JP4764981B2 - 薄膜ガスセンサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電池駆動に適した低消費電力型の薄膜ガスセンサの製造方法に関する。
一般的にガスセンサは、ガス漏れ警報器などの用途に用いられ、ある特定ガス、例えば、CO、CH4、C3H8、C2H5OH等に選択的に感応するデバイスであり、高感度、高選択性、高応答性、高信頼性、低消費電力などが必要不可欠である。ところで、家庭用として普及しているガス漏れ警報器には、都市ガス用やプロパンガス用の可燃性ガス検知を目的としたものと、燃焼機器の不完全燃焼ガス検知を目的としたもの、または両方の機能を合わせ持ったものなどがあるが、いずれもコストや設置性の問題から普及率はそれほど高くない。普及率の向上を図るためには、設置性の改善、具体的には、電池駆動化としコードレス化が望まれている。
電池駆動を実現するためには低消費電力化が最も重要であるが、接触燃焼式や半導体式のガスセンサでは、100℃〜500℃の高温に加熱し検知する必要がある。
しかし、SnO2などの粉体を焼結する従来の製造方法では、スクリーン印刷等の方法を用いても厚みを薄くするには限界があり、電池駆動に用いるには熱容量が大きすぎた。熱容量の低減のためには、微細加工プロセスによって形成できるダイヤフラム構造などの採用により、低熱容量化された薄膜ガスセンサの実現が待たれている。
上記のような低熱容量化された薄膜ガスセンサの一例を次に説明する(特許文献1参照。)。
ダイヤフラム構造などの超低熱容量で低消費電力の薄膜ガスセンサを搭載したガス漏れ警報器においても、電池の交換無しで5年以上の寿命を持たせるためには、薄膜ガスセンサのパルス駆動は必須である。
通常、ガス漏れ警報器は30〜150秒の一定周期に一回の検知が必要であり、この周期に合わせ検知部を室温から100℃〜500℃の高温に加熱する。前記の電池の交換無しで5年以上の寿命要請に答えるため、この加熱時間は数100ms以下が目標となる。
パルス駆動の薄膜ガスセンサにおいても、低消費電力化のためには、検出温度の低温化、検出時間の短縮、検出サイクルの長期化(通電をoffする時間を長くする)が重要である。薄膜ガスセンサにおける検出温度はガス種に対する検出感度などからCOセンサでは〜100℃、CH4センサでは〜450℃、検出時間はセンサの応答性から〜500msec、検出サイクルはCH4センサでは30秒、COセンサでは150秒とされる。
またoff時間にセンサ表面に付着する水分その他の吸着物を脱離させSnO2表面をクリーニングすることが、電池駆動(パルス駆動)の薄膜ガスセンサの経時安定性を向上する上で重要であり、検出前に一旦センサ温度を400℃〜500℃に加熱(時間〜100msec)し吸着物を脱離させ、その直後に、それぞれのガスの検出温度でガス検知を行っている。
SnO2センサのガス検知原理は、SnO2表面に化学吸着した吸着酸素(O2-)とCH4、H2、COなどの可燃ガスが反応(酸化)し、吸着酸素(O2-)にトラップされていた電子が自由電子としてSnO2結晶中に注入され抵抗値が変化(低下)することを利用したものである。
以下に、各検知ガスの反応式を示す。
CH4+4O2−(ad)→CO2+2H2O+8e -------(1)
2H2+O2−(ad)→H2O+2e -------(2)
CO+O2−(ad)→CO2+2e -------(3)
薄膜ガスセンサのガス感知膜のSnO2は、幾何学的サイズが小さい程熱容量が低くなるため、低消費電力化に有利ではあるが、長期安定性、微細加工精度、薄膜成膜方法/時間などの制約により現実的サイズとしては〜数100μm角(数100μm×数100μm)で、厚み〜1μm程度となる。
また薄膜ガスセンサのSnO2膜としては、スパッタにより成膜されたSnO2がセンサ特性、量産性の点で最も優れている(特許文献2参照。)。
図5は従来のスパッタにより成膜されたSnO2層の断面のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。基板に対して垂直に、柱状に成長したSnO2結晶が密に成長していることが分かる。
