JP4563726B2 - 圧電インクジェットヘッド - Google Patents

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本発明は、圧電インクジェットヘッドに関し、特に、プリンター、コピア、ファクシミリ、および、それらの複合機などに好適に用いることができる、圧電インクジェットヘッドに関するものである。
オンデマンド型のインクジェットプリンタなどに用いる、圧電素子の電歪効果を駆動源とする圧電インクジェットヘッドとしては、例えば特許文献1において説明されているように、インクが充填される加圧室を、板状の基板の片側の面に、その面方向に複数個、配列し、かつそれぞれの加圧室ごとにインク吐出のためのノズルを連通すると共に、各加圧室ごとに、圧電素子を含む駆動部を配設したものが広く用いられている。
上記の圧電インクジェットヘッドにおいては、それぞれの加圧室に対応する圧電素子のうち、任意の1つまたは2つ以上の圧電素子に個別に駆動電圧を印加して変形させることによって、その圧電素子に対応する加圧室の容積を減少させて、加圧室内のインクを、連通するノズルからインク滴として吐出させて紙面にドットを形成している。
詳しく説明すると、圧電素子と、圧電素子を支持する振動板とを含む駆動部が、圧電素子が発生する力を加圧室内のインクに圧力として伝えることで、この加圧室に連通するノズルからインク滴を吐出させるための駆動源としての役割を果たしている。すなわち駆動部は、圧電素子の、駆動電圧の印加による変形によって、振動板を、加圧室の方向に突出するように撓ませて、加圧室の容積を減少させることにより、加圧室内のインクを加圧して、ノズルの先端からインク滴として吐出させる。
それと同時に駆動部は、加圧室内のインクの圧力を受けることによって振動板が上記と反対方向に撓むため、ヘッド内のインクの振動に対して弾性体としての役割も持っている。
圧電素子に駆動電圧を印加して力を発生させると、ヘッド内のインクは、振動板を介して駆動部から受けた圧力によって振動を起こす。この振動は、駆動部と加圧室とを弾性、加圧室にインクを供給する供給口、加圧室とノズルとを繋ぐノズル流路、およびノズルを慣性として発生する。この振動における、ヘッド内のインクの、体積速度の固有振動周期は、上記各部の寸法とインクの物性値、駆動部の寸法と物性値とによって決まる。
圧電インクジェットヘッドにおいては、このインクの振動による、ノズル内でのインクメニスカスの振動を利用してインク滴を発生させて、紙面にドットを形成している。
圧電インクジェットヘッドの解像度を高め、かつ圧電インクジェットヘッドを小型化するためには、ノズル間のピッチをできる限り小さくしなければならない。また、ヘッドの解像度が上がりノズル数が増えてくると、各加圧室ごとに個別に、独立した圧電素子を配置することが難しい。そのため最近では、横振動モードの薄板状の圧電素子を、当該圧電素子を挟んで配置される、圧電素子に駆動電圧を印加するための一対の電極のうち下側(振動板側)の電極(共通電極)や振動板と共に、複数の加圧室を覆う大きさに一体形成したタイプ(「素子共通タイプ」とする)の圧電インクジェットヘッドが主流になってきた。なお、一対の電極のうち、圧電素子の上側に配置される電極(個別電極)は、個々の圧電素子に個別に駆動電圧を印加するため、個々の加圧室に対応する所定の形状に分離形成される。
素子共通タイプの圧電インクジェットヘッドにおいては、圧電素子の面内で個別電極と共通電極とに挟まれた領域(「駆動領域」とする)に、個別電極から駆動電圧を印加して電界を発生させると、当該駆動領域を、あたかも独立した圧電素子と同様に駆動させて、該当する加圧室内のインクを加圧することができる。
特開平5−318731号公報(第0009欄、第0010欄、図1〜図4)
ところが、隣り合う加圧室同士があまりに近接しすぎていると、特定の加圧室に対応した圧電素子(素子共通タイプの場合は駆動領域)を駆動させた際に、それと隣接する周囲の加圧室に対応した圧電素子(または駆動領域)が、上記圧電素子の駆動による影響を受けやすくなるという問題がある。特に、素子共通タイプの圧電インクジェットヘッドにおいてこの問題が顕著である。
