JP2005037349A - 薄膜ガスセンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Si基板Bの中央に開けられた貫通孔の開口部に張られた絶縁体からなる支持膜上に、少なくとも、薄膜ヒーターH、これを被覆する絶縁膜L4、その上に貴金属からなる一対の感知膜電極Eと、この感知膜電極間に渡ってSnO2ガス感知膜Sが形成されてなる薄膜ガスセンサにおいて、前記感知膜電極と前記SnO2ガス感知膜の間に、前記貴金属とSnO2の混合物を主成分とする中間層Iを設けることとする。
【選択図】 図1
Description
接触燃焼式や半導体式のガスセンサでは、ガス検知の際にはガス感知素子を100℃〜500℃の高温に保持しておく必要がある。電池駆動を実現するためには、この部分での低消費電力化が最も重要である。これから、SnO2などの粉体を焼結した従来の方法では、スクリーン印刷等の方法を用いても厚みを薄くするには限界があり、電池駆動に用いるには熱容量が大きすぎた。そこで、微細加工プロセスによりガス感知素子およびその周辺部を薄膜化して、ダイヤフラム構造などとし、低熱容量および低熱放散を図った薄膜ガスセンサの開発が進められている(例えば、特許文献1参照。)。
感知膜電極Eの材料としては一般的にはPtなど貴金属材料を、SiO2等からなり絶縁性の、支持層L1、L2、L3(その周縁をSi基板Bに支持されている)の上に、SiO2等の酸化膜との密着性に優れしかも貴金属と密着性の良いTa、Ti、Cr等の接合層を介して感知膜電極Eとして用いる。
ダイヤフラム構造などの超低熱容量構造とした低消費電力の薄膜ガスセンサを用いたガス漏れ警報器においても、電池の交換無しで5年以上の寿命を持たせるためには薄膜ガスセンサのパルス駆動が必須となる。
通常、ガス漏れ警報器においては30〜150secの一定周期に1回の感知動作が必要であり、この周期に合わせ感知部を室温から100℃〜500℃の高温に加熱してる。前記の電池の交換無しで5年以上の寿命という要請に応えるため、この加熱時間は数100ms以下が目標となる。パルス駆動の薄膜ガスセンサにおいても、低消費電力化のためには、感知温度の低温化、感知時間の短縮、感知サイクルの長周期化すなわち通電をoffする時間(以下、off時間)を長くすることが重要である。薄膜ガスセンサにおける感知温度はガス種に対する感知感度などからCOに対しては〜100℃、CH4に対しては〜450℃、感知時間はセンサの応答性から〜500 msec、感知サイクルはCH4に対しては30sec、COに対してでは150secとされる。
SnO2センサのガス検知原理はSnO2表面に化学吸着した吸着酸素(O2-)とCH4、H2、COなどの可燃ガスが反応(酸化)し、吸着酸素(O2-)にトラップされていた電子が自由電子としてSnO2結晶中に注入され抵抗値が変化(低下)することを利用したものである。
下に、各検知ガスとの反応式を示す。
[反応式]
2H2+ O2−(ad)→H2O+2e (2)
CO+ O2−(ad)→CO2+2e (3)
薄膜ガスセンサのガス感知膜のSnO2は、幾何学的サイズが小さい程熱容量が小さくなるため、低消費電力化に有利ではあるが、長期安定性、微細加工精度、薄膜成膜方法および時間などの制約により現実的サイズとしては〜数100μm□で、厚み〜1μm程度となる。
また薄膜ガスセンサのSnO2膜としては特許文献3に開示されているように、スパッタにより成膜されたSnO2がセンサ特性、量産性の点で最も優れている。
