JP2005010213A - 化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物およびレジストパターンの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されるシステムLCDの製造用として要求される高耐熱性と高感度を同時に達成できるホトレジスト組成物を提供する。
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)下記一般式(I)で表される化合物、(C)放射線の照射により酸成分を発生する化合物、および有機溶剤を含んでおり、かつ当該ホトレジスト組成物中の酸成分の含有量が50ppm以下であることを特徴とするシステムLCD用化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【化1】
[式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、または下記一般式(II)
【化2】
(式中、R4は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示す。]
【選択図】 なし
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)下記一般式(I)で表される化合物、(C)放射線の照射により酸成分を発生する化合物、および有機溶剤を含んでおり、かつ当該ホトレジスト組成物中の酸成分の含有量が50ppm以下であることを特徴とするシステムLCD用化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【化1】
[式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、または下記一般式(II)
【化2】
(式中、R4は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示す。]
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物及びレジストパターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでガラス基板を用いた液晶表示素子製造の分野におけるレジスト材料としては、ghi線露光に適しており、比較的安価で、感度、解像性が良く、形状に優れたレジストパターンを形成できることから、アルカリ可溶性樹脂としてノボラック樹脂を用い、感光性成分としてキノンジアジド基含有化合物を用いたポジ型ホトレジスト組成物が多く利用され、また報告されている(下記特許文献1〜4)。
【0003】
また化学増幅型のホトレジスト組成物に関しては、下記特許文献5に、酸成分及び水酸基を有する線状高分子、PAG、特定のエノールエーテル基を少なくとも2つ有する化合物を含有し、当該線状高分子と特定の化合物とを熱により架橋させたことを特徴とする組成物が記載されている。
また下記特許文献6には、酸基を有する線状高分子、PAG、特定のエノールエーテル基を少なくとも2つ有する化合物を含有し、当該線上高分子と特定の化合物とを熱により架橋させたことを特徴とする組成物が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−131835号公報
【特許文献2】
特開2001−75272号公報
【特許文献3】
特開2000−181055号公報
【特許文献4】
特開2000−112120号公報
【特許文献5】
特開平6−148889号公報
【特許文献6】
特開平6−230574号公報
【0005】
現在、次世代のLCDとして、1枚のガラス基板上に、ドライバ、DAC(デジタル−アナログコンバーター)、画像プロセッサ、ビデオコントローラ、RAMなどの集積回路部分がディスプレイ部分と同時に形成される、いわゆる「システムLCD」と呼ばれる高機能LCDに対する技術開発が盛んに行われている(Semiconductor FPD World 2001.9, pp.50−67)。
以下、本明細書では、このように1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成された基板を、便宜的にシステムLCDという。
【0006】
このようなシステムLCDには、アモルファスシリコンに代えて、特に600℃以下の低温プロセスで形成される低温ポリシリコンが、アモルファスシリコンに比べて電気抵抗が小さくて移動度が高いことから好適であると期待されている。
したがって、低温ポリシリコンを用いたシステムLCDの製造に適したホトレジスト組成物の開発が望まれているが、これまでにシステムLCD用のレジスト材料について報告された例はない。
化学増幅型ホトレジスト組成物に関する上記特許文献5,6にも、システムLCDに関する記載は無い。
【0007】
低温ポリシリコンからなるTFTを製造するには、ガラス基板上に低温プロセスでポリシリコン膜を形成した後、該低温ポリシリコン膜にPやB等を打ち込む、いわゆる「インプランテーション工程」において、非常に高濃度の不純物を打ち込むことが必要とされている。
このインプランテーション工程は、ガラス基板上に低温ポリシリコン膜が形成された低温ポリシリコンガラス基板上にレジストパターンが形成された状態で、真空度の高い条件下で行われるが、不純物の打ち込みによる発熱作用により、基板上のレジストパターンが加熱されると、レジストパターンが形状変化を起こしたり、レジストパターン中のある成分がガス化して処理室内の真空度を下げるという問題がある。
【0008】
この問題を解決する手段として、インプランテーション工程前に「ポストベーク」と呼ばれる加熱処理工程を行うことが有効であるが、このポストベークは、インプランテーション時に加熱される温度に近い温度条件で、例えば200℃以上の高温で行われるため、当該加熱処理においてパターン形状が変化しない高耐熱性のレジストパターンの形成が必須である。
したがって、システムLCDの製造を実用化するためには、それに用いるホトレジスト組成物として耐熱性が良好であることが求められる。
また、液晶素子の製造分野では、レジスト材料における感度の低下は重大なスループット低下をもたらすので好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のアルカリ可溶性樹脂としてノボラック樹脂を用い、感光性成分としてキノンジアジド基含有化合物を用いたポジ型ホトレジスト組成物にあっては、高耐熱性を達成するためには、一般的に、高分子量のアルカリ可溶性樹脂(ノボラック樹脂)を用いる手法が用いられ、高感度化を図るには、一般的に低分子量のアルカリ可溶性樹脂(ノボラック樹脂)を用いる手法が用いられる。
このように、従来手法では高耐熱性と高感度の両立は難しく、感度の低下を招くことなく高耐熱性を達成できる、システムLCD用ホトレジスト組成物の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されるシステムLCDの製造用として要求される高耐熱性と高感度を同時に達成できるホトレジスト組成物、および該ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、以下の解決手段により前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物は、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成された基板製造用の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物であって、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)下記一般式(I)で表される化合物、(C)放射線の照射により酸成分を発生する化合物、および有機溶剤を含んでおり、かつ当該ホトレジスト組成物中の酸成分の含有量が50ppm以下であることを特徴とする化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【化3】
