JP2005035295A - 圧電インクジェットヘッドの駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の加圧室2を覆う大きさの圧電セラミック層7a、7b層を含む圧電アクチュエータACを備えた圧電インクジェットヘッドにおいて、圧電セラミック層7a、7bに電界を印加する電極とその配線とを簡略化できる駆動方法を提供する。
【解決手段】 共通電極8a、8bにより、圧電セラミック層7bに分極方向と逆方向の電界を印加しながら、
(1) インク滴を吐出させる加圧室2では、個別電極10と共通電極8aとにより、圧電セラミック層7aに分極方向と同方向の電界を印加して、圧電アクチュエータACを加圧室2の方向に突出するように撓み変形させ、
(2) インク滴を吐出させない加圧室2では、個別電極10と共通電極8aとにより、圧電セラミック層7aに分極方向と逆方向の電界を印加して、圧電アクチュエータACを初期状態に維持して、
上記(1)の加圧室2に連通したノズル3から選択的にインク滴を吐出させてドット形成する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、圧電インクジェットヘッドの駆動方法に関し、特に、プリンター、コピア、ファクシミリ、および、それらの複合機などに好適に用いることができる、圧電インクジェットヘッドの駆動方法に関するものである。
オンデマンド型のインクジェットプリンタなどに用いる、圧電素子の電歪効果を駆動源とする圧電インクジェットヘッドは、例えば、インクが充填される加圧室を、板状の基板の片側の面に、その面方向に複数個、配列し、かつそれぞれの加圧室ごとにインク吐出のためのノズルを連通すると共に、この基板の、加圧室を配列した側の面に、圧電アクチュエータを積層した構造を有する。
また、圧電アクチュエータは、一般に、上記複数個の加圧室を覆う大きさを有する導電性の振動板と、それぞれの加圧室に対応して分離形成した複数個の圧電セラミック層と、同じくそれぞれの加圧室に対応して分離形成した複数個の個別電極とをこの順に積層して構成される。導電性の振動板は、個別電極と共に圧電セラミック層を挟んで、圧電セラミック層に電界を印加するための、共通電極としての機能を兼ねている。
上記の圧電インクジェットヘッドにおいては、それぞれの加圧室に対応する個別電極のうち、任意の1つまたは2つ以上の個別電極と、振動板との間に、圧電セラミック層の分極方向と同方向の電界を印加すると、その個別電極と振動板とで挟まれた圧電セラミック層が面方向に収縮する。そして、圧電セラミック層は振動板に固定されていることから、圧電アクチュエータの、電界が印加された領域が、上記の収縮に伴って加圧室の方向に突出するように撓み変形し、この撓み変形によって加圧室内のインクが圧縮されて、ノズルから、インク滴として吐出されて印字が行われる。
また、近時、インクジェットプリンタにおける印字の高画質化(高精細化)に伴うノズルピッチの微細化に対応するために、加圧室ごとに分離形成した複数個の圧電セラミック層に代えて、複数個の加圧室を覆う大きさを有する圧電セラミック層を用いた圧電インクジェットヘッドが実用化されている。
この圧電インクジェットヘッドにおいては、それぞれの加圧室に対応する個別電極のうち、任意の1つまたは2つ以上の個別電極と、振動板との間に、圧電セラミック層の分極方向と同方向の電界を印加すると、圧電セラミック層のうち、その個別電極と振動板とで挟まれた領域が、あたかも、分離形成した個々の圧電セラミック層と同様に、面方向に収縮する。そして、この収縮に伴って、圧電アクチュエータの、電界が印加された領域が、加圧室の方向に突出するように撓み変形し、この撓み変形によって加圧室内のインクが圧縮されて、ノズルから、インク滴として吐出されて印字が行われる。
圧電セラミック層を2層、積層した、いわゆるバイモルフ型の圧電インクジェットヘッドが提案されている。
バイモルフ型の圧電インクジェットヘッドにおいては、第1の圧電セラミック層を面方向に収縮させるのと同時に、第2の圧電セラミック層を、その分極方向と逆方向の電界を印加して面方向に伸長させることにより、従来の、圧電セラミック層を1層のみ有する圧電インクジェットヘッド(「バイモルフ型」と対比して「ユニモルフ型」の圧電インクジェットヘッドと呼ばれる)に比べて、より低電圧の電界の印加によって、圧電アクチュエータを、加圧室の方向に良好に撓み変形させることができる。
バイモルフ型の圧電インクジェットヘッドについては、例えば、特許文献1〜5に詳しい。
特開平4−371845号公報(請求項1、第0011欄、第0013欄〜第0014欄、第0016欄、図1、図2) 特開平8−118630号公報(請求項1、第0014欄、第0030欄〜第0031欄、第0040欄、図1、図2) 特開平8−118663号公報(請求項1、第0013欄、第0020欄〜第0022欄、第0031欄〜第0034欄、第0041欄〜第0042欄、図1〜図3) 特開2000−141647号公報(請求項1、第0008欄〜第0011欄、第0029欄〜第0036欄、図3〜図5) 特開2001−77438号公報(請求項1、第0009欄、第0021欄〜第0022欄、第0060欄〜第0072欄、図12〜図15)
しかし、これらの特許文献に記載されたバイモルフ型の圧電インクジェットヘッドにおいては、いずれも、2層の圧電セラミック層を、ともに、それぞれの加圧室に対応して分離形成していることから、インクジェットプリンタにおける印字の高画質化(高精細化)に伴うノズルピッチの微細化に対応できないという問題がある。
ノズルピッチの微細化に対応するためには、第1および第2の圧電セラミック層として、複数個の加圧室を覆う大きさを有する圧電セラミック層を用いる必要がある。しかし、その場合には、圧電アクチュエータの構造が複雑化するという問題がある。
すなわち、各先行技術文献に記載の圧電インクジェットヘッドにおける電極の構成を維持しつつ、2層の圧電セラミック層として、いずれも複数個の加圧室を覆う大きさを有する圧電セラミック層を用いる場合には、圧電アクチュエータACを、図11、図12のいずれかの構造とすることが考えられる。
このうち、図11の圧電アクチュエータACは、基板91上に、当該基板91に遠い方から順に、それぞれの加圧室92に対応して分離形成した第1の個別電極90aと、複数個の加圧室を覆う大きさを有する第1の圧電セラミック層97aと、それぞれの加圧室92に対応して分離形成した第2の個別電極90bと、複数個の加圧室を覆う大きさを有する第2の圧電セラミック層97bと、複数個の加圧室92を覆う大きさを有する共通電極98aと、同じく複数個の加圧室を覆う大きさを有する、共通電極98aをインクから保護するための保護層99とを、この順に積層したものである。
この圧電アクチュエータACは、例えば第2の圧電セラミック層97bのもとになる圧電体グリーンシートの片面に、導電ペーストを印刷して第2の個別電極90bを形成し、その上に第1の圧電セラミック層97aのもとになる圧電体グリーンシートを積層した積層体を焼成して上記の3層を形成後、この積層体の片面に導電ペーストを印刷して第1の個別電極90aを形成し、反対面に導電ペーストを印刷して共通電極98aを形成することによって製造される。
ところが、第2の個別電極90bは、上記の焼成工程において圧電体グリーンシートが膨張し、次いで大きく収縮することによって面方向の位置および形状が変化してしまう上、その変化を、焼成後に外部から確認することができない。