図6はスパッタにより成膜されたSnO2層の断面TEM(透過型電子顕微鏡)写真である。基板に対して垂直に、柱状に成長したSnO2結晶が密に成長していることが分かる。図7はスパッタにより成膜されたSnO2層の表面のSEM(2次電子像)写真である。図8はスパッタにより成膜されたSnO2薄膜の最表面を拡大した断面TEM写真である。柱状SnO2間の隙間はSnO2薄膜の表面近傍で〜0.01μmと狭く、SnO2薄膜の内部に行くに従いその隙間は更に狭くなり、柱状SnO2結晶が密になる傾向がある。その隙間をガスが拡散しSnO2薄膜の内部に浸透していくため隙間は大きい方がガスの拡散に対しては好ましい。X線回折で結晶子径を評価することで上記柱状SnO2結晶が〜0.01μm径の結晶子の集合体からなる多結晶であることが判明しており、柱状SnO2結晶の断面TEM写真では見えてはいないが各結晶子間に更に微細な細孔が存在している。スパッタ成膜した柱状SnO2結晶は、このような微細構造を有する多孔質体であり、活性な表面が多く存在するセンサに適した膜質を有している。従って、特許文献3でも述べられているように、CH4などの可燃性ガスに対する高い感度を有する。
この微少な振動で、Pt感知膜電極とSnO2ガス感知膜の境界で剥離を生じセンサ抵抗値が上昇するなどの変動を生じ、極端な場合には導通不良を発生することがある。センサ抵抗値によりガス感知を行うSnO2ガスセンサにおいては当然、抵抗値の変動/導通不良は大きな問題になる。
このような剥離によって、薄膜ガスセンサの特性であるガス感知精度が低下したり、極端な場合には、ガス感知が不能になるような重大な影響を与える場合がある。
感知膜電極材料としては一般的にはPtなど貴金属材料を、特許文献4に開示されているように、SiO2等の絶縁性支持層の上に、SiO2等の酸化膜との密着性に優れ、しかもPtとも密着性の良いTa、Ti、Cr等の接合層を介して成膜してPt感知膜電極として用いる。Pt感知膜電極と下地のSiO2等の酸化膜との密着性向上は上記密着性改善中間層を設けることで改善が認められる。
このような大きな応力で、極まれではあるがSnO2/Pt/ SiO2の3層構造内で突発的に、剥離、クラック、変形などが起き、それを原因とするセンサの特性不良を引き起こす可能性もある。まれなSnO2/Pt/ SiO2の3層構造内での膜の剥離、クラック、変形などは製造プロセスのバラツキによる3層構造の形状の精度と関連する。
まれとは言え、ガスセンサのような人命に直接関係するような機器に関しては、対策が必要であり本発明では、このような極まれなセンサ特性不良に対処するものである。
前記中間層は、アイランド状の前記貴金属の薄膜およびアイランド状のSnO2の薄膜が交互に積層されてなると良い。
前記貴金属は、Ptであると良い。
前記中間層において、PtとSnO2の混合物の体積に対するPtの体積率が一定である場合は10%以上から90%以下であると良い。
前記中間層の膜厚は0.05μm以上であると良い。
薄膜ガスセンサの製造方法において、Ptのみの成膜およびSnO2のみの成膜とを交互に行って前記中間層の製造すると良い。
また、Si基板の中央に開けられた貫通孔の開口部に張られた絶縁体からなる支持膜上に、少なくとも、薄膜ヒーター、これを被覆する絶縁膜、その上に貴金属からなる一対の感知膜電極と、この感知膜電極間に渡ってガス感知膜が形成されてなる薄膜ガスセンサにおいて、前記感知膜電極の一部は前記SnO2ガス感知膜の内部に埋め込まれていることとする。
具体的には密着性向上中間層としては、PtとSnO2の混合物を主成分として含む中間薄膜層を設けることで解決される。
PtとSnO2の混合物の成膜方法としては、Pt感知膜電極成膜後、SnO2とPtをアイランド状に成膜する成膜操作を交互に行うのが良い。アイランド状成膜は、1回の成膜操作で成膜する膜厚を薄くすることで達成される。具体的には0.01μm以下好ましくは0.005μm以下である。
