JP2005023847A - 圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出される流体流量が変化してもオイル回収量の低減を回避すると共に安定したオイル分離を得ることが可能な圧縮機を提供する。
【解決手段】流体を吸入圧縮する圧縮機構と、圧縮機構によって圧縮された流体に混在しているオイルを分離するオイル分離機構とを備える圧縮機において、オイル分離機構を、圧縮機構で圧縮された流体が吐出される吐出室26に連通するオイル分離室32と、このオイル分離室32に突出されて吐出室26から導入された流体を周囲に旋回させると共に外部サイクルとオイル分離室32とを連通する分離筒33とを有して構成し、この分離筒33を軸方向に変位可能に構成する。オイル分離室32への分離筒33の突出量を、オイル分離室32に流入される流体の流量に応じて変化させる。
【選択図】 図1
【解決手段】流体を吸入圧縮する圧縮機構と、圧縮機構によって圧縮された流体に混在しているオイルを分離するオイル分離機構とを備える圧縮機において、オイル分離機構を、圧縮機構で圧縮された流体が吐出される吐出室26に連通するオイル分離室32と、このオイル分離室32に突出されて吐出室26から導入された流体を周囲に旋回させると共に外部サイクルとオイル分離室32とを連通する分離筒33とを有して構成し、この分離筒33を軸方向に変位可能に構成する。オイル分離室32への分離筒33の突出量を、オイル分離室32に流入される流体の流量に応じて変化させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、圧縮された流体中に混在するオイルを分離するためのオイル分離機構を有する圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機から外部サイクルへ流出するオイル(潤滑油)量が多くなると、圧縮機内のオイルが不足するのみならず、サイクル上に配される熱交換器の熱交換効率が低下する等の不都合が生じる。このため、このような不都合を回避するために、圧縮機の吐出側に吐出室から流出した圧縮流体の混在オイルを分離するオイル分離器が設けられている。
【0003】
このようなオイル分離器としては、吐出口の内側に分離筒を突設し、圧縮された冷媒ガスをオイル分離筒の外周面に沿って旋回移動させ、冷媒ガス中に混在するオイルを遠心分離の原理によって分離するものや(特許文献1)、円柱状の空間に形成された分離室に吐出パイプ(分離筒)を同心状に配設すると共に、吐出室と分離室とを連通する連通路に開閉状態を調節する差圧弁を設けるものなどが公知である(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−60591号公報(0023欄、図1,2)
【特許文献2】
特開2000−120543(0020欄、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した構成においては、分離筒の長さがオイル分離器の全長に対して長く設定されると、分離筒の先端が分離室の底部に近接するので、分離室に導入される流体流量が多くなると、分離されたオイルが分離筒の先端でターンするガス流によって巻き上げられ、ガスと共に外部サイクルへ流出する不都合がある。また、分離筒の長さが短く設定されると、分離室に導入されたガスの旋回量が少なくなるので、オイル分離が十分に行われなくなる不都合がある。
【0006】
この点、特許文献2においては、吐出される流体流量に応じて吐出室と分離室との連通開度が調節されるので、冷媒の流速を変化させることが可能となり、オイル分離能力の低下を避けることが可能となるが、吐出される流体流量が多い場合には、分離されたオイルが外部サイクルへ流出する上述した不都合を避けることは困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、吐出される流体流量が変化しても、オイル回収量の低減を回避すると共に安定したオイル分離が可能なオイル分離器を備えた圧縮機を提供することを主たる課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、この発明に係る圧縮機は、流体を吸入圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構によって圧縮された流体に混在しているオイルを分離するオイル分離機構とを備え、前記オイル分離機構を、前記圧縮機構で圧縮された流体が吐出される吐出室に連通するオイル分離室と、このオイル分離室に突出されて前記吐出室から導入された流体を周囲に旋回させると共に外部サイクルと前記オイル分離室とを連通する分離筒とを有して構成し、前記分離筒を軸方向に変位可能に構成したことを特徴としている(請求項1)。
【0009】
したがって、例えば、吐出室に吐出される流体流量、即ち、オイル分離室へ流入される流体流量に応じて、分離筒のオイル分離室への突出量を変化させることで(請求項2)、分離筒とオイル分離室の底部との間隔を調節することが可能になると共に、流体の旋回に利用できる分離筒の使用範囲を可変させることが可能になるので、吐出される流体流量が多い場合には、分離筒をオイル分離室の底部から離して分離筒の使用範囲を短くすることで、分離されたオイルがガス流によって巻き上げられて外部サイクルへ流出する不都合を低減することができ、また、吐出される流体流量が少ない場合には、分離筒をオイル分離室の底部に近づけて分離筒の使用範囲を長くすることで、オイル回収量の低下を回避することが可能となる。ここで、分離筒の軸方向への変位は、吐出室からオイル分離室に流入する流体の流量に応じて連続的、又は、段階的に行われるものであってもよい(請求項3)。
