JP2005011304A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高さ制限があり、発熱量が増加し易い電子機器を効果的に冷却し、信頼性を確保すること。
【解決手段】 制御ユニット30のシャーシ100内は、バックボード200により前側空間と後側空間とに仕切られる。後側空間には2個の制御モジュール700が上下に重ねて取り付けられ、前側空間には、2個のファンモジュール400と1個のダクト部材300とが取り付けられる。各ファンモジュール400は、それぞれ2個のファン410,420を内蔵する。各ファン410からの冷却風は、ダクト部材300等を介して下側の制御モジュール700内に流入し、他方のファン420からの冷却風は、上側の制御モジュール700内に流入する。いずれか一方のファンモジュール400が作動を停止した場合でも、残ったファンモジュール400で両方の制御モジュール700を冷却できるようになっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、ディスクアレイの制御装置等に用いて好適な電子機器に関する。
例えば、ディスクアレイ装置等に用いられる制御ユニットのような電子機器では、MPU等により高速かつ大量のデータ処理を行っている。このため、内部温度が上昇すると、処理性能等が低下するため、冷却ファン等を用いて内部温度の上昇を抑制している(例えば、特許文献1)。
特開2001−338486号公報
上記従来技術では、種々の熱対策を行っているが、より高速に高性能にデータ処理を行いたいという市場要求は年々増加する一方である。従って、これらの性能向上に応えるためには、MPUの性能等を高める必要があるが、MPUの性能向上は発熱量や消費電流の増大を招く。しかも、従来製品との取付上の互換性や省スペース等を保つ観点から、寸法制限を受ける場合が多い。即ち、データ処理の高性能化が求められる反面、機械的物理的寸法の増大は許されず、高性能化と高性能化による発熱量等の増大を定まった空間内でバランスよく解決しなければならない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、効果的な冷却を行うことにより性能向上と信頼性の確保を両立できるようにした電子機器を提供することにある。本発明のさらなる目的は、後述する実施の形態の記載から明らかになるであろう。
上記課題を解決すべく、本発明に従う電子機器は、筐体と、前記筐体内に一側空間と他側空間を画成するようにして設けられ、複数の冷却風用開口部と複数の電気的コネクタとが設けられている接続用回路基板と、前記一側空間内に位置して前記各冷却風用開口部にそれぞれ対応して設けられ、前記各電気的コネクタを介して前記接続用回路基板にそれぞれ電気的に接続される複数の制御モジュールと、前記他側空間内に設けられ、前記各冷却風用開口部にそれぞれ対応するファンを内蔵して構成される複数のファンモジュールと、前記他側空間内に位置して前記接続用回路基板と前記各ファンモジュールとの間に設けられ、前記各ファンの排気口を対応する前記各冷却風用開口部にそれぞれ接続させるダクト部材と、を備える。
本発明の一態様では、前記ダクト部材は、前記各ファンの各排気口にそれぞれ接続される複数の流入口と、前記冷却風用開口部にそれぞれ接続される複数の流出口と、前記各流入口と前記各流出口とを前記各冷却風用開口部毎にグループ化してそれぞれ連通させる複数の流路とを有し、前記各流路のうち少なくとも1つの流路を分割して形成できるように複数の分割体から構成されている。
前記各流路は互いに連通させてもよい。例えば、各流路間を連通して互いの冷却風を合流させる合流通路をダクト部材内に設けることにより、各ファンモジュールを構成するいずれか1つのファンが故障等で作動を停止した場合でも、残された全ての正常なファンからの冷却風を有効に利用して効率的に冷却を行うことができる。
また、前記ダクト部材の前記各流入口と前記各流路と前記各排出口とから成る流路系は、前記各排気口から前記各流入口に向けて冷却風が逆流しにくい形状に形成されているのが好ましい。
さらに、各流入口には、各ファンからの冷却風が各流路内に流入するのを許可し、逆向きの流れを阻止する開閉弁をそれぞれ設けることもできる。そして、開閉弁は、可撓性を有する材料から形成することができる。可撓性を有する開閉弁としては、例えば、柔軟性を有する高分子材料(ゴム等)から膜状または薄肉板状等に形成された軽量な弁を挙げることができる。開閉弁は、ファンから排気される冷却風の風圧により開弁して、冷却風が流路内に流入するのを許可する。ファンが停止すると、開閉弁は、自重や圧力差によって閉弁し、流入口を施蓋する。これにより、ファンが停止したときに逆流が生じるのを防止することができる。なお、開閉弁を柔軟性に富む材料から平板な膜状に形成する場合、開閉弁が閉じるときに、開閉弁の形状が変化して流入口の外側に出ないように防御機構を備えるのが好ましい。このような防御機構としては、例えば、開閉弁の閉弁位置を規制するためのストッパ部材を流入口に設けたものが考えられる。例えば、ストッパ部材は、少なくとも開閉弁の略中央部を支持でき、かつ、流入口の流路面積が低下しないように、小面積に形成されるのが好ましい。
本発明の一態様では、前記各ファンモジュールの各ファンは、軸方向から吸気して径方向に排気するシロッコファンとしてそれぞれ構成されており、前記各ファンの排気口は、内側を向くようにして配設されている。
本発明の一態様では、前記各ファンモジュールのうちいずれか1つのファンモジュールの作動が停止した場合には、残りのファンモジュールの送風力を増大させるように制御する。
本発明の一態様では、前記各制御モジュールは、前記冷却風用開口部の近傍に発熱体となる電子部品が配置されている。
本発明の一態様では、さらに、前記筐体の一側空間内には前記各制御モジュールに隣接して電源モジュールを配置し、前記電源モジュールと前記各制御モジュールとの間には、断熱用通気路を形成する。
本発明の一態様では、前記電源モジュールは吸気ファンを内蔵しており、前記断熱用通気路の下流側には、前記各制御モジュールを冷却した冷却風を前記電源モジュールの吸気ファンを介して外部に排気させるための連通孔が形成されている。
本発明の一態様では、前記制御モジュールは、前記電源モジュールから供給される高電圧入力を低電圧出力に変換する変換回路を備え、前記変換回路は、前記冷却風用開口部の近傍に配置されている。
本発明の一態様では、前記接続用回路基板の各冷却風用開口部のうち少なくともいずれか1つの冷却風開口部は複数の開口部から形成されている。
本発明の一態様では、前記複数の開口部は、前記接続用回路基板の配線パターンの長さを短縮するために設けられている。
本発明の一態様では、さらに、前記筐体の他側空間内には前記各ファンモジュールに隣接してバッテリモジュールを配置し、前記バッテリモジュールは、前記各ファンモジュールに隣接する第1の側面と外部に面する第2の側面とにそれぞれ複数の連通孔が形成され、第2の側面の各連通孔から前記第1の側面の各連通孔を介して前記ファンモジュールに外気を供給する。
以下、図1〜図16に基づき、本発明の実施の形態を、ディスクアレイ装置の制御ユニットに適用する場合を例に挙げて説明する。まず、制御ユニット30の全体的な概要を簡単に説明し、次に、制御ユニット30が用いられるディスクアレイ装置の全体像について説明し、さらに、制御ユニット30の各部について詳細に説明する。本実施形態では、以下に述べるように、種々の冷却対策を施している。
[1.制御ユニットの概要]
図1は、制御ユニット30の概要を示す分解斜視図である。制御ユニット30は、後述のように、ディスクアレイ装置1の動作を制御する装置である。制御ユニット30は、それぞれ後述するように、シャーシ100と、バックボード200と、ダクト部材300と、2個のファンモジュール400と、2個のバッテリモジュール500と、飾り扉600と、2個の制御モジュール700と、2個のインターフェースモジュール(以下、I/Fモジュールと略記。図4参照)800と、2個の電源モジュール900とから大略構成されている。
シャーシ100は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料から中空の箱状に形成されており、シャーシ100の長手方向両端側には、図中手前に位置する前側開口部101と図中奥側に位置する後側開口部102とが形成されている。シャーシ100は、例えば、一辺と残りの三辺とが分離可能なように、ネジ等の締着部材により分解可能に構成されている。また、シャーシ100の前側開口部101の両側には、シャーシ100の前側空間内に長手方向に延びて形成された各前側サイドダクト104に連通する空気取入孔103がそれぞれ形成されている。
ここで、シャーシ100は、後述の専用ラック10に収容できるように、その高さ寸法H等が決定されている。高さ寸法Hは、”EIA STANDARDのEIA-310-D”で規定された3U(約133.35mm)以下となるように設定されている。このシャーシ高さ寸法Hに合わせて、シャーシ100内に取り付けられる各モジュールの高さ寸法も決定されている。なお、シャーシ100の形状や材質、高さ寸法等は一例であって、本発明はこれに限定されない。