Pt感知膜電極を比較的線膨張係数が近いSnO2感知膜により挟まれたSnO2/Pt/ SnO2の3層構造に変えることにより、センサのパルス駆動による昇温/降温の繰り返しで各層及び層間には、線膨張係数差による大きな応力がかかることが無いため3層間の膜の剥離、クラック、変形が発生せず、長期間パルス駆動しても安定したセンサ抵抗/特性が得られ、信頼性の高い薄膜ガスセンサを得ることが出来る。
以下、図面に基づき、また製造工程に従って、本発明に係る薄膜ガスセンサおよびその製造方法を詳しく説明する。
実施例1
図1は本発明に係る薄膜ガスセンサの断面図である。中間層I以外は従来の薄膜ガスセンサ(図5)と同じ構成であり、同じ符号を用いている。両面に熱酸化膜L1を0.3μm形成されたSi基板Bの表面に、ダイヤフラム構造の支持層となるSiN膜L2およびSiO2膜L3を順次プラズマCVDによりそれぞれ膜厚0.15μmおよび1μm形成する。
この上に接合層としてTaを0.05μm形成後連続して、ヒーターHの主部となるPtW(Pt+4 Wt% W)膜を0.5μm形成し、さらに連続して接合層としてTaを0.05μm形成後、微細加工によりヒーターパターンを形成した。ウエットエッチングのエッチャントとしてTaには水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液、Ptには王水をそれぞれ90℃に加熱して用いた。
その後、スパッタでPt感知膜電極E、および本発明の密着性向上のための中間層IであるPt/SnO2混合物層をレジストリフトオフにより形成した。その工程を次に説明する。
レジストを塗布し微細加工により感知膜電極の櫛歯状のパターンにレジスト膜を加工する。ここで感知膜電極Eのパターンは感知膜電極Eを形成する部分のレジストを除去し感知膜電極部は開口したパターンである。
下地のSiO2との密着性向上のための接合層となるTaを膜厚0.05μmに形成後、連続して感知膜電極となるPtを膜厚0.2μm成膜する。なおTaおよびPtの成膜条件は100W、1Pa、Ar中、成膜温度100℃である。
Pt/SnO2層は感知膜電極用のレジストパターンをそのまま用いて形成する。Pt/SnO2層はPt感知膜電極を形成後連続して成膜しても良いし、一旦真空を破り、別のスパッタ装置で成膜してもかまわない。
Pt/SnO2層のPtとSnO2の混合物の体積に対するPtの平均の体積率Pt/(Pt+ SnO2)が一定である場合は、10%以上から90%以下であると良い。それは10%未満であるとPt感知膜電極との密着性が低下し、90%を超えるとSnO2ガス感知膜との密着性が低下するからである。
Pt/SnO2層はPtとSnO2をアイランド状成膜できる厚みで交互に成膜を繰り返し体積比が上記になるようにするのが良い。またPt感知膜電極からSnO2感知膜にかけて中間層の組成比Pt/(SnO2+Pt)を0.99〜0.01まで徐々に減少させ形成しても同様の効果がある。
本発明の素子はPt感知膜電極を形成後連続して中間層であるPt/ SnO2混合物層を成膜して行った。PtとSnO2は交互にスパッタし体積比Pt/(SnO2+Pt)は0.5で試作した。具体的には、Ptを厚さ0.005μm、SnO2を厚さ0.005μmのスパッタ成膜を交互に繰り返し、Pt/ SnO2 混合物層を得た。Pt、SnO2共成膜条件は同一で成膜圧力1 Pa、成膜パワー50W、Ar+ O2雰囲気、成膜温度100℃である。中間層Pt/SnO2混合物層の厚みは0.05μm以上であれば効果があるが、本実験では0.2 μm厚み形成した。
上記のように作製した本発明に係る薄膜ガスセンサを素子Aとする。
