JP2005012286A - 画像形成装置及び色調調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、コピー機能、プリンタ機能及びPCスキャン機能それぞれにおいて、環境、記録用紙、各機器の個体差等の補正を適切で簡易に行うことができる共に、指定パッチの印刷時における画像形成部の記録品質を判定し、画像形成部本来の記録品質に対した適切な色調補正を行う。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、画像信号を色空間値に変換する入力色変換部(102)と、入力されてきた色空間値に対して、読取部(101)及び画像形成部(105)の個体差、ユーザが使用する記録用紙に応じた色補正処理を行う色調補正部(103)と、色調補正後の色空間を所定の色空間の画像信号に変換して出力する出力色変換部(104)とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の画像形成装置は、画像信号を色空間値に変換する入力色変換部(102)と、入力されてきた色空間値に対して、読取部(101)及び画像形成部(105)の個体差、ユーザが使用する記録用紙に応じた色補正処理を行う色調補正部(103)と、色調補正後の色空間を所定の色空間の画像信号に変換して出力する出力色変換部(104)とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成装置及び色調調整方法に関し、特にパッチチャートを用いて読取特性や記録特性を調整することが可能な画像形成装置及び色調調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−4371号公報
カラー複写機やファクシミリ機は、原稿を光学的に読み取るスキャナ部及び印刷出力するプリンタ部を備えたものであるが、これら装置は温度や湿度の環境、経時変動、製造個体差といった要因により、同一のデータを与えても出力される色調等が異なってしまうことがある。また、一般に、カラー複写機やプリンタ等の画像形成装置では、記録用紙上に形成された画質が最良の画質になるように、各種の色変換処理を施している。このとき基準となる記録用紙として、ある特定の専用紙を想定して設定を行っている。そのため、形成される画像には専用紙に対して画質が最適になるように処理が行われる。しかし、必ずしもユーザが専用紙を使用するとは限らず、専用紙とは紙質の異なるが記録用紙が使用され場合には、満足な画質が得られていないことになる。
【0003】
従来、これらの装置において出力される画像の色調整は、基本的にスキャナ部、プリンタ部それぞれに独立に行われるのが一般的である。例えば、パーソナルコンピュータ(以下PCと略す)上のツールを用い、色調整チャートを併用して色調整を行い、またプリンタ部においても同様に調整を行い、最終的にスキャナ部とプリンタ部を含めたトータルな色調整を行うものである。これらの色調整は、色調整用の種々のツール、チャートを使用するため、色調整のためのコストが比較的大きくなり、更にその品質や調整時間はユーザの経験に大きく左右されるものである。
【0004】
このような課題を解決するために、例えば上記特許文献1の色調調整方法が提案されている。この色調調整方法について当該方法による動作フローを示す図10に従って説明すると、先ずプリンタ部で特定のパターンのサンプルを出力し(ステップS601)、そのサンプルをスキャナ部で読込んでバッチの画素値を取得する(ステップS602)。そして、読み取った特定パターンのバッチ画素値と基準バッチ画素値を比較し(ステップS603)、比較結果から補正値を作成する(ステップS604)。作成した補正値で自動的に色調等の補正を行う(ステップS605)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、画像形成装置では、原稿をスキャナ部で読み取り、その画像データをプリンタ部で記録を行うコピー機能とPCからの電子データを記録するプリンタ機能及びスキャンした画像データをPC上へ取り込むPCスキャン機能とを一般的に備えており、各機能に合わせて適切な色調の補正が求められている。しかしながら、上述したような上記特許文献1では、スキャナ部単体の機体差は考慮されておらず、スキャナ部の機体差を含めて画像形成部の差として補正値を算出しているため、コピー機能としては適切な補正が可能となるが、プリンタ機能やPCスキャン機能の補正値としては、スキャナ部の機体差が含まれてしまい適切な補正がなされていないのが現状である。
【0006】
また、プリンタ部が特にインクジェット記録装置等である場合は、ある一定期間印字動作を行わないとノズルからのインク滴の吐出が不安定になる場合がある。しかもこれらのほとんどは、ある程度印字を行ったり、バキューム等の回復動作を実施することで容易に回復する。上述した特許文献1では、指定チャートを出力する際にプリント部に前述したようなノズルの不吐出等の不具合があり、かつ実際の通常印刷時には回復している場合には、適切な補正が行われていなかった。一方、吐出特性パターン等を出力してユーザが目視により判定する方法もあるが、明度の高いイエローのパターンなどは目視による判定が困難であり、ノズルの不吐出を見逃してしまう場合が多かった。
【0007】
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものであり、コピー機能、プリンタ機能及びPCスキャン機能それぞれにおいて、環境、記録用紙、各機器の個体差等の補正を適切で簡易に行うことができる共に、指定パッチの印刷時における画像形成部の記録品質を判定し、画像形成部本来の記録品質に対した適切な色調補正を行うことができる、画像形成装置及び色調調整方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために、本発明の画像形成装置は、被読取媒体を光学的に読み取る読取部と、印刷出力する画像形成部とを有しており、画像形成部から特定パターンを出力し、出力された特定パターンを読取部によって読み取った画像信号に応じて色調調整を行う。更に、本発明の画像形成装置は、画像信号を色空間値に変換する入力色変換部と、入力されてきた色空間値に対して、読取部及び画像形成部の個体差、使用する記録用紙に応じた色補正処理を行う色調補正部と、色調補正後の色空間を所定の色空間の画像信号に変換して出力する出力色変換部とを有している。入力されてきた色空間値に対して、読取部及び画像形成部の個体差、使用する記録用紙に応じた色補正処理を行うこととしたため、読取部及び画像形成部の機体差を補正できる。
