JP2005036072A - ノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法 - Google Patents
ノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】難燃性に優れたノンハロゲンの架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂に発泡剤及び架橋剤を添加混練した発泡性架橋性組成物を気密でない金型中で加熱発泡させて気泡体を生成させ、次いで機械的変形を加えて気泡を連通化させる連続気泡体の製造方法において、ポリオレフィン系樹脂に赤リン5〜20重量部、リン酸塩を主成分とする難燃剤10〜30重量部を練和することを特徴とするノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂に発泡剤及び架橋剤を添加混練した発泡性架橋性組成物を気密でない金型中で加熱発泡させて気泡体を生成させ、次いで機械的変形を加えて気泡を連通化させる連続気泡体の製造方法において、ポリオレフィン系樹脂に赤リン5〜20重量部、リン酸塩を主成分とする難燃剤10〜30重量部を練和することを特徴とするノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂を基材とするノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系連続気泡体は、耐候性、断熱性、吸音性等に優れているので、エアコン内の断熱材、自動車のドアミラー内の吸音材、バクテリアの担体、塗布材等の各種用途に広く利用されている。ポリオレフィン系連続気泡体の製造法としては、密閉金型中で発泡性架橋性組成物中の発泡剤と架橋剤を部分的に分解させ、常圧下で残存する発泡剤と架橋剤を分解させて独立気泡体を得、次いで得られた独立気泡体を圧縮して独立気泡を破壊する方法が提案されていた。(特公昭59−23545号及び特開昭56−146732号公報参照)。また発泡性架橋性組成物を所望の形状に加熱整形した後、常圧下にて加熱して架橋剤及び発泡剤を同時進行的に分解させて気泡体を生成させ、次いで機械的変形を加えて気泡を連通化させる方法が提案されていた。(特公昭62−19294号公報、特公平1−44499号公報)。
【0003】
また、従来から行われている難燃性発泡体の製造方法としては、ポリオレフィンに無機系充填剤を添加したものを加熱発泡する方法(参照:特公昭60−26500号公報)、あるいはリン系又はハロゲン系難燃剤を添加したものを加熱発泡する方法(参照:特公昭48−9587号公報、特公昭48−29857号及び特公昭58−5930号公報)等がある。
【0004】
しかしながら、この方法は、独立気泡体に関するものであり、連続気泡体に適用することは困難である.なぜなら、連続気泡体は独立気泡体と比較して燃焼を助長する空気の供給が多いので、独立気泡体に対する添加量と同じ割合で無機系充填剤又は難燃剤を添加したとしても、十分な難燃性を付与できず、難燃性の連続気泡体を得ることができない。一方、多量の無機系充填剤又は難燃剤を添加すると、連続気泡体は発泡条件が厳しいため、満足な気泡体が得られない。本出願人は、前記のような従来の欠点を解消し、永久的に難燃性を有する架橋ポリオレフィン系連続気泡体を提供すべく、ポリオレフィン樹脂に赤リン5〜20部及び臭素系難燃剤であるペンタブロモトルエン10〜30部を練和して発泡させ、機械的に気泡を連通化する方法(参照:特開平11−269293号公報)を開発した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の赤リン及び臭素系難燃剤練り込み発泡体は、ハロゲン難燃剤を使用しているため、燃焼時に有害なハロゲンガスが発生し、人体や環境に悪影響を及ぼす。従って、本発明の目的は、十分な難燃性を有しながら、燃焼時には有害なハロゲンガスを発生しないノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、前記目的を達成するため、ポリエチレン系樹脂に発泡剤、発泡助剤及び架橋剤を添加混練した発泡性架橋性組成物を気密でない金型中で加熱発泡させて気泡体を生成させ、次いで機械的変形を加えて気泡を連通化させるポリオレフィン系連続気泡体において、ポリオレフィン系樹脂に赤リン系難燃剤及びリン酸塩を主成分とする難燃剤を練和することを特徴とする。
【0007】
本発明の製造方法において、ポリオレフィン系樹脂100重量部に赤リン系難燃剤5〜20重量部及びリン酸塩を主成分とする難燃剤10〜30重量部を練和することが好ましい。赤リン系難燃剤及びリン酸塩を主成分とする難燃剤が上記範囲未満である場合、十分な難燃性が得られず、上記範囲を越えて添加する場合、発泡成形を阻害し、満足な発泡体が得られない。
【0008】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂に添加する赤リン系難燃剤としては、市販のものでよいが、耐湿性や安全性(混練時における自然発火)の点から、赤リン粒子の表面を樹脂等でコーティングしたものを用いるのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においてポリオレフィンとは、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、エチレン共重合体を挙げることができる。