【0010】
また、オイル分離室を、前記分離筒と前記分離筒の周囲に設けられて該分離筒と一体をなして変位する筒状内壁体との間に形成し、この筒状内壁体に、吐出室との連通状態を可変する流入部を設けるようにしてもよい(請求項4)。
【0011】
このような構成によれば、吐出室へ吐出される流体流量に応じて分離筒の周囲を螺旋する流体の流速を可変させることが可能となり、オイルの分離能力の低下を避けることが可能となる。例えば、吐出室との連通状態を、圧縮機構による吐出流量の変化(固定容量型圧縮機においては回転数の変化、可変容量型圧縮機においては斜板角の変化による吐出流量の変化)に拘わらず、オイル分離室へ流入する流体の速度がほぼ一定となるように調節すれば(請求項5)、吐出流量の変化に拘わらず、オイルの分離能力をほぼ一定に保つことが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の態様を図面に基づいて説明する。図1において、圧縮機の一例として冷凍サイクルに用いられる圧縮機が示されている。この圧縮機は、シリンダブロック1と、このシリンダブロック1のリア側(図中、右側)にバルブプレート2を介して組み付けられたリアヘッド3と、シリンダブロック1のフロント側(図中、左側)を閉塞するように組み付けられたフロントヘッド4とを有して構成されている。これらフロントヘッド4、シリンダブロック1、バルブプレート2、及び、リアヘッド3は、図示しない締結ボルトにより軸方向に締結されており、圧縮機全体のハウジングを構成している。
【0013】
フロントヘッド4とシリンダブロック1とによって画設されるクランク室6には、一端がフロントヘッド4から突出する駆動軸7が収容されている。この駆動軸7のフロントヘッド4から突出した部分には、軸方向に取り付けられた中継部材8を介してクラッチ板9が固定されている。フロントヘッド4のボス部4aには回転自在に外嵌された駆動プーリ10がクラッチ板9に対峙して設けられ、クラッチ板9は、駆動プーリ10に埋設された励磁コイル11への通電により駆動プーリ10に吸着され、駆動プーリ10に与えられる回転動力を駆動軸7に伝達するようにしている。
【0014】
また、この駆動軸7の一端側は、フロントヘッド4との間に設けられたシール部材12を介してフロントヘッド4との間が気密よく封じられると共にラジアル軸受13にて回転自在に支持されており、駆動軸7の他端側は、シリンダブロック1に収容されたラジアル軸受14にて回転自在に支持されている。
【0015】
シリンダブロック1には、前記ラジアル軸受14が収容される支持孔15と、この支持孔15を中心とする円周上に等間隔に配された複数のシリンダボア16とが形成されており、それぞれのシリンダボア16には、片頭ピストン17が往復摺動可能に挿入されている。この片頭ピストン17は、シリンダボア16内に挿入される頭部17aと、クランク室6に突出する係合部17bとを軸方向に接合して中空に形成されている。
【0016】
前記駆動軸7には、クランク室6内において、該駆動軸7と一体に回転するスラストフランジ18が固定されている。このスラストフランジ18は、駆動軸7に対して略垂直に形成されたフロントヘッド4の内壁面に対してスラスト軸受19を介して回転自在に支持されている。そして、このスラストフランジ18には、リンク部材20を介して斜板21が連結されている。
【0017】
斜板21は、駆動軸7上に設けられたヒンジボール22を中心に傾動可能に取り付けられているもので、スラストフランジ18の回転に同期して一体に回転するようになっている。そして、斜板21は、その周縁部分が前後に設けられた一対のシュー23を介して片頭ピストン17の係合部17bに係留されている。
【0018】
したがって、駆動軸7が回転すると、これに伴って斜板21が回転し、この斜板21の回転運動がシュー23を介して片頭ピストン17の往復直線運動に変換され、シリンダボア16の片頭ピストン17とバルブプレート2との間に画成される圧縮室24の容積が変更されるようになっている。
【0019】
リアヘッド3には、吸入室25とこの吸入室25の周囲に連続的に形成された吐出室26とが画成され、バルブプレート2には、吸入室25と圧縮室24とを図示しない吸入弁を介して連通する吸入孔27と、吐出室26と圧縮室24とを図示しない吐出弁を介して連通する吐出孔28とが形成されている。また、リアヘッド3には、吐出室26とクランク室6との連通状態を制御し、クランク室圧を制御する図示しない容量制御弁が装着されており、この容量制御弁によってクランク室圧を制御して斜板21の傾動角度を調節し、ピストンストロークを変化させるようにしている。
【0020】
さらに、リアヘッド3には、吐出室26に吐出した吐出ガス中のオイルを分離するための遠心分離式のオイル分離器30が設けられている。このオイル分離器30は、吐出室26に対して連通路31を介して連通するオイル分離室32と、オイル分離室32に突出されて吐出室26から連通路31を介して流入された流体を旋回させると共に外部サイクルとオイル分離室32とを連通する分離筒33とを備えているもので、オイル分離室32は、これより下方に配された油溜室35に排油路36を介して連通されている。尚、油溜室35は、クランク室6にオイル供給路37を介して連通され、クランク室6に対して分離回収されたオイルを供給するようにしている