【0009】
好ましくは、色調補正部は予め指定用紙での基準値と入力色変換部により変換された色空間値との差分に基づいて補正値を算出する。これにより、簡単に補正値を算出することができる。
【0010】
また、色調補正部で算出される補正値は、画像信号が読取部又はパソコンによる入力データであるかに応じて設定される。よって、コピー機能、プリンタ機能、PCスキャン機能のそれぞれ異なる補正値を使用して色調の調整を行うことができる。
【0011】
更に、色調補正部で算出される補正値は、特定パターンを出力する用紙が専用紙又はそれ以外の用紙であるかに応じて設定される。よって、ユーザが使用する用紙に合わせた適切な色調の調整を行うことができる。
【0012】
また、色調補正部は、読取部のみを補正する第1の補正値と、読取部と画像形成部を補正する第2の補正値と、読取部と画像形成部と用紙を補正する第3の補正値を、予め指定用紙での基準値と入力色変換部により変換された色空間値との差分に基づいて算出する。更に、色調補正部は、第1の補正値及び第2の補正値により画像形成部のみを補正する第4の補正値と、第1の補正値及び第3の補正値により画像形成部と用紙を補正する第5の補正値を算出する。よって、コピー機能、プリンタ機能、PCスキャン機能のそれぞれ異なる補正値を使用して色調の調整を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0014】
(構成)
図1は本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。同図に示す本実施の形態例の画像形成装置100は、画像入力部101、入力色変換部102、色調補正部103、出力色変換部104及び画像形成部105を含んで構成されている。このような構成を有する本実施の形態例の画像形成装置100において、画像入力部101又はPC200から送られてきたRGBデータは入力色変換部102に供給される。そして、入力色変換部102では、画像入力部101から出力される画像入力装置に依存した色空間画像を、内部処理において用いるデバイスに依存しない色空間の画像に変換する。ここではデバイスに依存しない色空間としてL*a*b*均等色空間を用いることとする。すなわち入力色変換部102では、スキャナからの入力画像の場合はDeviceRGBからL*a*b*へ、PCからの入力データの場合はsRGBからL*a*b*へ変換され、色調補正部103へ送られる。色調補正部103では、入力されてきたL*a*b*画像に対して、画像入力部101及び画像形成部105の個体差、ユーザが使用する記録用紙に応じた色補正処理を行う。なお、この色補正処理の詳細については後述する。そして、出力色変換部104では、L*a*b*色空間の局所的な領域に対して色調整を加え、コピー処理の場合は画像形成部105に与えるCMYK色空間の画像情報に変換され、PCスキャン処理の場合はSRGB色空間へ変換される。また、出力色変換部104では、色再現範囲外の色について色再現範囲内の色に変換するGamut圧縮処理も行う。更に、CMYK又はRGB色空間に変換後に、画像形成部又は表示ディスプレイ(図示せず)の出力特性に応じた階調補正を行う出力諧調補正部を備えた構成としても良い。また、画像形成部105では、出力スクリーン処理や分割処理等、種々の画像形成方式に応じた処理が行われ、CMYKの各成分毎に記録用紙上に画像を形成していく。なお、画像の形成に際して、上述した処理以外に鮮鋭化やノイズ除去などの処理を行う空間フィルタ処理や拡大縮小処理等、種々の処理を行っても良い。
【0015】
(動作)
図2は指定パッチ出力の専用紙に対する本発明の色調補正値算出動作の一例を示すフローチャートである。また、図3は指定パッチ出力のユーザ使用用紙に対する本発明の色調補正値算出動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、イメージパスに応じた正確な色調補正を行うために、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」を補正する補正値1、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値2、「スキャナ機差」を補正する補正値3、「プリンタ機差」を補正する補正値4及び「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値5を求める。
【0016】
図2において、先ず、専用紙に特定の指定パッチをプリンタから出力する(ステップS101)。ここでの専用紙は、メーカ推奨の用紙で図1の出力色変換部104でL*a*b*色空間→CMYK色空間変換の色変換パラメータを算出するときに用いられた記録用紙である。また、指定パッチには、例えば指定パッチの一例である図4に示すような一定の間隔で用紙中央付近にグレースケールパッチなどがある。もちろん、指定パッチは図4に示すものに限定されるわけではなく、カラーパッチを配置しても良い。四隅にある十字記号はスキャン位置合わせのためマークである。この指定パッチは、例えばメモリに格納されており、ユーザがコントロールパネル操作することによって出力されてもよいし、プリンタドライバより指定パッチの画像データを送信して出力しても良い。そして、出力された指定パッチの画像をスキャナで読み込み(ステップS102)、指定パッチのRGB画素値を読み取る。このとき四隅にある十字記号により、各パッチの位置情報の補正を行っておく。続いて、読み取った出力パッチのRGB画素値と紙白の画素値をL*a*b*色空間への変換を行う(ステップS103)。この変換は、前述した通常のコピーパスにおいて行われる。従って、図1の入力色変換部102ではDeviceRGB→L*a*b*の色変換パラメータが使用されることとなる。そして、変換された紙白、つまり図4におけるカバレッジ0%のパッチ部分のL*a*b*値と予めメモリに格納されている基準紙白L*a*b*値との色差分(dL*,da*,db*)を算出する(ステップS104)。ここでの基準紙白L*a*b*値は、専用紙をDeviceRGB→L*a*b*の色変換パラメータ作成時のスキャナで読み取り、L*a*b*に変換した値である。よって、この色差分は、「スキャナ機差」のみを補正する補正値3となる。次に、読み取った全てのパッチのL*a*b*値と予めメモリに格納されている基準パッチL*a*b*値との色差分を算出する(ステップS105)。ここでの基準パッチL*a*b*値は、色変換パラメータ作成時のスキャナ部及びプリンタ部を使用して読み込んだ値となる。従って、この色差分は、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」を補正する補正値1となる。そして各補正値をメモリに格納する(ステップS106)。
