JP2005024650A - レンズ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リードスクリュー及びナットを備えるレンズ駆動装置において、ナットの喰い付き等を防止する。
【解決手段】ナット100、ナット100に螺合するリードスクリュー110、リードスクリューを駆動するモータ120を備えた構成において、略U字状をなし弾性変形可能な一対の腕部101,102及び一対の分割ネジ部101a,102aをもつようにナット100を形成し、レンズ枠61には、バネ130の付勢方向に離脱可能にナット100を保持し得るナット保持部64を設け、レンズ枠61を最大繰り込み位置で停止させるストッパ15bを設けた。これにより、誤動作を生じても、ナットの喰い付き、破損等を防止でき、確実に駆動させることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】ナット100、ナット100に螺合するリードスクリュー110、リードスクリューを駆動するモータ120を備えた構成において、略U字状をなし弾性変形可能な一対の腕部101,102及び一対の分割ネジ部101a,102aをもつようにナット100を形成し、レンズ枠61には、バネ130の付勢方向に離脱可能にナット100を保持し得るナット保持部64を設け、レンズ枠61を最大繰り込み位置で停止させるストッパ15bを設けた。これにより、誤動作を生じても、ナットの喰い付き、破損等を防止でき、確実に駆動させることができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ、銀塩フィルム式カメラ等におけるレンズ駆動装置に関し、特に、光軸方向に伸長するリードスクリュー及びナットを含むレンズ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のレンズ駆動装置としては、モータにより回転駆動されるリードスクリューと、レンズ枠(レンズ保持部材)と一緒に移動するハーフナットとを備え、ハーフナットは、通常はリードスクリューに螺合した状態にあり、レンズ枠に一定以上の軸方向の負荷(不意に大きな外力)が加わったときにその螺合が解かれてリードスクリュー上を軸方向に滑るように形成されて、駆動機構に変形等の不具合が生じないようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−3577761号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の駆動装置において、ハーフナットは、リードスクリューの全周に螺合するのではなく略半部の領域において螺合するため、装置のガタツキ等により螺合状態が容易に解かれて、所望の駆動制御を行なえない虞がある。
また、レンズ枠が最大繰り込み位置に達したときに、レンズ枠を停止させるストッパの押圧力で、ハーフナットがリードスクリューに喰い付いてロック状態を招く虞がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、ナット及びリードスクリューを備える駆動機構において、駆動に際してはナットとリードスクリューとの螺合状態が確実に維持されて高精度に位置決め制御がなされると同時に、誤動作等によりレンズ保持部材が制御範囲を超えて駆動されるような場合には、ナットとリードスクリューとの喰い付きを防止して、再駆動を容易に行なえるレンズ駆動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のレンズ駆動装置は、ベースと、光軸方向に移動自在にベースに対して支持されたレンズ保持部材と、レンズ保持部材を光軸方向の一方側に向けて付勢するバネと、レンズ保持部材に対して保持されるナット,ナットに螺合するリードスクリュー,リードスクリューを駆動するモータを含む駆動機構と、を備えたレンズ駆動装置であって、上記ナットは、略U字状に形成されて弾性変形可能な一対の腕部と、一対の腕部の自由端側において対向するように形成され協働して雌ネジを形成する一対の分割ネジ部とを有し、上記レンズ保持部材は、ナットを、バネの付勢方向に離脱可能に、一対の分割ネジ部がリードスクリューに螺合した状態で受け入れて所定位置に保持し得るナット保持部を有し、上記ベースは、バネの付勢方向に向かう所定位置において、レンズ保持部材を停止させるストッパを有する、ことを特徴としている。
この構成によれば、ナットがナット保持部に保持された状態で、バネの付勢方向に移動させるべくリードスクリューが回転すると、レンズ保持部材が移動して所定位置でストッパに当接して停止する。すると、ナットだけがさらに移動してナット保持部から離脱した状態となる。したがって、ナットはレンズ保持部材の押圧力を受けず、リードスクリューへのナットの喰い付きが防止される。これにより、誤作動等により所定の制御範囲を超えてレンズ保持部材が駆動されたような場合に、喰い付き、破損等を防止でき、確実に再起動させることができる。
【0007】
上記構成において、ナット保持部は、リードスクリューに螺合した状態で、一対の分割ネジ部の広がり及び回転を規制する規制部、を有する、構成を採用できる。
この構成によれば、ナットがナット保持部に収容された状態では、規制部によりナットの回転と一対の分割ネジ部の広がりが規制されるため、螺合状態が確実に維持されて所望の駆動動作がなされる。
【0008】
上記構成において、ナット保持部は、ナットを受け入れる際に案内するテーパ面を有する、構成を採用できる。
この構成において、ナットが離脱した後に再びナット保持部に入り込む際に、ナットの一部がテーパ面により案内されるため、動作が円滑に行なわれる。
【0009】
上記構成において、ベースは、ナットがナット保持部から離脱した後に、一対の腕部を遠ざける方向に押し広げ再び元の状態に復帰さるように形成された突起を有する、構成を採用できる。
