JP2005014831A - ハイブリッド車の駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリッド駆動装置の設置スペースを最小限に抑える。
【解決手段】エンジン1の動力が、動力分配機構50を経由して第1モータ・ジェネレータ8および後輪5に分配され、第2モータ・ジェネレータ9の動力が、前輪4に伝達されるように構成されており、エンジン1および第2モータ・ジェネレータ9および第1モータ・ジェネレータ8の回転軸線40が、同軸状に配置されており、第2モータ・ジェネレータ9から後輪5に至る動力伝達経路に動力配分機構51が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン1の動力が、動力分配機構50を経由して第1モータ・ジェネレータ8および後輪5に分配され、第2モータ・ジェネレータ9の動力が、前輪4に伝達されるように構成されており、エンジン1および第2モータ・ジェネレータ9および第1モータ・ジェネレータ8の回転軸線40が、同軸状に配置されており、第2モータ・ジェネレータ9から後輪5に至る動力伝達経路に動力配分機構51が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数種類の駆動力源を備えたハイブリッド車の駆動装置に関するものであり、特に車両の前後輪すべてを駆動するハイブリッド駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ハイブリッド車は内燃機関に加えて電動機やモータ・ジェネレータを駆動力源として備えた車両であって、内燃機関をできるだけ効率の良い状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキ力の過不足を電動機もしくはモータ・ジェネレータで補い、さらには減速時にエネルギの回生をおこなうことにより、内燃機関による排ガスを低減し、同時に燃費の向上を図るように構成された車両である。このハイブリッド駆動装置を四輪駆動車に適用した例が特許文献1に記載されている。
【0003】
ハイブリッド駆動装置を四輪駆動車に適用する場合、いくつかの方法があるが、特許文献1に記載されている装置は原動機のクランクシャフトに接続されたプラネタリギヤのサンギヤに第1のモータが接続され、そのプラネタリギヤのリングギヤに接続されたチェーンベルトによって前輪が駆動される。後輪は後輪用のディファレンシャルギヤボックス内に組み込まれた第2のモータによって駆動されるように構成されている。
【0004】
また、特許文献2に記載されている装置は内燃機関をできるだけ効率の良い回転数で運転させるために、変速比を1未満のいわゆるオーバードライブ状態とすることが可能な複数の遊星歯車を用いた動力分割手段を有している。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−175203号公報(段落(0143)、図18)
【特許文献2】
特開2000−16101号公報(請求項1、段落(0022および0023)、図18)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載された装置では、原動機および後輪駆動用モータとの回転軸線が平行となるように配置されているので、半径方向すなわち、回転軸線に直交する方向で原動機と後輪駆動用モータの配置スペースが大きくなり、結果的に全体として大型化するという問題があった。
【0007】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、第1の駆動力源および第2の駆動力源の回転軸線を中心とする半径方向の設置スペースの小型化を図ったハイブリッド駆動装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、原動機と他の原動機との配置を同軸状になるように構成したものである。すなわち、請求項1の発明は、第1の駆動力源の動力が、動力分配装置を経由して回転装置および一方の車輪に分配されるように構成され、第2の駆動力源の動力が、他方の車輪に伝達されるように構成され、前記第1の駆動力源の動力伝達系統と、前記第2の駆動力源の動力伝達系統との間における動力伝達が遮断される構成のハイブリッド車の駆動装置において、第1の駆動力源および第2の駆動力源および回転装置の回転軸線が、同軸状に配置されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。
【0009】
したがって請求項1の発明では、回転軸線に直交する方向で、第1の駆動力源および第2の駆動力源の配置領域が狭められる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、第2の駆動力源から他方の車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、前記第1の駆動力源の動力を他方の車輪に伝達し、かつ、第2の駆動力源の動力を一方の車輪に伝達することにより、一方の車輪と他方の車輪とに生じる駆動力の配分を制御する機能を有する動力配分機構が配置されており、前記動力配分機構は、前記回転軸線に直交する方向の平面内で、変速機の設置領域内と重なって設置されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置である。
【0011】
したがって請求項2の発明では、請求項1の発明と同じ作用が得られる他に、回転軸線に直交する方向で変速機の配置領域内に駆動力分配機構が配置される。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記動力分配装置は、大ピニオンギヤと、その大ピニオンギヤよりも歯数の少ない小ピニオンギヤとを同軸上に一体に連結したステップドピニオンを有し、小ピニオンギヤおよび大ピニオンギヤを保持するキャリヤと、大ピニオンギヤにかみ合う第1のサンギヤと、小ピニオンギヤにかみ合う第2のサンギヤと、大ピニオンギヤにかみ合うリングギヤとが設けられており、前記第1のサンギヤには前記回転装置が連結され、キャリヤには前記第1の駆動力源が接続され、リングギヤには出力軸を経由して車輪が連結され、第2のサンギヤの回転を阻止することで、第1の駆動力源の回転速度よりも出力軸の回転速度の方が高速となるオーバードライブ状態を設定するブレーキが設けられていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置である。
【0013】
したがって請求項3の発明では、請求項2の発明と同じ作用が得られる他に、第2のサンギヤの回転が阻止されると、出力軸の回転数が第1の駆動力源の回転数よりも高い、いわゆるオーバードライブ状態に設定される。また、ブレーキ解放時には、小ピニオンギヤおよび第2のサンギヤは空転する。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1はこの発明の対象とする車両、具体的には四輪駆動車のパワートレーンの実施例を示す図である。本実施例は、エンジン1と、にモータ・ジェネレータ(以下、仮に第1モータ・ジェネレータもしくはMG1と記す)8と、これらエンジン1の動力を第1モータ・ジェネレータ8および後輪5に分配する遊星歯車機構50と、第2モータ・ジェネレータ9とで構成されている。まず、エンジン1の後方に第1モータ・ジェネレータ8が配置され、第1モータ・ジェネレータ8の後方に遊星歯車機構50が配置され、さらに遊星歯車機構50の後方に第2モータジェネレータ9が配置されている。また、第2モータ・ジェネレータ9のさらに後方にはチェーン駆動装置10が配置されている。ここで、「後方」とは、車両の前後方向における後方という意味である。
【0015】
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、スロットル開度(吸気量)や燃料供給量、着火時期(自己着火時点を含む)などの運転状態を電気的に制御できるように構成されている。そのエンジン1の制御は、例えば、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(E−ECU、図示せず)によっておこなうように構成されている。