【0010】
以下、本発明に係る連続気泡体の製造方法についてその好適な態様を具体的に説明する。まず、ポリオレフィンに赤リン系難燃剤、リン酸塩を主成分とする難燃剤、発泡剤、架橋剤、及び必要に応じて発泡助剤、充填剤、顔料等を添加し、これを加熱したミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機等によって練和する。
【0011】
本発明でいう架橋剤とは、ポリエチレン系樹脂中において少なくともポリエチレン樹脂の流動開始温度以上の分解温度を有するものであって、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生してその分子間もしくは分子内に架橋結合を生じせしめるラジカル発生剤であるところの有機過酸化物、例えばジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリーブチルパーオキサイド、1,1−ジターシャリーブチルパーオキシー3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルー2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチルー2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキシン、α、α―ジターシャリーブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、ターシャリーブチルパーオキシケトン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどがあるが、その時に使用される樹脂によって最適な有機過酸化物を選択しなければならない。
【0012】
本発明でいう発泡剤とは、ポリエチレン系樹脂の溶融温度以上の分解温度を有する化学発泡剤であり、例えばアゾ系化合物のアゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等;ニトロソ系化合物のジニトロソペンタメチレンテトラミン、トリニトロトリメチルトリアミン等;ヒドラジッド系化合物のp,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド等;スルホニルセミカルバジッド系化合物のp,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジッド、トルエンスルホニルセミカルバジッド等がある。
【0013】
本発明において、発泡助剤を発泡剤の種類に応じて添加することができる。発泡助剤としては尿素を主成分とした化合物、酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物、サリチル酸、ステアリン酸等を主成分とする化合物、即ち高級脂肪酸あるいは高級脂肪酸の金属化合物などがある。
【0014】
本発明においては、使用する組成物の物性の改良或いは価格の低下を目的として、架橋結合に著しい悪影響を与えない配合剤(充填剤)、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、あるいはパルプ等の繊維物質、又は各種染料、顔料並びに蛍光物質、その他常用のゴム配合剤等を必要に応じて添加することができる。
【0015】
次に、本発明のノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法について説明する。
【0016】
前記した低密度ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体と、赤リン系難燃剤5〜20重量部、好ましくは8〜15重量部と、リン酸塩を主成分とする難燃剤10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部からなる混合物に、周知の発泡剤、発泡助剤及び架橋剤を添加混練し、得られた発泡性架橋性組成物を、加圧して密閉系金型に充填し、加圧下に好ましくは、加熱温度110〜140℃、加熱時間30〜90分の条件で加熱成形する。これによって、発泡倍率1〜3倍の発泡性架橋組成物が得られる。
【0017】
次いで、このように成形した発泡性架橋組成物を、常圧下にて密閉系でない直方体型などの所望の形状の型内に入れ、ローゼ合金、ウッド合金等を用いるメタルバス、オイルバス、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝酸カリウム等の塩の1種又は2種以上の溶融塩を用いる塩浴中、窒素気流中で、または直方体型がその外壁に加熱用熱媒体導管(熱媒:スチーム等)が設けられてなるものでその中で、あるいは伸長可能な鉄板等により覆われた状態で、所定時間加熱した後、冷却して発泡体を得る。加熱温度は使用するポリエチレンの種類に応じて145〜210℃、好ましくは160〜190℃であり、加熱時間は30〜180分、好ましくは50〜150分である。
