JP2005012088A - 多層回路基板および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、グランド層や電源層等のベタパターンに接続するスルーホールにリード部品をはんだ付け実装する際のはんだ上がり性を改善した多層回路基板を提供することを課題とする。
【解決手段】グランド層や電源層等のベタパターン25に接続される、部品リードが挿入される特定のスルーホール26に対して、そのサーマルランド27近傍のベタパターン25上に、はんだ溶融時にスルーホール26から逃げる熱を方向性をもたせて抑制する銅抜きパッド29,29を形成したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベタパターンにより構成された電源層及びグランド層を含む多層回路基板および同回路基板を実装した電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ等の電子機器に実装される多層プリント配線板には、コネクタ部品、半導体部品等のリードが挿入されるスルーホールが設けられる。この種、部品リードが挿入されるスルーホールに於いては、スルーホールランドの上部まで充分にはんだが上がり、スルーホール内に、はんだの欠乏による間隙ができないようなパターン設計および熱容量の管理が必要とされる。
【0003】
スルーホールランドの上面まで、はんだが充分に上がらない(はんだ上がり性が悪い)理由は、はんだ付けを行うときに内層銅箔などから熱が逃げてしまうことが大きな要因である。
【0004】
特にパーソナルコンピュータ等の電子機器に実装される多層プリント配線板に於いては、電源層、グランド層等をそれぞれベタパターンで構成していることから、このベタパターンに回路接続されて電子部品のリードが挿入されるスルーホールに於いては、スルーホールに部品のリードを挿入して、はんだ付けを行った際、熱がベタパターンより放散し、スルーホールおよびリードのはんだ付け部分に十分な熱が加わらず、従ってスルーホールランドの上部まで充分にはんだが上がらない。
【0005】
この挿入部品のはんだ上がりを向上させるために、グランド層や電源層のベタパターンに接続する部品実装用のスルーホールについて、そのスルーホールランドをサーマルランド構造にしている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、近年では、環境対策として、鉛フリーはんだ(例えば錫−銀−銅系無鉛はんだ)の使用が義務付けられるようになってきた。鉛フリーはんだを上記したような挿入部品のはんだ付けに使用すると、はんだ上がり性が悪く、従ってリード部品が強固にはんだ実装されず、はんだ上がり性が悪いと、部品実装後に於いて部品リードのはんだ剥離等による動作不安定要因を招く虞があり、この際はリペア作業等が必要になる。特に、グランド層や電源層に接続するスルーホールにリード部品をはんだ付け実装する際、グランド層や電源層のベタパターンを通して逃げる熱を考慮すると、より高度のはんだ実装技術が要求される。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−9449号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来では、グランド層や電源層(ベタパターン)に接続するスルーホールにリード部品をはんだ付け実装する際、はんだ上がり性に問題があり、部品実装後に於いて部品リードのはんだ剥離等による動作不安定要因を招く虞があるという問題があった。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、グランド層や電源層等のベタパターンに接続するスルーホールにリード部品をはんだ付け実装する際のはんだ上がり性の改善を図った多層回路基板、および上記多層回路基板を用いてリード部品を強固にはんだ実装した電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電源層、グランド層等のベタパターンを含んで構成された多層回路基板に於いて、前記ベタパターンに接続した部品リードが挿入されるスルーホールと、前記ベタパターンの前記スルーホール周辺にベタパターンを剥離して形成した熱放散を抑制するピットとを具備して、はんだ処理工程に於ける前記スルーホールから前記ベタパターンへの熱放散を前記ピットにより抑制することを特徴とする。
【0011】
又、本発明は、ベタパターンにより構成された電源層及びグランド層を含む多層回路基板を実装した電子機器に於いて、前記回路基板を構成する電源層若しくはグランド層等のベタパターンに接続される、部品のリードが挿入されるスルーホールについて、当該スルーホール近傍のベタパターン上に、ベタパターンを剥離して形成した熱放散を抑制するピットを設け、部品のリードが挿入されるスルーホールのはんだ上がりを向上させたことを特徴とする。これにより実装部品を強固に半田付け実装して信頼性の高い安定した動作を期待できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
本発明の第1実施形態に於ける多層回路基板の要部の構成を図1に示す。図1に於いて、多層回路基板に設けられた電源層若しくはグランド層を構成するベタパターン25には、スルーホール26,26,…、サーマルランド27,27,…、27b,27b,…、27c,27c,…、スルーホールランド28,28,…等が形成される。
【0014】