【0017】
そして、図3において、ユーザが使用する記録用紙に対して特定の指定パッチをプリンタから出力する(ステップS201)。更に、図2に示した専用紙の場合と同様にスキャナで読み込み(ステップS202)、読み込んだパッチのRGB値をL*a*b*色空間に変換する(ステップS203)。そして、基準パッチL*a*b*値との色差分を算出する(ステップS204)。この色差分は、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値2となる。そして、「スキャナ機差」のみを補正する補正値3、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」を補正する補正値1、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値2、「プリンタ機差」のみを補正する補正値4及び「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値5を算出する。「プリンタ機差」のみを補正する補正値4は「スキャナ機差」のみを補正する補正値3と「スキャナ機差」+「プリンタ機差」を補正する補正値1とから算出し、「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値5は「スキャナ機差」のみを補正する補正値3と「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値2との差分より算出する(ステップS205)。S206において、各補正値をメモリに格納する。
【0018】
図5は各イメージパス毎の色調補正部での色調補正動作を示すフローチャートである。同図において、先ず画像データが入力されると、スキャナからの入力データかどうかの判定が行われる(ステップS301)。スキャナからの入力データである場合は(ステップS301;YES)、コピー処理かどうかの判定が行われる(ステップS302)。コピー処理である場合は(ステップS302;YES)、使用する用紙が専用紙かどうかの判定が行われる(ステップS303)。専用紙を使用する場合は(ステップS303;YES)、補正値1である「スキャナ機差」+「プリンタ機差」の補正値がメモリから呼び出され、入力してきた画像に対して色調補正を行う(ステップS304)。一方、専用紙以外の用紙を使用する場合は(ステップS303;NO)、補正値2である「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」の補正値がメモリから呼び出され色調の補正を行う(ステップS305)。なお、この用紙の設定は、例えばユーザが使用する用紙を登録し、コピー時にユーザがコントロールパネルから設定できるようにしておけばよい。また、本実施の形態例では、用紙の種類は専用紙の他1種類のみの構成だが、複数の用紙を登録できるようにしても構わない。また、ステップS302において、コピー処理以外のPCスキャン処理と判断した場合は(ステップS302;NO)、補正値3である「スキャナ機差」の補正値がメモリから呼び出され色調の補正が行われる(ステップS306)。更に、ステップS301において、スキャナからの入力以外の場合は(ステップS301;NO)、PCからの画像データと判断し、専用紙を使用して記録をするかどうかの判定が行われる(ステップS307)。専用紙を使用する場合は(ステップS307;YES)、補正値4である「プリンタ機差」の補正値がメモリから呼び出され色調補正がなされる(ステップS308)。一方、専用紙以外の用紙を使用する場合は(ステップS307;NO)、補正値5である「プリンタ機差」+「用紙差」の補正値がメモリから呼び出され補正が実施される(ステップS309)。
【0019】
図6は補正値2の特性の一例を示す特性図である。同図中の各ポイントは各パッチでの基準パッチ画素値との差分であり、ポイント間は線形補間を行っている。補正値2のように記録用紙が専用紙と異なる場合は、通常、色差分は明度L*が大きい場合には、紙面に色材がほとんど付着せず紙面の色差がそのまま現れる。逆に明度L*が小さい場合には、紙面が色材に覆われ紙面の色差の影響は小さくなる。色調の補正は、図6の特性に応じて下式のようにL*の関数である色差分を加算することにより行われる。
【0020】
L’*=L*+dL*(L*)
a’*=a*+da*(L*)
b’*=b*+db*(L*)
【0021】
なお、本実施の形態例では、「スキャナ機差」として専用紙の紙白のみのパッチで算出しているが、紙白と黒100%パッチとで算出しても構わない。黒100%のパッチは、比較的濃度が飽和しやすく「プリンタ機差」の影響が現れにくい。この場合、紙白パッチ及び黒100%パッチのそれぞれ実際のL*値と色差分とから色差分の明度関数を算出しても良い。また、本実施の形態例では、L*a*b*均等色空間で色調の補正を行っているが、これに限定されるものではなく、例えば精度は落ちるもののRGB空間で色調補正を実施しても良い。
【0022】
図7は指定パッチチャートの他の一例を示す図である。同図示す指定パッチチャート上部にあるラインパターンは、画像形成部の出力特性判定パターンであり黒、シアン、マゼンタ、イエローの各ヘッドにおけるノズル毎の吐出パターンを示している。例えば、イエローヘッドのあるノズルが不吐出又は方向性不良がある場合は、そのノズルが印刷すべきラインパターンが印刷されなかったり、ずれた位置に印刷されることとなる。
【0023】