【0016】
また、第1モータ・ジェネレータ8は、例えば同期電動機を用いることが可能であり、この第1モータ・ジェネレータ8は、電動機としての機能と発電機としての機能とを生じるように構成されている。さらに第1モータ・ジェネレータ8にはインバータ(図示せず)を介してバッテリーなどの蓄電装置(図示せず)に電気的に接続されている。そして、前記インバータを制御することにより、第1モータ・ジェネレータ8の出力トルクあるいは回生トルクを適宜に設定するようになっている。なお、第1モータジェネレータ8のステータ100はケーシング150に固定されており、回転しないようになっている。
【0017】
さらに、遊星歯車機構50は、外歯歯車であるサンギヤ12と、そのサンギヤ12に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ11と、これらサンギヤ12とリングギヤ11とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ13とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知の歯車機構である。前記エンジン1の出力軸23が第1の回転要素であるキャリヤ13に連結されている。言い換えれば、キャリヤ13が入力要素となっている。
【0018】
これに対して第2の回転要素であるサンギヤ12に、第1モータ・ジェネレータ8のロータ101が連結されている。したがってサンギヤ12がエンジン1に対する反力要素となっており、また第3の回転要素であるリングギヤ11が出力軸7に対する出力要素となっている。そして、そのリングギヤ11が出力軸7に連結されている。出力軸7にはリヤディファレンシャル3、およびリヤドライブシャフト24を経由して後輪5が連結されている。
【0019】
第2モータ・ジェネレータ9のロータ103は出力軸33を経由してチェーン駆動装置10に連結されている。チェーン駆動装置10は二つのスプロケット26、27とチェーン28より構成され、そのうち一方のスプロケット26には出力軸33が連結され、出力軸23,33と平行にプロペラシャフト6が設けられている。チェーン駆動装置10を構成する他方のスプロケット27にはプロペラシャフト6が接続され、その二つのスプロケット26,27にチェーンが巻きかけれられている。プロペラシャフト6のスプロケット27が連結されていない方の端にはフロントディファレンシャル2が連結され、フロントディファレンシャル2にはフロントドライブシャフト25を経由して前輪4が連結されている。
【0020】
さらにこの第2モータ・ジェネレータ9は、インバータ(図示せず)を経由してバッテリー(図示せず)に接続されている。そして、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(MG2−ECU、図示せず)によってインバータを制御することにより、第2モータ・ジェネレータ9の力行および回生ならびにそれぞれの場合におけるトルクを制御するように構成されている。なお、第2モータ・ジェネレータ9のステータ102はケーシング150に固定されており、ステータ102は回転しないようになっている。また、第2モータ・ジェネレータ9の出力軸33は中空軸となっており、その出力軸33の内部に出力軸7が設けられており、出力軸33と出力軸7は相対回転が可能なように構成されている。
【0021】
また、図1に示す四輪駆動車においては、前輪4のみにトルクを伝達する前輪駆動モード、後輪5のみにトルクを伝達する後輪駆動モード、前輪4および後輪5にトルクを伝達する四輪駆動モードを選択的に切替が可能である。
【0022】
そして、エンジン1から出力されたトルクが遊星歯車機構50を経由して第1モータ・ジェネレータ8へトルクが伝達され、第1モータ・ジェネレータ8により反力が生じるとともに、エンジントルクが出力軸7、リアディファレンシャル3を経て、後輪5を駆動する。また、第2のモータ・ジェネレータ9から出力されたトルクは、チェーン駆動装置10を経て、プロペラシャフト6に伝達され、フロントディファレンシャル2を経て、前輪4を駆動する。そして車両の惰力走行時には車両の運動エネルギーを前輪から第2モータ・ジェネレータ9へ伝達して回生することができ、また、後輪からも第1モータ・ジェネレータ8へ伝達して回生することができる。
【0023】
エンジンの最適燃費運転はリングギヤ11の回転数(出力回転数)を一定とした場合、第1モータ・ジェネレータ8の回転数を高低に変化させることにより、エンジン1の回転数を連続的に(無段階に)変化させることでおこなわれる。すなわち、エンジン1の回転数を例えば燃費が最もよい回転数に設定する無段変速制御を、第1モータ・ジェネレータ8および遊星歯車機構50を制御することによっておこなうことができる。なお、このように遊星歯車機構50を用いて動力を分割する方式のハイブリッド駆動装置は機械分配式ハイブリッド駆動装置と呼ばれる。
【0024】
図1の実施例においては、エンジン1の出力軸23と第2モータ・ジェネレータ9の出力軸33と第1モータ・ジェネレータ8のロータ101とが同一の回転軸線40を中心として回転するレイアウトになっている。なお、回転軸線40は車両の前後方向に伸ばされている。車両の横方向(幅方向)の断面図である図2に示すように、車両のフロア30のトンネル部31の下方に、第2モータ・ジェネレータ9とプロペラシャフト6とが配置される。なお、トンネル部31は、フロア30において車両の幅方向の中央を上方に湾曲するように突出させた部位のことである。トンネル部31は車両の前後方向に伸ばされている。
【0025】
そのため、回転軸線40を中心とする回転半径方向、つまり車両の幅方向において、各要素の設置スペースの拡大を抑制することができる。また、回転半径方向での設置スペースが節約できるので、第2モータ・ジェネレータ9を大型化して、第2モータ・ジェネレータ9の出力を高められる。したがって、車両の動力性能を向上させることができる。なお、図2においては便宜上ケーシング150を省略している。
【0026】
また、エンジン1の動力伝達系と第2モータ・ジェネレータ9の動力伝達系とが独立しているために、機械式トランスファなどの装置を用いずに前後輪に対する出力トルクの配分を変化させることができる。そのため、装置全体としての構成が簡略化され、低コスト化を図ることができる。さらに、第2モータ・ジェネレータ9は前輪4と接続されているので、減速時には後輪5に加えて前輪4からも第2モータ・ジェネレータ9によってブレーキ回生をおこなうことができる。そのため、回生されるエネルギーが増加し、燃費を向上させることができる。
【0027】
さらに、前輪4、後輪5の駆動は、プロペラシャフト6や出力軸7を使用しておこなわれる。そのため、ドライブシャフト24に第2モータ・ジェネレータ9を配置したり、リアディファレンシャル3内に第2モータ・ジェネレータ9を配置したりすることがない。そのため、ディファレンシャル2,3、ドライブシャフト24,25等は既存のものを流用することができる。
【0028】
つぎに、この発明の対象となる四輪駆動車のパワートレーンの他の実施例を以下に説明する。図3は、この他の実施例の構成を示す具体例であり、動力分配装置を二組の遊星歯車機構で組み合わせて構成した例である。なお、図3の実施例において図1の構成と同じ構成については図1と同じ符号を付してある。また、図3の実施例において図1の構成と同じ構成部分は同じ作用・効果を有する。
【0029】
出力軸7はリアディファレンシャル3、およびリアドライブシャフト24を経由して後輪5に連結されるとともに、出力軸7は機構部51を経由して第2モータ・ジェネレータ9と連結されている。また、機構部51はチェーン駆動装置10、さらにフロントディファレンシャル2、およびフロントドライブシャフト25を経由して前輪4に連結されている。
【0030】