バックボード200は、各制御モジュール700を支持すると共に、各制御モジュール700間や他のモジュールとの電気的に接続を行うものである。バックボード200は、シャーシ100の前側開口部101側寄りに位置して、シャーシ100の長手方向の略中間部に垂直に設けられている。バックボード200は、略平板状に形成されており、後述のように、冷却風用の開口部201〜203や電気コネクタ210〜213が設けられている。
シャーシ100内にバックボード200を取り付けることにより、シャーシ100内には、後側開口部102からバックボード200の後面に至る後側空間と、前側開口部101からバックボード200の前面に至る前側空間とがそれぞれ画成される。従って、バックボード200により、シャーシ100内の空間は二分され、基本的に前側空間と後側空間とは分離される。しかし、本発明では、後述のように、所定の位置に所定の冷却風用の開口部201〜203を形成することにより、前側空間と後側空間とをバックボード200を介して部分的に連通せしめ、効率的な冷却を行えるようになっている。このように、バックボード200は、各制御モジュール700を支持する支持機能と、各制御モジュール700等を電気的に接続する接続機能と、シャーシ100内に空間(前側空間と後側空間)を形成する空間形成機能と、前側空間からの冷却風を後側空間に流入させる冷却機能とを、それぞれ実現する。
ダクト部材300は、各ファンモジュール400から送風される冷却風を、各制御モジュール700毎にまとめてそれぞれ排気させるためのものである。ダクト部材300は、シャーシ100内の前側空間内に位置して、バックボード200の前面一側(図1中右側)と各ファンモジュール400との間に、着脱可能に設けられている。ダクト部材300は、例えば、プラスチック発泡材料から略五角形状の横断面を有する箱状に形成されており、塵埃等が発生しないように、その表面が樹脂等でコーティングされている。詳細は後述するが、ダクト部材300の前面には、各ファンモジュール400の各排気口にそれぞれ対応する合計4個の流入口が設けられ、ダクト部材300の後面側には、各制御モジュール700に対応する合計2個の流出口が設けられている。ダクト部材300には、各ファンモジュール400の2個の排気口のうち一方の排気口からの冷却風を上側の制御モジュール700に導き、他方の排気口からの冷却風を下側の制御モジュール700に導くために、各流入口と各流出口とをそれぞれ結ぶ流路が形成されている。
各ファンモジュール400は、シャーシ100内の各制御モジュール700を冷却するための冷却風を生成するものである。各ファンモジュール400は、水平方向に隣接する一対のファン(好ましくはシロッコファン)からそれぞれ構成されており、2個の独立した排気口をそれぞれ備えている。各ファンモジュール400には、その前面及びバッテリモジュール500と隣接する側面に空気取入孔401がそれぞれ形成されている(前面側の空気取入孔のみ図示)。各ファンモジュール400は、各ファンにより外気を軸方向から吸い込んで径方向にそれぞれ排気する。各ファンモジュール400は、垂直方向に積み重ねられるようにして、シャーシ100の前側空間に挿入され、ダクト部材300の前面側に対向して着脱可能に取り付けられるようになっている。
各ファンモジュール400の2個の排気口のうち一方の排気口(図1中左側の排気口)から排気される冷却風は、ダクト部材300からバックボード200の上側の冷却風用開口部201を介してシャーシ100の後側空間に流入し、シャーシ100内の上側に取り付けられた制御モジュール700を冷却するようになっている。同様にして、各ファンモジュール400の他方の排気口から排気される冷却風は、ダクト部材300からバックボード200の下側の冷却風用開口部202を介してシャーシ100の後側空間に流入し、シャーシ100内の下側に取り付けられた制御モジュール700を冷却するようになっている。
このように、各ファンモジュール400は、2個の排気口がそれぞれ別の制御モジュール700向けの冷却風を排気するようになっているので、いずれか一方のファンモジュール400が障害の発生等で作動しなくなった場合でも、残りの正常なファンモジュール400によって2個の制御モジュール700の冷却を続行できるようになっている。このような冗長構成を採用することにより、冷却時のフェイルセーフ機能が確保されている。また、後述のように、障害発生時には、正常なファンモジュール400への駆動電圧を上げることにより、送風力を増大させるようになっている。
各バッテリモジュール500は、停電時の非常用電源を供給するためのものである。各バッテリモジュール500の前面と各ファンモジュール400に対向する側面とには、通気孔502が形成されている(側面の通気孔のみ図示)。各バッテリモジュール500は、後述のように、内部に複数個の電池を収容しており、停電等によってディスクアレイ装置1への給電が断たれた場合には、キャッシュメモリ上のデータを所定のディスクドライブへ書き込んで、計画的な停止を自動的に完了するまでの間、電力を供給するようになっている。これにより、停電時のデータ消失を防止することができる。なお、内蔵電池は、経年劣化するため、各バッテリモジュール500の定期交換を容易にできるように、各バッテリモジュール500は、その前面がシャーシ100の前面開口部に露出するようにして設けられており、かつ、各バッテリモジュール500の前面には、ユーザが把持するためのハンドル501が設けられている。ユーザは、ハンドル501を把持してバッテリモジュール500を引き出すことにより、新品のバッテリモジュール500に容易に交換することができる。
飾り扉600は、シャーシ100の前側空間に、ダクト部材300と、各ファンモジュール400と、各バッテリモジュール500を取り付けた後で、シャーシ100の前側開口部101を施蓋するためのものである。飾り扉600は、シャーシ100に着脱可能に取り付けられており、飾り扉600には複数のルーバ601が着脱可能に取り付けられている。また、各ルーバ601は、それぞれ通気性を有し、外気は各ルーバ601を介してシャーシ100内に流入するようになっている。
各制御モジュール700は、ディスクアレイ装置1の動作を制御するためのものであり、後述のように、MPU(Micro Processing Unit)やキャッシュメモリ等を搭載する2枚の制御基板710,720等からそれぞれ構成されている。各制御モジュール700は、シャーシ100内の後側空間内に位置して、垂直方向に離間して配置されている。各制御モジュール700の前端部に形成された端子は、バックボード200の後面側に設けられたコネクタにそれぞれ嵌着されるようになっており、これによって各制御モジュール700は、バックボード200に形成された配線を介して互いに電気的に接続される。また、各制御モジュール700は、バックボード200に機械的に支持されている。各制御モジュール700は、互いにキャッシュメモリを共有することにより、キャッシュ容量を増大させてホストコンピュータからのデータアクセスを高速化している。なお、以下の説明では、特に上下の制御モジュールを区別して説明する場合には、上側の制御モジュール700を上側制御モジュール700Uと、下側の制御モジュール700を下側制御モジュール700Lと呼ぶ。
[2.ディスクアレイ装置の外観]
図2は、ディスクアレイ装置1の正面図である。ディスクアレイ装置1は、専用ラック10と、専用ラック10内に収容された複数台のハードディスクユニット20と、各ハードディスクユニット20へのデータアクセス等を制御する制御ユニット30とから構成されている。
各ハードディスクユニット20及び制御ユニット30は、上述した3Uの値に設定された高さ寸法Hをそれぞれ有している。専用ラック10は、例えば、19インチ程度の横幅寸法を有しており、専用ラック10内に収容される各ハードディスクユニット20及び制御ユニット30の横幅寸法は同一である。また、各ハードディスクユニット20と制御ユニット30の奥行寸法も同一の値に設定されている。従って、各ハードディスクユニット20と制御ユニット30とは、同一の外形寸法を有しており、外観上の統一感を発揮している。また、配線上の問題等を考慮しないのであれば、各モジュール20,30を自由に専用ラック10内に配置させることができる。
[3.ディスクアレイ装置のアーキテクチャ]
図3は、ディスクアレイ装置1の制御上のアーキテクチャ概要を示す概略説明図である。各制御モジュール700は、上位I/F750から配線L1を介して、上位装置であるホストコンピュータ(図示せず)と双方向のデータ通信が可能に接続されている。また、各制御モジュール700は、I/Fモジュール800の下位I/F810から配線L21〜L24を介して、下位装置である各ハードディスクユニット20のディスク装置21にそれぞれ接続されている。ホストコンピュータとしては、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、メインフレーム等を用いることができる。
ホストコンピュータと制御モジュール700との間を接続する配線L1としては、例えば、LAN(Local Area Network)やSAN(Storage Area Network)等を使用できる。SANを用いる場合、ファイバチャネルプロトコルに従った高速なデータ通信が行われる。制御モジュール700と各ハードディスクユニット20との間は、例えば、配線L21〜L24により直接的に接続される。なお、以上は例示であり、本発明はこれらに限定されない。