図6は従来のスパッタにより成膜されたSnO2層表面からのSEM(2次電子顕微鏡)像であり、図7は従来のスパッタにより成膜されたSnO2薄膜の最表面の断面TEM像である。柱状SnO2間の隙間はSnO2薄膜の表面近傍で〜0.01μmと狭く、SnO2薄膜の内部に行くに従いその隙間はさらに狭くなり、柱状SnO2結晶が密になる傾向がある。その隙間をガスが拡散しSnO2薄膜の内部に浸透していくため隙間は大きい方がガスの拡散に対しては好ましい。
X線回折で結晶子径を評価することにより、上記柱状SnO2結晶が〜0.01μm径の結晶子の集合体からなる多結晶であることが判明しており、柱状SnO2結晶の断面TEM写真では見えてはいないが各結晶子間にさらに微細な細孔が存在している。スパッタ成膜した柱状SnO2結晶は、このような微細構造を有する多孔質体であり、活性な表面が多く存在するセンサに適した膜質である。従って、CH4などの可燃性ガスに対する高い感度を有している(特許文献2参照。)。
特開2000−298108号公報(第4頁−第5頁、図3) 特公平6−43978号公報(第2頁−第4頁、図1)
CH4センサのようなガスセンサでは警報器の警報設定上、ガスの検知濃度範囲(CH4センサでは1000ppmCH4/air〜4000ppm CH4/air)内で、ガス濃度に対しセンサ抵抗がリニアーに変化し、しかもその変化率(勾配)が大きい方が、センサ抵抗の経時変化に対してもマージンが取れるため好ましい。
上記観点から見ても、前記特許文献2に開示されたCH4センサでは何ら問題なく使用できる。CH4センサのような検知温度が350℃〜500℃と高温のセンサでは、スパッタ成膜したSnO2薄膜で、何ら問題なく使用できるが、200℃以下の低温でガス検知を行うCOセンサでは、事情が異なってくる。
上記センサをCO用センサにモディファイしCOの検出温度である100℃で動作させた場合、以下の問題が発生する。
CO検知濃度範囲は30ppmCO/air〜500ppm CO/airであるが、COガス濃度に対するセンサ抵抗の変化率(センサ抵抗の濃度勾配)は低下する。
また、COガス濃度に対するセンサ抵抗の直線性がCO高濃度側で低下し、センサ抵抗は飽和してしまう。
この原因は明確ではないが、スパッタ成膜したSnO2薄膜の細孔径が小さいことと関連があると推定される。
SnO2薄膜の細孔径とセンサ感度に関しては参考文献1:Diffusion equation-based analysis of thin film semiconductor gas sensor-sensitivity dependence on film thickness and operating temperatureおよび参考文献2:Go Sakai ,Naoki Matsunaga ,Kengo Shimanoe and Noboru Yamazoe:TRANSDUCERS’01 EUROSENSORS(The 11th International Conference on Solid-State Sensors and Actuators ,Munich,Germany,June10-14,2001)に詳しく述べられているが、〜0.01μm以下の細孔が多いスパッタ成膜したSnO2薄膜ではSnO2薄膜の結晶内部へのCO、H2、CH4などの可燃性ガスの拡散は、細孔径が微少であるため、通常の分子拡散とは異なり、細孔管壁と相互作用しながら拡散していくKnudsen拡散、表面拡散などが支配的である。