[式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、または下記一般式(II)
【化4】
(式中、R4は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示す。]
【0012】
また本発明のレジストパターン形成方法は、(1)本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜が形成された基板を加熱処理(プリベーク)し、基板上にレジスト被膜を形成する工程、
(3)上記レジスト被膜に対し、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う工程、
(4)上記選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施す工程、
(5)上記加熱処理後のレジスト被膜に対し、アルカリ水溶液を用いた現像処理を施し、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成する工程、を含むことを特徴とする。
【0013】
本明細書におけるホトレジスト組成物中の酸成分とは、溶液中で酸性を示す成分であり、カルボン酸等の有機酸、塩酸等の無機酸を指す。なお、(A)成分として例示するノボラック樹脂は溶液中で酸性度を帯びるが、これは本発明で定義する酸成分には該当しない。
【0014】
【発明の実施の形態】
[A成分]
(A)アルカリ可溶性樹脂成分は、特に制限されるものでなく、ポジ型ホトレジスト組成物において被膜形成物質として通常用いられ得るものの中から任意に選ぶことができ、好ましくは、芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒド類またはケトン類とを縮合反応させて得られるノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンおよびその誘導体等を挙げることができる。
【0015】
前記芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えばフェノール;m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール等のキシレノール類;m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,5−トリエチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o−イソプロペニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2−メチル−4−イソプロペニルフェノール、2−エチル−4−イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール等のポリヒドロキシフェノール類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
前記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、フルフラール、フリルアクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、ケイ皮酸アルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのアルデヒド類の中では、入手のしやすさからホルムアルデヒドが好ましいが、特に耐熱性を向上させるためにはヒドロキシベンズアルデヒド類とホルムアルデヒドを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0017】
前記ケトン類として、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらにまた、アルデヒド類とケトン類とを適宜組み合わせて用いてもよい。
【0018】
前記芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒド類またはケトン類との縮合反応生成物は、酸性触媒の存在下公知の方法で製造することができる。その際の酸性触媒としては、塩酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸等を使用することができる。
【0019】
前記ポリヒドロキシスチレンおよびその誘導体としては、例えばビニルフェノールの単独重合体、ビニルフェノールとこれと共重合し得るコモノマーとの共重合体等が挙げられる。このコモノマーとしては、例えばアクリル酸誘導体、アクリロニトリル、メタクリル酸誘導体、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。
【0020】
(A)成分は、1種または2種以上の材料を用いることができる。
特に本発明において、ヒドロキシスチレン系の樹脂は、ノボラック樹脂に比べ、酸性度をほとんど帯びていない樹脂である。(A)成分の酸性度の強弱は、レジスト組成物の保存安定性に影響を与えるため、保存安定性の良いレジスト組成物を調整する目的においては、ヒドロキシスチレン系の樹脂を選択することが望ましい。中でも、スチレン構成単位や、アルキル置換スチレン構成単位(以下、両者を併せて「スチレン系構成単位」という)を含有するヒドロキシスチレン系樹脂は、レジスト組成物の感度、耐熱性、およびレジストパターンの形状を改善する効果もある点で好ましい。
【0021】
(A)成分としてヒドロキシスチレン系樹脂を用いる場合、ヒドロキシスチレン単位は少なくとも50〜99モル%、好ましくは70〜90モル%含まれていることが(B)成分の反応性の点から好ましい。
スチレン系構成単位の含有量は、(B)成分との反応性の確保の点、耐熱性向上、感度向上の点から、1〜30モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
【0022】
(A)成分としてヒドロキシスチレン系樹脂を用いる場合、そのMwは1000〜40000、好ましくは1000〜8000、特には2000〜6000であることが、耐熱性、高感度化、架橋剤との反応の安定性の点で好ましい。
【0023】
(A)成分としてノボラック樹脂を用いる場合、そのMwは1000〜50000、好ましくは1000〜20000程度が、露光部分の良好な溶解速度が得られて、感度特性に優れる点から好ましい。より好ましいMwの範囲は2000〜15000である。上記範囲より小さいと解像性が低下するおそれがあり、上記範囲を超えると塗布性が悪くなる。
なお、(A)成分としてノボラック樹脂を用いる場合には、後述の(D)成分や保存安定剤を併用することが、レジスト組成物の長期保存安定性の観点から望ましい。
【0024】
[B成分]
(B)成分は前記一般式(I)で表される化合物であり、架橋剤として作用するものである。