各制御モジュール700は、MPU730やキャッシュメモリ740等を備えており、ホストコンピュータから受信したコマンドに従って、データ書き込み要求及びデータ読出し要求を処理するようになっている。各ハードディスクユニット20のディスク装置21により提供される物理的な記憶領域上には、論理ボリューム(Logical Unit)が設定されており、この論理ボリューム上にデータが記憶されている。各ハードディスクユニット20によって、RAID(Redundant Array of Independent(Inexpensive)Disks)でデータを管理することができるようになっている。
各制御モジュール700は、データ書き込み要求に応じて、キャッシュメモリ740に一時的に記憶させたデータを所定の論理ボリュームに書き込む。また、各制御モジュール700は、データ読出し要求に応じて、所定の論理ボリュームから所定のデータを読み出して、ホストコンピュータに送信する。図示の例では、各制御モジュール700は、それぞれ2個のチャネルを有している。従って、制御ユニット30全体では合計4個のチャネルを備え、4台のホストコンピュータからのデータ入出力要求をそれぞれ個別に処理できるようになっている。
[4.制御ユニットの冷却構造(概要)]
次に、図4に基づいて、本発明に従う制御ユニット30の冷却構造について全体概要を説明する。図4は、制御ユニット30を図1中の矢示A−A方向から見た概略図である。
図4を参照しながら、制御ユニット30のシャーシ100内における冷却風の大まかな流れを説明する。シャーシ100内を流れる冷却風は、大きく2種類に分けることができる。その一つは、2個のファンモジュール400により強制的に送り込まれる冷却風である。他の一つは、シャーシ100の後側空間両側にそれぞれ配置された合計2個の電源モジュール900が内蔵する吸気ファン910により作り出される冷却風である。
まず、各ファンモジュール400により発生する冷却風の詳細を見る。ファンモジュール400は、ファンモジュール400前面の空気取入孔401と、バッテリモジュール500との2つの吸気経路からそれぞれ空気を取り込むようになっている。各ファンモジュール400の作動により各ファンモジュール400近傍の圧力が低下すると、バッテリモジュール500の前面の通気孔502からバッテリモジュール500内に空気が流入し、この流入した空気は、バッテリモジュール500の側面の通気孔502を介して、各ファンモジュール400に流れ込む。各ファンモジュール400の各ファン410,420は、吸気口411,421から空気を吸入し、吸入した空気をファンブレードの回転力により排気口412,422からそれぞれ排気させる。
各ファンモジュール400の各ファン410,420からそれぞれ排気された冷却風は、ダクト部材300に流入し、上側制御モジュール700Uに向かう冷却風と、下側制御モジュール700Lに向かう冷却風とに分離される。上側制御モジュール700Uに向かう冷却風は、ダクト部材300の上側流出口から流出し、バックボード200の上側開口部201を介して、上側制御モジュール700U内に流入する。同様に、下側制御モジュール700Lに向かう冷却風は、ダクト部材300の下側流出口から流出し、バックボード200の下側開口部202を介して、下側制御モジュール700L内に流入する。
各制御モジュール700は、上下に離間して配置された2枚の制御基板710,720からそれぞれ構成されている。このため、バックボード200の開口部201,202を介して各制御モジュール700内に流入した冷却風は、上側の制御基板710を冷却する上側冷却風FCUと、下側の制御基板720を冷却する冷却風FCLとに別れ、それぞれの制御基板を冷却する。図4中では、上側制御モジュール700Uの上側制御基板710上を流れる冷却風等の様子を示している。上側制御モジュール700Uと下側制御モジュール700Lとで、やや冷却風の流れ方は異なるが、冷却の基本的な構造自体は変わりない。同様に、同一の制御モジュール内の上側制御基板710と下側制御基板720も、冷却風の流れ方はやや異なるが、大まかな冷却風の流れに変化はない。
そこで、上側制御モジュール700Uの上側制御基板710に着目して冷却風の流れを説明すると、バックボード200の上側開口部201から上側制御モジュール700Uの上側制御基板710上に流入した冷却風FCU1は、まず、上側開口部201の近傍に位置するように設けられているMPU730及びその周辺の電子部品を冷却する。次に、MPU730の熱を奪った冷却風は、上側制御基板710の中間部に達して冷却風FCU2となり、I/Fモジュール800や周辺の電子部品を冷却する。
上側制御基板710の中間部に到達した冷却風FCU2の一部である冷却風FCU3は、上側制御基板710の両脇からシャーシ100の後側空間内に形成された各後側サイドダクト105にそれぞれ流入する。これら各後側サイドダクト105は、シャーシ100の後側空間に位置して、各制御モジュール700と各電源モジュール900との間に形成されている。各後側サイドダクト105は、その下流側の一部のみが各制御モジュール700内に連通するように形成されている。これにより、各後側サイドダクト105は、その上流域から中流域にかけて断熱効果を発揮し、各電源モジュール900からの熱が各制御基板710,720に伝達するのを防止している。上側制御基板710の各電子部品等を冷却した冷却風は、制御モジュール700の後面に形成された通気孔から排気FCU4で示すように外部に排出される。また、制御モジュール700から後側サイドダクト105に流入した冷却風FCU3は、排気FCU5で示すように外部に排出される。
下側制御基板720上の冷却風の流れも同様である。このように、制御モジュール700内の各制御基板710,720は、各ファンモジュール400から強制的に送り込まれる冷却風により冷却されるようになっている。
次に、他の冷却風の流れについて説明する。各電源モジュール900は、その後側に吸気ファン910を内蔵しており、これら各吸気ファン910が作動することにより、外気が吸い込まれて電源モジュール900を冷却するようになっている。即ち、各吸気ファン910が作動すると、シャーシ100の前面両側に形成された各空気取入孔103からシャーシ100の両側に形成された前側サイドダクト104内に空気が流れ込む。各前側サイドダクト104は、電源モジュール900を冷却するための専用のダクトとして構成されている。各前側サイドダクト104内に流入した空気は、バックボード200の各サイド開口部203を介して、符号FS1で示す冷却風として各電源モジュール900内にそれぞれ流入する。各電源モジュール900内に流入した冷却風FS1は、各電源モジュール900内を冷却し、各吸気ファン910により排気FS2としてそれぞれ外部に排出される。
以上がシャーシ100内を流れる冷却風の概略である。冷却風及び冷却風に関係する各モジュールの詳細は、さらに後述する。
[5.バッテリモジュールの構造]
次に、図4を参照して、各バッテリモジュール500の構造を説明する。各バッテリモジュール500は、例えば、5個の電池510を直列に接続した電池ユニット520を3個並列に接続することにより構成されている。3個の電池ユニット520は、均等に充電されるように制御されている。ここで、各電池510の温度に差があると、温度差により電池が劣化する。また、各電池510間や各電池ユニット520間の配線長の差が大きいと、インピーダンスの差も増大するため、均等充電を行うことができない。そこで、本実施形態では、図4に示すように、3個の電池ユニット520をそれぞれバックボード200に対して平行になるように隣接して配置している。これにより、各電池510の温度差や配線長差を少なくし、均等充電を行えるようにしている。
[6.ファンモジュールの構造]
次に、図5を参照して、各ファンモジュール400の構造を説明する。図5は、ファンモジュール400の投影図であって、図5(a)は正面図、図5(b)は平面図、図5(c)は右側面図、図5(d)は左側面図、図5(e)は背面図である。
図5(a)に示すように、ファンモジュール400の正面は、シャーシ100の前側開口部に露出しており、外部の空気を取り入れるための空気取入孔401が形成されている。また、図5(d)に示すように、ファンモジュール400のバッテリモジュール500側に隣接する側面には、バッテリモジュール500内から空気を取り入れるための空気取入孔402が形成されている。図5(c)に示すように、ファンモジュール400の他方の側面は、シャーシ100の前側サイドダクト104に隣接するため、空気取入孔は形成されていない。各前側サイドダクト104は、電源モジュール900に外気を取り込むための専用のダクトとなっているためである。
図5(b)に示すように、各ファン410,420は、例えば、軸方向の吸気口411,421からそれぞれ吸気し、径方向の排気口412,422からそれぞれ排気する横流形のファンとして構成されている。横流形ファンとして、本実施形態では、シロッコファンを採用している。シロッコファンを採用することにより、比較的小型でありながら十分な風量を確保することができ、また、シャーシ100内からの逆流を防止することができる。
