JP2009248825A - ハイブリッド駆動装置 - Google Patents

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Makoto Iwanaka
誠 岩中
重樹 ▲高▼見
Shigeki Takami
Daiki Suyama
大樹 須山
Yukihiko Ideshio
幸彦 出塩
Hideaki Komada
英明 駒田
Hiroyuki Shibata
寛之 柴田
Tomohito Ono
智仁 大野
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Abstract

【課題】変速装置の外径を拡大することなく低速段での変速比を大きくすることを可能とし、更には、高速段においてピニオンギヤの回転速度が高くなることを抑制してピニオンギヤの軸受けの寿命を容易に確保することができるハイブリッド駆動装置を提供する。
【解決手段】入力部材Iと、出力部材Oと、第一回転電機MG1と、第二回転電機MG2と、入力部材Iの回転駆動力を出力部材Oと第一回転電機MG1とに分配する動力分配装置P1と、変速装置TMと、を備え、変速装置TMは、低速段では、一方の遊星歯車機構P2による減速と他方の遊星歯車機構P3による減速とを組み合わせて第二回転電機MG2の回転を減速して出力部材Oに伝達し、高速段では、2つの遊星歯車機構P2、P3を組み合わせて構成される4つの回転要素により第二回転電機MG2の回転を低速段よりも小さい変速比で減速して出力部材Oに伝達する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、前記入力部材の回転駆動力を前記出力部材と前記第一回転電機とに分配する動力分配装置と、前記第二回転電機と前記出力部材との間に接続された変速装置と、を備えるハイブリッド駆動装置に関する。
近年、駆動力源としてエンジンと回転電機とを併用することにより、エンジンの燃費向上及び排出ガスの低減を図ることのできるハイブリッド車両が実用化されている。このようなハイブリッド車両に用いるハイブリッド駆動装置の一例として、エンジンと、車輪に接続された出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、前記エンジンの回転駆動力を前記出力部材と前記第一回転電機とに分配する動力分配装置と、前記第二回転電機と前記出力部材との間に接続された変速装置とを備えた、いわゆるスプリット型のハイブリッド駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されたハイブリッド駆動装置では、動力分配装置はシングルピニオン型の遊星歯車機構で構成されている。また、変速装置は、例えば、ダブルピニオン型の遊星歯車機構とシングルピニオン型の遊星歯車機構とがキャリア及びリングギヤを共有するように組み合わされた、いわゆるラビニョ型の遊星歯車装置で構成されている。このラビニョ型の遊星歯車装置は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構を構成する第一サンギヤと、シングルピニオン型の遊星歯車機構を構成する第二サンギヤと、2つの遊星歯車機構に共通のリングギヤ及びキャリアを有する。また、このハイブリッド駆動装置では、第一サンギヤに第二回転電機が接続され、共通のリングギヤに出力部材が接続され、第二サンギヤが第一ブレーキによりケースに選択的に固定され、共通のキャリアが第二ブレーキによりケースに選択的に固定される構成とされている。そして、この変速装置は、第一ブレーキが係合された状態で第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達する高速段が実現され、第二ブレーキが係合された状態で高速段よりも大きい変速比で第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達する低速段が実現される。
このような従来のハイブリッド駆動装置における変速装置の速度線図の例を図10に示す。この速度線図において、並列配置された複数本の縦線のそれぞれが、変速装置の各回転要素に対応している。すなわち、各縦線の上側に記載されているs2、r2、ca2は、それぞれダブルピニオン型の遊星歯車機構を構成する第一サンギヤs2、第一リングギヤr2、及び第一キャリアca2に対応しており、s3、ca3、r3は、それぞれシングルピニオン型の遊星歯車機構を構成する第二サンギヤs3、第二キャリアca3、及び第二リングギヤr3に対応している。また、図中に実線で表された線L2はダブルピニオン型の遊星歯車機構の動作状態を示し、破線で表された線L3はシングルピニオン型の遊星歯車機構の動作状態を示している。この図においては、2つの遊星歯車機構の関係を明確にするために、共通のリングギヤ及びキャリアをそれぞれの遊星歯車機構に分けて記載している。そして、これらの各縦線上の位置は、各回転要素の回転速度に対応している。ここでは、横軸上は回転速度がゼロであり、上側が正、下側が負である。また、これらの速度線図上において、「☆」は出力部材Oの回転速度、「□」は第二回転電機MG2の回転速度、「×」第一ブレーキB1又は第二ブレーキB2による各回転要素のケースへの固定をそれぞれ示している。なお、図中の「☆」に隣接して「O(Hi)」と記載されている回転速度は、第二回転電機MG2の回転が高速段Hiで減速されて出力部材Oに伝達された際の回転速度を示し、「O(Lo)」と記載されている回転速度は、第二回転電機MG2の回転が低速段Loで減速されて出力部材Oに伝達された際の回転速度を示している。
この図に示すように、この変速装置では、第一ブレーキB1が係合されて実現される高速段Hiでは、第二回転電機MG2の回転は、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される4つの回転要素により減速されて出力部材Oに伝達される。すなわち、この高速段Hiでは、ラビニョ型の遊星歯車装置を構成するダブルピニオン型の遊星歯車機構の歯数比λ2(第一サンギヤs2と第一リングギヤr2との歯数比λ2=〔第一サンギヤs2の歯数〕/〔第一リングギヤr2の歯数〕)と、シングルピニオン型の遊星歯車機構の歯数比λ3(第二サンギヤs3と第二リングギヤr3との歯数比λ3=〔第二サンギヤs3の歯数〕/〔第二リングギヤr3の歯数〕)との組み合わせにより、第二回転電機MG2の回転を減速する変速比が決定される。一方、第二ブレーキB2が係合されて実現される低速段Loでは、第二回転電機MG2の回転は、一つの遊星歯車機構、ここではダブルピニオン型の遊星歯車機構のみにより減速されて出力部材Oに伝達される。すなわち、低速段Loでは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構の歯数比λ2のみにより、第二回転電機MG2の回転を減速する変速比が決定される。
なお、特許文献1には、変速装置が、2つのシングルピニオン型の遊星歯車機構が一方のキャリアと他方のリングギヤとを互いに接続するように組み合わされた遊星歯車装置で構成されている例も記載されている。変速装置がこのような構成であっても、当該変速装置の速度線図は、図10に示すものとほぼ同じになり、2つの遊星歯車機構と高速段Hi及び低速段Loのそれぞれでの変速比との関係は、ラビニョ型の遊星歯車装置の場合と同様になる。
特開2005−132365号公報
ところで、車両の高速走行時の更なる燃費向上のため、最終減速比を小さくすること等によって、エンジンから車輪までの変速比(トータルギヤ比)を小さく(ハイギヤ化)したいという要求がある。しかし、単純に最終減速比を小さくすると、第二回転電機から車輪までの変速比も小さくなる。そのため、車両の発進時や加速時に第二回転電機により十分な駆動力を車輪へ伝えることができなくなり、車両の動力性能が低下する。第二回転電機の出力を高めることなく車両の動力性能の低下を防止するためには、第二回転電機と出力部材との間に設けられた変速装置の各変速段での変速比を大きく(ローギヤ化)する必要がある。しかし、従来のハイブリッド駆動装置では、上記のとおり、低速段Loでは、一つの遊星歯車機構の歯数比λ2のみにより、第二回転電機MG2の回転を減速する変速比が決定されていた。そのため、低速段Loでの変速比を大きくするためには、当該一つの遊星歯車機構の第一リングギヤr2(=r3)の外径を大きくする必要がある。その場合、変速装置の外径が大きくなり、車両への搭載性が悪化するという問題がある。
