JP2005040171A - 内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内視鏡1は、複数方向に湾曲可能な湾曲部を有する挿入部と、この挿入部の湾曲部を操作するための複数の湾曲操作部材23を有する操作部とを備えて構成される。この内視鏡1において、複数の操作部材23のうち、操作部の把持部3aに近い方の湾曲操作部材23Aにより操作される湾曲部の少なくとも一つの湾曲方向は、その湾曲部位の長さを他の湾曲操作部材23Bにより操作される他の湾曲方向の湾曲部位より長く形成した。更に好ましくは、把持部3aに近い方の湾曲操作部材23Aにより操作される湾曲部の湾曲方向は、表示手段であるモニタに表示される観察画像をモニタの重力方向又は反重力方向に移動させる方向である。
【選択図】図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数方向に湾曲可能な湾曲部を有する挿入部を備えた内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内視鏡は、広く利用されている。内視鏡は、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置具挿通用チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療処置ができる。
【0003】
このような従来の内視鏡は、例えば、特公昭51−35794号公報に記載されているように、上下左右方向等の複数方向に湾曲可能な湾曲部を有する挿入部を備えたものが提案されている。
上記公報に記載の内視鏡は、状況に応じて湾曲半径を選択できるようにある方向には大きく曲がって、ある方向には小さく曲がるように湾曲方向によって湾曲部位の長さが異なるように湾曲部を構成している。
【0004】
一般に、内視鏡は、操作部に設けたノブやレバー等の湾曲操作部材を操作することにより、湾曲操作ワイヤを牽引弛緩して上記湾曲部の湾曲操作を行うように構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特公昭51−35794号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特公昭51−35794号公報は、上記湾曲操作部材による操作性と上記湾曲部の異なる湾曲半径との関係、即ち、具体的に湾曲部がどの方向に大きく曲がってどの方向に小さく曲がるべきかに関して述べられていない。
【0007】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、挿入時の操作性を良好に保つとともに、必要時に異なる湾曲半径の湾曲方向が選択できる内視鏡を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、複数方向に湾曲可能な湾曲部を有する挿入部と、この挿入部の前記湾曲部を操作するための複数の操作部材を有する操作部とを備えた内視鏡において、前記複数の操作部材のうち、前記操作部の把持部に近い方の操作部材により操作される前記湾曲部の少なくとも一つの湾曲方向は、その湾曲部位の長さを他の操作部材により操作される他の湾曲方向の湾曲部位より長く形成したことを特徴としている。
また、本発明の請求項2は、請求項1に記載の内視鏡において、前記把持部に近い方の操作部材により操作される前記湾曲部の湾曲方向は、表示手段に表示される観察画像を前記表示手段の重力方向又は反重力方向に移動させる方向であることを特徴としている。
この構成により、挿入時の操作性を良好に保つとともに、必要時に異なる湾曲半径の湾曲方向が選択できる内視鏡を実現する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の1実施の形態を説明する。