また、本実施形態では、各ファン410,420を同一構造とし、2台のファンモジュール400で合計4個の同一のファンを使用する。このように、ファンを共用化することにより、製造コストの低減を図っている。左右のファン410,420の回転方向をそれぞれ逆向きとなるように構成すれば、ファンの配置を対称構造にすることも可能であるが、その場合は、回転方向の異なる2種類のファンが必要となり、製造コストや部品管理コスト等が増大する。もっとも、本発明はこれに限らず、回転方向の異なるファンを採用する場合も含む。
各ファン410,420の吸気口411.421には、上述のように、ファンモジュール400の前面に形成された空気取入孔401からファンモジュール40内に流入する空気と、バッテリモジュール500の通気孔502からバッテリモジュール500内及びファンモジュール400の側面の空気取入孔402を介してバッテリモジュール500内に流入する空気とが供給される。このように、2種類の吸気系統を構築することにより、十分な風量を確保できるようになっている。
各ファン410,420の排気口412,422は、それぞれ中心線に対して角度θ1,θ2で傾斜している。即ち、各ファン410,420からは、中心に向かって収束するような形で冷却風が排気されるようになっている。これにより、各ファンモジュール400からの冷却風を所定の流路に分離するためのダクト部材300の形状を小さくできる。ファンモジュール400から略平行に冷却風を排気させるようにすることも可能であるが、この場合は、冷却風を受け入れるダクト部材300の前面形状も大きくする必要があり、ダクト部材300が大型化する。本発明に従うファンモジュール400は、中心に向かうように冷却風を排気するため、ダクト部材300を小型化できるようになっている。
[7.ダクト部材の構造]
次に、図6〜図9を参照して、ダクト部材300の構成を説明する。まず、図6の斜視図を参照する。図6(a)はダクト部材300を前側から見た斜視図であり、図6(b)はダクト部材300を後側から見た斜視図である。図6(a)に示すように、各ファンモジュール400に対面するダクト部材300の前側には、各ファン410,420の各排気口412,422がそれぞれ接続される流入口311,312,321,322が形成されている。図6(b)に示すように、ダクト部材300の後側には、バックボード200の各開口部201,202に対応する2個の流出口330,340が形成されている。上側の流出口330はバックボード200の上側開口部201に対応し、下側の流出口340はバックボード200の下側開口部202に対応している。各ファン410,420から排気された冷却風F410,F420は、各流入口311,312,321,322からそれぞれダクト部材300内に流入する。そして、流出口330から流出した冷却風FCUは、バックボード200の上側開口部201を介して上側制御モジュール700Uに流入し、流出口340から流出した冷却風FCLは、バックボード200の下側開口部202を介して下側制御モジュール700Lに流入するようになっている。
図7に示すように、各ファンモジュール400の一側のファン410が接続される一側(図7中の右側)の流入口311,312は、それぞれ下側流路350の上流側に接続されて統合されている。そして、下側流路350の下流側は、下側流出口340に接続されている。一方、他側のファン420が接続される他側の流入口321,322は、それぞれ上側流路360の上流側に接続されて統合されている。そして、上側流路360の下流側は、上側流出口330に接続されている。従って、各ファンモジュール400は、一側のファン410が下側の制御モジュール700Lを冷却し、他側のファン420が上側の制御モジュール700Uを冷却するようになっており、各ファンモジュール400のいずれか一方が障害等で作動を停止した場合でも、残されたファンモジュール400により上下の制御モジュール700の両方に冷却風を送り込めるようになっている。
ここで、ダクト部材300の各流入口311,312,321,322と各流路350,360と各流出口330,340とから構成される流路系は、各ファン410,420からの冷却風が滑らかに流れ、シャーシ100側から冷却風が逆流しにくい形状となるように形成されている。
図5と共に上述した通り、各ファンモジュール400の各ファン410,420は、排気の向きが中心方向を向くようにして設定されているため、図8に示すように、ダクト部材300を小型に形成できる。また、上側流出口330と下側流出口340とは、それぞれダクト部材300後面で一部が重なるようにして形成されており、これもダクト部材300の小型化に寄与している。
次に、図9を参照して、ダクト部材300の分割構造について説明する。図9、ダクト部材300の投影図の一部を示し、図9(a)は背面図、図9(b)は平面図、図9(c)は正面図である。上述の通り、ダクト部材300の内部には、一側の各流入口311,312からの冷却風を統合して下側流出口340に導き、他側の各流入口321,322からの冷却風を統合して上側流出口330に導くような、流路350,360が形成される。また、これら各流路350,360は、シャーシ100内からの逆流を防止するように、各ファンモジュール400からの冷却風が流れやすい形状に形成される。
従って、流路350,360の形状は比較的複雑であるため、ダクト部材300は、左右に2分割可能な構造として構成されている。即ち、図9中の右側に示す一側分割体300Rと、左側に示す他側分割体300Lとから、ダクト部材300は構成されている。これら各分割体300R,300Lとを気密(必ずしも厳密な気密性を有する必要はない)に接合させることにより、各流路350,360が形成される。これにより、複雑な形状の流路350,360でも容易に形成することができる。なお、図9では、ダクト部材300を左右方向(横幅方向)に2分割する場合を例示したが、これに限らず、上下方向等のように他の方向に分割してもよく、さらに、3分割または4分割等してもよい。但し、分割数が多くなると、部品管理コストや組み立てコスト等が増大する。
[8.バックボードの構造]
次に、図10に基づいて、バックボード200の詳細な構造を説明する。図10(a)は正面図、図10(b)は背面図、図10(c)は、(a)の部分拡大図である。バックボード200は、例えば、略平板状のプリント基板として形成されており、バックボード200の上側には、上側制御モジュール700Uに対応する矩形状の上側開口部201が横方向(左右方向)に形成され、バックボード200の下側には、下側制御モジュール700Lに対応する矩形状の下側開口部202が左右方向に形成されている。より詳しくは、下側開口部202は、大面積を有する大開口部202Aと、小面積に形成された小開口部202Bとの2個の開口部から構成されている。全体として下側開口部202と称する。ここで、上側開口部201と下側開口部202とは、左右方向に若干ずれて平行に形成されており、各開口部201,202の面積は、上下の風量差が大きくならないように、略同一となるように設定されている。
また、上側開口部201には風向版204が設けられ、下側開口部202には別の風向版205が設けられている。これらの各風向版204,205は、上方に流れやすい冷却風の向きを下側に変えて、各制御モジュール700内で下側に位置する下側制御基板720にも十分な冷却風を導くためのものである。なお、各風向版204,205は、バックボード200に設ける必要はなく、ダクト部材300の流出口330,340に設けてもよい。
バックボード200の左右両側には、上下方向に延びる矩形状のサイド開口部203がそれぞれ形成されている。各サイド開口部203は、シャーシ100の各前側サイドダクト104と各電源モジュール900の内部空間とをそれぞれ連通させるものである。
図10(a)に示すように、バックボード200の正面には、各バッテリモジュール500に対応する位置にコネクタ210がそれぞれ設けられている。また、図10(b)に示すように、バックボード200の裏面には、上側制御モジュール700Uの端子に接続される上側コネクタ211と、下側制御モジュール700Lの端子に接続される下側コネクタ212と、各電源モジュール900にそれぞれ接続されるサイドコネクタ213とが設けられている。そして、バックボード200には、各コネクタ間を必要に応じて電気的に接続するための配線パターンが形成されている。
図10(c)に示すように、上側コネクタ211が取り付けるパッド群214と、下側コネクタ212が取り付けられるパット群215とは、所定の端子同士が配線パターンを介して接続されている。ここで、下側開口部202を構成する大開口部202Aと小開口部202Bとの間の隙間には、各パッド群214,215の所定の端子同士を接続する配線パターン216が形成されている。この配線パターン216は、例えば、各制御モジュール700がファイバチャネル等で高速なデータ通信を行うために形成されたものである。即ち、大開口部202Aと小開口部202Bとの間の隙間に形成された配線パターン216は、より短い配線長が好ましい電気信号を伝達するために用いられるものである。