一方、低速段Loの変速比を大きくするために、変速装置の構成を変更した場合であっても、高速段Hiにおいて、第二回転電機MG2の回転を、一つの遊星歯車機構のみにより減速して出力部材Oに伝達する構成とすると、2つの遊星歯車機構により減速する場合と比べて、当該減速に用いられる一つの遊星歯車機構のピニオンギヤの回転速度が高くなる。そのため、第二回転電機MG2の回転速度が高い状態で当該ピニオンギヤの軸受けに大きな負荷がかかることになり、当該軸受けの寿命が短くなり易いという問題が生じる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、変速装置の外径を拡大することなく低速段での変速比を大きくすることを可能とし、更には、高速段においてピニオンギヤの回転速度が高くなることを抑制してピニオンギヤの軸受けの寿命を容易に確保することができるハイブリッド駆動装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る、エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、前記入力部材の回転駆動力を前記出力部材と前記第一回転電機とに分配する動力分配装置と、前記第二回転電機と前記出力部材との間に接続された変速装置と、を備えるハイブリッド駆動装置の特徴構成は、前記変速装置が、2つの遊星歯車機構と2つの摩擦係合要素とを備え、これら2つの摩擦係合要素の係合状態を切り替えることにより低速段と高速段とを切り替え可能に構成され、前記低速段は、一方の遊星歯車機構による減速と他方の遊星歯車機構による減速とを組み合わせて前記第二回転電機の回転を減速して前記出力部材に伝達し、前記高速段は、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される4つの回転要素により前記第二回転電機の回転を前記低速段よりも小さい変速比で減速して前記出力部材に伝達する点にある。
なお、本願では、「接続」とは、回転の伝達を直接的に行う構造を含むほか、1又は2以上の部材を介して回転の伝達を間接的に行う構造も含む。また、本願では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
この特徴構成によれば、低速段では、一方の遊星歯車機構による減速と他方の遊星歯車機構による減速とを組み合わせて第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達するので、2つの遊星歯車機構の組み合わせにより大きな変速比を得ることができ、一つの遊星歯車機構のみで大きな変速比を得る必要がない。したがって、従来の構成と比較して変速装置の外径を拡大することなく、低速段での変速比を大きくすることが可能となる。また、低速段よりも小さい変速比を実現する高速段では、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される4つの回転要素により第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達するので、一つの遊星歯車機構のみにより第二回転電機の回転を減速する構成と比べてピニオンギヤの回転速度が高くなることを抑制できる。したがって、ピニオンギヤの軸受けの寿命を容易に確保することができる。
ここで、前記低速段は、前記第二回転電機の回転を、前記一方の遊星歯車機構により減速して当該一方の遊星歯車機構における回転速度の順で中間の回転要素に伝達し、当該中間の回転要素の回転を前記他方の遊星歯車機構により更に減速して前記出力部材に伝達する構成とすると好適である。
なお、本願では、「回転速度の順」は、高速側から低速側に向かう順、又は低速側から高速側に向かう順のいずれかであり、遊星歯車機構の回転状態によりいずれともなり得るが、いずれの場合にも回転要素の順は変わらない。また、本願では、「回転速度の順で中間の回転要素」とは、回転速度の順に配列した3つ以上の回転要素の内で最も高速又は最も低速となる両端の回転要素以外の回転要素を指す。
この構成によれば、低速段では、第二回転電機の回転を、まず一方の遊星歯車機構により減速し、当該減速後の回転を他方の遊星歯車機構により更に減速して出力部材に伝達するので、2つの遊星歯車機構の組み合わせにより、容易に大きな変速比を得ることができる。
また、前記低速段は、前記第二回転電機の回転を、前記一方の遊星歯車機構により減速するとともに回転方向を反転させて前記他方の遊星歯車機構に伝達し、前記他方の遊星歯車機構により更に減速するとともに再度回転方向を反転させて前記出力部材に伝達する構成としても好適である。
この構成によれば、低速段では、第二回転電機の回転を、一方の遊星歯車機構により減速するとともに回転方向を反転させ、当該反転減速後の回転を他方の遊星歯車機構により更に減速するとともに再度回転方向を反転させて元に戻してから出力部材に伝達するので、2つの遊星歯車機構の組み合わせにより、回転方向を変えることなく容易に大きな変速比を得ることができる。
また、前記高速段は、前記一方の遊星歯車機構の2つの回転要素をそれぞれ前記他方の遊星歯車機構の異なる回転要素に接続して構成される4つの回転要素を用い、これら4つの回転要素の回転速度の順で一方端となる回転要素の回転が停止され、この回転速度の順で他方端となる回転要素に伝達される前記第二回転電機の回転を、この回転速度の順で中間の回転要素に接続される前記出力部材に減速して伝達する構成とすると好適である。
なお、本願では、「回転速度の順で一方端となる回転要素」とは、回転速度の順に配列した3つ以上の回転要素の内で最も高速又は最も低速となる回転要素を指し、「回転速度の順で他方端となる回転要素」とは、回転速度の順に配列した3つ以上の回転要素の内で、前記回転速度の順で一方端となる回転要素とは反対側の端に位置する回転要素を指す。
この構成によれば、高速段では、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される4つの回転要素を用い、回転速度で一方端となる回転要素を停止させることにより、他方端に伝達される第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達することができる。したがって、2つの遊星歯車機構により、適切に第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達することができる。
本発明に係る、エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、前記入力部材の回転駆動力を前記出力部材と前記第一回転電機とに分配する動力分配装置と、前記第二回転電機と前記出力部材との間に接続された変速装置と、を備えるハイブリッド駆動装置のもう一つの特徴構成は、前記変速装置は、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素をそれぞれ備えた第一遊星歯車機構及び第二遊星歯車機構と、ブレーキと、クラッチとを備え、前記第一遊星歯車機構の第一回転要素が、前記ブレーキにより非回転部材に選択的に固定されるとともに前記クラッチにより前記第二遊星歯車機構の第二回転要素に選択的に接続され、前記第一遊星歯車機構の第二回転要素が前記第二遊星歯車機構の第三回転要素に接続され、前記第一遊星歯車機構の第三回転要素が前記第二回転電機に接続され、前記第二遊星歯車機構の第一回転要素が非回転部材に固定され、前記第二遊星歯車機構の第二回転要素が前記出力部材に接続されている点にある。
この特徴構成によれば、ブレーキを係合状態とし、クラッチを開放(係合解除)状態とすることにより、第一遊星歯車機構による減速と第二遊星歯車機構による減速とを組み合わせて第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達する低速段を実現することができる。すなわち、この低速段では、第二回転電機の回転が、第一遊星歯車機構により減速されて当該第一遊星歯車機構の第二回転要素に伝達され、当該第一遊星歯車機構の第二回転要素の回転が第二遊星歯車機構により更に減速されて出力部材に伝達される。したがって、低速段では、これら2つの遊星歯車機構の組み合わせにより大きな変速比を得ることができ、一つの遊星歯車機構のみで大きな変速比を得る必要がない。よって、従来の構成と比較して変速装置の外径を拡大することなく、低速段での変速比を大きくすることが可能となる。また、クラッチを係合状態とし、ブレーキを開放(係合解除)状態とすることにより、第一遊星歯車機構と第二遊星歯車機構とを組み合わせて構成される4つの回転要素により第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達する高速段を実現することができる。したがって、高速段では、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される4つの回転要素により第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達するので、一つの遊星歯車機構のみにより第二回転電機の回転を減速する構成と比べてピニオンギヤの回転速度が高くなることを抑制できる。よって、ピニオンギヤの軸受けの寿命を容易に確保することができる。
