JP2005036893A - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Yasuo Hojo
康夫 北條
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Arata Murakami
新 村上
Shinichi Ito
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Abstract

【課題】 油圧室にオイルを保持する制御を実行する場合に、油圧室に保持されるオイル量の変動を抑制することの可能なベルト式無段変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】 複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、ベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、油圧室に連通する油路と、油路の開度を制御するバルブとを有し、油路を遮断することにより、ベルトの巻き掛け状態を、所定の状態に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、とじ込み制御を実行する場合は、油路の遮断により油圧室に保持されるオイル量に影響を及ぼす条件に基づいて、バルブを制御するバルブ制御手段(ステップS1,S2,S3)を有している。
【選択図】 図1

Description

この発明は、複数のプーリにベルトを巻き掛けた構成のベルト式無段変速機の制御装置に関するものである。
従来、変速比を連続的に変化させることのできる無段変速機としてベルト式無段変速機が知られており、このベルト式無段変速機の一例が、下記の特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されているベルト式無段変速機は、入力側および出力側から構成される一対の可変プーリを備えており、各プーリの溝幅は、油圧に基づいて可変制御される構成である。そして、入力側プーリのピストン室へ供給する油圧を変化させることにより、連続的に変速比を変更するものである。この油圧を調整する変速制御弁は、ハウジング内周に軸方向へ変位可能に取り付けられたスプールと、スプールを所定方向に付勢するスプリングと、スプリングとは逆向きにスプールを付勢するソレノイドとを有している。前記ハウジングには、ピストン室と連通するライン圧ポートおよびピストン圧ポートおよびドレーンポートが形成されている。なお、スプールには長手方向に所定間隔をおいて複数のランドが形成されている。
このように構成された変速制御弁は、スプリングの付勢力に対抗したソレノイドの推力に応じてスプールを変位させることで、ピストン室への作動油の給排をおこなってベルト式無段変速機の変速比を調整する。そして、前記特許文献1には、ベルト式無段変速機の変速比の制御に際して、所定の変速比を保持する制御方法が3種類、具体的にはスプールの3つの位置に対応して記載されている。まず、ソレノイドが非作動状態である場合は、スプールがスプリングに付勢されて最収縮位置にある。この位置では、複数のランドにより、ドレーンポートおよびライン圧ポートが遮断され、所定の変速比が保持される。さらに、ソレノイドに通電がおこなわれてソレノイドの伸長駆動が開始され、その後に、スプールが中立位置で停止すると、複数のランドにより、ドレーンポートおよびライン圧ポートが遮断され、所定の変速比が保持される。さらにまた、ソレノイドの推力が最大となる最大推力位置でスプールが停止した場合は、ドレーンポートおよびライン圧ポートが遮断され、所定の変速比が保持される。
特開平10−169770号公報(段落番号0001ないし0009、図9)
ところで、上記のようにして、ドレーンポートおよびライン圧ポートを遮断する制御を実行した場合でも、ランドとハウジングとのシール部分から、不可避的なオイル漏れが生じる。しかしながら、上記の特許文献1に記載された発明では、ライン圧などが変化してスプールのランドに作用する油圧が変化し、スプールが各位置から外れた位置で停止する可能性があった。その結果、スプールを所定の位置(同じ位置)で停止させる制御を実行した場合でも、シール部分のシール性にバラツキが生じてオイルの漏れ量が不均一となり、所定の変速比を保持できなくなる問題があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、油圧室にオイルを保持するとじ込み制御を実行する場合に、油圧室に保持されるオイル量の変動を、可及的に抑制することの可能なベルト式無段変速機の制御装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、このベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、この油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、前記ベルトの巻き掛け状態を、所定の状態に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、前記とじ込み制御を実行する場合は、前記油路の遮断により前記油圧室に保持されるオイル量に影響を及ぼす条件に基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするものである。ここで、「バルブを制御する」には、バルブ自体を制御すること、およびバルブを制御するアクチュエータを制御することが含まれる。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記バルブには変速制御弁が含まれており、前記ベルトの巻き掛け状態により、変速比が制御される構成であることを特徴とするものである。