機構部51は遊星歯車機構55とクラッチC1,C2とブレーキB1を有している。遊星歯車機構55は、外歯歯車であるサンギヤ22と、そのサンギヤ22に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ21と、これらサンギヤ22とリングギヤ21とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ20とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知の歯車機構である。
【0031】
また、クラッチC2により、キャリヤ20と第2モータ・ジェネレータ9のロータ103とが選択的に連結され、クラッチC1により出力軸7とキャリヤ20とが選択的に連結されている。また、遊星歯車機構55のサンギヤ22には第2モータ・ジェネレータ9のロータ103が接続され、ブレーキB1により、リングギヤ21の回転が選択的に阻止される。なお、第2モータ・ジェネレータ9のステータ102はケーシング150に固定されている。
【0032】
また、チェーン駆動装置10は二つのスプロケット26,27とチェーン28より構成され、二つのスプロケットの26,27のうち、一方のスプロケット26には遊星歯車機構55のキャリヤ20が連結されている。
【0033】
シングルピニオン型の第1遊星歯車機構54におけるキャリヤ16には、エンジン1からの出力軸23が連結されている。その第1遊星歯車機構54におけるサンギヤ15に前述した第1モータ・ジェネレータ(MG1)8のロータ101が連結され、そのサンギヤ15と同心円上に配置されている内歯歯車であるリングギヤ19が出力軸7に連結されている。そして、これらサンギヤ15とリングギヤ19とに噛み合っている大ピニオンギヤ18が、その中心軸線を中心に自転し、キャリヤ16の自転によって公転するようにキャリヤ16によって保持されている。
【0034】
その大ピニオンギヤ18は、いわゆるステップドピニオンギヤとして構成されている。すなわち、大ピニオンギヤ18より小径の小ピニオンギヤ17が、同一軸線上に並べて一体化されている。その小ピニオンギヤ17が、前記第1遊星歯車機構54におけるサンギヤ15より大径の第2のサンギヤ14に噛み合っている。すなわち第2のサンギヤ14と、大小のピニオンギヤ18,17(すなわちステップドピニオンギヤ)と、これを保持しているキャリヤ16と、前記リングギヤ19とによって第2の遊星歯車機構53が構成されている。したがって第1の遊星歯車機構54におけるサンギヤ15が第2の遊星歯車機構53におけるサンギヤ14より小径であり、かつリングギヤ19を共用しているので、第1の遊星歯車機構54におけるギヤ比(サンギヤとリングギヤとの歯数の比)ρ1 が、第2の遊星歯車機構53のギヤ比ρ2 より小さくなっている。
【0035】
そして、上記の第2のサンギヤ14の回転を選択的に阻止するブレーキ(BK)B2が設けられている。このブレーキB2がこの発明のオーバードライブ機構に相当しており、湿式の多板ブレーキやバンドブレーキなどによって構成されている。したがって各サンギヤ14,15、キャリヤ16、リングギヤ19の合計四つの独立した回転要素を備えており、これらの回転要素が上述したように、エンジン1および第1モータ・ジェネレータ8ならびに出力軸7、ブレーキB2にそれぞれ接続されている。なお、図3の四輪駆動車においても、前輪駆動モード、後輪駆動モード、四輪駆動モードを選択可能である。
【0036】
エンジントルクを出力軸7に伝達する場合において、図3に示す動力分配装置52によれば、無段変速状態とオーバードライブ状態とを設定することができる。図4は、動力分配装置52についての共線図であって、縦軸に付してある参照数字は、図3に記載してある部材に付してある符号であり、また「MG1」は第1モータ・ジェネレータ8、「MG2」は第2モータ・ジェネレータ9、「E/G」はエンジン1、「BK」はブレーキB2、「出力」はクラッチC1とC2が係合されている場合の出力軸7をそれぞれ示す。
【0037】
無段変速状態は上記のブレーキB2を解放した状態で、第1モータ・ジェネレータ8の回転数を、例えば図4に矢印で示すように大小に変化させる状態である。すなわち、無段変速状態とは回転装置によりサンギヤ15の回転数を制御する状態である。したがってエンジン1およびこれが連結されているキャリヤ16の回転数は、出力軸7およびこれが連結されているリングギヤ19の回転数より速い状態と遅い状態との範囲で連続的に変化する。この範囲が図4に直線AとAとの間で示してある。
【0038】
すなわち、無段変速状態では、キャリヤ16にエンジン1の出力トルクが作用し、サンギヤ15に第1モータ・ジェネレータ8による反力トルクが作用するので、リングギヤ19および出力軸7には、エンジン1と同方向に回転させるトルクが作用する。その場合、第1モータ・ジェネレータ8の回転数の変化に応じてエンジン1の回転数が増減するので、第1モータ・ジェネレータ8の回転数に応じてエンジン1の回転数が適宜に制御される。したがってこの無段変速状態では、第1遊星歯車機構54のみがトルクの分配もしくは伝達に寄与あるいは関与することになる。すなわち、遊星歯車機構53の小ピニオンギヤ17はトルク伝達・分配に関与していない。つまり、小ピニオンギヤ17および第2のサンギヤ14は空転する。そのため、無段変速状態では回転してトルクを伝達する部材の数およびトルクの伝達部位が大ピニオンギヤ18のみとなるので、摩擦などによる動力損失が抑制され、ひいては燃費が向上し、また排ガスを削減することができる。
【0039】
また、前記ブレーキB2を係合させて第2のサンギヤ14の回転を止めると、動力分配装置52の動作状態は図4に直線Bで示す状態となる。すなわち、第1モータ・ジェネレータ8の回転を止めて第1のサンギヤ15を固定した場合よりもエンジン1の回転数が更に低下した状態に変速比が固定される。換言すれば、オーバードライブ状態に固定される。この状態では、第2のサンギヤ14に対してブレーキB2から反力トルクを与えることになるので、第1モータ・ジェネレータ8はいわゆる空転状態となり、発電機および電動機のいずれとしても機能しない。そのため、第2モータ・ジェネレータ9から第1モータ・ジェネレータ8に電力を供給するなどの必要がないので、動力循環を回避することができる。また、エンジン1を低回転数かつ高負荷側で運転することが可能になり、エンジン1を効率の良い状態で運転することができる。また、エンジンの高速回転が防止されるので、静粛性が向上する。
【0040】
このような動力循環を回避するオーバードライブ状態に固定する制御を、上記の大ピニオンギヤ18と小ピニオンギヤ17とを一体化したステップドピニオンギヤを使用した二組の遊星歯車機構53,54によっておこなうので、それらの遊星歯車機構53,54で共用できる部品数が多くなることと相まって、動力分配装置52の構成を簡素化かつ小型化することができる。つまり、本来の動力の分配の機能を第1遊星歯車機構54が果たし、これに、オーバードライブ状態に固定するための第2の遊星歯車機構53を追加した構成となっているが、上記のように各ピニオンギヤ17,18を同軸上に一体に連結し、また動力の分配のために備えているリングギヤ19をオーバードライブ状態を設定するためにも使用し、これより大径の回転部材を追加することがない。つまり、オーバードライブ状態を設定するための機構を追加するとしても、装置全体の全長を短くでき、また外径を小さくすることができ、この点でも小型化でき、ひいては低コストの装置とすることができる。
【0041】
ここで、機構部51の機能について説明する。ブレーキB1を係合させ、かつクラッチC2を解放するとともに第2モータ・ジェネレータ9のトルクをサンギヤ22へ伝達すると、リングギヤ21が反力要素となり、第2モータ・ジェネレータ9の回転数よりもキャリヤ20の回転数の方が低速となる。また、ブレーキB1を解放し、かつクラッチC2を係合すると、第2モータ・ジェネレータ9の出力軸33とキャリヤ20とが、一体となって回転する。
【0042】
