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物などを挙げることができる。
ポリイソシアネート系としては、m−キシリレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、メチルシリルトリイソシアネートなどのシリルイソシアネート化合物、およびこれらイソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステルなどとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
アミノプラストとしては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂などが採用される。中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールの1種または2種以上により少なくとも部分的にエーテル化されたメチロールメラミン(例えばヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、ブチルエーテル化メチロールメラミン等)、又はこれらの縮合物などが挙げられる。
多塩基酸またはその無水物としては、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸などの芳香族多価カルボン酸またはその無水物やマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
一方、一般式(III)の硬化性反応性基(Y)がエポキシ基、オキセタニル基の場合は、活性水素原子を有する反応性基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基)あるいは環状酸無水物含有基との化学反応により硬化させることができる。
この際、上記の両反応性基がブロック共重合体中の共重合成分として含有される、あるいは各々の反応性基を少なくとも1種含有するブロック共重合体を併用するのいずれでもよい。
この場合に、前記したと同様の酸、塩基、光及び/又は熱により酸あるいは塩基を発生する化合物を硬化促進剤として用いる。
他の好ましい態様として、エポキシ基あるいはオキセタニル基と反応可能な上記の活性水素を有する反応性基又は環状酸無水物含有基を分子中に2ケ以上含有する多官能化合物からなる硬化剤が挙げられる。
また、一般式(III)の硬化性反応性基(Y)がカチオン重合可能な基(カチオン重合性基:活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる反応性基)の場合は、硬化剤としてはカチオン重合性基含有化合物(以下、カチオン重合性化合物とも称する)を使用し、カチオン重合性基の代表例としては、エポキシ基、オキセタニル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルエーテル基などを挙げることができる。本発明ではこれらカチオン重合性基含有化合物のうちの1種を用いてもまたは2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性化合物の具体例としては、
(1)エポキシ基含有の化合物:脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂等
(2)トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル,3−フェノキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンなどのオキセタン化合物、2,3−ジメチルテトラヒドロフランのようなオキソラン化合物、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンのような環状エーテルまたは環状アセタール化合物
(3)β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン化合物
(4)エチレンスルフィド、チオエピクロロヒドリン等のチイラン化合物
(5)1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンのようなチエタン化合物
(6)ビニルオキシ基含有のビニルエーテル化合物
(7)エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルソエステル化合物
(8)ビシクロオルソエステル化合物
などを挙げることができる。
上記した中でも、本発明では、カチオン重合性化合物として、エポキシ基、ビニルオキシ基含有の化合物(以下、それぞれエポキシ化合物、ビニルオキシ化合物とも称する)が好ましく用いられ、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物、1分子中に2個以上のビニルオキシ基を有するポリビニルオキシ化合物、1分子中に少なくともエポキシ基とビニルオキシ基を各々一個以上有する化合物、がより好ましく用いられる。特に、カチオン重合性有機化合物として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式ポリエポキシ化合物を含有し且つ該脂環式ポリエポキシ化合物の含有量がエポキシ化合物の全質量に基づいて30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であるエポキシ化合物(エポキシ化合物の混合物)を用いると、カチオン重合速度、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが一層良好になり、しかも樹脂組成物の粘度が低くなって製膜が円滑に行われるようになる。
上記した脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
また、上記した脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。信越シリコーン社製のK−62−722や東芝シリコーン社製のUV9300等のエポキシシリコーン、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.28, 497(1990)に記載されているシリコーン含有エポキシ化合物のような多官能エポキシ化合物を挙げることができる。
また、上記した芳香族エポキシ樹脂としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。
具体例として、例えば特開平11−242101号公報の段落番号[0084]〜[0086]記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、迅速な硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
オキセタニル基を含有する化合物としては、分子中に含有されるオキセタニル基の数は1〜10、好ましくは1〜4である。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。具体的には、例えば特開2000−239309号公報の段落番号[0024]〜[0025]に記載の化合物、J.V. CRIVELLO etal、J.M.S.-PUREAPPL. CHEM.、A30、pp.173〜187(1993)に記載のシリコン含有のオキセタン化合物等が挙げられる。
ビシクロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物を挙げることができる。
スピロソオルソエステルとしてはスピロオルソカーボネート化合物が挙げられ、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物を挙げることができる。
ビニルオキシ化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルビニルエーテル、2−アクリロイルオキシエチルビニルエーテル等のアルケニルビニルエーテル化合物、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のカチオン重合性窒素含有化合物、ブタンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、サゾルシノールジビニルエーテル等の多官能ビニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.32, 2895(1994)に記戦されているプロペニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A; Polymer Chemistry, Vol.33, 2493(1995)に記載されているアルコキシアレン化合物、Journa1 of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry,Vol.34, 1015(1996)に記載されているビニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 34, 2051(1996)に記載されているイソプロペニル化合物等を挙げることができる。
具体例として、特開2002−29162号公報の段落番号[0022]〜[0029]記載の化合物等が挙げられる。
これらのビニルオキシ化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
これらの硬化剤を添加する場合、上記ブロック共重合体100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、ブロック共重合体100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。また、これらのカチオン重合性反応性基からなる硬化系は、酸もしくは光酸発生化合物を硬化促進剤として用いる。具体的には、一般式(III)の硬化性反応性基(Y)が加水分解性基置換のシリル基を硬化反応に関わる部位として含有する場合の光の作用によって酸又は塩基などの硬化促進剤を発生する化合物として記載したものが挙げられる。
又、他の好ましい態様として、硬化性組成物がラジカル重合性化合物を含有することが挙げられ、ブロック共重合体中に含有するラジカル重合性基と共重合性良好な重合性基を有するラジカル重合性化合物を硬化剤として適宜選択して組み合わせることが好ましい。
その共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
脂肪族多価アルコール化合物として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサンジオール、シクロヘキシルジオール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等と不飽和カルボン酸(クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等)とのモノ置換、あるいはポリ置換の重合性化合物が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えばビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロヘキシレン構造を有するものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有する水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有する。
さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。さらに日本接着協会誌(1984年、第20巻、第7号、p.300−308)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
ラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば特開2000−275403号公報段落番号[0052]〜[0065]記載の化合物等が挙げられる。