ここで、変速装置の具体的構成として、例えば、前記第一遊星歯車機構は、第一サンギヤ、第一キャリア、及び第一リングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、前記第二遊星歯車機構は、第二サンギヤ、第二キャリア、及び第二リングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、前記第一リングギヤが、前記ブレーキにより非回転部材に選択的に固定されるとともに前記クラッチにより前記第二キャリアに選択的に接続され、前記第一キャリアが前記第二リングギヤに接続され、前記第一サンギヤが前記第二回転電機に接続され、前記第二サンギヤが非回転部材に固定され、前記第二キャリアが前記出力部材に接続されている構成とすると好適である。
本発明に係る、エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、前記入力部材の回転駆動力を前記出力部材と前記第一回転電機とに分配する動力分配装置と、前記第二回転電機と前記出力部材との間に接続された変速装置と、を備えるハイブリッド駆動装置の更にもう一つの特徴構成は前記変速装置は、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素をそれぞれ備えた第一遊星歯車機構及び第二遊星歯車機構と、第一ブレーキと、第二ブレーキとを備え、前記第一遊星歯車機構の第一回転要素が、前記第二遊星歯車機構の第一回転要素に接続されているとともに前記第一ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、前記第一遊星歯車機構の第二回転要素が前記第二遊星歯車機構の第二回転要素に接続されているとともに前記第二ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、前記第一遊星歯車機構の第三回転要素が前記第二回転電機に接続され、前記第二遊星歯車機構の第三回転要素が前記出力部材に接続されている点にある。
この特徴構成によれば、第二ブレーキを係合状態とし、第一ブレーキを開放(係合解除)状態とすることにより、第一遊星歯車機構による減速と第二遊星歯車機構による減速とを組み合わせて第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達する低速段を実現することができる。すなわち、この低速段では、第二回転電機の回転が、第一遊星歯車機構により減速されるとともに回転方向を反転させて第二遊星歯車機構に伝達され、この第二遊星歯車機構により更に減速するとともに再度回転方向を反転させて出力部材に伝達される。したがって、低速段では、これら2つの遊星歯車機構の組み合わせにより大きな変速比を得ることができ、一つの遊星歯車機構のみで大きな変速比を得る必要がない。よって、従来の構成と比較して変速装置の外径を拡大することなく、低速段での変速比を大きくすることが可能となる。また、第一ブレーキを係合状態とし、第二ブレーキを開放(係合解除)状態とすることにより、第一遊星歯車機構と第二遊星歯車機構とを組み合わせて構成される4つの回転要素により第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達する高速段を実現することができる。したがって、高速段では、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される4つの回転要素により第二回転電機の回転を減速して出力部材に伝達するので、一つの遊星歯車機構のみにより第二回転電機の回転を減速する構成と比べてピニオンギヤの回転速度が高くなることを抑制できる。よって、ピニオンギヤの軸受けの寿命を容易に確保することができる。
ここで、変速装置の具体的構成として、例えば、前記第一遊星歯車機構は、第一サンギヤ、第一キャリア、及び第一リングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、前記第二遊星歯車機構は、第二サンギヤ、第二キャリア、及び第二リングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、前記第一リングギヤが、前記第二サンギヤに接続されているとともに前記第一ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、前記第一キャリアが前記第二キャリアに接続されているとともに前記第二ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、前記第一サンギヤが前記第二回転電機に接続され、前記第二リングギヤが前記出力部材に接続されている構成とすると好適である。
以上の各構成において、前記動力分配装置は、前記入力部材、前記出力部材、及び前記第一回転電機にそれぞれ接続される少なくとも3つの回転要素を備えた差動歯車装置であると好適である。
この構成によれば、動力分配装置により、入力部材の回転駆動力を出力部材と第一回転電機とに適切に分配することができる。
また、前記動力分配装置は、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素を備えた遊星歯車機構であって、前記動力分配装置の第一回転要素が前記第一回転電機に接続され、前記動力分配装置の第二回転要素が前記入力部材に接続され、前記動力分配装置の第三回転要素が前記出力部材に接続されている構成とすると好適である。
この構成によれば、第一回転要素に接続された第一回転電機の回転駆動力を、第二回転要素に接続された入力部材に伝達されるエンジンの回転駆動力に対する反力受けとして利用し、入力部材の回転駆動力を出力部材と第一回転電機とに適切に分配することができる。
1.第一の実施形態
まず、本発明の第一の実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hについて図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの機械的構成を示すスケルトン図である。なお、この図1は、中心軸に対称な下半分の構成を省略して示している。この図に示すように、このハイブリッド駆動装置Hは、エンジンEに接続された入力軸Iと、車輪(図示を省略)に接続された出力軸Oと、第一モータ・ジェネレータMG1と、第二モータ・ジェネレータMG2と、入力軸Iの回転駆動力を出力軸Oと第一モータ・ジェネレータMG1とに分配する分配用遊星歯車機構P1と、第二モータ・ジェネレータMG2と出力軸Oとの間に接続された変速装置TMと、を備えている。これらの構成は、車体に固定される非回転部材としての駆動装置ケースDc(以下、単に「ケースDc」という。)内に収納されている。そして、このハイブリッド駆動装置Hは、変速装置TMが、2つの遊星歯車機構P2、P3と2つの摩擦係合要素B1、C1とを備え、これら2つの摩擦係合要素B1、C1の係合状態を切り替えることにより低速段Loと高速段Hiとを切り替え可能に構成されている(図4及び図5参照)。
なお、本実施形態においては、入力軸Iが本発明における「入力部材」に相当し、出力軸Oが本発明における「出力部材」に相当する。また、第一モータ・ジェネレータMG1が本発明における「第一回転電機」に相当し、第二モータ・ジェネレータMG2が本発明における「第二回転電機」に相当する。更に、分配用遊星歯車機構P1が本発明における「動力分配装置」に相当する。以下、このハイブリッド駆動装置Hの各部の構成について詳細に説明する。
1−1.ハイブリッド駆動装置の構成
まず、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの機械的な構成について説明する。図1に示すように、入力軸Iは、エンジンEに接続されている。ここで、エンジンEとしては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の各種の内燃機関を用いることができる。本例では、入力軸IはエンジンEのクランクシャフト等の出力回転軸と一体的に接続されている。なお、入力軸IがエンジンEの出力回転軸との間にダンパやクラッチ等を介して接続された構成としても好適である。出力軸Oは、図示しないディファレンシャル装置等を介して車輪に回転駆動力を伝達可能に接続されている。また、出力軸Oは、分配用遊星歯車機構P1により分配された回転駆動力の伝達を受ける構成となっている。そのため、出力軸Oは、分配用遊星歯車機構P1のリングギヤr1に連結され、これと一体回転するように接続されている。また、出力軸Oは、変速装置TMを構成する第二遊星歯車機構P3の第二キャリアca3と一体回転するように接続されている。本実施形態においては、入力軸Iと出力軸Oとは、同軸上に配置されている。