この構成によれば、レンズ保持部材がストッパにより停止した後も、リードスクリューが回転してナットだけが移動する場合、突起が一対の腕部間に入り込んで両者を押し広げ、ナットの螺合を解除して押し戻すと共に再び螺合状態に復帰させるため、誤動作によりリードスクリューが回転し続ける場合には、この動作が繰り返されて、ナットの喰い付き、破損等を防止でき、一方、逆向きにリードスクリューが回転すると即座にナットをナット保持に保持させることができる。
【0010】
上記構成において、突起は、略半球状に形成されている、構成を採用できる。
この構成によれば、突起を略半球状とすることで、構造を簡略化しつつ、上記の動作を得ることができる。
【0011】
上記構成において、バネは、レンズ保持部材を繰り込み方向に向けて付勢するように形成され、ストッパは、レンズ保持部材が最大繰り込み位置に達したときに、レンズ保持部材の移動を規制するように形成されている、構成を採用できる。
この構成によれば、レンズ保持部材が最大繰り込み位置に達したときに、ナットの喰い付き、破損等が防止される。
【0012】
上記構成において、ストッパは、ナットがナット保持部から離脱したときに、ナットの回転を規制するように形成されている、構成を採用できる。
この構成によれば、レンズ保持部材を停止させるストッパが、ナット保持部から離脱したナットの回転を規制する役割を兼ねるため、部品点数が削減されて、構造が簡略化される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図7は、本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示すものであり、図1はレンズ駆動装置を備えたレンズ鏡胴の側断面図、図2はレンズ駆動装置を備えたレンズ鏡胴の内部を示す正面図、図3は駆動機構を示す斜視図、図4はナット保持部及びナットを示す分解斜視図、図5はナットの回転を規制する状態を示す平面図、図6及び図7はナット保持部及びナット並びにリードスクリュー相互の関係を示す状態図である。
【0014】
レンズ鏡胴は、図1及び図2に示すように、輪郭が略矩形形状をなし、フィルタ11及び撮像素子としてのCCD12等が取り付けられるベース10、ベース10に固着された固定筒20、固定筒20の内側において回転及び直進自在に支持された円筒カム30、円筒カム30の内側において光軸方向Lに移動自在に支持された第1レンズ群40及び第2レンズ群50、ベース10に対して光軸方向Lに移動自在に支持された第3レンズ群60、円筒カム30に駆動力を及ぼす歯車機構70及びDCモータ80、第3レンズ群60に駆動力を及ぼす駆動機構としてのナット100,リードスクリュー110,ステップモータ120、第3レンズ群60に所定の付勢力を及ぼすバネ130等を備えている。
【0015】
円筒カム30は、図1に示すように、その外周面に(3個の)フォロワピン31、弧状歯車部32等を有する。フォロワピン31は、固定筒20のカム溝21に挿入されている。円筒カム30は、歯車機構70及びDCモータ80により回転させられると、フォロワピン31がカム溝21に案内されて、光軸方向Lに移動させられる。
【0016】
また、円筒カム30は、図1に示すように、その内周面に第1レンズ群40にカム作用を及ぼす3本のカム溝33、第2レンズ群50にカム作用を及ぼす3本のカム溝34等を有する。尚、円筒カム30の内周面には、第1レンズ群40及び第2レンズ群50の回転を規制しつつ光軸方向Lへ案内するガイド筒35が装着され、ガイド筒35はベース10に対し回動不能に連結されている。
【0017】
第1レンズ群40は、図1に示すように、レンズG1を保持する円筒状のレンズ枠41、レンズ枠41の外周面に設けられた(3個の)フォロワピン42等により形成されている。フォロワピン42はカム溝33に挿入されているため、円筒カム30が回動すると、第1レンズ群40は、その回転がガイド筒35により規制されつつ、光軸方向Lに移動する。
【0018】
第2レンズ群50は、図1に示すように、レンズG2を保持するレンズ枠51、レンズ枠51の外周面に設けられた(3個の)フォロワピン52、シャッタ機構53等により形成されている。フォロワピン52はカム溝34に挿入されているため、円筒カム30が回動すると、第2レンズ群50は、その回転がガイド筒35により規制されつつ、光軸方向Lに移動する。
【0019】
尚、歯車機構70は、図1及び図2に示すように、DCモータ80の出力軸に固着された駆動歯車71、駆動歯車71に噛合する平歯車72、平歯車72と同軸にて一体的に形成されたウォームギヤ73、ウォームギヤ73と噛合するウォームホイール74、ウォームホイール74と同軸にて一体的に形成された平歯車75、平歯車75及び弧状歯車部32に噛合する平歯車76等により形成されている。
【0020】
第3レンズ群60は、図1ないし図3に示すように、レンズG3を保持するレンズ保持部材としてのレンズ枠61、レンズ枠61に一体的に形成されベース10に固定されたガイド軸13,14に外嵌されるガイド孔をもつ連結部62,63、ナット100を保持するナット保持部64、沈胴位置を検出するセンサ140により検出される検出片65等により構成されている。
【0021】
連結部62には、図3に示すように、掛止片62aが一体的に形成されており、掛止片62aには、バネ130の一端130aが掛止されている。尚、バネ130の他端130bは、ベース10あるいは固定部材15の一部(不図示)に掛止されている。バネ130は、コイル状の引っ張りバネからなり、レンズ枠61を繰り込み方向Rに向けて付勢している。
【0022】