請求項1に係る発明によれば、とじ込み制御を実行する場合は、油圧室で保持されるオイル量に影響を及ぼす条件に基づいて、バルブが制御される。したがって、油路を遮断した場合に、「油圧室のオイル漏れや油圧室へのオイルの浸入が、不可避的に生じて、油圧室のオイル量が変動すること」を抑制でき、ベルトの巻き掛け状態を所定の状態に保持しやすくなる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、ベルトの巻き掛け状態に基づいて、変速比が制御される。
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、この発明を適用できる車両のパワートレーン、およびその車両の制御系統を、図2に示す。図2に示す車両Veにおいては、駆動力源1と車輪2との間の動力伝達経路に、流体伝動装置3、ロックアップクラッチ4、前後進切り換え機構5、ベルト式無段変速機6などが設けられている。駆動力源1としては、例えば、エンジンまたは電動機の少なくとも一方を用いることができる。電動機としては、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有するモータ・ジェネレータを用いることが可能である。この実施例では、駆動力源1として、エンジンが用いられている場合について説明する。このエンジンとしては、内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることが可能である。
また、流体伝動装置3およびロックアップクラッチ4は、駆動力源1と前後進切り換え機構5との間の動力伝達経路に設けられており、流体伝動装置3とロックアップクラッチ4とは相互に並列に配置されている。流体伝動装置3は、流体の運動エネルギにより動力を伝達する装置であり、ロックアップクラッチ4は、摩擦力により動力を伝達する装置である。前後進切り換え機構5は、入力部材に対する出力部材の回転方向を、選択的に切り換える装置である。
ベルト式無段変速機6は、前後進切り換え機構5と車輪2との間の動力伝達経路に設けられている。ベルト式無段変速機6は、相互に平行に配置されたプライマリシャフト7およびセカンダリシャフト8を有している。このプライマリシャフト7にはプライマリプーリ9が設けられており、セカンダリシャフト8にはセカンダリプーリ10が設けられている。プライマリプーリ9は、プライマリシャフト7に固定された固定シーブ11と、プライマリシャフト7の軸線方向に移動できるように構成された可動シーブ12とを有している。そして、固定シーブ11と可動シーブ12との間に溝M1が形成されている。
また、この可動シーブ12をプライマリシャフト7の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ12と固定シーブ11とを接近・離隔させる油圧サーボ機構13が設けられている。この油圧サーボ機構13は、油圧室19と、油圧室19のオイル量または油圧に応じてプライマリシャフト7の軸線方向に動作し、かつ、可動シーブ12に接続されたピストン(図示せず)とを備えている。
一方、セカンダリプーリ10は、セカンダリシャフト8に固定された固定シーブ14と、セカンダリシャフト8の軸線方向に移動できるように構成された可動シーブ15とを有している。そして、固定シーブ14と可動シーブ15との間にはV字形状の溝M2が形成されている。また、この可動シーブ15をセカンダリシャフト8の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ15と固定シーブ14とを接近・離隔させる油圧サーボ機構16が設けられている。この油圧サーボ機構16は、油圧室100と、油圧室100の油圧またはオイル量に応じてセカンダリシャフト8の軸線方向に動作し、かつ、可動シーブ15に接続されたピストン(図示せず)とを備えている。上記構成のプライマリプーリ9およびセカンダリプーリ10に、無端状のベルト17が巻き掛けられている。このベルト17は、金属製のリングに、円周方向に沿って金属製の駒(エレメント)を多数取り付けて構成されている。
一方、ベルト式無段変速機6の油圧サーボ機構13,16およびロックアップクラッチ4、および前後進切り換え機構5を制御する機能を有する油圧制御装置18が設けられている。さらに、駆動力源1、ロックアップクラッチ4、前後進切り換え機構5、ベルト式無段変速機6、油圧制御装置18を制御するコントローラとしての電子制御装置52が設けられており、この電子制御装置52は、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
この電子制御装置52に対しては、エンジン回転数、アクセルペダルの操作状態、ブレーキペダルの操作状態、スロットルバルブの開度、シフトポジション、プライマリシャフト7の回転数、セカンダリシャフト8の回転数、油圧制御装置18の油圧回路に供給されるオイルの油温、駆動力源1からプライマリシャフト7に入力されるトルク、油圧室19,100の油圧、油圧制御装置18のリニアソレノイドバルブ(後述する)のスプール(後述する)の位置、油圧室19に供給されるオイル量などを検知するセンサの信号が入力される。このセカンダリシャフト8の回転数に基づいて車速が求められる。また、基本的には、プライマリシャフト7の回転数およびセカンダリシャフト8の回転数に基づいて、ベルト式無段変速機6の変速比を算出することが可能である。電子制御装置52には各種のデータが記憶されており、電子制御装置52に入力される信号、および記憶されているデータに基づいて、電子制御装置52から、駆動力源1を制御する信号、ベルト式無段変速機6を制御する信号、前後進切り換え機構5を制御する信号、ロックアップクラッチ4を制御する信号、油圧制御装置18を制御する信号などが出力される。
電子制御装置52に記憶されているデータとしては、変速機制御マップ、ロックアップクラッチ制御マップなどが挙げられる。この変速機制御マップには、変速比制御マップおよびトルク容量制御マップが含まれる。変速比制御マップは、車速、アクセル開度などに基づいて、ベルト式無段変速機6の変速比を設定するマップである。駆動力源1としてエンジンが用いられている場合は、ベルト式無段変速機6の変速比の制御により、エンジン回転数を最適燃費曲線に近づけるように制御できる。トルク容量制御マップは、変速比、伝達するべきトルクなどに基づいて、ベルト式無段変速機6のトルク容量を制御する場合に用いるマップである。また、ロックアップクラッチ制御マップは、車速、アクセル開度などに基づいて、ロックアップクラッチ4のトルク容量を設定するマップである。