本発明に用いる硬化性組成物が、前記重合性化合物を含有する場合には、熱及び/又は光照射でラジカル又はカチオンを発生し、重合性不飽和基又はカチオン重合性基を含有する化合物の重合反応を開始、促進させる化合物を併用する。これらラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤は、重合性化合物の重合性基との組み合わせで、適宜、従来公知の化合物(例えば、「最新UV硬化技術」p.60−62((株)技術情報協会刊、1991年等)を用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、オニウム塩化合物(前記の「最新UV硬化技術」記載等)、有機ハロゲン化化合物(M.P.Hutt" Journal of Heterocyclic Chemistry" 1 (No3), (1970))等に記載等)、カルボニル化合物(「特開平8−134404号公報段落[0015]〜[0016]記載等」、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、メタロセン化合物(特開平5−83588号公報、同1−304453号公報記載等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物(特公平6−29285号公報記載等)、有機ホウ酸化合物(Kunz, Martin "Rad Tech '98, Proceeding April 19-22, 1998, Chicago" 等に記載等)、ジスルホン化合物(特開昭61−166544号公報記載等)が挙げられる。
カチオン重合開始剤としては、例えば、オニウム塩化合物、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が挙げられる。これらの具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。他のカチオン重合開始剤として、有機金属/有機ハロゲン化物(特開平2−161445号公報記載等)、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤(米国特許第4181531号明細書、特開昭60−198538号公報記載等)、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物(特開平2−245756号公報記載等)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、又は光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
熱の作用によりラジカル重合を開始する化合物としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ、ジアゾ化合物、オニウム化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロペルオキシド、ブチルヒドロペルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等、オニウム化合物として前記シリル反応性基で記載したと同様の化合物等を挙げることができる。
光の作用によりラジカル重合を開始する化合物を使用する場合は、活性エネルギー線の照射によって硬化性組成物の硬化が行われる。
このような光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
熱または光の作用によってラジカル重合を開始する化合物の添加量としては、炭素−炭素二重結合の重合が開始する量であれば良いが、一般的には硬化性組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
これらの硬化剤を添加する場合も他の硬化剤と同様に、上記ブロック共重合体100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、ブロック共重合体100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。
本発明のブロック共重合体と光および/または熱で硬化する化合物との使用割合は1/99〜95/5質量比が好ましい。より好ましくは5/95〜90/10、さらに10/90〜80/20が好ましい。
<硬化性組成物に含むことのできるその他の成分>
本発明の硬化性組成物は、微粒子を併用することが好ましい。これら微粒子を含有することで、膜としてのユニバーサル硬度を調節、架橋収縮率を小さくできることによりフイルムのカールを減少することができる。微粒子としては、無機粒子、有機粒子、ポリマー樹脂粒子、無機−有機複合粒子の何れも特に制限なく用いられる。
微粒子は、1種単独で又は2種以上併用して使用することができる。また、微粒子は、粒子一個の形状としては、球状、針状、板状、不定形状であってもよい。
これらの微粒子の平均粒子径は、1nm以上400nm以下、より好ましくは5nm以上200nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下が好ましい。1nm以下では分散が難しく凝集粒子ができ、400nm以上ではヘイズが大きくなり、どちらも透明性を落としてしまい好ましくない。
これらの微粒子の添加量は、硬化性組成物全固形分1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましい。
本発明の微粒子として用いる無機粒子(以下、無機微粒子とも称する)としては、金属粒子(鉄、銅、ニッケル、ステンレス、ケイ素等)、金属窒化物(窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等)、金属酸化物(Mg、Ca、Si、Al、Ti、Zr、V、Nb、La、In、Ce、La、Ta、Y、Zn、Sb、B、Sn、Fe、W、Ir、Cr、Mo、Sr、Pt等の酸化物)、複合金属酸化物(前記記載金属等の複合酸化物)、金属炭酸塩(Ca、Ba、Mg等の炭酸塩)、金属硫酸塩(Ba、Ca、Sr等の硫酸塩)、金属ハロゲン化物(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等)、金属炭化物(炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化ケイ素等)、炭素同素体(グラファイト、ダイヤモンド等)等を挙げることができる。
これらの微粒子の中で好ましいものを挙げると、金属窒化物、金属酸化物、さらに好ましくは金属酸化物であり、そのなかで好ましいものとして酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミを挙げることができる。
一般に無機微粒子は塗布し硬化された膜の硬化性組成物との親和性が悪いため単に両者を混合するだけでは界面が破壊しやすく、膜として割れやすく、耐傷性を改善することは困難である。無機微粒子と硬化性組成物との親和性を改良するため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。表面修飾剤は、一方で無機微粒子と結合を形成し、他方でバインダーポリマーと高い親和性を有することが好ましい。無機微粒子の表面と結合を生成し得る官能基としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド化合物や、リン酸、スルホン酸、カルボン酸基等のアニオン性基を有する化合物が好ましい。またバインダーポリマーとは化学的に結合させることが好ましく、末端にビニル性重合基等を導入したものが好適である。例えば、エチレン性不飽和基を重合性基および架橋性基として有する単量体からバインダーポリマーを合成する場合は、特開2000−9908号公報記載の金属アルコキシド化合物またはアニオン性化合物の末端にエチレン性不飽和基を有している化合物が好ましい。また、特開2001−310423号公報に記載のアニオン性基含有の化合物(リン酸、スルホン酸、カルボン酸等)で表面処理することも好ましい。
本発明の微粒子として用いる有機粒子(以下、有機微粒子とも称する)としては、例えば、高級脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛塩等)、(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ナイロン樹脂、SBRやNBRなどの架橋ゴム微粒子等の樹脂微粒子等があり、またこれら複合体からなる微粒子が好ましい。2官能以上の重合基を有する単量体との共重合による内部架橋のポリマー樹脂微粒子が好ましい。
本発明の微粒子として用いる有機架橋粒子(以下、有機架橋微粒子とも称する)は軟質なゴム微粒子から硬質微粒子まで任意に選択できる。例えば、前記した硬度の高い無機架橋微粒子は、硬化樹脂層に対する添加量を上げていくと硬化収縮量や硬度は向上するが、もろく割れやすくなる場合がある。このような場合、硬度を任意に調節した有機架橋微粒子を同時に添加することで割れにくくすることができ好ましい。また、硬度の高いコアと硬度の低いシェルまたは硬度の低いコアと硬度の高いシェルのようなコア−シェル粒子とすることもできる。また硬化樹脂層又は塗布溶媒中での分散安定性を確保する目的で親疎水性を変えたコア−シェル粒子とすることも好ましい。また、コアに無機架橋粒子からなる微粒子を用いた有機−無機複合微粒子とすることもできる。これら架橋微粒子をコア−シェル粒子とする場合、コア部とシェル部の両方が架橋されていてもよいし、いずれか一方が架橋されていてもよい。
上記の微粒子は、硬化処理物品全量中の1質量%〜90質量%含有することが好ましい。より好ましくは、3〜60質量%である。この範囲で、膜の強度、硬度、表面の平坦性が保たれる。
本発明の硬化性組成物は、更に、一官能性エチレン性不飽和基含有化合物(例えば、アクリレート類、メタクリレート類、カルボン酸ビニル類、アクリルアミド類等、または従来公知の樹脂(例えば、ポリエーテルポリアクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等)等を添加してもよい。また、紫外線吸収剤、塗布性改良のための界面活性剤、帯電防止剤など、従来公知の添加剤を添加してもよい。
本発明の硬化処理物品は、上記のような各組成物を分散媒と共に用いても良い。溶媒としては、水、有機溶媒から適宜選択して用いる。有機溶媒としては、沸点が50℃以上の液体を用いることが好ましい。更に、沸点が60℃〜180℃の範囲の有機溶媒がより好ましい。分散媒体の例には、アルコール類(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン類(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル等)、脂肪族炭化水素類(例、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、メチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド類(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル類(例、ジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール類(例、1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
<硬化処理フィルム>
本発明において、硬化処理物品の一態様である硬化処理フイルムは、透明基材フイルム上に本発明の硬化性組成物をディップコート法、エアーナイフ法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。特に、光照射による硬化が、迅速硬化の点から有利であり、好ましい。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。
光照射の光源は、紫外線光域又は近赤外線光域のものであればいずれでもよく、紫外光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光の光源としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプ等が挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性単量体の重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は0.1〜100mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応反応が均一に進行するので好ましい。
さらに、透明基材と硬化樹脂層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、表面処理を施すことができる。例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。更に、一層以上の下塗り層を設けることが出来る。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等の共重合体又はラテックス、低分子量ポリエステル等が挙げられる。
硬化樹脂層は、複数層構成でも可能であり、硬無機微粒子、軟微粒子の充填率の異なる層を硬度の順に適宜積層して作製することもできる。