前記一般式(I)において、R1は置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜10の分岐鎖状、直鎖状のアルキレン基、または前記一般式(II)で表されるものである。なお、当該アルキレン基は主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。一般式(II)中、R4も、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜10の分岐鎖状、直鎖状のアルキレン基であり、当該アルキレン基は、主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。R1としては、−C4H8−、−C2H4OC2H4−、−C2H4OC2H4OC2H4−、及び一般式(II)で表されるもの等が好ましく、中でも上記一般式(II)で表されるものが好ましく、特にR4の炭素数が1で、mが1のものが好ましい。
(B)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0025】
(A)成分と(B)成分とは、プリベーク時の加熱処理により反応して架橋構造を形成する。当該架橋構造は恐らく、(B)成分の末端のビニル基が(A)成分の、例えば側鎖のフェノール性水酸基と開環付加反応により結合した構造となっているものと考えられる。
かかる架橋構造の具体例としては、例えば、下記一般式(1A)〜(2B)で表されるものが考えられる。
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
R1は前記と同じであり、R2、R3は、前記ノボラック樹脂に関する記載の中で説明された、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類等から由来される基である。
【0031】
上述の通り、プリベーク時に、本発明にかかるホトレジスト組成物からなる塗膜が加熱されると、その熱により前記(B)成分が(A)成分の側鎖の水酸基と結合して架橋構造を形成し、アルカリ現像液等のアルカリ性水溶液に対して不溶性のレジスト被膜となる。
【0032】
そして、この(B)成分と(A)成分の架橋構造に対して、露光によって(C)成分から発生した酸が作用すると、当該架橋構造が解裂して、レジスト被膜がアルカリ性水溶液に対して可溶となる。
(B)成分は、(A)成分としてノボラック樹脂を選択した場合は、(A)成分に対して1〜50質量%、好ましくは5〜35質量%の割合で用いられる。1質量%未満では、レジストパターン未露光部の膜減りが大きくなり、レジストパターンのコントラストが低下する傾向があり、50質量%を超えると現像液(アルカリ水溶液)に対する溶解性が著しく劣る傾向があり、感度が劣る、パターンが解像しない等の問題を発生する恐れがある。なお、(A)成分としてヒドロキシスチレン系樹脂を選択した場合は、(A)成分に対して1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の割合で用いられる。
【0033】
(A)成分中には、不純物として酸成分を含む場合が多く、特にノボラック樹脂は、その合成反応においてよく酸触媒を使用するため、多量の酸成分を含んでいることが多い。よって(A)成分、特にノボラック樹脂を用いる場合には、上記酸成分を除去して用いることが、レジスト組成物の長期保存安定性を高める点で好ましい。なお、(A)成分中の酸成分は、ガスクロマトグラフィー等により分析することができる。
酸成分の除去方法としては、公知の方法を挙げることができ、例えばイオン交換樹脂の使用、純水洗い、アルカリによる中和などの方法を適用することができる。
【0034】
[(C)成分]
(C)成分としては、特に限定はなく、従来から化学増幅型のポジ型ホトレジスト組成物の材料として知られている光酸発生剤、例えばスルホニルジアゾメタン系酸発生剤、オニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤などを用いることができる。
【0035】
特にLCDの製造では、g線、h線、i線の共存する紫外線が用いられることがあり、(C)成分として、このような紫外線の照射を受けたときの酸発生効率の高い化合物が好ましい。また、解像度を向上させるためには、波長の短いi線が好ましく利用され、さらに、システムLCDの製造においては、主にi線が用いられる傾向があるので、特に、i線露光に対する酸発生効率の高い化合物が好ましい。
【0036】
(C)成分として、例えば以下のような化合物が、i線露光に対する酸発生効率が高いことから、好ましく用いられる。
下記一般式(V)、(VI)で表されるもの。
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
(式中、m’は0又は1;Xは1又は2;R1は、1又はそれ以上のC1−C1 2アルキル基が置換していてもよいフェニル基、ヘテロアリール基等、又は、m’が0の場合はさらにC2−C6アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、CN等;R1’はC2−C12アルキレン基等;R2はR1と同義等;R3はC1−C18アルキル基等;R3’は、X=1のときR3と同義等、X=2のときC2−C12アルキレン基、フェニレン基等;R4、R5は独立に水素原子、ハロゲン、C1−C6アルキル基等;AはS、O、NR6等;R6は水素原子、フェニル基等を示す。)で表される化合物(USP 6004724)。具体的には、例えば下記式(VII)で表されるチオレン含有オキシムスルホネートなどが挙げられる。
【0040】
【化11】
【0041】
また、下記式(VIII)
【0042】
【化12】
【0043】
(式中、R6、R7は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるビス(トリクロロメチル)トリアジン化合物、又は、該化合物(VIII)と下記式(IX)
【0044】
【化13】
【0045】
(式中、Zは、4−アルコキシフェニル基等を示す。)で表されるビス(トリクロロメチル)トリアジン化合物とを組み合わせたもの(特開平6−289614号公報、特開平7−134412号公報)。
【0046】
トリアジン化合物(VIII)としては、具体的には、例えば2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−4−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−4−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−4−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−4−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4―ジプロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。これらのトリアジン化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