つぎに、図2に示す車両Veの作用を説明する。まず、駆動力源1の動力を車輪2に伝達する場合、つまり、正駆動の場合について説明する。ロックアップクラッチ4のトルク容量が所定値以下である場合は、駆動力源1の動力が、流体伝動装置3および前後進切り換え機構5を経由して、ベルト式無段変速機6のプライマリシャフト7に伝達される。プライマリシャフト7のトルクは、プライマリプーリ9、ベルト17、セカンダリプーリ10を介してセカンダリシャフト8に伝達される。そして、セカンダリシャフト8のトルクが車輪2に伝達されて駆動力が発生する。
つぎに、ベルト式無段変速機6の変速制御を説明する。前記油圧室19,100に供給されるオイル量または油圧を制御可能であるが、ここでは、油圧室19についてはオイル量を制御し、油圧室100については油圧を制御する場合を例として説明する。まず、油圧室19のオイル量に基づいて、プライマリプーリ9の可動シーブ12を軸線方向に動作させる推力が調整される。また、油圧室100の油圧により、セカンダリプーリ10の可動シーブ15を軸線方向に動作させる推力(挟圧力)が調整される。そして、可動シーブ12の軸線方向の動作に応じて溝M1の幅が変化し、可動シーブ15の軸線方向の動作に応じて溝M2の幅が変化する。
上記のようにして、溝M1の幅が調整されると、プライマリプーリ9におけるベルト17の巻き掛け半径と、セカンダリプーリ10におけるベルト17の巻き掛け半径との比が変化する。その結果、プライマリシャフト7とセカンダリシャフト8との間の回転速度の比、すなわち変速比が変化する。具体的には、油圧室19のオイル量が増加して溝M1の幅が狭められると、プライマリプーリ9におけるベルト17の巻き掛け半径が大きくなり、ベルト式無段変速機6の変速比が小さくなるように変速(増速)する。これに対して、油圧室19のオイル量が減少すると、ベルト17の張力により溝M1の幅が広げられて、プライマリプーリ9におけるベルト17の巻き掛け半径が小さくなり、ベルト式無段変速機6の変速比が大きくなるように変速(減速)する。
また、この変速制御に伴い溝M2の幅が調整されると、ベルト17に作用する挟圧力およびベルト17の張力が変化し、かつ、プライマリシャフト7とセカンダリシャフト8との間で伝達されるトルクの容量が制御される。具体的には、油圧室100の油圧が高められて、ベルト17に加えられる挟圧力が増加すると、ベルト17のトルク容量が増加する。これに対して、油圧室100の油圧が低下して、ベルト17に加えられる挟圧力が減少すると、ベルト17のトルク容量が低下する。
つぎに、油圧制御装置18の一部、具体的には油圧室19にオイルを供給する油圧回路の構成例を図3に基づいて説明する。油圧回路には、前記油圧室19に接続された出力ポート20と、出力ポート20と選択的に接続・遮断される入力ポート21およびドレーンポート22とが設けられている。入力ポート21には油路23が接続され、油路23の油圧(ライン圧)を制御する油圧制御弁(図示せず)が設けられている。そして、オイルポンプ(図示せず)から吐出され、かつ、油路23に供給されるオイルが、油圧制御弁により調圧される。なお、この油路23のオイルは、別の油路(図示せず)に設けられている油圧制御弁(図示せず)により調圧され、調圧された油圧が油圧室100に伝達される。前記出力ポート20と、入力ポート21およびドレーンポート22との間にリニアソレノイドバルブ24が設けられている。リニアソレノイドバルブ24は、電磁コイル35と、軸方向に動作可能なプランジャ36と、プランジャ36と同軸上に配置され、かつ、軸線方向に動作可能なスプール37と、スプール37をプランジャ36に近づける向きに付勢する弾性部材38とを有している。
一方、バルブボディには円筒形状のシリンダ39が取り付けられており、シリンダ39内に前記スプール37が配置されているとともに、シリンダ39を半径方向に貫通するように、入力ポート21および出力ポート20およびドレーンポート22が形成されている。前記スプール37には複数のランド40,41,42が形成されている。ランド40,41,42はスプール37の軸線方向で異なる位置に形成されており、軸線方向において、ランド40とランド42との間にランド41が配置されている。また、軸線方向におけるランド41の長さL1は、軸線方向における出力ポート20の開口幅L2よりも長く設定されている。
このように構成されたリニアソレノイドバルブ24においては、電磁コイル35への通電電流の増加により、プランジャ36を図3において上向きに付勢する磁気吸引力が強められる。プランジャ36が図3において上向きに付勢されると、その付勢力はプランジャ36からスプール37に伝達されて、スプール37が弾性部材38の付勢力に抗して上向きに動作する。また、電磁コイル35への通電電流が減少すると、プランジャ36を付勢する磁気吸引力が低下して、スプール37は弾性部材38の付勢力により下向きに動作する。リニアソレノイドバルブ24の電磁コイル35の通電電流値は、電子制御装置52により制御される。
そして、スプール37の動作により入力ポート21およびドレーンポート22と、出力ポート20との連通面積が制御されて、ベルト式無段変速機6の変速比が制御される。例えば、ベルト式無段変速機6の変速比を小さくする変速要求がある場合は、電磁コイル35に供給する電力の電流値を低下させる制御が実行される。すると、スプール37が図3において下向きに動作して、入力ポート21と出力ポート20との連通面積が拡大する一方、出力ポート20とドレーンポート22との連通面積が縮小される。すると、入力ポート21から出力ポート20を経由して油圧室19に供給されるオイル量が増加して、前記可動シーブ12に加えられる推力が増加する。その結果、プライマリプーリ9の溝M1の幅が狭められる。