【0021】
図2及び図3において、オイル分離器30の拡大図が示され、以下、これに基づいて構造の仔細を説明すると、オイル分離室32は、例えば、円柱状の空間を上下方向に延設させて構成されているもので、これより上方に形成された収容空間40と連通路41を介して連通されている。この収容空間40は、リアヘッド3に形成された凹部42を蓋体43で閉塞して構成されており、蓋体43に形成された吐出口44を介して外部サイクルの凝縮器の入口側に通じている。
【0022】
分離筒33は、パイプ状に形成され、基端部に径を拡大した拡径部34が軸芯を一致させて一体に形成され、この拡径部と共に可動体35を構成しており、収容空間側から連通路41を介してオイル分離室32に突出させ、拡径部34と共に軸方向への移動を可能にしている。拡径部34は、収容空間40の内径よりも僅かに小さい径に形成され、この例においては、収容空間40の内壁との間に軸方向への移動を損なわないようにシール部材45が介在されている。そして、拡径部34の周縁には吐出口側に突出されたストッパ39が形成されると共に、収容空間40には蓋体43と拡径部34のストッパ39の内側との間にスプリング46が弾装され、このスプリング46によるばね力により、拡径部34を連通路41の周縁に形成された環状壁部47に向って常時付勢するようにしている。
【0023】
可動体35には、分離筒33から拡径部34に掛けて軸方向に軸通路48が穿設され、オイル分離室32と収容空間40の拡径部34より吐出口側の空間とが連通されている。また、吐出室26とオイル分離室32とを連通する連通路31の開口部31aは、オイル分離室32の中心線と平行に延びる長孔として形成され、オイル分離室32の内壁面の接線方向に形成せれて吐出室26から導かれる高圧ガスをオイル分離室32の中心線と直角方向から内周面上に導き、分離筒33の周囲を旋回させるようにしている。また、オイル分離室32に開口される排油路36は、オイル分離室32の内壁面の最下部に開口されている。
【0024】
また、オイル分離室32は、環状壁部47に形成された通孔49を介して、収容空間40の拡径部34と環状壁部47との間に連通され、オイル分離室32の圧力が拡径部34の立設面34aに付勢されるようになっている。
【0025】
したがって、可動体35の拡径部34は、収容空間40に収容されて、ストッパ39が蓋体43に当接する位置から前記立設面34aが環状壁部47に当接する位置にかけて変位できるようになっている。また、外部サイクルと前記オイル分離室32とは、分離筒33を介して連通された状態にあり、連通路31を介して導入される高圧ガスは、分離筒33の回りを旋回して遠心分離の原理によって混在しているオイルが分離され、分離されたオイルは、排油路36を介して油溜室35へ供給され、オイルが分離されたガスは、分離筒33を介して高圧サイクルへ流出されることとなる。
【0026】
以上の構成において、高速運転時又は最大吐出容量運転時においては、ピストンストロークが大きくなり、吐出室26に吐出される冷媒流量が多くなるので、連通路31を介して吐出室26からオイル分離室32に流入する冷媒ガスの流速が増大する。このため、分離筒33の軸通路48での冷媒ガスの圧損が増大し、オイル分離室32の内圧(P1)が収容空間40の拡径部34の背後の圧力(P2)よりも高くなる(P1>P2)。このような状態においては、オイル分離室32の圧力は通孔49を介して拡径部34の立設面34aに作用しているので、図2に示されるように、分離筒33が収容空間40に設けられたスプリング46のバネ力に抗して押し上げられ、分離筒33のオイル分離室32への突出長が短くなり、分離筒33の先端がオイル分離室32の底部から離れる。したがって、連通路31を介して導入された冷媒は、流速の速い状態で旋回し、混在しているオイルが分離されることになるが、分離筒33の先端はオイル分離室32の底部から離されているので、オイル分離室32の底部に溜まったオイル(α)は、分離筒33の先端でターンして軸通路48に導かれるガス流によって巻き上げられる不都合がなくなり、ガスと共に外部サイクルへ流出することが抑えられる。
【0027】
これに対して、容量制御運転時においては、高速運転時又は最大吐出容量運転に比べて、ピストンストロークが小さくなり、吐出室26に吐出される冷媒流量が相対的に少なくなるので、連通路31を介して吐出室26からオイル分離室32に流入する吐出ガスの流速は減少することとなる。このため、分離筒33の軸通路48での吐出流体の圧損が減少し、オイル分離室32の内圧P1は収容空間40の拡径部34の背後の圧力P2とほぼ等しくなる(P1≒P2)。このような状態においては、図3に示されるように、分離筒33が収容空間40のスプリング46のバネ力によって押し下げられ、分離筒33のオイル分離室32への突出長が長くなり、分離筒33の先端がオイル分離室32の底部に近づく。したがって、連通路31を介して導入された吐出ガスは、流速が遅いことからオイルの分離能力は低くものであるが、旋回に利用される分離筒33の有効長は長くなるので、旋回数を多くすることが可能となり、吐出流量の変化に拘わらず、安定したオイル分離が可能となる。
【0028】
図4及び図5において、オイル分離器30の他の構成例が示されている。前述した構成例においては、オイル分離室32がリアヘッド3によって画成された空間によって構成されているが、この構成例においては、オイル分離室32がリアヘッド3に画成された収容空間50に収容される可動体51内に画成されている。
【0029】