一方、上記トリアジン化合物(VIII)と所望に応じて組み合わせて用いられる上記トリアジン化合物(IX)としては、例えば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−プロポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−プロポキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−6−カルボキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−6−ヒドロキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−5−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−5−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。これらのトリアジン化合物は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
また、下記式(X)
【0049】
【化14】
【0050】
(式中、Arは置換又は未置換のフェニル基、ナフチル基;RはC1〜C9のアルキル基;nは2又は3の整数を示す。)で表される化合物を挙げることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上例示した化合物の中でも、特に式(VII)
で表される化合物および下記式(XI)で表される化合物は、i線に対する酸発生効率に優れるため、好ましく用いられる。
【0051】
【化15】
【0052】
本実施形態において、(C)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部とされる。
【0053】
[(D)成分]
本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物において、(D)成分として、塩基性化合物(好ましくはアミン類)を配合することにより、酸成分による影響を低減させるうえで好ましい。特に(A)成分としてノボラック樹脂を用いる場合は、ノボラック樹脂が酸性度を帯びている樹脂であるので、(D)成分を含有させることが有効である。
当該化合物としては、ホトレジスト組成物に対する相容性を有するものであればよく、特に制限されるものではないが、例えば特開平9−6001号公報に記載の化合物等を挙げることができる。
中でも、3級アミンが好ましく、特に、トリ−n−ペンチルアミン、メチル−ジ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン等の比較的嵩高いアミンは、経時的にレジスト組成物中に副生成される酸成分の量を抑制する効果もあり、レジスト組成物の長期保存安定性向上の点で好適である。
(D)成分は1種または2種以上を混合して用いることができる。
(D)成分は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜5.0質量部、特には0.1〜1.0質量部の範囲で配合することが、効果の点から好ましい。
【0054】
[有機溶剤]
有機溶剤としては、化学増幅型のポジ型ホトレジスト組成物に用いられるものであれば、特に限定せずに用いることができる。
例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等)、乳酸エステル(例えば乳酸エチル等)等のエステル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;等の非エステル系溶剤が挙げられる。
【0055】
なおエステル系溶剤は、有機カルボン酸とアルコールとの反応生成物であることから、遊離酸である有機カルボン酸を含有する。そのため、前記の(D)成分を配合しないレジスト組成物、または後述の保存安定剤を配合しないレジスト組成物においては、そのような遊離酸を含有しない非エステル系溶剤を選択することが好ましく、特にケトン類(ケトン系の溶剤)は好ましい。その中でも2−へプタノンは、塗膜性、(C)成分の溶解性の点からも好適である。
なお、エステル系溶剤も非エステル系溶剤も、ともに経時的に分解して酸を副生成する場合があるが、前記(D)成分の存在下、あるいは後述の保存安定剤の存在下においては、当該分解反応は抑制される。特にエステル系溶剤においてはその効果が顕著であり、当該(D)成分、保存安定剤の存在下においては、むしろエステル系溶剤が好ましく、特にPGMEAは好適である。
なお、上記分解により副生成する酸成分としては、例えば2−ヘプタノンの場合、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等を生じることが確認されている。
有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0056】
特に限定するものではないが、有機溶剤は、固形分の濃度が20〜50質量%、好ましくは25〜45質量%となる配合量で用いると、塗布性の点から好ましい。
【0057】
本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物には、この他、必要に応じて以下の様な保存安定剤を配合すると好ましい。
当該保存安定剤としては、溶剤の分解反応を抑制する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開昭58−194834号公報に記載されているような酸化防止剤を挙げることができる。酸化防止剤としてはフェノール系化合物とアミン系化合物が知られているが、特にフェノール系化合物が好ましく、中でも2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾール及びその誘導体が、エステル系溶剤、ケトン系溶剤の劣化に対して有効であり、商業的に入手可能、かつ安価であって、さらに保存安定効果に優れる点で好ましい。特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、2−ヘプタノンに対する劣化防止効果に極めて優れる。
配合量は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜3質量部、特には0.1〜1.0質量部の範囲であることが好ましい。
【0058】
また、本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて相容性のある添加物、例えばレジスト膜の性能などを改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、界面活性剤、現像した像をより一層可視的にするための着色料、より増感効果を向上させるための増感剤やハレーション防止用染料、密着性向上剤などの慣用の添加物を含有させることができる。
【0059】
本発明のホトレジスト組成物中の酸成分の濃度は、50ppm以下、好ましくは10ppm以下とされる。零に近い程好ましいので、下限値を限定する技術的意義はないが、実質的には1ppm以上である場合が多い。
このホトレジスト組成物中の酸成分の濃度は、上述の様に(A)成分中の酸成分濃度をできるだけ減少させる処理を行う、遊離酸を含有しない有機溶剤を用いる、分解反応により酸成分を発生しにくい有機溶剤を用いる、特定の(D)成分を用いる、保存安定剤を用いる、等の手段を講じることにより、調整することができる。
このような手段により、レジスト組成物中の酸成分濃度が50ppm以下に抑えられたレジスト組成物は、良好な感度特性、解像性、耐熱性、DOF特性を有し、またそれらの特性の経時安定性に優れ、さらにまたボトル内での保存中に分子量変化、粘度変化等がほとんど生じない長期保存安定性に優れるレジスト組成物となる。
【0060】
[レジストパターンの形成方法]