これとは逆に、ベルト式無段変速機6の変速比を大きくする変速要求がある場合は、電磁コイル35に供給する電力の電流値を増加させる制御が実行される。すると、スプール37が図3において上向きに動作して、入力ポート21と出力ポート20との連通面積が縮小される一方、出力ポート20とドレーンポート22との連通面積が拡大される。すると、油圧室19からドレーンポート22に排出されるオイル量が増加して、前記可動シーブ12に加えられる推力が減少する。その結果、プライマリプーリ9の溝M1の幅が拡大される。
さらに、ベルト式無段変速機6の変速比を所定の変速比に維持(固定)する要求がある場合は、電磁コイル35に供給する電力の電流値を所定値に保持する制御が実行される。すると、ランド41により出力ポート20が閉じられた位置で、スプール37が停止される。このようにして、入力ポート21およびドレーンポート22と、出力ポート20とが遮断されて、油圧室19へのオイルの供給および油圧室19からのオイルの排出がおこなわれなくなる。その結果、プライマリプーリ9の溝M1の幅が、略一定に保持される。このように、スプール37を軸線方向の所定位置で停止することにより、入力ポート21およびドレーンポート22と、出力ポート20とを遮断して、油圧室19に封じ込められるオイル量を、略一定に維持する制御を「とじ込み制御」と呼ぶ。
上記のようなベルト式無段変速機6の変速比の制御に関して、電磁コイル35に供給される電力の電流値と、油圧室19におけるオイル量との関係を、図4の線図に示す。図4においては、縦軸にオイルの状態が示され、横軸に電流値が示されている。図4において、「正」は、油圧室19にオイルが供給されることを意味し、「零」は、油圧室19にオイルが供給されず、かつ、油圧室19からオイルが排出されないことを意味し、「負」は、油圧室19からオイルが排出されることを意味する。また、前述したように、軸線方向におけるランド41の長さL1は、軸線方向における出力ポート20の開口幅L2よりも長く設定されているため、電流値が所定範囲A1内で変化して、スプール37が軸線方向に動作した場合でも、出力ポート20が遮断される。
上記構成のリニアソレノイドバルブ24によれば、とじ込み制御を実行している場合に、軸線方向におけるスプール37の位置は、電磁コイル35に供給される電力の電流値、電磁コイル35により生成される磁気吸引力の比例定数、弾性部材38のばね常数などのパラメータに基づいて決定されると考えられる。これを式で表せば以下のとおりである。
AI=kx→x=(A/K)
ここで、Iは電流値であり、Aは磁気吸引力の比例定数であり、kはばね常数であり、xはスプール37の位置である。つまり、とじ込み制御の実行中においては、軸線方向におけるスプール37の位置は電流値に比例して決まると考えられる。なお、油圧室19のオイルがドレーンポート22に排出される場合は、そのオイルの運動エネルギがランド42に加えられて、出力ポート20とドレーンポート22との連通面積が縮小する向きに、スプール37が動作するが、とじ込み制御を実行している場合は、上記の運動エネルギは略無視できると考えられる。
ところで、上記のとじ込み制御を実行している場合でも、シリンダ39の内周面と、ランド41の外周面とが接触して形成されるシール面S1からは、不可避的なオイル漏れが生じる。このオイルの漏れ量は、油圧室19の油圧とドレーンポート22の油圧との差、軸線方向におけるシール面S1の長さL3などのパラメータにより変化する。その結果、とじ込み制御を実行している場合でも、油圧室19のオイル量が減少する可能性がある。
そこで、この実施例においては、とじ込み制御実行中におけるオイルの漏れ量を可及的に低減することの可能な制御を実行する。この制御例を、図1に基づいて説明する。すなわち、とじ込み制御を実行する場合は、オイル漏れに影響を及ぼすパラメータを検出し(ステップS1)、検出されたパラメータと、電子制御装置52に記憶されているマップなどのデータとの照合をおこなう(ステップS2)。このステップS2の結果に基づいて、とじ込み制御実行中におけるステップS37の位置を最適化する制御を実行する(ステップS3)。以下、図1に示す制御の内容を、具体的に説明する。ここで、とじ込み制御を実行する例としては、変速比が既知である場合と、変速比が未知である場合とがある。そこで、各場合に相当する制御内容を順次説明する。
(制御内容1)
この制御内容1においては、変速比が既知である場合について説明する。変速比が既知である場合としては、車速が所定値よりも高車速である場合、または各回転数センサが正常である場合が挙げられる。具体的には、変速比が既知であり、かつ、変速比を所定の変速比に固定する要求に基づいて、とじ込み制御を実行する。前記のステップS1において、オイル漏れに影響を及ぼすパラメータとして、ライン圧、変速比、入力回転数、油圧室19,100の油圧などが検出され、ステップS3では各パラメータに基づく最適化制御が実行される。
(ライン圧)
図5は、実験的に求められたデータをマップ化したものであり、このマップには、電流値とライン圧PLと変速比γと入力回転数(プライマリシャフト7の回転数)Nin とオイル漏れ量との関係が示されている。図5のマップにおいて、領域B1は、オイル漏れ量が所定値未満となる領域を意味する。領域B1よりも上方の領域B2では、油圧室19にオイルが供給される。領域B1よりも下方の領域B3では、オイル漏れ量が所定値以上となる。この図5のマップにおいて、線分C1は、高ライン圧、かつ、高入力回転数に相当し、線分C2は、高ライン圧、かつ、低入力回転数に相当し、線分C3は、低ライン圧、かつ、高入力回転数に相当し、線分C4は、低ライン圧、かつ、低入力回転数に相当する。
図5のマップによれば、入力回転数、変速比が同じであっても、ライン圧が高くなることにともない、オイルの漏れ量が増加する傾向を示している。これは、ライン圧に応じて決定される油圧室19の圧力と、ドレーンポート22との圧力との差圧は、ライン圧が高いほど大きくなり、その差圧が大きいほど、シール面S1を通過するオイル量が増加するためであると考えられる。そこで、この実施例においては、ステップS3において、ライン圧が高くなるほど、図3におけるスプール37の停止位置を下方に設定するように、電磁コイル35の電流値Islrを制御する。具体的には、ライン圧が高くなることに比例して、電流値を低下させる制御を実行する。このように、電磁コイル35の電流値を制御することにより、シール面S1の長さL3が可及的に長くなる。つまり、シール面積が拡大されて、シール面S1のシール機能が向上し、オイルの漏れ量の増加が抑制される。