即ち、可動体51は、分離筒33とこの分離筒の基部に一体に形成された拡径部34と、この拡径部34に一体に形成された筒状内壁体52とによって構成されているもので、分離筒33と拡径部34とは、軸芯を一致させて形成されている。また、筒状内壁体52は、拡径部34の周縁から上下に延設されるように筒状に形成されているもので、分離筒と軸芯を一致させて形成され、内部にオイル分離室53を画成している。
【0030】
そして、収容空間50の開口部を閉塞する蓋体43と拡径部34との間にはスプリング46が弾装され、このスプリング46によるばね力により、可動体51を収容空間50の底部に向って常時付勢するようにしている。また、筒状内壁体52には、該筒状内壁体の内外を連通すると共に収容空間50の内壁面に形成された連通路31の開口部31aと連通する流入孔54が形成され、可動体51が軸方向に変位することによって連通路31と流入孔54との連通開度が変更されるようになっている。この例においては、可動体51が収容空間50の上端に位置した場合に、連通路31の開口部31aと流入孔54とが整合し、連通開度が最大となり、可動体51が収容空間50の下端に位置した場合に、連通路31の開口部31aと流入孔54が僅かに一致し、連通開度が最小となるようになっている。尚、その他の構成は前記構成例と同様であるので、同一箇所に同一番号を付して説明を省略する。
【0031】
以上の構成において、高速運転時又は最大吐出容量運転時においては、連通路31を介して吐出室26から連通路31及び流入孔54を介してオイル分離室53に流入する吐出ガスの流速が増大するので、分離筒33の軸通路48での冷媒ガスの圧損が増大し、オイル分離室53の内圧P1が収容空間50の拡径部34の背後の圧力P2よりも高くなる(P1>P2)。このため、このような状態においては、図4に示されるように、可動体51が収容空間50に配されたスプリング46のバネ力に抗して押し上げられ、分離筒33が上方へ移動し、分離筒33の先端が収容空間50の底部から離れると共に、連通路31の開口部31aと流入孔54との連通状態が最大となる。
【0032】
したがって、連通路を介して導入された冷媒は、流速の速い状態で旋回し、混在しているオイルを分離することになるが、分離筒の先端はオイル分離室の底部から十分に離されているので、オイル分離室の底部に溜まったオイルが分離筒の先端でターンして分離筒に導かれるガス流によって巻き上げられる不都合がなく、ガスと共に外部サイクルへ流出することを抑えることが可能となる。
【0033】
これに対して、容量制御運転時においては、高速運転時又は最大吐出容量運転に比べて、ピストンストロークが小さくなり、吐出室26に吐出される冷媒流量が相対的に少なくなる。このため、分離筒33の軸通路48での吐出流体の圧損が減少し、オイル分離室53の内圧P1が収容空間50の拡径部34の背後の圧力P2とほぼ等しくなる(P1≒P2)。このような状態においては、図5に示されるように、分離筒33が収容空間50に配されたスプリング46のバネ力によって押し下げられので、連通路31の開口部31aと流入孔54との連通状態は最小となる。このため、オイル分離室53に導入された吐出ガスは、絞られた通路を通過することになるので、流速が速められ、旋回速度が速くなって遠心分離の原理によってオイル分離が十分に行われることとなり、オイル分離量を吐出流量の変化に拘わらず安定させることが可能となる。
【0034】
尚、上述の構成においては、オイル分離室32,53に流入する冷媒ガスの流量に応じて分離筒を連続的に変位させるものであったが、段階的に変位させるものであっても良い。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、オイル分離室に突出されて外部サイクルとオイル分離室とを連通する分離筒を軸方向に変位可能に構成したので、オイル分離室へ流入される流体流量(吐出流体の圧損)に応じて分離筒とオイル分離室の底部との間隔を調節することが可能となり、流体の旋回に利用できる分離筒の使用範囲を可変させることが可能になる。このため、吐出される流体流量が変化しても、オイル回収量の低減を回避すると共に安定したオイル分離が可能となる。
【0036】
また、オイル分離室を、分離筒と分離筒の周囲に設けられて該分離筒と一体をなして変位する筒状内壁体との間に形成し、この筒状内壁体に吐出室との連通状態を可変する流入部を設ける構成とすれば、吐出室へ吐出される冷媒流量に応じて分離筒内を螺旋する流体の流速を調節することが可能となり、吐出流量の変化に拘わらず、オイルの分離能力の低下を避けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る圧縮機の実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、圧縮機に設けられたオイル分離器を示す図であり、高速運転時又は最大吐出容量運転時の状態を示す図である。
【図3】図3は、図2と同様のオイル分離器において、容量制御運転時の状態を示す図である。
【図4】図4は、圧縮機に設けられたオイル分離器の他の例を示す図であり、高速運転時又は最大吐出容量運転時の状態を示す図である。
【図5】図5は、図4と同様のオイル分離器において、容量制御運転時の状態を示す図である。
【符号の説明】
26 圧縮室
31 連通路
32,53 オイル分離室
33 分離筒
52 筒状内壁体
54 流入孔
【発明が属する技術分野】