すなわち、素子共通タイプの圧電インクジェットヘッドにおいては、図6に示すように、横振動モードの薄板状の圧電素子9が、共通電極8および振動板7を介して、基板1の、隣接する加圧室2間を隔てる隔壁1eの上端面に固定されており、それによって圧電素子9は、個別電極10の平面形状によって規定される駆動領域の周囲を、上記隔壁1eの上端面に固定した非駆動領域によって拘束した構造とされている。
そして、例えば図において左から2番目の個別電極10に駆動電圧を印加して、圧電素子9の、上記個別電極10に対応する駆動領域を駆動させ、それによって当該駆動領域と、その直下の共通電極8、振動板7を、図7中に白抜きの矢印で示す方向(「正方向」とする)に変形させることで、加圧室2の容積を減少させてインクを吐出させる操作を行うと、図では片方しか示していないが、両側の加圧室2上の振動板7、共通電極8、および圧電素子9の駆動領域が、図中に黒矢印で示すように逆に、加圧室2内の容積を増加させる方向(「負方向」とする)に変形してしまう。
このため、例えば図7の状態から、さらに負方向の変形が発生している隣接した加圧室2上の個別電極10に駆動電圧を印加して、圧電素子9の、当該個別電極10に対応する駆動領域を駆動させた場合、その正方向の変形量は、隣接する両側の駆動領域をともに駆動させない状態で、該当する駆動領域を単独で駆動させた際の正方向の変形量から、上記負方向の変形量を差し引いた値となる。それゆえ、振動板7を介してその直下の加圧室2内のインクに加わる吐出のための圧力がその分だけ低下して、ノズル部から吐出されるインク滴が小さくなったり、吐出速度が低下したりする結果、ドット径が小さくなったりドット形状が変形したりしてしまう。
この現象は、薄板状の圧電素子9の、面方向に配列した複数の駆動領域間で重畳的に発生する。
例えば圧電素子9の、1つの駆動領域を挟む両側の駆動領域をともに駆動させた状態で、その間に挟まれた駆動領域を駆動させた際には、当該駆動領域の正方向の変形量は、上記の場合よりもさらに小さくなる。
また、隣接する駆動領域の影響に比べればはるかに小さくなるが、例えば1つ置いてさらに隣の駆動領域の駆動状態や、あるいは隣の列の、近接した駆動領域の駆動状態なども、特定の駆動領域の駆動状態に影響を及ぼす。
このため、特定の1つの駆動領域について見てみると、その周囲の複数の駆動領域の駆動状態に応じて、つまり形成する画像のドットパターンに応じて、当該駆動領域の正方向の変形量が変化するため、ドット径やドット形状がばらついてしまう。
上記の現象は、各加圧室ごとに圧電素子を個別に分離、形成した従来のタイプ(「素子分離タイプ」とする)においても同様に発生する。その場合は、振動板とその上の共通電極の変形が、隣接する加圧室上の圧電素子に影響する。
本発明の目的は、個々の駆動領域、もしくは個別の圧電素子の駆動状態が、その周囲の、他の複数の駆動領域または圧電素子の駆動状態の影響を受けることがないため、形成する画像のドットパターンに応じてドット径やドット形状がばらつくおそれのない圧電インクジェットヘッドを提供することにある。
上記課題を解決するため、発明者は、圧電インクジェットヘッドの構造について再検討した。
その結果、従来の圧電インクジェットヘッドにおいては、前述したように加圧室が近接しすぎて、隣り合う加圧室間を隔てる隔壁の、基板の厚み方向の高さよりも面方向の幅が小さいため、前記の現象を生じることを見出した。
すなわち素子共通タイプの圧電インクジェットヘッドの場合を例にとって説明すると、図6に見るように隔壁1eの、基板の厚み方向の高さhよりも面方向の幅wが小さいため、図7に示すように特定の駆動領域の駆動時に、当該駆動領域の面方向の収縮に伴って、かかる駆動領域を囲む非駆動領域を構成する隔壁1eの上端部が加圧室2の方へ引っ張られる。そしてこの引っ張り力によって隔壁1eが加圧室2の方へ倒れこむように変形する結果、隣接した駆動領域に影響を及ぼすのである。