第一モータ・ジェネレータMG1は、ケースDcに固定されたステータSt1と、このステータSt1の径方向内側に回転自在に支持されたロータRo1と、を有している。この第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1は、分配用遊星歯車機構P1のサンギヤs1と一体回転するように連結されている。また、第二モータ・ジェネレータMG2は、ケースDcに固定されたステータSt2と、このステータSt2の径方向内側に回転自在に支持されたロータRo2と、を有している。この第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2は、変速装置TMを構成する第一遊星歯車機構P2の第一サンギヤs2と一体回転するように連結されている。第1モータ・ジェネレータMG1及び第2モータ・ジェネレータMG2は、それぞれ図示しないインバータを介してバッテリやキャパシタ等の蓄電装置に電気的に接続されている。そして、第1モータ・ジェネレータMG1及び第2モータ・ジェネレータMG2は、それぞれ電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果すことが可能とされている。
本例では、第一モータ・ジェネレータMG1は、主に分配用遊星歯車機構P1を介して入力されるエンジンEの駆動力により発電を行い、蓄電装置を充電し、或いは第二モータ・ジェネレータMG2を駆動するための電力を供給するジェネレータとして機能する。ただし、車両の高速走行時やエンジンEの始動時等には第一モータ・ジェネレータMG1は力行して駆動力を出力するモータとして機能する場合もある。一方、第二モータ・ジェネレータMG2は、主に車両の走行用の駆動力を補助するモータとして機能する。ただし、車両の減速時等には第二モータ・ジェネレータMG2はジェネレータとして機能し、車両の慣性力を電気エネルギとして回生するジェネレータとして機能する場合もある。
図1に示すように、分配用遊星歯車機構P1は、入力軸Iと同軸状に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。すなわち、分配用遊星歯車機構P1は、複数のピニオンギヤを支持するキャリアca1と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs1及びリングギヤr1とを回転要素として有している。サンギヤs1は、第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1と一体回転するように接続されている。キャリアca1は、入力軸Iと一体回転するように接続されている。リングギヤr1は、出力軸Oと一体回転するように接続されている。これにより、リングギヤr1は、出力軸Oを介して、変速装置TMを構成する第二遊星歯車機構P3の第二キャリアca3とも一体回転するように接続されている。本実施形態においては、これらのサンギヤs1、キャリアca1、及びリングギヤr1が、それぞれ本発明における分配用遊星歯車機構P1の「第一回転要素m1」、「第二回転要素m2」、及び「第三回転要素m3」に相当する。
本実施形態に係る変速装置TMは、入力軸Iと同軸状に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成された第一遊星歯車機構P2と、同じく入力軸Iと同軸状に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成された第二遊星歯車機構P3とを有して構成されている。また、この変速装置TMは、摩擦係合要素として、ブレーキB1及びクラッチC1の2つを備えている。これらの摩擦係合要素としては、いずれも油圧により動作する多板式クラッチや多板式ブレーキを用いることができる。そして、ブレーキB1及びクラッチC1の係合状態を切り替えることにより、変速装置TMは、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2の回転速度を変速して出力軸Oに伝達する際の変速比が異なる2つの変速段に切り替え可能に構成されている。後述するように、これら2つの変速段が、低速段Loと高速段Hiになる(図4及び図5参照)。
第一遊星歯車機構P2は、複数のピニオンギヤを支持する第一キャリアca2と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合う第一サンギヤs2及び第一リングギヤr2とを回転要素として有している。第一リングギヤr2は、ブレーキB1によりケースDcに選択的に固定されるとともに、クラッチC1により第二遊星歯車機構P3の第二キャリアca3に選択的に接続される。第一キャリアca2は、第二遊星歯車機構P3の第二リングギヤr3と一体回転するように接続されている。第一サンギヤs2は、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2と一体回転するように接続されている。本実施形態においては、第一リングギヤr2、第一キャリアca2、及び第一サンギヤs2が、それぞれ本発明における第一遊星歯車機構P2の「第一回転要素m1」、「第二回転要素m2」、及び「第三回転要素m3」に相当する。
第二遊星歯車機構P3は、複数のピニオンギヤを支持する第二キャリアca3と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合う第二サンギヤs3及び第二リングギヤr3とを回転要素として有している。第二サンギヤs3は、非回転部材としてのケースDcに固定されている。第二キャリアca3は、出力軸Oと一体回転するように接続されているとともに、クラッチC1により第一遊星歯車機構P2の第一リングギヤr2に選択的に接続される。第二リングギヤr3は、第一遊星歯車機構P2の第一キャリアca2と一体回転するように接続されている。本実施形態においては、第二サンギヤs3、第二キャリアca3、及び第二リングギヤr3が、それぞれ本発明における第二遊星歯車機構P3の「第一回転要素m1」、「第二回転要素m2」、及び「第三回転要素m3」に相当する。
1−2.ハイブリッド駆動装置の動作
次に、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの動作について説明する。図2は、変速装置TMの各変速段での摩擦係合要素B1、C1の作動状態を示す作動表である。この図において、「Lo」は低速段、「Hi」は高速段を示している。そして、この図において、「○」は各摩擦係合要素が係合状態にあることを示し、「無印」は、各摩擦係合要素が開放(係合解除)状態にあること示している。この図に示すように、このハイブリッド駆動装置Hの変速装置TMは、ブレーキB1及びクラッチC1の係合状態を切り替えることにより、低速段Loと高速段Hiとの2つの変速段に切り替え可能に構成されている。
図3は、分配用遊星歯車機構P1の速度線図を示している。また、図4及び図5は、変速装置TMの速度線図を示しており、図4は低速段Loでの速度線図、図5は高速段Hiでの速度線図をそれぞれ示している。これらの速度線図において、縦軸は、各回転要素の回転速度に対応しており、横軸上は回転速度がゼロ、上側が正、下側が負となっている。そして、並列配置された複数本の縦線のそれぞれが、分配用遊星歯車機構P1又は変速装置TMを構成する第一遊星歯車機構P2及び第二遊星歯車機構P3の各回転要素に対応している。すなわち、図3の各縦線の上側に記載されている「s1」、「ca1」、「r1」はそれぞれ分配用遊星歯車機構P1のサンギヤs1、キャリアca1、リングギヤr1に対応している。また、図4及び図5の各縦線の上側に記載されている「r2」、「ca2」、「s2」はそれぞれ第一遊星歯車機構P2の第一リングギヤr2、第一キャリアca2、第一サンギヤs2に対応し、「s3」、「ca3」、「r3」はそれぞれ第二遊星歯車機構P3の第二サンギヤs3、第二キャリアca3、第二リングギヤr3に対応している。また、図4及び図5中において、実線で表された線L2は第一遊星歯車機構P2の動作状態を示し、破線で表された線L3は第二遊星歯車機構P3の動作状態を示している。