この発明は、圧縮された流体中に混在するオイルを分離するためのオイル分離機構を有する圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機から外部サイクルへ流出するオイル(潤滑油)量が多くなると、圧縮機内のオイルが不足するのみならず、サイクル上に配される熱交換器の熱交換効率が低下する等の不都合が生じる。このため、このような不都合を回避するために、圧縮機の吐出側に吐出室から流出した圧縮流体の混在オイルを分離するオイル分離器が設けられている。
【0003】
このようなオイル分離器としては、吐出口の内側に分離筒を突設し、圧縮された冷媒ガスをオイル分離筒の外周面に沿って旋回移動させ、冷媒ガス中に混在するオイルを遠心分離の原理によって分離するものや(特許文献1)、円柱状の空間に形成された分離室に吐出パイプ(分離筒)を同心状に配設すると共に、吐出室と分離室とを連通する連通路に開閉状態を調節する差圧弁を設けるものなどが公知である(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−60591号公報(0023欄、図1,2)
【特許文献2】
特開2000−120543(0020欄、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した構成においては、分離筒の長さがオイル分離器の全長に対して長く設定されると、分離筒の先端が分離室の底部に近接するので、分離室に導入される流体流量が多くなると、分離されたオイルが分離筒の先端でターンするガス流によって巻き上げられ、ガスと共に外部サイクルへ流出する不都合がある。また、分離筒の長さが短く設定されると、分離室に導入されたガスの旋回量が少なくなるので、オイル分離が十分に行われなくなる不都合がある。
【0006】
この点、特許文献2においては、吐出される流体流量に応じて吐出室と分離室との連通開度が調節されるので、冷媒の流速を変化させることが可能となり、オイル分離能力の低下を避けることが可能となるが、吐出される流体流量が多い場合には、分離されたオイルが外部サイクルへ流出する上述した不都合を避けることは困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、吐出される流体流量が変化しても、オイル回収量の低減を回避すると共に安定したオイル分離が可能なオイル分離器を備えた圧縮機を提供することを主たる課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、この発明に係る圧縮機は、流体を吸入圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構によって圧縮された流体に混在しているオイルを分離するオイル分離機構とを備え、前記オイル分離機構を、前記圧縮機構で圧縮された流体が吐出される吐出室に連通するオイル分離室と、このオイル分離室に突出されて前記吐出室から導入された流体を周囲に旋回させると共に外部サイクルと前記オイル分離室とを連通する分離筒とを有して構成し、前記分離筒を軸方向に変位可能に構成したことを特徴としている(請求項1)。
【0009】
したがって、例えば、吐出室に吐出される流体流量、即ち、オイル分離室へ流入される流体流量に応じて、分離筒のオイル分離室への突出量を変化させることで(請求項2)、分離筒とオイル分離室の底部との間隔を調節することが可能になると共に、流体の旋回に利用できる分離筒の使用範囲を可変させることが可能になるので、吐出される流体流量が多い場合には、分離筒をオイル分離室の底部から離して分離筒の使用範囲を短くすることで、分離されたオイルがガス流によって巻き上げられて外部サイクルへ流出する不都合を低減することができ、また、吐出される流体流量が少ない場合には、分離筒をオイル分離室の底部に近づけて分離筒の使用範囲を長くすることで、オイル回収量の低下を回避することが可能となる。ここで、分離筒の軸方向への変位は、吐出室からオイル分離室に流入する流体の流量に応じて連続的、又は、段階的に行われるものであってもよい(請求項3)。
【0010】
また、オイル分離室を、前記分離筒と前記分離筒の周囲に設けられて該分離筒と一体をなして変位する筒状内壁体との間に形成し、この筒状内壁体に、吐出室との連通状態を可変する流入部を設けるようにしてもよい(請求項4)。
【0011】
このような構成によれば、吐出室へ吐出される流体流量に応じて分離筒の周囲を螺旋する流体の流速を可変させることが可能となり、オイルの分離能力の低下を避けることが可能となる。例えば、吐出室との連通状態を、圧縮機構による吐出流量の変化(固定容量型圧縮機においては回転数の変化、可変容量型圧縮機においては斜板角の変化による吐出流量の変化)に拘わらず、オイル分離室へ流入する流体の速度がほぼ一定となるように調節すれば(請求項5)、吐出流量の変化に拘わらず、オイルの分離能力をほぼ一定に保つことが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の態様を図面に基づいて説明する。図1において、圧縮機の一例として冷凍サイクルに用いられる圧縮機が示されている。この圧縮機は、シリンダブロック1と、このシリンダブロック1のリア側(図中、右側)にバルブプレート2を介して組み付けられたリアヘッド3と、シリンダブロック1のフロント側(図中、左側)を閉塞するように組み付けられたフロントヘッド4とを有して構成されている。これらフロントヘッド4、シリンダブロック1、バルブプレート2、及び、リアヘッド3は、図示しない締結ボルトにより軸方向に締結されており、圧縮機全体のハウジングを構成している。
【0013】