Knudsen拡散係数Dk=4r/3(2RT/πM)1/2(R:ガスコンスタント、r:細孔径、T:温度、M:分子量)からわかるように、低温ではDkが小さくなりSnO2薄膜内部へのCO、H2、CH4などの可燃性ガスの拡散が抑制される。特に分子量の大きいCOでは顕著になる。それぞれのガス種の反応速度により差異はあるものの、高温動作のCH4センサに比較すると、前記(1)〜(3)式の反応は、よりSnO2薄膜の最表面近傍で起こる。すなわち、気相に検知ガスが多量存在するにもかかわらずSnO2薄膜内部では、前記(1)〜(3)式の反応がほとんど起こっていないことになる。すなわち、SnO2薄膜の最表面近傍では検知ガスの存在により抵抗値が低下するものの、SnO2薄膜内部の抵抗値はほとんど変化しない。センサの抵抗値はその構成上、SnO2薄膜の最表面近傍の抵抗値とSnO2薄膜内部の抵抗値の並列合成抵抗であるため、ガス濃度に対するセンサ抵抗の変化率(勾配)が低くなり、極端になると変化率が飽和する(非直線性を示す)。
特許文献3:特開2005−37236号公報(第6頁−第10頁、図3)には、下地SiO2層をサンドブラストで荒らすことなどにより、SnO2薄膜に微少な凸凹をつけ、SnO2薄膜内に分子拡散可能なガス導入孔を高密度に作りつけることで解決する対策案も開示されている。図8は従来の製造方法によるSnO2薄膜の模式断面図である。従来の製造方法によるSnO2薄膜はφ0.05μmの柱状に成長したSnO2結晶Scが0.01μm間隔で密に詰まった構造になっており、気相のCO、H2、CH4などの検知ガスは0.01μmの細孔Shf内をKnudsen拡散/表面拡散で拡散しSnO2薄膜の内部に浸透する。柱状に成長したSnO2結晶同士は独立しているわけではなく、柱状結晶の途中で互いに部分的に連結している。図示されてはいないがφ0.05μmの柱状のSnO2結晶はφ0.01μmの微結晶の集合体であり、やはり図示されてはいないが、微結晶間にはさらに微少な細孔が存在しており、検知ガスは柱状SnO2結晶内部に表面拡散/Knudsen拡散により浸透する。このような密な柱状構造のSnO2結晶においては、Knudsen拡散、表面拡散係数がCOセンサの駆動温度のような低温では低くなるため、滞留時間が長くなり実際にはSnO2の最表面の近傍でしか酸化反応(センシング)は起こらない。
図9はガスの挙動を説明するためのSnO2薄膜の模式断面図である。図9に示すごとく、特許文献3のSnO2薄膜(柱状SnO2結晶Scの集合体)では、気相のCO、H2、CH4などの検知ガスが容易に分子拡散できる〜0.05μm以上の比較的大きな細孔ShをSnO2薄膜の断面方向に作りつけ、そのガス導入孔Shにより検知ガスがSnO2薄膜の内部に浸透しやすくすることで技術課題の解決を達成しようとしたものである。分子拡散係数は大きいため、検知ガスはガス導入孔により瞬時にSnO2薄膜の内部に浸透する。ガス導入孔を通って拡散した検知ガスは、さらに柱状SnO2結晶Scの内部へ、柱状結晶Scの横方向からKnudsen拡散、表面拡散により拡散しSnO2薄膜の内部に浸透していく。このガス導入孔の径は分子拡散が可能な径でできるだけ小さく、その密度が高い程良好な特性のセンサが得られる。
特許文献3のSnO2構造では、ガス導入孔により柱状SnO2結晶の膜厚方向へは検知ガスが容易に拡散するため、ガス濃度に対するセンサ抵抗の変化率(勾配)が大きく、CO検知濃度範囲(30ppmCO〜500ppm CO/air)で出力の直線性が高いCOセンサが得られることが開示されている。
上記製造方法に従っても良好なセンサ特性はえられるものの、処理する際に微細加工あるいはサンドブラスト処理などの工数が発生する。さらに柱状結晶間の細孔径を再現性良く造り付けるためには、微細加工あるいはサンドブラスト処理の工程管理を厳密に行う必要がある。
上記問題を解決することが本発明の目的であり、ガス濃度に対するセンサ抵抗の変化率(勾配)が大きく、すくなくともCO検知濃度範囲(30ppmCO〜500ppm CO/air)で出力の直線性が高いCOセンサを得ることができる薄膜ガスセンサの製造方法を提供することにある。
なお、ステップ(段差)のある面へのスパッタによる金属膜の成膜時に、ステップカバレッジを改善する目的で、スパッタ成膜と逆スパッタを交互に行い、緻密な膜質を得ることは提案されてはいる(特許文献4:特開平2−138456号公報(第2頁−第3頁、図5)参照。)。しかし、本発明の製造工程は、金属酸化物(SnO2)薄膜の成膜に関しており、適度の多孔性を対象にしていて、全く別の技術分野のことである。