図3における、各回転要素に対応する縦線の間隔は、分配用遊星歯車機構P1の歯数比λ1(サンギヤs1とリングギヤr1との歯数比λ1=〔サンギヤs1の歯数〕/〔リングギヤr1の歯数〕)に対応している。一方、図4及び図5における、各回転要素に対応する縦線の間隔は、第一遊星歯車機構P2の歯数比λ2(第一サンギヤs2と第一リングギヤr2との歯数比λ2=〔第一サンギヤs2の歯数〕/〔第一リングギヤr2の歯数〕)、及び第二遊星歯車機構P3の歯数比λ3(第二サンギヤs3と第二リングギヤr3との歯数比λ3=〔第二サンギヤs3の歯数〕/〔第二リングギヤr3の歯数〕)に対応している。また、これらの速度線図上において、「△」は入力軸I(エンジンE)の回転速度、「☆」は出力軸Oの回転速度、「○」は第一モータ・ジェネレータMG1の回転速度、「□」は第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度、「×」は非回転部材としてのケースDcへの固定状態をそれぞれ示している。なお、これらの記号に隣接して示される矢印は、各回転要素に伝達されるトルクの方向の一例を示している。
まず、分配用遊星歯車機構P1の動作について、図3を用いて説明する。分配用遊星歯車機構P1は、入力軸I(エンジンE)の回転駆動力を出力軸O及び第一モータ・ジェネレータMG1に分配する動作を行う。すなわち、分配用遊星歯車機構P1は、回転速度の順で中間となる第二回転要素m2としてのキャリアca1が入力軸I(エンジンE)と一体的に回転する。そして、このキャリアca1の回転が、その回転が回転速度の順で一方端となる第一回転要素m1としてのサンギヤs1、及び回転速度の順で他方端となる第二回転要素m2としてのリングギヤr1に分配される。リングギヤr1に分配された回転は出力軸Oに伝達され、サンギヤs1に分配された回転は第一モータ・ジェネレータMG1のロータRo1に伝達される(図1参照)。この際、エンジンEは、効率が高く排気ガスの少ない状態に(一般に最適燃費特性に沿うよう)に維持されるよう制御されつつ車両側からの要求駆動力に応じた正方向のトルクを出力し、このトルクが入力軸Iを介してキャリアca1に伝達される。一方、第一モータ・ジェネレータMG1は、負方向のトルクを出力することにより、入力軸Iのトルクの反力をサンギヤs1に伝達する。すなわち、第一モータ・ジェネレータMG1は、エンジントルクの反力を支持する反力受けとして機能し、それによりエンジンEのトルクが出力軸Oに分配される。この際、第一モータ・ジェネレータMG1の回転速度により出力軸Oの回転速度が決定される。通常の走行状態では、第一モータ・ジェネレータMG1は、正回転(回転速度が正)しつつ負方向のトルクを発生して発電を行う。一方、車速が高く(出力軸Oの回転速度が高く)なると第一モータ・ジェネレータMG1は、負回転(回転速度が負)しつつ負方向のトルクを発生して力行を行う場合がある。
次に、変速装置TMの動作について、図4及び図5を用いて説明する。変速装置TMは、第二モータ・ジェネレータMG2と出力軸Oとの間に接続されている。ここで、第二モータ・ジェネレータMG2は、車両側からの要求駆動力に応じて回転駆動力を出力し、その回転駆動力は、変速装置TMを介して出力軸Oに伝達される。したがって、分配用遊星歯車機構P1から分配されるエンジンE(入力軸I)の回転駆動力が要求駆動力に対して不足する場合には、第二モータ・ジェネレータMG2は力行して正方向のトルクを出力軸Oに伝達することにより、エンジンE(入力軸I)の回転駆動力を補助する。一方、車両側からの要求駆動力が負である場合、すなわち車両が減速する場合には、第二モータ・ジェネレータMG2は回生制動(発電)を行って負方向のトルクを出力軸Oに伝達することにより、車両を減速させる。また、車速が高く(出力軸Oの回転速度が高く)、第一モータ・ジェネレータMG1が力行する場合には、第二モータ・ジェネレータMG2は、負方向のトルクを出力して発電を行う。このように動作する第二モータ・ジェネレータMG2の回転駆動力は、変速装置TMを介して出力軸Oに伝達される。
変速装置TMは、上記のとおり、2つの遊星歯車機構P2、P3と2つの摩擦係合要素C1、B1とを備え、これら2つの摩擦係合要素C1、B1の係合状態を切り替えることにより低速段Loと高速段Hiとを切り替え可能に構成されている。本実施形態においては、図2に示すように、ブレーキB1を係合し、クラッチC1を開放した状態で低速段Loが実現され、クラッチC1を係合し、ブレーキB1を開放した状態で高速段Hiが実現される。ここで、低速段Lo及び高速段Hiは、いずれも第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速して出力軸Oに伝達するが、この際の変速比は、低速段Loの方が高速段Hiよりも大きくなるように設定されている。これにより、変速機構TMは、第二モータ・ジェネレータMG2の回転を、各変速段の変速比に応じて減速するとともに、それぞれの変速比に応じて回転駆動力を増幅して出力軸Oに伝達する。したがって、このハイブリッド駆動装置Hでは、比較的幅広い車速(出力軸Oの回転速度)で、第二モータ・ジェネレータMG2の回転駆動力を適切に出力軸Oに伝達しつつ、車両を走行させることが可能である。
図2の作動表に示すように、低速段Loでは、クラッチC1は開放状態とされ、ブレーキB1が係合状態とされるため、第一遊星歯車機構P2の第一リングギヤr2がケースDcに固定される。これにより、図4に示すように、低速段Loは、第一遊星歯車機構P2による減速と第二遊星歯車機構P3による減速とを組み合わせて第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速して出力軸Oに伝達する。言い換えれば、低速段Loでは、実線L2で示される第一遊星歯車機構P2により減速された第二モータ・ジェネレータMG2の回転が、破線L3で示される第二遊星歯車機構P3により更に減速されて出力軸Oに伝達される。この際、第一遊星歯車機構P2の第一サンギヤs2に接続された第二モータ・ジェネレータMG2の回転は、第一遊星歯車機構P2により減速されて第一キャリアca2に伝達される。具体的には、図4の実線L2に示されるように、第一遊星歯車機構P2は、3つの回転要素の回転速度の順で一方端となる第一リングギヤr2がケースDcに固定されて回転速度がゼロになることにより、回転速度の順で他方端となる第一サンギヤs2の回転を減速して、回転速度の順で中間となる第一キャリアca2に伝達する。この際の第一遊星歯車機構P2による変速比は、(1+λ2)/λ2となる。
そして、この第一キャリアca2の回転は、第二遊星歯車機構P3により更に減速されて出力軸Oに伝達される。すなわち、第二遊星歯車機構P3の第二リングギヤr3に接続された第一キャリアca2の回転は、第二遊星歯車機構P3により減速されて第二キャリアca3及びこれと一体回転する出力軸Oに伝達される。具体的には、図4の破線L3に示されるように、第二遊星歯車機構P3は、3つの回転要素の回転速度の順で一方端となる第二サンギヤs3がケースDcに固定されており回転速度はゼロであるので、回転速度の順で他方端となる第二リングギヤr3の回転を減速して、回転速度の順で中間となる第二キャリアca3に伝達する。この第二キャリアca3の回転は、これと一体回転する出力軸Oに伝達される。この際の第二遊星歯車機構P3による変速比は、(1+λ3)となる。したがって、変速装置TMの低速段Loでの変速比は、(1+λ2)(1+λ3)/λ2となる。例えば、第一遊星歯車機構P2及び第二遊星歯車機構P3の歯数比が、λ2=0.5、λ3=0.5であった場合、低速段Loでの変速比は「4.5」となる。よって、同様の歯数比を有する一つの遊星歯車機構のみにより低速段Loを構成する場合と比べて、十分に大きい変速比を得ることができる。
以上のように、この変速装置TMは、低速段Loにおいて、第一遊星歯車機構P2による減速と第二遊星歯車機構P3による減速とを組み合わせて第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速し、出力軸Oに伝達する構成としたことにより、比較的大きな変速比を容易に得ることができる。したがって、一つの遊星歯車機構のみで大きな変速比を得る必要がないので、従来に比べて変速装置TMの外径を拡大することなく、低速段Loでの変速比を大きくすることが可能となる。