【0018】
このようにして、機械的変形を与えることによって容易に破壊しうる気泡膜を有し、且つ、従来の気泡体と同程度の架橋度(ゲル分率95%程度まで)を有する気泡体が得られる。
【0019】
以上のようにして得られた気泡体(いわゆる独立気泡体)は、次いで例えば等速二本ロール等により圧縮変形を加えることによって気泡膜は破壊され、気泡が連通化されて連続気泡体が得られる。等速二本ロールの表面に無数の小さい針を設けるか、又は等速二本ロールの前及び/又は後に無数の小さい針を設けたロールを配置して、該気泡体の表面に無数の小孔を開けることによって、気泡の連通化を促進させることができる。この方法によって得られる連続気泡体は、ASTM−D2856に準拠した空気比較式比重計1000型(東京サイエンス(株)製)を用いて測定した連続気泡率が100%又は100%に近いものである。
【0020】
本発明の製造方法によって得られる連続気泡体は、米国UL(Underwriters Laboratories)94HF−1に定められた水平燃焼試験に合格するものであった。従って、得られるノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体は、輸出用電気製品内の断熱材、列車内の吸音材等に適用できる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例により何等限定されるものではない。
【0022】
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ノバテックLV540、密度0.942 g/cm3、メルトフローレート2.5 g/10min、酢酸ビニル含有量20重量%、三菱化学株式会社製)70重量部、低密度ポリエチレン(商品名:ノバテックLE425、密度0.923 g/cm3、メルトフローレート2.0 g/10min、三菱化学株式会社製)30重量部と、赤リン10重量部、リン酸塩を主成分とする難燃剤(商品名:アデカスタブFP−2000、旭電化工業株式会社製)20重量部、アゾジカルボンアミド(商品名:ビニホールAC#3、永和化成工業株式会社製)20重量部、ジクミルパーオキサイド0.6重量部からなる組成物を100℃のニーダーにて混練し、130℃に加熱されたプレス内の金型(28×195×385)に練和物を充填し、60分間加圧下で加熱し、発泡性架橋組成物を成形した。
【0023】
該成形物の発泡倍率は1.1倍、ゲル分率は0であった。
【0024】
次いで、該成型物を加熱水蒸気の流路を周囲に設けた気密でない開閉式金属金型(100××500×1000mm)の略中央に載置し、6.0kg/cm2の加熱水蒸気を該流路に流して90分間加熱して残存する発泡剤及び架橋剤を分解して冷却後、発泡体得た。
【0025】
得られた発泡体をロール間隔20mmに設定した等速二本ロールの間を5回通化させて気泡膜を破壊させ、気泡の連通化を行った。得られた連続気泡体は、見掛け密度27kg/m3、連続気泡率100%であった。
【0026】
得られた連続気泡体について前記のUL94HF−1の水平燃焼試験を行った結果、すべての要求を満たし合格した。
【0027】
実施例2
実施例1において、リン酸塩を主成分とする難燃剤を15重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を得た。
【0028】
得られた発泡体の見掛け密度27kg/m3、連続気泡率100%であり、UL94HF−1の水平燃焼試験に合格した。
【0029】
実施例3
実施例1において、リン酸塩を主成分とする難燃剤を25重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を得た。
【0030】
得られた発泡体の見掛け密度28kg/m3、連続気泡率100%であり、UL94HF−1の水平燃焼試験に合格した。
【0031】
比較例1
実施例1において、赤リンを3重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を得、UL94HF−1の水平燃焼試験を行った結果、不合格であった。
【0032】
比較例2
実施例1において、リン酸塩を主成分とする難燃剤を5重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を得、UL94HF−1の水平燃焼試験を行った結果、不合格であった。
【0033】
比較例3