これらの作製した硬化樹脂層の上に、反射防止層、紫外線・赤外線吸収層、選択波長吸収性層、電磁波シールド層や防汚性層等の機能を有する膜を設けることができ、高硬度の機能性フイルムとして供することができる。これらの機能膜は、公知の材料の溶液を塗布したり、またはスパッターや蒸着等の真空製膜によって作製することができる。本発明の硬化処理フィルムに用いられる透明導電層、反射防止層および防汚層としては、例えば、特開平1−164991号公報、特開平4−338901号公報、特開平3−90345号公報等に記載のものが挙げられ、表面抵抗率、平均反射率、防汚性等の好ましい範囲についても該公報に記載のものと同様である。
本発明の硬化処理フィルムは、陰極管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等のディスプレイ、家電製品等のタッチパネル、ガラス等の保護フィルムに好適である。
更に、硬化処理物品の一態様である多層膜反射防止膜における高屈折率層として、本発明の硬化性組成物を用いる場合について、以下に詳述する。
<高屈折率層>
高屈折率層に用いられる高屈折率の無機微粒子としては、屈折率が1.70〜2.80、一次粒子の平均粒径が1〜150nmのものが挙げられる。屈折率が1.70未満の粒子では、硬化膜の屈折率を高める効果が小さく、屈折率が2.80を越える粒子は着色しているため好ましくない。また、一次粒子の平均粒径が150nmを越える粒子では硬化膜を形成したときのヘイズ値が高くなり、硬化膜の透明性を損なうので好ましくなく、1nm未満で屈折率が1.70〜2.80の無機微粒子は存在しない。本発明で、より好ましい無機微粒子は屈折率が1.90〜2.80で、一次粒子の平均粒径が3〜100nmの粒子であり、更に好ましいのは屈折率が1.90〜2.80で、一次粒子の平均粒径が5〜80nmの粒子である。
好ましい高屈折率無機微粒子の具体例は、Ti、Zr、Ta、In、Sn、Sb、Zn、La、W、Ce、Nb、V、Sm、Y等の酸化物又は複合酸化物、硫化亜鉛を主成分とする粒子が挙げられる。ここで、主成分とは粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分をさす。本発明で好ましいのはTi、Zr、Ta、In、Snから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む酸化物若しくは複合酸化物を主成分とする粒子である。本発明で使用される無機微粒子には、粒子の中に種々の元素が含有されていても構わない。例えば、Li、Si、Al、B、Ba、Co、Fe、Hg、Ag、Pt、Au、Cr、P、Sなどが挙げられる。酸化錫、酸化インジウムにおいては、粒子の導電性を高めるために、Sb、Nb、P、B、In、V、ハロゲンなどの元素を含有させることが好ましく、特に、酸化アンチモンを約5〜20質量%含有させたものが最も好ましい。これらの無機微粒子は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造等の結晶構造、又は非晶構造のいずれでもよいが、高い屈折率を有する結晶構造を含有するものが好ましく挙げられる。
本発明の無機微粒子は、表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物及び/又は有機化合物を用いて該粒子表面の改質を実施し、無機粒子表面の濡れ性を調製し有機溶媒中での微粒子化、高屈折率層形成用組成物中での分散性や分散安定性を向上する。粒子表面に物理化学的な吸着させる無機化合物としては、例えば、ケイ素を含有する無機化合物(SiO2など)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al23、Al(OH)3など)、コバルトを含有する無機化合物(CoO2、Co23、Co34など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO2、Zr(OH)4など)、鉄を含有する無機化合物(Fe23など)などが挙げらる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤を用いることが出来る。例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、該無機微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物が挙げられる。無機微粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等が挙げられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物(例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート等)、ホスホノ基含有化合物(例えばEO(エチレンオキサイド)変性リン酸トリアクリレート等)、アルカノールアミン(エチレンジアミンEO付加体(5モル)等)が挙げられる。
カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば特開2002−9908号公報、同2001−310423号公報〔0011〕〜〔0015〕記載の化合物等が挙げられる。これらの表面処理は、2種類以上を併用することもできる。
本発明の高屈折率層に用いられる酸化物微粒子は、これをコアとして無機化合物からなるシェルを形成するコア/シェル構造の微粒子も好ましい。シェルとしては、Al、Si及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素からなる酸化物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−166104号公報記載の内容が挙げられる。
本発明の高屈折率層で使用される無機微粒子の形状は、特に限定されないが、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、不定形状が好ましい。本発明の無機微粒子は単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。これらの無機微粒子は公知の方法により分散されて用いられる。分散剤としては、アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性のいずれの界面活性剤も好ましく用いることができるが、特にアニオン性界面活性剤が好ましい。更にブロック共重合体等の高分子分散剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤などのカップリング剤も好ましく用いることができる。またこれらの分散剤が同一分子中にバインダーと共重合可能な官能基を有する、いわゆる重合成分散剤も好ましく用いることができる。具体的には、例えば特開平11−153703号公報等記載の化合物が挙げられる。
無機微粒子の高屈折率層における含有量は、高屈折率層の全質量中の30〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは44〜65質量%である。無機微粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。この範囲において、膜の強度及び高屈折率を満足でき、好ましい。
本発明の高屈折率層は、更に用途・目的によって適宜他の化合物を添加することができる。例えば、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましく、高屈折率層に、芳香環、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br、I、Cl等)、S、N、P等の原子を含む硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作成するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.80であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.50、特に好ましくは1.80〜2.20である。
高屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子等を添加することもできる。
高屈折率層の塗布溶媒としては、前記の本発明の硬化処理物品の分散媒と同様のものが挙げられる。好ましくはケトン溶媒(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)を主にした塗布溶媒系が好ましく、ケトン系溶媒の含有量が全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。塗布方法、硬化方法は、前期の硬化処理物品における硬化性組成物で挙げた塗布方法および硬化方法と同様の方法が挙げられる。
高屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。高屈折率層のヘイズは低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、更に好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
<低屈折率層>
本発明の反射防止膜は、透明支持体上に設けた高屈折率層の上に、低屈折率層を順次積層してなる。低屈折率層の屈折率は好ましくは1.20〜1.55であり、より好ましくは1.30〜1.50、特に好ましくは1.35〜1.48である。
低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として、表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等からなる薄膜層の手段を適用できる。
本発明において、低屈折率層は、含フッ素化合物を主体とすることが好ましい。「含フッ素化合物を主体とする」とは、最外層中に含まれる含フッ素化合物が最外層の全質量に対し50質量%以上であることを意味し、60質量%以上含まれることがより好ましい。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含むことが好ましい。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテル、含フッ素シラン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば特開平9−222503号公報公報[0018]〜[0026]、同11−38202号公報[0019]〜[0030]、同2001−40284号公報[0027]〜[0028]等に記載の化合物等が挙げられる。
含フッ素ポリマーとして、フッ素原子を含む繰り返し構造単位、架橋性又は重合性の官能基を含む繰り返し構造単位、またはそれ以外の置換基からなる繰り返し構造単位からなる共重合体が好ましい。架橋性又は重合性の官能基は、前記の高屈折率層用素材のものと同様のものが挙げられる。
其の他の繰り返し構造単位としては、塗布溶剤可溶化のために炭化水素系共重合成分が好ましく、50%程度導入したフッ素系ポリマーが好ましい。この際には、シリコーン化合物と組み合わせることが好ましい。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性反応性基又は重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、上市品のサイラプレーン(チッソ(株)製)等の反応性シリコーン、特開平11−258403号公報に記載のポリシロキサン構造の両末端にシラノール基含有の化合物等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素ポリマーの架橋又は重合反応は、最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。重合開始剤、増感剤等としては、前記高屈折率層で使用のものと同様のものが挙げられる。
又、シランカップリング剤と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報等記載の化合物)、特開平9−157582号公報記載のパーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、無機微粒子、有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤(ジメチルシリコンなどのシリコン化合物等)、界面活性剤等を含有することができる。特に、無機微粒子、シランカップリング剤、滑り剤を含有することが好ましい。
無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等)等の低屈折率化合物が好ましい。特に好ましいのは二酸化珪素(シリカ)である。無機微粒子の一次粒子の質量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、3〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。無機微粒子は、より微細に分散されていることが好ましい。無機微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、又は不定形状であることが好ましい。
