JP2005024591A - 感光性樹脂組成物、その硬化物、及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】▲1▼ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)、ジメチロールプロピオン酸(b)、イソホロンジイソシアネート(c)を反応させて得られることを特徴とするアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)、
▲2▼光重合開始剤(B)、
▲3▼架橋剤(C)
▲4▼任意成分として硬化成分(D)
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物に関する。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタン化反応により得られるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂を用いた感光性樹脂組成物並びにその硬化物の製法等に関し、更に詳しくは、フレキシブルプリント配線板用ソルダーマスク、多層プリント配線板用層間絶縁膜、感光性光導波路等として有用な、現像性、フレキシブル性、密着性、半田耐熱性、耐薬品性、耐メッキ性、高絶縁性等に優れた硬化物を与える樹脂組成物並びにその硬化物の製法、その硬化物の層を有する基材等に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、一部の民生用プリント配線板並びにほとんどの産業用プリント配線板のソルダーマスクは、フォトリソグラフ法を利用した、即ち露光後に現像処理をすることによって画像形成し、更に熱及び/又は光照射で仕上げ硬化する光硬化型組成物を使用したものである。そして、環境問題への配慮から、現像液として希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像タイプの液状組成物が主流になっている。このようなソルダーマスク用液状組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸の反応生成物に酸無水物を付加した感光性樹脂、光重合開始剤、架橋剤、及びエポキシ樹脂からなるソルダーマスク組成物が知られている(特許文献1等)。しかしながら、この組成物の硬化物は硬く、近年の携帯機器のような分野に多く使用されつつあるボールグリッドアレイ(以下BGAという)基板やフレキシブル基板へ適用すると、表面にクラックが生じたり、基板の折り曲げに追随できないという不具合を生ずる。
【0003】
この、BGA基板やフレキシブル基板に適用する材料として、多官能ビスフェノール系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物に多塩基酸無水物を反応させて得られる多塩基酸無水物変性エポキシアクリレート樹脂とウレタンアクリレート等を使用した組成物が特許文献2に記載されている。しかしながら、これを用いた場合、表面の耐クラック性は改善されるものの、フレキシブル性の点でまだ不十分であり極度の折り曲げに関しては追随できない点が課題であった。
又、ビニルエステル樹脂、又はそれとカルボキシル基を有するジオール化合物との混合物に、ポリイソシアネート成分を反応させて得られるウレタン変性ビニルエステル樹脂を含有する光重合性樹脂組成物と、プレッシャークッカー耐性、耐熱性、基板への密着性を備えた樹脂について特許文献3に記載されている。
【0004】
更に、ジエポキシドのエポキシ基1モルに対して1分子中に平均1個のカルボキシル基と平均1個のエチレン性不飽和基を含有する数平均分子量72〜1000のエチレン性不飽和カルボン酸0.8〜1.2モルを反応させてなる水酸基含有不飽和樹脂、カルボキシル基含有ジオール化合物、ジイソシアネート化合物及び必要に応じてポリオール化合物を反応させてなる不飽和基含有ウレタン樹脂を含有する樹脂組成物が特許文献4及び特許文献5に開示されている。しかしながら、これらの樹脂組成物はフレキシブル性や硬化時の反りの点で問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−243869号公報
【特許文献2】特許2868190号公報
【特許文献3】特開平9−52925号公報
【特許文献4】特開2001−33959号公報
【特許文献5】特開2001−33960号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
プリント配線板は、携帯機器の小型軽量化や通信速度の向上をめざして高精度、高密度化が求められており、それに伴いソルダーマスクへの要求も増々高度となり、よりフレキシブル性を保ちながら金メッキ耐性、無電解金メッキ耐性、スズメッキ耐性、基板密着性、高絶縁性等の電気特性の向上が要求されている。しかしながら、現在知られているソルダーマスクではこれらの多様な要求に十分に対応できていない。
本発明の目的は、昨今のプリント配線板の高機能化に対応し得る微細な画像が描画可能な活性エネルギー線に対する感光性に優れ、希アルカリ水溶液による現像によりパターン形成できると共に、後硬化(ポストキュア)工程として熱硬化させて得られる硬化膜が十分なフレキシブル性を有し、高絶縁性で密着性、金メッキ耐性、無電解金メッキ耐性、スズメッキ耐性に優れたソルダーマスクインキ、特にフレキシブルプリント配線板用ソルダーマスク又は多層プリント配線板用層間絶縁膜に適する樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述の課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
【0008】
(1)▲1▼ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)、ジメチロールプロピオン酸(b)、イソホロンジイソシアネート(c)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)、
▲2▼光重合開始剤(B)、
▲3▼架橋剤(C)
▲4▼任意成分として硬化成分(D)
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物;
(2)▲1▼ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)、ジメチロールプロピオン酸(b)、イソホロンジイソシアネート(c)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)、