このため、導電ペーストを印刷して第1の個別電極90aを形成する際の位置合わせや、あるいは製造した圧電アクチュエータACを基板1上に接着、固定する際の、両個別電極90a、90bと加圧室92との位置合わせが難しいという問題がある。
また、個々の、第2の個別電極90bに配線するためには、図示していないが、導電ペーストを印刷して第2の個別電極90bを形成する際に、同時に引き出し配線を印刷、形成するか、もしくは第1の圧電セラミック層97aにビアホールを形成して配線する必要がある。
しかし、前者の場合、引き出し配線を印刷するスペースが必要となるため、ノズルピッチの微細化に対応できないという問題がある。
また、後者の場合にはビアホールを形成する工程や配線をする工程が増加する分、製造工程が複雑化する上、圧電アクチュエータACの構造がさらに複雑化するという問題がある。
図12の圧電アクチュエータACは、基板91上に、当該基板91に遠い方から順に、それぞれの加圧室92に対応して分離形成した第1の個別電極90aと、複数個の加圧室を覆う大きさを有する第1の圧電セラミック層97aと、複数個の加圧室92を覆う大きさを有する共通電極98bと、複数個の加圧室を覆う大きさを有する第2の圧電セラミック層97bと、それぞれの加圧室92に対応して分離形成した第2の個別電極90cと、上記第2の個別電極90cをインクから保護するための保護層99とを、この順に積層して圧電アクチュエータACを構成したものである。
かかる圧電アクチュエータACは、前記と同様にして製造することができる。
そして、第1および第2の個別電極90a、90cはともに、圧電体グリーンシートの焼成後に印刷、形成できるため両者間相互、および加圧室92との位置合わせが容易である。
しかし、個々の第2の個別電極90cに配線するためには、図示していないが、やはり導電ペーストを印刷して第2の個別電極90cを形成する際に、同時に引き出し配線をも印刷、形成するか、もしくは第1および第2の圧電セラミック層97a、97bにビアホールを形成して配線する必要がある。
そして、前者の場合には、前記と同様に引き出し配線を印刷するスペースが必要となるため、ノズルピッチの微細化に対応できないという問題がある。
また、後者の場合にはビアホールを形成する工程や配線をする工程が増加する分、製造工程が複雑化する上、圧電アクチュエータACの構造がさらに複雑化するという問題がある。
しかも、両圧電セラミック層97a、97bにおけるビアホールの形成位置が、前記焼成工程において面方向に不規則にずれてしまい、位置合わせが難しいという問題もある。
本発明の目的は、2層の圧電セラミック層として、ともに複数個の加圧室を覆う大きさを有する圧電セラミック層を用いる圧電アクチュエータを備えた圧電インクジェットヘッドにおいて、両圧電セラミック層に電界を印加するための電極と、その電極への配線とを、従来に比べて簡略化することができる駆動方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、発明者は、基板に遠い方から順に、いずれも複数個の加圧室を覆う大きさを有する、横振動モードの第1の圧電セラミック層、第1の共通電極、横振動モードの第2の圧電セラミック層、および第2の共通電極をこの順に積層するとともに、第1の圧電セラミック層上に、それぞれの加圧室に対応して複数個の個別電極を分離形成して、バイモルフ式の圧電アクチュエータを構成した。
この圧電アクチュエータによれば、個別電極は、圧電体グリーンシートの焼成後に印刷、形成できるため加圧室との位置合わせが容易である上、上記のように圧電アクチュエータの上面に露出しているため配線も容易である。
また、第1および第2の共通電極は位置合わせが不要である上、加圧室の形成領域外の任意の1箇所で配線接続すればよいため構造を簡略化することができ、しかも配線も容易である。
そこで、発明者は、上記圧電アクチュエータのうち、第1の圧電セラミック層の、任意の1つまたは2つ以上の加圧室に対応した領域を面方向に収縮させると共に、それと同期させて、第2の圧電セラミック層の同領域を面方向に伸長させることによって、圧電アクチュエータの該当する領域を、加圧室の方向に良好に撓み変形させるために、各電極によって両圧電セラミック層に印加する電界の極性とタイミングについてさらに検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、板状の基板を備え、この基板の片側の面に、インクが充填される加圧室となる凹部が複数個、基板の面方向に配列されていると共に、基板の内部には、それぞれの凹部ごとに、加圧室に充填されるインクをインク滴として吐出させるためのノズルが連通されており、この基板の、凹部を形成した面には、
基板に遠い方から順に、いずれも上記複数個の加圧室を覆う大きさを有する、横振動モードの第1の圧電セラミック層、第1の共通電極、横振動モードの第2の圧電セラミック層、および第2の共通電極をこの順に積層するとともに、第1の圧電セラミック層上に、それぞれの加圧室に対応して複数個の個別電極を分離形成した圧電アクチュエータが配設された圧電インクジェットヘッドを駆動するための駆動方法であって、
待機時には、両圧電セラミック層に印加する電界をともに解除して、圧電アクチュエータを初期状態としておき、
ドット形成時には、第1および第2の共通電極を用いて、第2の圧電セラミック層に、当該層の分極方向と逆方向の電界を印加し、それと同期させて、
(1) ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室においては、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に、当該層の分極方向と同方向の電界を印加することによって、圧電アクチュエータの該当する領域を、加圧室の方向に突出するように撓み変形させ、かつ
(2) ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室においては、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に、当該層の分極方向と逆方向の電界を印加することによって、圧電アクチュエータの該当する、領域を前記初期状態と同じ状態に維持することによって、
上記(1)の加圧室に連通したノズルから選択的にインク滴を吐出させてドット形成することを特徴とする。
上記本発明の駆動方法によれば、(1)の加圧室においては、第1の圧電セラミック層の、当該加圧室に対応する個別電極と共通電極との間の領域を面方向に収縮させるとともに、第2の圧電セラミック層を面方向に伸長させることによって、圧電アクチュエータの該当する領域を、前述したバイモルフ型の機能により、従来のユニモルフ型のものに比べてより小さな印加電圧で、加圧室の方向に良好に撓み変形させることができる。
また(2)の加圧室においては、第1の圧電セラミック層の、当該加圧室に対応する個別電極と第1の共通電極との間の領域を、第2の圧電セラミック層とともに面方向に伸長させることによって、圧電アクチュエータの該当する領域を、両圧電セラミック層に印加する電界をともに解除した初期状態と同じ状態に維持することができる。
そして、それによって、(1)の加圧室に連通したノズルから、選択的にインク滴を吐出させてドット形成することができる。