図2の作動表に示すように、高速段Hiでは、ブレーキB1は開放状態とされ、クラッチC1が係合状態とされるため、第一遊星歯車機構P2の第一リングギヤr2と第二遊星歯車機構P3の第二キャリアca3とが一体回転するように接続される。また、上記のとおり、第一遊星歯車機構P2の第一キャリアca2と第二遊星歯車機構P3の第二リングギヤr3は、常に一体回転するように接続されている。これにより、図5に示すように、高速段Hiでは、実線L2で示される第一遊星歯車機構P2と破線L3で示される第二遊星歯車機構P3とが、一方の遊星歯車機構の2つの回転要素をそれぞれ他方の遊星歯車機構の異なる回転要素に接続して構成される4つの回転要素を有して一体的に動作する状態となる。そのため、速度線図上では、2つの遊星歯車機構P2、P3を表す線L2、L3が同一直線上に位置する状態となる。ここでは、4つの回転要素は、図5の速度線図における4本の縦線のそれぞれに対応している。すなわち、これら4つの回転要素は、回転速度の順に、第一回転要素が第二サンギヤs3であり、第二回転要素が第一リングギヤr2及び第二キャリアca3であり、第三回転要素が第一キャリアca2及び第二リングギヤr3であり、第四回転要素が第一サンギヤs2である。
そして、上記のとおり、第二遊星歯車機構P3の第二サンギヤs3がケースDcに固定されており回転速度はゼロである。よって、第一遊星歯車機構P2及び第二遊星歯車機構P3を組み合わせて構成される4つの回転要素により、第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速して出力軸Oに伝達することができる。すなわち、変速装置TMは、これら4つの回転要素の回転速度の順で一方端となる第二サンギヤs3の回転が停止され、この回転速度の順で他方端となる第一サンギヤs2に伝達される第二モータ・ジェネレータMG2の回転を、この回転速度の順で中間となる第一リングギヤr2及び第二キャリアca3に接続される出力軸Oに減速して伝達する。この変速装置TMの高速段Hiでの変速比は、(λ3/λ2)+λ3+1となる。したがって、例えば、第一遊星歯車機構P2及び第二遊星歯車機構P3の歯数比が、λ2=0.5、λ3=0.5であった場合、高速段Hiでの変速比は「2.5」となる。よって、高速段Hiでは、低速段Loよりも変速比が小さくなる。
以上のように、この変速装置TMは、高速段Hiにおいて、第一遊星歯車機構P2と第二遊星歯車機構P3とを組み合わせて構成される4つの回転要素により第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速して出力軸Oに伝達する構成としたことにより、それぞれの遊星歯車機構P2、P3による減速幅を小さく抑えることができる。したがって、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度が非常に高くなった際にも、第一遊星歯車機構P2における第一サンギヤs2と第一リングギヤr2との回転速度の差、及び第二遊星歯車機構P3における第二サンギヤs3と第二リングギヤr3との回転速度の差を小さく抑えることができるので、同じ変速比を一つの遊星歯車機構により得る場合と比べて、各遊星歯車機構P2、P3におけるピニオンギヤの回転速度を低く抑えることができる。したがって、ピニオンギヤの軸受けの寿命を容易に確保することが可能となる。
2.第二の実施形態
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの機械的構成を示すスケルトン図である。なお、この図6は、図1と同様に、中心軸に対称な下半分の構成を省略して示している。本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hは、上記第一の実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hと比べて、変速装置TMの構成及び動作が異なっている。その他の構成は、上記第一の実施形態と同様である。以下では、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの上記第一の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
2−1.変速装置の構成
本実施形態に係る変速装置TMは、上記第一の実施形態と同様に、入力軸Iと同軸状に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成された、第一遊星歯車機構P2及び第二遊星歯車機構P3を有して構成されている。但し、この変速装置TMは、第一遊星歯車機構P2の各回転要素と、第二遊星歯車機構P3の各回転要素との接続(連結)関係が上記第一の実施形態とは異なる。また、この変速装置TMは、摩擦係合要素として、第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2の2つを備えている。これらの摩擦係合要素としては、いずれも油圧により動作する多板式ブレーキを用いることができる。そして、第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2の係合状態を切り替えることにより、変速装置TMは、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2の回転速度を変速して出力軸Oに伝達する際の変速比が異なる、低速段Lo及び高速段Hi(図8及び図9参照)の2つの変速段に切り替え可能に構成されている。
第一遊星歯車機構P2は、複数のピニオンギヤを支持する第一キャリアca2と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合う第一サンギヤs2及び第一リングギヤr2とを回転要素として有している。第一リングギヤr2は、第一ブレーキB1によりケースDcに選択的に固定されるとともに、第二遊星歯車機構P3の第二サンギヤs3と一体回転するように接続されている。第一キャリアca2は、第二遊星歯車機構P3の第二キャリアca3と一体回転するように接続されているとともに、第二ブレーキB2によりケースDcに選択的に固定される。第一サンギヤs2は、第二モータ・ジェネレータMG2のロータRo2と一体回転するように接続されている。本実施形態においては、第一リングギヤr2、第一キャリアca2、及び第一サンギヤs2が、それぞれ本発明における第一遊星歯車機構P2の「第一回転要素m1」、「第二回転要素m2」、及び「第三回転要素m3」に相当する。
第二遊星歯車機構P3は、複数のピニオンギヤを支持する第二キャリアca3と、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合う第二サンギヤs3及び第二リングギヤr3とを回転要素として有している。第二サンギヤs3は、第一遊星歯車機構P2の第一リングギヤr2一体回転するように接続されている。第二キャリアca3は、第一遊星歯車機構P2の第一キャリアca2と一体回転するように接続されているとともに、第二ブレーキB2によりケースDcに選択的に固定される。第二リングギヤr3は、出力軸Oと一体回転するように接続されている。本実施形態においては、第二サンギヤs3、第二キャリアca3、及び第二リングギヤr3が、それぞれ本発明における第二遊星歯車機構P3の「第一回転要素m1」、「第二回転要素m2」、及び「第三回転要素m3」に相当する。
2−2.ハイブリッド駆動装置の動作
次に、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの動作について説明する。図7は、変速装置TMの各変速段での摩擦係合要素B1、B2の作動状態を示す作動表である。この図に示すように、このハイブリッド駆動装置Hの変速装置TMは、第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2の係合状態を切り替えることにより、低速段Loと高速段Hiとの2つの変速段に切り替え可能に構成されている。
図8及び図9は、変速装置TMの速度線図を示しており、図8は低速段Loでの速度線図、図9は高速段Hiでの速度線図をそれぞれ示している。これらの速度線図の記載方法は、上記第一の実施形態に係る図4及び図5と同様である。また、変速装置TMを介して出力軸Oに駆動力を伝達する第二モータ・ジェネレータMG2の動作は、上記第一の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図7の作動表に示すように、低速段Loでは、第一ブレーキB1は開放状態とされ、第二ブレーキB2が係合状態とされるため、第一遊星歯車機構P2の第一キャリアca2及び第二遊星歯車機構P3の第二キャリアca3がケースDcに固定される。これにより、図8に示すように、低速段Loは、第一遊星歯車機構P2による減速と第二遊星歯車機構P3による減速とを組み合わせて第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速して出力軸Oに伝達する。ここで、本実施形態においては、低速段Loでは、実線L2で示される第一遊星歯車機構P2により減速されるとともに回転方向が反転された第二モータ・ジェネレータMG2の回転が、破線L3で示される第二遊星歯車機構P3により更に減速されるとともに再度回転方向が反転されて出力軸Oに伝達される。この際、第一遊星歯車機構P2の第一サンギヤs2に接続された第二モータ・ジェネレータMG2の回転は、第一遊星歯車機構P2により減速されるとともに回転方向が反転されて第一リングギヤr2に伝達される。具体的には、図8の実線L2に示されるように、第一遊星歯車機構P2は、3つの回転要素の回転速度の順で中間となる第一キャリアca2がケースDcに固定されて回転速度がゼロになることにより、回転速度の順で他方端となる第一サンギヤs2の回転を減速するとともに回転方向を反転して、回転速度の順で一方端となる第一リングギヤr2に伝達する。この際の第一遊星歯車機構P2による変速比は、1/λ2となる。
