JP4269608B2 - インクジェットヘッドおよびそれを備えたインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドおよびそれを備えたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置のインクジェットヘッドは、インク液を収容する圧力室の容積をアクチュエータの変位により変化させてノズル孔からインク滴を吐出し、これを記録媒体に着弾させることにより印刷を行っている。
【0003】
インクジェットヘッドは、図16(a)に示すように、区画壁10で区画されてインク液が充填される複数の圧力室11を備えており、それぞれの圧力室11に対応してアクチュエータ12が設けられている。また、インク滴が吐出されるノズル孔15、および圧力室11内へインク液を供給する共通液室13が圧力室11に連通して形成されている。
【0004】
アクチュエータ12は、圧電体膜16と、この圧電体膜16に電圧を印加して収縮・伸張させる上方の個別電極17および下方の振動板兼共通電極18とを備えており、圧電体膜16の圧電効果により圧力室11の容積を変化させてインク滴をノズル孔15から吐出させる。
【0005】
このような構成を有するインクジェットヘッドの電極17,18に電圧を印加してアクチュエータ12を変位させると(図16(b))、圧力室11内で発生した圧力波が共通液室13内へ伝播して共通液室13内の圧力が変動する。すると、図16(c)で示すように、共通液室13内の圧力変動が逆に圧力室11内に影響を与えてしまい、吐出の安定化を図ることができない。
【0006】
そこで、このような共通液室13内の圧力変動を緩和する技術として、たとえば特開2001−6304号公報で開示されたインクジェットヘッドがある。すなわち、当該公報に記載の技術は、共通液室の壁面を振動板として動作させるもので、これにより圧力室にて発生する圧力波を振動板の撓みによって吸収し、共通液室にて圧力変動を緩和している。
【0007】
ここで、インクジェットヘッドを高密度化していくと圧力室間ピッチが狭まるため、圧力室から共通液室への圧力波の伝播も大きくなる。
【0008】
そして、高密度化されたインクジェットヘッドに対して前述した従来の技術を適用して十分な効果を得るには、振動板を薄くするか振動板の面積を広くする必要がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−6304号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、振動板を薄くすると、部材としての強度が低下して組み立て難くなったり、ヘッドの剛性が低下する。また、振動板の面積を広くすると、ヘッドが大きくなってしまい、小型化の要請に反する。
【0011】
そこで、本発明は、圧力室の圧力変動に伴う共通液室の圧力変動を緩和することのできる技術を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明のインクジェットヘッドは、インクが充填される複数の圧力室と、圧力室に連通して形成され、圧力室内へインク液を供給する共通液室と、圧力室と共通液室の壁面として形成される振動板と、圧力室の上の振動板にそれぞれ形成され、圧力室のそれぞれの容積を変化させて当該圧力室内のインク液をノズル孔から吐出させる複数の第1のアクチュエータと、共通液室の上の振動板上に形成され、第1のアクチュエータの変位による共通液室内の圧力変動を打ち消すように電圧印加されて変位する第2のアクチュエータとを有するインクジェットヘッドであって、第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータのそれぞれに対向しこの向きの一線上でそれぞれ延びる主部が設けられ、この複数の主部相互間を連結する連結部とから構成されると共に、共通液室上の第1のアクチュエータ側端とその反対側端から所定の長さだけ第1のアクチュエータ側寄りの圧力変動が大きな範囲の位置に片寄って形成されている構成としたものである。
【0013】
このように、圧力室と共通液室の壁面として形成される振動板の共通液室上に第2のアクチュエータを形成し、第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータのそれぞれに対向しこの向きの一線上でそれぞれ延びる主部が設けられ、この複数の主部相互間を連結する連結部とから構成され、かつ共通液室上の第1のアクチュエータ側端とその反対側端から所定の長さだけ第1のアクチュエータ側寄りの圧力変動が大きな範囲の位置に片寄って形成されているので、圧力室上に形成された第1のアクチュエータの変位による共通液室に対する圧力変動を電圧印加による第2のアクチュエータの変位で能動的に打ち消し、圧力変動が大きな範囲で大きな変位を得ると共に小型化でき、圧力室の圧力変動に伴う共通液室の圧力変動を緩和することが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、インクが充填される複数の圧力室と、圧力室に連通して形成され、圧力室内へインク液を供給する共通液室と、圧力室と共通液室の壁面として形成される振動板と、圧力室の上の振動板にそれぞれ形成され、圧力室のそれぞれの容積を変化させて当該圧力室内のインク液をノズル孔から吐出させる複数の第1のアクチュエータと、共通液室の上の振動板上に形成され、第1のアクチュエータの変位による共通液室内の圧力変動を打ち消すように電圧印加されて変位する第2のアクチュエータとを有するインクジェットヘッドであって、第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータのそれぞれに対向しこの向きの一線上でそれぞれ延びる主部が設けられ、この複数の主部相互間を連結する連結部とから構成されると共に、共通液室上の第1のアクチュエータ側端とその反対側端から所定の長さだけ第1のアクチュエータ側寄りの圧力変動が大きな範囲の位置に片寄って形成されているインクジェットヘッドであり、圧力室と共通液室の壁面として形成される振動板の共通液室上に第2のアクチュエータを形成し、第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータのそれぞれに対向しこの向きの一線上でそれぞれ延びる主部が設けられ、この複数の主部相互間を連結する連結部とから構成され、かつ共通液室上の第1のアクチュエータ側端とその反対側端から所定の長さだけ第1のアクチュエータ側寄りの圧力変動が大きな範囲の位置に片寄って形成されているので、圧力室上に形成された第1のアクチュエータの変位による共通液室に対する圧力変動を電圧印加による第2のアクチュエータの変位で能動的に打ち消し、圧力変動が大きな範囲で大きな変位を得ると共に小型化でき、圧力室の圧力変動に伴う共通液室の圧力変動を緩和することが可能になるという作用を有する。
【0015】
本発明の請求項2に記載の発明は、インクが充填される複数の圧力室と、圧力室に連通して形成され、圧力室内へインク液を供給する共通液室と、圧力室と共通液室の壁面として形成される振動板と、圧力室の上の振動板にそれぞれ形成され、圧力室のそれぞれの容積を変化させて当該圧力室内のインク液をノズル孔から吐出させる複数の第1のアクチュエータと、共通液室の上の振動板上に形成され、第1のアクチュエータの変位による共通液室内の圧力変動を打ち消すように電圧印加されて変位する第2のアクチュエータとを有するインクジェットヘッドであって、第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータのそれぞれに対向しこの向きの一線上でそれぞれ延びて形成され、相互に独立した電圧が印加されると共に、共通液室上の第1のアクチュエータ側端とその反対側端から所定の長さだけ第1のアクチュエータ側寄りの圧力変動が大きな範囲の位置に片寄って形成されているインクジェットヘッドであり、圧力室と共通液室の壁面として形成される振動板の共通液室上の第1のアクチュエータ側端とその反対側端から所定の長さだけ第1のアクチュエータ側寄りの圧力変動が大きな範囲の位置に片寄って形成されているので、圧力室上に形成された第1のアクチュエータの変位による共通液室に対する圧力変動を電圧印加による第2のアクチュエータの変位で能動的に打ち消し、圧力変動が大きな範囲で大きな変位を得ると共に小型化でき、圧力室の圧力変動に伴う共通液室の圧力変動を緩和することが可能になるという作用を有する。
【0018】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載のインクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置であり、共通液室の圧力変動が緩和されることから、印字画像の高品質化を図ることが可能になるという作用を有する。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図15を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0020】
図1は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドが用いられたインクジェット式記録装置の全体概略構成を示す斜視図、図2は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドを示す平面図、図3は図2のA−A線に沿った断面図、図4は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドの駆動機構を示すブロック図、図5は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおける圧力室と共通液室との圧力変動の状態を示す説明図、図6は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおける第1のアクチュエータへの印加電圧を示すグラフ、図7は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおける第1のアクチュエータの変位量を示すグラフ、図8は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおいて第1のアクチュエータのみに電圧を印加した場合における共通液室の圧力変動を示すグラフ、図9は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおける第2のアクチュエータへの印加電圧を示すグラフ、図10は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおいて第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータに電圧を印加した場合における共通液室の圧力変動を示すグラフ、図11は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおいて第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータに電圧を印加した場合における第1のアクチュエータの変位量を示すグラフ、図12は本発明の他の実施の形態であるインクジェットヘッドを示す平面図、図13は本発明のさらに他の実施の形態であるインクジェットヘッドを示す平面図、図14は本発明のさらに他の実施の形態であるインクジェットヘッドを示す断面図、図15は図14のインクジェットヘッドにおける第2のアクチュエータの変位を示す説明図である。