第3レンズ群60を光軸方向Lに駆動する駆動機構は、図1ないし図3に示すように、レンズ枠61のナット保持部64に保持されるナット100、光軸方向Lに伸長しナット100に螺合するリードスクリュー110、ベース10の一部をなす固定部材15に固定されてリードスクリュー110を回転駆動するステップモータ120等により形成されている。
【0023】
ナット保持部64は、図4に示すように、リードスクリュー110を通す貫通孔64a、側壁64b、リードスクリュー110に螺合したナット100を受け入れるべく側壁64bにより画定される規制部としての凹部64c等により形成されている。側壁64bには、その開放端において、ナット100を凹部64cに案内する一対のテーパ面64b´が形成されている。したがって、ナット100がナット保持部64の凹部64cに入り込む際に、テーパ面64b´が案内作用をなし、入り込み動作が円滑に行なわれる。
【0024】
規制部としての凹部64cは、後述する一対の分割ネジ部101a,102aの広がり及び回転を規制し、ナット100をリードスクリュー110に対して確実に螺合させた状態に保持する。したがって、レンズ枠61を光軸方向Lに駆動する際には、外部から衝撃力等を受けても螺合状態が解かれることはなく、所望の駆動動作が確実にかつ高精度に行なわれる。一方、リードスクリュー110が回転した状態で、レンズ枠61の繰り込み方向R(すなわちバネ130の付勢方向)への移動が規制されると、ナット100はナット保持部64から離脱可能になっている。
【0025】
ナット100は、図4、図5、図7に示すように、略U字状に形成されて弾性変形可能な一対の腕部101,102と、一対の腕部101,102の自由端側においてお互いに対向するように形成され協働して雌ネジを形成する一対の分割ネジ部101a,102aと、により形成されている。
【0026】
ナット100は、図7(a)に示すように、一対の腕部101,102間に外力が加わらない状態で、一対の腕部101,102が平行に伸長して一対の分割ネジ部101a,102aがリードスクリュー110に螺合した状態となり、図7(b)に示すように、一対の腕部101,102に両者を押し広げるような外力(突起15a)が作用すると、弾性変形して一対の分割ネジ部101a,102aがお互いに遠ざかって螺合が解除され、外力が取り除かれると弾性復帰して再び螺合するようになっている。
【0027】
固定部材15は、ベース10の一部をなすものであり、モータ120を固定する。また、固定部材15には、図2、図3、図5に示すように、光軸方向Lにおいてナット100の一対の腕部101,102間に入り込み又離脱するように形成された略半球状の突起15aと、突起15aを挟むように配置された一対のストッパ15bと、が形成されている。
【0028】
突起15aは、図7(a)に示すように、ナット保持部64から離脱した状態にあるナット100に対して、一対の腕部101,102間に近づいて接触すると同時に、図7(b)に示すように、一対の腕部101,102を遠ざける方向に押し広げ、一対の分割ネジ部101a,102aがリードスクリュー110から離脱すると同時にナット100を繰り出し方向Fに押し戻して再び元の螺合状態に復帰させるように、略半球状に形成されている。
【0029】
一対のストッパ15bは、図3及び図6に示すように、レンズ枠61がバネ130の付勢方向すなわち繰り込み方向Rの所定位置、ここでは最大繰り込み位置に達したときに、ナット保持部64(側壁64b)に当接して、レンズ枠61を停止させるように形成されている。
また、一対のストッパ15bは、図5(b)に示すように、ナット保持部64から離脱した状態にあるナット100の回転を規制するべく、一対の腕部101,102の外側面に対して、それらの縁部が若干の隙間をもって対向するように形成されている。
このように、レンズ枠61の移動を規制するストッパ15bに対して、ナット100の回転を規制する規制部の役割を兼ねさせるため、部品点数が削減されて、構造が簡略化される。
【0030】
次に、上記レンズ駆動装置の動作について、図1、図5ないし図7を参照しつつ説明する。尚、第1レンズ群40と第2レンズ群50との動作について簡単に説明すると、DCモータ80及び歯車機構70により回転駆動力が付与されると、円筒カム30が回転してカム溝33,34がフォロワピン42,52にカム作用を及ぼし、第1レンズ群40及び第2レンズ群50は、沈胴位置から広角端撮影位置を経て望遠端撮影位置に至り、繰り出し及び繰り込み動作を含んだ変倍動作が行なわれる。そして、この変倍動作に応じて、第3レンズ群60の合焦動作等が行なわれる。
【0031】
ここで、第3レンズ群60の駆動動作について説明すると、通常の合焦動作においては、ナット100は、図5(a)及び図6(a)に示すように、ナット保持部64に保持された状態にある。したがって、ステップモータ120が駆動されて、リードスクリュー110が繰り出し方向Fあるいは繰り込み方向Rのいずれに回転されても、ナット100はナット保持部64に確実に保持されレンズ枠61と一体となって、第3レンズ群60を光軸方向Lの所望の位置に移動させて位置決めする。
【0032】
一方、第3レンズ群60を繰り込んで沈胴位置に戻す場合には、センサ140が検出片65を検出し、この検出信号に基づいて制御部から制御信号が発せられて、ステップモータ120の駆動が停止し、第3レンズ群60が所定の沈胴位置に位置決めされる。
ところで、この制御動作に誤動作が生じて、ステップモータ120が停止せず、第3レンズ群60が沈胴位置を越えて最大繰り込み位置に達すると、ナット保持部64がストッパ15bに当接して、レンズ枠61が停止する。
一方、リードスクリュー110は回転し続けているため、ナット100は、図5、図6(a)に示すようにナット保持部64に保持された状態から、図6(b)及び図7(a)に示すようにさらに繰り込まれて離脱した状態となる。
【0033】