ここで、電磁コイル35の電流値を制御する場合に用いるマップの例を、図6に示す。図6においては、縦軸に電流値が示され、横軸に変速比が示され、パラメータを示す線分F1,F2,F3が示されている。各線分F1,F2,F3は、変速比が大きくなることにともない、電流値が高くなる特性を有している。また、同じ変速比であっても、各線分F1,F2,F3に対応する電流値は異なる。具体的には、線分F1よりも線分F2の方が電流値は低く、線分F2よりも線分F3の方が電流値は低く設定されている。ライン圧に応じて電流値を制御する場合に、例えば、低ライン圧では線分F1に基づいて電流値を設定し、中ライン圧では線分F2に基づいて電流値を設定し、高ライン圧では線分F3に基づいて電流値を設定することが可能である。
(変速比)
前述した図5のマップに示すように、入力回転数、ライン圧が同じであっても変速比が大きくなることにともない、オイルの漏れ量は減少する傾向となる。これは、変速比が大きくなることにともない、油圧室19で保持されるオイル量が少なくなり、オイル量の減少にともなって油圧室19の油圧が低下して、前記差圧が小さくなるためであると考えられる。そこで、この実施例においては、変速比が小さくなるほど、電流値を低下させる制御を実行する。その結果、ライン圧の項で述べた原理と同じ原理により、シール面S1のシール機能が向上する。変速比に基づいて電流値を制御する場合は、例えば、図6のマップを用いることが可能である。すなわち、各線分F1,F2,F3は共に、変速比が小さくなることにともない、電流値が低下する特性を有している。つまり、前述したライン圧に応じて、各線分F1,F2,F3のいずれかを選択すれば、変速比に応じて電流値を制御することが可能である。なお、各線分F1,F2,F3は、例えばオイルの粘度、入力トルクなどに基づいて区別される。この点は後述する。
(入力回転数)
ところで、ライン圧、変速比が同じであっても、入力回転数が高くなることにともない、プライマリプーリ9に作用する遠心力が高まって、油圧室19の油圧が高まる傾向となる。その結果、ライン圧が高い場合と同じ理由により、入力回転数が高いほどオイル漏れ量が多くなる。そこで、この実施例では、ステップS3において、入力回転数が高くなるほど、図3におけるスプール37の停止位置を下方に設定するように、電磁コイル35の電流値を制御する。その結果、ライン圧の項で述べた原理と同じ原理により、シール面S1のシール機能が向上する。
(油温)
一方、油圧制御装置18の油圧回路に供給されるオイルは、温度が上昇することにともない、粘度が低下する特性を有している。そして、粘度が低いほど、シール面S1から漏れるオイル量が増加する傾向となる。そこで、この実施例では、ステップS3において、油温が高くなるほど、図3におけるスプール37の停止位置を下方に設定するように、電磁コイル35の電流値を制御する。その結果、ライン圧の項で述べた原理と同じ原理により、シール面S1のシール機能が向上する。この場合、図6のマップを用いて電流値を制御することが可能である。すなわち、低油温(高粘度)に対応する線分F1と、中油温(中粘度)に対応する線分F2と、高油温(低粘度)に対応する線分F3とを有するマップを設定する。そして、ステップS1で油温を検出し、その油温に対応する線分を基準として、電流値を制御することが可能である。
(制御内容2)
つぎに、変速比が未知である場合に相当する制御内容2を説明する。変速比が未知である場合としては、車速が所定値以下である場合、または各回転数センサがフェールしている場合が挙げられる。このように、変速比が未知である場合は、変速比を変動させることなく、固定するためにとじ込み制御が実行される。変速比が未知である場合に実行されるとじ込み制御は、以下の不都合を回避するためである。
すなわち、ベルト式無段変速機6の変速比が最大変速比よりも小さい変速比である場合に、油圧室19のオイルをドレーンすると、ベルト17が滑る可能性があり、このベルト17の滑りを回避するために、とじ込み制御が実行される。また、変速比が未知である場合に、油圧室19のオイルを排出すると、急激にダウンシフト(変速比が大きくなる)して、車両の挙動が急激に変化する可能性があり、その不都合を回避するために、とじ込み制御が実行される。
(変速比)
このように、変速比が未知である場合は、まず、入力トルクTin と推力比κとに基づいて、変速比γが推定される。この推力比κは、下記式により算出される。
κ=Wpri/Wsec
上記式において、Wpriは、プライマリプーリ9の可動シーブ12に加えられる軸線方向の第1の推力であり、Wsecは、セカンダリプーリ10の可動シーブ15に加えられる軸線方向の第2の推力である。そして、第1の推力Wpriは、油圧室19の油圧Pin から算出可能であり、第2の推力Wsecは、ライン圧PL、または油圧室100の油圧Pdから算出可能である。
一方、電子制御装置52には、図7に示すマップが記憶されている。このマップは、変速比γと入力トルクTin と推力比κとの関係を3次元的に示すものである。このマップでは、変速比γが大きくなるほど、推力比κが小さくなっている。また、入力トルクTin が大きくなるほど、推力比κが大きくなっている。また、この図7のマップは、異なる入力トルクTin および異なる油温Tho 毎に複数種類が設定することが可能である。また、基準となるマップを、補正により読み替えて、他の種類のマップを得ることも可能である。なお、図7のマップは、この制御内容2とは異なる制御を実行する場合に用いることも可能である。例えば、入力トルクおよび変速比に基づいて、推力比を設定する場合に用いることが可能である。
そして、前述のようにして算出された推力比γと、入力トルクTin と、図7に示すマップとに基づいて、変速比γが推定される。このようにして変速比γを推定し、その変速比および前記図6に示すマップに基づいて、電磁コイル35の電流値が制御される。この制御内容2においても、制御内容1における変速比の項で述べた理由と同じ理由により、シール面S1におけるオイル漏れ量の増加を抑制できる。