そして、この第一リングギヤr2の回転は、第二遊星歯車機構P3により更に減速されるとともに再度回転方向が反転されて出力軸Oに伝達される。すなわち、第二遊星歯車機構P3の第二サンギヤs3に接続された第一リングギヤr2の回転は、第二遊星歯車機構P3により減速されるとともに再度回転方向が反転されて第二リングギヤr3及びこれと一体回転する出力軸Oに伝達される。具体的には、図8の破線L3に示されるように、第二遊星歯車機構P3は、3つの回転要素の回転速度の順で中間となる第二キャリアca3がケースDcに固定されて回転速度がゼロになることにより、回転速度の順で一方端となる第二サンギヤs3の回転を減速するとともに回転方向を反転させて回転速度の順で他方端となる第二リングギヤr3に伝達する。この第二リングギヤr3の回転は、これと一体回転する出力軸Oに伝達される。この際の第二遊星歯車機構P3による変速比は、1/λ3となる。したがって、変速装置TMの低速段Loでの変速比は、1/(λ2・λ3)となる。例えば、第一遊星歯車機構P2及び第二遊星歯車機構P3の歯数比が、λ2=0.5、λ3=0.5であった場合、低速段Loでの変速比は「4」となる。よって、同様の歯数比を有する一つの遊星歯車機構のみにより低速段Loを構成する場合と比べて、十分に大きい変速比を得ることができる。
以上のように、本実施形態に係る変速装置TMも、上記第一の実施形態と同様に、低速段Loにおいて、第一遊星歯車機構P2による減速と第二遊星歯車機構P3による減速とを組み合わせて第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速し、出力軸Oに伝達する構成としたことにより、比較的大きな変速比を容易に得ることができる。したがって、一つの遊星歯車機構のみで大きな変速比を得る必要がないので、従来に比べて変速装置TMの外径を拡大することなく、低速段Loでの変速比を大きくすることが可能となる。なお、本実施形態においては、低速段Loは、後述する高速段Hiと同様に、第一遊星歯車機構P2と第二遊星歯車機構P3が、4つの回転要素を有して一体的に動作する状態となる点で、上記第一の実施形態と異なっている。
図7の作動表に示すように、高速段Hiでは、第二ブレーキB2は開放状態とされ、第一ブレーキB1が係合状態とされるため、第一遊星歯車機構P2の第一リングギヤr2及び第二遊星歯車機構P3の第二サンギヤs3がケースDcに固定される。また、上記のとおり、第一遊星歯車機構P2の第一キャリアca2と第二遊星歯車機構P3の第二キャリアca3は、常に一体回転するように接続されている。これにより、図9に示すように、高速段Hiでは、実線L2で示される第一遊星歯車機構P2と破線L3で示される第二遊星歯車機構P3とが、一方の遊星歯車機構の2つの回転要素をそれぞれ他方の遊星歯車機構の異なる回転要素に接続して構成される4つの回転要素を有して一体的に動作する状態となる。そのため、速度線図上では、2つの遊星歯車機構P2、P3を表す線L2、L3が同一直線上に位置する状態となる。ここでは、4つの回転要素は、図9の速度線図における4本の縦線のそれぞれに対応している。すなわち、これら4つの回転要素は、回転速度の順に、第一回転要素が第一リングギヤr2及び第二サンギヤs3であり、第二回転要素が第一キャリアca2及び第二キャリアca3であり、第三回転要素が第二リングギヤr3であり、第四回転要素が第一サンギヤs2である。
そして、上記のとおり、第一遊星歯車機構P2の第一リングギヤr2及び第二遊星歯車機構P3の第二サンギヤs3がケースDcに固定されており回転速度はゼロである。よって、第一遊星歯車機構P2及び第二遊星歯車機構P3を組み合わせて構成される4つの回転要素により、第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速して出力軸Oに伝達することができる。すなわち、変速装置TMは、これら4つの回転要素の回転速度の順で一方端となる第一リングギヤr2及び第二サンギヤs3の回転が停止され、この回転速度の順で他方端となる第一サンギヤs2に伝達される第二モータ・ジェネレータMG2の回転を、この回転速度の順で中間となる第二リングギヤr3に接続される出力軸Oに減速して伝達する。この変速装置TMの高速段Hiでの変速比は、(1+λ2)/〔λ2(1+λ3)〕となる。したがって、例えば、第一遊星歯車機構P2及び第二遊星歯車機構P3の歯数比が、λ2=0.5、λ3=0.5であった場合、高速段Hiでの変速比は「2」となる。よって、高速段Hiでは、低速段Loよりも変速比が小さくなる。
以上のように、本実施形態に係る変速装置TMも、上記第一の実施形態と同様に、高速段Hiにおいて、第一遊星歯車機構P2と第二遊星歯車機構P3とを組み合わせて構成される4つの回転要素により第二モータ・ジェネレータMG2の回転を減速して出力軸Oに伝達する構成としたことにより、それぞれの遊星歯車機構P2、P3による減速幅を小さく抑えることができる。したがって、第二モータ・ジェネレータMG2の回転速度が非常に高くなった際にも、第一遊星歯車機構P2における第一サンギヤs2と第一リングギヤr2との回転速度の差、及び第二遊星歯車機構P3における第二サンギヤs3と第二リングギヤr3との回転速度の差を小さく抑えることができるので、同じ変速比を一つの遊星歯車機構により得る場合と比べて、各遊星歯車機構P2、P3におけるピニオンギヤの回転速度を低く抑えることができる。したがって、ピニオンギヤの軸受けの寿命を容易に確保することが可能となる。
3.その他の実施形態
(1)上記の実施形態では、動力分配装置として、シングルピニオン型の遊星歯車機構により構成された分配用遊星歯車機構P1を用いる場合を例として説明した。しかし、本発明に係る動力分配装置の構成はこれに限定されるものではなく、動力分配装置は、入力部材、出力部材、及び第一回転電機にそれぞれ接続される少なくとも3つの回転要素を備えた差動歯車装置であればよい。したがって、例えば、動力分配装置を、ダブルピニオン型の遊星歯車機構により構成し、或いは、複数の傘歯車を組み合わせた差動歯車装置等のように、他の構成の差動歯車装置を用いることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(2)上記の各実施形態において説明した変速機構TMを構成する歯車機構の具体的構成、及び変速装置TMの各回転要素に対する摩擦係合要素の配置構成は単なる例示であり、上記以外の構成によっても本発明の構成を実現することが可能な全ての構成が、本発明の範囲に含まれる。
(3)上記の実施形態では、出力軸O、第一モータ・ジェネレータMG1、第二モータ・ジェネレータMG2、分配用遊星歯車機構P1、及び変速装置TMが、いずれも入力軸Iと同軸上に配置された構成を例として説明した。このような配置構成は、例えばFR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式の車両に好適に用いられる配置である。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、各構成を、入力軸Iとは異なる軸上に配置することも可能である。したがって、例えば、入力軸I、第一モータ・ジェネレータMG1、及び分配用遊星歯車機構P1を同一軸上に配置し、第二モータ・ジェネレータMG2と、変速装置TMとを、それぞれ入力軸Iと平行に配置された異なる軸上に配置した構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。またこの場合、出力部材は軸ではなく、ギヤ等の他の構成としても好適である。このような構成は、エンジンEに接続された入力軸Iの方向に短く構成することができるので、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式やRR(リヤエンジン・リヤドライブ)方式の車両等に好適に用いられる。
本発明は、駆動力源としてエンジンと2つの回転電機とを備えたハイブリッド車両の駆動装置として好適に利用可能である。