低屈折率層は、表面の動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
又、最表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されてもよい。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
低屈折率層のヘイズは、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験での摩耗量、表面の動摩擦係数、水との接触角は、最上層と同様の性能が好ましい。
<中屈折率層>
本発明の反射防止膜は、高屈折率層が異なる屈折率からなる二層の積層構成であることが好ましい。すなわち、上記の方法で組成物を塗設して形成された低屈折率層が、それよりも高い屈折率を有する高屈折率層の上に形成され、高屈折率層に隣接し、低屈折率層の反対側に支持体の屈折率と高屈折率層の屈折率の中間の屈折率を有する中屈折率層が形成された3層積層構造が好ましい。上記したように、各屈折率層の屈折率は相対的なものである。
本発明の中屈折率層を構成する材料は、従来公知の材料のいずれでもよいが、上記高屈折率層と同様のものが好ましい。屈折率は無機微粒子の種類、使用量で容易に調整され、上記屈折率層に記載の内容と同様にして、膜厚30〜500nmの薄層を形成する。更に好ましくは、50〜300nmの膜厚である。
<ハードコート層>
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体(下塗り層を持っていても良い)の表面に設ける。特に、透明支持体と高屈折率層との間、又は透明支持体と中屈折率層との間に設けることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムのハードコート層は、前記した硬化処理フィルムを供することが好ましい。
あるいは、ハードコート層として、低分子、オリゴマーあるいはポリマーの光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることも好ましい。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、多官能性単量体(以下、多官能性モノマーとも称する)や多官能オリゴマー又は加水分解性官能基含有の有機金属化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、硬化性化合物を架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
硬化性反応性基としては、ラジカル重合反応、カチオン重合反応による光重合性官能基が好ましく、加水分解性官能基含有の有機金属化合物としては、有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
ハードコート層は、一次粒子の平均粒径が300nm以下の無機微粒子を含有することが好ましい。より好ましくは10〜150nmであり、さらに好ましくは20〜100nmである。ここでいう平均粒径は質量平均径である。一次粒子の平均粒径を200nm以下にすることで透明性を損なわないハードコート層を形成できる。
無機微粒子はハードコート層の硬度を高くすると共に、塗布層の硬化収縮を抑える機能がある。また、ハードコート層の屈折率を制御する目的にも添加される。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば特開2000−9908号公報、国際公開00/46617号パンフレット等に記載の内容のものが挙げられる。
ハードコート層における無機微粒子の含有量は、ハードコート層の全質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%である。
本発明の硬化性組成物を用いて得た高屈折率層は物理強度が高い、すなわちハードコート性を有するため、上記ハードコート層を兼ねることができる。高屈折率層がハードコート層を兼ねる場合、高屈折率層で記載した手法を用いて無機微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
<その他の層>
多層膜反射防止膜は、さらに、防湿層、帯電防止層、プライマー層、下塗り層や保護層、シールド層、滑り層等を設けてもよい。シールド層は電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
<透明支持体>
本発明の硬化性組成物を反射防止膜としてCRT画像表示面やレンズ表面等の基材上に直接設ける場合を除き、反射防止膜は透明支持体(透明基材)を有することが好ましい。透明支持体としては、ガラス板よりもプラスチックフィルムがより好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン等)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトン等が挙げられる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましい。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。透明支持体には、赤外線吸収剤又は紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることが更に好ましい。滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルク及びカオリンが含まれる。
透明支持体に、表面処理を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、酸処理、アルカリ処理(アルカリ鹸化処理を含む)およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、火焔処理およびアルカリ処理が好ましく、グロー放電処理、紫外線処理およびアルカリ鹸化処理が特に好ましい。
<反射防止膜の形成>
多層構成の反射防止膜の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載されている。
反射防止膜の反射率は低いほど好ましい。具体的には、450〜650nmの波長領域での平均反射率が2%以下であることが好ましく、1%以下であることが更に好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。反射防止膜(下記のアンチグレア機能がない場合)のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることが更に好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。反射防止膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
[反射防止フィルムの表面凹凸]
本発明に用いる反射防止フィルムは、高屈折率層を有する側の表面に凹凸を形成し、防眩性を付与することもできる。
防眩性は表面の平均表面粗さ(Ra)と相関している。表面の凹凸は100cm2の面積の中からランダムに1mm2を取り出し、取り出した表面の1mm2の面積当たりに対し、平均表面粗さ(Ra)が0.01〜0.4μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μm、更に好ましくは0.05〜0.25μm、特に好ましくは0.07〜0.2μmである。
平均表面粗さ(Ra)に関しては、テクノコンパクトシリーズ6(表面粗さの測定・評価法,著者;奈良次郎,発行所;(株)総合技術センター)に記載されている。
本発明に用いる反射防止フィルムの表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
表面の凹凸の形成法としては公知の手法が用いられる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用し、それにより膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号)、低屈折率層表面に物理的に凹凸形状を転写(エンボス加工方法等)する方法(例えば、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、同11−268800号公報、特開2000−275401号公報等)が挙げられる。
また、防眩性反射防止フィルムとして、透明支持体と低屈折率層の間にマット粒子を含有したハードコート層を設けた積層体が挙げられる。すなわち、本発明の硬化性組成物とともに、粒子経が0.2〜10μmの光散乱性の粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与させてなる防眩性ハードコート層が好ましい。マット粒子としては、例えば特開2000−258606号公報、同2002−40204号公報等に記載の素材が挙げられる。
[偏光板用保護フィルム]
本発明の反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いる場合、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角を40°以下として、偏光膜との接着性を充分とすることが好ましい。
透明支持体としては、トリアセチルセルロースフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明における偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、下記2つの手法が挙げられる。
(1)鹸化処理した透明支持体の一方の面に上記の各層(例、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層など)を塗設する手法。
(2)透明支持体の一方の面に上記の各層(例、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層など)を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理する手法。
さらにまた、反射防止フィルムの偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面に鹸化処理液を塗布して、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理することもできる。
偏光板用保護フィルムは、光学性能(反射防止性能、防眩性能など)、物理性能(耐擦傷性など)、耐薬品性、防汚性能(耐汚染性など)、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)において、本発明の反射防止フィルムで記載した性能を満足することが好ましい。
[表面処理]
透明支持体の表面の親水化処理は、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、薬品処理等の公知の方法(例えば発明協会公開技報公技番号2001−1745号p.30記載等)で行うことが出来る。例えば、アルカリ液の中に透明支持体又は反射防止フィルムを適切な時間浸漬又はアルカリ液を塗布して鹸化処理するのが好ましい。
アルカリ液及び処理は、特開2002−82226号公報、国際公開02/46809号パンフレットに記載の内容が挙げられる。鹸化処理のフィルム表面の水に対する接触角が45゜以下になるように実施することが好ましい。
偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
<偏光板>
本発明の好ましい偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方に、本発明の反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、上記のように、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
<光学補償フィルム>
光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる層を有し、該ディスコティック化合物と支持体とのなす角度が層の深さ方向において変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。
該角度は光学異方性層の支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