また、上記本発明の駆動方法においては、第1および第2の圧電セラミック層を同じ圧電材料にて同じ厚みに形成し、ドット形成時に、ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室において、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に印加する電界の電位差Vと、ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室において、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に印加する電界の電位差Vと、第2の圧電セラミック層に印加する電界の電位差Vとを、1/2V=V=Vに設定することが好ましい。
これにより、(1)の加圧室においては、圧電アクチュエータの該当する領域をさらに良好に撓み変形させることができると共に、(2)の加圧室においては、圧電アクチュエータの該当する領域を、両圧電セラミック層に印加する電界をともに解除した初期状態と同じ状態に維持することができる。
また、本発明の駆動方法においては、ドット形成時に、第2の圧電セラミック層に印加する、当該層の分極方向と逆方向の電界、この電界の印加と同期させて、第1の圧電セラミック層のうち、ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室に対応した領域に印加する、当該層の分極方向と同方向の電界、およびこれら電界の印加と同期させて、第1の圧電セラミック層のうち、ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室に対応した領域に印加する、当該層の分極方向と逆方向の電界の、印加を開始してから解除するまでの間のパルス幅を、いずれもノズル内のインクの体積速度の固有振動周期の1倍から5/4倍に設定することが好ましい。
これにより、インクの吐出効率を向上することができる。
また、発明者は、前記圧電アクチュエータを備えた圧電インクジェットヘッドの他の駆動方法についても検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、板状の基板を備え、この基板の片側の面に、インクが充填される加圧室となる凹部が複数個、基板の面方向に配列されていると共に、基板の内部には、それぞれの凹部ごとに、加圧室に充填されるインクをインク滴として吐出させるためのノズルが連通されており、この基板の、凹部を形成した面には、
基板に遠い方から順に、いずれも上記複数個の加圧室を覆う大きさを有する、横振動モードの第1の圧電セラミック層、第1の共通電極、横振動モードの第2の圧電セラミック層、および第2の共通電極をこの順に積層するとともに、第1の圧電セラミック層上に、それぞれの加圧室に対応して複数個の個別電極を分離形成した圧電アクチュエータが配設された圧電インクジェットヘッドを駆動するための駆動方法であって、
待機時には、複数個の個別電極の全てと、第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の全ての領域に、当該層の分極方向と同方向の電界を印加するとともに、第1の共通電極と第2の共通電極とを用いて、第2の圧電セラミック層に、当該層の分極方向と逆方向の、上記第1の圧電セラミック層に印加している電界とほぼ同強度の電界を印加することによって、圧電アクチュエータの、全ての加圧室に対応した領域を加圧室の方向に突出するように撓み変形させておき、
ドット形成時には、第2の圧電セラミック層に印加する電界を一旦、解除し、一定時間経過後に待機時と同じ電界を再印加するとともに、
(i) ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室においては、第2の圧電セラミック層に印加する電界の解除と同期させて、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に印加する電界も解除して、圧電アクチュエータの該当する領域を一旦、初期状態とし、次いで第2の圧電セラミック層への電界の再印加と同期させて、第1の圧電セラミック層の上記領域に、当該層の分極方向と同方向の電界を、まず待機時の約2倍の強度で印加して、圧電アクチュエータの該当する領域を、加圧室の方向に、待機時よりも大きく突出するように撓み変形させたのち、一定時間が経過した時点で上記領域に印加する電界の強度を待機時に戻して、圧電アクチュエータの該当する領域を待機状態に復帰させ、かつ
(ii) ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室においては、第2の圧電セラミック層に印加する電界の解除と同期させて、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に、当該層の分極方向と同方向の電界を、まず待機時の約2倍の強度で印加して、圧電アクチュエータの該当する領域の、加圧室の方向への撓み変形量を待機時と同じに維持したのち、第2の圧電セラミック層への電界の再印加と同期させて、上記領域に印加する電界の強度を待機時に戻して、圧電アクチュエータの該当する領域を待機状態に復帰させることによって、
上記(i)の加圧室に連通したノズルから選択的にインク滴を吐出させてドット形成することを特徴とする。
上記本発明の駆動方法によれば、待機時には、第1の圧電セラミック層の、全ての個別電極と第1の共通電極との間の領域を面方向に収縮させるとともに、第2の圧電セラミック層を面方向に伸長させることによって、圧電アクチュエータの全領域を、前述したバイモルフ型の機能により、従来のユニモルフ型のものに比べてより小さな印加電圧で、加圧室の方向に良好に撓み変形させた状態を維持することができる。
またドット形成時には、第2の圧電セラミック層の、面方向の伸長を一旦、解除した後、再び面方向に伸長させる操作を行うとともに、
(i)の加圧室においては、上記第2の圧電セラミック層の伸長の解除と同期させて、第1の圧電セラミック層の、当該加圧室に対応する個別電極と共通電極との間の領域の収縮を解除して、圧電アクチュエータの該当する領域を初期状態にすることで、ノズル部内のインクメニスカスを加圧室の方向に引き込む。
次に第2の圧電セラミック層の再伸長と同期させて、第1の圧電セラミック層の上記領域を待機時よりも大きく収縮させて、圧電アクチュエータの該当する領域を、加圧室の方向に待機時よりも大きく突出するように撓み変形させることによってインクをノズル部から突出させる。ノズルの先端から突出したインクが略円柱状に見えることから、この突出状態のインクを、一般にインク柱と称する。次いで、一定時間経過後に、上記領域の収縮量を待機時に戻して、圧電アクチュエータの該当する領域を待機状態に復帰させることで、インクを加圧室に引き戻して、インク柱を分離してインク滴を発生させることができる。
また(ii)の加圧室においては、前記第2の圧電セラミック層の、伸長の解除と同期させて、第1の圧電セラミック層の、当該加圧室に対応する個別電極と共通電極との間の領域を、待機時よりも大きく収縮させて、圧電アクチュエータの該当する領域の、加圧室の方向への変形量を待機時と同程度に維持し、次いで第2の圧電セラミック層の再伸長と同期させて、上記領域の収縮量を待機時に戻して、圧電アクチュエータの該当する領域を待機状態に復帰させることで、ノズル部からのインク滴の吐出を防止することができる。
そしてそれによって、(i)の加圧室に連通したノズル部から、選択的にインク滴を吐出させてドット形成することができる。