一方、動力配分機構であるクラッチC1が係合していると、第2モータ・ジェネレータ9のトルクは出力軸7およびプロペラシャフト6に分配される。クラッチC1の係合力(トルク容量)が低下すると、後輪5に伝達される動力の分配率が低下し、前輪4に伝達される動力の分配率が高まる。クラッチC1が解放された場合では、プロペラシャフト6のみが第2モータ・ジェネレータ9により駆動される。すなわち、前輪4のみが第2モータ・ジェネレータ9によって駆動される。
【0043】
したがって、クラッチC1のトルク容量を変化させることで、第2モータ・ジェネレータ9のトルクを出力軸7へ伝達することができる。つまり、前後輪4,5の駆動力配分をクラッチC1のトルク容量を変化させることにより行えることになるので、駆動力配分の自由度を増すことができる。そのため、車速や車両挙動(例えば、発進時、加減速時、旋回時、低摩擦係数路走行時等)に応じた適切な前後輪の駆動力配分を設定することができ、車両の安定した走行状態を実現することができる。つまり、クラッチC1のトルク容量を変化させることによりエンジン1の運転状態を変化させずに、車両挙動の変化による後輪の駆動力の不足分を第2モータ・ジェネレータ9から補うことができる。これにより、エンジン1の燃費の最も良い状態での運転を維持しつつ、走行性能を向上させることができる。
【0044】
また、車両が停止し、かつ、第1モータ・ジェネレータ8でエンジン1を起動する時に、クラッチC1とクラッチC2を係合するとともに、第1モータ・ジェネレータ8からリングギヤ19へ加わるトルクに対する反力トルクを第2モータ・ジェネレータ9で発生させることができる。すなわち、第1モータ・ジェネレータ8によるエンジン1起動時のトルクが後輪5に伝達されてしまうことを第2モータ・ジェネレータ9によってうち消すことができる。
【0045】
また、高速巡航時などのように四輪駆動走行が必要でない場合には、クラッチC1を解放し、かつ、ブレーキB1を解放することで、小ピニオンギヤ17および第2のサンギヤ14は空転し、後輪5にのみトルクを伝達とすることができ、燃費を向上させることができる。
【0046】
さらに、回転軸線40に直交する方向の平面内で、クラッチC1の設置スペースは、遊星歯車機構55およびクラッチC2の設置スペースと重なっている。したがって、回転軸線40に直交する方向での設置スペースを節約する事ができる。
【0047】
ここで、上述した各具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、エンジン1が「第1の駆動力源」に相当し、第2モータ・ジェネレータ9が「第2の駆動力源」に相当する。また、第1モータ・ジェネレータ8が「回転装置」に相当し、遊星歯車機構50および動力分配装置52が「動力分配装置」に相当する。また、前輪4が「他方の車輪」に相当し、後輪5が「一方の車輪」に相当する。また遊星歯車機構55およびブレーキB1、クラッチC2が「変速機」に相当し、、クラッチC1が「動力配分機構」に相当する。
【0048】
なお、ブレーキB1,B2およびクラッチC1,C2は油圧制御式、電磁制御式のいずれでもよい。また、上記実施例では、エンジン1で後輪5を駆動し、第2モータ・ジェネレータ9で前輪4を駆動したが、エンジン1で前輪4を駆動し、第2モータ・ジェネレータ9で後輪5を駆動するような構成であってもよい。要は、エンジン1が駆動する車輪とは異なる車輪を、第2モータ・ジェネレータ9で駆動するようになっていれば、この発明を適用することができる。ここで「異なる車輪」とは、車両の前後方向における配置位置が異なる車輪を意味する。
【0049】
また、本発明における「第1の駆動力源」と「第2の駆動力源」とは、駆動力の発生の原理が異なる。本実施例では「第1の駆動力源」は熱エネルギーを運動エネルギーに変換する内燃機関を用い、「第2の駆動力源」は電気エネルギーと運動エネルギーとを相互に変換するモータ・ジェネレータを使用した。なお、「第1の駆動力源」は内燃機関の他に外燃機関等を用いてもよい。要は、「第1の駆動力源」には熱エネルギーを運動エネルギーに変換する装置であればよい。
【0050】
ここで、この実施例の主要な構成を再度記すと、本実施例は、第1の駆動力源の動力が、動力分配装置を経由して回転装置および一方の車輪に分配されるように構成され、第2の駆動力源の動力が、他方の車輪に伝達されるように構成され、前記第1の駆動力源の動力伝達系統と、前記第2の駆動力源の動力伝達系統との間における動力伝達が遮断される構成のハイブリッド車の駆動装置において、前記第2の駆動力源の動力を前記他方の車輪に伝達する伝達軸を有し、前記伝達軸がフロアのトンネル部の下方に配置されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、回転軸線に直交する方向で、第1の駆動力源および第2の駆動力源の配置領域が狭められる。そのため、回転軸線に直交する方向での各要素の設置スペースを節約することができる。
【0052】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同じ効果が得られる他に、回転軸線に直交する方向で変速機の配置領域内に動力分配機構が配置される。そのため、回転軸線に直交する方向で、各要素の設置スペースが一層狭められる。
【0053】
さらに、請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同じ効果が得られる他に、第2のサンギヤが固定されることによって、出力軸の回転数が第1の駆動力源の回転数よりも高い、いわゆるオーバードライブ状態に設定される。そのため、車両が高速巡航走行する時などのように第1の駆動力源が高回転で運転する必要が有る場合でも、第1の駆動力源の回転数の上昇を抑えることができ、静粛性を向上させることができる。また、ブレーキ解放時には小ピニオンギヤおよび第2のサンギヤは空転するため、動力伝達効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一例を模式的に示すスケルトン図である。
【図2】この発明の構成例の回転軸線に直角方向の断面図である。
【図3】この発明の他の例を模式的に示すスケルトン図である。
【図4】図3に示す動力分配装置についての共線図である。
【符号の説明】
1…エンジン(第1の駆動力源)、 8…第1モータ・ジェネレータ(回転装置)、50…遊星歯車機構(動力分配装置)、 7…出力軸、 9…第2モータ・ジェネレータ(第2の駆動力源)、 54…第1遊星歯車機構、 13,16,20…キャリヤ、 23…出力軸、 12,15,22…サンギヤ、 11,19,21…リングギヤ、 18…大ピニオンギヤ、 17…小ピニオンギヤ、14…第2のサンギヤ、 53…第2遊星歯車機構、 B1,B2…ブレーキ(オーバードライブ機構)、 100,102…ステータ、 103…ロータ、10…チェーン駆動装置、 6…プロペラシャフト、 33…第2モータ・ジェネレータ出力軸、 10…チェーン駆動装置、 51…機構部、 C1,C2…クラッチ、 3…リヤディファレンシャル、 5…後輪(一方の車輪)、 2…フロントディファレンシャル、 4…前輪(他方の車輪)、 55…遊星歯車機構(変速機)、 40…回転軸線、 52…動力分配装置、 30…フロア、31…トンネル部、 24…リヤドライブシャフト、 25…フロントドライブシャフト、 26,27…スプロケット、 28…チェーン、 150…ケーシング。
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数種類の駆動力源を備えたハイブリッド車の駆動装置に関するものであり、特に車両の前後輪すべてを駆動するハイブリッド駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ハイブリッド車は内燃機関に加えて電動機やモータ・ジェネレータを駆動力源として備えた車両であって、内燃機関をできるだけ効率の良い状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキ力の過不足を電動機もしくはモータ・ジェネレータで補い、さらには減速時にエネルギの回生をおこなうことにより、内燃機関による排ガスを低減し、同時に燃費の向上を図るように構成された車両である。このハイブリッド駆動装置を四輪駆動車に適用した例が特許文献1に記載されている。