そこで発明者は、隔壁を、基板の、駆動部が積層される面側の上端部の、面方向の幅Wと、基板の厚み方向の高さHとが、式(1):
≧H (1)
を満足し、かつ上記幅Wと、基板の、凹部の底側の下端部の、面方向の幅Wとが、式(2):
≦W (2)
を満足する断面形状に形成することによって倒れこみの変形を防止することを検討した。そうしたところ、個々の駆動領域の駆動状態が、その周囲の駆動領域の駆動状態の影響を受けるのを防止できることを見出した。素子分離タイプの圧電インクジェットヘッドにおいても同様であった。
したがって、請求項1記載の発明は、板状の基板を備え、基板の片側の面には、インクが充填される複数の加圧室となる複数の凹部が、上記基板の一部である隔壁を隔てて、上記基板の面方向に配列されていると共に、上記基板の内部には、上記複数の凹部ごとに上記加圧室に充填されるインクをインク滴として吐出させるためのノズルが、ノズル流路を介して連通され、かつ上記各加圧室にインクを供給するための共通供給路が、供給口を介して上記複数の凹部に連通されており、上記基板の、上記複数の凹部を形成した面に、
横振動モードの薄板状で、上記複数の凹部を覆う大きさの圧電素子と、
上記複数の凹部を閉じて上記加圧室を構成し、かつ上記圧電素子の変形によって振動して任意の上記加圧室の容積を減少させることで、当該加圧室内のインクを、上記ノズルを通してインク滴として吐出させるための振動板と、
上記圧電素子を上下から挟む上部および下部の電極と、
を含む駆動部が配設された圧電インクジェットヘッドにおいて、
上記基板は、上記複数の凹部および上記隔壁が形成されている第1の基板と、上記ノズル流路および上記共通供給路が形成されている第2の基板と、上記ノズルが形成されている第3の基板とがこの順に積層されて構成されており、
隣り合う上記凹部間を隔てる上記隔壁は、上記基板の、上記駆動部が積層される面側の上端部の、面方向の幅Wと、上記基板の厚み方向の高さHとが、式(1):
≧H (1)
を満足し、かつ上記幅Wと、上記基板の、上記凹部の底側の下端部の、面方向の幅Wとが、式(2):
≦W (2)
を満足する断面形状に形成されていることを特徴とする圧電インクジェットヘッドである。
また、本発明の圧電インクジェットヘッドにおいて、隔壁の倒れこみの変形をさらに確実に防止するためには、隔壁の一部が、上記ノズル流路および上記共通供給路が形成されている上記第2の基板の中実部の上に積層されているのが好ましい。
したがって、請求項2記載の発明は、上記隔壁の一部が、上記ノズル流路および上記共通供給路が形成されている上記第2の基板の中実部の上に積層されている請求項1記載の圧電インクジェットヘッドである。
また同様の効果を得るためには、隔壁が、その上端部側の幅Wよりも下端部側のWの方が大きい、台形の断面形状を有しているの好ましい。
したがって、請求項記載の発明は、上記隔壁は、上記幅W、Wが、式(2-1):
<W (2-1)
を満足する断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の圧電インクジェットヘッドである。
なお、本発明で言うところの隔壁とは、1つの加圧室と、その周囲の複数の加圧室とを隔てるすべての隔壁のことを指し、1つの加圧室の周囲のすべての隔壁を、上記式(1)(2)を満足する断面形状とすることによって、当該隔壁の倒れこみによる問題を解消することができる。
ただし、隔壁のごく一部が、例えば加圧室の突出や加圧室への配管などの影響で、前記式(1)(2)を満足しない薄肉である場合も考えられる。その場合でも、この薄肉部と繋がるその他の大部分が式(1)(2)を満足していて、隔壁の全体としてみたときに、上記の薄肉部が倒れこみを生じない場合は、本発明に包含するものとする。
また、基板の周辺に配設した加圧室を外部と隔てる隔壁の断面形状は特に限定されないが、やはり倒れこみを防止して、それより内側の各加圧室上の駆動領域と、駆動領域の変形特性を揃えることなどを考慮すると、当該周辺部の隔壁についても、前記式(1)(2)を満足していることが好ましい。