更に、上記ベタパターン25には、特定のスルーホール26を対象に、そのサーマルランド27の周辺に、はんだ溶融時に於けるスルーホール26からの熱放散を抑制するピット(以下銅抜きパッドと称す)29が形成される。この銅抜きパッド29は、ベタパターン25(の銅箔)の剥離により形成される。
【0015】
図1に示すパターン配置に於いては、仮想線a,bの交点に存在する、部品リードが挿入されるスルーホール26に着目し、当該スルーホールを特定のスルーホール26として、そのサーマルランド27の周辺に、2つの銅抜きパッド29,29を設けている。
【0016】
上記特定のスルーホール26は、同じく部品リードが挿入される他のスルーホール26,26よりも、はんだ溶融時に於ける上記熱放散量が多く、かつベタパターン25上での熱放散方向に偏りがあるパターン配置にあることから、その熱放散方向に偏りをなくして、はんだ溶融時に於ける上記熱放散量を効率よく抑制するベタパターン25上の位置に、上記銅抜きパッド29,29を形成している。
【0017】
このように特定のスルーホール26に対して、そのサーマルランド27の近傍に、はんだ溶融時にスルーホール26から逃げる熱を方向性をもたせて抑制する銅抜きパッド29,29を形成することで、部品のはんだ実装時に於いて、部品のリードが挿入された上記特定のスルーホール26に、ランドにまたがる十分な量のはんだ40が回り込み、部品のリードがはんだ40により強固にスルーホール26に固着される。
【0018】
一方、上記した銅抜きパッド29,29を設けない場合は、図2に示すように、はんだ実装時に於いて熱放散方向に偏りを生じ、その偏った方向のベタパターン面に大量の熱放散が生じて上記スルーホール26からの熱放散を効率よく抑制することができない。このため、上記特定のスルーホール26に対してのはんだ上がり性が悪く、特定のスルーホール26に挿入された部品のリードをはんだ40により強固にスルーホール26に固着することができない。
【0019】
この際のはんだ上がりの良好な状態を10に示し、はんだ上がりの不良状態を図11に示している。図中、20は多層回路基板(多層プリント配線板)、21は部品リード挿入用のスルーホール、22,22,…は上記スルーホールにパターン接続された内層銅箔、30は実装部品、31は実装部品30のリード、40ははんだ、50ははんだ鏝である。尚、図11に於いて、波線で示す矢印は、はんだ付けの際に上記スルーホール21から逃げる熱の様子を示したもので、はんだ溶融時の熱が上記内層銅箔22,22,…を熱伝導路として放散される様子を表している。この際のはんだの欠乏による間隙部分を図中に符号dで示している。
【0020】
図10に示す例では、スルーホールランドの上部まで充分にはんだ40が上がり、スルーホール21内に、はんだの欠乏による間隙ができず、部品リード31が強固にはんだ付けされる。また、図11に示す例では、図示波線で示す熱の放散により、スルーホールランドの上部まで、はんだ40が上がらず、スルーホール21内に、はんだの欠乏による間隙(d)ができ、部品リード31のはんだ付けが十分でないことから、基板実装後に於いて部品リードのはんだ剥離等による動作不安定要因を招来することになる。
【0021】
この際の図示波線で示す熱の放散は、電源層、グランド層等のベタパターンに於いて顕著である。この電源層、グランド層等のベタパターンに接続される、部品リードが挿入されるスルーホールに対して、電気的特性を満足させた状態で、はんだ実装時に於けるベタパターンへの熱放散を効率良く阻止する上で、サーマルランドに加えて、上記した銅抜きパッド29,29を用いることで、効率の良い熱放散抑制による信頼性の高い部品実装が可能となる。
【0022】
この銅抜きパッド29,29を設けた多層プリント配線板を用いて所定の部品を実装し、機器筐体に組み込むことで、はんだ不良に起因する各種の回路障害を排除して信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【0023】
上記した銅抜きパッド29とサーマルランド27との各種組合せによる変形例を図3乃至図9に示している。
【0024】
図3は、スルーホール26からの熱放散をベタパターン25の一方向に規制したサーマルランド27bと、その熱放散の規制方向に、即ちスルーホール26とサーマルランド27bとをつなぐ接続パターンsの延長線に沿う方向に円形の銅抜きパッド29を設けたサーマルランドと銅抜きパッドの組合せ例を示している。
【0025】
図4は、スルーホール26からの熱放散を幅広の接続パターンによりベタパターン25の一定方向に規制したサーマルランド27bと、その熱放散の規制方向に、複数の銅抜きパッド29,29,…を並べて設けたサーマルランドと銅抜きパッドの組合せ例を示している。
【0026】
図5は、スルーホール26からの熱放散を幅広の接続パターンによりベタパターン25の一定方向に規制したサーマルランド27bと、その熱放散の規制方向に、一つの長円状銅抜きパッド29を設けたサーマルランドと銅抜きパッドの組合せ例を示している。
【0027】
図6は、スルーホール26からの熱をベタパターン25の放射方向に放散する通常のサーマルランド27と、ベタパターン25上の特定の熱放散方向に一つの円形状銅抜きパッド29を設けたサーマルランドと銅抜きパッドの組合せ例を示している。
【0028】
図7は、スルーホール26からの熱放散をベタパターン25の二方向に規制したサーマルランド27cと、その各熱放散の規制方向にそれぞれ銅抜きパッド29,29を設けたサーマルランドと銅抜きパッドの組合せ例を示している。
【0029】