また、光学異方性層が更にセルロースエステルを含んでいる態様も好ましい。
<画像表示装置>
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。反射防止フィルムは、反射防止フィルムの透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
本発明に用いる反射防止フィルム及び偏光板は、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
又、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下に本発明の具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<高分子開始剤(Q)の合成例>
高分子開始剤(Q)の合成例1:高分子開始剤(Q−1)
1,6−ヘキサンジオール26.4g、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン−8,9−ジカルボン酸38g、ジブチルスズオキサイド0.01g及びメシチレン150gの混合物をDean-Stark環流装置を付したフラスコ中で攪拌しながら環流下に8時間加熱した。トルエン溶媒とともに共沸で留去された水の量は約3.5gであった。室温に冷却後、メタノール800ml中に再沈し、液状物をデカント後補集し、減圧下に乾燥した。
上記反応生成物を、ジメチルホルムアミドに溶解し、0.1mol/lナトリウムメチラートメタノール溶液で電位差滴定する方法によりヒドロキシル基及びカルボキシル基を測定したところ、各々300μmol/gとなった。
上記固形物50g、下記ジチオカーバメイト化合物12g、及びテトラヒドロフラン200gの混合物を室温で攪拌下に溶解した。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)10.2g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.2g及びテトラヒドロフラン50gの混合溶液を、攪拌下に上記混合物に1時間で滴定した。更にそのまま4時間攪拌した。
DCC溶液を滴下するにつれ、不溶の結晶が析出した。反応混合物中に3%ギ酸水溶液3gを加えて、室温で2時間攪拌した。反応混合物をセライトを用いた吸引濾過で濾別し、濾液をメタノール500mlに再沈し、固形物を濾集した。これをテトラヒドロフラン100mlに溶解した後、メタノール500リットル中に再度再沈し、固形物を補集後、減圧乾燥した。得られた生成物の収量は42gで、質量平均分子量Mwは2×104であった(Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー法のポリスチレン換算値)。得られた高分子開始剤(Q−1)を、上記と同様の電位差滴定方法でヒドロキシル基量を測定したところ、3μmol/gで、反応率は99%であった。
Figure 2005042072
高分子開始剤(Q)の合成例2:高分子開始剤(Q−2)
ビスフェノールAエトキシレート (Aldrich社製)80.8g、無水コハク酸1.0g、p−トルエンスルホン酸1水和物1.6g及びトルエン200gの混合物を、Dean-Stark環流装置を付したフラスコ中で攪拌しながら環流下に6時間加熱した。
冷却後、メタノール1リットル中に再沈し、沈降物を補集・減圧乾燥して、収量88gの生成物を得た。この反応物をトルエンに溶解し、0.1mol/l水酸化カリウムとメタノール溶液で中和滴定する方法によりカルボキシル基含量を測定し、250μmol/gとなった。
次に上記反応物50g、下記ザンテート化合物13g、及びトルエン150gの混合溶液とt−ブチルハイドロキノン0.3gを上記反応物に加えた後、DCC10.3g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.1g及び塩化メチレン30gの混合溶液を攪拌下に上記混合物に1時間で滴下した。更に、そのまま、4時間攪拌した。
反応混合物を200メッシュのナイロン布を通して、不溶物を濾別した。濾液をメタノール800ml中に再沈し、粉末を濾集した。これを塩化メチレン100gに溶解し、再度メタノール500ml中に再沈した。粉末を濾集し、減圧下に乾燥し、Mw1.2×104の高分子開始剤を35g得た。この高分子開始剤を前記の中和滴定法により滴定して残存するカルボキシル基含量を測定した所、0.5μmol/gとなり、反応率は99.8%であった。
Figure 2005042072
高分子開始剤(Q)の合成例3:高分子開始剤(Q−3)
高分子開始剤(Q−1)50g、下記ジチオカーバメイト化合物10.5g、塩化メチレン150gの混合溶液に、DCC6g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.1g及び塩化メチレン10gの混合溶液を温度20〜25℃で攪拌下に30分間で滴下し、そのまま更に4時間攪拌した。この反応混合物にギ酸5gを加えて1時間攪拌した後、析出した不溶物を濾別した。濾液をメタノール1リットル中に再沈し、溶媒をデカンテーションで取り除き沈殿物を補集し減圧乾燥した。得られた粘稠物は、収量28gでMwは2×104であった。
Figure 2005042072
高分子開始剤(Q)の合成例4:高分子開始剤(Q−4)
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸43.0g、1,4−シクロヘキサンメタンジオール36.1g及びジブチルスズオキサイド0.005gの混合物を窒素雰囲気に温度140℃に加熱した。減圧度2.67kPaで1時間攪拌後、温度160℃で減圧度0.67kPaで3時間攪拌した。
次にこの反応混合物に、1,4−シクロメタンジオール5gを加えて、上記と同様に温度160℃で減圧度0.67kPaで2時間攪拌した。
放冷後、トルエン180gを加えて溶解した後、メタノール1リットル中に再沈し、沈降物を補集・減圧乾燥して、収量72gを得た。
上記反応生成物50g、下記ジチオカーバメイト化合物20gを用いて、前記の高分子開始剤(Q)の合成例1と同様のDCCを用いる方法で、高分子開始剤を合成した。収量45gで、Mw3×104であった。
Figure 2005042072
マクロモノマー(M)の合成例1:マクロモノマー(M−1)
1,4−シクロヘキサンメタンジオール72.1g、無水コハク酸50g、p−トルエンスルホン酸1水和物0.7g及びキシレン200gの混合物を、前記高分子開始剤(Q)合成例2と同様にして反応した。
次に、アクリル酸8.6g及びトルエン75gの混合溶液とt−ブチルハイドロキノン0.5gを上記反応物に加えた後、更に攪拌しながら環流下に4時間反応した。室温に冷却後、メタノール1リットル中に再沈し、析出した固形物を濾取し、減圧乾燥した。収量は67gで、得られたマクロモノマー(M−1)の重量平均分子量は8×103であった。
Figure 2005042072
マクロモノマー(M)の合成2:マクロモノマー(M−2)
下記構造のジオール化合物64.5g、無水グルタル酸28.6g、p−トルエンスルホン酸0.4g及びメシチレン220gの混合物を、上記高分子開始剤(Q)合成例2と同様にして反応した。
室温に冷却後、メタノール1リットル中に再沈し、沈殿物を濾集し減圧乾燥した。上記固形物50gを用いて、前記高分子開始剤(Q)の合成例1に記載のDCCを用いる方法で、下記構造の重合性モノマーを用いて反応し、マクロモノマー(M−2)40gを得た。Mwは7×103であった。
Figure 2005042072
<AB型ブロック共重合体(PI)の合成例>
AB型ブロック共重合体(PI)の合成例1:AB型ブロック共重合体(PI−1)
シクロヘキシルアクリレート30g、高分子開始剤(Q−1)20g及びテトラヒドロフラン50gの混合物を窒素気流下に温度50℃に加温し均一溶液とした。この溶液に400Wの高圧水銀灯で10cmの距離から、ガラスフィルターを通して、8時間光照射重合した。
この重合物をメタノール800ml中に再沈し、沈殿物を捕集し乾燥して収量42gの生成物を得た。Mwは3.5×104であった。
Figure 2005042072
AB型ブロック共重合体(PI)の合成例2:AB型ブロック共重合体(PI−2)
メチルメタクリレート22.5g、下記構造の単量体7.5g、高分子開始剤(Q−2)20g及びテトラヒドロフラン75gの混合物を用いて、合成例(PI−1)と同様にして重合体を得た。収量44gでMwは3.0×104であった。
Figure 2005042072
AB型ブロック共重合体(PI)の合成例3:AB型ブロック共重合体(PI−3)
下記構造の単量体45g、2−ヒドロキシエチルアクリレート15g、下記構造の高分子開始剤(Q−5)40gの混合物を用いて、合成例(PI−1)と同様にして重合体を得た。収量は、86gでMwは2.5×104であった。
この重合体50g及び〔2−(2−カルボキシエチルカルボニルオキシ)エチルアクリレート〕16.1gをクロロホルム120gに溶解し、これに温度25℃で攪拌下にDCC16.1g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.1g及びメチレンクロライド37gの混合溶液を加えて、3時間攪拌し、更に温度35℃で2時間攪拌した。
次に、30%ギ酸水溶液10gを加えて1時間撹拌した後、生成した不溶物を濾別した。濾液をメタノール1リットル中に再沈して、沈殿物を捕集し減圧乾燥して、生成物を得た。収量43gでMwは、3.5×104であった。
Figure 2005042072
AB型ブロック共重合体(PI)の合成例4〜7:AB型ブロック共重合体(PI−4)〜(PI−7)
上記のAB型ブロック共重合体(PI−1)の合成例と同様にして、下記表1の各重合体を得た。
Figure 2005042072
<ABA型ブロック共重合体(PII)の合成例>
ABA型ブロック共重合体(PII)の合成例1:ABA型ブロック共重合体(PII−1)
シクロヘキシルアクリレート30g、高分子開始剤(Q−4)20g及びテトラヒドロフラン50gの混合物を用いて、合成例(PI−1)と同様にして重合体を得た。
収量43gでMwは4×104であった。
Figure 2005042072
ABA型ブロック共重合体(PII)の合成例2:ABA型ブロック共重合体(PII−2)
シクロヘキシルアクリレート32.5g、下記構造の単量体15g、高分子開始剤(Q−3)20g及びテトラヒドロフラン50gの混合物を用いて、合成例(PI−1)と同様にして重合体を得た。
収量41gでMwは3×104であった。
Figure 2005042072
<クシ型ブロック共重合体(PIII)の合成例>
クシ型ブロック共重合体(PIII)の合成例1:クシ型ブロック共重合体(PIII−1)
下記構造の単量体(A−2)40g、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート20g、マクロモノマー(M−1)40g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.0g及びトルエン200gの混合物を、窒素気流下に撹拌しながら温度70℃に加温した。これに、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)0.5gを加えて5時間反応し、更に、AIBN1.0gを加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。室温に冷却後、メタノール1.0リットル中に再沈して、沈降物を捕集し乾燥した。収量85gでMw3.0×104であった。
Figure 2005042072
クシ型ブロック共重合体(PIII)の合成例2:クシ型ブロック共重合体(PIII−2)
メチルメタクリレート55g、2−〔2−ヒドロキシエチルオキシ〕エチルメタクリレート15g、下記構造のマクロモノマー(M−3)30g、2−ヒドロキシエチルメルカプタン1.5g及びトルエン150gの混合物を用いて、上記合成例(PIII−1)と同様にして重合反応を行なった。次に、この反応混合物を温度60℃に設定し、テトラブトキシチタネート0.05gを加えて攪拌した。
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート19.4g、2,5−t−ブチルハイドロキノン0.01g及びトルエン50gの混合溶媒を上記反応混合物に5分間で滴下し、そのまま4時間撹拌した。
室温に冷却後、メタノール1リットル中に再沈し沈殿物を捕集し、減圧乾燥した。収量87gでMw4×104の重合体を得た。
Figure 2005042072
クシ型ブロック共重合体(PIII)の合成例3〜7:クシ型ブロック共重合体(PIII−3)〜(PIII−7)
クシ型ブロック共重合体の合成例(PIII−1)と同様にして、下記表2の各重合体を合成した。収量は83〜87gでMwは3.5〜5×104の範囲であった。
Figure 2005042072