本発明の目的を達成するため、Si基板の1面に形成された絶縁支持薄膜上に、少なくとも、薄膜のヒータを形成し、この薄膜のヒータをSiO 2 絶縁膜で覆い、その上にガス感知膜用の電極を形成し、さらにSnO2を主成分とするガス感知膜を形成する薄膜ガスセンサの製造方法において、前記ガス感知膜の形成工程は、スパッタによるSnO2成膜工程と逆スパッタによるエッチング工程を交互に行うこととする。
本発明よれば、SnO2成膜と逆スパッタを交互に行いながらSnO2を成膜することにより、微細なガス導入孔ができ、SnO2薄膜内に分子拡散可能なガス導入孔を高密度に形成することができる。その結果、全ての柱状結晶はガス導入孔と隣接するため、COモードでもSnO2薄膜の内部断面のほとんど全ての部分の抵抗がガス濃度に応じて変化する。すなわちSnO2薄膜内の柱状結晶のほとんど全ての表面が瞬時に雰囲気ガスと反応する。従ってガス濃度に対するセンサ抵抗の変化率(勾配)が大きく、CO検知濃度範囲(30ppmCO〜500ppm CO/air)で出力の直線性が高いCOセンサを提供することができる。
また、従来のような微細加工あるいはサンドブラスト処理などの、汚染を伴う工程を行わなくても、柱状結晶間の細孔径を再現性良く造り付けることができる。
以下に本発明に係る薄膜ガスセンサの製造方法について、その作用とともに詳しく説明する。
図1は本発明に係る製造方法に従った薄膜ガスセンサの断面図である。構成上は従来の薄膜ガスセンサに同じである。
両面に熱酸化膜L1を0.3μm形成したSi基板Bの表面に、ダイヤフラム構造の支持層となるSiN膜L2とSiO2膜L3を順次プラズマCVDによって、それぞれ厚さ0.15μmと1μm形成する。この上に0.05μm のTa膜を第1の接合層として形成後、連続して、ヒータ用層としてPtW(Pt+4 Wt%W)膜を0.5μm形成し、さらに連続してTaを0.05μm形成し第2の接合層とする。成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、通常のスパッタリング法に従って行う。成膜条件は、成膜温度100℃、成膜パワー100W、成膜圧力1 Paである。
その後、微細加工によりパターニングしヒータHを形成する。ウエットエッチングのエッチャントとして、Taには水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液、Ptには王水をそれぞれ90℃に加熱して用いた。
さらに、SiO2絶縁膜L4をスパッタにより3.0μm形成した後、微細加工により図示されていないヒータの電極パッド部分をHFを用いてエッチングし窓明け後、導通の確保とワイヤボンディング性を向上するため、第2の接合層Taは水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液を用いて除去する。
次に、下地のSiO2との密着性向上のための中間層Taを0.05μm形成後、連続してPtガス感知膜電極用膜を0.2μm成膜する。成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、通常のスパッタリングによって行う。成膜条件は、成膜温度100℃、成膜パワー100W、成膜圧力1 Paである。その後、ヒータ層と同様にウエットエッチングにより一対のガス感知膜SnO2の抵抗測定用ガス感知膜電極Eをパターニングする。
次に微細加工によりガス感知膜成膜部分のみを開口したリフトオフ用レジストパターンを形成する。
ガス感知膜のサイズは100μm角(100μm×100μm)である。
次に、本発明に係るSnO2ガス感知膜の成膜について、ガス導入孔の形成過程も含めて説明する。
上記のパターニングが施されたウェハーをスパッタチャンバーにセットし、ガス感知膜であるSnO2薄膜をスパッタ成膜と逆スパッタエッチングを交互に行い成膜する。