また、上記本発明の駆動方法においては、ドット形成時に、第2の圧電セラミック層に印加していた電界を解除してから印加を再開するまでの間のパルス幅、それと同期させて、第1の圧電セラミック層のうち、ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室に対応した領域に印加していた電界を解除してから、待機時の約2倍の強度の電界の印加を開始するまでの間のパルス幅、およびこれらと同期させて、第1の圧電セラミック層のうち、ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室に対応した領域に、待機時の約2倍の強度の電界を印加してから、電界の強度を待機時に戻すまでの間のパルス幅を、いずれもノズル内のインクの体積速度の固有振動周期の1/2倍から3/4倍に設定するのが好ましい。
これにより、インクの吐出効率を向上することができる。
図1は、本発明の駆動方法を実施するための、圧電インクジェットヘッドの一例において、圧電アクチュエータを取り付ける前の状態を示す平面図である。
図の例の圧電インクジェットヘッドは、1枚の基板1上に、加圧室2とそれに連通するノズル3とを含むドット形成部を複数個、配列したものである。
また、図2は、上記例の圧電インクジェットヘッドにおいて、圧電アクチュエータを取り付けた状態での、1つのドット形成部を拡大して示す断面図、図3は、1つのドット形成部を構成する各部の重なり状態を示す透視図である。
各ドット形成部のノズル3は、図1に白矢印で示す主走査方向に複数列並んでいる。図の例では4列に並んでおり、同一列内のドット形成部間のピッチは90dpiであって、圧電インクジェットヘッドの全体として360dpiを実現している。
各ドット形成部は、基板1の、図2において上面側に形成した、矩形状の中央部の両端に半円形の端部を接続した平面形状(図3参照)を有する加圧室2と、上記基板1の下面側の、加圧室2の一端側の端部の、半円の中心と重なる位置に形成したノズル3とを、上記端部の半円と同径の、断面円形のノズル流路4で繋ぐとともに、上記加圧室2の他端側の端部の、半円の中心と重なる位置に形成した供給口5を介して、加圧室2を、基板1内に、各ドット形成部を繋ぐように形成した共通供給路6(図1に破線で示す)に繋ぐことで構成してある。
また、上記各部は、図の例では、加圧室2を形成した第1基板1aと、ノズル流路4の上部4aと供給口5とを形成した第2基板1bと、ノズル流路4の下部4bと共通供給路6とを形成した第3基板1cと、ノズル3を形成した第4基板1dとを、この順に積層、一体化することで形成してある。
また、第1基板1aと第2基板1bには、図1に示すように、第3基板1cに形成した共通供給路6を、基板1の上面側で、図示していないインクカートリッジからの配管と接続するためのジョイント部を構成するための通孔11を形成してある。
さらに、各基板1a〜1dは、樹脂や金属などからなり、フォトリソグラフ法を利用したエッチングなどによって、上記各部となる通孔を形成した、所定の厚みを有する板体にて形成してある。
また基板1の上面側には、当該基板1に遠い、図2において上方から順に、それぞれ複数個の加圧室2を覆う大きさを有する、横振動モードの第1の圧電セラミック層7a、第1の共通電極8a、横振動モードの第2の圧電セラミック層7b、第2の共通電極8b、および共通電極8bをインクから保護するための保護層9をこの順に積層するとともに、第1の圧電セラミック層7a上に、それぞれの加圧室2に対応して分離形成した複数個の個別電極10を形成して、圧電アクチュエータACを構成してある。
圧電アクチュエータACは、従来同様に、焼成によって薄板状の圧電体となる圧電体グリーンシートを用いて製造することができる。
例えば第2の圧電セラミック層7bのもとになる圧電体グリーンシートの片面に、導電ペーストを印刷して第1の共通電極8aを形成し、その上に第1の圧電セラミック層7aのもとになる圧電体グリーンシートを積層した積層体を焼成して上記の3層を形成後、かかる積層体の片面に導電ペーストを印刷して個別電極10を形成し、反対面に導電ペーストを印刷して第2の共通電極8bを形成するとともに、保護層9を積層ことによって、圧電アクチュエータACを製造することができる。
上記の圧電アクチュエータACにおいて、第1および第2の圧電セラミック層7a、7bを形成する圧電材料としては、例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)や、当該PZTにランタン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガンなどの酸化物の1種または2種以上を添加したもの、例えばPLZTなどの、PZT系の圧電材料を挙げることができる。また、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウムなどを主要成分とするものを挙げることもできる。圧電体グリーンシートは、焼成によって上記いずれかの圧電材料となる化合物を含んでいる。
両圧電セラミック層7a、7bをともに横振動モードとするためには、圧電材料の分極方向を、その厚み方向に配向させる。そのためには、例えば高温分極法、室温分極法、交流電界重畳法、電界冷却法などの従来公知の分極法を採用することができる。また、分極後の圧電セラミック層7a、7bをエージング処理してもよい。横振動モードの圧電セラミック層は、前記のように分極方向と同方向の電界を印加すると面方向に収縮し、分極方向と逆方向の電界を印加すると面方向に伸長する。
また、第1の共通電極8aを形成する導電性のペーストとしては、例えば金、銀、白金、銅、アルミニウムなどの導電性に優れた金属の粉末を含むものを用いる。そして、かかる導電性のペーストの層を、前記のように圧電体グリーンシートとともに焼成することで、当該ペースト中の金属の粉末を焼結、ないしは溶融、一体化させて第1の共通電極8aを形成する。
また、第2の共通電極8bと個別電極10は、前記のように、上記と同様の導電性のペーストを印刷して形成することができる。ただしこれらの電極は前記の、導電性に優れた金属からなる箔やめっき被膜、真空蒸着被膜などによって形成してもよい。
上記圧電アクチュエータACにおいては、個別電極10を、圧電体グリーンシートの焼成後に形成できるため加圧室2との位置合わせが容易である上、当該個別電極10が、上記のように圧電アクチュエータACの上面に露出しているため配線も容易である。
また第1および第2の共通電極8a、8bは位置合わせが不要である上、加圧室2の形成領域外の任意の1箇所で配線接続すればよいため構造を簡略化することができる。また配線も容易である。
上記圧電アクチュエータACを、基板1上に、接着剤を介して接着するなどして固定すると、圧電インクジェットヘッドが得られる。
〈圧電インクジェットヘッドの駆動方法I〉
上記圧電インクジェットヘッドを駆動してドット形成するための、本発明の第1の駆動方法を、図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
なお、図5(a)〜(c)は、第1の駆動方法において、両圧電セラミック層7a、7bに印加する電界の、パルス波形の一例を示すグラフである。
すなわち、図5(a)は、ノズル部3を通してインク滴を吐出させる前記(1)の加圧室2において、当該加圧室2に対応する個別電極10と、第1の共通電極8aとを用いて、第1の圧電セラミック層7aの、両電極間の領域に印加する電界のパルス波形を示している。また、図5(b)は、インク滴を吐出させない前記(2)の加圧室2において、第1の圧電セラミック層7aの上記領域に印加する電界のパルス波形を示している。さらに、図5(c)は、第1および第2の共通電極8a、8bを用いて、第2の圧電セラミック層7bに印加する電界のパルス波形を示している。