図2は本発明に係る薄膜ガスセンサのPt感知膜電極(Pt)/中間層(Pt/SnO2混合物層)/ガス感知膜(SnO2)部分を示す拡大模式断面図である。中間層I中のSnO2アイランドは符号Tで示し、Ptアイランドは符号Mで示してある。各アイランドは実際は不定形でありこのようには一様ではない。Pt感知膜電極と中間層Pt/SnO2混合物層は両層のPt同士の結合により強固に接合され、中間層Pt/SnO2混合物層とSnO2感知膜は両層のSnO2同士の結合により強固に接合されているPt/SnO2混合物層内ではPtとSnO2が相互に入り組んだ構造をとるためアンカー効果で密着し強固に接合する。
さらに、この上部にガスの感知膜としてスパッタでSnO2をレジストリフトオフ法により形成する。SnO2の成膜条件は300W、1Pa、Ar+O2中、成膜温度100℃で膜厚は約2μmである。
次にアルミナ粒子にPtあるいはPd触媒を担持させた粉末をバインダとともにペーストとし、スクリーン印刷によりSnO2の表面に塗布、焼成し約30μm厚の選択燃焼層(触媒フィルター)を形成する。選択燃焼層により、ガスセンサの感度、ガス種選択性、信頼性が向上する。最後に基板の裏面からドライエッチによりSiを直径400μmの大きさだけ完全に除去し、残った熱酸化膜L1以降がダイヤフラムとなる。
本発明の効果を明らかにするために、Pt感知膜電極に関し、中間層作製工程を行わず、それ以外は上記製造方法に従った、中間層Pt/SnO2混合物層の無い従来の薄膜ガスセンサも同様に試作し素子Bとした。本発明に係る薄膜ガスセンサを素子Aとする。
本発明に係るセンサ(素子A)と従来のセンサ(素子B)を各5個ずつ大気中でパルス通電(試験条件3V/ 50mW、通電100msec ON/1secOFF(通電時ヒーター温度450℃)を500、1000、2000万回繰り返した後、20℃、60%RHでの2000ppmCH4/空気中におけるSnO2感知膜(センサ温度450℃)の抵抗値の変化を調べた。その結果を表1に示す。
FIB(中性集束イオンビーム)による断面加工を行い、本発明の素子と従来素子で抵抗変化が大きく変化した素子についてSnO2感知膜とPt感知膜電極の接合部をFIB2次電子像で評価した。本発明の素子ではPt感知膜電極/(Pt/SnO2混合物層)/SnO2感知膜の断面に何ら剥離とみられるような痕跡は認められなかったが、抵抗値が大きく上昇した従来素子ではPt感知膜電極/SnO2感知膜の断面に剥離から生じたと考えられる空隙が部分的に認められた。
実施例2
図3は本発明に係る薄膜ガスセンサを示し、(a)は断面図であり、(b)はガス感知素子と電極部の平面図である。
以下製造工程に沿って説明する。
両面に熱酸化膜L1を0.3μm形成したSi基板Bの表面にダイヤフラム構造の支持層LとなるSiN膜L2およびSiO2膜L3を順次プラズマCVDによって膜厚をそれぞれ0.15μmおよび1μm形成する。
この上に接合層としてTaを0.05μm形成後、連続して、ヒーター用膜として、PtW(Pt+4 wt% W)膜を0.5μm形成し更に連続して接合層のTaを0.05μm形成後、微細加工によりヒーターHを形成する。ウエットエッチングのエッチャントとしてTaには水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液、Ptには王水をそれぞれ90℃に加熱して用いた。その上にSiO2絶縁膜L4をスパッタにより1.5μm形成した後、微細加工により図示されていないがヒーターの電極パッド部分をHFにてエッチングし窓明け後、導通の確保とワイヤボンディング性を向上のため、接合層のTaを水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液で除去する。
従来の構成すなわち従来の製造方法では次の工程が行われる。
1)微細加工/スパッタ成膜/レジスト除去でPt感知膜電極(Ta/Pt)を形成(レジストリフトオフ法)する工程。
2)微細加工/スパッタ成膜/レジスト除去でSnO2感知膜を形成(レジストリフトオフ法)する工程。