図8は、スルーホール26からの熱をベタパターン25の放射方向に放散する通常のサーマルランド27と、ベタパターン25上の特定の熱放散方向に一つの長円状銅抜きパッド29を設けたサーマルランドと銅抜きパッドの組合せ例を示している。
【0030】
図9は、スルーホール26からの熱放散をそれぞれ異なる二方向に規制したサーマルランド27c,27cと、その各サーマルランド27c,27cの特定の熱放散方向にそれぞれ銅抜きパッド29,29を設けたサーマルランドと銅抜きパッドの組合せ例を示している。
【0031】
尚、上記した各種の銅抜きパッド29,29,…は、それぞれ、通常の銅箔エッチング工程で、例えば他の各種スルーホールランド等とともに容易に(同時に)形成することができる。
【0032】
これら各種サーマルランドと銅抜きパッドの組合せに於いても、上記した実施形態と同様に、効率の良い熱放散抑制による信頼性の高い部品実装が可能となる。特に、環境対策の一環として、鉛フリーはんだを上記したような挿入部品のはんだ付けに使用すると、はんだ上がり性が悪く、これを改善する手段として、上記したようなサーマルランドと銅抜きパッドとの組合せを必要に応じ適宜用いることで非常に有用な手段となり得る。
【0033】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、グランド層や電源層等のベタパターンに接続するスルーホールにリード部品をはんだ付け実装する際のはんだ上がり性を改善した多層回路基板を実現でき、更にこの多層回路基板を用いてリード部品を強固にはんだ実装した信頼性の高い機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に於ける多層回路基板の要部の構成を示す図。
【図2】上記図1に示す構成から銅抜きパッドを除去した構成を示す図。
【図3】上記実施形態に於けるサーマルランドと銅抜きパッドとの組合せの変形例を示す図。
【図4】上記実施形態に於けるサーマルランドと銅抜きパッドとの組合せの変形例を示す図。
【図5】上記実施形態に於けるサーマルランドと銅抜きパッドとの組合せの変形例を示す図。
【図6】上記実施形態に於けるサーマルランドと銅抜きパッドとの組合せの変形例を示す図。
【図7】上記実施形態に於けるサーマルランドと銅抜きパッドとの組合せの変形例を示す図。
【図8】上記実施形態に於けるサーマルランドと銅抜きパッドとの組合せの変形例を示す図。
【図9】上記実施形態に於けるサーマルランドと銅抜きパッドとの組合せの変形例を示す図。
【図10】上記実施形態に於けるはんだ上がりの状態を示す図。
【図11】上記実施形態に於けるはんだ上がりの状態を示す図。
【符号の説明】
20…多層回路基板(多層プリント配線板)、25…ベタパターン、21,26…スルーホール、27,27b,27c…サーマルランド、29…銅抜きパッド、30…実装部品、31…実装部品のリード、40…はんだ、d…はんだの欠乏による間隙部分、s…スルーホールとサーマルランドとをつなぐ接続パターン。

Claims (12)

  1. ベタパターンに接続した、部品リードが挿入されるスルーホールと、
    前記ベタパターンの前記スルーホール周辺にベタパターンを剥離して形成した熱放散を抑制するピットと
    を具備したことを特徴とする多層回路基板。
  2. 前記スルーホールはサーマルランドを介して前記電源層若しくはグランド層に接続される請求項1記載の多層回路基板。
  3. 前記ベタパターンに設けられた前記サーマルランドの周辺の特定の位置に前記ピットを設けた請求項2記載の多層回路基板。
  4. 前記ピットは、前記サーマルランドのスルーホールとベタパターンとをつなぐ接続パターンの延長線に沿う方向に設けられる請求項3記載の多層回路基板。
  5. 前記サーマルランドは、ベタパターン上での熱放散方向を1方向若しくは2方向に規制する接続パターンを具備する請求項3記載の多層回路基板。
  6. 前記電源層若しくはグランド層のベタパターン上には、当該ベタパターン上での熱放散方向を1方向若しくは2方向に規制する接続パターンを具備したサーマルランドを更に設けた請求項2記載の多層回路基板。
  7. ベタパターンにより構成された電源層及びグランド層を含む多層回路基板を実装した電子機器に於いて、
    前記回路基板に、
    前記電源層若しくはグランド層を貫通するスルーホールと、
    前記スルーホールが貫通する前記電源層若しくはグランド層の前記スルーホール周辺にベタパターンを剥離して形成した熱放散を抑制するピットと、
    前記スルーホールにリードが貫通して前記多層回路基板に半田付け実装された電子部品と
    を具備したことを特徴とする電子機器。
  8. 前記スルーホールはサーマルランドを介して前記電源層若しくはグランド層に回路接続される請求項7記載の電子機器。
  9. 前記ベタパターンに設けられた前記サーマルランドの周辺の特定の位置に前記ピットを設けた請求項8記載の電子機器。
  10. 前記ベタパターンに設けられた前記サーマルランドの接続パターンの延長線上に少なくとも1つの前記ピットを設けた請求項9記載の電子機器。
  11. 前記サーマルランドは、ベタパターン上での熱放散方向を1方向若しくは2方向に規制する接続パターンを具備する請求項9記載の電子機器。
  12. 前記電源層若しくはグランド層のベタパターン上には、当該ベタパターン上での熱放散方向を1方向若しくは2方向に規制する接続パターンを具備したサーマルランドを更に設けた請求項8記載の電子機器。
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