図1は、本発明の圧電インクジェットヘッドの一例において、圧電素子と振動板とを含む駆動部を取り付ける前の状態を示す平面図である。
図の例の圧電インクジェットヘッドは、1枚の基板1上に、加圧室2とそれに連通するノズル部3とを含むドット形成部を複数個、配列したものである。
また図2は、上記例の圧電インクジェットヘッドにおいて、駆動部を取り付けた状態での、1つのドット形成部を拡大して示す断面図、図3は1つのドット形成部を構成する各部の重なり状態を示す透視図である。
さらに図4は、上記例の圧電インクジェットヘッドの、図2と直交する方向に、加圧室を複数個、配列した状態を拡大して示す断面図である。
各ドット形成部の加圧室2、ノズル部3は、図1に白抜きの矢印で示す主走査方向に複数列並んでいる。図の例では4列に並んでおり、同一列内のドット形成部間のピッチは90dpiであって、圧電インクジェットヘッドの全体として360dpiを実現している。
各ドット形成部は、基板1の、図2において上面側に形成した凹部からなり、矩形状の中央部の両端に半円形の端部を接続した平面形状(図3参照)を有する加圧室2と、上記基板1の下面側の、加圧室2の一端側の端部の、半円の中心と重なる位置に形成したノズル部3とを、上記端部の半円と同径の、断面円形のノズル流路4で繋ぐとともに、上記加圧室2の他端側の端部の、半円の中心と重なる位置に形成した供給口5を介して、加圧室2を、基板1内に、各ドット形成部を繋ぐように形成した共通供給路6(図1に破線で示す)に繋ぐことで構成してある。
また各加圧室2は同一列内において、図4に示すように、上記図2と直交する方向に、それぞれ隔壁1eを隔てて等間隔に配列してある。
また上記各部は、図の例では、加圧室2を形成した第1基板1aと、ノズル流路4の上部4aと供給口5とを形成した第2基板1bと、ノズル流路4の下部4bと共通供給路6とを形成した第3基板1cと、ノズル部3を形成した第4基板1dとを、この順に積層、一体化することで形成してある。
また第1基板1aと第2基板1bには、図1に示すように、第3基板1cに形成した共通供給路6を、基板1の上面側で、図示していないインクカートリッジからの配管と接続するためのジョイント部を構成するための通孔11を形成してある。
さらに各基板1a〜1dは、例えば樹脂や金属などからなり、フォトリソグラフ法を利用したエッチングなどによって上記各部となる通孔を設けた、所定の厚みを有する板体にて形成してある。隔壁1eは、第1基板1aの、各加圧室2となる通孔を形成した残りの部分である。
隔壁1eは、図の例では、基板の、駆動部が積層される面側の上端部の、面方向の幅Wと、基板の厚み方向の高さHとが、式(1):
≧H (1)
を満足し、なおかつ上記幅Wと、基板の、凹部の底側の下端部の、面方向の幅Wとが、式(2-2):
=W (2-2)
を満足する断面形状に形成されている。
このうち隔壁1eの幅W、Wは、第1基板1aに形成する、各加圧室2となる通孔の形成間隔によって規定され、また高さHは、第1基板1aの厚みによって規定される。よって、ドット形成部間のピッチや加圧室2の容積などの、圧電インクジェットヘッドに求められる諸元を満足しつつ、隔壁1eの幅W、Wと高さHとが上記式(1)(2-2)を満足するように、第1基板1aの厚みや、各加圧室2となる通孔の形成間隔などを規定すればよい。
なお図示していないが、加圧室2の周囲の、他の方向の隔壁も同様に、前記式(1)(2-2)を満足する断面形状に形成することは言うまでもない。
隔壁1eを上記の断面形状とすれば、特定の駆動領域の駆動時に、当該駆動領域の面方向の収縮に伴って、かかる駆動領域を囲む隔壁1eが倒れ込むように変形するのを防止することができる。このため、形成する画像のドットパターンに応じてドット径やドット形状がばらつくのを防止して、良好な画像を形成することが可能となる。