▲2▼光重合開始剤(B)、
▲3▼架橋剤(C)、
▲4▼硬化成分(D)
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物;
(3)アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)を得る反応に際し、イソホロンジイソシアネート(c)のイソシアネート基に対する、ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)とジメチロールプロピオン酸(b)の混合物中のヒドロキシル基の当量比が、1.1〜2.0である上記(1)又は(2)に記載の感光性樹脂組成物;
(4)アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の固形分酸価が、30〜150mgKOH/gである上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【0009】
(5)アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)を得る反応に際し、ビスフェノールA型エポキシ化合物が、100〜900g/当量のエポキシ当量を有するエポキシ化合物である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物;
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを特徴とする硬化物の製法;
(7)上記(6)に記載の製法による硬化物の層を有する基材;
(8)上記(7)に記載の基材を有する物品;
(9)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線により硬化し、アルカリ処理及び熱処理する工程を含むことを特徴とするフレキシブルプリント配線板用ソルダーマスク又は多層プリント配線板用層間絶縁膜の製造法;
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性樹脂組成物は、▲1▼ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)、ジメチロールプロピオン酸(b)、イソホロンジイソシアネート(c)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)、
▲2▼光重合開始剤(B)、▲3▼架橋剤(C)を含有することを特徴とする。更に,本発明の感光性樹脂組成物は▲4▼硬化成分(D)を含有する組成物も含む。
【0011】
本発明に使用されるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)を製造するために用いるビスフェノールA型エポキシ化合物は、特にエポキシ当量が100〜900g/当量のエポキシ化合物であることが望ましい。エポキシ当量が100未満の場合、得られるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の分子量が小さく成膜が困難となったり、フレキシブル性が十分得られなくなる恐れが有り、又、エポキシ当量が900を超える場合、メタクリル酸の導入率が低くなり感光性が低下する恐れがある。
本発明において、エポキシ当量とはエポキシ化合物のエポキシ基1個に対する該エポキシ化合物の質量のことであり、g/当量の単位で表し、通常はJIS K 7236記載の方法により測定される。
【0012】
本発明に使用されるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)を製造するために用いるビスフェノールA型エポキシ化合物としては、特に限定されないが、市販品としての例えばエピコート828、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン製)、エポミックR−140、エポミックR−301、エポミックR−304(いずれも三井化学製)、D.E.R−331、D.E.R−332、D.E.R−324(いずれもダウ・ケミカル社製)、エピクロン840、エピクロン850(いずれも大日本インキ製)、UVR−6410(ユニオンカーバイド社製)、YD−8125(東都化成社製)等が挙げられる。
【0013】
エポキシ化合物と反応させる酸としては、感光性樹脂組成物とし、活性エネルギー線照射により硬化物を得る際の感度の点でアクリル酸が選ばれる。
本発明に使用される、ジメチロールプロピオン酸(b)を用いて製造されるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)は、特にアルカリ水溶液現像性に優れる。
【0014】
本発明に使用されるイソホロンジイソシアネート(c)を用いて製造されるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)は、柔軟性、耐熱性等に優れる。
【0015】
本発明に使用されるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の製造は、ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)、即ちビスフェノールA型エポキシ化合物とアクリル酸との反応(以下第一の反応という)によりアルコール性水酸基が生成したエポキシカルボキシレート化合物、及びジメチロールプロピオン酸(b)をイソホロンジイソシアネート(c)によりウレタン化反応(以下第二の反応という)するものである。
【0016】
本発明の感光性樹脂組成物に使用されるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の製造は、無溶剤もしくはアルコール性水酸基を有さない溶媒、具体的には例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル(例えばグルタル酸ジメチル等)、コハク酸ジアルキル(例えばコハク酸ジメチル等)、アジピン酸ジアルキル(例えばアジピン酸ジメチル等)等のエステル類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤、更には後述する架橋剤(C)等の、単独又は混合溶媒中で行うことができる。
【0017】
この反応における原料の仕込み割合としては、メタクリル酸を、ビスフェノールA型エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対し80〜120当量%であることが好ましい。この範囲を逸脱した場合、第二の反応中にゲル化を引き起こす恐れや、最終的に得られるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の熱安定性が低くなる恐れがある。