高速な信号伝達を安定して行うためには、配線長をできる限り短くして、インピーダンスやストレキャパシタンスあるいはノイズ等の影響を極力低減する必要があるため、このような信号伝達に用いる配線パターン216の配線長を短くするために、下側開口部202を大開口部202Aと小開口部202Bとに分割している。なお、図中では、配線パターン216のみを図示しているが、上側パッド群214と下側パット群215とは、必要に応じて図示せぬ別の配線パターンにより接続されている。
[9.制御モジュールの構造]
図11及び図12を参照して、各制御モジュール700の構造を説明する。まず、制御モジュール700内の各制御基板710,720の構成を示す図11を参照する。図11(a)は上側制御基板710の平面図、図11(b)は下側制御基板720の平面図、図11(c)は各制御基板710,720を上下に組み付けた状態で矢示B−B方向から見た断面図である。
図11(a)に示すように、上側制御基板710は、バックボード200に取り付けられる前側寄りに位置するMPU730や他の電子部品733,734等を搭載しており、上側制御基板710の後側には、各I/Fモジュール800を取り付けるための切欠部711が形成されている。ここで、MPU730を冷却するヒートシンク731(図11(c)参照)や他の電子部品(例えば、ICやLSI等)733,734は、バックボード200側から流入する冷却風の向きに沿って、長手方向に配置されている。但し、全ての電子部品が冷却風の流れに沿って配置されている必要はなく、ヒートシンク731やキャッシュメモリ740等の冷却風の流れに影響を与えうる主要部品を、冷却風の流れと略平行になるように配置することにより、冷却風を滑らかに流すことができる。
図11(b)に示すように、下側制御基板720は、上側制御基板710よりも大面積を有する矩形の平板状に形成されており、キャッシュメモリ740やDC/DCコンバータ760が搭載されている。また、下側制御基板720の後側には、上側制御基板710の切欠部711に対応して、各I/Fモジュール800が取り付けられるようになっている。
ここで、キャッシュメモリ740は、例えば、DDR-SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)等からなり、上側制御基板710の他側の側縁から上方に突出するようにして取り付けられ、冷却風の流れに対して略平行、即ち、制御モジュール700の長手方向に対して平行となるように取り付けられている。換言すれば、ヒートシンク731や他の電子部品733,734、キャッシュメモリ740、DC/DCコンバータ760を制御モジュール700の長手方向に対して略平行に取り付けることにより、制御モジュール700内に流入した冷却風を整流し、制御モジュール700の後方に向けて流すようにしている。特に、冷却風の整流効果が期待されるのは、冷却風の流入口近傍に位置するヒートシンク731である。
一方、DC/DCコンバータ760は、バックボード200寄りに位置して下側制御基板720に取り付けられている。第1の理由は、DC/DCコンバータ760は、MPU730と並ぶ発熱体であるので、冷却風の流入口近傍に配置させることにより、効果的に冷却するためである。第2の理由は、DC/DCコンバータ760へ入力される高電圧入力のライン長を短くするためである。
即ち、DC/DCコンバータ760は、電源モジュール900からバックボード200の配線パターン及び下側制御基板720の配線パターンを介して入力される高電圧入力(例えば、直流54V)を、低電圧出力(例えば、直流3.3V)に変換して、所定の各部に供給するものである。従って、DC/DCコンバータ760をバックボード200から離して下側制御基板720上に搭載すると、バックボード200からDC/DCコンバータ760までの間の距離が長くなり、下側制御基板720上を高電圧の電流が流れる距離が増大し、ノイズ等の観点から好ましくない。そこで、本発明では、DC/DCコンバータ760をバックボード200側に搭載することにより、高電圧入力ラインの長さを短縮している。
また、例えば、各電源モジュール900から所定の低電圧を出力させる構成も考えられるが、この場合は、負荷であるMPU730や電子部品733,734への給電ラインの長さが増加する。従って、消費電力等によっても相違するが、給電ライン上での電圧ドロップ等を生じる可能性がある。そこで、本発明では、各制御モジュール700内にそれぞれDC/DCコンバータ760を搭載し、給電ラインの短縮も図っている。また、負荷の近傍にDC/DCコンバータ760を配置することにより、消費電流の増大に対応することができるから、MPU730の性能向上に追従することができる。さらに、入力電圧を例えば54V程度に高くすることにより、低電流入力することができ、コネクタの電源ピン数を少なくすることができる。
図12は、制御ユニット30の背面図である。上下に重ねられた各制御モジュール700の両側には、それぞれ電源モジュール900が着脱可能に取り付けられている。各制御モジュール700の後側には、多数の通気孔701が形成されている。また、各I/Fモジュール800の後側にも、多数の通気孔801がそれぞれ形成されている。
各制御モジュール700の後側には、各I/Fモジュール800の下側に位置して、各ホストコンピュータに接続可能な2個の上位I/F750がそれぞれ設けられている。各I/Fモジュール800の後側には、各ハードディスクユニット20に接続するための下位I/F810がそれぞれ設けられている。
一方、各電源モジュール900の後側には、通気孔901と、例えば、交流100V等の商用電源が入力される電源コネクタ902と、電源スイッチ903と、ハンドル904とがそれぞれ設けられている。また、上述の通り、各電源モジュール900と各制御モジュール700との間には、後側サイドダクト105が形成されている。
また、各上位I/F750は、制御モジュール700内の冷却風の流れに合わせて、制御モジュール700を上方から見下ろした場合に他側(左側)に位置するように、配置されている。
[10.各制御基板上の冷却風の流れ]
次に、図13を参照して、各制御モジュール700U,700L上を流れる冷却風について説明する。図13(a)は上側制御モジュール700U上を流れる冷却風を示し、図13(b)は下側制御モジュール700L上を流れる冷却風を示す。
図13(a)に示すように、各ファンモジュール400の各他側ファン420からの冷却風は、ダクト部材300の流路360内で合流し、上側流出口330から上側制御モジュール700U内に、制御モジュール700の長手方向に対して若干傾く方向で流入する。この流入した冷却風FCU1は、流出口330の近傍に配置されたMPU730等を冷却し、ヒートシンク731やキャッシュメモリ740等により整流されて、上側制御モジュール700Uの長手方向中間部に到達する。上側制御モジュール700Uの略中間部に達した冷却風FCU2は、周辺の電子部品734等を冷却し、一部はそのまま直進して制御モジュール700Uの後側に形成された通気孔701から外部に排出される。残りの冷却風FCU2は、上側制御モジュール700Uの後側両側面にそれぞれ形成された各通気孔702を介して、各後側サイドダクト105内にそれぞれ流入し、各後側サイドダクト105から外部に排出される。
図13(b)に示すように、各ファンモジュール400の各一側ファン410からの冷却風は、ダクト部材300の流路350内で合流し、下側流出口340から下側制御モジュール700L内に流入する。下側流出口340から流出直後の冷却風FCL1は、下側制御モジュール700Lの長手方向に対して一側方向に傾いて下側制御モジュール700L内に流入し、上記同様に、MPU730等を冷却し、その流れが整流される。そして、上記同様に、下側制御モジュール700Lの略中間部に到達した冷却風FCL2は、その一部が下側制御モジュール700Lの通気孔701を介して外部に排出され、残りは側面の通気孔702を介して後側サイドダクト105内に流入し、外部に排出される。
[11.活線挿入時の突入防止回路]
次に、図14に基づいて、活線挿入時の突入防止回路を説明する。本発明に従う各制御モジュール700は、ディスクアレイ装置1を稼働させた状態でメンテナンス作業等を行えるように、活線挿抜が可能となっている。従って、各制御モジュール700は、活線挿入時の突入電流を防止する必要があり、そのための突入防止回路として、図14に示す回路を備えている。
図14(a)は、突入防止回路の一つの例を示し、この回路は、PchMOSFET1001を使用して、コントローラ活線挿入時の54V−GND間静電容量Cに対する突入電流を抑制する回路である。ここで、PchMOSFETとは、PチャネルのMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。PchMOSFETでは、ゲート端子Gに負電圧を印加すると、ゲート端子Gとソース端子Sとの間の電位差によって、ソース端子S−ドレイン端子D間の抵抗値が変化し、ソース−ドレイン間の電流値を制御できるようになっている。
図14(a)に示すように、バックボード200からの54Vの給電ライン1000の途中には、PchMOSFET1001が設けられており、PchMOSFET1001のゲート端子Gとグランドライン1002との間には、トランジスタ1003が設けられている。