このとき、一対の分割ネジ部101a,102aは、凹部64cによる規制が解除されるため、無理な力が加わった場合にはその力に応じて螺合を解く方向に変形し得る状態にある。また、この離脱状態において、ナット100は、図5(b)に示すように、一対のストッパ15bの縁部により回転が規制されている。
【0034】
ナット100がさらに繰り込まれると、突起15aが一対の腕部101,102の間に入り込んで楔作用をなし、図7(b)に示すように、両者を押し広げる。そして、一対の分割ネジ部101a,102aがリードスクリュー110から離脱すると、駆動力が伝達されなくなるため、略半球状の突起15aが一対の腕部101,102の弾性復帰力を利用して、ナット100を繰り出し側に若干押し戻して、図7(a)に示す元の螺合状態に復帰させる。すなわち、リードスクリュー110が回転する限り、図7(a)に示す螺合状態から図7(b)に示す離脱状態、そして再び図7(a)に示す螺合状態に至る動作を繰り返すことになる。この関係は、図6(b)において、実線で示すナット100と二点鎖線で示すナット100´の関係に相当する。
尚、図7(b)においては、説明の便宜上、一対の分割ネジ部101a,102aが隙間をもって離脱した状態を示しているが、実際には、リードスクリュー110との螺合が解かれるや否や、図7(a)に示す状態に復帰する。
【0035】
このように、誤動作等により、制御範囲を超えてレンズ保持部材61及びナット100が駆動されたとしても、ナット100は、レンズ保持部材61から押圧力を受けることもなく、リードスクリュー110への喰い付きも防止される。
したがって、第3レンズ群60が再び繰り出し方向Fに駆動されると、ナット100はテーパ面64b´に案内されてナット保持部64に入り込み、レンズ枠61は高精度に駆動されることになる。
【0036】
上記実施形態においては、第1レンズ群40及び第2レンズ群50、並びに第3レンズ群60を含むレンズ鏡胴において、第3レンズ群60を駆動する装置として本発明の駆動装置を適用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、単一のレンズ群を駆動する場合に、本発明の駆動装置を適用してもよい。
【0037】
上記実施形態においては、ナット保持部64として、側壁64bにより画定される凹部64cを示したが、これに限定されるものではなく、ナット100を回転しないように所定位置に保持しかつ一対の分割ネジ部101a,102aの螺合状態を確実に維持する形状であれば、その他の構成を採用してもよい。
【0038】
上記実施形態においては、レンズ枠61の移動を規制するストッパ15bを、ナット100の回転を規制するために兼用したが、ナット保持部64の下面から所定の長さに亘って突出するように一対の回り止め片を設け、この回り止め片により、ナット100がナット保持部64から離脱した後での回転を規制するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のレンズ駆動装置によれば、レンズ保持部材に対して保持されるナット,ナットに螺合するリードスクリュー,リードスクリューを駆動するモータを含む駆動機構を備えた構成において、ナットを、略U字状に形成されて弾性変形可能な一対の腕部とその自由端側に形成された一対の分割ネジ部とにより形成し、レンズ保持部材に対して、バネの付勢方向に離脱可能にナットを受け入れて保持し得るナット保持部を設け、さらにバネの付勢方向に向かう所定位置においてレンズ保持部材を停止させるストッパを設けたことにより、誤動作等により制御範囲を超えて駆動されても、ナットはレンズ保持部材の押圧力を受けず、リードスクリューへのナットの喰い付きが防止される。これにより、ナットその他の破損等を防止でき、確実に駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置を備えたレンズ鏡胴の一実施形態を示す側断面図である。
【図2】レンズ鏡胴の内部を示す正面図である。
【図3】第3レンズ群を駆動する駆動機構を示す斜視図である。
【図4】ナット保持部及びナットを示す分解斜視図である。
【図5】ナットの回転が規制される状態を示すものであり、(a)はナット保持部に保持された状態を示す断面図、(b)はナット保持部から離脱してストッパにより規制された状態を示す平面図である。
【図6】リードスクリュー、ナット、ナット保持部の関係を示すものであり、(a)はナットがナット保持部に保持された状態を示す断面図、(b)はナットがナット保持部から離脱した状態を示す断面図である。
【図7】突起の作用を説明するためのものであり、(a)は突起が一対の腕部から離れた位置にある状態を示す斜視図、(b)は突起が一対の腕部に入り込んで押し広げた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ベース
13,14 ガイド軸
15 固定部材(ベース)
15a 突起
15b ストッパ
60 第3レンズ群
61 レンズ枠(レンズ保持部材)
62,63 連結部
62a 掛止片
64 ナット保持部
64a 貫通孔
64b 側壁
64b´ テーパ面
64c 凹部(規制部)
65 検出片
100 ナット(駆動機構)
101,102 一対の腕部
101a,102a 一対の分割ネジ部
110 リードスクリュー(駆動機構)
120 ステップモータ(駆動機構)
130 バネ