(入力トルク)
ところで、前述した図7のマップによれば、変速比が同じ場合でも入力トルクが、小さいほど推力比は小さくなる。ここで、推力比は、第1の推力を第2の推力で除した値であり、入力トルクが高いほど第1の推力が大きくなることを意味する。この第1の推力は、油圧室19の油圧と、ピストンの受圧面積との積であり、入力トルクが高いほど油圧室19の油圧が高くなる。そして、油圧室19の油圧が高いほど、シール面S1から漏れるオイル量は多くなる傾向にある。
そこで、この実施例においては、入力トルクが高いほど、電磁コイル35の電流値を低く設定する制御をおこなう。その結果、入力トルクが高いほどシール面S1のシール面積が拡大されて、オイル漏れ量の増加が抑制される。この制御を実行する場合は、例えば、図6のマップを用いることが可能である。つまり、低トルクに対応する線分F1と、中トルクに対応する線分F2と、高トルクに対応する線分F3とを設定しておき、検出される入力トルクに応じて、電磁コイル35の電流値を制御すればよい。
(油圧室100の油圧)
前記ベルト式無段変速機6においては、プライマリプーリ9およびセカンダリプーリ10にベルト17が巻き掛けられているため、変速比および入力回転数が同じであれば、油圧室100の油圧が増加するほど、油圧室19の油圧が高められる。これは、ベルト17の張力の増加に抗して、プライマリプーリ9におけるベルト17の巻き掛け半径を維持するためである。そこで、油圧室100の油圧が高いほど電磁コイル35の電流値を低下させる制御を実行すれば、シール面S1におけるオイル漏れ量の増加を抑制することが可能である。
(油圧室19の油圧)
油圧室19の油圧が高いほどシール面S1のオイル漏れ量が増加する。そこで、油圧室19の油圧が高いほど電磁コイル35の電流値を低下させる制御を実行すれば、シール面S1におけるオイル漏れ量の増加を抑制することが可能である。なお、制御内容1およびおよび制御内容2において、各種のパラメータから、変速比および電流値を算出する場合の概念図を図8に示す。
ところで、上記のようなとじ込み制御を実行する場合に、スプール37の実際の停止位置と、目標停止位置との差が所定値を越える可能性がある。言い換えれば、実際の長さL3と、長さL3の目標値との差が、所定値を越える可能性がある。このような実状値と目標値との差は、スプール37の停止位置に影響を及ぼすシステムが、本来有する個体差、または、システムを構成する要素の経時劣化による個体差により生じる。
前記システムには、リニアソレノイドバルブ24、油圧サーボ機構13,16のピストン、電子制御装置35、油圧制御装置18の油圧回路などが含まれており、個体差には、寸法、形状、面積、電気信号などが含まれる。そして、スプール37の実際の停止位置に基づいて、これらの個体差を判断および学習し、その判断結果および学習結果に基づいて、制御内容1および制御内容2で用いるマップなどを修正もしくは補正することが可能である。これらの個体差の判断および学習は、所定の走行距離または所定の経過時間毎に、実行可能である。なお、制御内容1および制御内容2においては、複数のパラメータのうち、少なくとも1つのパラメータに基づいて、電磁コイル35の電流値を制御することが可能である。
以上のように、この実施例においては、とじ込み制御を実行する場合に、電磁コイル35の電流値を、一義的に(無条件に)固定するのではなく、運転条件(パラメータ)に基づいて、電磁コイル35の電流値を、制御もしくは補正する。このため、リニアソレノイドバルブ24のスプール37の停止位置を最適化すること、つまり、オイルの漏れ量を可及的に低減することが可能である。したがって、とじ込み制御毎のオイルの漏れ量のバラツキを抑制して、所定の変速比を確実に保持することが可能となる。言い換えれば、プライマリプーリ9の油圧室19のオイル量減少による減速を抑制できる。さらに、とじ込み制御時におけるオイル漏れが抑制されるため、オイルポンプの駆動効率の低下を抑制することが可能である。
また、油圧室19から漏れるオイル量が少ない場合は、電磁コイル35の電流値を高めることで、シール面S1の長さを必要以上に確保せずに済む。したがって、油路23のオイルが、入力ポート21を経由して油圧室19に浸入することを抑制でき、不用意な増速を回避できる。さらに、とじ込み制御の実施にともない、スプール37の停止位置を設定するリミットスイッチなどを設けずに済み、部品点数の増加を抑制でき、部品の配置スペースの削減および軽量化を図ることが可能である。ここで、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1ないしステップS3が、この発明のバルブ制御手段に相当する。
なお、特許請求の範囲の請求項1に記載された発明には、プライマリプーリの油圧室の油圧を制御することにより、変速比を制御する構成のベルト式無段変速機も含まれる。特許請求の範囲の請求項1の発明には、プライマリプーリの油圧室の油圧またはオイル量を制御することにより、ベルト式無段変速機のトルク容量を制御する構成のベルト式無段変速機も含まれる。さらに、特許請求の範囲の請求項1に記載された発明には、セカンダリプーリの油圧室の油圧またはオイル量を制御することにより、トルク容量または変速比を制御する構成のベルト式無段変速機も含まれる。なお、油圧室の油圧を制御する場合は、油圧制御弁(図示せず)が用いられる。
この実施例においては、プライマリプーリ9およびセカンダリプーリ10が、この発明の複数のプーリに相当し、油圧室19,100が、この発明の油圧室に相当し、油圧室19に対応する入力ポート21、油路23、ドレーンポート22と、油圧室100に連通する油路(図示せず)が、この発明の油路に相当し、リニアソレノイドバルブ24が、この発明のバルブおよび変速制御弁に相当し、油圧制御弁が、この発明のバルブに相当し、油圧室19,100に浸入するオイル量および油圧室19,100から漏れるオイル量が、この発明の「油圧室に保持されるオイル量に影響を及ぼす条件」に相当し、油圧室19,100に浸入するオイル量および油圧室19,100から漏れるオイル量は、ライン圧、変速比、入力回転数、油温、入力トルク、油圧室19,100の油圧などのパラメータにより判断される。