これに対して、本発明に係る構成を得るには次の工程が行われる。
1)微細加工/スパッタ成膜/レジスト除去でSnO2(I)感知膜を形成(レジストリフトオフ法)する工程。
2)微細加工/スパッタ成膜/レジスト除去でPt感知膜電極(Ta/Pt)を形成(レジストリフトオフ法)する工程。
図4はPt感知膜電極およびSnO2感知膜の部分を製造工程順に示す断面図であり、(a1)〜(a6)は本発明に係る製造工程、(b1)〜(b6)は従来の製造工程である。
Pt感知膜電極およびSnO2感知膜の形成の前までの工程は従来工程に同じである(図5参照)。
先ず、従来の工程を説明しておく。
まず、微細加工により、Pt感知膜電極を形成する部分は開口し、それ以外はレジストRが付着した電極用のパターンを絶縁膜L4上に形成する(b1)。
その後下地のSiO2との密着性向上のための中間層Taを0.05μm形成後、連続してPt感知膜電極を0.2μm成膜する(b2)。なおPt/Taの成膜条件は100W、1Pa、Ar中、成膜温度100℃である。
その後、再び微細加工により、SnO2感知膜を形成する部分(100μm□)は開口し、それ以外はレジストRが付着したガス感知素子用のパターンを形成する(b4)。
その後ガスの感知膜としてスパッタによりSnO2膜を形成する(b5)。SnO2の成膜条件は300W、1Pa、Ar+O2中、成膜温度100℃で膜厚は約1μmである。
次にレジストを剥離液で除去することにより100μm□のSnO2感知素子が形成される(b6)。このようにして作製し、さらに次の工程で選択燃焼層が形成された薄膜ガスセンサを素子Dとする。
これに対して、本発明のSnO2感知膜/Pt感知膜電極/ SnO2感知膜の形成は以下のようにして形成される。
その後ガスの感知膜としてスパッタによりSnO2膜S1を形成する。SnO2膜の成膜条件は300W、1Pa、Ar+O2中、成膜温度100℃で膜厚は約0.5μmである。次にレジストを剥離液で除去することにより100μm□のSnO2膜S1が形成される(a2)。
その後、Pt感知膜電極を形成する部分は開口し、それ以外はレジストRが付着したパターンを形成する(a3)。SnO2膜S1の両端部は開口部内にある。
その後下地のSnO2膜との密着性向上のための中間層Taを0.05μm形成後、連続してPt感知膜電極を0.2μm成膜する。なおPt/Taの成膜条件は100W、1Pa、Ar中、成膜温度100℃である。次にレジストを剥離液で除去することによりSnO2膜S1上に1対のPt感知膜電極Eが形成される(a4)。
その後ガスの感知膜としてスパッタによりSnO2膜S2を形成する。SnO2の成膜条件は300W、1Pa、Ar+O2中、成膜温度100℃で膜厚は約0.5μmである。次にレジストを剥離液で除去することにより100μm□×1μmのSnO2感知膜Sが形成される(a6)。
以上から、Pt感知膜電極の一部がSnO2膜S1およびS2で挟まれたSnO2/Pt/ SnO2の3層構造になっていることが分かる。このようにして作製し、さらに次の工程で選択燃焼層が形成された薄膜ガスセンサを素子Dとする。
次にアルミナ粒子にPtあるいはPd触媒を担持させた粉末をバインダとともにペーストとし、スクリーン印刷によりSnO2の表面に塗布、焼成させ約30μm厚の選択燃焼層(触媒フィルター)を形成する。選択燃焼層により、ガスセンサの感度、ガス種選択性、信頼性が 向上する。最後に基板の裏面からドライエッチによりSiを400μm径の大きさにて完全に除去しダイヤフラム構造とする。
表2から、本発明のSnO2/Pt/ SnO2の3層構造を有するセンサは5個とも4000万回繰り返し後も2000ppmCH4/空気中におけるSnO2感知膜(センサ温度450℃)の抵抗値がほとんど変化していないことが分かる。一方、従来の感知膜電極の素子においては、4000万回でのセンサの抵抗値の変化が大きい素子が発生し(素子D4)、抵抗値が数倍増加している素子があることが分かる。