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ、銀塩フィルム式カメラ等におけるレンズ駆動装置に関し、特に、光軸方向に伸長するリードスクリュー及びナットを含むレンズ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のレンズ駆動装置としては、モータにより回転駆動されるリードスクリューと、レンズ枠(レンズ保持部材)と一緒に移動するハーフナットとを備え、ハーフナットは、通常はリードスクリューに螺合した状態にあり、レンズ枠に一定以上の軸方向の負荷(不意に大きな外力)が加わったときにその螺合が解かれてリードスクリュー上を軸方向に滑るように形成されて、駆動機構に変形等の不具合が生じないようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−3577761号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の駆動装置において、ハーフナットは、リードスクリューの全周に螺合するのではなく略半部の領域において螺合するため、装置のガタツキ等により螺合状態が容易に解かれて、所望の駆動制御を行なえない虞がある。
また、レンズ枠が最大繰り込み位置に達したときに、レンズ枠を停止させるストッパの押圧力で、ハーフナットがリードスクリューに喰い付いてロック状態を招く虞がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、ナット及びリードスクリューを備える駆動機構において、駆動に際してはナットとリードスクリューとの螺合状態が確実に維持されて高精度に位置決め制御がなされると同時に、誤動作等によりレンズ保持部材が制御範囲を超えて駆動されるような場合には、ナットとリードスクリューとの喰い付きを防止して、再駆動を容易に行なえるレンズ駆動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のレンズ駆動装置は、ベースと、光軸方向に移動自在にベースに対して支持されたレンズ保持部材と、レンズ保持部材を光軸方向の一方側に向けて付勢するバネと、レンズ保持部材に対して保持されるナット,ナットに螺合するリードスクリュー,リードスクリューを駆動するモータを含む駆動機構と、を備えたレンズ駆動装置であって、上記ナットは、略U字状に形成されて弾性変形可能な一対の腕部と、一対の腕部の自由端側において対向するように形成され協働して雌ネジを形成する一対の分割ネジ部とを有し、上記レンズ保持部材は、ナットを、バネの付勢方向に離脱可能に、一対の分割ネジ部がリードスクリューに螺合した状態で受け入れて所定位置に保持し得るナット保持部を有し、上記ベースは、バネの付勢方向に向かう所定位置において、レンズ保持部材を停止させるストッパを有する、ことを特徴としている。
この構成によれば、ナットがナット保持部に保持された状態で、バネの付勢方向に移動させるべくリードスクリューが回転すると、レンズ保持部材が移動して所定位置でストッパに当接して停止する。すると、ナットだけがさらに移動してナット保持部から離脱した状態となる。したがって、ナットはレンズ保持部材の押圧力を受けず、リードスクリューへのナットの喰い付きが防止される。これにより、誤作動等により所定の制御範囲を超えてレンズ保持部材が駆動されたような場合に、喰い付き、破損等を防止でき、確実に再起動させることができる。
【0007】
上記構成において、ナット保持部は、リードスクリューに螺合した状態で、一対の分割ネジ部の広がり及び回転を規制する規制部、を有する、構成を採用できる。
この構成によれば、ナットがナット保持部に収容された状態では、規制部によりナットの回転と一対の分割ネジ部の広がりが規制されるため、螺合状態が確実に維持されて所望の駆動動作がなされる。
【0008】
上記構成において、ナット保持部は、ナットを受け入れる際に案内するテーパ面を有する、構成を採用できる。
この構成において、ナットが離脱した後に再びナット保持部に入り込む際に、ナットの一部がテーパ面により案内されるため、動作が円滑に行なわれる。
【0009】
上記構成において、ベースは、ナットがナット保持部から離脱した後に、一対の腕部を遠ざける方向に押し広げ再び元の状態に復帰さるように形成された突起を有する、構成を採用できる。
この構成によれば、レンズ保持部材がストッパにより停止した後も、リードスクリューが回転してナットだけが移動する場合、突起が一対の腕部間に入り込んで両者を押し広げ、ナットの螺合を解除して押し戻すと共に再び螺合状態に復帰させるため、誤動作によりリードスクリューが回転し続ける場合には、この動作が繰り返されて、ナットの喰い付き、破損等を防止でき、一方、逆向きにリードスクリューが回転すると即座にナットをナット保持に保持させることができる。
【0010】
上記構成において、突起は、略半球状に形成されている、構成を採用できる。
この構成によれば、突起を略半球状とすることで、構造を簡略化しつつ、上記の動作を得ることができる。
【0011】
上記構成において、バネは、レンズ保持部材を繰り込み方向に向けて付勢するように形成され、ストッパは、レンズ保持部材が最大繰り込み位置に達したときに、レンズ保持部材の移動を規制するように形成されている、構成を採用できる。
この構成によれば、レンズ保持部材が最大繰り込み位置に達したときに、ナットの喰い付き、破損等が防止される。
【0012】
上記構成において、ストッパは、ナットがナット保持部から離脱したときに、ナットの回転を規制するように形成されている、構成を採用できる。
この構成によれば、レンズ保持部材を停止させるストッパが、ナット保持部から離脱したナットの回転を規制する役割を兼ねるため、部品点数が削減されて、構造が簡略化される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図7は、本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示すものであり、図1はレンズ駆動装置を備えたレンズ鏡胴の側断面図、図2はレンズ駆動装置を備えたレンズ鏡胴の内部を示す正面図、図3は駆動機構を示す斜視図、図4はナット保持部及びナットを示す分解斜視図、図5はナットの回転を規制する状態を示す平面図、図6及び図7はナット保持部及びナット並びにリードスクリュー相互の関係を示す状態図である。