<実施例1及び比較例1>
[無機微粒子分散液(R−1)の調製]
下記混合液をサンドミル(1/4Gのサンドミル)にて回転速度1600回転/m、10時間微細分散した。メディアは1mmΦのジルコニアビーズを1400g用いた。分散後、ビーズを分離し、表面修飾した無機架橋微粒子分散液を得た。
メチルイソブチルケトン 234g
アニオン性官能基含有表面処理剤:
2C=C(H)COO(C510COO)2H 36g
アルミナ微粒子(平均粒径:15nm) 180g
[硬化性組成物(HCL−1)の調製]
本発明のブロック共重合体(PI−3) 80g
多官能性アクリレート、DPHA(日本化薬(株)製) 20g
(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物)
上記微粒子分散液(R−1) 40g
(固形分量として)
メチルイソブチルケトン 300g
イルガキュア907(商品名、チバガイギー社製) 4.0g
カラキュアーDETX(商品名、日本化薬(株)製) 1.5g
上記混合液を30分間攪拌した後、超音波分散し、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用硬化層用塗布液(HCL−1)を調製した。
[硬化処理フィルム(F−1)の作製]
透明基材として188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにグロー放電処理した後、上記で作成した硬化性組成物(HCL−1)を膜厚20μmになるようにスロットコーターで塗布、120℃で2分乾燥し、750mj/cm2の紫外線照射後、120℃、10分加熱することによって、硬化処理フィルム(F−1)を作製した。
[比較用硬化処理フィルム(FR−1)の作製](比較例1)
実施例1の硬化性組成物において、ブロック共重合体80gの代わりに、下記構造の重合体(RP−1)48gと下記構造のポリエステル(RP−2)32gを用いた他は、実施例1と同様にして硬化処理フィルム(FR−1)を作製した。
Figure 2005042072
得られた各試料の性能の結果を表3に記載した。
Figure 2005042072
試料の評価法は以下に示す方法で行った。
(鉛筆硬度の評価法)
作製した硬化処理フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、JIS S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度の値である。なお、JIS K5400で定義される傷は(1)塗膜の破れ、(2)塗膜のすり傷であり、(3)塗膜のへこみは対象としないと記載されているが、ここでは、(3)塗膜のへこみも含めて傷と判断した。
(耐傷性の評価法)
#0000のスチールウールを用いて、上記と同等の環境で、ハードコート層の表面を1.96N/cm2の荷重をかけ、50回(往復)擦って傷の発生を目視で観察した。
傷が観察されないものを○、わずかな傷の発生を△、多数の傷の発生を×とした。
(膜剥がれの評価法)
硬化処理フィルムのハードコート層表面にカッターによって1mm×1mmのクロスハッチ(升目)を100個入れ、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、その上にセロテープ(登録商標;ニチバン(株)製)を貼り付け、該セロテープを剥がしたときに硬化被膜がフィルム基材から剥がれた升目の数を計測することで価した。100個の桝目が残っているものを○、桝目の一部が欠けたものがあるものを△、桝目が複数剥がれたものを×とした。
(カールの評価法)
硬化処理フィルムを35mm×140mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件でハードコート層側を上にして水平面に2時間放置した後、水平面からの4角の浮いた高さの平均値を測定することで評価した。平板からの距離が3mm未満のものを◎、6mm未満のものを○、10mm未満のものを△、10mm以上のものを×とした。
(ひび割れの評価法)
硬化処理フィルムを35mm×140mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときのひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価した。また、エッジ部のひび割れを目視で評価した。全くひび割れのないものを○、わずかでもひび割れのあるものを×とした。
表3に示すように、実施例1は、鉛筆硬度、耐傷性、膜剥がれ、カール及びひび割れのいずれも良好な性能を示した。比較例1は、鉛筆硬度と耐傷性が不良となり、膜剥がれ、カールも著しく低くなった。以上のように、本発明の硬化処理フィルムは膜の硬度と耐脆性を良好にすると共に膜の密着性にも優れるものである。これは、本発明の硬化膜は、ポリエステル重合成分から構成されるブロックBの重合体の部分とラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロックAのビニルモノマーからなる重合体の部分が共重合したポリマー分子の分子間の相互作用でミクロ相分離構造を形成し、且つビニルモノマーからなる重合体の部分はラジカル重合反応により高分子間が橋かけ構造を形成していることによるものと推定される。
<実施例2>
[無機微粒子分散液(R−2)の調製]
無機微粒子として超微粒子シリカ(「アエロジル200」(一次粒子の平均粒子径12nm):商品名、日本アエロジル(株)製)20.0gを撹拌しながら3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの3質量%のテトラヒドロフラン溶液100mlをガラス製パスツールピペットを用いて約2分間かけて滴下した。その後、この溶液を窒素気流下で1時間加熱撹拌して表面にエポキシ基を導入した。反応終了後、遠心沈降法により数回洗浄した後に超微粒子シリカを取り出し、減圧乾燥法で溶剤を除去した後にめのう乳鉢ですり潰してメタクリロイル基を導入した超微粒子シリカを得た。この粉末を20質量%のメチルエチルケトン混合物として、1mmのガラスビーズを用いてペイントシェーカー(東洋精機(株)製)で分散した後、ビーズを濾別して平均粒子系20nmの分散液とした。
[硬化性組成物(HCL−2)の調製]
本発明のブロック共重合体(PI−2) 80g
下記構造のエポキシ化合物 20g
上記微粒子分散液(R−2) 40g
(固形分量として)
メチルイソブチルケトン 300g
下記構造の光重合開始剤 1.5g
Figure 2005042072
上記混合液を30分間攪拌した後、超音波分散し、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用硬化層用塗布液(HCL−2)を調製した。
[硬化処理フィルム(F−2)の作製]
透明基材として80μmのトリアセチルセルロスエステルフィルムTD80UF(富士写真フィルム(株)製)にコロナ放電処理した後、上記で作成した硬化性組成物を膜厚20μmになるようにスロットコーターで塗布、100℃で2分乾燥し、750mj/cm2の紫外線照射後、120℃、10分加熱することによって、硬化処理フィルム(F−2)を作製した。
得られたフィルムを実施例1と同様の性能を評価した所、フィルムともに、実施例1と同等以上の良好な結果を示した。
<実施例3>
[無機微粒子分散液(R−3)の調製]
二酸化ケイ素微粒子(アエロジル200、日本アエロジル(株)製)30.0質量部、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散調整した、平均粒子径20nmの二酸化ケイ素微粒子分散液を調整した。
[硬化性組成物(HCL−3)の調製]
本発明のブロック共重合体(PI−6)28質量部、メチルトリメトキシシラン12質量部をテトラヒドロフラン50質量部及びn−ブタノール7質量部に溶解し、1.0質量%塩酸水溶液3.0質量部を攪拌しながら加えた。1時間後にこの溶液を2時間加熱還流し、その後冷却した。この反応混合物にジルコニウムアセチルアセテート0.5質量部、及びメチルエチルケトン100質量部を加えと混合物を、上記の無機微粒子分散液(R−3)20.6質量部に攪拌しながら加えた。上記混合液を30分間攪拌した後、超音波分散し、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用硬化層用塗布液(HCL−3)を調製した。
[硬化処理フィルム(F−3)の作製]
透明基材としてトリアセチルセルロスエステルフィルムTD80UFにコロナ放電処理した後、上記で作成した硬化性組成物を膜厚20μmになるようにスロットコーターで塗布、80℃で2分乾燥し、更に、110℃、30分加熱することによって、硬化処理フィルム(F−3)を作製した。
得られたフィルムを実施例1と同様の性能を評価した所、フィルムともに、実施例1と同等以上の良好な結果を示した。
<実施例4>
[防眩性塗布液Aの調製]
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、粒径約30nmの酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有塗布液(デソライトZ−7401、JSR(株)製)199g、および粒径約30nmの酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有塗布液(デソライトZ−7402、JSR(株)製)19gを、52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46質量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバファインケミカルズ(株)製)10gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に、個数平均粒径1.99μm、粒径の標準偏差0.32μm(個数平均粒径の16%)の架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200HS(SX−200Hの風力分級品)、綜研化学(株)製)20gを80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46質量%の混合溶媒に高速ディスパにて回転速度5000回転/mで1時間攪拌分散し、孔径10μm、3μm、1μmのポリプロピレン製フィルター(それぞれPPE−10、PPE−03、PPE−01、いずれも富士写真フイルム(株)製)にてろ過して得られた分散液29g(5.0μm以上の粗大粒子を含有する割合は0個/1×1010個)を添加、攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性塗布液を調製した。
[低屈折率層塗布液(LL−1)の調製]
二酸化ケイ素微粒子(アエロジル200、日本アエロジル(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散調整した、質量平均径12nmの二酸化ケイ素微粒子分散液を調整した。前記二酸化ケイ素分散物にペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA、日本化薬(株)製)60質量部、光ラジカル重合開始剤:イルガキュア184、2質量部、メガファック531A(C817SO2N(C37)CH2CH2OCOCH=CH2、大日本インキ化学工業(株)製)9質量部、およびメチルエチルケトンを混合、攪拌して、低屈折率層の塗布液を調製した。なお、二酸化ケイ素微粒子分散物は低屈折率層の屈折率が1.50となるように添加量を調整した。
[防眩性反射防止層付硬化処理フィルムの作製]
上記で作製した硬化処理フィルム(F−2)〜(F−3)上に上記で調製した防眩性塗布液Aをバーコーターを用いて塗布し、120℃で1分乾燥後、350mj/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ1.5μmの防眩性ハードコート層を形成した。この各防眩性ハードコート層の上に上記で作製した低屈折率層塗布液(LL−1)をバーコーターを用いて塗布し、120℃で1分乾燥後、350mj/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ90nmの低屈折率層を形成した。なお、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて450〜650nmの波長領域における入射光5°における正反射の平均反射率を測定したところ全ての反射防止層付硬化処理フィルムで3.0〜3.5%であり、良好な反射防止性能を示した。更に、鉛筆硬度は3H以上、耐傷性試験及び膜剥膜剥がれの結果はいずれも傷、剥がれの発生を認められなかった。
<比較例2>
実施例4において、硬化処理フィルム(F−2)の代わりに下記の比較用硬化処理フィルム(FR−2)を用いた他は、実施例4と同様にして比較用防眩性反射防止層付硬化処理フィルムを作製した。