図1ないし図11は本発明の1実施の形態に係わり、図1は本発明の1実施の形態の内視鏡を示す構成図、図2は図1の先端部の正面図、図3は図1の湾曲部の構成を示す概略斜視図、図4は図3の湾曲部のB方向矢視図、図5は図3の湾曲部のC方向矢視図、図6は図1の内視鏡のA方向矢視図、図7はモニタに表示される観察画像の方向を示す概略図、図8は管腔の屈曲部における湾曲部を小さい湾曲半径で湾曲した際の挿入部の様子を示す概略図、図9は管腔の屈曲部における湾曲部を大きい湾曲半径で湾曲した際の挿入部の様子を示す概略図、図10は管腔内の目的部位付近に先端部が到達した際の挿入部の様子を示す概略図、図11は図10の状態から湾曲部を小さい湾曲半径で湾曲した際の挿入部の様子を示す概略図である。
【0010】
図1に示すように本発明の1実施の形態の内視鏡1は、可撓性を有する細長の挿入部2と、この挿入部2の基端側に設けられた操作部3とから構成される。内視鏡1は、この操作部3に側部から延出した可撓性を有するユニバーサルコード4が設けられている。このユニバーサルコード4は、端部に図示しない光源装置及びビデオプロセッサと着脱自在に接続可能なコネクタ部(不図示)が設けられている。また、内視鏡1は、図示しないが吸引装置,前方送水装置,送液タンクが接続されるようになっている。
【0011】
挿入部2は、その先端に設けられた硬質の先端部11と、この先端部11の後端に設けられた湾曲自在の湾曲部12と、この湾曲部12の後端に設けられた長尺で可撓性を有する可撓管部13とから構成される。
操作部3は、内視鏡1を把持するための把持部3aが挿入部2側に設けられている。この把持部3aの上側(操作部3基端側)には、送気操作・送水操作を行うための送気送水操作釦21や吸引操作を行うための吸引操作釦22が設けられている。
【0012】
これら送気送水操作釦21や吸引操作釦22(の設けられている把持部3a)の側部側には、湾曲部12を複数方向に湾曲可能な湾曲操作を行うためのノブやレバー等の複数の湾曲操作部材23が設けられている。尚、本実施の形態では、複数の湾曲操作部材23として、後述するように湾曲部12を上下左右方向の4方向に湾曲操作可能に2つの湾曲操作部材を設けて構成している。その詳細は、後述する。
また、把持部3aの頭頂部側には、ビデオプロセッサを遠隔操作するための複数のリモートスイッチ24が設けられている。
【0013】
一方、把持部3aの下側(挿入部2基端側)には、処置具挿通用チャンネル29(図10,図11参照)に連通した開口である処置具挿入口25が設けられている。この処置具挿入口25の端縁部には、図示しない鉗子栓が着脱自在に装着されるようになっている。
【0014】
図2に示すように挿入部2の先端部11には、対物光学系26と、この対物光学系26の表面に水や空気等の流体を噴きつけて洗滌する送気送水ノズル27と、照明光学系28と、処置具挿通用チャンネル29の先端開口部29Aと、被検体の目的部位を洗浄するための前方送水開口部30とが設けられている。尚、対物光学系26の結像位置には撮像ユニットの撮像面(光学式内視鏡の場合、イメージガイドやリレーレンズ等の像伝達光学系の像入射端面)が配置されている。また、照明光学系28の後方には、図示しないライトガイドの出射端面が配置されている。尚、点線は、先端部11に固定される後述の湾曲操作ワイヤである。
【0015】
次に、湾曲部12の詳細構成を説明する。
図3に示すように湾曲部12は、それぞれ複数の湾曲駒(節輪とも言う)を回動自在に連設して構成されている。これら複数の湾曲駒は、図示しないが細線のワイヤなどを筒状に編み込んだ湾曲ブレードを被せられるとともに、この湾曲ブレード上に水密に湾曲ゴムを被せられて湾曲部12が形成されている。尚、図3中、湾曲部12は、湾曲ブレード及び湾曲ゴムを取り外した状態を示している。
【0016】
湾曲部12は、先端部分12aと後端部分12bとの2部分から構成される。先端部分12aは、後縁の水平方向の円周部に一対の枢支部31aを有する湾曲駒31が先端部11に取り付けられている。