【0021】
図1に示すインクジェット式記録装置40は、アクチュエータである強誘電体素子の圧電効果を利用して記録を行う本発明のインクジェットヘッド41を備え、このインクジェットヘッド41から吐出したインク滴を紙等の記録媒体42に着弾させて、記録媒体42に記録を行うものである。インクジェットヘッド41は、主走査方向Xに配置したキャリッジ軸43に設けられたキャリッジ44に搭載されていて、キャリッジ44がキャリッジ軸43に沿って往復動するのに応じて、主走査方向Xに往復動する。さらに、インクジェット式記録装置40は、記録媒体42をインクジェットヘッド41の幅方向(すなわち、主走査方向X)と略垂直方向の副走査方向Yに移動させる複数個のローラ(移動手段)45を備える。
【0022】
次に、インクジェットヘッド41の構造の一実施の形態について、図2および図3を用いて説明する。
【0023】
これらの図面に示すように、インクジェットヘッドは、区画壁10で区画されてインク液が充填される複数の圧力室11を備えており、それぞれの圧力室11に対応して第1のアクチュエータ(アクチュエータ)12が設けられている。そして、圧力室11に連通して、インク滴が吐出するノズル孔15が形成されている。
【0024】
また、圧力室11と隣接する位置には、インク液供給方向に並ぶ圧力室11内へインク液を供給する共通液室13が圧力室11に連通して形成されている。そして、共通液室13には第2のアクチュエータ14が形成されている。
【0025】
ここで、第1のアクチュエータ12および第2のアクチュエータ14は、圧電体膜16と、この圧電体膜16に電圧を印加して変位(収縮・伸張)させる上方の個別電極17及び下方の振動板兼共通電極18とを備えている。
【0026】
そして、第1のアクチュエータ12は、電極17,18への電圧印加による圧電体膜16の圧電効果により変位し、圧力室11の容積を変化させて圧力室11内のインク液をノズル孔15から吐出させる。
【0027】
また、第2のアクチュエータ14は、電極17,18への電圧印加により、このような第1のアクチュエータ12の変位により圧力室11内で発生した圧力波が共通液室13内へ伝播することにより生じる共通液室13内の圧力変動を打ち消すように変位する。
【0028】
なお、本実施の形態では共通電極と振動板とを一体とした構造(振動板が共通電極を兼ねている)となっているが、両者は別々に形成されていてもよい。その場合には、区画壁10の上に振動板を形成し、その上に共通電極が形成される。
【0029】
本実施の形態において、個別電極17は例えばPt(白金)で、圧電体膜16は例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で、振動板兼共通電極18は例えばCu(銅)で、それぞれ形成されている。また、個別電極17は例えば厚さ0.2μmに、圧電体膜16は例えば厚さ3μmに、振動板兼共通電極18は例えば厚さ5.5μmに、各々成膜されている。すなわち、第1のアクチュエータの膜構造と第2のアクチュエータの膜構造とを同一にしているので、両アクチュエータ12、14の特性を似たものとすることができ、両アクチュエータの制御を容易に行なうことができる。
【0030】
また、個別電極17、圧電体膜16、振動板兼共通電極18などの形成方法は、公知の各種の膜形成法、例えばスクリーン印刷の如き厚膜法やディッピング等の塗布法、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、ゾルゲル法、メッキ等の薄膜形成法等が適宜採用され、さらにその形を形成するために、エッチング等による型抜きも可能であり得るが、それらに何等限定されるものではない。
【0031】
そして、第1のアクチュエータ12と、第2のアクチュエータ14とは、同一の工法で作製されていることが好ましく、さらに、同一の工程で作製されていることにより、両アクチュエータの膜構成及び特性がほぼ同一となるので、経年変化や温度変化等が、ほぼ同一になるので、制御等が行ないやすいので好ましいです。
【0032】
なお、本実施の形態に示す振動板兼共通電極18、圧電体膜16、個別電極17のそれぞれの膜間には、例えばそれぞれの膜の接合を良くするなどの目的で、これら以外の層を介在させてもよい。
【0033】
次に、本実施の形態のインクジェットヘッドの駆動機構について図4を用いて説明する。
【0034】
図示するように、第1の駆動波形発生回路19と第2の駆動波形発生回路20とが設けられている。
【0035】
第1の駆動波形発生回路19で生成された第1の駆動波形は選択回路21に入力され、選択回路21において制御信号により第1の駆動波形の印加される第1のアクチュエータ12が選択される。そして、選択された第1のアクチュエータ12に対して選択回路21から第1の駆動波形が印加される。
【0036】
また、第2の駆動波形生成回路20で生成された第2の駆動波形は第2のアクチュエータ14に印加される。そして、第2のアクチュエータ14に印加される第2の駆動波形は、第1の駆動波形の印加された第1のアクチュエータ12の変位による共通液室13内の圧力変動を打ち消すような波形となっている。