本発明のレジストパターン形成方法は、かかる化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を用いるものであり、以下に、システムLCDの製造におけるレジストパターンの好適な形成方法の一例を示す。
まず、(A)成分ないし(C)成分、並びに必要に応じて添加される各種成分を溶剤に溶解し、これをスピンナー等で基板に塗布して塗膜を形成する。基板としてはガラス基板が好ましい。このガラス基板としては、500mm×600mm以上、特には550mm×650mm以上の大型の基板を用いることができる。
【0061】
次いで、この塗膜が形成されたガラス基板を例えば100〜140℃で加熱処理(プリベーク)して残存溶媒を除去し、レジスト被膜を形成する。プリベーク方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティベークを行うことが好ましい。
次いで、上記レジスト被膜に対し、集積回路用のマスクパターンと液晶ディスプレイ部分用のマスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う。
ここで用いる光源としては、微細なパターンを形成するためにi線(365nm)を用いることが好ましい。また、この露光で採用する露光プロセスは、NAが0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下の低NA条件の露光プロセスであることが好ましい。低NA条件での露光プロセスを採用することにより、一回の露光面積を広くとることができ、スループットの向上が図れる。
【0062】
次いで、選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク:PEB)を施す。PEB方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティベーク、隙間を持たせないダイレクトベークが挙げられ、基板の反りを生じさせることをなく、PEBによる拡散効果を得るために、プロキシミティベークを行った後、ダイレクトベークを行う方法が好ましい。なお、加熱温度は90〜140℃、特には110〜130℃が好ましい。
上記PEB後のレジスト被膜に対し、現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ水溶液を用いた現像処理を施すと、露光部分が溶解除去されて、基板上に集積回路用のレジストパターンと液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンが同時に形成される。
次いで、レジストパターン表面に残った現像液を純水などのリンス液で洗い落とすことによりレジストパターンを形成できる。
【0063】
上記選択的露光を行う工程において、上記マスクとして、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いることにより、上記レジストパターンを同時に形成する工程において、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成することができる。
【0064】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物によれば、従来のキノンジアジド−ノボラック系のホトレジスト組成物では得られない、高感度、高耐熱性が達成される。
したがって、未露光部分の膜減りを防止することができるほか、インプランテーション工程を備えたTFTの製造にも適用可能である。
また高解像性、優れたDOF特性およびリニアリティも得られるので、1つの基板上にラフなパターンと微細なパターンとを同一露光条件で形成できる。したがって、システムLCDのディスプレイ部分と、それよりも微細な集積回路部分のレジストパターンまでも、高解像度で得ることができ、システムLCDの製造用として好適である。
【0065】
また、従来のアルカリ可溶性樹脂とPACを主成分とするホトレジスト組成物にしても、酸解離性基含有樹脂と酸発生剤を主成分とする化学増幅型ホトレジスト組成物にしても、非常に高価な原料を多量に使用するため、原料コストが高く、近年の製品価格の低額化に対応できないといった問題がある。高価な原料とは、前者においては、PAC、感度向上剤(増感剤)である。後者においては、リビングアニオン重合により合成された単分散ポリヒドロキシスチレンや、特殊な酸解離性基を付けた樹脂成分である。
本発明のホトレジスト組成物においては、必ずしもこの様な材料を使用しなくてもよいため、低価格化が可能である。
【0066】
特に(A)成分〜(C)成分を含有してなるレジスト組成物は、感度、解像性、DOF特性、耐熱性等のホトレジスト特性の経時的変化が生じ易く、また分子量増加、粘度増加等のボトル内での保存安定性に劣る傾向があるが、本発明では、ホトレジスト組成物中における酸成分の含有量を上記の範囲としたことにより、ホトレジスト組成物の経時的変化を抑え、またボトル内での保存安定性を向上することができる。これにより、ホトレジスト組成物の経時的変化に起因する感度の変動や分子量変化あるいは粘度変化に起因する塗布膜厚の変動等の不都合を防止することができる。
【0067】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
[ポジ型ホトレジスト組成物の評価方法]
下記の実施例または比較例のポジ型ホトレジスト組成物について下記の諸物性(1)〜(5)の評価方法を以下に示す。
(1)感度評価:下記実施例および比較例で調製したポジ型レジスト組成物を25℃、15時間の条件で保存した後、当該組成物を大型基板用レジスト塗布装置(装置名:TR36000東京応化工業(株)製)を用いて、Ti膜が形成されたガラス基板(550mm×650mm)上に塗布したのち、140℃、90秒間の加熱条件で、約1mmの間隔をあけたプロキシミティベークによりプリベークを行って、膜厚1.5μmのレジスト被膜を形成した。
次いで1.5μmL&Sのレジストパターンと3.0μmL&Sのレジストパターンを再現するためのマスクパターンが同時に描かれたテストチャートマスク(レチクル)を介して、i線露光装置(装置名:FX−702J、ニコン社製;NA=0.14)を用いて、1.5μmL&Sを忠実に再現することのできる露光量(Eop露光量)にて選択的露光を行った。
次いで、140℃、90秒間の条件で、0.5mmの間隔をあけたプロキシミティベークにより、PEBを施した。
次いで、23℃、2.38質量%TMAH水溶液用いて60秒間の現像処理を行った後、純水で30秒間リンスし、スピン乾燥した。
感度評価の指標として、1.5μmL&Sのレジストパターンを忠実に再現できる露光量(Eop、単位:mJ)を用いた。
【0069】
(2)DOF特性評価:上記Eop露光量において、焦点を適宜上下にずらし、1.5μmL&Sが±10%の寸法変化率の範囲内で得られた焦点深度(DOF)の幅をμm単位で求めた。
【0070】
(3)耐熱性評価:上記Eop露光量において、1.5μmL&Sが描かれた基板を、140℃に設定されたホットプレート上に300秒間静置した後、断面形状を観察した。その結果、1.5μmL&Sの寸法変化率が±3%以内であったものを○、3〜5%または−5〜−3%の範囲内であったものを△、±5%を超えたものを×として表した。
(4)解像性評価: 上記Eop露光量における限界解像度を求めた。