【0003】
ハイブリッド駆動装置を四輪駆動車に適用する場合、いくつかの方法があるが、特許文献1に記載されている装置は原動機のクランクシャフトに接続されたプラネタリギヤのサンギヤに第1のモータが接続され、そのプラネタリギヤのリングギヤに接続されたチェーンベルトによって前輪が駆動される。後輪は後輪用のディファレンシャルギヤボックス内に組み込まれた第2のモータによって駆動されるように構成されている。
【0004】
また、特許文献2に記載されている装置は内燃機関をできるだけ効率の良い回転数で運転させるために、変速比を1未満のいわゆるオーバードライブ状態とすることが可能な複数の遊星歯車を用いた動力分割手段を有している。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−175203号公報(段落(0143)、図18)
【特許文献2】
特開2000−16101号公報(請求項1、段落(0022および0023)、図18)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載された装置では、原動機および後輪駆動用モータとの回転軸線が平行となるように配置されているので、半径方向すなわち、回転軸線に直交する方向で原動機と後輪駆動用モータの配置スペースが大きくなり、結果的に全体として大型化するという問題があった。
【0007】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、第1の駆動力源および第2の駆動力源の回転軸線を中心とする半径方向の設置スペースの小型化を図ったハイブリッド駆動装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、原動機と他の原動機との配置を同軸状になるように構成したものである。すなわち、請求項1の発明は、第1の駆動力源の動力が、動力分配装置を経由して回転装置および一方の車輪に分配されるように構成され、第2の駆動力源の動力が、他方の車輪に伝達されるように構成され、前記第1の駆動力源の動力伝達系統と、前記第2の駆動力源の動力伝達系統との間における動力伝達が遮断される構成のハイブリッド車の駆動装置において、第1の駆動力源および第2の駆動力源および回転装置の回転軸線が、同軸状に配置されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。
【0009】
したがって請求項1の発明では、回転軸線に直交する方向で、第1の駆動力源および第2の駆動力源の配置領域が狭められる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、第2の駆動力源から他方の車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、前記第1の駆動力源の動力を他方の車輪に伝達し、かつ、第2の駆動力源の動力を一方の車輪に伝達することにより、一方の車輪と他方の車輪とに生じる駆動力の配分を制御する機能を有する動力配分機構が配置されており、前記動力配分機構は、前記回転軸線に直交する方向の平面内で、変速機の設置領域内と重なって設置されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置である。
【0011】
したがって請求項2の発明では、請求項1の発明と同じ作用が得られる他に、回転軸線に直交する方向で変速機の配置領域内に駆動力分配機構が配置される。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記動力分配装置は、大ピニオンギヤと、その大ピニオンギヤよりも歯数の少ない小ピニオンギヤとを同軸上に一体に連結したステップドピニオンを有し、小ピニオンギヤおよび大ピニオンギヤを保持するキャリヤと、大ピニオンギヤにかみ合う第1のサンギヤと、小ピニオンギヤにかみ合う第2のサンギヤと、大ピニオンギヤにかみ合うリングギヤとが設けられており、前記第1のサンギヤには前記回転装置が連結され、キャリヤには前記第1の駆動力源が接続され、リングギヤには出力軸を経由して車輪が連結され、第2のサンギヤの回転を阻止することで、第1の駆動力源の回転速度よりも出力軸の回転速度の方が高速となるオーバードライブ状態を設定するブレーキが設けられていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置である。
【0013】
したがって請求項3の発明では、請求項2の発明と同じ作用が得られる他に、第2のサンギヤの回転が阻止されると、出力軸の回転数が第1の駆動力源の回転数よりも高い、いわゆるオーバードライブ状態に設定される。また、ブレーキ解放時には、小ピニオンギヤおよび第2のサンギヤは空転する。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図1はこの発明の対象とする車両、具体的には四輪駆動車のパワートレーンの実施例を示す図である。本実施例は、エンジン1と、にモータ・ジェネレータ(以下、仮に第1モータ・ジェネレータもしくはMG1と記す)8と、これらエンジン1の動力を第1モータ・ジェネレータ8および後輪5に分配する遊星歯車機構50と、第2モータ・ジェネレータ9とで構成されている。まず、エンジン1の後方に第1モータ・ジェネレータ8が配置され、第1モータ・ジェネレータ8の後方に遊星歯車機構50が配置され、さらに遊星歯車機構50の後方に第2モータジェネレータ9が配置されている。また、第2モータ・ジェネレータ9のさらに後方にはチェーン駆動装置10が配置されている。ここで、「後方」とは、車両の前後方向における後方という意味である。
【0015】
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、スロットル開度(吸気量)や燃料供給量、着火時期(自己着火時点を含む)などの運転状態を電気的に制御できるように構成されている。そのエンジン1の制御は、例えば、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(E−ECU、図示せず)によっておこなうように構成されている。
【0016】
また、第1モータ・ジェネレータ8は、例えば同期電動機を用いることが可能であり、この第1モータ・ジェネレータ8は、電動機としての機能と発電機としての機能とを生じるように構成されている。さらに第1モータ・ジェネレータ8にはインバータ(図示せず)を介してバッテリーなどの蓄電装置(図示せず)に電気的に接続されている。そして、前記インバータを制御することにより、第1モータ・ジェネレータ8の出力トルクあるいは回生トルクを適宜に設定するようになっている。なお、第1モータジェネレータ8のステータ100はケーシング150に固定されており、回転しないようになっている。
【0017】
さらに、遊星歯車機構50は、外歯歯車であるサンギヤ12と、そのサンギヤ12に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ11と、これらサンギヤ12とリングギヤ11とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ13とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知の歯車機構である。前記エンジン1の出力軸23が第1の回転要素であるキャリヤ13に連結されている。言い換えれば、キャリヤ13が入力要素となっている。
【0018】
これに対して第2の回転要素であるサンギヤ12に、第1モータ・ジェネレータ8のロータ101が連結されている。したがってサンギヤ12がエンジン1に対する反力要素となっており、また第3の回転要素であるリングギヤ11が出力軸7に対する出力要素となっている。そして、そのリングギヤ11が出力軸7に連結されている。出力軸7にはリヤディファレンシャル3、およびリヤドライブシャフト24を経由して後輪5が連結されている。
【0019】