フロントヘッド4とシリンダブロック1とによって画設されるクランク室6には、一端がフロントヘッド4から突出する駆動軸7が収容されている。この駆動軸7のフロントヘッド4から突出した部分には、軸方向に取り付けられた中継部材8を介してクラッチ板9が固定されている。フロントヘッド4のボス部4aには回転自在に外嵌された駆動プーリ10がクラッチ板9に対峙して設けられ、クラッチ板9は、駆動プーリ10に埋設された励磁コイル11への通電により駆動プーリ10に吸着され、駆動プーリ10に与えられる回転動力を駆動軸7に伝達するようにしている。
【0014】
また、この駆動軸7の一端側は、フロントヘッド4との間に設けられたシール部材12を介してフロントヘッド4との間が気密よく封じられると共にラジアル軸受13にて回転自在に支持されており、駆動軸7の他端側は、シリンダブロック1に収容されたラジアル軸受14にて回転自在に支持されている。
【0015】
シリンダブロック1には、前記ラジアル軸受14が収容される支持孔15と、この支持孔15を中心とする円周上に等間隔に配された複数のシリンダボア16とが形成されており、それぞれのシリンダボア16には、片頭ピストン17が往復摺動可能に挿入されている。この片頭ピストン17は、シリンダボア16内に挿入される頭部17aと、クランク室6に突出する係合部17bとを軸方向に接合して中空に形成されている。
【0016】
前記駆動軸7には、クランク室6内において、該駆動軸7と一体に回転するスラストフランジ18が固定されている。このスラストフランジ18は、駆動軸7に対して略垂直に形成されたフロントヘッド4の内壁面に対してスラスト軸受19を介して回転自在に支持されている。そして、このスラストフランジ18には、リンク部材20を介して斜板21が連結されている。
【0017】
斜板21は、駆動軸7上に設けられたヒンジボール22を中心に傾動可能に取り付けられているもので、スラストフランジ18の回転に同期して一体に回転するようになっている。そして、斜板21は、その周縁部分が前後に設けられた一対のシュー23を介して片頭ピストン17の係合部17bに係留されている。
【0018】
したがって、駆動軸7が回転すると、これに伴って斜板21が回転し、この斜板21の回転運動がシュー23を介して片頭ピストン17の往復直線運動に変換され、シリンダボア16の片頭ピストン17とバルブプレート2との間に画成される圧縮室24の容積が変更されるようになっている。
【0019】
リアヘッド3には、吸入室25とこの吸入室25の周囲に連続的に形成された吐出室26とが画成され、バルブプレート2には、吸入室25と圧縮室24とを図示しない吸入弁を介して連通する吸入孔27と、吐出室26と圧縮室24とを図示しない吐出弁を介して連通する吐出孔28とが形成されている。また、リアヘッド3には、吐出室26とクランク室6との連通状態を制御し、クランク室圧を制御する図示しない容量制御弁が装着されており、この容量制御弁によってクランク室圧を制御して斜板21の傾動角度を調節し、ピストンストロークを変化させるようにしている。
【0020】
さらに、リアヘッド3には、吐出室26に吐出した吐出ガス中のオイルを分離するための遠心分離式のオイル分離器30が設けられている。このオイル分離器30は、吐出室26に対して連通路31を介して連通するオイル分離室32と、オイル分離室32に突出されて吐出室26から連通路31を介して流入された流体を旋回させると共に外部サイクルとオイル分離室32とを連通する分離筒33とを備えているもので、オイル分離室32は、これより下方に配された油溜室35に排油路36を介して連通されている。尚、油溜室35は、クランク室6にオイル供給路37を介して連通され、クランク室6に対して分離回収されたオイルを供給するようにしている
【0021】
図2及び図3において、オイル分離器30の拡大図が示され、以下、これに基づいて構造の仔細を説明すると、オイル分離室32は、例えば、円柱状の空間を上下方向に延設させて構成されているもので、これより上方に形成された収容空間40と連通路41を介して連通されている。この収容空間40は、リアヘッド3に形成された凹部42を蓋体43で閉塞して構成されており、蓋体43に形成された吐出口44を介して外部サイクルの凝縮器の入口側に通じている。
【0022】
分離筒33は、パイプ状に形成され、基端部に径を拡大した拡径部34が軸芯を一致させて一体に形成され、この拡径部と共に可動体35を構成しており、収容空間側から連通路41を介してオイル分離室32に突出させ、拡径部34と共に軸方向への移動を可能にしている。拡径部34は、収容空間40の内径よりも僅かに小さい径に形成され、この例においては、収容空間40の内壁との間に軸方向への移動を損なわないようにシール部材45が介在されている。そして、拡径部34の周縁には吐出口側に突出されたストッパ39が形成されると共に、収容空間40には蓋体43と拡径部34のストッパ39の内側との間にスプリング46が弾装され、このスプリング46によるばね力により、拡径部34を連通路41の周縁に形成された環状壁部47に向って常時付勢するようにしている。
【0023】
可動体35には、分離筒33から拡径部34に掛けて軸方向に軸通路48が穿設され、オイル分離室32と収容空間40の拡径部34より吐出口側の空間とが連通されている。また、吐出室26とオイル分離室32とを連通する連通路31の開口部31aは、オイル分離室32の中心線と平行に延びる長孔として形成され、オイル分離室32の内壁面の接線方向に形成せれて吐出室26から導かれる高圧ガスをオイル分離室32の中心線と直角方向から内周面上に導き、分離筒33の周囲を旋回させるようにしている。また、オイル分離室32に開口される排油路36は、オイル分離室32の内壁面の最下部に開口されている。