(5)リニアリティ評価:上記Eop露光量で得られる3.0μmL&Sのレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真にて観察し、3.0μmL&Sのレジストパターンの再現性を評価した。3.0μmL&Sの寸法変化率が±10%以内であったものを○、10〜15%または−15〜−10%の範囲内であったものを△、±15%を超えたものを×として表した。
【0071】
(6)ホトレジスト組成物の経時安定性
(6−1)感度の経時変化
調製したホトレジスト組成物を25℃または70℃、15時間の条件で保存した測定用試料について、それぞれ感度を測定した。なお当該感度は、上記(1)の感度評価に基づき、1.5μmL&Sのレジストパターンを忠実に再現できる露光量(Eop、単位:mJ)で示した。
(6−2)塗布膜厚の経時変化
調製直後の参照用試料と、調製したホトレジスト組成物を25℃または70℃、15時間の条件で保存した測定用試料について、それぞれ同条件で塗布膜厚を測定し、参照用試料の塗布膜厚の値を100とするときの、測定用試料の塗布膜厚の値の割合(単位:%)を求める(100%=経時変化なし)。
具体的には、レジスト塗布装置「DNS」(製品名;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、試料を2500rpm、90秒間の条件で、8インチシリコンウェーハ上に塗布し、これをホットプレート上で140℃、90秒間乾燥(プリベーク)してレジスト膜を得た。このとき得られたレジスト膜厚(塗布膜厚)を評価した。
【0072】
以下の実施例において、(A)成分として下記のものを用いた。
【0073】
[合成例1](ノボラック樹脂1の合成)
m−クレゾール/p−クレゾール=4/6(モル比)と、ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=1/0.3(モル比)とを用いて常法により縮重合反応を行ってノボラック樹脂1´を得た。得られたノボラック樹脂のMwは5500であった。
ついで、以下の処理によって、350ppmであったノボラック樹脂1´中の酸成分濃度を50ppmにまで減少させてノボラック樹脂1を得た。
すなわち、ビーカー中にメタノール500g、純水50gからなる混合溶媒を仕込み、上記ノボラック樹脂1´100gを、上記混合溶媒に溶解した。次いで、純水にて十分に水和させたイオン交換樹脂(製品名:アンバーライトEG−4;オルガノ社製)を当該樹脂に対し、10質量%程度になるように計量し、これを上記ビーカー中に投入し、約1時間程度攪拌した後、ろ紙にてろ過することにより、精製操作を行った。
【0074】
[合成例2](スチレン系樹脂1の合成)
スチレン/ヒドロキシスチレン=1/9(モル比)を用いて常法により重合反応を行って、スチレン構成単位を含有するポリヒドロキシスチレン(スチレン構成単位の含有率10モル%、質量平均分子量2500)を合成した。
このようにして得られたスチレン系樹脂1´の酸成分濃度は98ppmであった。これを以下の処理によって3.6ppmにまで減少させてスチレン系樹脂1を得た。
ビーカー中にメタノール500g、純水50gからなる混合溶媒を仕込み、上記スチレン系樹脂1´100gを、上記混合溶媒に溶解した。次いで、純水にて十分に水和させたイオン交換樹脂(製品名:アンバーライトEG−4;オルガノ社製)を当該樹脂に対し、10質量%程度になるように計量し、これを上記ビーカー中に投入し、約1時間程度攪拌した後、ろ紙にてろ過することにより、精製操作を行った。
【0075】
[合成例3](スチレン系樹脂2の合成)
スチレン/ヒドロキシスチレン=15/85(モル比)を用いて常法により重合反応を行って、スチレン構成単位を含有するポリヒドロキシスチレン(スチレン構成単位の含有率15モル%、質量平均分子量4000)を合成した。
このようにして得られたスチレン系樹脂2´の酸成分濃度は88ppmであった。これを合成例2と同様の処理によって2.5ppmにまで減少させてスチレン系樹脂2を得た。
【0076】
[実施例1]
(A)成分[上記で合成したノボラック樹脂1]:100質量部
(B)成分[下記[化16]で表される化合物]:10質量部
(C)成分[上記式(XI)の化合物]:5質量部
(D)成分[トリ−n−オクチルアミン]:0.28質量部
上記各種成分を2−ヘプタノンに溶解し、30質量%濃度に調整するとともに、γ−ブチロラクトン5質量部を添加した後、これを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ホトレジスト組成物を調製した。
【0077】
【化16】
【0078】
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度を測定した。また、前記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0079】
[実施例2,3]
実施例1において、(A)成分を、上記合成例で合成したスチレン系樹脂1,2(それぞれ実施例2,3に対応)に代えた以外は、実施例1と同様にしてホトレジスト組成物を調製した。
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度および上記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0080】
[比較例1]
前記合成例1において樹脂中の酸成分濃度を減少させる処理を行なう前に得られたノボラック樹脂1´を用いた。
すなわち、実施例1において、(A)成分としてノボラック樹脂1´(酸成分濃度350ppm)を用いた他は、実施例1と同様にしてホトレジスト組成物を調製した。
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度および上記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0081】
[比較例2]
前記合成例2において樹脂中の酸成分濃度を減少させる処理を行なう前に得られたスチレン系樹脂1´を用いた。
すなわち、実施例2において、(A)成分としてスチレン系樹脂1´(酸成分濃度98ppm)を用いた他は、実施例2と同様にしてホトレジスト組成物を調製した。
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度および上記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0082】
[比較例3]
前記合成例3において樹脂中の酸成分濃度を減少させる処理を行なう前に得られたスチレン系樹脂2´を用いた。
すなわち、実施例3において、(A)成分としてスチレン系樹脂2´(酸成分濃度88ppm)を用いた他は、実施例3と同様にしてホトレジスト組成物を調製した。
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度および上記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0083】
[比較例4]
比較例として、従来のキノンジアジド−ノボラック系のi線用ポジ型ホトレジスト組成物である『THMR−iP5800 BE』(製品名:東京応化工業社製)を用いた。
得られたホトレジスト組成物について、上記(1)〜(5)の物性を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
これらの結果より、本発明にかかる実施例1〜3のホトレジスト組成物は、従来のノボラック−キノンジアジド系のホトレジスト組成物を用いた比較例4に比べて、感度、DOF、耐熱性、解像性、およびリニアリティにおいて優れていることが認められる。