第2モータ・ジェネレータ9のロータ103は出力軸33を経由してチェーン駆動装置10に連結されている。チェーン駆動装置10は二つのスプロケット26、27とチェーン28より構成され、そのうち一方のスプロケット26には出力軸33が連結され、出力軸23,33と平行にプロペラシャフト6が設けられている。チェーン駆動装置10を構成する他方のスプロケット27にはプロペラシャフト6が接続され、その二つのスプロケット26,27にチェーンが巻きかけれられている。プロペラシャフト6のスプロケット27が連結されていない方の端にはフロントディファレンシャル2が連結され、フロントディファレンシャル2にはフロントドライブシャフト25を経由して前輪4が連結されている。
【0020】
さらにこの第2モータ・ジェネレータ9は、インバータ(図示せず)を経由してバッテリー(図示せず)に接続されている。そして、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(MG2−ECU、図示せず)によってインバータを制御することにより、第2モータ・ジェネレータ9の力行および回生ならびにそれぞれの場合におけるトルクを制御するように構成されている。なお、第2モータ・ジェネレータ9のステータ102はケーシング150に固定されており、ステータ102は回転しないようになっている。また、第2モータ・ジェネレータ9の出力軸33は中空軸となっており、その出力軸33の内部に出力軸7が設けられており、出力軸33と出力軸7は相対回転が可能なように構成されている。
【0021】
また、図1に示す四輪駆動車においては、前輪4のみにトルクを伝達する前輪駆動モード、後輪5のみにトルクを伝達する後輪駆動モード、前輪4および後輪5にトルクを伝達する四輪駆動モードを選択的に切替が可能である。
【0022】
そして、エンジン1から出力されたトルクが遊星歯車機構50を経由して第1モータ・ジェネレータ8へトルクが伝達され、第1モータ・ジェネレータ8により反力が生じるとともに、エンジントルクが出力軸7、リアディファレンシャル3を経て、後輪5を駆動する。また、第2のモータ・ジェネレータ9から出力されたトルクは、チェーン駆動装置10を経て、プロペラシャフト6に伝達され、フロントディファレンシャル2を経て、前輪4を駆動する。そして車両の惰力走行時には車両の運動エネルギーを前輪から第2モータ・ジェネレータ9へ伝達して回生することができ、また、後輪からも第1モータ・ジェネレータ8へ伝達して回生することができる。
【0023】
エンジンの最適燃費運転はリングギヤ11の回転数(出力回転数)を一定とした場合、第1モータ・ジェネレータ8の回転数を高低に変化させることにより、エンジン1の回転数を連続的に(無段階に)変化させることでおこなわれる。すなわち、エンジン1の回転数を例えば燃費が最もよい回転数に設定する無段変速制御を、第1モータ・ジェネレータ8および遊星歯車機構50を制御することによっておこなうことができる。なお、このように遊星歯車機構50を用いて動力を分割する方式のハイブリッド駆動装置は機械分配式ハイブリッド駆動装置と呼ばれる。
【0024】
図1の実施例においては、エンジン1の出力軸23と第2モータ・ジェネレータ9の出力軸33と第1モータ・ジェネレータ8のロータ101とが同一の回転軸線40を中心として回転するレイアウトになっている。なお、回転軸線40は車両の前後方向に伸ばされている。車両の横方向(幅方向)の断面図である図2に示すように、車両のフロア30のトンネル部31の下方に、第2モータ・ジェネレータ9とプロペラシャフト6とが配置される。なお、トンネル部31は、フロア30において車両の幅方向の中央を上方に湾曲するように突出させた部位のことである。トンネル部31は車両の前後方向に伸ばされている。
【0025】
そのため、回転軸線40を中心とする回転半径方向、つまり車両の幅方向において、各要素の設置スペースの拡大を抑制することができる。また、回転半径方向での設置スペースが節約できるので、第2モータ・ジェネレータ9を大型化して、第2モータ・ジェネレータ9の出力を高められる。したがって、車両の動力性能を向上させることができる。なお、図2においては便宜上ケーシング150を省略している。
【0026】
また、エンジン1の動力伝達系と第2モータ・ジェネレータ9の動力伝達系とが独立しているために、機械式トランスファなどの装置を用いずに前後輪に対する出力トルクの配分を変化させることができる。そのため、装置全体としての構成が簡略化され、低コスト化を図ることができる。さらに、第2モータ・ジェネレータ9は前輪4と接続されているので、減速時には後輪5に加えて前輪4からも第2モータ・ジェネレータ9によってブレーキ回生をおこなうことができる。そのため、回生されるエネルギーが増加し、燃費を向上させることができる。
【0027】
さらに、前輪4、後輪5の駆動は、プロペラシャフト6や出力軸7を使用しておこなわれる。そのため、ドライブシャフト24に第2モータ・ジェネレータ9を配置したり、リアディファレンシャル3内に第2モータ・ジェネレータ9を配置したりすることがない。そのため、ディファレンシャル2,3、ドライブシャフト24,25等は既存のものを流用することができる。
【0028】
つぎに、この発明の対象となる四輪駆動車のパワートレーンの他の実施例を以下に説明する。図3は、この他の実施例の構成を示す具体例であり、動力分配装置を二組の遊星歯車機構で組み合わせて構成した例である。なお、図3の実施例において図1の構成と同じ構成については図1と同じ符号を付してある。また、図3の実施例において図1の構成と同じ構成部分は同じ作用・効果を有する。
【0029】
出力軸7はリアディファレンシャル3、およびリアドライブシャフト24を経由して後輪5に連結されるとともに、出力軸7は機構部51を経由して第2モータ・ジェネレータ9と連結されている。また、機構部51はチェーン駆動装置10、さらにフロントディファレンシャル2、およびフロントドライブシャフト25を経由して前輪4に連結されている。
【0030】
機構部51は遊星歯車機構55とクラッチC1,C2とブレーキB1を有している。遊星歯車機構55は、外歯歯車であるサンギヤ22と、そのサンギヤ22に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ21と、これらサンギヤ22とリングギヤ21とに噛合しているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ20とを三つの回転要素として差動作用を生じる公知の歯車機構である。
【0031】
また、クラッチC2により、キャリヤ20と第2モータ・ジェネレータ9のロータ103とが選択的に連結され、クラッチC1により出力軸7とキャリヤ20とが選択的に連結されている。また、遊星歯車機構55のサンギヤ22には第2モータ・ジェネレータ9のロータ103が接続され、ブレーキB1により、リングギヤ21の回転が選択的に阻止される。なお、第2モータ・ジェネレータ9のステータ102はケーシング150に固定されている。
【0032】
また、チェーン駆動装置10は二つのスプロケット26,27とチェーン28より構成され、二つのスプロケットの26,27のうち、一方のスプロケット26には遊星歯車機構55のキャリヤ20が連結されている。
【0033】
シングルピニオン型の第1遊星歯車機構54におけるキャリヤ16には、エンジン1からの出力軸23が連結されている。その第1遊星歯車機構54におけるサンギヤ15に前述した第1モータ・ジェネレータ(MG1)8のロータ101が連結され、そのサンギヤ15と同心円上に配置されている内歯歯車であるリングギヤ19が出力軸7に連結されている。そして、これらサンギヤ15とリングギヤ19とに噛み合っている大ピニオンギヤ18が、その中心軸線を中心に自転し、キャリヤ16の自転によって公転するようにキャリヤ16によって保持されている。
【0034】