図14(a)に示す回路の動作を説明する。(1)まず、制御モジュール700の端子をバックボード200のコネクタ211(または212)に挿入して嵌合させる。このときのPchMOSFET1001のソース端子Sとゲート端子Gとは、同電位となっている。(2)次に、PchMOSFET1001のゲート端子Gに接続されたトランジスタ1003をオン状態にし、ゲート端子Gに負の電圧を印加すると、ゲート端子Gの電位が徐々に低下していく。(3)ゲート端子Gの電位低下に伴って、ソース端子Sとドレイン端子Dとの間の抵抗値も徐々に低下し、これにより、コンデンサCが充電されていく。(4)ソース端子Sとドレイン端子Dとの間の抵抗値がほぼ零となるところで、ゲート端子Gの電位を一定に保つようにする。このように作動させることで、DC/DCコンバータ760にそれぞれ入力される給電ライン1000とグランドライン1002との間の静電容量Cに対する突入電流を防止することができる。
次に、図14(b)は、突入防止回路の他の一例である。この回路は、NチャネルのNchMOSFET1010と、NchMOSFET1010を駆動するためのホットスワップ用IC1011とを使用する。ここで、NchMOSFET1010は、ゲート端子Gとソース端子Sとの電位差により、ソース−ドレイン間の抵抗値が変化するMOSFETである。NchMOSFET1010では、ゲート端子Gとソース端子Sとが同電位の場合、ゲート−ソース間の抵抗値はほぼ無限大となる。また、NchMOSFET1010では、ソース端子Sの電位よりもゲート端子Gの電位が高くなるほど、ソース−ドレイン間の抵抗値が小さくなる。
図14(b)に示すように、DC/DCコンバータ760に接続されるグランドライン1002の途中には、NchMOSFET1010が設けられている。また、NchMOSFET1010のゲート端子Gと給電ライン1000の間には、ホットスワップ用IC1011が設けられている。
図14(b)に示す回路の動作を説明する。(1)まず、制御モジュール700の端子をバックボード200のコネクタ211(または212)に挿入して嵌合させる。このとき、NchMOSFET1010のソース端子Sとゲート端子Gとは同電位である。(2)次に、ホットスワップ用IC1011により、NchMOSFET1010のゲート端子Gに加える正の電圧を徐々に上昇させる。(3)これにより、ソース端子Sとドレイン端子Dとの間の抵抗値が徐々に低下し、コンデンサCが充電されていく。(4)ソース端子Sとドレイン端子Dとの間の抵抗値が実質的に零となるところで、ホットスワップ用IC1011は、ゲート端子Gの電位を一定に保持する。このように、グランドライン1002に設けたNchMOSFET1010の作動を調整することにより、DC/DCコンバータ760へ入力される給電ライン1000とグランドライン1002との間の静電容量Cに対する突入電流を防止することができる。
一般に、Nチャネルの方がPチャネルよりも性能がいいため、本実施形態では、図14(b)に示す回路を採用している。しかし、これに限らず、図14(a)に示すPチャネルのMOSFETを採用することもできる。
[12.入力電圧監視回路]
次に、図15に基づいて、DC/DCコンバータ760への入力電圧を監視するための入力電圧監視回路について説明する。
それぞれDC/DCコンバータ760に入力される54Vの給電ライン1000とグランドライン1002との間には、DC/DCコンバータ760への入力電圧に異常が生じたか否かを監視するための電圧監視回路1020が設けられている。DC/DCコンバータ760への入力電圧に異常が生じた場合は、電圧監視回路1020により検出され、電圧監視回路1020から電流信号として異常検出信号が出力される。また、電圧監視回路1020からの電流信号は、フォトカプラ1030に入力され、フォトカプラ1030により電圧信号に変換される。そして、この電圧信号に変換された異常検出信号は、電圧異常信号受信回路1040に入力されるようになっている。ここで、フォトカプラ1030を設けるのは、電圧監視回路1020の基準電圧(54V)と、電圧異常信号受信回路1040の基準電圧(Vcc)とが異なるためである。
[13.ファンモジュールの制御]
図16に基づき、各ファンモジュール400の制御方法を説明する。上述してきたように、本発明に従う制御ユニット30は、それぞれ2個のファン410,420を内蔵するファンモジュール400を2個採用し、各ファンモジュール400により2個の制御モジュール700をそれぞれ冷却させる。さらに、ダクト部材300により、各ファンモジュール400の各一側ファン410は下側の制御モジュール700を冷却し、各ファンモジュール400の各他側ファン420は上側の制御モジュール700を冷却するようにしている。従って、いずれか一方のファンモジュール400が障害等で作動を停止した場合でも、他方の正常なファンモジュール400により、上下の制御モジュール700を冷却することができるという冗長性を備えている。また、ダクト部材300は、各ファンモジュール400からの冷却風が流れやすいように流路形状等が設定されているため、送風効率が高く、一方のファンモジュール400が作動を停止した場合でも、残された他方のファンモジュール400により約60〜70%程度の風量を確保することができるようになっている。
これらの機械的構成に加えて、本発明では、さらに、一方のファンモジュール400が作動を停止した場合に、他方のファンモジュール400の駆動電圧を上昇させることにより、冷却風量の増大を図っている。
図16に示すフローチャートは、各ファンモジュール400への駆動電圧を制御するための処理を示す。なお、図16に示す駆動電圧制御処理は、マイクロコンピュータにより実行されるプログラムとして構成してもよいし、ハードウェアロジック回路から構成してもよい。
制御ユニット30の電源がオンになると(S1:YES)、2個のファンモジュール400が制御ユニット30に接続されているか否かを判定する(S2)。2個のファンモジュール400が共に接続されている場合は(S2:YES)、正常時用の駆動電圧V1(例えば、V1=8V程度)により、各ファンモジュール400をそれぞれ作動させる(S3)。電源がオフされた場合は(S5:YES)、各ファンモジュール400の作動を停止させる(S6)。なお、ファンモジュール400の動作停止に遅延をかけ、電源オフ時から所定時間経過後にファンモジュール400の作動を停止させてもよい。
一方、何らかの原因で2個のファンモジュール400のうち1つのファンモジュールが停止し、故障したファンモジュール400が取り外された場合は、S2でNOと判定され、S4に移る。S4では、残された正常なファンモジュール400への駆動電圧V2を、正常時の駆動電圧よりも高く設定する(例えば、V2=12V程度、V2>V1)。これにより、正常なファンモジュール400の各ファンの回転数が増加し、冷却風量が増大する。従って、1台のファンモジュール400で各制御モジュール700の冷却を続行することができる。
[14.本実施形態の効果]
本実施形態は以上詳述したように構成されるので、以下の効果を奏する。
まず、上下に配置される各制御モジュール700にそれぞれ対応する2個のファン410,420を内蔵するファンモジュール400を2個設ける構成のため、正常時には、2個のファンモジュール400によって2個の制御モジュール700を効果的に冷却することができ、いずれか一方のファンモジュール400の作動が停止した場合でも、残された正常な方のファンモジュール400により各制御モジュール700の冷却を続行することができる。このような冷却風供給機構の冗長構成により、障害発生時の信頼性を確保することができる。
また、ダクト部材300は、シャーシ100内からの逆流を防止するような形状となっているので、正常時には効果的な冷却を行うことができる上に、1個のファンモジュール400で単独運転する場合でも、風量が半分に低下することがなく、効率的な冷却を続行して信頼性を維持することができる。
さらに、いずれか一方のファンモジュール400による単独運転時(障害発生時)には、ファンモジュール400への駆動電圧を正常時の駆動電圧V1よりも高いV2に昇圧するため、送風力を高めて、冷却風の風量を増加させることができ、より一層障害発生時の信頼性を確保することができる。
また、各ファンモジュール400の各排気口412,422を中心方向を向くように設定するため、各ファンモジュール400のみならず、ダクト部材300をも小型化することができる。
また、各ファンモジュール400には、同一構造のファン410,420をそれぞれ採用するため、部品管理コストや製造コスト等を低減できる。
さらに、各ファン410,420として、軸方向から吸気し径方向に排気する横流形ファン(例えば、シロッコファン)を採用するため、比較的小型でありながら大きな風量を得ることができ、さらに、シャーシ100内からの逆流を防止できる。
次に、一側の各流入口311,312を下側流出口340に連通させ、他側の各流入口321.322を上側流出口350に連通させる、ダクト部材300を設けるため、各ファンモジュール400がそれぞれ2個の制御モジュール700を冷却することができる。
また、ダクト部材300を分割構造としたため、複雑な形状を有する流路350,360を容易に製造することができる。