【0014】
レンズ鏡胴は、図1及び図2に示すように、輪郭が略矩形形状をなし、フィルタ11及び撮像素子としてのCCD12等が取り付けられるベース10、ベース10に固着された固定筒20、固定筒20の内側において回転及び直進自在に支持された円筒カム30、円筒カム30の内側において光軸方向Lに移動自在に支持された第1レンズ群40及び第2レンズ群50、ベース10に対して光軸方向Lに移動自在に支持された第3レンズ群60、円筒カム30に駆動力を及ぼす歯車機構70及びDCモータ80、第3レンズ群60に駆動力を及ぼす駆動機構としてのナット100,リードスクリュー110,ステップモータ120、第3レンズ群60に所定の付勢力を及ぼすバネ130等を備えている。
【0015】
円筒カム30は、図1に示すように、その外周面に(3個の)フォロワピン31、弧状歯車部32等を有する。フォロワピン31は、固定筒20のカム溝21に挿入されている。円筒カム30は、歯車機構70及びDCモータ80により回転させられると、フォロワピン31がカム溝21に案内されて、光軸方向Lに移動させられる。
【0016】
また、円筒カム30は、図1に示すように、その内周面に第1レンズ群40にカム作用を及ぼす3本のカム溝33、第2レンズ群50にカム作用を及ぼす3本のカム溝34等を有する。尚、円筒カム30の内周面には、第1レンズ群40及び第2レンズ群50の回転を規制しつつ光軸方向Lへ案内するガイド筒35が装着され、ガイド筒35はベース10に対し回動不能に連結されている。
【0017】
第1レンズ群40は、図1に示すように、レンズG1を保持する円筒状のレンズ枠41、レンズ枠41の外周面に設けられた(3個の)フォロワピン42等により形成されている。フォロワピン42はカム溝33に挿入されているため、円筒カム30が回動すると、第1レンズ群40は、その回転がガイド筒35により規制されつつ、光軸方向Lに移動する。
【0018】
第2レンズ群50は、図1に示すように、レンズG2を保持するレンズ枠51、レンズ枠51の外周面に設けられた(3個の)フォロワピン52、シャッタ機構53等により形成されている。フォロワピン52はカム溝34に挿入されているため、円筒カム30が回動すると、第2レンズ群50は、その回転がガイド筒35により規制されつつ、光軸方向Lに移動する。
【0019】
尚、歯車機構70は、図1及び図2に示すように、DCモータ80の出力軸に固着された駆動歯車71、駆動歯車71に噛合する平歯車72、平歯車72と同軸にて一体的に形成されたウォームギヤ73、ウォームギヤ73と噛合するウォームホイール74、ウォームホイール74と同軸にて一体的に形成された平歯車75、平歯車75及び弧状歯車部32に噛合する平歯車76等により形成されている。
【0020】
第3レンズ群60は、図1ないし図3に示すように、レンズG3を保持するレンズ保持部材としてのレンズ枠61、レンズ枠61に一体的に形成されベース10に固定されたガイド軸13,14に外嵌されるガイド孔をもつ連結部62,63、ナット100を保持するナット保持部64、沈胴位置を検出するセンサ140により検出される検出片65等により構成されている。
【0021】
連結部62には、図3に示すように、掛止片62aが一体的に形成されており、掛止片62aには、バネ130の一端130aが掛止されている。尚、バネ130の他端130bは、ベース10あるいは固定部材15の一部(不図示)に掛止されている。バネ130は、コイル状の引っ張りバネからなり、レンズ枠61を繰り込み方向Rに向けて付勢している。
【0022】
第3レンズ群60を光軸方向Lに駆動する駆動機構は、図1ないし図3に示すように、レンズ枠61のナット保持部64に保持されるナット100、光軸方向Lに伸長しナット100に螺合するリードスクリュー110、ベース10の一部をなす固定部材15に固定されてリードスクリュー110を回転駆動するステップモータ120等により形成されている。
【0023】
ナット保持部64は、図4に示すように、リードスクリュー110を通す貫通孔64a、側壁64b、リードスクリュー110に螺合したナット100を受け入れるべく側壁64bにより画定される規制部としての凹部64c等により形成されている。側壁64bには、その開放端において、ナット100を凹部64cに案内する一対のテーパ面64b´が形成されている。したがって、ナット100がナット保持部64の凹部64cに入り込む際に、テーパ面64b´が案内作用をなし、入り込み動作が円滑に行なわれる。
【0024】
規制部としての凹部64cは、後述する一対の分割ネジ部101a,102aの広がり及び回転を規制し、ナット100をリードスクリュー110に対して確実に螺合させた状態に保持する。したがって、レンズ枠61を光軸方向Lに駆動する際には、外部から衝撃力等を受けても螺合状態が解かれることはなく、所望の駆動動作が確実にかつ高精度に行なわれる。一方、リードスクリュー110が回転した状態で、レンズ枠61の繰り込み方向R(すなわちバネ130の付勢方向)への移動が規制されると、ナット100はナット保持部64から離脱可能になっている。
【0025】
ナット100は、図4、図5、図7に示すように、略U字状に形成されて弾性変形可能な一対の腕部101,102と、一対の腕部101,102の自由端側においてお互いに対向するように形成され協働して雌ネジを形成する一対の分割ネジ部101a,102aと、により形成されている。
【0026】
ナット100は、図7(a)に示すように、一対の腕部101,102間に外力が加わらない状態で、一対の腕部101,102が平行に伸長して一対の分割ネジ部101a,102aがリードスクリュー110に螺合した状態となり、図7(b)に示すように、一対の腕部101,102に両者を押し広げるような外力(突起15a)が作用すると、弾性変形して一対の分割ネジ部101a,102aがお互いに遠ざかって螺合が解除され、外力が取り除かれると弾性復帰して再び螺合するようになっている。