【0018】
反応時には反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は反応物に対して0.1〜10重量%である。使用する触媒の具体例としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、塩化トリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、沃化ベンジルトリメチルアンモニウム、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等が挙げられる。反応温度は60〜150℃であり、又、反応時間は後記の酸価値のモニタリングにより適宜決められるが、好ましくは5〜60時間である。
又、熱重合禁止剤として、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2−メチルヒドロキノン、ヒドロキノン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等を使用するのが好ましい。
第一の反応は、反応液の酸価が1mgKOH/g以下、好ましくは0.5mgKOH/g以下となった時点を終点とする。
【0019】
第二の反応は、第一の反応終了後、反応液に前述のジメチロールプロピオン酸(b)を加え分散液、又は溶液とした後、更に前述のトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(c)を徐々に加え反応させるウレタン化反応である。無触媒でも、反応を促進させるために第一の反応に使用した触媒と同様の触媒やジブチルスズジラウリレート等のスズ系触媒を使用してもよい。触媒を使用する場合、該触媒の使用量は反応物に対して10重量%以下である。本発明の感光性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物の電気的特性の点からは、第二の反応は有機金属系触媒を使用せずに行うのが望ましい。第二の反応の反応温度としては40〜120℃であり、又、反応時間は後記の赤外線吸収スペクトルのモニタリングにより適宜決められるが、好ましくは5〜60時間である。なお、この際、第一の反応に使用したのと同様な熱重合禁止剤を使用してもよい。
第二の反応は、反応液の赤外線吸収スペクトルにおける2250cm−1付近のイソシアネート基に基づく吸収がなくなる時点を終点とする。
【0020】
各成分の仕込み量においてジメチロールプロピオン酸(b)は、本発明のアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の固形分酸価が30〜150mgKOH/gとなるように計算して添加するのがよい。固形分酸価が30mgKOH/g未満の場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が不十分であり、パターニングを行った場合、残渣として残る恐れや最悪の場合パターニングができなくなる恐れがある。又、固形分酸価が150mgKOH/gを超える場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が高くなりすぎ、光硬化したパターンが剥離する等の恐れがあり好ましくない。
本発明の感光性樹脂組成物に使用されるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の固形分酸価とは、該樹脂1g中のカルボン酸の酸性を中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)である。又、溶液中の該樹脂の濃度がわかれば、溶液の酸価から固形分酸価を計算して求めることもできる。
本発明において酸価とは該樹脂等の酸性物質を含む溶液1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)であり、JIS K0070に準じて、通常の中和滴定法により測定される。
【0021】
前記第二の反応においてイソホロンジイソシアネート(c)は、イソホロンジイソシアネート(c)のイソシアネート基に対する、ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)とジメチロールプロピオン酸(b)混合物中のヒドロキシル基の当量比、即ち(化合物(a)のモル数+化合物(b)のモル数)/(化合物(c)のモル数)の比が1.1〜2.0の範囲になるように仕込むことが好ましい。この値が1.1未満の場合、本発明のアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の末端にイソシアネートが残存することになり、熱安定性が低く保存中にゲル化する恐れがあるので好ましくない。又、この値が2を超える場合、アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の分子量が低くなり、硬化物のタック性の問題や、硬化の際に活性エネルギー線に対して低感度という問題が生じる恐れがある。
【0022】
こうして得られた本発明のアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)は、溶剤を使用して製造した場合、これを適当な方法で除去することにより単離して使用してもよいが、感光性樹脂組成物として溶剤を除去せずに液剤として使用してもよい。
本発明に使用されるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)は当然アルカリ水溶液に可溶であるが、上述した製造に使用可能な有機溶媒にも可溶であり、ソルダーレジスト、メッキレジスト等として使用した場合、溶剤で現像することも可能である。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物には、前述のアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)、光重合開始剤(B)、及び架橋剤(C)を含有することを特徴とし、又、硬化成分(D)を含有してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の含有割合としては、感光性樹脂組成物の固形分を100重量%としたとき、通常15〜70重量%、好ましくは20〜60重量%である。