実施例1において、赤リンを30重量部、リン酸塩を主成分とする難燃剤を40重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を成形しようとしたが、難燃剤の添加部数が多すぎて満足な気泡体を得ることが出来なかった。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の方法によれば、難燃性に優れたノンハロゲンの架橋ポリオレフィン系連続気泡体を安価に製造できる。本発明の方法によって製造されたノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体、安価であり、電気製品の断熱材、列車内の吸音材、自動販売機内の断熱材等に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂を基材とするノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系連続気泡体は、耐候性、断熱性、吸音性等に優れているので、エアコン内の断熱材、自動車のドアミラー内の吸音材、バクテリアの担体、塗布材等の各種用途に広く利用されている。ポリオレフィン系連続気泡体の製造法としては、密閉金型中で発泡性架橋性組成物中の発泡剤と架橋剤を部分的に分解させ、常圧下で残存する発泡剤と架橋剤を分解させて独立気泡体を得、次いで得られた独立気泡体を圧縮して独立気泡を破壊する方法が提案されていた。(特公昭59−23545号及び特開昭56−146732号公報参照)。また発泡性架橋性組成物を所望の形状に加熱整形した後、常圧下にて加熱して架橋剤及び発泡剤を同時進行的に分解させて気泡体を生成させ、次いで機械的変形を加えて気泡を連通化させる方法が提案されていた。(特公昭62−19294号公報、特公平1−44499号公報)。
【0003】
また、従来から行われている難燃性発泡体の製造方法としては、ポリオレフィンに無機系充填剤を添加したものを加熱発泡する方法(参照:特公昭60−26500号公報)、あるいはリン系又はハロゲン系難燃剤を添加したものを加熱発泡する方法(参照:特公昭48−9587号公報、特公昭48−29857号及び特公昭58−5930号公報)等がある。
【0004】
しかしながら、この方法は、独立気泡体に関するものであり、連続気泡体に適用することは困難である.なぜなら、連続気泡体は独立気泡体と比較して燃焼を助長する空気の供給が多いので、独立気泡体に対する添加量と同じ割合で無機系充填剤又は難燃剤を添加したとしても、十分な難燃性を付与できず、難燃性の連続気泡体を得ることができない。一方、多量の無機系充填剤又は難燃剤を添加すると、連続気泡体は発泡条件が厳しいため、満足な気泡体が得られない。本出願人は、前記のような従来の欠点を解消し、永久的に難燃性を有する架橋ポリオレフィン系連続気泡体を提供すべく、ポリオレフィン樹脂に赤リン5〜20部及び臭素系難燃剤であるペンタブロモトルエン10〜30部を練和して発泡させ、機械的に気泡を連通化する方法(参照:特開平11−269293号公報)を開発した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の赤リン及び臭素系難燃剤練り込み発泡体は、ハロゲン難燃剤を使用しているため、燃焼時に有害なハロゲンガスが発生し、人体や環境に悪影響を及ぼす。従って、本発明の目的は、十分な難燃性を有しながら、燃焼時には有害なハロゲンガスを発生しないノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、前記目的を達成するため、ポリエチレン系樹脂に発泡剤、発泡助剤及び架橋剤を添加混練した発泡性架橋性組成物を気密でない金型中で加熱発泡させて気泡体を生成させ、次いで機械的変形を加えて気泡を連通化させるポリオレフィン系連続気泡体において、ポリオレフィン系樹脂に赤リン系難燃剤及びリン酸塩を主成分とする難燃剤を練和することを特徴とする。
【0007】
本発明の製造方法において、ポリオレフィン系樹脂100重量部に赤リン系難燃剤5〜20重量部及びリン酸塩を主成分とする難燃剤10〜30重量部を練和することが好ましい。赤リン系難燃剤及びリン酸塩を主成分とする難燃剤が上記範囲未満である場合、十分な難燃性が得られず、上記範囲を越えて添加する場合、発泡成形を阻害し、満足な発泡体が得られない。
【0008】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂に添加する赤リン系難燃剤としては、市販のものでよいが、耐湿性や安全性(混練時における自然発火)の点から、赤リン粒子の表面を樹脂等でコーティングしたものを用いるのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においてポリオレフィンとは、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、エチレン共重合体を挙げることができる。
【0010】
以下、本発明に係る連続気泡体の製造方法についてその好適な態様を具体的に説明する。まず、ポリオレフィンに赤リン系難燃剤、リン酸塩を主成分とする難燃剤、発泡剤、架橋剤、及び必要に応じて発泡助剤、充填剤、顔料等を添加し、これを加熱したミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機等によって練和する。
【0011】