図8は本発明の色調調整方法における専用紙に対する色調補正値算出動作の他の一例を示すフローチャートである。同図の動作フローは、特に出力特性判定部分の動作を示している。先ず専用紙に図7に示すような特定の指定パッチをプリンタから出力する(ステップS401)。次に、出力された指定パッチ画像をスキャナで読み込み、各パッチのRGB画素値を読み取る(ステップS402)。このときに、図7に示す指定パッチシートの四隅にある十字記号により、各パッチの位置情報の補正を行う。このとき、図8の動作を行う出力特性判定パターン部(図示せず)には、判定を正確にするためエッジ強調等の空間フィルタ処理を施しても良い。続いて、黒のノズルの出力特性判定が実施される(ステップS403)。この出力特性判定は印字したラインパターンの輝度及び位置座標のチェックが行われる。黒のノズルで問題が無かった場合は(ステップS403;YES)、引き続きステップS404でシアンを、ステップS405でマゼンタを、ステップS406でイエローの出力特性判定が行われる。ステップS406において、問題無しと判定された場合(ステップS406;YES)、それ以降は図2に示すステップS103以降と同じ処理が施され、補正値が算出される。一方、ステップS403からステップS406までのそれぞれの出力特性判定において問題ありと判定された場合は(ステップS403;NO、ステップS404;NO、ステップS405;NO、ステップS406;NO)、再出力と再読込みの回数が3回を超えていないならば(ステップS407;NO)、ユーザにメンテナンス処理の実施を促すメッセージとその後再出力を促すメッセージをコントロールパネル(図示せず)に表示する(ステップS408)。ユーザによるメンテナンス動作が行われた後に(ステップS410)、再度専用紙へ指定パッチの出力を行う。本実施例ではユーザに対してメンテナンス処理を促しているが、ユーザを介さずにメンテナンス処理及び指定パッチチャートの出力まで行っても良い。その場合、コントロールパネルにはメンテナンス処理及び再出力実施のメッセージが表示され、さらに再読み込みを促すメッセージが表示されるようにすればよい。ステップS407では、再出力、再読み込みが行われた回数を判定しており、本実施の形態例では2回メンテナンス処理を行って回復しない場合は、その後の通常印刷時にも回復せず現在の状態が継続されると判断し、現在の出力特性のまま色調補正の補正係数を算出している。
【0024】
図9は本発明の色調調整方法におけるユーザ使用用紙に対する色調補正値算出動作の他の一例を示すフローチャートである。図8に示す動作は指定パッチを出力した専用紙に対しての動作であったが、図9に示す動作は指定パッチを出力したユーザ使用用紙に対しての動作であってそれ以外は全て同じであるのでここでは省略する。
【0025】
なお、本実施の形態例では、出力特性判定で問題ありと判定された場合は、ユーザにメンテナンス動作を促す構成で説明を行ってきたが、1回目は再出力のみ、2回目はメンテナンス動作と再出力等の構成で実施しても良い。また、本実施の形態例では、画像形成部の画像形成方法としてインクジェット記録装置を例にして説明してきたが、もちろんインクジェット記録装置に限定されるものではなく、電子写真式の画像形成装置に適用してもよい。
【0026】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スキャナ、プリンタの機体差、環境差、用紙差に応じた色調整を自動で行うことができ、さらにスキャナ機能、プリンタ機能、PCスキャン機能に応じて適切な色調整を実施することができる。また、プリンタの本来の出力特性に合わせた色調補正を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】指定パッチ出力の専用紙に対する本発明の色調補正値算出動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】指定パッチ出力のユーザ使用用紙に対する本発明の色調補正値算出動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】指定パッチの一例を示す図である。
【図5】各イメージパス毎の色調補正部での色調補正動作を示すフローチャートである。
【図6】補正値2の特性の一例を示す特性図である。
【図7】指定パッチチャートの他の一例を示す図である。
【図8】本発明の色調調整方法における専用紙に対する色調補正値算出動作の他の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の色調調整方法におけるユーザ使用用紙に対する色調補正値算出動作の他の一例を示すフローチャートである。
【図10】従来の色調調整方法による動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 画像形成装置
101 画像入力部
102 入力色変換部
103 色調補正部
104 出力色変換部
105 画像形成部
200 PC
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成装置及び色調調整方法に関し、特にパッチチャートを用いて読取特性や記録特性を調整することが可能な画像形成装置及び色調調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−4371号公報
カラー複写機やファクシミリ機は、原稿を光学的に読み取るスキャナ部及び印刷出力するプリンタ部を備えたものであるが、これら装置は温度や湿度の環境、経時変動、製造個体差といった要因により、同一のデータを与えても出力される色調等が異なってしまうことがある。また、一般に、カラー複写機やプリンタ等の画像形成装置では、記録用紙上に形成された画質が最良の画質になるように、各種の色変換処理を施している。このとき基準となる記録用紙として、ある特定の専用紙を想定して設定を行っている。そのため、形成される画像には専用紙に対して画質が最適になるように処理が行われる。しかし、必ずしもユーザが専用紙を使用するとは限らず、専用紙とは紙質の異なるが記録用紙が使用され場合には、満足な画質が得られていないことになる。
【0003】
従来、これらの装置において出力される画像の色調整は、基本的にスキャナ部、プリンタ部それぞれに独立に行われるのが一般的である。例えば、パーソナルコンピュータ(以下PCと略す)上のツールを用い、色調整チャートを併用して色調整を行い、またプリンタ部においても同様に調整を行い、最終的にスキャナ部とプリンタ部を含めたトータルな色調整を行うものである。これらの色調整は、色調整用の種々のツール、チャートを使用するため、色調整のためのコストが比較的大きくなり、更にその品質や調整時間はユーザの経験に大きく左右されるものである。
【0004】