また、酸の含有量が多い比較例1〜3のホトレジスト組成物は、感度および塗布膜厚の経時変化が大きいのに対して、実施例1〜3では70℃での強制経時試験によっても感度および塗布膜厚がほとんど変化せず、経時安定性に優れていた。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されるシステムLCDの製造用として要求される高耐熱性と高感度を同時に達成できるホトレジスト組成物、および該ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物及びレジストパターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでガラス基板を用いた液晶表示素子製造の分野におけるレジスト材料としては、ghi線露光に適しており、比較的安価で、感度、解像性が良く、形状に優れたレジストパターンを形成できることから、アルカリ可溶性樹脂としてノボラック樹脂を用い、感光性成分としてキノンジアジド基含有化合物を用いたポジ型ホトレジスト組成物が多く利用され、また報告されている(下記特許文献1〜4)。
【0003】
また化学増幅型のホトレジスト組成物に関しては、下記特許文献5に、酸成分及び水酸基を有する線状高分子、PAG、特定のエノールエーテル基を少なくとも2つ有する化合物を含有し、当該線状高分子と特定の化合物とを熱により架橋させたことを特徴とする組成物が記載されている。
また下記特許文献6には、酸基を有する線状高分子、PAG、特定のエノールエーテル基を少なくとも2つ有する化合物を含有し、当該線上高分子と特定の化合物とを熱により架橋させたことを特徴とする組成物が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−131835号公報
【特許文献2】
特開2001−75272号公報
【特許文献3】
特開2000−181055号公報
【特許文献4】
特開2000−112120号公報
【特許文献5】
特開平6−148889号公報
【特許文献6】
特開平6−230574号公報
【0005】
現在、次世代のLCDとして、1枚のガラス基板上に、ドライバ、DAC(デジタル−アナログコンバーター)、画像プロセッサ、ビデオコントローラ、RAMなどの集積回路部分がディスプレイ部分と同時に形成される、いわゆる「システムLCD」と呼ばれる高機能LCDに対する技術開発が盛んに行われている(Semiconductor FPD World 2001.9, pp.50−67)。
以下、本明細書では、このように1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成された基板を、便宜的にシステムLCDという。
【0006】
このようなシステムLCDには、アモルファスシリコンに代えて、特に600℃以下の低温プロセスで形成される低温ポリシリコンが、アモルファスシリコンに比べて電気抵抗が小さくて移動度が高いことから好適であると期待されている。
したがって、低温ポリシリコンを用いたシステムLCDの製造に適したホトレジスト組成物の開発が望まれているが、これまでにシステムLCD用のレジスト材料について報告された例はない。
化学増幅型ホトレジスト組成物に関する上記特許文献5,6にも、システムLCDに関する記載は無い。
【0007】
低温ポリシリコンからなるTFTを製造するには、ガラス基板上に低温プロセスでポリシリコン膜を形成した後、該低温ポリシリコン膜にPやB等を打ち込む、いわゆる「インプランテーション工程」において、非常に高濃度の不純物を打ち込むことが必要とされている。
このインプランテーション工程は、ガラス基板上に低温ポリシリコン膜が形成された低温ポリシリコンガラス基板上にレジストパターンが形成された状態で、真空度の高い条件下で行われるが、不純物の打ち込みによる発熱作用により、基板上のレジストパターンが加熱されると、レジストパターンが形状変化を起こしたり、レジストパターン中のある成分がガス化して処理室内の真空度を下げるという問題がある。
【0008】
この問題を解決する手段として、インプランテーション工程前に「ポストベーク」と呼ばれる加熱処理工程を行うことが有効であるが、このポストベークは、インプランテーション時に加熱される温度に近い温度条件で、例えば200℃以上の高温で行われるため、当該加熱処理においてパターン形状が変化しない高耐熱性のレジストパターンの形成が必須である。
したがって、システムLCDの製造を実用化するためには、それに用いるホトレジスト組成物として耐熱性が良好であることが求められる。
また、液晶素子の製造分野では、レジスト材料における感度の低下は重大なスループット低下をもたらすので好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のアルカリ可溶性樹脂としてノボラック樹脂を用い、感光性成分としてキノンジアジド基含有化合物を用いたポジ型ホトレジスト組成物にあっては、高耐熱性を達成するためには、一般的に、高分子量のアルカリ可溶性樹脂(ノボラック樹脂)を用いる手法が用いられ、高感度化を図るには、一般的に低分子量のアルカリ可溶性樹脂(ノボラック樹脂)を用いる手法が用いられる。
このように、従来手法では高耐熱性と高感度の両立は難しく、感度の低下を招くことなく高耐熱性を達成できる、システムLCD用ホトレジスト組成物の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されるシステムLCDの製造用として要求される高耐熱性と高感度を同時に達成できるホトレジスト組成物、および該ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、以下の解決手段により前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物は、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成された基板製造用の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物であって、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)下記一般式(I)で表される化合物、(C)放射線の照射により酸成分を発生する化合物、および有機溶剤を含んでおり、かつ当該ホトレジスト組成物中の酸成分の含有量が50ppm以下であることを特徴とする化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【化3】
[式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、または下記一般式(II)
【化4】
(式中、R4は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示す。]
【0012】
また本発明のレジストパターン形成方法は、(1)本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜が形成された基板を加熱処理(プリベーク)し、基板上にレジスト被膜を形成する工程、
(3)上記レジスト被膜に対し、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う工程、
(4)上記選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施す工程、
(5)上記加熱処理後のレジスト被膜に対し、アルカリ水溶液を用いた現像処理を施し、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成する工程、を含むことを特徴とする。