また、先端部分12aは、湾曲駒31の後縁に湾曲駒32の前縁が取り付けられている。湾曲駒32は、前縁の水平方向の円周部に枢支部32aを有するとともに後縁の垂直方向の円周部に枢支部32bを有している。そして、湾曲駒32は、湾曲駒31の枢支部31aに対して枢支部32aを枢軸33により連結することにより、上下枢動可能になっている。
【0017】
同様に先端部分12aは、前縁の水平方向の円周部に枢支部34aを有するとともに後縁の水平方向の円周部に枢支部34bを有する湾曲駒34が枢支部34aを枢軸35により湾曲駒32の枢支部32bに連結することにより、水平方向に枢動可能に湾曲駒32に連結されている。
【0018】
また、湾曲駒36は、前後縁共水平方向の円周部に枢支部36a,36bを有している。湾曲駒36は、枢支部36aが枢軸37により湾曲駒34の枢支部34bに連結されることにより、上下方向に枢動可能に湾曲駒34に連結されている。
【0019】
同様に湾曲駒38は、枢軸39により枢支部38aが湾曲駒36の枢支部36bに連結されることにより、上下方向に枢動可能に湾曲駒36に連結されている。同様に湾曲駒40は、湾曲駒38に対して水平に枢動可能に取り付けられている。以降、湾曲駒41,42,43は、それぞれ先行する湾曲駒に上下及び水平方向に交互に枢動可能に連結されている。
上記のように、湾曲部12の先端部分12aにおける交互枢動連結の湾曲駒の数は、別に制限はない。また、湾曲駒36,湾曲駒41を廃し、湾曲駒34と湾曲駒38及び湾曲駒40と湾曲駒42を直接、連結することも可能である。
上述の構成により、湾曲部12の先端部分12aは、上下方向及び水平方向の4方向に湾曲可能となっている。
【0020】
一方、湾曲部12の後端部分12bは、先端部分12aと異なり、各湾曲駒44〜49は、前後縁共水平方向の円周部に枢支部を有して互いに隣接する湾曲駒と連結され、上下方向の2方向にのみ、湾曲可能となっている。もちろん、湾曲駒の数には、別に制限はない。
【0021】
湾曲部12の先端部分12aは、先端側より牽引弛緩されて湾曲操作されるための一対の湾曲操作ワイヤ(ストリングとも言う)51,52がコイルパイプ(密巻コイルとも言う)53,54内を通り、湾曲部12及び可撓管部13内を水平方向の枢軸近傍に沿って貫通している。尚、本実施の形態で用いられるコイルパイプは、ワイヤをパイプ状に密着巻きした非圧縮性の構造を有している。
【0022】
これら湾曲操作ワイヤ51,52は、前端がそれぞれ51a,52aにて先端部11の後端枠体11aに固定され、後端が操作本体内に設けた図示しない湾曲操作機構(手動制御機構)に連結されて交互に引張及び弛緩を与えられるようになっている。尚、湾曲操作機構(手動制御機構)は、後述する湾曲操作部材23Bに連結されている。
【0023】
コイルパイプ53,54は、それぞれ湾曲操作ワイヤ51,52に嵌合し、前端がそれぞれ後端部分12bの湾曲駒44の内壁に対して水平方向に固定され、後端が操作本体の位置固定部に固着されている。このことにより、コイルパイプ53,54は、湾曲操作ワイヤ51,52に対してパイプ後端部にて与えられる引張作動量を正確に密巻前端部にて与えるようになっている。
【0024】
従って、湾曲部12は、湾曲操作ワイヤ51,52の選択的操作により、図4に示すように湾曲部12の先端部分12aの範囲のみが水平方向に左又は右方向に湾曲させられる。
同様にして一対の湾曲操作ワイヤ55,56は、非圧縮性のコイルパイプ57,58内を通り、湾曲部12及び可撓管部13内を上下方向の枢軸近傍に沿って貫通している。
【0025】
これら湾曲操作ワイヤ55,56は、前端55a,56aが先端部11の後端枠体11aに固定され、後端が操作本体内の別の図示しない湾曲操作機構(手動制御機構)に連結されて交互に引張及び弛緩を与えられるようになっている。尚、別の湾曲操作機構(手動制御機構)は、後述する湾曲操作部材23Aに連結されている。
【0026】
コイルパイプ57,58は、それぞれ湾曲操作ワイヤ55,56に嵌合し、前端がそれぞれ可撓管部13の上下方向の内壁に固定され、後端が操作本体の位置固定部に固着されている。
従って、湾曲部12は、選択的に湾曲操作ワイヤ55又は56を引っ張ると図5に示すように先端部分12a及び後端部分12bの両方の範囲に亘って引張力を及ぼし、先端部分12a及び後端部分12bを上下方向に湾曲可能である。
【0027】
上記の如く、湾曲操作ワイヤ51又は52を選択的に引っ張ると先端部分12aの範囲のみが水平方向に調節可能に湾曲され、また、湾曲操作ワイヤ55又は56を選択的に引っ張ると先端部分12a及び後端部分12bを含めて全体の範囲が上下方向に調節可能に湾曲される。
【0028】
湾曲操作ワイヤ51又は52と、湾曲操作ワイヤ55又は56とをともに引張れば先端部分12a及び後端部分12bが全体として上下方向に湾曲されるとともに、先端部分12aのみが水平方向に湾曲され湾曲部12の所望の湾曲状況を与えることができ、内視鏡1の操作上、極めて好都合である。
【0029】
本実施の形態では、複数の湾曲操作部材23のうち、操作部3の把持部3aに近い方の湾曲操作部材により操作される湾曲部12の少なくとも一つの湾曲方向は、その湾曲部位の長さを他の湾曲操作部材により操作される他の湾曲方向の湾曲部位より長くするように構成している。
【0030】
即ち、更に具体的に説明すると、図6に示すように内視鏡1は、湾曲操作ワイヤ55又は56を牽引弛緩するための湾曲操作部材23Aを操作部3の把持部3aに近い方に設定して構成している。このことにより、内視鏡1は、湾曲部12(の先端部分12a及び後端部分12b)の湾曲方向を、把持部3aを把持した左手の親指が容易に届く位置となる湾曲操作部材23Aで操作可能である。
【0031】
また、湾曲操作部材23Aにより操作される湾曲部12(の先端部分12a及び後端部分12b)の湾曲方向は、図7に示すように表示手段としてモニタ60に表示される観察画像61をモニタ60の重力方向(UP)又は反重力方向(DOWN)に移動させる方向である。
従って、内視鏡1は、後述するように体腔内への挿入部2の挿入時において、通常、煩雑に用いる湾曲操作を、把持部3aを把持した左手の親指により容易に行うことが可能となる。
【0032】
一方、これに対して内視鏡1は、例えば、後述するように腫瘍などの目的部位が管腔壁に存在する際、目的部位を観察範囲内に捉えるために小さい湾曲半径で湾曲部12の湾曲操作を行う必要がある。この場合、上記湾曲操作は、たまにしか使用せず、頻度が少ない。
このため、内視鏡1は、湾曲部12の先端部分12aのみに対して引張力を及ぼす湾曲操作ワイヤ51又は52を牽引弛緩するための湾曲操作部材を、操作部3の把持部3aに遠い方の湾曲操作部材23Bに設定している。この湾曲操作部材23Bは、右手でも使用可能である。
【0033】
尚、本実施の形態では、複数の湾曲操作部材23として操作部3の把持部3aに近い方の湾曲操作部材23Aと、遠い方の湾曲操作部材23Bとの2つを設けて湾曲部12を上下左右方向に湾曲操作可能に構成しているが、更に湾曲部12に斜め方向やその他の方向に湾曲可能に湾曲操作ワイヤを取り付け、その方向の湾曲操作可能に湾曲操作部材を設けても良い。
【0034】
このように構成される内視鏡1は、光源装置及びビデオプロセッサに接続されるとともに、吸引装置,前方送水装置,送液タンクが接続されて内視鏡検査等に用いられる。そして、術者は、図1で示したように内視鏡1の把持部3aを左手で把持して挿入部2を被検体の体腔内例えば、大腸などに挿入し、目的部位を観察する。
【0035】
例えば、大腸は、図8に示すように管腔Aと管腔Bとの間に急峻な屈曲部が多数ある。ここで、例えば、内視鏡は、管腔Aの中で可撓管部13が撓んでくるっとループを作ってしまっていると、先端部11を押しても押してもループが大きくなるだけで、先端部11に力が伝わらず、挿入が進まない場合がある。このとき、術者は、挿入部2を引いて真っ直ぐに延ばしてからからもう一回先端部11を押すことで、上述の状態を解除するということを行う。
【0036】