このような課題を解決するために、例えば上記特許文献1の色調調整方法が提案されている。この色調調整方法について当該方法による動作フローを示す図10に従って説明すると、先ずプリンタ部で特定のパターンのサンプルを出力し(ステップS601)、そのサンプルをスキャナ部で読込んでバッチの画素値を取得する(ステップS602)。そして、読み取った特定パターンのバッチ画素値と基準バッチ画素値を比較し(ステップS603)、比較結果から補正値を作成する(ステップS604)。作成した補正値で自動的に色調等の補正を行う(ステップS605)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、画像形成装置では、原稿をスキャナ部で読み取り、その画像データをプリンタ部で記録を行うコピー機能とPCからの電子データを記録するプリンタ機能及びスキャンした画像データをPC上へ取り込むPCスキャン機能とを一般的に備えており、各機能に合わせて適切な色調の補正が求められている。しかしながら、上述したような上記特許文献1では、スキャナ部単体の機体差は考慮されておらず、スキャナ部の機体差を含めて画像形成部の差として補正値を算出しているため、コピー機能としては適切な補正が可能となるが、プリンタ機能やPCスキャン機能の補正値としては、スキャナ部の機体差が含まれてしまい適切な補正がなされていないのが現状である。
【0006】
また、プリンタ部が特にインクジェット記録装置等である場合は、ある一定期間印字動作を行わないとノズルからのインク滴の吐出が不安定になる場合がある。しかもこれらのほとんどは、ある程度印字を行ったり、バキューム等の回復動作を実施することで容易に回復する。上述した特許文献1では、指定チャートを出力する際にプリント部に前述したようなノズルの不吐出等の不具合があり、かつ実際の通常印刷時には回復している場合には、適切な補正が行われていなかった。一方、吐出特性パターン等を出力してユーザが目視により判定する方法もあるが、明度の高いイエローのパターンなどは目視による判定が困難であり、ノズルの不吐出を見逃してしまう場合が多かった。
【0007】
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものであり、コピー機能、プリンタ機能及びPCスキャン機能それぞれにおいて、環境、記録用紙、各機器の個体差等の補正を適切で簡易に行うことができる共に、指定パッチの印刷時における画像形成部の記録品質を判定し、画像形成部本来の記録品質に対した適切な色調補正を行うことができる、画像形成装置及び色調調整方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために、本発明の画像形成装置は、被読取媒体を光学的に読み取る読取部と、印刷出力する画像形成部とを有しており、画像形成部から特定パターンを出力し、出力された特定パターンを読取部によって読み取った画像信号に応じて色調調整を行う。更に、本発明の画像形成装置は、画像信号を色空間値に変換する入力色変換部と、入力されてきた色空間値に対して、読取部及び画像形成部の個体差、使用する記録用紙に応じた色補正処理を行う色調補正部と、色調補正後の色空間を所定の色空間の画像信号に変換して出力する出力色変換部とを有している。入力されてきた色空間値に対して、読取部及び画像形成部の個体差、使用する記録用紙に応じた色補正処理を行うこととしたため、読取部及び画像形成部の機体差を補正できる。
【0009】
好ましくは、色調補正部は予め指定用紙での基準値と入力色変換部により変換された色空間値との差分に基づいて補正値を算出する。これにより、簡単に補正値を算出することができる。
【0010】
また、色調補正部で算出される補正値は、画像信号が読取部又はパソコンによる入力データであるかに応じて設定される。よって、コピー機能、プリンタ機能、PCスキャン機能のそれぞれ異なる補正値を使用して色調の調整を行うことができる。
【0011】
更に、色調補正部で算出される補正値は、特定パターンを出力する用紙が専用紙又はそれ以外の用紙であるかに応じて設定される。よって、ユーザが使用する用紙に合わせた適切な色調の調整を行うことができる。
【0012】
また、色調補正部は、読取部のみを補正する第1の補正値と、読取部と画像形成部を補正する第2の補正値と、読取部と画像形成部と用紙を補正する第3の補正値を、予め指定用紙での基準値と入力色変換部により変換された色空間値との差分に基づいて算出する。更に、色調補正部は、第1の補正値及び第2の補正値により画像形成部のみを補正する第4の補正値と、第1の補正値及び第3の補正値により画像形成部と用紙を補正する第5の補正値を算出する。よって、コピー機能、プリンタ機能、PCスキャン機能のそれぞれ異なる補正値を使用して色調の調整を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0014】
(構成)
図1は本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。同図に示す本実施の形態例の画像形成装置100は、画像入力部101、入力色変換部102、色調補正部103、出力色変換部104及び画像形成部105を含んで構成されている。このような構成を有する本実施の形態例の画像形成装置100において、画像入力部101又はPC200から送られてきたRGBデータは入力色変換部102に供給される。そして、入力色変換部102では、画像入力部101から出力される画像入力装置に依存した色空間画像を、内部処理において用いるデバイスに依存しない色空間の画像に変換する。ここではデバイスに依存しない色空間としてL*a*b*均等色空間を用いることとする。すなわち入力色変換部102では、スキャナからの入力画像の場合はDeviceRGBからL*a*b*へ、PCからの入力データの場合はsRGBからL*a*b*へ変換され、色調補正部103へ送られる。色調補正部103では、入力されてきたL*a*b*画像に対して、画像入力部101及び画像形成部105の個体差、ユーザが使用する記録用紙に応じた色補正処理を行う。なお、この色補正処理の詳細については後述する。そして、出力色変換部104では、L*a*b*色空間の局所的な領域に対して色調整を加え、コピー処理の場合は画像形成部105に与えるCMYK色空間の画像情報に変換され、PCスキャン処理の場合はSRGB色空間へ変換される。また、出力色変換部104では、色再現範囲外の色について色再現範囲内の色に変換するGamut圧縮処理も行う。更に、CMYK又はRGB色空間に変換後に、画像形成部又は表示ディスプレイ(図示せず)の出力特性に応じた階調補正を行う出力諧調補正部を備えた構成としても良い。また、画像形成部105では、出力スクリーン処理や分割処理等、種々の画像形成方式に応じた処理が行われ、CMYKの各成分毎に記録用紙上に画像を形成していく。なお、画像の形成に際して、上述した処理以外に鮮鋭化やノイズ除去などの処理を行う空間フィルタ処理や拡大縮小処理等、種々の処理を行っても良い。