なおこれらの図では、両圧電セラミック層7a、7bの分極方向と同方向の電界を(+)、逆方向の電界を(−)として表している。共通電極8aは接地している。
上記の駆動方法において、待機時〔図5(a)〜(c)中の0点からTまで、およびT以降〕には、第1および第2の圧電セラミック層7a、7bに印加する電界をともに解除(電位差0V)して、圧電アクチュエータACを初期状態としておく〔図4(a)〕。
この状態では、インクカートリッジから供給されたインクが、当該インクカートリッジの配管、ジョイント部11、共通供給路6、供給口5、加圧室2、およびノズル流路4を満たすとともに、ノズル部3内にインクメニスカスを形成した状態で静止している。
なお図中の、両圧電セラミック層7a、7b内に記載した白抜きの矢印は、それぞれ両層7a、7bの分極方向を示している。図では両層7a、7bの分極方向を同一方向に揃えているが、互いに逆方向であってもよい。
そしてドット形成時には、第1および第2の共通電極8a、8bを用いて、第2の圧電セラミック層7bに、図4(b)、図4(c)中の第2の圧電セラミック層7b内に黒矢印で示したように、当該層7bの分極方向と逆方向の、所定の電位差〔図5(c)中のV〕の電界を、所定のパルス幅Wで印加する。
またそれと同時に、(1)の加圧室2においては、個別電極10と第1の共通電極8aとを用いて、図4(b)中の第1の圧電セラミック層7a内に黒矢印で示したように、当該層7aの、両電極10、8a間の領域に、その分極方向と同方向の、所定の電位差〔図5(a)中のV〕の電界を、同じパルス幅Wで印加する。
そうすると、第1の圧電セラミック層7aの上記領域を面方向に収縮させるとともに、第2の圧電セラミック層7bを面方向に伸長させることによって、圧電アクチュエータACの該当する領域を、バイモルフ型の機能により、従来のユニモルフ型のものに比べてより小さな印加電圧でもって、同図中の、加圧室2内に大きい白抜きの矢印で示した方向に突出するように、良好に撓み変形させることができる。
また、それと同時に、(2)の加圧室2においては、個別電極10と第1の共通電極8aとを用いて、図4(c)中の第1の圧電セラミック層7a内に黒矢印で示したように、当該層7aの、両電極10、8a間の領域に、上記と逆方向の、所定の電位差〔図5(b)中のV〕の電界を、やはり同じパルス幅Wで印加する。
そうすると、第1の圧電セラミック層7aの上記領域を、第2の圧電セラミック層7bとともに面方向に伸長させることによって、圧電アクチュエータACの該当する領域を、前記初期状態と同じ状態に維持することができる。
そして、圧電アクチュエータACのうち(1)の加圧室2に対応する領域を選択的に撓み変形させて、インクを、ノズル部3を通して液滴状に吐出させることによってドット形成することができる。
所定のパルス幅Wの電界を印加した後は、再び待機状態に戻る〔図5(a)〜(c)のT以降〕。
また、連続してドット形成する場合は、所定のインターバルを置いて、上記パルス幅Wの電界の印加を繰り返し行えばよい。
両圧電セラミック層7a、7bに印加する電界の強度はとくに限定されないが、全く同じ圧電材料からなる同じ厚みの圧電セラミック層7a、7bの場合は、電位差V、Vをともに、電位差Vのおよそ1/2程度とするのが好ましい。これにより、(1)の加圧室2においては、圧電アクチュエータACの該当する領域をさらに良好に撓み変形させることができる。それと共に、(2)の加圧室2においては、圧電アクチュエータACの該当する領域を、初期状態と同じ状態に維持することができる。
上記駆動方法により、(1)の加圧室2に連通したノズル3を通してインクを吐出してドット形成する過程を、第1の圧電セラミック層7aに印加する電界のパルス波形(図5(a)のパルス波形)と、かかるパルス波形が与えられた際の、ノズル3における、インクの体積速度の変化との関係を示す図6を参照しながら説明する。
図6中のTより左側の待機状態においては、第1の圧電セラミック層7aに電界Vが印加されず(V=0)、また、図示していないが第2の圧電セラミック層7bにも電界が印加されていないため、加圧室2の容積は初期のままで、ノズル3におけるインクの体積速度は0を維持する。
ノズル3からインク滴を吐出させて、紙面にドットを形成するに際し、その直前のTの時点で、第1の圧電セラミック層7aにV=Vの電界が印加されると共に、第2の圧電セラミック層7bにVの電界が印加されることによって、圧電アクチュエータACの該当する領域が、先に説明したように、加圧室2内に突出するように撓み変形すると、加圧室2の容積が一定量だけ減少するため、ノズル3内のインクは、その容積の減少分だけ、インクメニスカスがノズル3の外方側に押し出される。その際の、ノズル3内でのインクの体積速度は、図6のTとTの間の部分に示すように、(+)の側に大きくなって最大となり、その後減少に転じ、さらに(−)の側に大きくなって最小となり、その後増加に転じ、やがて0に近づく。これは、太線の実線で示すインクの体積速度の固有振動周期Cに相当する。
ここまでの時点での、インクの動きをさらに説明すると、ノズル3内のインクは、まず、圧電アクチュエータACの最初の撓みによって、ノズル3の外方に押し出される。次いで、インクの固有振動によって、ノズル3内のインクの体積速度が(−)の側に大きくなると、ノズル3の外方側に押し出されたインクに、ノズル内に後退する方向の力が加わる。しかし、ノズル3外に押し出されていたインクの先頭は、そのまま、押し出し方向に進行するため、インクが、インクメニスカスから、その押し出し方向に長く引き伸ばされて、インク柱が形成される。
次に、ノズル3でのインクの体積速度が0になるか、または0を過ぎたTの時点で、第1の圧電セラミック層7aへの電界の印加が停止される(V=0)と共に、第2の圧電セラミック層7bへの電界の印加も停止されて、圧電アクチュエータACの撓みが解除される。この操作は、太線の一点鎖線で示すように、パルス幅Wが固有振動周期Cと近似している図5(a)のパルス波形を有する電界を、第1の圧電セラミック層7aに印加すると共に、同じパルス幅Wを有する図5(c)のパルス波形を有する電界を、第2の圧電セラミック層7bに印加していることに相当する。
ノズル3内のインクの体積速度が0の時点で、ノズル3内のインクメニスカスは、加圧室2側に最も後退した位置にあるが、その後、インクの固有振動によって、再び、ノズル3の外方側に出ようとする。つまりTの時点で、ノズル3内のインクメニスカスは、加圧室2側に最も後退した位置から、ノズル3の外方側に出ようとする運動途上にある。
そこで、このTの時点で、圧電アクチュエータACの撓みを解除して加圧室2の体積を増加させることによって、逆位相のインク振動を発生させると、インクメニスカスの上記運動が抑制され、インク柱が分離されて、インク滴が形成される。そして、形成されたインク滴が紙面に到達することによって、紙面にドットが形成される。
上で説明したように、インク滴吐出のメカニズムを考慮すると、パルス幅Wは、ノズル3内でのインクの体積速度の固有振動周期Cと近似していることが好ましい。その具体的な範囲については特に限定されないが、パルス幅Wを、固有振動周期Cの1倍から5/4倍に設定するのが好ましい。この範囲内であれば、上で説明したメカニズムにより、ノズル3内のインクメニスカスから、より多くのインクを分離させて、インク滴として吐出させることができるため、インクの吐出効率を向上することができる。
〈圧電インクジェットヘッドの駆動方法II〉
前記圧電インクジェットヘッドを駆動してドット形成するための、本発明の第2の駆動方法を、図7(a)〜(c)、図8(a)(b)、図9(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