図2は本発明に係る薄膜ガスセンサの製造方法における微細なガス導入孔の形成過程を示す模式断面図であり、(a)は所定厚みのSnO2ガス感知膜を成膜後、(b)逆スパッタエッチング後、(c)はさらにSnO2ガス感知膜を積層後、(d)はその後の再度逆スパッタエッチング後である。
先ず、所定厚みのSnO2ガス感知膜を成膜する、成膜後のSnO2の断面が図2(a)である。柱状SnO2結晶S1が密に形成されている。
これらの柱状SnO2結晶S1を、その後所定時間の逆スパッタにより、物理的にエッチングすると、主に柱状SnO2結晶の上部のSnO2がエッチングされ、それと共に、柱状SnO2結晶側面もエッチングされ、柱状SnO2結晶S1a間が広がりガス導入孔Shが形成されていく(図2(b))。
さらに、SnO2ガス感知膜を積層すると、主に柱状SnO2結晶の上部に柱状SnO2結晶S2が成膜されていく(図2(c))。同時に柱状SnO2結晶S1a側面へのSnO2膜の堆積も起こるが、最上部SnO2結晶S2に遮蔽されるため柱状SnO2結晶間に形成されたガス導入孔の径の減少は少ない。
その後再度逆スパッタにより、図2(c)の柱状SnO2結晶S2を逆スパッタにより物理的にエッチングすると、主に柱状SnO2結晶S2の上部のSnO2がエッチングされていき柱状SnO2結晶S2aとなり、それと共に、柱状SnO2結晶側面S1aもエッチングされ、柱状SnO2結晶間に形成されたガス導入孔Shの径が広がる(図2(d))。
このように、SnO2の成膜と逆スパッタによるエッチングを繰り返すことで、ガス導入孔の径が大きい、所定厚みのSnO2ガス感知膜が得られる。膜厚が厚くなるにつれ、柱状SnO2結晶間下部への成膜およびエッチングの効果は少なくなる。
このようにして各柱状結晶間には分子拡散可能なガス導入孔が高密度で作り付けられる。図2は2次元平面で描いているため各柱状結晶は成長初期部でしか互いに結合していないかのように見えるが、3次元では各柱状結晶は成長途中で互いに一部が連結しあっており、ネットワークを形成している。
図3は従来のSnO2ガス感知膜の柱状結晶の断面模式図である。本発明に係る製造方法による柱状結晶と比較すると、従来のSnO2ガス感知膜の柱状結晶Scは密に詰まっておりその隙間は狭い。
一例として、次のように成膜とエッチングを行った。SnO2層の成膜条件は成膜パワー50W、成膜圧力1 Pa、成膜雰囲気Ar+O2中、成膜温度100℃であり、上記条件でSnO2の成膜レートは5nm/minとなる。また逆スパッタ条件はパワー25W、成膜圧力1 Pa、成膜雰囲気Ar+O2中、温度100℃であり、上記条件でSnO2のエッチングレートは2nm/min、となる。
スパッタ成膜は成膜時間30分、逆スパッタ15分を4回繰り返し、約450 nmの膜厚のSnO2ガス感知膜得た。このようにして試作した本発明素子を素子Aとする。
比較のために、逆スパッタ無しで連続して約450 nmの膜厚のSnO2ガス感知膜を成膜した従来製造方法による素子も試作(素子B)した。本発明の素子(素子A)と異なるのはSnO2のエッチング工程を行わないことのみである。
次に、アルミナ粒子にPt及びPd触媒を担持させた粉末をバインダとともにペーストとし、スクリーン印刷によりガス感知膜の表面に塗布、焼成させ約30μm厚の選択燃焼層(触媒フィルター)を形成する。選択燃焼層により、ガスセンサの感度、ガス種選択性、信頼性が向上する。最後に基板の裏面からドライエッチによりSiを400μm径の大きさにて完全に除去しダイヤフラム構造とする。
続いて、上記方法により作製されたパルス駆動の薄膜ガスセンサ素子A、Bの抵抗値のCO濃度依存を調べた。測定条件は20℃、相対湿度65%、CO濃度は0、30、100、300、500、1000ppmCO/空気である。
またパルス駆動条件/測定条件は以下のとおりである。
検出サイクル:150秒
クリーニング温度×時間=450℃×200msec
CO検出温度×検出タイミング=100℃×100℃に加熱後500msec後
図4はセンサの抵抗値のCO濃度依存性を示すグラフである。