【0015】
(動作)
図2は指定パッチ出力の専用紙に対する本発明の色調補正値算出動作の一例を示すフローチャートである。また、図3は指定パッチ出力のユーザ使用用紙に対する本発明の色調補正値算出動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、イメージパスに応じた正確な色調補正を行うために、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」を補正する補正値1、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値2、「スキャナ機差」を補正する補正値3、「プリンタ機差」を補正する補正値4及び「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値5を求める。
【0016】
図2において、先ず、専用紙に特定の指定パッチをプリンタから出力する(ステップS101)。ここでの専用紙は、メーカ推奨の用紙で図1の出力色変換部104でL*a*b*色空間→CMYK色空間変換の色変換パラメータを算出するときに用いられた記録用紙である。また、指定パッチには、例えば指定パッチの一例である図4に示すような一定の間隔で用紙中央付近にグレースケールパッチなどがある。もちろん、指定パッチは図4に示すものに限定されるわけではなく、カラーパッチを配置しても良い。四隅にある十字記号はスキャン位置合わせのためマークである。この指定パッチは、例えばメモリに格納されており、ユーザがコントロールパネル操作することによって出力されてもよいし、プリンタドライバより指定パッチの画像データを送信して出力しても良い。そして、出力された指定パッチの画像をスキャナで読み込み(ステップS102)、指定パッチのRGB画素値を読み取る。このとき四隅にある十字記号により、各パッチの位置情報の補正を行っておく。続いて、読み取った出力パッチのRGB画素値と紙白の画素値をL*a*b*色空間への変換を行う(ステップS103)。この変換は、前述した通常のコピーパスにおいて行われる。従って、図1の入力色変換部102ではDeviceRGB→L*a*b*の色変換パラメータが使用されることとなる。そして、変換された紙白、つまり図4におけるカバレッジ0%のパッチ部分のL*a*b*値と予めメモリに格納されている基準紙白L*a*b*値との色差分(dL*,da*,db*)を算出する(ステップS104)。ここでの基準紙白L*a*b*値は、専用紙をDeviceRGB→L*a*b*の色変換パラメータ作成時のスキャナで読み取り、L*a*b*に変換した値である。よって、この色差分は、「スキャナ機差」のみを補正する補正値3となる。次に、読み取った全てのパッチのL*a*b*値と予めメモリに格納されている基準パッチL*a*b*値との色差分を算出する(ステップS105)。ここでの基準パッチL*a*b*値は、色変換パラメータ作成時のスキャナ部及びプリンタ部を使用して読み込んだ値となる。従って、この色差分は、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」を補正する補正値1となる。そして各補正値をメモリに格納する(ステップS106)。
【0017】
そして、図3において、ユーザが使用する記録用紙に対して特定の指定パッチをプリンタから出力する(ステップS201)。更に、図2に示した専用紙の場合と同様にスキャナで読み込み(ステップS202)、読み込んだパッチのRGB値をL*a*b*色空間に変換する(ステップS203)。そして、基準パッチL*a*b*値との色差分を算出する(ステップS204)。この色差分は、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値2となる。そして、「スキャナ機差」のみを補正する補正値3、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」を補正する補正値1、「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値2、「プリンタ機差」のみを補正する補正値4及び「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値5を算出する。「プリンタ機差」のみを補正する補正値4は「スキャナ機差」のみを補正する補正値3と「スキャナ機差」+「プリンタ機差」を補正する補正値1とから算出し、「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値5は「スキャナ機差」のみを補正する補正値3と「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」を補正する補正値2との差分より算出する(ステップS205)。S206において、各補正値をメモリに格納する。
【0018】
図5は各イメージパス毎の色調補正部での色調補正動作を示すフローチャートである。同図において、先ず画像データが入力されると、スキャナからの入力データかどうかの判定が行われる(ステップS301)。スキャナからの入力データである場合は(ステップS301;YES)、コピー処理かどうかの判定が行われる(ステップS302)。コピー処理である場合は(ステップS302;YES)、使用する用紙が専用紙かどうかの判定が行われる(ステップS303)。専用紙を使用する場合は(ステップS303;YES)、補正値1である「スキャナ機差」+「プリンタ機差」の補正値がメモリから呼び出され、入力してきた画像に対して色調補正を行う(ステップS304)。一方、専用紙以外の用紙を使用する場合は(ステップS303;NO)、補正値2である「スキャナ機差」+「プリンタ機差」+「用紙差」の補正値がメモリから呼び出され色調の補正を行う(ステップS305)。なお、この用紙の設定は、例えばユーザが使用する用紙を登録し、コピー時にユーザがコントロールパネルから設定できるようにしておけばよい。また、本実施の形態例では、用紙の種類は専用紙の他1種類のみの構成だが、複数の用紙を登録できるようにしても構わない。また、ステップS302において、コピー処理以外のPCスキャン処理と判断した場合は(ステップS302;NO)、補正値3である「スキャナ機差」の補正値がメモリから呼び出され色調の補正が行われる(ステップS306)。更に、ステップS301において、スキャナからの入力以外の場合は(ステップS301;NO)、PCからの画像データと判断し、専用紙を使用して記録をするかどうかの判定が行われる(ステップS307)。専用紙を使用する場合は(ステップS307;YES)、補正値4である「プリンタ機差」の補正値がメモリから呼び出され色調補正がなされる(ステップS308)。一方、専用紙以外の用紙を使用する場合は(ステップS307;NO)、補正値5である「プリンタ機差」+「用紙差」の補正値がメモリから呼び出され補正が実施される(ステップS309)。