【0024】
また、オイル分離室32は、環状壁部47に形成された通孔49を介して、収容空間40の拡径部34と環状壁部47との間に連通され、オイル分離室32の圧力が拡径部34の立設面34aに付勢されるようになっている。
【0025】
したがって、可動体35の拡径部34は、収容空間40に収容されて、ストッパ39が蓋体43に当接する位置から前記立設面34aが環状壁部47に当接する位置にかけて変位できるようになっている。また、外部サイクルと前記オイル分離室32とは、分離筒33を介して連通された状態にあり、連通路31を介して導入される高圧ガスは、分離筒33の回りを旋回して遠心分離の原理によって混在しているオイルが分離され、分離されたオイルは、排油路36を介して油溜室35へ供給され、オイルが分離されたガスは、分離筒33を介して高圧サイクルへ流出されることとなる。
【0026】
以上の構成において、高速運転時又は最大吐出容量運転時においては、ピストンストロークが大きくなり、吐出室26に吐出される冷媒流量が多くなるので、連通路31を介して吐出室26からオイル分離室32に流入する冷媒ガスの流速が増大する。このため、分離筒33の軸通路48での冷媒ガスの圧損が増大し、オイル分離室32の内圧(P1)が収容空間40の拡径部34の背後の圧力(P2)よりも高くなる(P1>P2)。このような状態においては、オイル分離室32の圧力は通孔49を介して拡径部34の立設面34aに作用しているので、図2に示されるように、分離筒33が収容空間40に設けられたスプリング46のバネ力に抗して押し上げられ、分離筒33のオイル分離室32への突出長が短くなり、分離筒33の先端がオイル分離室32の底部から離れる。したがって、連通路31を介して導入された冷媒は、流速の速い状態で旋回し、混在しているオイルが分離されることになるが、分離筒33の先端はオイル分離室32の底部から離されているので、オイル分離室32の底部に溜まったオイル(α)は、分離筒33の先端でターンして軸通路48に導かれるガス流によって巻き上げられる不都合がなくなり、ガスと共に外部サイクルへ流出することが抑えられる。
【0027】
これに対して、容量制御運転時においては、高速運転時又は最大吐出容量運転に比べて、ピストンストロークが小さくなり、吐出室26に吐出される冷媒流量が相対的に少なくなるので、連通路31を介して吐出室26からオイル分離室32に流入する吐出ガスの流速は減少することとなる。このため、分離筒33の軸通路48での吐出流体の圧損が減少し、オイル分離室32の内圧P1は収容空間40の拡径部34の背後の圧力P2とほぼ等しくなる(P1≒P2)。このような状態においては、図3に示されるように、分離筒33が収容空間40のスプリング46のバネ力によって押し下げられ、分離筒33のオイル分離室32への突出長が長くなり、分離筒33の先端がオイル分離室32の底部に近づく。したがって、連通路31を介して導入された吐出ガスは、流速が遅いことからオイルの分離能力は低くものであるが、旋回に利用される分離筒33の有効長は長くなるので、旋回数を多くすることが可能となり、吐出流量の変化に拘わらず、安定したオイル分離が可能となる。
【0028】
図4及び図5において、オイル分離器30の他の構成例が示されている。前述した構成例においては、オイル分離室32がリアヘッド3によって画成された空間によって構成されているが、この構成例においては、オイル分離室32がリアヘッド3に画成された収容空間50に収容される可動体51内に画成されている。
【0029】
即ち、可動体51は、分離筒33とこの分離筒の基部に一体に形成された拡径部34と、この拡径部34に一体に形成された筒状内壁体52とによって構成されているもので、分離筒33と拡径部34とは、軸芯を一致させて形成されている。また、筒状内壁体52は、拡径部34の周縁から上下に延設されるように筒状に形成されているもので、分離筒と軸芯を一致させて形成され、内部にオイル分離室53を画成している。
【0030】
そして、収容空間50の開口部を閉塞する蓋体43と拡径部34との間にはスプリング46が弾装され、このスプリング46によるばね力により、可動体51を収容空間50の底部に向って常時付勢するようにしている。また、筒状内壁体52には、該筒状内壁体の内外を連通すると共に収容空間50の内壁面に形成された連通路31の開口部31aと連通する流入孔54が形成され、可動体51が軸方向に変位することによって連通路31と流入孔54との連通開度が変更されるようになっている。この例においては、可動体51が収容空間50の上端に位置した場合に、連通路31の開口部31aと流入孔54とが整合し、連通開度が最大となり、可動体51が収容空間50の下端に位置した場合に、連通路31の開口部31aと流入孔54が僅かに一致し、連通開度が最小となるようになっている。尚、その他の構成は前記構成例と同様であるので、同一箇所に同一番号を付して説明を省略する。
【0031】
以上の構成において、高速運転時又は最大吐出容量運転時においては、連通路31を介して吐出室26から連通路31及び流入孔54を介してオイル分離室53に流入する吐出ガスの流速が増大するので、分離筒33の軸通路48での冷媒ガスの圧損が増大し、オイル分離室53の内圧P1が収容空間50の拡径部34の背後の圧力P2よりも高くなる(P1>P2)。このため、このような状態においては、図4に示されるように、可動体51が収容空間50に配されたスプリング46のバネ力に抗して押し上げられ、分離筒33が上方へ移動し、分離筒33の先端が収容空間50の底部から離れると共に、連通路31の開口部31aと流入孔54との連通状態が最大となる。