【0027】
固定部材15は、ベース10の一部をなすものであり、モータ120を固定する。また、固定部材15には、図2、図3、図5に示すように、光軸方向Lにおいてナット100の一対の腕部101,102間に入り込み又離脱するように形成された略半球状の突起15aと、突起15aを挟むように配置された一対のストッパ15bと、が形成されている。
【0028】
突起15aは、図7(a)に示すように、ナット保持部64から離脱した状態にあるナット100に対して、一対の腕部101,102間に近づいて接触すると同時に、図7(b)に示すように、一対の腕部101,102を遠ざける方向に押し広げ、一対の分割ネジ部101a,102aがリードスクリュー110から離脱すると同時にナット100を繰り出し方向Fに押し戻して再び元の螺合状態に復帰させるように、略半球状に形成されている。
【0029】
一対のストッパ15bは、図3及び図6に示すように、レンズ枠61がバネ130の付勢方向すなわち繰り込み方向Rの所定位置、ここでは最大繰り込み位置に達したときに、ナット保持部64(側壁64b)に当接して、レンズ枠61を停止させるように形成されている。
また、一対のストッパ15bは、図5(b)に示すように、ナット保持部64から離脱した状態にあるナット100の回転を規制するべく、一対の腕部101,102の外側面に対して、それらの縁部が若干の隙間をもって対向するように形成されている。
このように、レンズ枠61の移動を規制するストッパ15bに対して、ナット100の回転を規制する規制部の役割を兼ねさせるため、部品点数が削減されて、構造が簡略化される。
【0030】
次に、上記レンズ駆動装置の動作について、図1、図5ないし図7を参照しつつ説明する。尚、第1レンズ群40と第2レンズ群50との動作について簡単に説明すると、DCモータ80及び歯車機構70により回転駆動力が付与されると、円筒カム30が回転してカム溝33,34がフォロワピン42,52にカム作用を及ぼし、第1レンズ群40及び第2レンズ群50は、沈胴位置から広角端撮影位置を経て望遠端撮影位置に至り、繰り出し及び繰り込み動作を含んだ変倍動作が行なわれる。そして、この変倍動作に応じて、第3レンズ群60の合焦動作等が行なわれる。
【0031】
ここで、第3レンズ群60の駆動動作について説明すると、通常の合焦動作においては、ナット100は、図5(a)及び図6(a)に示すように、ナット保持部64に保持された状態にある。したがって、ステップモータ120が駆動されて、リードスクリュー110が繰り出し方向Fあるいは繰り込み方向Rのいずれに回転されても、ナット100はナット保持部64に確実に保持されレンズ枠61と一体となって、第3レンズ群60を光軸方向Lの所望の位置に移動させて位置決めする。
【0032】
一方、第3レンズ群60を繰り込んで沈胴位置に戻す場合には、センサ140が検出片65を検出し、この検出信号に基づいて制御部から制御信号が発せられて、ステップモータ120の駆動が停止し、第3レンズ群60が所定の沈胴位置に位置決めされる。
ところで、この制御動作に誤動作が生じて、ステップモータ120が停止せず、第3レンズ群60が沈胴位置を越えて最大繰り込み位置に達すると、ナット保持部64がストッパ15bに当接して、レンズ枠61が停止する。
一方、リードスクリュー110は回転し続けているため、ナット100は、図5、図6(a)に示すようにナット保持部64に保持された状態から、図6(b)及び図7(a)に示すようにさらに繰り込まれて離脱した状態となる。
【0033】
このとき、一対の分割ネジ部101a,102aは、凹部64cによる規制が解除されるため、無理な力が加わった場合にはその力に応じて螺合を解く方向に変形し得る状態にある。また、この離脱状態において、ナット100は、図5(b)に示すように、一対のストッパ15bの縁部により回転が規制されている。
【0034】
ナット100がさらに繰り込まれると、突起15aが一対の腕部101,102の間に入り込んで楔作用をなし、図7(b)に示すように、両者を押し広げる。そして、一対の分割ネジ部101a,102aがリードスクリュー110から離脱すると、駆動力が伝達されなくなるため、略半球状の突起15aが一対の腕部101,102の弾性復帰力を利用して、ナット100を繰り出し側に若干押し戻して、図7(a)に示す元の螺合状態に復帰させる。すなわち、リードスクリュー110が回転する限り、図7(a)に示す螺合状態から図7(b)に示す離脱状態、そして再び図7(a)に示す螺合状態に至る動作を繰り返すことになる。この関係は、図6(b)において、実線で示すナット100と二点鎖線で示すナット100´の関係に相当する。
尚、図7(b)においては、説明の便宜上、一対の分割ネジ部101a,102aが隙間をもって離脱した状態を示しているが、実際には、リードスクリュー110との螺合が解かれるや否や、図7(a)に示す状態に復帰する。
【0035】
このように、誤動作等により、制御範囲を超えてレンズ保持部材61及びナット100が駆動されたとしても、ナット100は、レンズ保持部材61から押圧力を受けることもなく、リードスクリュー110への喰い付きも防止される。
したがって、第3レンズ群60が再び繰り出し方向Fに駆動されると、ナット100はテーパ面64b´に案内されてナット保持部64に入り込み、レンズ枠61は高精度に駆動されることになる。
【0036】
上記実施形態においては、第1レンズ群40及び第2レンズ群50、並びに第3レンズ群60を含むレンズ鏡胴において、第3レンズ群60を駆動する装置として本発明の駆動装置を適用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、単一のレンズ群を駆動する場合に、本発明の駆動装置を適用してもよい。