【0019】
図6は補正値2の特性の一例を示す特性図である。同図中の各ポイントは各パッチでの基準パッチ画素値との差分であり、ポイント間は線形補間を行っている。補正値2のように記録用紙が専用紙と異なる場合は、通常、色差分は明度L*が大きい場合には、紙面に色材がほとんど付着せず紙面の色差がそのまま現れる。逆に明度L*が小さい場合には、紙面が色材に覆われ紙面の色差の影響は小さくなる。色調の補正は、図6の特性に応じて下式のようにL*の関数である色差分を加算することにより行われる。
【0020】
L’*=L*+dL*(L*)
a’*=a*+da*(L*)
b’*=b*+db*(L*)
【0021】
なお、本実施の形態例では、「スキャナ機差」として専用紙の紙白のみのパッチで算出しているが、紙白と黒100%パッチとで算出しても構わない。黒100%のパッチは、比較的濃度が飽和しやすく「プリンタ機差」の影響が現れにくい。この場合、紙白パッチ及び黒100%パッチのそれぞれ実際のL*値と色差分とから色差分の明度関数を算出しても良い。また、本実施の形態例では、L*a*b*均等色空間で色調の補正を行っているが、これに限定されるものではなく、例えば精度は落ちるもののRGB空間で色調補正を実施しても良い。
【0022】
図7は指定パッチチャートの他の一例を示す図である。同図示す指定パッチチャート上部にあるラインパターンは、画像形成部の出力特性判定パターンであり黒、シアン、マゼンタ、イエローの各ヘッドにおけるノズル毎の吐出パターンを示している。例えば、イエローヘッドのあるノズルが不吐出又は方向性不良がある場合は、そのノズルが印刷すべきラインパターンが印刷されなかったり、ずれた位置に印刷されることとなる。
【0023】
図8は本発明の色調調整方法における専用紙に対する色調補正値算出動作の他の一例を示すフローチャートである。同図の動作フローは、特に出力特性判定部分の動作を示している。先ず専用紙に図7に示すような特定の指定パッチをプリンタから出力する(ステップS401)。次に、出力された指定パッチ画像をスキャナで読み込み、各パッチのRGB画素値を読み取る(ステップS402)。このときに、図7に示す指定パッチシートの四隅にある十字記号により、各パッチの位置情報の補正を行う。このとき、図8の動作を行う出力特性判定パターン部(図示せず)には、判定を正確にするためエッジ強調等の空間フィルタ処理を施しても良い。続いて、黒のノズルの出力特性判定が実施される(ステップS403)。この出力特性判定は印字したラインパターンの輝度及び位置座標のチェックが行われる。黒のノズルで問題が無かった場合は(ステップS403;YES)、引き続きステップS404でシアンを、ステップS405でマゼンタを、ステップS406でイエローの出力特性判定が行われる。ステップS406において、問題無しと判定された場合(ステップS406;YES)、それ以降は図2に示すステップS103以降と同じ処理が施され、補正値が算出される。一方、ステップS403からステップS406までのそれぞれの出力特性判定において問題ありと判定された場合は(ステップS403;NO、ステップS404;NO、ステップS405;NO、ステップS406;NO)、再出力と再読込みの回数が3回を超えていないならば(ステップS407;NO)、ユーザにメンテナンス処理の実施を促すメッセージとその後再出力を促すメッセージをコントロールパネル(図示せず)に表示する(ステップS408)。ユーザによるメンテナンス動作が行われた後に(ステップS410)、再度専用紙へ指定パッチの出力を行う。本実施例ではユーザに対してメンテナンス処理を促しているが、ユーザを介さずにメンテナンス処理及び指定パッチチャートの出力まで行っても良い。その場合、コントロールパネルにはメンテナンス処理及び再出力実施のメッセージが表示され、さらに再読み込みを促すメッセージが表示されるようにすればよい。ステップS407では、再出力、再読み込みが行われた回数を判定しており、本実施の形態例では2回メンテナンス処理を行って回復しない場合は、その後の通常印刷時にも回復せず現在の状態が継続されると判断し、現在の出力特性のまま色調補正の補正係数を算出している。
【0024】
図9は本発明の色調調整方法におけるユーザ使用用紙に対する色調補正値算出動作の他の一例を示すフローチャートである。図8に示す動作は指定パッチを出力した専用紙に対しての動作であったが、図9に示す動作は指定パッチを出力したユーザ使用用紙に対しての動作であってそれ以外は全て同じであるのでここでは省略する。
【0025】
なお、本実施の形態例では、出力特性判定で問題ありと判定された場合は、ユーザにメンテナンス動作を促す構成で説明を行ってきたが、1回目は再出力のみ、2回目はメンテナンス動作と再出力等の構成で実施しても良い。また、本実施の形態例では、画像形成部の画像形成方法としてインクジェット記録装置を例にして説明してきたが、もちろんインクジェット記録装置に限定されるものではなく、電子写真式の画像形成装置に適用してもよい。
【0026】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スキャナ、プリンタの機体差、環境差、用紙差に応じた色調整を自動で行うことができ、さらにスキャナ機能、プリンタ機能、PCスキャン機能に応じて適切な色調整を実施することができる。また、プリンタの本来の出力特性に合わせた色調補正を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】指定パッチ出力の専用紙に対する本発明の色調補正値算出動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】指定パッチ出力のユーザ使用用紙に対する本発明の色調補正値算出動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】指定パッチの一例を示す図である。