また、この発明のベルトの巻き掛け状態には、ベルト式無段変速機6の変速比、プライマリプーリ9またはセカンダリプーリ10におけるベルト17の巻き掛け半径、ベルト17の張力、ベルト17に加えられる挟圧力、ベルト17のトルク容量などが含まれる。これらのパラメータを略一定(実質的に一定)に維持(固定)すること、が、この発明の「ベルトの巻き掛け状態を所定の状態に保持すること」に相当する。さらに、この発明の「バルブを制御する」には、「バルブの弁体の位置を制御する」、「バルブの弁体の位置を制御するために、その弁体に加えられる外力を制御する」などの概念が含まれる。この実施例では、スプール37が弁体に相当し、スプール37に加えられる軸線方向の付勢力が、「弁体に加えられる外力」に相当し、スプール37の軸線方向の位置が、「弁体の位置」に相当する。
ここで、実施例に記載された特徴的な構成を記載すれば、以下のとおりである。第1の特徴は、複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、このベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、この油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、ベルト式無段変速機の変速比を実質的に一定に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、前記とじ込み制御を実行する場合は、ベルト式無段変速機の変速比に基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。ここで、バルブ制御手段は、ベルト式無段変速機の変速比が小さくなるほど、油圧室とドレーンポートとの間の経路に形成されているシール面の面積を拡大する制御を実行する。
また、第2の特徴は、複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、このベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、この油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、ベルト式無段変速機の変速比を実質的に一定に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、前記とじ込み制御を実行する場合は、油圧室にオイルを供給する油路の油圧(ライン圧)比に基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。ここで、バルブ制御手段は、ライン圧が高くなるほど、バルブのシール面の面積を拡大する制御を実行する。
さらに、第3の特徴は、複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、このベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、この油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、ベルト式無段変速機の変速比を実質的に一定に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、前記とじ込み制御を実行する場合は、ベルト式無段変速機の入力回転数に基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。ここで、ベルト式無段変速機の入力回転数は、油圧室に作用する遠心油圧を判断するパラメータである。そして、バルブ制御手段は、ベルト式無段変速機の入力回転数が高くなるほど、バルブのシール面の面積を拡大する制御を実行する。
さらに、第4の特徴は、複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、このベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、この油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、ベルト式無段変速機の変速比を実質的に一定に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、前記とじ込み制御を実行する場合は、油圧室に供給されるオイルの粘度に関連する物理量に基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。ここで、オイルの粘度に関連する物理量としては、オイルの粘度自体、オイルの温度などが挙げられる。そして、バルブ制御手段は、オイルの粘度が低くなるほど、バルブのシール面の面積を拡大する制御を実行する。
さらに、第5の特徴は、複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、このベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、この油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、ベルト式無段変速機の変速比を実質的に一定に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、前記とじ込み制御を実行する場合は、ベルト式無段変速機に入力されるトルクに基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。そして、バルブ制御手段は、入力トルクが高くなるほどドレーンポート補、オイルの粘度が低くなるほど、バルブのシール面の面積を拡大する制御を実行する。