【0024】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤(B)の具体例としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類等が挙げられる。これらの添加割合としては、感光性樹脂組成物の固形分を100重量%としたとき、通常1〜30重量%、好ましくは、2〜25重量%である。
【0025】
これらは、単独又は2種以上の混合物として使用され、更にはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の反応促進剤等と組み合わせて使用することができる。これらの促進剤の添加量としては、光重合開始剤(B)に対して、100%以下の添加量が好ましい。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる架橋剤(C)としては、(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられ、具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、水酸基含有(メタ)アクリレートと多カルボン酸化合物の酸無水物の反応物であるハーフエステル,ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620等)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、モノ又はポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0027】
架橋剤(C)としての水酸基含有(メタ)アクリレートと多カルボン酸化合物の酸無水物の反応物であるハーフエステルにおける水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多カルボン酸化合物の酸無水物としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
架橋剤(C)としてのモノ又はポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートにおけるモノ又はポリグリシジル化合物としては、例えばブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリエトキシグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリエトキシポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
架橋剤(C)の添加割合としては、感光性樹脂組成物の固形分を100重量%としたとき、通常2〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。
架橋剤(C)の添加によりアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂間等の重合を容易にし、又、エネルギー線等に対する感度や現像性の向上をもたらせます。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物に使用する硬化成分(D)としては、例えばエポキシ化合物、オキサジン化合物等が挙げられる。硬化成分(D)は、光硬化後の樹脂塗膜に残存するカルボキシル基と加熱により反応し、更に強固な薬品耐性を有する硬化塗膜を得ようとする場合等に特に好ましく用いられる。
硬化成分(D)に用いられるエポキシ化合物の具体例としては例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0029】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−770(大日本インキ化学工業(株)製)、D.E.N−438(ダウ・ケミカル社製)、エピコート154(油化シェルエポキシ(株)製)、RE−306(日本化薬(株)製)等が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−695(大日本インキ化学工業(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(いずれも日本化薬(株)製)、UVR−6650(ユニオンカーバイド社製)、ESCN−195(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0030】
トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えばEPPN−503、EPPN−502H、EPPN−501H(いずれも日本化薬(株)製)、TACTIX−742(ダウ・ケミカル社製)、エピコートE1032H60(油化シェルエポキシ(株)製)等が挙げられる。
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンEXA−7200(大日本インキ化学工業(株)製)、TACTIX−556(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
【0031】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート828、エピコート1001(いずれも油化シェルエポキシ製)、UVR−6410(ユニオンカーバイド社製)、D.E.R−331(ダウ・ケミカル社製)、YD−8125(東都化成社製)等のビスフェノール−A型エポキシ樹脂、UVR−6490(ユニオンカーバイド社製)、YDF−8170(東都化成社製)等のビスフェノール−F型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0032】
ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、NC−3000P、NC−3000S(いずれも日本化薬(株)性)等のビフェノール型エポキシ樹脂、YX−4000(油化シェルエポキシ(株)製)のビキシレノール型エポキシ樹脂、YL−6121(油化シェルエポキシ(株)製)等が挙げられる。
ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−880(大日本インキ化学工業(株)製)、エピコートE157S75(油化シェルエポキシ(株)製)等が挙げられる。
【0033】
ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂としては、例えばNC−7000(日本化薬社製)、EXA−4750(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。脂環式エポキシ樹脂としては、例えばEHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。
複素環式エポキシ樹脂としては、例えばTEPIC,TEPIC−L,TEPIC−H、TEPIC−S(いずれも日産化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0034】
硬化成分(D)に用いられるオキサジン化合物の具体例としては例えば、B−m型ベンゾオキサジン、P−a型ベンゾオキサジン、B−a型ベンゾオキサジン(いずれも四国化成工業(株)製)が挙げられる。
硬化成分(D)を添加する場合の添加割合としては、本発明のアルカリ水溶液可溶性ポリウレタン化合物の固形分酸価とその使用量から計算された当量の200%以下、好ましくは150〜100%の量が好ましい。
この量が200%を超えると本発明の感光性樹脂組成物の現像性が著しく低下する恐れがあり好ましくない。
【0035】
更に必要に応じて各種の添加剤、例えば、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、シリカ、クレー等の充填剤;アエロジル等のチキソトロピー付与剤;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン等の着色剤;シリコーン、フッ素系のレベリング剤や消泡剤;ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤等を、組成物の諸性能を高める目的で添加することが出来る。
【0036】
なお、該硬化成分(D)は予め前記樹脂組成物に混合してもよいが、前記アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)成分を主体とし、これにエポキシ硬化促進剤等を配合した主剤溶液と、硬化成分(D)を主体とした硬化剤溶液の二液型として配合し、プリント配線板への塗布に際してこれらを混合して用いることが好ましい。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂組成物が支持フィルムと保護フィルムでサンドイッチされた構造からなるドライフィルムレジストとしても用いることができる。
【0038】
本発明の感光性樹脂組成物(液状又はフィルム状)は、プリント基板用のソルダーレジストの他に、電子部品の層間の絶縁材、光部品間を接続する光導波路、カバーレイ等のレジスト材料等として有用であり、又、カラーフィルター、印刷インキ、封止剤、塗料、コーティング剤、接着剤等としても使用できる。
【0039】
本発明の樹脂組成物を、紫外線等のエネルギー線照射により硬化させた硬化物も本発明に含まれる。紫外線等のエネルギー線照射により硬化は常法に従い行うことができる。例えば紫外線を照射する場合には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、紫外線発光レーザー(エキシマーレーザー等)等の紫外線発生装置を用いればよい。
【0040】
本発明の樹脂組成物を紫外線等のエネルギー線照射により硬化させた層状の硬化物を有する基材とは、例えばレジスト膜、ビルドアップ工法用の層間絶縁材や光導波路としてプリント基板、光電子基板や光基板のような電気・電子・光部品が挙げられる。これらを有する物品の具体例としては、例えばコンピューター、家電製品、携帯機器等が挙げられる。この層状の硬化物の膜厚は0.5〜160μm程度で、1〜100μm程度が好ましい。
【0041】
本発明のフレキシブルプリント配線板用ソルダーマスク又は多層プリント配線板用層間絶縁膜の製造法は、例えば次のような方法である。即ち、液状の樹脂組成物を使用する場合、プリント配線用基板にスクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法等の方法により5〜160μmの膜厚で本発明の組成物を塗布し、塗膜を通常50〜110℃、好ましくは60〜100℃の温度で乾燥させることにより、塗膜を形成する。その後、ネガフィルム等の露光パターンを形成したフォトマスクを通して塗膜に直接又は間接に紫外線等の高エネルギー線を通常10〜2000mJ/cm2程度の強さで照射し、未露光部分を後述する現像液を用いて、例えばスプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等により現像する。その後、必要に応じて更に紫外線を照射し、次いで通常100〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度で加熱処理をすることにより、金メッキ性に優れ、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、密着性、屈曲性等の諸特性を満足する永久保護膜を有するプリント配線板を得る。
【0042】
上記、現像に使用されるアルカリ水溶液としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の無機アルカリ水溶液や、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ水溶液が挙げられる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでない。
【0044】
実施例1
攪拌装置、還流管をつけた2Lフラスコ中に、ビスフェノールA型エポキシ化合物として、日本化薬(株)製 RE310S(2官能ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184g/当量)を368.0g、アクリル酸(分子量:72.06)を142.7g、熱重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを2.94g及び反応触媒としてトリフェニルフォスフィンを1.53g仕込み、98℃の温度で反応液の酸価が0.5mgKOH/g以下になるまで反応させ、エポキシカルボキシレート化合物(a)(理論分子量:510.7)を得た。