なお図9(a)〜(c)は、第2の駆動方法において、両圧電セラミック層7a、7bに印加する電界のパルス波形の一例を示すグラフである。
すなわち図9(a)は、ノズル部3を通してインク滴を吐出させる前記(i)の加圧室2において、当該加圧室2に対応する個別電極10と、第1の共通電極8aとを用いて、第1の圧電セラミック層7aの、両電極間の領域に印加する電界のパルス波形を示している。また図9(b)は、インク滴を吐出させない前記(ii)の加圧室2において、第1の圧電セラミック層7aの上記領域に印加する電界のパルス波形を示している。さらに図9(c)は、第1および第2の共通電極8a、8bを用いて、第2の圧電セラミック層7bに印加する電界のパルス波形を示している。
なおこれらの図では、前記と同様に両圧電セラミック層7a、7bの分極方向と同方向の電界を(+)、逆方向の電界を(−)として表している。共通電極8aは接地している。
上記の駆動方法において、図9(a)〜(c)中のT以前の待機時には、複数個の個別電極10の全てと、第1の共通電極8aとを用いて、第1の圧電セラミック層7aの、両電極10、8a間の全ての領域に、図7(a)中の第1の圧電セラミック層7a内に黒矢印で示したように、当該層7aの分極方向(同図中の層7a内に白矢印で示す)と同方向の、所定の電位差〔図9(a)(b)中のV〕の電界を印加する。
また、それとともに、第1および第2の共通電極8a、8bを用いて、第2の圧電セラミック層7bに、図7(a)中の第2の圧電セラミック層7b内に黒矢印で示したように、当該層7bの分極方向(同図中の層7b内に白矢印で示す)と逆方向の、所定の電位差〔図9(c)中のV〕の電界を印加する。
両電界の電位差V、Vはほぼ同強度とする。
そうすると第1の圧電セラミック層7aの、全ての個別電極10と第1の共通電極8aとの間の領域を面方向に収縮させるとともに、第2の圧電セラミック層7bを面方向に伸長させることによって、圧電アクチュエータACの全領域を、前述したバイモルフ型の機能により、従来のユニモルフ型のものに比べてより小さな印加電圧で、加圧室2内に大きい白抜きの矢印で示した方向に突出するように、良好に撓み変形させた状態を維持することができる。
この状態では、インクカートリッジから供給されたインクが、当該インクカートリッジの配管、ジョイント部11、共通供給路6、供給口5、加圧室2、およびノズル流路4を満たすとともに、ノズル部3内にインクメニスカスを形成した状態で静止している。
そしてドット形成時には、前記Tの時点で、第1および第2の共通電極8a、8bを用いて第2の圧電セラミック層7bに印加していた電界を一旦、解除(電位差0V)して、当該層7bの面方向の伸長を解除したのち、その直後のTの時点で再び待機時と同じ所定の電位差Vの電界を印加して、当該層7bを面方向に同量、伸長させる操作を行う。
また(i)の加圧室2においては、上記操作と同期させて、Tの時点で、当該加圧室2に対応した個別電極10と第1の共通電極8aとを用いて、第1の圧電セラミック層7aの、両電極10、8a間の領域に印加していた電界も解除(電位差0V)して、当該領域の面方向の収縮を解除する〔図7(b)〕。
そうすると圧電アクチュエータACの該当する領域を初期状態にすることで、ノズル部3内のインクメニスカスを加圧室2の方向に引き込むことができる。
次に、前記Tの時点で、個別電極10と第1の共通電極8aとを用いて、図7(c)中の第1の圧電セラミック層7a内に黒矢印で示したように、当該層7aの、両電極10、8a間の領域に、その分極方向と同方向の、所定の電位差〔図9(a)中のV〕の電界を印加する。
電位差Vは、待機時の電位差Vの約2倍の強度とし、それにより第1の圧電セラミック層7aの両電極10、8a間の領域を、待機時よりも大きく面方向に収縮させて、第2の圧電セラミック層7bの面方向の伸長と合わせて、前述したバイモルフ型の機能により、圧電アクチュエータACの該当する領域を、加圧室2内に大きい白抜きの矢印で示した方向に、待機時よりも大きく突出するように撓み変形させることによって、インクをノズル部3から柱状に吐出させる。
そしてその直後の、図9(a)中のTの時点で、両電極10、8a間に印加している電界の強度を再びVまで低下させて、第1の圧電セラミック層7aの、両電極10、8a間の領域の収縮量を待機時に戻すことによって、圧電アクチュエータACの、該当する領域を待機状態に復帰させて、インクを加圧室2に引き戻すことでインク柱を分離してインク滴を発生させることができる。
また、(ii)の加圧室2においては、前記Tの時点で、個別電極10と第1の共通電極8aとを用いて、図8(a)中の第1の圧電セラミック層7a内に黒矢印で示したように、当該層7aの、両電極10、8a間の領域に、その分極方向と同方向の、所定の電位差〔図9(b)中のV〕の電界を印加する。
電位差Vは、待機時の電位差Vの約2倍の強度とし、それにより第1の圧電セラミック層7aの、両電極10、8a間の領域を待機時よりも大きく面方向に収縮させて、第2の圧電セラミック層7bの面方向の伸長が解除されているのを補って、圧電アクチュエータACの該当する領域の、加圧室2内に大きい白抜きの矢印で示した方向の撓み変形量を、待機時と同程度に維持することができる。
そして前記Tの時点で、第2の圧電セラミック層7bに電界が印加されて、再び面方向に伸長するのと同期させて、当該層7aの、両電極10、8a間の領域に印加する電界の電位差を再びVまで低下させる〔図9(b)〕。
そうすると、第1の圧電セラミック層7aの、両電極10、8a間の領域の、面方向の収縮量を待機時に戻して、第2の圧電セラミック層7bの面方向の伸長と合わせて、前述したバイモルフ型の機能により、圧電アクチュエータACの該当する領域を待機状態に復帰させることができる〔図8(b)〕。
このため、(ii)の加圧室2においては、当該ノズル部3内のインクメニスカスの静止状態を維持して、インク滴が吐出されるのを防止することができる。
そして、それによって、(i)の加圧室2に連通したノズル部3から、選択的にインク滴を吐出させてドット形成することができる。
連続してドット形成する場合は、所定のインターバルを置いて、上記一連の電界の印加を繰り返し行えばよい。
上記駆動方法により、(i)の加圧室2に連通したノズル3を通してインクを吐出してドットを形成する過程を、第1の圧電セラミック層7aに印加する電界のパルス波形(図9(a)のパルス波形)と、かかるパルス波形が与えられた際の、ノズル3における、インクの体積速度の変化との関係を示す図10を参照しながら説明する。
図10中のTより左側の待機時においては、先に説明したように、第1の圧電セラミック層7aに、継続的に、電界V=Vが印加されると共に、図示していないが、第2の圧電セラミック層7bに、継続的に、電界Vが印加されて、圧電アクチュエータACが一定の形状に撓み続けており、加圧室2の容積が一定量、減少されている状態が維持されるため、この間、ヘッド内のインクは静止状態、すなわち、ノズル3におけるインクの体積速度は0を維持する。
ノズル3からインク滴を吐出させて、紙面にドットを形成するに際し、その直前のTの時点で、第1の圧電セラミック層7aへの電解の印加が停止される(V=0)と共に、第2の圧電セラミック層7bへの電解の印加も停止されて、圧電アクチュエータACの撓みが解除されると、加圧室2の容積が一定量だけ増加するため、ノズル3内のインクは、その容積の増加分だけ、インクメニスカスが加圧室2の側に引き込まれる。その際の、ノズル内でのインクの体積速度は、図10のTとTの間の部分に示すように一旦、(−)の側に大きくなった後、徐々に小さくなって、やがて0に近づく。これは、太線の実線で示すインクの体積速度の固有振動周期Cの、ほぼ半周期分に相当する。