さらに、ダクト部材300をプラスチック発泡材料等の比較的加工が容易な材料から形成し、かつ、その表面を樹脂等でコーティングするようになっているので、複雑な形状を有するダクト部材300を容易に製造することができ、表面から塵埃等が発生するのを未然に防止することができる。
次に、バックボード200には、各制御モジュール700に対応する開口部201,202を設けるため、各ファンモジュール400からの冷却風を各制御モジュール700にそれぞれ供給することができる。
また、下側開口部202を大開口部202Aと小開口部202Bとに分割し、これら各開口部202A,202Bの間の隙間に、例えば、高速なデータ通信を行うための配線パターン216を形成するため、配線長を短縮して電気信号を高い信頼性で伝達させることができる。
さらに、バックボード200の各開口部201,202には、冷却風の向きを下側に向けるための風向版204,205をそれぞれ設けるため、各制御モジュール700内の上側制御基板710と下側制御基板720との隙間に冷却風を送り込んで効果的に冷却することができる。
次に、各制御モジュール700は、発熱体であるMPU730及びDC/DCコンバータ760を、冷却風の入り口であるバックボード200の開口部201,202寄りに位置して配置するため、効果的に冷却することができる。
また、DC/DCコンバータ760をバックボード200側寄りに搭載するため、電源モジュール900からの高電圧入力ラインを下側制御基板720で引き回す配線長を短くすることができる。
また、負荷となる各電子部品が搭載されている各制御モジュール700内にDC/DCコンバータ760をそれぞれ搭載するため、給電ライン1000での電圧ドロップや電源コネクタの大型化を防止して、消費電流の増大に対応することができる。
さらに、ヒートシンク731を有するMPU730、キャッシュメモリ740、DC/DCコンバータ760等の各部品を、制御モジュール700の長手方向に対して平行に配置するため、制御モジュール700内に流入した冷却風を整流することができる。
また、各上位I/F750を制御モジュール700内の冷却風の流れに合わせて、中心線よりもやや他側寄りに配置するため、より一層冷却風を効率的に流通させることができる。
次に、バッテリモジュール500の前面から流入する空気を、バッテリモジュール500の側面から各ファンモジュール400に供給できるように、バッテリモジュール500には通気孔502を形成したので、各ファンモジュール400に多量の空気を供給することができる。
また、バッテリモジュール500内には、電池510をそれぞれ5個直列に接続してなる3個の電池ユニット520を、バックボード200に対して平行に配置する構成のため、各電池510間の配線長差を少なくして均等充電を行うことができる。
次に、バックボード200の前側には、シャーシ100内の両側に位置する前側サイドダクト104をそれぞれ設け、各前側サイドダクト104からの冷却風をバックボード200のサイド開口部203を介して、各電源モジュール900にそれぞれ流入させるため、各制御モジュール700と各電源モジュール900との冷却構造をそれぞれ分離することができる。即ち、発熱量は大きいが発熱による機能低下の少ない各電源モジュール900では、吸気ファン910により専用の前側サイドダクト104から冷却風を吸い込んで冷却し、一方、部分的な発熱量が大きく、発熱による機能低下の可能性がある各制御モジュール700では、各ファンモジュール400からダクト部材300を介して強制的に冷却風を送り込むことにより、冷却している。
また、各制御モジュール700と各電源モジュール900との間には、後側サイドダクト105を設けるため、電源モジュール900内の熱が制御モジュール700内に伝達するのを阻止することができる。
さらに、各制御モジュール700の後側に各後側サイドダクト105の後側と連通させるための通気孔702を形成したので、制御モジュール700内の冷却風を各後側サイドダクト105を介して排気することができる。即ち、各制御モジュール700内に流入した冷却風は、各制御モジュール700の後面に形成された通気孔701と後側サイドダクト105との2つの経路により外部に排出されるようになっており、このように、排気面積を可及的に大きく設定することで、各制御モジュール700内での冷却風の流れを円滑化している。
以上のように、3Uという高さ制限があり、かつ、処理性能向上のために発熱量が増大し易い制御ユニット30を効果的に冷却することができ、制御ユニット30の信頼性を向上させることができる。
次に、図17及び図18を参照して、本発明の第2の実施例を説明する。本実施例の特徴は、下側流路350と上側流路360とを連通させるための合流通路370を設けた点にある。図17は、本実施例によるダクト部材301の内部構造を示す斜視図である。図17では、内部流路の構造を説明するために、便宜上ダクト部材301を簡略化した形状で示すが、実際には、図6に示すような外観を有し、かつ、左右に分割可能である。図18は、ダクト部材301の部分的な投影図である。
図17,図18に示すように、ダクト部材301の内部には、下側流路350と上側流路360とを連通させる合流通路370が形成されている。合流通路370は、各流路350,360の上流側(冷却風の流れにおいて上流側)に位置して、各流路350,360を連通させている。合流通路370の一方の開口部(図中右側)は、流入口311と流入口312との間の略中間に位置して下側流路350の上流側に開口し、合流通路370の他方の開口部(図中左側)は、流入口321と流入口322との間の略中間部に位置して上側流路360の上流側に開口している。合流通路370は、ダクト部材301内で水平となるように形成されており、その両端の開口部は同一の形状を備えている。合流通路370は、例えば、中空の台形柱状に形成することができる。より詳しくは、例えば、合流通路370は、各流路350,360内を流れる冷却風の流れ上、下流側に向かうにつれて幅が次第に狭くなるような中空台形状に形成することができる。なお、合流通路370は、図示の形状に限定されない。合流通路370は、下側流路350と上側流路360との間を連通させ、各流路350,360間で冷却風の流通を許可する機能を有すればよく、この機能を発揮する構造であればよい。
最初の実施例で述べたように、左右のファン410,420によって上下の制御モジュール700をそれぞれ冷却させるべく、各流路350,360は、その流入側の位置(流入口の形成位置)はほぼ同じであるが、流出側の位置(流出口の形成位置)は上下に分かれており、段違いに形成されている。従って、図17中の側面から見た場合に、各流路350,360が重なり合う面積は、下流側に向かうほど少なくなるため、比較的単純な形状で合流通路370の冷却風通過面積を大きく設定するには、各流路350,360の上流側に合流通路370を形成するのが好ましい。
各ファンモジュール400はそれぞれ2個のファン410,420を備えているが、もしも同一のファンモジュール400内のいずれか一方のファンが故障等で作動を停止した場合、前述した実施例では、作動を停止したファンに対応する流路を流れる冷却風の量が少なくなる。上述の通り、流路350,360を冷却風が流れやすく逆流の生じにくい構造としたり、ファン停止時のファン駆動電圧を上昇させる等の工夫を行っているが、いずれか1個のファンが停止した場合に、より多くの流量を確保したい場合がある。そこで、本実施例では、合流通路370によって各流路350,360を連通させることにより、いずれか1個のファンが作動を停止した場合でも、残りの正常なファンの送風力でバックアップできるようにしている。本出願人の実験によれば、1つのファンを停止させた場合に、前述した実施例よりも本実施例の方が、発熱体(MPU730等)の温度上昇を約摂氏5度程度低下させることができた。
次に、図19及び図20に基づいて、本発明の第3の実施例を説明する。本実施例の特徴は、ダクト部材300(ダクト部材301でもよい)の各流入口311,312,321,322(以下、流入口311等という)のそれぞれに、開閉弁380を設けた点にある。図19は、ある1つの流入口近傍を拡大して示す断面図等、図20は、開閉弁380の作動状態を示す図である。
図19(a)は開閉弁380の閉弁位置を規制するためのストッパ部材390の平面図を示し、ストッパ部材390は、図19(b)に示すように、各流入口311等に取り付けられている。ストッパ部材390は、例えば、四角形状の枠体391と、枠体391の内部に架設された少なくとも1つ以上の支持部392とを備え、各支持部392間には、ファン410(あるいは420)からの冷却風が流れるための開口部393が形成されている。なお、ストッパ部材390は、全体としてはしご状に形成してもよい。つまり、枠体391は四角形として閉じている必要はない。支持部392は、図19(a)に示すように水平方向に設けてもよく、あるいは垂直方向に設けてもよい。また、ストッパ部材390は、開口部393の面積ができるだけ大きくなるように、支持部392の大きさや数量が設定される。