次いでこの反応液に反応用溶媒としてカルビトールアセテートを588.2g、ジメチロールプロピオン酸(b)(分子量:134.16)105.5gを加え、45℃に昇温させた。この溶液にイソホロンジイソシアネート(c)(分子量:222.28)264.7gを反応温度が65℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後、温度を80℃に上昇させ、赤外吸収スペクトル測定法により、2250cm−1付近の吸収がなくなるまで6時間反応させ、更に98℃の温度で2時間反応させ、アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)を60重量%含む樹脂溶液を得た。(この溶液をA−1とする)。酸価を測定したところ、28.9mgKOH/g(固形分酸価:48.1mgKOH/g)であった。
【0045】
実施例2
攪拌装置、還流管をつけた2Lフラスコ中に、ビスフェノールA型エポキシ化合物として、日本化薬(株)製 RE310S(2官能ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184g/当量)を368.0g、アクリル酸(分子量:72.06)を142.7g、熱重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを3.13g及び反応触媒としてトリフェニルホスフィンを1.53g仕込み、98℃の温度で反応液の酸価が0.5mgKOH/g以下になるまで反応させ、エポキシカルボキシレート化合物(a)(理論分子量:510.7)を得た。
次いでこの反応液に反応用溶媒としてカルビトールアセテートを625.5g、ジメチロールプロピオン酸(b)(分子量:134.16)112.1gを加え、45℃に昇温させた。この溶液にイソホロンジイソシアネート(c)(分子量:222.28)313.9gを反応温度が65℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後、温度を80℃に上昇させ、赤外吸収スペクトル測定法により、2250cm−1付近の吸収がなくなるまで6時間反応させた。更に、98℃の温度で2時間反応させ、アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)を60重量%含む樹脂溶液を得た。(この溶液をA−2とする)。酸価を測定したところ、28.9m・KOH/g(固形分酸価:48.2mgKOH/g)であった。
【0046】
実施例3、4
前記実施例1及び実施例2で得られた(A−1)及び(A−2)を表1に示す配合割合で混合、必要に応じて3本ロールミルで混練し、本発明の感光性樹脂組成物を得た。これをスクリーン印刷法により、乾燥膜厚が15〜25μmの厚さになるようにプリント基板に塗布し塗膜を80℃の熱風乾燥器で30分乾燥させた。次いで、紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用い回路パターンの描画されたマスクを通して紫外線を照射した。その後、1%炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像を行い、紫外線未照射部の樹脂を除去した。水洗乾燥した後、プリント基板を150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化反応させ硬化膜を得た。得られた硬化物について、後述のとおり、光感度、表面光沢、基板そり、屈曲性、密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性、耐金メッキ性の試験を行なった。それらの結果を表2に示す。なお、試験方法及び評価方法は次のとおりである。
【0047】
(タック性)基板に塗布した乾燥後の膜に脱脂綿をこすりつけ、膜のタック性を評価した。
○・・・・脱脂綿は張り付かない。
×・・・・脱脂綿の糸くずが、膜に張り付く。
【0048】
(現像性)下記の評価基準を使用した。
○・・・・現像時、完全にインキが除去され、現像できた。
×・・・・現像時、現像されない部分がある。
【0049】
(解像性)乾燥後の塗膜に、50μmのネガパターンを密着させ積算光量200mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、転写パターンを顕微鏡にて観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・パターンエッジが直線で、解像されている。
×・・・・剥離もしくはパターンエッジがぎざぎざである。
【0050】
(光感度)乾燥後の塗膜に、ステップタブレット21段(コダック社製)を密着させ積算光量500mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、現像されずに残った塗膜の段数を確認する。
【0051】
(表面光沢)乾燥後の塗膜に、500mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、乾燥後の硬化膜を観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・曇りが全く見られない
×・・・・若干の曇りが見られる
【0052】
(基板そり)下記の基準を使用した。
○・・・・基板にそりは見られない
△・・・・ごくわずか基板がそっている
×・・・・基板のそりが見られる
【0053】
(屈曲性)硬化膜を180℃に折り曲げ観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・膜面に割れは見られない
×・・・・膜面が割れる
【0054】
(密着性)JIS K5400に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作りセロテープ(登録商標)によりピーリング試験を行った。ごばん目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
○・・・・剥れのないもの
×・・・・剥離するもの
【0055】
(鉛筆硬度)JIS K5400に準じて評価を行った。
【0056】
(耐溶剤性)試験片をイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープ(登録商標)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0057】
(耐酸性)試験片を10%塩酸水溶液に室温で30分浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープ(登録商標)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離があるもの
【0058】
(耐熱性)試験片にロジン系プラックスを塗布し260℃の半田槽に5秒間浸漬した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返した。室温まで放冷した後、セロテープ(登録商標)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