その大ピニオンギヤ18は、いわゆるステップドピニオンギヤとして構成されている。すなわち、大ピニオンギヤ18より小径の小ピニオンギヤ17が、同一軸線上に並べて一体化されている。その小ピニオンギヤ17が、前記第1遊星歯車機構54におけるサンギヤ15より大径の第2のサンギヤ14に噛み合っている。すなわち第2のサンギヤ14と、大小のピニオンギヤ18,17(すなわちステップドピニオンギヤ)と、これを保持しているキャリヤ16と、前記リングギヤ19とによって第2の遊星歯車機構53が構成されている。したがって第1の遊星歯車機構54におけるサンギヤ15が第2の遊星歯車機構53におけるサンギヤ14より小径であり、かつリングギヤ19を共用しているので、第1の遊星歯車機構54におけるギヤ比(サンギヤとリングギヤとの歯数の比)ρ1 が、第2の遊星歯車機構53のギヤ比ρ2 より小さくなっている。
【0035】
そして、上記の第2のサンギヤ14の回転を選択的に阻止するブレーキ(BK)B2が設けられている。このブレーキB2がこの発明のオーバードライブ機構に相当しており、湿式の多板ブレーキやバンドブレーキなどによって構成されている。したがって各サンギヤ14,15、キャリヤ16、リングギヤ19の合計四つの独立した回転要素を備えており、これらの回転要素が上述したように、エンジン1および第1モータ・ジェネレータ8ならびに出力軸7、ブレーキB2にそれぞれ接続されている。なお、図3の四輪駆動車においても、前輪駆動モード、後輪駆動モード、四輪駆動モードを選択可能である。
【0036】
エンジントルクを出力軸7に伝達する場合において、図3に示す動力分配装置52によれば、無段変速状態とオーバードライブ状態とを設定することができる。図4は、動力分配装置52についての共線図であって、縦軸に付してある参照数字は、図3に記載してある部材に付してある符号であり、また「MG1」は第1モータ・ジェネレータ8、「MG2」は第2モータ・ジェネレータ9、「E/G」はエンジン1、「BK」はブレーキB2、「出力」はクラッチC1とC2が係合されている場合の出力軸7をそれぞれ示す。
【0037】
無段変速状態は上記のブレーキB2を解放した状態で、第1モータ・ジェネレータ8の回転数を、例えば図4に矢印で示すように大小に変化させる状態である。すなわち、無段変速状態とは回転装置によりサンギヤ15の回転数を制御する状態である。したがってエンジン1およびこれが連結されているキャリヤ16の回転数は、出力軸7およびこれが連結されているリングギヤ19の回転数より速い状態と遅い状態との範囲で連続的に変化する。この範囲が図4に直線AとAとの間で示してある。
【0038】
すなわち、無段変速状態では、キャリヤ16にエンジン1の出力トルクが作用し、サンギヤ15に第1モータ・ジェネレータ8による反力トルクが作用するので、リングギヤ19および出力軸7には、エンジン1と同方向に回転させるトルクが作用する。その場合、第1モータ・ジェネレータ8の回転数の変化に応じてエンジン1の回転数が増減するので、第1モータ・ジェネレータ8の回転数に応じてエンジン1の回転数が適宜に制御される。したがってこの無段変速状態では、第1遊星歯車機構54のみがトルクの分配もしくは伝達に寄与あるいは関与することになる。すなわち、遊星歯車機構53の小ピニオンギヤ17はトルク伝達・分配に関与していない。つまり、小ピニオンギヤ17および第2のサンギヤ14は空転する。そのため、無段変速状態では回転してトルクを伝達する部材の数およびトルクの伝達部位が大ピニオンギヤ18のみとなるので、摩擦などによる動力損失が抑制され、ひいては燃費が向上し、また排ガスを削減することができる。
【0039】
また、前記ブレーキB2を係合させて第2のサンギヤ14の回転を止めると、動力分配装置52の動作状態は図4に直線Bで示す状態となる。すなわち、第1モータ・ジェネレータ8の回転を止めて第1のサンギヤ15を固定した場合よりもエンジン1の回転数が更に低下した状態に変速比が固定される。換言すれば、オーバードライブ状態に固定される。この状態では、第2のサンギヤ14に対してブレーキB2から反力トルクを与えることになるので、第1モータ・ジェネレータ8はいわゆる空転状態となり、発電機および電動機のいずれとしても機能しない。そのため、第2モータ・ジェネレータ9から第1モータ・ジェネレータ8に電力を供給するなどの必要がないので、動力循環を回避することができる。また、エンジン1を低回転数かつ高負荷側で運転することが可能になり、エンジン1を効率の良い状態で運転することができる。また、エンジンの高速回転が防止されるので、静粛性が向上する。
【0040】
このような動力循環を回避するオーバードライブ状態に固定する制御を、上記の大ピニオンギヤ18と小ピニオンギヤ17とを一体化したステップドピニオンギヤを使用した二組の遊星歯車機構53,54によっておこなうので、それらの遊星歯車機構53,54で共用できる部品数が多くなることと相まって、動力分配装置52の構成を簡素化かつ小型化することができる。つまり、本来の動力の分配の機能を第1遊星歯車機構54が果たし、これに、オーバードライブ状態に固定するための第2の遊星歯車機構53を追加した構成となっているが、上記のように各ピニオンギヤ17,18を同軸上に一体に連結し、また動力の分配のために備えているリングギヤ19をオーバードライブ状態を設定するためにも使用し、これより大径の回転部材を追加することがない。つまり、オーバードライブ状態を設定するための機構を追加するとしても、装置全体の全長を短くでき、また外径を小さくすることができ、この点でも小型化でき、ひいては低コストの装置とすることができる。
【0041】
ここで、機構部51の機能について説明する。ブレーキB1を係合させ、かつクラッチC2を解放するとともに第2モータ・ジェネレータ9のトルクをサンギヤ22へ伝達すると、リングギヤ21が反力要素となり、第2モータ・ジェネレータ9の回転数よりもキャリヤ20の回転数の方が低速となる。また、ブレーキB1を解放し、かつクラッチC2を係合すると、第2モータ・ジェネレータ9の出力軸33とキャリヤ20とが、一体となって回転する。
【0042】
一方、動力配分機構であるクラッチC1が係合していると、第2モータ・ジェネレータ9のトルクは出力軸7およびプロペラシャフト6に分配される。クラッチC1の係合力(トルク容量)が低下すると、後輪5に伝達される動力の分配率が低下し、前輪4に伝達される動力の分配率が高まる。クラッチC1が解放された場合では、プロペラシャフト6のみが第2モータ・ジェネレータ9により駆動される。すなわち、前輪4のみが第2モータ・ジェネレータ9によって駆動される。
【0043】
したがって、クラッチC1のトルク容量を変化させることで、第2モータ・ジェネレータ9のトルクを出力軸7へ伝達することができる。つまり、前後輪4,5の駆動力配分をクラッチC1のトルク容量を変化させることにより行えることになるので、駆動力配分の自由度を増すことができる。そのため、車速や車両挙動(例えば、発進時、加減速時、旋回時、低摩擦係数路走行時等)に応じた適切な前後輪の駆動力配分を設定することができ、車両の安定した走行状態を実現することができる。つまり、クラッチC1のトルク容量を変化させることによりエンジン1の運転状態を変化させずに、車両挙動の変化による後輪の駆動力の不足分を第2モータ・ジェネレータ9から補うことができる。これにより、エンジン1の燃費の最も良い状態での運転を維持しつつ、走行性能を向上させることができる。
【0044】
また、車両が停止し、かつ、第1モータ・ジェネレータ8でエンジン1を起動する時に、クラッチC1とクラッチC2を係合するとともに、第1モータ・ジェネレータ8からリングギヤ19へ加わるトルクに対する反力トルクを第2モータ・ジェネレータ9で発生させることができる。すなわち、第1モータ・ジェネレータ8によるエンジン1起動時のトルクが後輪5に伝達されてしまうことを第2モータ・ジェネレータ9によってうち消すことができる。
【0045】
また、高速巡航時などのように四輪駆動走行が必要でない場合には、クラッチC1を解放し、かつ、ブレーキB1を解放することで、小ピニオンギヤ17および第2のサンギヤ14は空転し、後輪5にのみトルクを伝達とすることができ、燃費を向上させることができる。
【0046】
さらに、回転軸線40に直交する方向の平面内で、クラッチC1の設置スペースは、遊星歯車機構55およびクラッチC2の設置スペースと重なっている。したがって、回転軸線40に直交する方向での設置スペースを節約する事ができる。