そして、ノズルでのインクの体積速度が限りなく0に近づいたTの時点で、第1の圧電セラミック層7aにV=Vの電界が印加されると共に、第2の圧電セラミック層7bに再びVの電界が印加されて、圧電アクチュエータACが撓み変形する。この操作は、太線の一点鎖線で示すように、パルス幅Wが固有振動周期Cの約半分である図9(a)のパルス波形を有する電界を、第1の圧電セラミック層7aに印加すると共に、同じパルス幅Wを有する図9(c)のパルス波形を有する電界を、第2の圧電セラミック層7bに印加していることに相当する。
この電界の印加により、ノズル3内のインクは、インクメニスカスが加圧室2の側に最も大きく引き込まれた静止状態(Tの時点の、体積速度が0の状態)から、逆に(+)の方向へ戻ろうとしているところに、圧電アクチュエータACを撓ませて加圧室2の容積を減少させることによって当該加圧室2から押し出されたインクの圧力が加わることになる。このため、インクは、ノズル3の先端から大きく(+)の側に突出してインク柱を形成する。そして、インク柱が伸びきった時点でインク滴として分離し、飛翔して、紙面に到達することによって、紙面にドットが形成される。
上で説明したように、インク的吐出のメカニズムを考慮すると、パルス幅Wは、ノズル3内でのインクの体積速度の固有振動周期C2の約半分ことが好ましい。その具体的な範囲については特に限定されないが、パルス幅Wを、固有振動周期Cの1/2倍から3/4倍に設定するのが好ましい。この範囲内であれば、上で説明したメカニズムにより、ノズル3内のインクメニスカスから、より多くのインクを分離させて、インク滴として吐出させることができるため、インクの吐出効率を向上することができる。
また、図9(a)のパルス波形のうち、両電極10、8a間に印加している電界の強度をVからVまで低下させるTのタイミングは、図10に示すように、ノズル内のインクメニスカスが、インク滴の吐出後、さらに振動して、(−)から(+)に戻ろうとするタイミングとほぼ同期させるのが好ましい。これにより、その後のインクメニスカスの振動を抑制することができる。
以下に本発明を、実施例に基づいて説明する。
圧電インクジェットヘッドの作製
図1〜図3に示す構造を有し、なおかつ加圧室2の面積が0.2mm、幅が200μm、深さが100μm、ノズル部3の直径が25μm、長さが30μm、ノズル流路4の直径が200μm、長さが800μm、供給口5の直径が25μm、長さが30μm、第1の圧電セラミック層7aの厚みが20μm、第2の圧電セラミック層7bの厚みが20μmである圧電インクジェットヘッドを作製した。
上記圧電インクジェットヘッドの、1つの加圧室2に対応する個別電極10と、第1の共通電極8aとを用いて、第1の圧電セラミック層7aの、上記両電極間に挟まれた領域に、図5(a)に示すパルス波形を有する、電位差V=20Vの電界を印加し、またそれと同時に第1および第2の共通電極8a、8bを用いて、第2の圧電セラミック層7bに、図5(c)に示すパルス波形を有する、電位差V=10Vの電界を印加して圧電アクチュエータACを撓み変形させた。そしてその撓み量を、個別電極10の中央部の変位量として、レーザードップラー振動計を用いて測定したところ0.10μmであった。
また、比較のため、第2の圧電セラミック層7bには電界を印加せずに、第1の圧電セラミック層7aの上記領域にのみ、同じく電位差圧電V=20Vの電界を印加してアクチュエータACを撓み変形させて、その撓み変形量を測定したところ0.07μmであった。
そしてこのことから、バイモルフ型の構成とすることで、ユニモルフ型の約1.5倍の撓み性能が得られることが確認された。
また上記圧電インクジェットヘッドの、共通供給路6、供給口5、加圧室2、ノズル流路4、およびノズル部3に、実際にインクを充てんした状態で、1つの加圧室2に対応する個別電極10と、第1の共通電極8aとを用いて、第1の圧電セラミック層7aの、上記両電極間に挟まれた領域に、図9(a)に示すパルス波形の電界を印加し、またそれと同時に第1および第2の共通電極8a、8bを用いて、第2の圧電セラミック層7bに、図9(c)に示すパルス波形の電界を印加して、ノズル部3からインク滴を吐出させたところ、その速度は約8m/sであった。なお電界の強度は、V=V=10V、V=20Vとした。
また比較のため、第2の圧電セラミック層7bには電界を印加せずに、第1の圧電セラミック層7aの上記領域にのみ、同じパルス波形の電界を印加して、引き打ち式の駆動方法により、ノズル部3からインク滴を吐出させたところ、その速度は約4m/sであった。
そしてこのことから、バイモルフ型の構成とすることで、ユニモルフ型の約2倍の吐出性能が得られることが確認された。
本発明の駆動方法で用いる圧電インクジェットヘッドの一例において、圧電アクチュエータを取り付ける前の状態を示す平面図である。 図1の例の圧電インクジェットヘッドにおいて、圧電アクチュエータを取り付けた状態での、1つのドット形成部を拡大して示す、図3のA−A線断面図である。 1つのドット形成部を構成する各部の重なり状態を示す透視図である。 同図(a)〜(c)はそれぞれ、上記例の圧電インクジェットヘッドを本発明の第1の駆動方法によって駆動する際に、第1および第2の圧電セラミック層に印加する電界の方向と、両圧電セラミック層の分極方向との関係を説明する断面図である。 同図(a)〜(c)はそれぞれ、上記駆動方法において両圧電セラミック層に印加する電界のパルス波形を示すグラフである。 上記第1の駆動方法において、第1の圧電セラミック層に印加する電界のパルス波形と、かかるパルス波形が与えられた際の、ノズルにおける、インクの体積速度の変化との関係を簡略化して示すグラフである。 同図(a)〜(c)はそれぞれ、上記例の圧電インクジェットヘッドを本発明の第2の駆動方法によって駆動する際に、第1および第2の圧電セラミック層に印加する電界の方向と、両圧電セラミック層の分極方向との関係を説明する断面図である。 同図(a)(b)はそれぞれ、上記例の圧電インクジェットヘッドを本発明の第2の駆動方法によって駆動する際に、第1および第2の圧電セラミック層に印加する電界の方向と、両圧電セラミック層の分極方向との関係を説明する断面図である。 同図(a)〜(c)はそれぞれ、上記駆動方法において両圧電セラミック層に印加する電界のパルス波形を示すグラフである。 上記第2の駆動方法において、第1の圧電セラミック層に印加する電界のパルス波形と、かかるパルス波形が与えられた際の、ノズルにおける、インクの体積速度の変化との関係を簡略化して示すグラフである。 従来の、バイモルフ型の圧電インクジェットヘッドにおける電極の構成の一例を示す断面図である。 従来の、バイモルフ型の圧電インクジェットヘッドにおける電極の構成の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1 基板
2 加圧室
3 ノズル
7a 第1の圧電セラミック層
7b 第2の圧電セラミック層
8a 第1の共通電極
8b 第2の共通電極
10 個別電極
AC 圧電アクチュエータ

Claims (5)

  1. 板状の基板を備え、この基板の片側の面に、インクが充填される加圧室となる凹部が複数個、基板の面方向に配列されていると共に、基板の内部には、それぞれの凹部ごとに、加圧室に充填されるインクをインク滴として吐出させるためのノズルが連通されており、この基板の、凹部を形成した面には、