【0037】
すなわち、図5(a)に示すインクジェットヘッドにおいて第1のアクチュエータ12に電圧を印加すると、図5(b)に示すように圧電体膜16が変形して振動板兼共通電極18が撓んで圧力室11の圧力が上昇し、ノズル孔15からインク滴が吐出する。そして、このときの圧力室11の圧力変動は、圧力室11と連通している共通液室13へと伝播される。このままであれば、第1のアクチュエータ12の動作により共通液室13の圧力が上昇するが、前述のように、本願では共通液室13内の圧力変動を打ち消すように第2のアクチュエータ14を変位させるので、図5(c)に示すように、共通液室13内の圧力変動が緩和されることになる。
【0038】
ここで、第1のアクチュエータ12にたとえば図6に示す波形の電圧が印加されたとすると、この第1のアクチュエータ12の振動板は図7に示すように変位する。すると、図8に示すように、第1のアクチュエータ12の振動に伴う圧力室11の圧力が共通液室13へ伝わって圧力が上昇し、徐々に減衰していく。このとき、第2のアクチュエータ14にたとえば図9に示す波形の電圧を印加すると、図10に示すように共通液室13内の圧力変動を打ち消すことができる。なお、この場合における第1のアクチュエータ12の変位量は図11に示すようになる。
【0039】
このように、本実施の形態によれば、共通液室13上に第2のアクチュエータ14を形成し、圧力室11上に形成された第1のアクチュエータ12の変位による共通液室13に対する圧力変動を第2のアクチュエータ14の変位で能動的に打ち消しているので、圧力室11の圧力変動に伴う共通液室13の圧力変動を緩和することが可能になる。
【0040】
そして、このように第2のアクチュエータ14で共通液室13の圧力変動を能動的に吸収しているので、圧力変動の吸収効率がよく、且つ共通液室13が大型化することもない。
【0041】
また、第2のアクチュエータ14は第1のアクチュエータと同じ工程で、且つ同一の部材で形成できるので、コストが上昇することがない。
【0042】
さらに、第2のアクチュエータ14は個別制御の必要がなく、一体電極で同一波形で制御できるため、コスト上昇が抑制される。
【0043】
そして、このようなインクジェットヘッド41を備えたインクジェット式記録装置によれば、共通液室13の圧力変動が緩和されることから、インクジェットヘッド41を高密度化しても所期の吐出性能が確保され、印字画像の高品質化を図ることが可能になる。
【0045】
前述の説明では、第2のアクチュエータ14は共通液室13上の全面に形成されているが(図2参照)、図12に示すように、それぞれの第1のアクチュエータ12に対向して延びる複数の主部14aと、これら主部14a相互間を連結する連結部14bとから構成される形状に形成してもよい。このようにすれば、共通液室13における圧力室11との連通部分という圧力変動の大きい部分に対して、第2のアクチュエータ14の変位力を効率的に作用させることができる。
【0046】
前述の説明では、第2のアクチュエータ14は共通液室13上の全面に形成されているものとして説明したが(図2参照)、図12に示すように、それぞれの第1のアクチュエータ12に対向して延びる複数の主部14aと、これら主部14a相互間を連結する連結部14bとから構成される形状に形成するのがよい。このようにすれば、共通液室13における圧力室11との連通部分という圧力変動の大きい部分に対して、第2のアクチュエータ14の変位力を効率的に作用させることができる。
【0047】
なお、第2のアクチュエータ14を分割形成して相互に独立した電圧を印加する場合、図4において示す選択回路21と同様の選択回路を第2の駆動波形発生回路20と第2のアクチュエータ14との間に設けて、選択回路において選択した何れかの第2のアクチュエータ14に第2の駆動波形を印加するようにする。あるいは、第2の駆動波形発生回路そのものをそれぞれの第2のアクチュエータ14に対応して設けて第2の駆動波形を印加するようにする。
【0048】
さらに、図14に示すように、第2のアクチュエータ14の形成領域を、共通液室13上の第1のアクチュエータ12側端とその反対側端から所定の長さだけ第1のアクチュエータ12側寄りの位置との間とするのがよい。このようにすれば、図15に示すように、圧力室11との連通部分という圧力変動の大きな箇所である圧力室11との連通部分で大きな変位を得ることができる。
【0049】
なお、第2のアクチュエータ14の形成領域をこのようにする場合、第2のアクチュエータ14は、図12に示すように主部14aと連結部14bとで形成してもよく、第1のアクチュエータ12に対向して分割形成してもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、共通液室上に第2のアクチュエータを形成し、圧力室上に形成された第1のアクチュエータの変位による共通液室に対する圧力変動を第2のアクチュエータの変位で能動的に打ち消しているので、圧力室の圧力変動に伴う共通液室の圧力変動を緩和することが可能になるという有効な効果が得られる。
【0051】
そして、このようなインクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置によれば、共通液室の圧力変動が緩和されることから、インクジェットヘッドを高密度化しても所期の吐出性能が確保され、印字画像の高品質化を図ることが可能になるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドが用いられたインクジェット式記録装置の全体概略構成を示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドを示す平面図