図4からCO濃度30〜1000ppmの範囲で、CO濃度の変化に対するセンサ抵抗値の変化率(曲線の傾き)は本発明の素子Aでは一定の値であることが分かる。一方これに対して、従来素子Bでは変化率が小さく、しかもCO濃度300〜1000ppm範囲で飽和傾向にあることが分かる。
従来構造の素子Aにおいては、スパッタ成膜したSnO2薄膜には細孔径の大きな(>0.05μm)ガス拡散孔がほとんど存在しないため、COガスのSnO2薄膜の内部への浸透はKnudsen拡散、表面拡散が主となる。Knudsen拡散、表面拡散は速度が小さい上、SnO2との相互作用(衝突、マイグレーションなど)が飛躍的に大きくなるため、SnO2薄膜の内部へガス拡散する前にCOガスの接触酸化が起こる。すなわち、SnO2ガス感知膜の最表面近傍でCOガスが燃え尽き、抵抗低下は最表面近傍でしか起こっていない。センサ抵抗はガス感知膜全体の合成抵抗であるため、CO濃度に対しての抵抗変化が小さく(勾配が小さく)なると考えられる。高濃度でのセンサ抵抗の飽和現象も上記問題が原因と推定される。
これに対して本発明の素子Bでは、ガス感知膜であるSnO2薄膜にガス拡散が容易なガス拡散孔を高密度に作りつけたため、SnO2薄膜の内部へも十分早くCOガスが浸透し、COガスがSnO2薄膜全体と反応し、SnO2ガス感知膜全体の抵抗が一様に低下するため、CO濃度に対しての抵抗変化が大きく(勾配が大きく)なり、しかも高濃度でのセンサ抵抗の飽和も起きないものである。
本発明によれば、ガス感知膜の形成において、SnO2薄膜の成膜と逆スパッタによるエッチングとを交互に繰り返すようにしたため、ガス感知膜であるSnO2薄膜にガスの拡散が容易なガス拡散孔を高密度に作りつけることができるようになり、その結果、SnO2薄膜の内部へも十分早くCOガスが浸透し、COガスがSnO2薄膜全体と反応し、SnO2ガス感知膜全体の抵抗が一様に低下するため、CO濃度に対しての抵抗変化が大きく(勾配が大きく)なり、しかも高濃度でのセンサ抵抗の飽和も起きない、薄膜ガスセンサが得られるようになる。
従来のような微細加工あるいはサンドブラスト処理などの、汚染を伴う工程を行わなくてもよくなり、製造歩留まりは向上する。
本発明に係る製造方法に従った薄膜ガスセンサの断面図である。 本発明に係る薄膜ガスセンサの製造方法における微細なガス導入孔の形成過程を示す模式断面図であり、(a)は所定厚みのSnO2ガス感知膜を成膜後、(b)逆スパッタエッチング後、(c)はさらにSnO2ガス感知膜を積層後、(d)はその後の再度逆スパッタエッチング後である。 従来のSnO2ガス感知膜の柱状結晶の断面模式図である。 センサの抵抗値のCO濃度依存性を示すグラフである。 従来のスパッタにより成膜されたSnO2層の断面のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。 従来のスパッタにより成膜されたSnO2層表面からのSEM(2次電子顕微鏡)像である。 従来のスパッタにより成膜されたSnO2薄膜の最表面の断面TEM像である。 従来の製造方法によるSnO2薄膜の模式断面図である。 ガスの挙動を説明するためのSnO2薄膜の模式断面図である。
符号の説明
B Si基板
L1 酸化ケイ素膜
L2 窒化ケイ素膜
L3 酸化ケイ素膜
L4 酸化ケイ素膜
H ヒータ
E SnO2ガス感知膜電極
I Pt-Sn合金層
Il 中間薄膜層
S1 柱状SnO2結晶
S2 柱状SnO2結晶
Sh ガス導入孔
S ガス感知膜
C 選択燃焼層

Claims (1)

  1. Si基板の1面に形成された絶縁支持薄膜上に、少なくとも、薄膜のヒータを形成し、この薄膜のヒータをSiO 2 絶縁膜で覆い、その上にガス感知膜用の電極を形成し、さらにSnO2を主成分とするガス感知膜を形成する薄膜ガスセンサの製造方法において、前記ガス感知膜の形成工程は、スパッタによるSnO2成膜工程と逆スパッタによるエッチング工程を交互に行うことを特徴とする薄膜ガスセンサの製造方法。
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