ここで、挿入部2を引いたときに先端部11が管腔Bに入っていれば、先端部11が管腔Bに引っかかって抜けずに済む。しかしながら、先端部11が管腔Bに入っていない場合、挿入部2を引いたときに、先端部11が管腔Aから抜けてしまう。
【0037】
このため、術者は、急峻な屈曲部を乗り越えて管腔Aから管腔Bへ挿入部2を挿入しようとする。このとき、屈曲部において、術者は、挿入部2の湾曲部12に対して、小さな湾曲半径の湾曲操作を行うと先端部分12aの範囲のみが湾曲して湾曲部12が鋭角的になる。
【0038】
すると、内視鏡1は、屈曲部に対して挿入部2の先端部11が大腸を突き上げてしまい、進みたい方向に挿入部2が進まない(ステッキ現象と言う)ことになってしまう。すると、術者は、目的部位への挿入部2の挿入に時間がかかってしまう。
【0039】
上述したように本実施の形態では、内視鏡1は、先端部分12a及び後端部分12bの両方の範囲に亘り湾曲部12が湾曲操作される湾曲操作部材を、操作部3の把持部3aに近い方の湾曲操作部材23Aに設定している。
【0040】
術者は、把持部3aを把持した左手の親指により湾曲操作部材23Aを操作して、湾曲部12の湾曲操作を行う。すると、内視鏡1は、湾曲操作機構(手動制御機構)により湾曲操作ワイヤ55又は56を牽引弛緩され、先端部分12a及び後端部分12bの両方の範囲に亘って引張力を及ぼされて図9に示すようにこれら両方の範囲に亘り湾曲部12が湾曲する。
【0041】
そして、内視鏡1は、湾曲部12が長いので湾曲をかけただけで挿入部2が突っ張らずに屈曲部を回り込んで越えて行き易く、挿入部2の先端部11が次の管腔Bに達する。
このことより、内視鏡1は、体腔内への挿入部2の挿入時において、通常、煩雑に用いる湾曲操作が把持部3aを把持した左手の親指により容易に行えるので、操作性が良い。
【0042】
従って、術者は、先端部11が管腔Bに入っている状態において、挿入部2を引いて真っ直ぐに延ばしてからからもう一回先端部11を押すことで、挿入部2を引いたときに先端部11が管腔Aから抜けてしまうことなく、上述の挿入部2の撓みを解除することが可能となる。
【0043】
また、この場合、先端部11が管腔Bに入っていることで、湾曲部12を動かして管腔Bの基準中心から少し管腔B自体を持ち上げて緩やかな角度に調整することができる。このことにより、内視鏡1は、更に挿入部2が通過し易くなる。
【0044】
そして、図10に示すように内視鏡1は、先端部11が目的部位に到達する。
ここで、腫瘍などの目的部位が管腔壁に存在する際、術者は、目的部位を観察範囲内に捉えられるように小さい湾曲半径で湾曲部12を湾曲操作する。
【0045】
術者は、左手の親指を伸ばして外側から内側に曲げるようにして湾曲操作部材23Bを操作して、湾曲部12の湾曲操作を行う。すると、図11に示すように内視鏡1は、湾曲操作機構(手動制御機構)により湾曲操作ワイヤ51又は52を牽引弛緩され、先端部分12aのみに対して引張力を及ぼされて湾曲部12が湾曲する。
このことにより、内視鏡1は、目的部位を観察範囲内に捉えられるように小さい湾曲半径で湾曲部12の湾曲操作が可能となる。
【0046】
この結果、本実施の形態の内視鏡1は、体腔内への挿入部2の挿入時において、通常、煩雑に用いる湾曲操作が把持部3aを把持した左手の親指により容易に行えるので、挿入時の操作性を良好に保つとともに、必要時に異なる湾曲半径の湾曲方向が選択できるという効果を得る。
【0047】
尚、本実施の形態の内視鏡1は、挿入部2の先端部11に撮像装置を内蔵した電子内視鏡に本発明を適用しているが、図示しないイメージガイドを挿入部2に挿通して、このイメージガイドで導光された被写体像を操作部3に内蔵した撮像装置で撮像する構成の電子内視鏡や、イメージガイドで導光された被写体像を操作部3の上部に設けた接眼部で観察できる所謂、光学式内視鏡に適用しても良い。
また、本発明は、以上述べた実施の形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0048】
[付記]