【図3】図2のA−A線に沿った断面図
【図4】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドの駆動機構を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおける圧力室と共通液室との圧力変動の状態を示す説明図
【図6】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおける第1のアクチュエータへの印加電圧を示すグラフ
【図7】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおける第1のアクチュエータの変位量を示すグラフ
【図8】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおいて第1のアクチュエータのみに電圧を印加した場合における共通液室の圧力変動を示すグラフ
【図9】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおける第2のアクチュエータへの印加電圧を示すグラフ
【図10】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおいて第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータに電圧を印加した場合における共通液室の圧力変動を示すグラフ
【図11】本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドにおいて第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータに電圧を印加した場合における第1のアクチュエータの変位量を示すグラフ
【図12】本発明の他の実施の形態であるインクジェットヘッドを示す平面図
【図13】本発明のさらに他の実施の形態であるインクジェットヘッドを示す平面図
【図14】本発明のさらに他の実施の形態であるインクジェットヘッドを示す断面図
【図15】図14のインクジェットヘッドにおける第2のアクチュエータの変位を示す説明図
【図16】従来のインクジェットヘッドにおけるアクチュエータの変位に伴うヘッドの振動状態を示す説明図
【符号の説明】
10 区画壁
11 圧力室
12 第1のアクチュエータ(アクチュエータ)
13 共通液室
14 第2のアクチュエータ
14a 主部
14b 連結部
15 ノズル孔
16 圧電体膜
17 個別電極
18 振動板兼共通電極
19 第1の駆動波形発生回路
20 第2の駆動波形発生回路
21 選択回路
40 インクジェット式記録装置
41 インクジェットヘッド
42 記録媒体
43 キャリッジ軸
44 キャリッジ
45 ローラ(移動手段)
Claims (3)
- インクが充填される複数の圧力室と、
前記圧力室に連通して形成され、前記圧力室内へ前記インク液を供給する共通液室と、
前記圧力室と前記共通液室の壁面として形成される振動板と、
前記圧力室の上の前記振動板にそれぞれ形成され、前記圧力室のそれぞれの容積を変化させて当該圧力室内の前記インク液をノズル孔から吐出させる複数の第1のアクチュエータと、
前記共通液室の上の前記振動板上に形成され、前記第1のアクチュエータの変位による前記共通液室内の圧力変動を打ち消すように電圧印加されて変位する第2のアクチュエータとを有するインクジェットヘッドであって、
前記第2のアクチュエータは、前記第1のアクチュエータのそれぞれに対向しこの向きの一線上でそれぞれ延びる主部が設けられ、この複数の主部相互間を連結する連結部とから構成されると共に、前記共通液室上の前記第1のアクチュエータ側端とその反対側端から所定の長さだけ前記第1のアクチュエータ側寄りの圧力変動が大きな範囲の位置に片寄って形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - インクが充填される複数の圧力室と、
前記圧力室に連通して形成され、前記圧力室内へ前記インク液を供給する共通液室と、
前記圧力室と前記共通液室の壁面として形成される振動板と、
前記圧力室の上の前記振動板にそれぞれ形成され、前記圧力室のそれぞれの容積を変化させて当該圧力室内の前記インク液をノズル孔から吐出させる複数の第1のアクチュエータと、
前記共通液室の上の前記振動板上に形成され、前記第1のアクチュエータの変位による前記共通液室内の圧力変動を打ち消すように電圧印加されて変位する第2のアクチュエータとを有するインクジェットヘッドであって、
前記第2のアクチュエータは、前記第1のアクチュエータのそれぞれに対向しこの向きの一線上でそれぞれ延びて形成され、相互に独立した電圧が印加されると共に、前記共通液室上の前記第1のアクチュエータ側端とその反対側端から所定の長さだけ前記第1のアクチュエータ側寄りの圧力変動が大きな範囲の位置に片寄って形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項1または2記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
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