〇・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0059】
(耐金メッキ性)試験基板を、30℃の酸性脱脂液(日本マクダーミット製、Metex L−5Bの20vol%水溶液)に3分間浸漬した後、水洗し、次いで、14.4wt%過硫酸アンモニウム水溶液に室温で3分間浸漬した後、水洗し、更に10vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後水洗した。次に、この基板を30℃の触媒液(メルテックス製、メタルプレートアクチベーター350の10vol%水溶液)に7分間浸漬し、水洗し、85℃のニッケルメッキ液(メルテックス製、メルプレートNi−865Mの20vol%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬し、ニッケルメッキを行った後、10vol%硫酸水溶液に室温で1分間浸漬し、水洗した。次いで、試験基板を95℃の金メッキ液(メルテックス製、オウロレクトロレスUP15vol%とシアン化金カリウム3vol%の水溶液、pH6)に10分間浸漬し、無電解金メッキを行った後、水洗し、更に60℃の温水で3分間浸漬し、水洗し、乾燥した。得られた無電解金メッキ評価基板にセロテープ(登録商標)を付着し、剥離したときの状態を観察した。
○・・・・全く異常が無いもの。
×・・・・若干剥がれが観られたもの。
【0060】
(耐PCT性)試験基板を121℃、2気圧の水中で96時間放置後、外観に異常がないか確認した後、セロテープ(登録商標)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。(PCT;プレッシャークッカー試験)
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離があるもの
【0061】
(耐熱衝撃性)試験片を、−55℃/30分、125℃/30分を1サイクルとして熱履歴を加え、1000サイクル経過後、試験片を顕微鏡観察し、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜にクラックの発生のないもの
×・・・・塗膜にクラックが発生したもの
【0062】
【0063】
注
*1 日本化薬製 :ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
*2 日本化薬製 :ε−カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート
*3 Vantico製 :2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン
*4 日本化薬製 :2,4−ジエチルチオキサントン
*5 日本化薬製 :2官能ビフェノール型エポキシ樹脂
*6 ビックケミー製:レベリング剤
*7 信越化学製 :消泡剤
*8 :カルビトールアセテート
【0064】
【0065】
上記の結果から明らかなように、本発明のアルカリ水溶液可溶性ポリウレタン化合物及びそれを用いた感光性樹脂組成物は、タック性も無く、高感度であり、その硬化膜も半田耐熱性、耐薬品性、耐金メッキ性等に優れ、又、硬化物表面にクラックが発生せず、薄膜化された基板を用いた場合でも基板にそりの少ないプリント基板用感光性樹脂組成物であることは明らかである。
【0066】
【発明の効果】
アルカリ水溶液可溶性ポリウレタン化合物及びそれを用いた感光性樹脂組成物並びにその硬化物は、紫外線により露光硬化することによる塗膜の形成において、光感度に優れ、得られた硬化物は、屈曲性、密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性、耐金メッキ性等も十分に満足するものであり、特に、プリント配線板用感光性樹脂組成物に適している。
Claims (9)
- ▲1▼ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)、ジメチロールプロピオン酸(b)、イソホロンジイソシアネート(c)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)、
▲2▼光重合開始剤(B)、
▲3▼架橋剤(C)
▲4▼任意成分として硬化成分(D)
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。 - ▲1▼ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)、ジメチロールプロピオン酸(b)、イソホロンジイソシアネート(c)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)、
▲2▼光重合開始剤(B)、
▲3▼架橋剤(C)、
▲4▼硬化成分(D)
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。 - アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)を得る反応に際し、イソホロンジイソシアネート(c)のイソシアネート基に対する、ビスフェノールA型エポキシ化合物のアクリル酸反応物(a)とジメチロールプロピオン酸(b)の混合物中のヒドロキシル基の当量比が、1.1〜2.0である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)の固形分酸価が、30〜150mgKOH/gである請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- アルカリ水溶液可溶性ウレタン樹脂(A)を得る反応に際し、ビスフェノールA型エポキシ化合物が、100〜900g/当量のエポキシ当量を有するエポキシ化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを特徴とする硬化物の製法。
- 請求項6に記載の製法による硬化物の層を有する基材。
- 請求項7に記載の基材を有する物品。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線により硬化し、アルカリ処理及び熱処理する工程を含むことを特徴とするフレキシブルプリント配線板用ソルダーマスク又は多層プリント配線板用層間絶縁膜の製造法。
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