4000万回のon-off繰り返し後でも, 本発明の素子ではセンサ抵抗変化がほとんど無く高い信頼性を有することが分かる。
本発明の素子のこのような信頼性の向上は、Pt感知膜電極を比較的線膨張係数が似かよっSnO2感知膜によって挟まれた、SnO2/Pt/ SnO2の3層構造にした効果が大きいと推定されるが、上記以外にも、スパッタにより成膜したSnO2薄膜の最表面を拡大した図6からも分かるように凸凹したSnO2感知膜S1によるPt感知膜電極に対するアンカー効果の増大も貢献していると推定される。
C 選択燃焼層
E ガス感知膜電極
H ヒータ
I 中間層
L1 熱酸化膜
L2 支持膜
L3 熱絶縁膜
L4 絶縁層
S ガス感知膜
S1 ガス感知膜
S2 ガス感知膜
T SnO2アイランド
M Ptアイランド
Claims (9)
- Si基板の中央に開けられた貫通孔の開口部に張られた絶縁体からなる支持膜上に、少なくとも、薄膜ヒーター、これを被覆する絶縁膜、その上に貴金属からなる一対の感知膜電極と、この感知膜電極間に渡ってSnO2ガス感知膜が形成されてなる薄膜ガスセンサにおいて、前記感知膜電極と前記SnO2ガス感知膜の間に、前記貴金属とSnO2の混合物を主成分とする中間層が設けられたことを特徴とする薄膜ガスセンサ。
- 前記中間層は、アイランド状の前記貴金属の薄膜およびアイランド状のSnO2の薄膜が交互に積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜ガスセンサ。
- 前記貴金属は、Ptであることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜ガスセンサ。
- 前記中間層において、PtとSnO2の混合物の体積に対するPtの体積率が一定である場合は10%以上から90%以下であることを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載の薄膜ガスセンサ。
- 前記中間層において、前記Ptの体積率は、Pt感知膜電極側からSnO2感知膜側に向かってPt99%から1%へと徐々に減少していることを特徴とする請求項4に記載の薄膜ガスセンサ。
- 前記中間層の膜厚は0.05μm以上であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の薄膜ガスセンサ。
- 前記中間層の製造方法において、Ptのみの成膜およびSnO2のみの成膜とを交互に行うことを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の薄膜ガスセンサの製造方法。
- Si基板の中央に開けられた貫通孔の開口部に張られた絶縁体からなる支持膜上に、少なくとも、薄膜ヒーター、これを被覆する絶縁膜、その上に貴金属からなる一対の感知膜電極と、この感知膜電極間に渡ってガス感知膜が形成されてなる薄膜ガスセンサにおいて、前記感知膜電極の一部は前記SnO2ガス感知膜の内部に埋め込まれていることを特徴とする薄膜ガスセンサ。
- Si基板の中央に開けられた貫通孔の開口部に張られた絶縁体からなる支持膜上に、少なくとも、薄膜ヒーター、これを被覆する絶縁膜、その上に貴金属からなる一対の感知膜電極と、この感知膜電極間に渡ってSnO2ガス感知膜が形成されてなる薄膜ガスセンサの製造方法において、前記SnO2ガス感知膜は前後2回成膜され、この2回の成膜の間に前記感知膜電極は成膜されることを特徴とする請求項8に記載の薄膜ガスセンサの製造方法。
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