基板1の上面側には、少なくとも各ドット形成部を覆う大きさを有する1枚の振動板7と、この振動板7と略同じ大きさを有する1枚の薄膜状の共通電極8と、上記振動板7および共通電極8と略同じ大きさを有する1枚の、横振動モードの薄板状の圧電素子9とをこの順に積層するとともに、圧電素子9上の、図1中に一点鎖線で示すように各ドット形成部の加圧室2の中央部と重なる位置に複数の個別電極10を分離形成することで駆動部を構成してある。
上記の各部からなる駆動部は、焼成によって薄板状の圧電体となる圧電体グリーンシートを用いて製造することができる。
例えば圧電体グリーンシートの片面に、焼成によって共通電極となる導電性のペーストを印刷または塗布し、その上にさらに圧電体グリーンシートを積層した上で焼成して、2層の薄板状の圧電体層間に共通電極8を挟んだ構造を有する積層体を形成した後、この積層体の、一方の圧電体層の表面に複数の個別電極10を形成すると、共通電極8と個別電極10とで挟まれた方の圧電体層を圧電素子9、もう一方の圧電体層を振動板7とした駆動部が得られる。
上記の駆動部において振動板7、圧電素子9を形成する圧電材料としては、例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)や、当該PZTにランタン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガンなどの酸化物の1種または2種以上を添加したもの、例えばPLZTなどの、PZT系の圧電材料を挙げることができる。また、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウムなどを主要成分とするものを挙げることもできる。圧電体グリーンシートは、焼成によって上記いずれかの圧電材料となる化合物を含んでいる。
また共通電極8を形成する導電性のペーストとしては、例えば金、銀、白金、銅、アルミニウムなどの導電性に優れた金属の粉末を含むものを用いる。そして、かかる導電性のペーストの層を、前記のように圧電体グリーンシートとともに焼成することで、当該ペースト中の金属の粉末を焼結、ないしは溶融、一体化させて共通電極8を形成する。
また個別電極10は、上記と同様の導電性のペーストを、圧電素子9となる一方の圧電体層の表面に印刷して形成しても良いし、前記の、導電性に優れた金属からなる箔やめっき被膜、真空蒸着被膜などによって形成してもよい。
振動板7を金属で形成することもできる。
例えばモリブデン、タングステン、タンタル、チタン、白金、鉄、ニッケルなどの単体金属や、これら金属の合金、あるいはステンレス鋼などの金属材料にて、所定の厚みを有する板状の振動板7を形成する。
一方、前記と同様の圧電体グリーンシートの片面に、焼成によって共通電極となる導電性のペーストを印刷または塗布した積層体を焼成して、共通電極8と、薄板状の圧電体層との積層体を形成した後、この積層体のうち共通電極8側の表面に振動板7を接着し、さらに積層体の反対面である圧電体層の表面に複数の個別電極10を形成すると、圧電体層を圧電素子9とした駆動部が得られる。
上記のようにして一体形成した駆動部を、基板1上に、接着剤を介して接着するなどして固定すると、圧電インクジェットヘッドが得られる。
圧電素子9を横振動モードとするためには、圧電材料の分極方向を、当該圧電素子9の厚み方向、より詳しくは個別電極10から共通電極8に向かう方向に配向させる。そのためには、例えば高温分極法、室温分極法、交流電界重畳法、電界冷却法などの従来公知の分極法を採用することができる。また、分極後の圧電素子9をエージング処理してもよい。
圧電材料の分極方向を上記の方向に配向させた圧電素子9は、共通電極8を接地した状態で、個別電極10から正の駆動電圧を印加すると、当該個別電極10と共通電極8とに挟まれた駆動領域が、分極方向と直交する面内で収縮する。しかし圧電素子9は、共通電極8を介して振動板7に固定されているため、結果的に、収縮した駆動領域が加圧室2の方向に撓むことになる。