【0047】
ここで、上述した各具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、エンジン1が「第1の駆動力源」に相当し、第2モータ・ジェネレータ9が「第2の駆動力源」に相当する。また、第1モータ・ジェネレータ8が「回転装置」に相当し、遊星歯車機構50および動力分配装置52が「動力分配装置」に相当する。また、前輪4が「他方の車輪」に相当し、後輪5が「一方の車輪」に相当する。また遊星歯車機構55およびブレーキB1、クラッチC2が「変速機」に相当し、、クラッチC1が「動力配分機構」に相当する。
【0048】
なお、ブレーキB1,B2およびクラッチC1,C2は油圧制御式、電磁制御式のいずれでもよい。また、上記実施例では、エンジン1で後輪5を駆動し、第2モータ・ジェネレータ9で前輪4を駆動したが、エンジン1で前輪4を駆動し、第2モータ・ジェネレータ9で後輪5を駆動するような構成であってもよい。要は、エンジン1が駆動する車輪とは異なる車輪を、第2モータ・ジェネレータ9で駆動するようになっていれば、この発明を適用することができる。ここで「異なる車輪」とは、車両の前後方向における配置位置が異なる車輪を意味する。
【0049】
また、本発明における「第1の駆動力源」と「第2の駆動力源」とは、駆動力の発生の原理が異なる。本実施例では「第1の駆動力源」は熱エネルギーを運動エネルギーに変換する内燃機関を用い、「第2の駆動力源」は電気エネルギーと運動エネルギーとを相互に変換するモータ・ジェネレータを使用した。なお、「第1の駆動力源」は内燃機関の他に外燃機関等を用いてもよい。要は、「第1の駆動力源」には熱エネルギーを運動エネルギーに変換する装置であればよい。
【0050】
ここで、この実施例の主要な構成を再度記すと、本実施例は、第1の駆動力源の動力が、動力分配装置を経由して回転装置および一方の車輪に分配されるように構成され、第2の駆動力源の動力が、他方の車輪に伝達されるように構成され、前記第1の駆動力源の動力伝達系統と、前記第2の駆動力源の動力伝達系統との間における動力伝達が遮断される構成のハイブリッド車の駆動装置において、前記第2の駆動力源の動力を前記他方の車輪に伝達する伝達軸を有し、前記伝達軸がフロアのトンネル部の下方に配置されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、回転軸線に直交する方向で、第1の駆動力源および第2の駆動力源の配置領域が狭められる。そのため、回転軸線に直交する方向での各要素の設置スペースを節約することができる。
【0052】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同じ効果が得られる他に、回転軸線に直交する方向で変速機の配置領域内に動力分配機構が配置される。そのため、回転軸線に直交する方向で、各要素の設置スペースが一層狭められる。
【0053】
さらに、請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同じ効果が得られる他に、第2のサンギヤが固定されることによって、出力軸の回転数が第1の駆動力源の回転数よりも高い、いわゆるオーバードライブ状態に設定される。そのため、車両が高速巡航走行する時などのように第1の駆動力源が高回転で運転する必要が有る場合でも、第1の駆動力源の回転数の上昇を抑えることができ、静粛性を向上させることができる。また、ブレーキ解放時には小ピニオンギヤおよび第2のサンギヤは空転するため、動力伝達効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一例を模式的に示すスケルトン図である。
【図2】この発明の構成例の回転軸線に直角方向の断面図である。
【図3】この発明の他の例を模式的に示すスケルトン図である。
【図4】図3に示す動力分配装置についての共線図である。
【符号の説明】
1…エンジン(第1の駆動力源)、 8…第1モータ・ジェネレータ(回転装置)、50…遊星歯車機構(動力分配装置)、 7…出力軸、 9…第2モータ・ジェネレータ(第2の駆動力源)、 54…第1遊星歯車機構、 13,16,20…キャリヤ、 23…出力軸、 12,15,22…サンギヤ、 11,19,21…リングギヤ、 18…大ピニオンギヤ、 17…小ピニオンギヤ、14…第2のサンギヤ、 53…第2遊星歯車機構、 B1,B2…ブレーキ(オーバードライブ機構)、 100,102…ステータ、 103…ロータ、10…チェーン駆動装置、 6…プロペラシャフト、 33…第2モータ・ジェネレータ出力軸、 10…チェーン駆動装置、 51…機構部、 C1,C2…クラッチ、 3…リヤディファレンシャル、 5…後輪(一方の車輪)、 2…フロントディファレンシャル、 4…前輪(他方の車輪)、 55…遊星歯車機構(変速機)、 40…回転軸線、 52…動力分配装置、 30…フロア、31…トンネル部、 24…リヤドライブシャフト、 25…フロントドライブシャフト、 26,27…スプロケット、 28…チェーン、 150…ケーシング。
Claims (3)
- 第1の駆動力源の動力が、動力分配装置を経由して回転装置および一方の車輪に分配されるように構成され、第2の駆動力源の動力が、他方の車輪に伝達されるように構成され、前記第1の駆動力源の動力伝達系統と、前記第2の駆動力源の動力伝達系統との間における動力伝達が遮断される構成のハイブリッド車の駆動装置において、
第1の駆動力源および第2の駆動力源および回転装置の回転軸線が、同軸上に配置されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。 - 第2の駆動力源から他方の車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、前記第1の駆動力源の動力を他方の車輪に伝達し、かつ、第2の駆動力源の動力を一方の車輪に伝達することにより、一方の車輪と他方の車輪とに生じる駆動力の配分を制御する機能を有する動力配分機構が配置されており、前記動力配分機構は、前記回転軸線に直交する方向の平面内で、変速機の設置領域内と重なって設置されていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車の駆動装置。
- 前記動力分配装置は、大ピニオンギヤと、その大ピニオンギヤよりも歯数の少ない小ピニオンギヤとを同軸上に一体に連結したステップドピニオンを有し、小ピニオンギヤおよび大ピニオンギヤを保持するキャリヤと、大ピニオンギヤにかみ合う第1のサンギヤと、小ピニオンギヤにかみ合う第2のサンギヤと、大ピニオンギヤにかみ合うリングギヤとが設けられており、前記第1のサンギヤには前記回転装置が連結され、キャリヤには前記第1の駆動力源が接続され、リングギヤには出力軸を経由して車輪が連結され、第2のサンギヤの回転を阻止することで、第1の駆動力源の回転速度よりも出力軸の回転速度の方が高速となるオーバードライブ状態を設定するブレーキが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車の駆動装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008515726A (ja) * | 2004-09-27 | 2008-05-15 | マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト | 縦配置のハイブリッド駆動装置を持つ自動車用駆動単位 |
CN100400322C (zh) * | 2005-03-16 | 2008-07-09 | 雅马哈发动机株式会社 | 用于混合动力车的驱动单元、混合动力车和摩托车 |
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2003
- 2003-06-27 JP JP2003185245A patent/JP2005014831A/ja active Pending
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