さらに、第6の特徴は、プライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトと、プライマリプーリにおけるベルトの巻き掛け状態を制御する第1の油圧室と、セカンダリプーリにおけるベルトの巻き掛け状態を制御する第2の油圧室と、前記第1の油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、ベルト式無段変速機の変速比を実質的に一定に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、セカンダリプーリにおけるベルトの巻き掛け状態を制御する第2の油圧室が設けられており、前記とじ込み制御を実行する場合は、前記第2の油圧室の油圧に基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。ここで、バルブ制御手段は、第2の油圧室の油圧が高くなるほど、バルブのシール面の面積を拡大する制御を実行する。
さらに、第7の特徴は、複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、このベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、この油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、ベルト式無段変速機の変速比を実質的に一定に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、前記とじ込み制御を実行する場合は、前記油圧室の油圧に基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置である。そして、バルブ制御手段は、油圧室の油圧が高くなるほど、バルブのシール面の面積を拡大する制御を実行する。
前記第1ないし第7の特徴において、バルブのシール面とは、油圧室に接続された出力ポートと、油圧室のオイルを排出するドレーンポートとの間に形成され、かつ、バルブのシリンダ(ケーシング)と弁体との接触により形成された液密部分を意味する。バルブとしては、例えば、リニアソレノイドバルブ(電磁比例制御弁)を用いることが可能である。このリニアソレノイドバルブとしては、電流値が小さくなるほど、前記シール面の面積が拡大される構成のリニアソレノイドバルブを用いることが可能である。これとは逆に、電流値が大きくなるほど、前記シール面の面積が拡大される構成のリニアソレノイドバルブを用いることも可能である。この実施例では、入力ポートおよび出力ポートおよびドレーンポートが形成されており、各ポート同士の連通面積が、弁体により調整される構成となっている。
このように、第1ないし第7の構成は、ベルト式無段変速機の変速比を実質的に一定に維持するために、バルブの弁体の位置を固定して、油圧室へのオイルの供給、油圧室からのオイルの排出を共に停止した場合に、不可避的に生じるオイル漏れを抑制する技術である。また、弁体の動作を制御する外力(付勢力)の生成方法は、磁気吸引力を付勢力に変換する技術の他、流体圧(空気圧・油圧)を付勢力に変換する技術、機械式アクチュエータの動作力を付勢力に変換する技術を用いることも可能である。なお、第1の特徴ないし第7の特徴に記載されている各種のパラメータ、具体的には、変速比、油圧室の油圧、油温、オイルの粘度、入力回転数、入力トルクは、個々に用いること、または複数のパラメータを組み合わせて用いることも、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
また、特許請求の範囲に記載されている「バルブ制御手段」を「バルブ制御器」または「バルブ制御用コントローラ」と読み替えることも可能である。この場合、電子制御装置52が、「バルブ制御器」または「バルブ制御用コントローラ」に相当する。また、「バルブ制御手段」を「バルブ制御ステップ」と読み替え、「ベルト式無段変速機の制御装置」を、「ベルト式無段変速機の制御方法」と読み替えることも可能である。
この発明の制御例を示すフローチャートである。 この発明で対象とする車両のパワートレーンの構成および制御系を模式的に示す図である。 図2に示す油圧制御装置の一部を構成する油圧回路に設けられているリニアソレノイドバルブの断面図である。 この発明の制御例で用いる線図である。 この発明の制御例で用いる線図である。 この発明の制御例で用いるマップである。 この発明の制御例で用いるマップである。 この発明の制御例において、各パラメータからとじ込み位置の電流値を求める場合の概念図である。
符号の説明
6…ベルト式無段変速機、 9…プライマリプーリ、 10…セカンダリプーリ、 17…ベルト、 19,100…油圧室、 21…入力ポート、 22…ドレーンポート、 23…油路、 24…リニアソレノイドバルブ。

Claims (2)

  1. 複数のプーリに巻き掛けられたベルトと、このベルトの巻き掛け状態を制御する油圧室と、この油圧室に連通する油路と、この油路の開度を制御するバルブとを有し、前記油路を遮断することにより、前記ベルトの巻き掛け状態を、所定の状態に保持するとじ込み制御を実行可能なベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記とじ込み制御を実行する場合は、前記油路の遮断により前記油圧室に保持されるオイル量に影響を及ぼす条件に基づいて、前記バルブを制御するバルブ制御手段を有していることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  2. 前記バルブには変速制御弁が含まれており、前記ベルトの巻き掛け状態により、変速比が制御される構成であることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007263261A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Fuji Heavy Ind Ltd 無段変速機の制御装置
JP2015140819A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 日産自動車株式会社 無段変速機のプーリ比演算装置

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