このため、撓みが発生する際の力が加圧室2内のインクに圧力変化として伝えられ、この圧力変化によって、供給口5、加圧室2、ノズル流路4、およびノズル部3内のインクが振動を起こす。そして振動の速度が結果的にノズル部3の外に向かうことによって、当該ノズル部3内のインクメニスカスが外部へと押し出されて、いわゆるインク柱が形成される。
インク柱は、やがて振動の速度がノズル部内方向に向かうことによってノズル部3内のインクメニスカスに吸収されるが、その際、インク柱が切り離されて、インク滴となって紙面の方向に飛翔して、紙面にドットを形成する。
インク滴が飛翔して減少した分のインクは、ノズル部3内のインクメニスカスの表面張力によって、インクカートリッジから、当該インクカートリッジの配管、ジョイント部11、共通供給路6、供給口5、加圧室2、およびノズル流路4を介してノズル部3に再充てんされる。
なお圧電素子9は、個別電極10と同様に、各加圧室2ごとに分離形成しても良い。
図5は、本発明の圧電インクジェットヘッドの他の例において、図2と直交する方向に、加圧室を複数個、配列した状態を拡大して示す断面図である。
図の例では、隔壁1eは、幅Wと高さHとが、式(1):
≧H (1)
を満足し、なおかつ幅W、Wが、式(2-1):
<W (2-1)
を満足する台形の断面形状に形成されている。
そしてこれにより、特定の駆動領域の駆動時に、当該駆動領域の面方向の収縮に伴って、かかる駆動領域を囲む隔壁1eが倒れ込むように変形するのを、さらに確実に防止することができるため、より一層、良好な画像を形成することが可能となる。
幅Wを、幅Wに対してどの程度まで大きくするか、すなわち幅Wの上限については特に限定されない。しかし、幅Wが大きすぎると、加圧室2の容積が小さくなるため、幅Wは、式(2-3):
≦W+2H (2-3)
を満足する範囲内であるのが好ましい。
隔壁1eを上記の断面形状とするためには、そのもとになる第1基板1aに、加圧室2となる通孔を、異方性エッチングによって形成すればよい。
また、第1基板1aを厚み方向に細かく分割した多数の薄い板材にて形成してもよい。その際、個々の板材に、加圧室2となる通孔と隔壁の断面形状を厚み方向に分割した平面形状を有する通孔を係止しておき、それを積み重ねて一体化することによって、台形の断面形状を有する隔壁1eを形成することができる。
その他の部材は図2の例と同様であるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
この例でも、圧電素子9は、個別電極10と同様に、各加圧室2ごとに分離形成することができる。
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1
図1〜図4に示す構造を有し、なおかつ加圧室2の面積が0.2mm、幅が200μm、深さが80μm、ノズル部3の直径が25μm、長さが30μm、ノズル流路4の直径が200μm、長さが800μm、供給口5の直径が25μm、長さが30μmで、かつ加圧室2間を隔てる隔壁1eの幅Wが82μm、幅Wが82μmである圧電インクジェットヘッドを作製した。隔壁1eの高さHは、加圧室2の深さと同じ80μmであった。
実施例2
図1〜3、図5に示す構造を有し、なおかつ加圧室2の面積が0.2mm、幅が200μm、深さが80μm、ノズル部3の直径が25μm、長さが30μm、ノズル流路4の直径が200μm、長さが800μm、供給口5の直径が25μm、長さが30μmで、かつ加圧室2間を隔てる隔壁1eの幅Wが82μm、幅Wが98μmである圧電インクジェットヘッドを作製した。隔壁1eの高さHは、加圧室2の深さと同じ80μmであった。
比較例1
図1〜図4に示す構造を有し、なおかつ加圧室2の面積が0.2mm、幅が200μm、深さが80μm、ノズル部3の直径が25μm、長さが30μm、ノズル流路4の直径が200μm、長さが800μm、供給口5の直径が25μm、長さが30μmで、かつ加圧室2間を隔てる隔壁1eの幅Wが50μm、幅Wが50μmである圧電インクジェットヘッドを作製した。隔壁1eの高さHは、加圧室2の深さと同じ80μmであった。
印刷品質の観察