【0032】
したがって、連通路を介して導入された冷媒は、流速の速い状態で旋回し、混在しているオイルを分離することになるが、分離筒の先端はオイル分離室の底部から十分に離されているので、オイル分離室の底部に溜まったオイルが分離筒の先端でターンして分離筒に導かれるガス流によって巻き上げられる不都合がなく、ガスと共に外部サイクルへ流出することを抑えることが可能となる。
【0033】
これに対して、容量制御運転時においては、高速運転時又は最大吐出容量運転に比べて、ピストンストロークが小さくなり、吐出室26に吐出される冷媒流量が相対的に少なくなる。このため、分離筒33の軸通路48での吐出流体の圧損が減少し、オイル分離室53の内圧P1が収容空間50の拡径部34の背後の圧力P2とほぼ等しくなる(P1≒P2)。このような状態においては、図5に示されるように、分離筒33が収容空間50に配されたスプリング46のバネ力によって押し下げられので、連通路31の開口部31aと流入孔54との連通状態は最小となる。このため、オイル分離室53に導入された吐出ガスは、絞られた通路を通過することになるので、流速が速められ、旋回速度が速くなって遠心分離の原理によってオイル分離が十分に行われることとなり、オイル分離量を吐出流量の変化に拘わらず安定させることが可能となる。
【0034】
尚、上述の構成においては、オイル分離室32,53に流入する冷媒ガスの流量に応じて分離筒を連続的に変位させるものであったが、段階的に変位させるものであっても良い。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、オイル分離室に突出されて外部サイクルとオイル分離室とを連通する分離筒を軸方向に変位可能に構成したので、オイル分離室へ流入される流体流量(吐出流体の圧損)に応じて分離筒とオイル分離室の底部との間隔を調節することが可能となり、流体の旋回に利用できる分離筒の使用範囲を可変させることが可能になる。このため、吐出される流体流量が変化しても、オイル回収量の低減を回避すると共に安定したオイル分離が可能となる。
【0036】
また、オイル分離室を、分離筒と分離筒の周囲に設けられて該分離筒と一体をなして変位する筒状内壁体との間に形成し、この筒状内壁体に吐出室との連通状態を可変する流入部を設ける構成とすれば、吐出室へ吐出される冷媒流量に応じて分離筒内を螺旋する流体の流速を調節することが可能となり、吐出流量の変化に拘わらず、オイルの分離能力の低下を避けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る圧縮機の実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、圧縮機に設けられたオイル分離器を示す図であり、高速運転時又は最大吐出容量運転時の状態を示す図である。
【図3】図3は、図2と同様のオイル分離器において、容量制御運転時の状態を示す図である。
【図4】図4は、圧縮機に設けられたオイル分離器の他の例を示す図であり、高速運転時又は最大吐出容量運転時の状態を示す図である。
【図5】図5は、図4と同様のオイル分離器において、容量制御運転時の状態を示す図である。
【符号の説明】
26 圧縮室
31 連通路
32,53 オイル分離室
33 分離筒
52 筒状内壁体
54 流入孔
Claims (5)
- 流体を吸入圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構によって圧縮された流体に混在しているオイルを分離するオイル分離機構とを備える圧縮機において、
前記オイル分離機構を、前記圧縮機構で圧縮された流体が吐出される吐出室に連通するオイル分離室と、このオイル分離室に突出されて前記吐出室から導入された流体を周囲に旋回させると共に外部サイクルと前記オイル分離室とを連通する分離筒とを有して構成し、前記分離筒を軸方向に変位可能に構成したことを特徴とする圧縮機。 - 前記分離筒は、前記オイル分離室への突出量がオイル分離室へ流入される流体流量に応じて変化するものであることを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
- 前記分離筒の軸方向への変位は、前記吐出室からオイル分離室に流入する流体流量に応じて連続的、又は、段階的に行われるものであることを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
- 前記オイル分離室は、前記分離筒と前記分離筒の周囲に設けられて該分離筒と一体をなして変位する筒状内壁体との間に形成され、この筒状内壁体に、前記吐出室との連通状態を可変する流入部を設けたことを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
- 前記吐出室との連通状態は、前記圧縮機構による吐出流量の変化に拘わらず、前記オイル分離室へ流入する流体の速度がほぼ一定となるように調節されるものであることを特徴とする請求項4記載の圧縮機。
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2003
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