【0037】
上記実施形態においては、ナット保持部64として、側壁64bにより画定される凹部64cを示したが、これに限定されるものではなく、ナット100を回転しないように所定位置に保持しかつ一対の分割ネジ部101a,102aの螺合状態を確実に維持する形状であれば、その他の構成を採用してもよい。
【0038】
上記実施形態においては、レンズ枠61の移動を規制するストッパ15bを、ナット100の回転を規制するために兼用したが、ナット保持部64の下面から所定の長さに亘って突出するように一対の回り止め片を設け、この回り止め片により、ナット100がナット保持部64から離脱した後での回転を規制するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のレンズ駆動装置によれば、レンズ保持部材に対して保持されるナット,ナットに螺合するリードスクリュー,リードスクリューを駆動するモータを含む駆動機構を備えた構成において、ナットを、略U字状に形成されて弾性変形可能な一対の腕部とその自由端側に形成された一対の分割ネジ部とにより形成し、レンズ保持部材に対して、バネの付勢方向に離脱可能にナットを受け入れて保持し得るナット保持部を設け、さらにバネの付勢方向に向かう所定位置においてレンズ保持部材を停止させるストッパを設けたことにより、誤動作等により制御範囲を超えて駆動されても、ナットはレンズ保持部材の押圧力を受けず、リードスクリューへのナットの喰い付きが防止される。これにより、ナットその他の破損等を防止でき、確実に駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置を備えたレンズ鏡胴の一実施形態を示す側断面図である。
【図2】レンズ鏡胴の内部を示す正面図である。
【図3】第3レンズ群を駆動する駆動機構を示す斜視図である。
【図4】ナット保持部及びナットを示す分解斜視図である。
【図5】ナットの回転が規制される状態を示すものであり、(a)はナット保持部に保持された状態を示す断面図、(b)はナット保持部から離脱してストッパにより規制された状態を示す平面図である。
【図6】リードスクリュー、ナット、ナット保持部の関係を示すものであり、(a)はナットがナット保持部に保持された状態を示す断面図、(b)はナットがナット保持部から離脱した状態を示す断面図である。
【図7】突起の作用を説明するためのものであり、(a)は突起が一対の腕部から離れた位置にある状態を示す斜視図、(b)は突起が一対の腕部に入り込んで押し広げた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ベース
13,14 ガイド軸
15 固定部材(ベース)
15a 突起
15b ストッパ
60 第3レンズ群
61 レンズ枠(レンズ保持部材)
62,63 連結部
62a 掛止片
64 ナット保持部
64a 貫通孔
64b 側壁
64b´ テーパ面
64c 凹部(規制部)
65 検出片
100 ナット(駆動機構)
101,102 一対の腕部
101a,102a 一対の分割ネジ部
110 リードスクリュー(駆動機構)
120 ステップモータ(駆動機構)
130 バネ
Claims (7)
- ベースと、光軸方向に移動自在に前記ベースに対して支持されたレンズ保持部材と、前記レンズ保持部材を光軸方向の一方側に向けて付勢するバネと、前記レンズ保持部材に対して保持されるナット,前記ナットに螺合するリードスクリュー,前記リードスクリューを駆動するモータを含む駆動機構と、を備えたレンズ駆動装置であって、
前記ナットは、略U字状に形成されて弾性変形可能な一対の腕部と、前記一対の腕部の自由端側において対向するように形成され協働して雌ネジを形成する一対の分割ネジ部と、を有し、
前記レンズ保持部材は、前記ナットを、前記バネの付勢方向に離脱可能に、前記一対の分割ネジ部が前記リードスクリューに螺合した状態で受け入れて所定位置に保持し得るナット保持部、を有し、
前記ベースは、前記バネの付勢方向に向かう所定位置において、前記レンズ保持部材を停止させるストッパ、を有する、
ことを特徴とするレンズ駆動装置。 - 前記ナット保持部は、前記リードスクリューに螺合した状態で、前記一対の分割ネジ部の広がり及び回転を規制する規制部、を有する、
ことを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。 - 前記ナット保持部は、前記ナットを受け入れる際に案内するテーパ面、を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ駆動装置。 - 前記ベースは、前記ナットが前記ナット保持部から離脱した後に、前記一対の腕部を遠ざける方向に押し広げ再び元の状態に復帰させるように形成された突起、を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のレンズ駆動装置。 - 前記突起は、略半球状に形成されている、
ことを特徴とする請求項4記載のレンズ駆動装置。 - 前記バネは、前記レンズ保持部材を繰り込み方向に向けて付勢するように形成され、
前記ストッパは、前記レンズ保持部材が最大繰り込み位置に達したときに、前記レンズ保持部材の移動を規制するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載のレンズ駆動装置。 - 前記ストッパは、前記ナットが前記ナット保持部から離脱したときに、前記ナットの回転を規制するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載のレンズ駆動装置。
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