[比較用硬化処理フィルム(FR−2)]
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム:TD80UF上に、上記の比較例1で用いたハードコート層塗布液を用いてハードコート層を設けて、比較用硬化処理フィルム(FR−2)を作製した。
実施例4と同様に性能を評価した。その結果は、本発明の試料に比べて膜剥がれ及びひび割れが著しく低下した。
[防眩性反射防止層付硬化処理フィルムを取り付けた画像表示装置]
上記で作製した各反射防止層付硬化処理フイルムのハードコート層を設けていない面にアクリル系粘着剤をつけ、PDP:日立製42型プラズマディスプレイ(CMP4121HDJ)、CRT:松下(株)製28型フラットテレビ(TH−28FP20)、LCD:三菱(株)製15型TFT液晶モニター(RDT151A)、タッチパネル:シャープ(株)製Zaurus(MI−L1)にそれぞれ積層し、外光反射(蛍光灯の映り込み)を目視で評価したところ全ての本発明の防眩性反射防止層付硬化処理フィルムを貼り付けた画像表示装置において映り込みが見えにくく、良好な画像視認性を有していた。一方、比較用防眩性反射防止層付硬化処理フィルム(FR−2)は膜剥がれ及びひび割れが著しく低下し、画像表示装置に貼り付けた場合に実用に供しえる性能には達しなかった。
<実施例5>
[酸化物微粒子分散液(PL−1)の調製]
コバルトを含有する二酸化チタン微粒子(MPT−129、石原産業(株)製)(P−1)100g、下記構造の分散剤22g、及びシクロヘキサノン285gを、粒径0.2mmのジルコニアビーズ(YTZボール、(株)ニッカトー製)と共に、ダイノミルにより分散した。分散温度は35〜40℃で8時間実施した。200メッシュのナイロン布でビーズを分離して、酸化物微粒子分散液(PL−1)を調製した。
得られた分散物の分散粒子径は、走査型電子顕微鏡で測定した所、単分散性良好な平均粒径50nmの粒子であった。
Figure 2005042072
[中屈折率層用塗布液(ML−1)の調製]
上記の複合酸化物微粒子分散液(PL−1)88.9gに、ブロック共重合体(PIII−2)52.6g、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)5.8g、イルガキュア907 3.1g、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1g、メチルエチルケトン482.4g、およびシクロヘキサノン1869.8gを添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用の塗布液(ML−1)を調製した。
[高屈折率層用塗布液(HL−1)の調製]
上記の酸化物微粒子分散液(PL−1)586.8gに、ブロック共重合体(PIII−2)38.4g、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)9.6g、イルガキュア907 2.4g、カヤキュアーDETX 1.0g、メチルエチルケトン455.8g、およびシクロヘキサノン1427.8gを添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液(HL−1)を調製した。
[低屈折率層用塗布液(LL−2)の調製]
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN7228、固形分濃度6質量%、JSR(株)製)を溶媒置換して、熱架橋性フッ素ポリマーの固形分濃度10質量%のメチルイソブチルケトン溶液を得た。上記、熱架橋性フッ素ポリマー溶液56.0gにシリカ微粒子のメチルエチルケトン分散液(MEK−ST、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製)8.0g、下記シラン化合物を1.75g、およびメチルイソブチルケトン73.0g、シクロヘキサノン33.0gを添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して低屈折率層用の塗布液(LL−2)を調製した。
[シラン化合物の調製]
撹拌機、還流冷却器を備えた反応器、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)161g、シュウ酸123g、エタノール415gを加え混合したのち、70℃で4時間反応させた後、室温まで冷却し、硬化性組成物として透明なシラン化合物を得た。
[反射防止フィルムの作製]
前記の実施例2で作製した硬化処理フィルム(F−2)上に、中屈折率層用塗布液(ML−1)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.65、膜厚70nm)を形成した。
中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液(HL−1)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.96、膜厚100nm)を形成した。
高屈折率層の上に、低屈折率層用塗布液(LL−2)をグラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、120℃で10分間加熱して、低屈折率層(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。このようにして、反射防止フィルムを作製した。
<比較例3>
[反射防止フィルムの作成]
実施例5の中屈折率層用塗布液(ML−1)および高屈折率層用塗布液(HL−1)の調製における組成分において、ブロック共重合体(PIII−2)の代わりに、下記構造の共重合体(RP−3)26.7gおよび下記構造のポリエステル化合物(RP−4)11.7gを用いた他は、実施例30と同様にして反射防止フィルムを作製した。
Figure 2005042072
[高屈折率層フィルムの評価]
上記の高屈折率層まで設けた反射防止フィルムを用いて、以下の項目の評価を行なった。結果を表4に示す。
(1)密着性の評価
各フィルムを、サンシャインウエザーメーター(S−80、スガ試験機(株)製)を用いて、サンシャインカーボンアーク灯、相対湿度60%、100時間の条件に曝した。
この耐候試験前後の各フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。
各フィルムの高屈折率層を有する側の表面において、カッターナイフで基盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(No.31B)における密着試験を同じ場所で繰り返し3回行った。剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:100升において剥がれが全く認められなかったもの
○:100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの
△:100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの
×:100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの
(2)鉛筆硬度の評価
前記露光前後の膜を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5400に規定される鉛筆硬度の評価方法に従い、1kg加重における鉛筆硬度を評価した。
[反射防止フィルムの評価]
作製した各反射防止フィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表4に示す。
(5)ヘイズの評価
ヘイズメーター(NHD−1001DP、日本電色工業(株)製)を用いて、反射防止フィルムのヘイズを評価した。
(6)反射率の評価
分光光度計(V−550、ARV−474、日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。450〜650nmの波長範囲における平均反射率を求めた。
(7)密着性の評価
上記(1)と同一の条件で測定し、評価した。
Figure 2005042072
本発明の実施例5で得られる高屈折率層表面となるフィルムの膜特性(密着性、鉛筆硬度、擦力耐性、ひび割れ)は、いずれも良好で実用可能なレベルであった。
又、実施例5の反射防止フィルムとしての光学特性の性能は良好となるもので、反射防止フィルムとしての密着性も良好であった。
一方、比較例の試料は、膜特性が悪く、実用に供し得ないレベルであった。
以上のことから、本発明のもののみが、反射防止フィルムとして、良好な特性を示した。
<実施例6〜13>
実施例5において、ブロック共重合体(PIII−2)、TMPTA、イルガキュア907及びカヤキュアDETXの代わりに下記表5記載の各化合物を用いた他は、実施例5と同様にして各反射防止フィルム(AF−1)〜(AF−8)を作成した。
得られた各フィルムを実施例5と同様の性能を評価した所、各フィルムともに、実施例5と同等以上の良好な結果を示した。
Figure 2005042072
Figure 2005042072
<実施例14>
[ハードコート層用塗布液(HC−1)の調製]
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)315.0gに、シリカ微粒子のメチルエチルケトン分散液(MEK−ST、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製)450.0g、メチルエチルケトン15.0g、シクロヘキサノン220.0g、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)16.0gを添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HC−1)を調製した。
[酸化物微粒子分散液(PL−2)の調製]
酸化アルミニウムとステアリン酸で表面処理した二酸化チタン微粒子(TTO−51(C):酸化チタン含量79〜85%:石原産業(株)製)218gに、下記構造の分散剤(D−1)38g、重合禁止剤t−ブチルヒドロキノン0.5g、及びメチルイソブチルケトン702gを添加してダイノミルにより分散し、重量平均径60nmの酸化物微粒子分散液(PL−2)を調製した。
Figure 2005042072
[中屈折率層用塗布液(ML−2)の調製]
メチルセルソルブ50g、テトラヒドロフラン50g、ブロック共重合体(PIII−4)60g、メチルトリエトキシシラン15g、およびγ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25gを加え、液温を5〜10℃に保ち、攪拌しながら0.01モル/Lの塩酸8gを滴下した。滴下終了後、温度30℃で4時間攪拌を行い、シリル化合物の部分加水分解物を得た。次に、メチルセルソルブ2523g及びメチルイソブチルケトン3794gの混合溶液中に攪拌しながら、上記酸化物微粒子分散液(PL−2)(濃度は30.0質量%)400gを加えた後、上記シリル化合物組成物676gを加え、更に硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート2.6g、過塩素酸アンモニウム0.5g、イルガキュア907、3.5gを加えて、超音波分散後にろ過を行って中屈折率層用塗布液(ML−2)を作製した。
[高屈折率層用塗布液(HL−2)の調製]
メチルセルソルブ950g及びメチルイソブチルケトン1424gの混合溶液中に攪拌しながら、上記の中屈折率層用塗布液(ML−2)におけるブロック共重合体(PIII−4)の部分加水分解物83.3g、次に上記酸化物微粒子分散液(PL−2)400g、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート2.6g、過塩素酸アンモニウム0.3g、イルガキュア907、1.8gを加え、超音波分散後にろ過を行って高屈折率層用塗布液(HL−2)を作製した。
[低屈折率層用塗布液(LL−3)の調製]
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN7228、固形分濃度6質量%、JSR(株)製)を溶媒置換して、熱架橋性フッ素ポリマーの固形分濃度10質量%のメチルイソブチルケトン溶液を得た。上記、熱架橋性フッ素ポリマー溶液56.0gにシリカ微粒子のメチルエチルケトン分散液(MEK−ST、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製)8.0g、下記シラン化合物を1.75g、およびメチルイソブチルケトン73.0g、シクロヘキサノン33.0gを添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して低屈折率層用の塗布液(LL−3)を調製した。
[シラン化合物の調製]