本発明でいう架橋剤とは、ポリエチレン系樹脂中において少なくともポリエチレン樹脂の流動開始温度以上の分解温度を有するものであって、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生してその分子間もしくは分子内に架橋結合を生じせしめるラジカル発生剤であるところの有機過酸化物、例えばジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリーブチルパーオキサイド、1,1−ジターシャリーブチルパーオキシー3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルー2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチルー2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキシン、α、α―ジターシャリーブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、ターシャリーブチルパーオキシケトン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどがあるが、その時に使用される樹脂によって最適な有機過酸化物を選択しなければならない。
【0012】
本発明でいう発泡剤とは、ポリエチレン系樹脂の溶融温度以上の分解温度を有する化学発泡剤であり、例えばアゾ系化合物のアゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等;ニトロソ系化合物のジニトロソペンタメチレンテトラミン、トリニトロトリメチルトリアミン等;ヒドラジッド系化合物のp,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド等;スルホニルセミカルバジッド系化合物のp,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジッド、トルエンスルホニルセミカルバジッド等がある。
【0013】
本発明において、発泡助剤を発泡剤の種類に応じて添加することができる。発泡助剤としては尿素を主成分とした化合物、酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物、サリチル酸、ステアリン酸等を主成分とする化合物、即ち高級脂肪酸あるいは高級脂肪酸の金属化合物などがある。
【0014】
本発明においては、使用する組成物の物性の改良或いは価格の低下を目的として、架橋結合に著しい悪影響を与えない配合剤(充填剤)、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、あるいはパルプ等の繊維物質、又は各種染料、顔料並びに蛍光物質、その他常用のゴム配合剤等を必要に応じて添加することができる。
【0015】
次に、本発明のノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法について説明する。
【0016】
前記した低密度ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体と、赤リン系難燃剤5〜20重量部、好ましくは8〜15重量部と、リン酸塩を主成分とする難燃剤10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部からなる混合物に、周知の発泡剤、発泡助剤及び架橋剤を添加混練し、得られた発泡性架橋性組成物を、加圧して密閉系金型に充填し、加圧下に好ましくは、加熱温度110〜140℃、加熱時間30〜90分の条件で加熱成形する。これによって、発泡倍率1〜3倍の発泡性架橋組成物が得られる。
【0017】
次いで、このように成形した発泡性架橋組成物を、常圧下にて密閉系でない直方体型などの所望の形状の型内に入れ、ローゼ合金、ウッド合金等を用いるメタルバス、オイルバス、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝酸カリウム等の塩の1種又は2種以上の溶融塩を用いる塩浴中、窒素気流中で、または直方体型がその外壁に加熱用熱媒体導管(熱媒:スチーム等)が設けられてなるものでその中で、あるいは伸長可能な鉄板等により覆われた状態で、所定時間加熱した後、冷却して発泡体を得る。加熱温度は使用するポリエチレンの種類に応じて145〜210℃、好ましくは160〜190℃であり、加熱時間は30〜180分、好ましくは50〜150分である。
【0018】
このようにして、機械的変形を与えることによって容易に破壊しうる気泡膜を有し、且つ、従来の気泡体と同程度の架橋度(ゲル分率95%程度まで)を有する気泡体が得られる。
【0019】
以上のようにして得られた気泡体(いわゆる独立気泡体)は、次いで例えば等速二本ロール等により圧縮変形を加えることによって気泡膜は破壊され、気泡が連通化されて連続気泡体が得られる。等速二本ロールの表面に無数の小さい針を設けるか、又は等速二本ロールの前及び/又は後に無数の小さい針を設けたロールを配置して、該気泡体の表面に無数の小孔を開けることによって、気泡の連通化を促進させることができる。この方法によって得られる連続気泡体は、ASTM−D2856に準拠した空気比較式比重計1000型(東京サイエンス(株)製)を用いて測定した連続気泡率が100%又は100%に近いものである。
【0020】