上記で作成した実施例、比較例の圧電インクジェットヘッドをインクジェットプリンタに装着して、図1に白抜きの矢印で示すヘッドの主走査方向と平行なラインと、上記主走査方向と直交するラインとを複数本ずつ、それぞれ1cm間隔で配置した格子状の印刷パターンを印刷した。ライン幅は両方向で等しくした。
そうしたところ比較例1では、ヘッドの主走査方向と直交するラインのライン幅が、もとの印刷パターンと比べて細る現象が見られた。これに対し実施例1、2では上記の現象は発生せず、いずれの方向のラインも、もとの印刷パターンに忠実な一定幅で印刷することができた。
本発明の圧電インクジェットヘッドの一例における、圧電素子と振動板とを含む駆動部を取り付ける前の状態を示す平面図である。 図1の例の圧電インクジェットヘッドにおいて、駆動部を取り付けた状態での、1つのドット形成部を拡大して示す、図3のA−A線断面図である。 1つのドット形成部を構成する各部の重なり状態を示す透視図である。 上記例の圧電インクジェットヘッドの、図2と直交する方向に加圧室を複数個、配列した状態を拡大して示す、図2のIII−III線断面図である。 圧電インクジェットヘッドの変形例において、図2と直交する方向に加圧室を複数個、配列した状態を拡大して示す、図2のIII−III線断面図である。 従来の圧電インクジェットヘッドの一例において、加圧室を複数個、薄肉の隔壁を隔てて近接配置した状態を拡大して示す断面図である。 上記圧電インクジェットの、1つの加圧室上の駆動領域を駆動させた際に、当該駆動が周囲の加圧室上の駆動領域と、隔壁とに及ぼす影響を説明するための断面図である。
符号の説明
1 基板
1e 隔壁
2 加圧室
3 ノズル部
7 振動板
9 圧電素子

Claims (3)

  1. 板状の基板を備え、基板の片側の面には、インクが充填される複数の加圧室となる複数の凹部が、上記基板の一部である隔壁を隔てて、上記基板の面方向に配列されていると共に、上記基板の内部には、上記複数の凹部ごとに上記加圧室に充填されるインクをインク滴として吐出させるためのノズルが、ノズル流路を介して連通され、かつ上記各加圧室にインクを供給するための共通供給路が、供給口を介して上記複数の凹部に連通されており、上記基板の、上記複数の凹部を形成した面に、
    横振動モードの薄板状で、上記複数の凹部を覆う大きさの圧電素子と、
    上記複数の凹部を閉じて上記加圧室を構成し、かつ上記圧電素子の変形によって振動して任意の上記加圧室の容積を減少させることで、当該加圧室内のインクを、上記ノズルを通してインク滴として吐出させるための振動板と、
    上記圧電素子を上下から挟む上部および下部の電極と、
    を含む駆動部が配設された圧電インクジェットヘッドにおいて、
    上記基板は、上記複数の凹部および上記隔壁が形成されている第1の基板と、上記ノズル流路および上記共通供給路が形成されている第2の基板と、上記ノズルが形成されている第3の基板とがこの順に積層されて構成されており、
    隣り合う上記凹部間を隔てる上記隔壁は、上記基板の、上記駆動部が積層される面側の上端部の、面方向の幅Wと、上記基板の厚み方向の高さHとが、式(1):
    ≧H (1)
    を満足し、かつ上記幅Wと、上記基板の、上記凹部の底側の下端部の、面方向の幅Wとが、式(2):
    ≦W (2)
    を満足する断面形状に形成されていることを特徴とする圧電インクジェットヘッド。
  2. 上記隔壁の一部が、上記ノズル流路および上記共通供給路が形成されている上記第2の基板の中実部の上に積層されている請求項1記載の圧電インクジェットヘッド。
  3. 上記隔壁は、上記幅W、Wが、式(2-1):
    <W (2-1)
    を満足する断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の圧電インクジェットヘッド。
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