(付記項1) 複数方向に湾曲可能な湾曲部を有する挿入部と、この挿入部の前記湾曲部を操作するための複数の操作部材を有する操作部とを備えた内視鏡において、
前記複数の操作部材のうち、前記操作部の把持部に近い方の操作部材により操作される前記湾曲部の少なくとも一つの湾曲方向は、その湾曲部位の長さを他の操作部材により操作される他の湾曲方向の湾曲部位より長く形成したことを特徴とする内視鏡。
【0049】
(付記項2) 前記把持部に近い方の操作部材により操作される前記湾曲部の湾曲方向は、表示手段に表示される観察画像を前記表示手段の重力方向又は反重力方向に移動させる方向であることを特徴とする付記項1に記載の内視鏡。
【0050】
(付記項3) 前記把持部に近い方の操作部材は、前記把持部を把持した左手の親指が容易に届く位置に設けたことを特徴とする付記項1に記載の内視鏡。
【0051】
(付記項4) 前記複数の操作部材のうち、前記把持部に遠い方の操作部材により操作される前記湾曲部の少なくとも一つの湾曲方向は、その湾曲部位の長さを他の操作部材により操作される他の湾曲方向の湾曲部位より短く形成したことを特徴とする付記項1に記載の内視鏡。
【0052】
(付記項5) 前記湾曲部位の長さを他より短く形成した湾曲方向は、湾曲時に対物光学系より処置具挿通用チャンネルが外周方向になるように配置した方向であることを特徴とする付記項4に記載の内視鏡。
【0053】
(付記項6) 前記湾曲部位の長さを他より短く形成した湾曲方向は、湾曲時に対物光学系より処置具挿通用チャンネルが前記挿入部の中心軸よりも外周方向になるように配置した方向であることを特徴とする付記項4に記載の内視鏡。
【0054】
(付記項7) 前記把持部に遠い方の操作部材は、前記把持部を把持した左手の親指を外側から内側に曲げるようにして操作することを特徴とする付記項4に記載の内視鏡。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、挿入時の操作性を良好に保つとともに、必要時に異なる湾曲半径の湾曲方向が選択できる内視鏡を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態の内視鏡を示す構成図
【図2】図1の先端部の正面図
【図3】図1の湾曲部の構成を示す概略斜視図
【図4】図3の湾曲部のB方向矢視図
【図5】図3の湾曲部のC方向矢視図
【図6】図1の内視鏡のA方向矢視図
【図7】モニタに表示される観察画像の方向を示す概略図
【図8】管腔の屈曲部における湾曲部を小さい湾曲半径で湾曲した際の挿入部の様子を示す概略図
【図9】管腔の屈曲部における湾曲部を大きい湾曲半径で湾曲した際の挿入部の様子を示す概略図
【図10】管腔内の目的部位付近に先端部が到達した際の挿入部の様子を示す概略図
【図11】図10の状態から湾曲部を小さい湾曲半径で湾曲した際の挿入部の様子を示す概略図
【符号の説明】
1…内視鏡
2…挿入部
3…操作部
11…先端部
12…湾曲部
12a…先端部分
12b…後端部分
13…可撓管部
23…湾曲操作部材
23A…湾曲操作部材
23B…湾曲操作部材
51,52,55,56…湾曲操作ワイヤ
53,54,57,58…コイルパイプ
Claims (2)
- 複数方向に湾曲可能な湾曲部を有する挿入部と、この挿入部の前記湾曲部を操作するための複数の操作部材を有する操作部とを備えた内視鏡において、
前記複数の操作部材のうち、前記操作部の把持部に近い方の操作部材により操作される前記湾曲部の少なくとも一つの湾曲方向は、その湾曲部位の長さを他の操作部材により操作される他の湾曲方向の湾曲部位より長く形成したことを特徴とする内視鏡。 - 前記把持部に近い方の操作部材により操作される前記湾曲部の湾曲方向は、表示手段に表示される観察画像を前記表示手段の重力方向又は反重力方向に移動させる方向であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
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