本発明の製造方法によって得られる連続気泡体は、米国UL(Underwriters Laboratories)94HF−1に定められた水平燃焼試験に合格するものであった。従って、得られるノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体は、輸出用電気製品内の断熱材、列車内の吸音材等に適用できる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例により何等限定されるものではない。
【0022】
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ノバテックLV540、密度0.942 g/cm3、メルトフローレート2.5 g/10min、酢酸ビニル含有量20重量%、三菱化学株式会社製)70重量部、低密度ポリエチレン(商品名:ノバテックLE425、密度0.923 g/cm3、メルトフローレート2.0 g/10min、三菱化学株式会社製)30重量部と、赤リン10重量部、リン酸塩を主成分とする難燃剤(商品名:アデカスタブFP−2000、旭電化工業株式会社製)20重量部、アゾジカルボンアミド(商品名:ビニホールAC#3、永和化成工業株式会社製)20重量部、ジクミルパーオキサイド0.6重量部からなる組成物を100℃のニーダーにて混練し、130℃に加熱されたプレス内の金型(28×195×385)に練和物を充填し、60分間加圧下で加熱し、発泡性架橋組成物を成形した。
【0023】
該成形物の発泡倍率は1.1倍、ゲル分率は0であった。
【0024】
次いで、該成型物を加熱水蒸気の流路を周囲に設けた気密でない開閉式金属金型(100××500×1000mm)の略中央に載置し、6.0kg/cm2の加熱水蒸気を該流路に流して90分間加熱して残存する発泡剤及び架橋剤を分解して冷却後、発泡体得た。
【0025】
得られた発泡体をロール間隔20mmに設定した等速二本ロールの間を5回通化させて気泡膜を破壊させ、気泡の連通化を行った。得られた連続気泡体は、見掛け密度27kg/m3、連続気泡率100%であった。
【0026】
得られた連続気泡体について前記のUL94HF−1の水平燃焼試験を行った結果、すべての要求を満たし合格した。
【0027】
実施例2
実施例1において、リン酸塩を主成分とする難燃剤を15重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を得た。
【0028】
得られた発泡体の見掛け密度27kg/m3、連続気泡率100%であり、UL94HF−1の水平燃焼試験に合格した。
【0029】
実施例3
実施例1において、リン酸塩を主成分とする難燃剤を25重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を得た。
【0030】
得られた発泡体の見掛け密度28kg/m3、連続気泡率100%であり、UL94HF−1の水平燃焼試験に合格した。
【0031】
比較例1
実施例1において、赤リンを3重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を得、UL94HF−1の水平燃焼試験を行った結果、不合格であった。
【0032】
比較例2
実施例1において、リン酸塩を主成分とする難燃剤を5重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を得、UL94HF−1の水平燃焼試験を行った結果、不合格であった。
【0033】
比較例3
実施例1において、赤リンを30重量部、リン酸塩を主成分とする難燃剤を40重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び発泡条件で連続気泡体を成形しようとしたが、難燃剤の添加部数が多すぎて満足な気泡体を得ることが出来なかった。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の方法によれば、難燃性に優れたノンハロゲンの架橋ポリオレフィン系連続気泡体を安価に製造できる。本発明の方法によって製造されたノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体、安価であり、電気製品の断熱材、列車内の吸音材、自動販売機内の断熱材等に有用である。
Claims (2)
- ポリオレフィン系樹脂に発泡剤及び架橋剤を添加混練した発泡性架橋性組成物を気密でない金型中で加熱発泡させて気泡体を生成させ、次いで機械的変形を加えて気泡を連通化させる連続気泡体の製造方法において、ポリオレフィン系樹脂に赤リン系難燃剤及びリン酸塩を主成分とする難燃剤を練和することを特徴とするノンハロゲン難燃性架橋ポリオレフィン系連続気泡体の製造方法。
- ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して赤リン系難燃剤5〜20重量部及びリン酸塩を主成分とする難燃剤10〜30重量部を練和することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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