開閉弁380は、例えば、柔軟性を有する高分子材料(ゴム等)から膜状あるいは薄肉な平板状に形成されている。開閉弁380は、冷却風の流れをできるだけ妨げないように軽量に形成されている。開閉弁380は、その一端側(上端側)がストッパ部材390とダクト部材300の流入口側との間に挟持されて固定されており、その他端側(下端側)は自由端となっている。図20(a)に示すように、ファンが作動して矢印で示す冷却風が発生すると、開閉弁380は、冷却風の風圧によって上方に移動し、流入口311等を開口させて開弁する。一方、図20(b)に示すように、ファンの送風が停止すると、開閉弁380は、自重により下方に移動し、流入口311等を遮断し閉弁する。開閉弁380の閉弁位置は、ストッパ部材390(詳しくは支持部392)により規制される。従って、ダクト部材300内の空気が逆流して流入口311等からファンモジュール400側に流れ込むことが防止される。また、ストッパ部材390により、開閉弁380が流入口311等の外部にはみ出ないようになっている。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、本実施形態では、制御ユニット内に2個の制御モジュールを搭載するため、それぞれ2個のファンを内蔵する2個のファンモジュールを採用したが、これに限らず、例えば、n個(n≧3)の制御モジュールを搭載する場合は、n個のファンを内蔵するファンモジュールを2個またはそれ以上設ける構成としてもよい。また、ダクト部材内の流路を合流させる実施例と開閉弁を設ける実施例とを組み合わせることもできる。
本発明の第1の実施例に係る制御ユニットの分解斜視図である。 制御ユニットが用いられるディスクアレイ装置の正面図である。 ディスクアレイ装置の制御構造の概要を示すブロック図である。 制御ユニット内の冷却構造の概要を示す説明図である。 ファンモジュールの投影図である。 ダクト部材の斜視図を示し、(a)は正面から見た場合、(b)は背面から見た場合をそれぞれ示す。 ダクト部材の内部構造を示す斜視図である。 ダクト部材の部分的な投影図である。 ダクト部材の分割構造を示す部分的な投影図である。 バックボードを示し、(a)はバックボードの正面図、(b)はバックボードの背面図、(c)はバックボードの部分的な拡大図である。 制御基板を示し、(a)は上側制御基板の平面図、(b)は下側制御基板の平面図、(c)は矢示B−B方向の断面図である。 制御ユニット30の背面図である。 制御モジュール内の冷却風の流れを示し、(a)は上側制御モジュール内の冷却風の流れ、(b)は下側制御モジュール700内の冷却風の流れをそれぞれ示す。 活線挿抜用の突入電流防止回路を示し、(a)はPchMOSFETを使用する場合、(b)はNchMOSFETを使用する場合をそれぞれ示す。 DC/DCコンバータへの入力電圧を監視する電圧監視回路である。 ファンの駆動電圧制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施例に係るダクト部材の内部構造を示す斜視図である。 ダクト部材の部分的な投影図である。 本発明の第3の実施例に係る図であり、(a)はダクト部材の流入口に設けられるストッパ部材の平面図、(b)はダクト部材の流入口近傍の拡大断面図である。 (a)はファンが作動して開閉弁が開弁した状態、(b)はファンが停止して開閉弁が閉弁した状態、をそれぞれ示すダクト部材の流入口近傍の拡大断面図である。
符号の説明
1…ディスクアレイ装置、10…専用ラック、20…ハードディスクユニット、21…ディスク装置、30…制御ユニット、40…ファンモジュール、100…シャーシ、101…前側開口部、102…後側開口部、103…空気取入孔、104…前側サイドダクト、105…後側サイドダクト、200…バックボード、201…上側開口部、202…下側開口部、202A…大開口部、202B…小開口部、203…サイド開口部、204,205…風向版、210〜213…コネクタ、214,215…パッド群、216…配線パターン、300…ダクト部材、300L…他側分割体、300R…一側分割体、301…ダクト部材、311,312…流入口、321,322…流入口、330…上側流出口、340…下側流出口、350…下側流路、360…上側流路、370…合流通路、380…開閉弁、390…ストッパ部材、391…枠体、392…支持部、393…開口部、400…ファンモジュール、401,402…空気取入孔、410,420…ファン、411,421…吸気口、412,422…排気口、500…バッテリモジュール、501…ハンドル、502…通気孔、510…電池、520…電池ユニット、600…飾り扉、601…ルーバ、700…制御モジュール、700L…下側制御モジュール、700U…上側制御モジュール、701,702…通気孔、710…上側制御基板、711…切欠部、720…下側制御基板、730…MPU、731…ヒートシンク、733,734…電子部品、740…キャッシュメモリ、750…上位I/F、760…コンバータ、800…I/Fモジュール、801…通気孔、810…下位I/F、900…電源モジュール、901…通気孔、902…電源コネクタ、903…電源スイッチ、904…ハンドル、910…吸気ファン、1000…給電ライン、1001…PchMOSFET、1002…グランドライン、1003…トランジスタ、1010…NchMOSFET、1020…電圧監視回路、1030…フォトカプラ、1040…電圧異常信号受信回路、F410,F420,FCU1〜3,FCL1〜3…冷却風

Claims (15)

  1. 筐体と、
    前記筐体内に一側空間と他側空間を画成するようにして設けられ、複数の冷却風用開口部と複数の電気的コネクタとが設けられている接続用回路基板と、
    前記一側空間内に位置して前記各冷却風用開口部にそれぞれ対応して設けられ、前記各電気的コネクタを介して前記接続用回路基板にそれぞれ電気的に接続される複数の制御モジュールと、
    前記他側空間内に設けられ、前記各冷却風用開口部にそれぞれ対応するファンを内蔵して構成される複数のファンモジュールと、
    前記他側空間内に位置して前記接続用回路基板と前記各ファンモジュールとの間に設けられ、前記各ファンの排気口を対応する前記各冷却風用開口部にそれぞれ接続させるダクト部材と、
    を備えた電子機器。
  2. 前記ダクト部材は、
    前記各ファンの各排気口にそれぞれ接続される複数の流入口と、
    前記冷却風用開口部にそれぞれ接続される複数の流出口と、
    前記各流入口と前記各流出口とを前記各冷却風用開口部毎にグループ化してそれぞれ連通させる複数の流路とを有し、
    前記各流路のうち少なくとも1つの流路を分割して形成できるように複数の分割体から構成されている請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記各流路は互いに連通している請求項2に記載の電子機器。
  4. 前記ダクト部材の前記各流入口と前記各流路と前記各排出口とから成る流路系は、前記各排気口から前記各流入口に向けて冷却風が逆流しにくい形状に形成されている請求項2に記載の電子機器。
  5. 前記各流入口には、前記各ファンからの冷却風が前記各流路内に流入するのを許可し、逆向きの流れを阻止する開閉弁をそれぞれ設けた請求項2に記載の電子機器。
  6. 前記開閉弁は、可撓性を有する材料から形成されている請求項5に記載の電子機器。
  7. 前記各ファンモジュールの各ファンは、軸方向から吸気して径方向に排気するシロッコファンとしてそれぞれ構成されており、前記各ファンの排気口は、内側を向くようにして配設されている請求項1に記載の電子機器。
  8. 前記各ファンモジュールのうちいずれか1つのファンモジュールの作動が停止した場合には、残りのファンモジュールの送風力を増大させるように制御する請求項1に記載の電子機器。
  9. 前記各制御モジュールは、前記冷却風用開口部の近傍に発熱体となる電子部品が配置されている請求項1に記載の電子機器。
  10. さらに、前記筐体の一側空間内には前記各制御モジュールに隣接して電源モジュールを配置し、前記電源モジュールと前記各制御モジュールとの間には、断熱用通気路を形成した請求項1に記載の電子機器。
  11. 前記電源モジュールは吸気ファンを内蔵しており、
    前記断熱用通気路の下流側には、前記各制御モジュールを冷却した冷却風を前記電源モジュールの吸気ファンを介して外部に排気させるための連通孔が形成されている請求項7に記載の電子機器。
  12. 前記制御モジュールは、前記電源モジュールから供給される高電圧入力を低電圧出力に変換する変換回路を備え、前記変換回路は、前記冷却風用開口部の近傍に配置されている請求項10に記載の電子機器。
  13. 前記接続用回路基板の各冷却風用開口部のうち少なくともいずれか1つの冷却風開口部は複数の開口部から形成されている請求項1に記載の電子機器。
  14. 前記複数の開口部は、前記接続用回路基板の配線パターンの長さを短縮するために設けられている請求項13に記載の電子機器。
  15. さらに、前記筐体の他側空間内には前記各ファンモジュールに隣接してバッテリモジュールを配置し、前記バッテリモジュールは、前記各ファンモジュールに隣接する第1の側面と外部に面する第2の側面とにそれぞれ複数の連通孔が形成され、第2の側面の各連通孔から前記第1の側面の各連通孔を介して前記ファンモジュールに外気を供給する請求項1に記載の電子機器。
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