    基板に遠い方から順に、いずれも上記複数個の加圧室を覆う大きさを有する、横振動モードの第1の圧電セラミック層、第1の共通電極、横振動モードの第2の圧電セラミック層、および第2の共通電極をこの順に積層するとともに、第1の圧電セラミック層上に、それぞれの加圧室に対応して複数個の個別電極を分離形成した圧電アクチュエータが配設された圧電インクジェットヘッドを駆動するための駆動方法であって、
    待機時には、両圧電セラミック層に印加する電界をともに解除して、圧電アクチュエータを初期状態としておき、
    ドット形成時には、第1および第2の共通電極を用いて、第2の圧電セラミック層に、当該層の分極方向と逆方向の電界を印加し、それと同期させて、
    (1) ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室においては、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に、当該層の分極方向と同方向の電界を印加することによって、圧電アクチュエータの該当領域を加圧室の方向に突出するように撓み変形させ、かつ
    (2) ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室においては、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に、当該層の分極方向と逆方向の電界を印加することによって、圧電アクチュエータの該当領域を前記初期状態と同じ状態に維持することによって、
    上記(1)の加圧室に連通したノズルから選択的にインク滴を吐出させてドット形成することを特徴とする圧電インクジェットヘッドの駆動方法。
  2. 第1および第2の圧電セラミック層を同じ圧電材料にて同じ厚みに形成し、ドット形成時に、ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室において、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に印加する電界の電位差Vと、ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室において、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に印加する電界の電位差Vと、第2の圧電セラミック層に印加する電界の電位差Vとを、1/2V=V=Vに設定する請求項1記載の圧電インクジェットヘッドの駆動方法。
  3. ドット形成時に、第2の圧電セラミック層に印加する、当該層の分極方向と逆方向の電界、この電界の印加と同期させて、第1の圧電セラミック層のうち、ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室に対応した領域に印加する、当該層の分極方向と同方向の電界、およびこれら電界の印加と同期させて、第1の圧電セラミック層のうち、ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室に対応した領域に印加する、当該層の分極方向と逆方向の電界の、印加を開始してから解除するまでの間のパルス幅を、いずれもノズル内のインクの体積速度の固有振動周期の1倍から5/4倍に設定する請求項1記載の圧電インクジェットヘッドの駆動方法。
  4. 板状の基板を備え、この基板の片側の面に、インクが充填される加圧室となる凹部が複数個、基板の面方向に配列されていると共に、基板の内部には、それぞれの凹部ごとに、加圧室に充填されるインクをインク滴として吐出させるためのノズルが連通されており、この基板の、凹部を形成した面には、
    基板に遠い方から順に、いずれも上記複数個の加圧室を覆う大きさを有する、横振動モードの第1の圧電セラミック層、第1の共通電極、横振動モードの第2の圧電セラミック層、および第2の共通電極をこの順に積層するとともに、第1の圧電セラミック層上に、それぞれの加圧室に対応して複数個の個別電極を分離形成した圧電アクチュエータが配設された圧電インクジェットヘッドを駆動するための駆動方法であって、
    待機時には、複数個の個別電極の全てと、第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の全ての領域に、当該層の分極方向と同方向の電界を印加するとともに、第1の共通電極と第2の共通電極とを用いて、第2の圧電セラミック層に、当該層の分極方向と逆方向の、上記第1の圧電セラミック層に印加している電界とほぼ同強度の電界を印加することによって、圧電アクチュエータの、全ての加圧室に対応した領域を加圧室の方向に突出するように撓み変形させておき、
    ドット形成時には、第2の圧電セラミック層に印加する電界を一旦、解除し、一定時間経過後に待機時と同じ電界を再印加するとともに、
    (i) ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室においては、第2の圧電セラミック層に印加する電界の解除と同期させて、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に印加する電界も解除して、圧電アクチュエータの該当領域を一旦、初期状態とし、次いで第2の圧電セラミック層への電界の再印加と同期させて、第1の圧電セラミック層の上記領域に、当該層の分極方向と同方向の電界を、まず待機時の約2倍の強度で印加して、圧電アクチュエータの該当領域を、加圧室の方向に、待機時よりも大きく突出するように撓み変形させたのち、一定時間が経過した時点で上記領域に印加する電界の強度を待機時に戻して、圧電アクチュエータの該当領域を待機状態に復帰させ、かつ
    (ii) ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室においては、第2の圧電セラミック層に印加する電界の解除と同期させて、当該加圧室に対応した個別電極と第1の共通電極とを用いて、第1の圧電セラミック層の、両電極間の領域に、当該層の分極方向と同方向の電界を、まず待機時の約2倍の強度で印加して、圧電アクチュエータの該当領域の、加圧室の方向への撓み変形量を待機時と同じに維持したのち、第2の圧電セラミック層への電界の再印加と同期させて、上記領域に印加する電界の強度を待機時に戻して、圧電アクチュエータの該当領域を待機状態に復帰させることによって、
    上記(i)の加圧室に連通したノズルから選択的にインク滴を吐出させてドット形成することを特徴とする圧電インクジェットヘッドの駆動方法。
  5. ドット形成時に、第2の圧電セラミック層に印加していた電界を解除してから印加を再開するまでの間のパルス幅、それと同期させて、第1の圧電セラミック層のうち、ノズルを通してインク滴を吐出させる加圧室に対応した領域に印加していた電界を解除してから、待機時の約2倍の強度の電界の印加を開始するまでの間のパルス幅、およびこれらと同期させて、第1の圧電セラミック層のうち、ノズルを通してインク滴を吐出させない加圧室に対応した領域に、待機時の約2倍の強度の電界を印加してから、電界の強度を待機時に戻すまでの間のパルス幅を、いずれもノズル内のインクの体積速度の固有振動周期の1/2倍から3/4倍に設定する請求項4記載の圧電インクジェットヘッドの駆動方法。
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