【図5】各イメージパス毎の色調補正部での色調補正動作を示すフローチャートである。
【図6】補正値2の特性の一例を示す特性図である。
【図7】指定パッチチャートの他の一例を示す図である。
【図8】本発明の色調調整方法における専用紙に対する色調補正値算出動作の他の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の色調調整方法におけるユーザ使用用紙に対する色調補正値算出動作の他の一例を示すフローチャートである。
【図10】従来の色調調整方法による動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 画像形成装置
101 画像入力部
102 入力色変換部
103 色調補正部
104 出力色変換部
105 画像形成部
200 PC
Claims (12)
- 被読取媒体を光学的に読み取る読取部と、印刷出力する画像形成部とを有し、該画像形成部から特定パターンを出力し、出力された特定パターンを前記読取部によって読み取った画像信号に応じて色調調整を行う画像形成装置において、
前記画像信号を色空間値に変換する入力色変換部と、
入力されてきた色空間値に対して、前記読取部及び前記画像形成部の個体差、及び使用する記録用紙に応じた色補正処理を行う色調補正部と、
色調補正後の色空間を所定の色空間の画像信号に変換して出力する出力色変換部と
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記色調補正部は、予め指定用紙での基準値と前記入力色変換部により変換された色空間値との差分に基づいて補正値を算出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記補正値は、前記画像信号が前記読取部又は情報処理装置からの入力データであるかに応じて設定することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 前記補正値は、特定パターンを出力する用紙が専用紙かどうかに応じて設定することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 前記色調補正部は、前記読取部のみを補正する第1の補正値と、前記読取部と前記画像形成部を補正する第2の補正値と、前記読取部と前記画像形成部と前記用紙を補正する第3の補正値を、予め指定用紙での基準値と前記入力色変換部により変換された色空間値との差分に基づいて算出し、更に前記第1の補正値及び前記第2の補正値により前記画像形成部のみを補正する第4の補正値と、前記第1の補正値及び前記第3の補正値により前記画像形成部と前記用紙を補正する第5の補正値を算出することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 被読取媒体を光学的に読み取る読取部と、印刷出力する画像形成部とを有し、該画像形成部から特定パターンを出力し、出力された特定パターンを前記読取部によって読み取った画像信号に応じて色調調整を行う画像形成装置の色調調整方法において、
前記画像信号を色空間値に変換し、入力されてきた色空間値に対して、前記読取部及び前記画像形成部の個体差、ユーザが使用する記録用紙に応じた色補正処理を行うことを特徴とする画像形成装置の色調調整方法。 - 前記色補正処理の補正値は、予め指定用紙での基準値と変換された色空間値との差分に基づいて算出されることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置の色調調整方法。
- 前記補正値は、前記画像信号が前記読取部又は情報処理装置からの入力データであるかに応じて設定することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置の色調調整方法。
- 前記補正値は、特定パターンを出力する用紙が専用紙かどうかに応じて設定することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置の色調調整方法。
- 前記読取部のみを補正する第1の補正値と、前記読取部と前記画像形成部を補正する第2の補正値と、前記読取部と前記画像形成部と前記用紙を補正する第3の補正値は、予め指定用紙での基準値と前記入力色変換部により変換された色空間値との差分に基づいて算出し、更に前記画像形成部のみを補正する第4の補正値は、前記第1の補正値及び前記第2の補正値により算出され、前記画像形成部と前記用紙を補正する第5の補正値は、前記第1の補正値及び前記第3の補正値により算出することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置の色調調整方法。
- 被読取媒体を光学的に読み取る読取部と、印刷出力する画像形成部とを有し、該画像形成部から特定パターンを出力し、出力された特定パターンを前記読取部によって読み取った画像信号に応じて色調調整を行う画像形成装置の色調調整方法において、
前記画像信号を色空間値に変換し、入力されてきた色空間値に対して、前記読取部及び前記画像形成部の個体差、ユーザが使用する記録用紙に応じた色補正処理を行うことを特徴とする画像形成装置であって、
前記特定パターンに記録部の出力特性を示す出力特性部を設けており、前記出力特性部の読み取り信号から出力特性を判定する判定部を備えていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記判定部で判定された内容に応じてたユーザへの指示を画像形成装置の表示部に表示させることを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
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- 2003-06-16 JP JP2003171427A patent/JP2005012286A/ja active Pending
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