撹拌機、還流冷却器を備えた反応器、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)161g、シュウ酸123g、エタノール415gを加え混合したのち、70℃で4時間反応させた後、室温まで冷却し、硬化性組成物として透明なシラン化合物を得た。
[反射防止フィルムの作製]
トリアセチルセルロースフィルムTD80UF上に、ハードコート層用塗布液(HC−1)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ3.5μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液(ML−2)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.65、膜厚70nm)を形成した。
中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液(HL−2)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.96、膜厚100nm)を形成した。
高屈折率層の上に、低屈折率層用塗布液(LL−3)をグラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、120℃で10分間加熱して、低屈折率層(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。このようにして、反射防止フィルムを作製した。
得られたフィルムを、実施例5と同様にして性能評価を行った結果、実施例5と同等の性能を示し良好であった。
<実施例15〜17>
実施例5における中屈折率層用塗布液(ML−1)および高屈折率層用塗布液(HL−1)において、ブロック共重合体(PIII−2)の代わりに、下表6の各化合物を同量づつ用いた他は、実施例5と同様にして、各反射防止フィルムを作製した。
Figure 2005042072
得られた実施例15〜17の各反射防止フィルムを、実施例5と同様にして性能と評価を行なった。各実施例のものは、実施例5と同等以上の性能を示し、良好であった。
<実施例18>
[ハードコート層の形成]
多官能性アクリレートモノマーDPHA、125gおよびウレタンアクリレートオリゴマーUV−6300B(日本合成化学工業(株)製)125gを、439gの工業用変性エタノールに溶解した。得られた溶液に、イルガキュア907、7.5gおよびカヤキュアーDETX、5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。混合物を攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層の塗布液(HC−2)を調製した。
前記のトリアセチルセルロースフィルムTD80UFに、上記のハードコート層の塗布液を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、厚さ7.5μmのハードコート層を形成した。
[酸化物微粒子分散液(PL−3)の調製]
チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる複合酸化物[Ti/Ti+Zr+Al=0.80モル比、Zr/Ti+Zr+Al=0.15モル比](P−2)257.1gに、下記分散剤38.6g、およびシクロヘキサノン704.3gを添加してダイノミルにより分散した。得られた分散物の分散粒子の平均径は70nmであった。
Figure 2005042072
[中屈折率層用塗布液(ML−3)の調製]
ブロック共重合体(PI−5)55.3g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート13.8g、イルガキュア907 3.1g、カヤキュアーDETX、1.1g、メチルエチルケトン316g、およびシクロヘキサノン1266gの混合溶液に、上記の酸化物微粒子分散液(PL−3)100gを添加して攪拌し、更に超音波分散した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用の塗布液(ML−3)を調製した。
[高屈折率層用塗布液(HL−3)の調製]
ブロック共重合体(PI−5)31.7g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート7.9g、イルガキュア907、1.7g、カヤキュアーDETX、0.6g、メチルエチルケトン544g、およびシクロヘキサノン2174gの混合溶液に、上記の酸化物微粒子分散液(PL−2)400gを添加して攪拌し、更に超音波分散した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液(HL−3)を調製した。
[反射防止フィルムの作製]
上記のハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液(ML−3)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.65、膜厚67nm)を形成した。
中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液(HL−3)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、120℃で2時間の加熱処理をして塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.95、膜厚107nm)を形成した。
高屈折率層の上に、特開2000−241603号公報中の実施例1記載の低屈折率層用組成物及び形成方法に従って、低屈折率層(屈折率1.44、膜厚82nm)を形成した。このようにして、反射防止フィルムを作製した。
得られた反射防止フィルムを、実施例5と同様にして性能と評価を行なった結果、実施例5と同等以上の性能を示し、良好であった。
<実施例19>
[偏光板用保護フィルムの作製]
実施例18で作製した反射防止フィルムにおいて、本発明の高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面を、1.5モル/LのKOH−イソプロピルアルコール/水(75/25質量比)溶液を25ml/m2塗布し、25℃で5秒間乾燥させた。流水で20秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルム表面を乾燥させ鹸化処理した。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
[偏光板の作製]
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000g、ヨウ素7g、ヨウ化カリウム105gからなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に本発明の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルロースアシレートフィルム:TD80UFを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
[画像表示装置の評価]
このようにして作製した本発明の偏光板を装着したTN、STN、IPS、VA、OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。
<実施例20>
[偏光板の作製]
ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する光学補償フィルム(WV A 12B、富士写真フイルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例19と同様の条件で鹸化処理した。
実施例19で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例19で作製した反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
[画像表示装置の評価]
このようにして作製した本発明の偏光板を装着したTN、STN、IPS、VA、OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、更に、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。
本明細書中に詳記した、高屈折率層を作製することにより、耐候性(特に、偏光性)に優れた反射防止フィルムを安価で大量に提供することができる。
更に、これらにより上記特徴を保持した偏光板、画像表示装置を提供することができる。

Claims (14)

  1. ラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)とポリエステル重合成分から構成されるブロック(B)とから成るAB型、ABA型若しくはクシ型のブロック共重合体を少なくとも1つ、ならびに光及び熱の少なくともいずれかで硬化する化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 上記のラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)及び上記のポリエステル重合成分から構成されるブロック(B)の少なくともいずれかが、脂環式炭化水素環を構成成分として含有することを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 上記のクシ型ブロック共重合体が、ポリエステル重合成分の重合体主鎖の片末端にのみラジカル重合性基を結合して成る一官能性マクロモノマーとラジカル重合性単量体との共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 上記ブロック共重合体が、上記ブロック(A)の重合成分の側鎖置換基、或はブロック共重合体の主鎖の末端に硬化性反応性基を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 上記ブロック共重合体の硬化性反応性基が、ラジカル重合性基、カチオン重合性基および加水分解性基置換のシリル基から少なくとも1つ選ばれることを特徴とする請求項4記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物を塗布し、硬化させて得られたものである硬化処理物品。
  7. 透明支持体上に、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物から形成される硬化被膜を有する硬化処理フィルム。
  8. 透明支持体上に、高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも二層の屈折率層を順次積層させてなる多層膜反射防止膜であって、該高屈折率層の屈折率が1.55〜2.50の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られたものである反射防止膜。
  9. 透明支持体上に、防眩性層及び低屈折率層の少なくとも二層の屈折率層を順次積層させてなる多層膜反射防止膜であって、該防眩性層が粒子径0.5〜10μmのマット粒子を更に有する請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られたものである反射防止膜。
  10. 透明支持体上に、屈折率の異なる二層の高屈折率層及びこれらの層上に積層させた屈折率1.55未満の低屈折率層の少なくとも三層の屈折率層を有し、該二層の高屈折率層の少なくともいずれか一方が請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られたものである反射防止膜。
  11. 透明支持体と高屈折率層との間にハードコート層を有することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の反射防止膜。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載の反射防止膜を偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いることを特徴とする偏光板。
  13. 請求項8〜11のいずれかに記載の反射防止膜を偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いることを特徴とする偏光板。
  14. 請求項8〜11のいずれかに記載の反射防止膜又は請求項12〜13のいずれかに記載の偏光板が、画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
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