本発明の第一の実施形態に係るハイブリッド駆動装置のスケルトン図 第一の実施形態に係る変速装置の摩擦係合要素の作動状態を示す作動表 第一の実施形態に係る分配用遊星歯車機構の速度線図 第一の実施形態に係る変速装置の低速段での速度線図 第一の実施形態に係る変速装置の高速段での速度線図 本発明の第二の実施形態に係るハイブリッド駆動装置のスケルトン図 第二の実施形態に係る変速装置の摩擦係合要素の作動状態を示す作動表 第二の実施形態に係る変速装置の低速段での速度線図 第二の実施形態に係る変速装置の高速段での速度線図 背景技術に係る変速装置の速度線図
符号の説明
H:ハイブリッド駆動装置
E:エンジン
I:入力軸(入力部材)
O:出力軸(出力部材)
MG1:第一モータ・ジェネレータ(第一回転電機)
MG2:第二モータ・ジェネレータ(第二回転電機)
P1:分配用遊星歯車機構(動力分配装置)
TM:変速装置
P2:第一遊星歯車機構
s2第一サンギヤ
ca2::第一キャリア
r2:第一リングギヤ
P3:第二遊星歯車機構
s3:第二サンギヤ
ca3:第二第二キャリア
r3:第二リングギヤ
C1:クラッチ
B1:ブレーキ(第一ブレーキ)
B2:第二ブレーキ
Dc:ケース(非回転部材)
m1:第一回転要素
m2:第二回転要素
m3:第三回転要素
Hi:高速段
Lo:低速段

Claims (10)

  1. エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、前記入力部材の回転駆動力を前記出力部材と前記第一回転電機とに分配する動力分配装置と、前記第二回転電機と前記出力部材との間に接続された変速装置と、を備えるハイブリッド駆動装置であって、
    前記変速装置は、2つの遊星歯車機構と2つの摩擦係合要素とを備え、これら2つの摩擦係合要素の係合状態を切り替えることにより低速段と高速段とを切り替え可能に構成され、
    前記低速段は、一方の遊星歯車機構による減速と他方の遊星歯車機構による減速とを組み合わせて前記第二回転電機の回転を減速して前記出力部材に伝達し、
    前記高速段は、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される4つの回転要素により前記第二回転電機の回転を前記低速段よりも小さい変速比で減速して前記出力部材に伝達するハイブリッド駆動装置。
  2. 前記低速段は、前記第二回転電機の回転を、前記一方の遊星歯車機構により減速して当該一方の遊星歯車機構における回転速度の順で中間の回転要素に伝達し、当該中間の回転要素の回転を前記他方の遊星歯車機構により更に減速して前記出力部材に伝達する請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
  3. 前記低速段は、前記第二回転電機の回転を、前記一方の遊星歯車機構により減速するとともに回転方向を反転させて前記他方の遊星歯車機構に伝達し、前記他方の遊星歯車機構により更に減速するとともに再度回転方向を反転させて前記出力部材に伝達する請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
  4. 前記高速段は、前記一方の遊星歯車機構の2つの回転要素をそれぞれ前記他方の遊星歯車機構の異なる回転要素に接続して構成される4つの回転要素を用い、これら4つの回転要素の回転速度の順で一方端となる回転要素の回転が停止され、この回転速度の順で他方端となる回転要素に伝達される前記第二回転電機の回転を、この回転速度の順で中間の回転要素に接続される前記出力部材に減速して伝達する請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  5. エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、前記入力部材の回転駆動力を前記出力部材と前記第一回転電機とに分配する動力分配装置と、前記第二回転電機と前記出力部材との間に接続された変速装置と、を備えるハイブリッド駆動装置であって、
    前記変速装置は、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素をそれぞれ備えた第一遊星歯車機構及び第二遊星歯車機構と、ブレーキと、クラッチとを備え、
    前記第一遊星歯車機構の第一回転要素が、前記ブレーキにより非回転部材に選択的に固定されるとともに前記クラッチにより前記第二遊星歯車機構の第二回転要素に選択的に接続され、前記第一遊星歯車機構の第二回転要素が前記第二遊星歯車機構の第三回転要素に接続され、前記第一遊星歯車機構の第三回転要素が前記第二回転電機に接続され、
    前記第二遊星歯車機構の第一回転要素が非回転部材に固定され、前記第二遊星歯車機構の第二回転要素が前記出力部材に接続されているハイブリッド駆動装置。
  6. 前記第一遊星歯車機構は、第一サンギヤ、第一キャリア、及び第一リングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、前記第二遊星歯車機構は、第二サンギヤ、第二キャリア、及び第二リングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、
    前記第一リングギヤが、前記ブレーキにより非回転部材に選択的に固定されるとともに前記クラッチにより前記第二キャリアに選択的に接続され、前記第一キャリアが前記第二リングギヤに接続され、前記第一サンギヤが前記第二回転電機に接続され、
    前記第二サンギヤが非回転部材に固定され、前記第二キャリアが前記出力部材に接続されている請求項5に記載のハイブリッド駆動装置。
  7. エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、前記入力部材の回転駆動力を前記出力部材と前記第一回転電機とに分配する動力分配装置と、前記第二回転電機と前記出力部材との間に接続された変速装置と、を備えるハイブリッド駆動装置であって、
    前記変速装置は、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素をそれぞれ備えた第一遊星歯車機構及び第二遊星歯車機構と、第一ブレーキと、第二ブレーキとを備え、
    前記第一遊星歯車機構の第一回転要素が、前記第二遊星歯車機構の第一回転要素に接続されているとともに前記第一ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、前記第一遊星歯車機構の第二回転要素が前記第二遊星歯車機構の第二回転要素に接続されているとともに前記第二ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、前記第一遊星歯車機構の第三回転要素が前記第二回転電機に接続され、
    前記第二遊星歯車機構の第三回転要素が前記出力部材に接続されているハイブリッド駆動装置。
  8. 前記第一遊星歯車機構は、第一サンギヤ、第一キャリア、及び第一リングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、前記第二遊星歯車機構は、第二サンギヤ、第二キャリア、及び第二リングギヤの3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、
    前記第一リングギヤが、前記第二サンギヤに接続されているとともに前記第一ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、前記第一キャリアが前記第二キャリアに接続されているとともに前記第二ブレーキにより非回転部材に選択的に固定され、前記第一サンギヤが前記第二回転電機に接続され、
    前記第二リングギヤが前記出力部材に接続されている請求項7に記載のハイブリッド駆動装置。
  9. 前記動力分配装置は、前記入力部材、前記出力部材、及び前記第一回転電機にそれぞれ接続される少なくとも3つの回転要素を備えた差動歯車装置である請求項1から8のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  10. 前記動力分配装置は、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素を備えた遊星歯車機構であって、前記動力分配装置の第一回転要素が前記第一回転電機に接続され、前記動力分配装置の第二回転要素が前記入力部材に接続され、前記動力分配装置の第三回転要素が前記出力部材に接続されている請求項9に記載のハイブリッド駆動装置。
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