【0013】
本明細書におけるホトレジスト組成物中の酸成分とは、溶液中で酸性を示す成分であり、カルボン酸等の有機酸、塩酸等の無機酸を指す。なお、(A)成分として例示するノボラック樹脂は溶液中で酸性度を帯びるが、これは本発明で定義する酸成分には該当しない。
【0014】
【発明の実施の形態】
[A成分]
(A)アルカリ可溶性樹脂成分は、特に制限されるものでなく、ポジ型ホトレジスト組成物において被膜形成物質として通常用いられ得るものの中から任意に選ぶことができ、好ましくは、芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒド類またはケトン類とを縮合反応させて得られるノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンおよびその誘導体等を挙げることができる。
【0015】
前記芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えばフェノール;m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール等のキシレノール類;m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,5−トリエチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o−イソプロペニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2−メチル−4−イソプロペニルフェノール、2−エチル−4−イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール等のポリヒドロキシフェノール類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
前記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、フルフラール、フリルアクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、ケイ皮酸アルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのアルデヒド類の中では、入手のしやすさからホルムアルデヒドが好ましいが、特に耐熱性を向上させるためにはヒドロキシベンズアルデヒド類とホルムアルデヒドを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0017】
前記ケトン類として、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらにまた、アルデヒド類とケトン類とを適宜組み合わせて用いてもよい。
【0018】
前記芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒド類またはケトン類との縮合反応生成物は、酸性触媒の存在下公知の方法で製造することができる。その際の酸性触媒としては、塩酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸等を使用することができる。
【0019】
前記ポリヒドロキシスチレンおよびその誘導体としては、例えばビニルフェノールの単独重合体、ビニルフェノールとこれと共重合し得るコモノマーとの共重合体等が挙げられる。このコモノマーとしては、例えばアクリル酸誘導体、アクリロニトリル、メタクリル酸誘導体、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。
【0020】
(A)成分は、1種または2種以上の材料を用いることができる。
特に本発明において、ヒドロキシスチレン系の樹脂は、ノボラック樹脂に比べ、酸性度をほとんど帯びていない樹脂である。(A)成分の酸性度の強弱は、レジスト組成物の保存安定性に影響を与えるため、保存安定性の良いレジスト組成物を調整する目的においては、ヒドロキシスチレン系の樹脂を選択することが望ましい。中でも、スチレン構成単位や、アルキル置換スチレン構成単位(以下、両者を併せて「スチレン系構成単位」という)を含有するヒドロキシスチレン系樹脂は、レジスト組成物の感度、耐熱性、およびレジストパターンの形状を改善する効果もある点で好ましい。
【0021】
(A)成分としてヒドロキシスチレン系樹脂を用いる場合、ヒドロキシスチレン単位は少なくとも50〜99モル%、好ましくは70〜90モル%含まれていることが(B)成分の反応性の点から好ましい。
スチレン系構成単位の含有量は、(B)成分との反応性の確保の点、耐熱性向上、感度向上の点から、1〜30モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
【0022】
(A)成分としてヒドロキシスチレン系樹脂を用いる場合、そのMwは1000〜40000、好ましくは1000〜8000、特には2000〜6000であることが、耐熱性、高感度化、架橋剤との反応の安定性の点で好ましい。
【0023】
(A)成分としてノボラック樹脂を用いる場合、そのMwは1000〜50000、好ましくは1000〜20000程度が、露光部分の良好な溶解速度が得られて、感度特性に優れる点から好ましい。より好ましいMwの範囲は2000〜15000である。上記範囲より小さいと解像性が低下するおそれがあり、上記範囲を超えると塗布性が悪くなる。
なお、(A)成分としてノボラック樹脂を用いる場合には、後述の(D)成分や保存安定剤を併用することが、レジスト組成物の長期保存安定性の観点から望ましい。
【0024】
[B成分]
(B)成分は前記一般式(I)で表される化合物であり、架橋剤として作用するものである。
前記一般式(I)において、R1は置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜10の分岐鎖状、直鎖状のアルキレン基、または前記一般式(II)で表されるものである。なお、当該アルキレン基は主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。一般式(II)中、R4も、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜10の分岐鎖状、直鎖状のアルキレン基であり、当該アルキレン基は、主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。R1としては、−C4H8−、−C2H4OC2H4−、−C2H4OC2H4OC2H4−、及び一般式(II)で表されるもの等が好ましく、中でも上記一般式(II)で表されるものが好ましく、特にR4の炭素数が1で、mが1のものが好ましい。
(B)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0025】
(A)成分と(B)成分とは、プリベーク時の加熱処理により反応して架橋構造を形成する。当該架橋構造は恐らく、(B)成分の末端のビニル基が(A)成分の、例えば側鎖のフェノール性水酸基と開環付加反応により結合した構造となっているものと考えられる。
かかる架橋構造の具体例としては、例えば、下記一般式(1A)〜(2B)で表されるものが考えられる。
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
R1は前記と同じであり、R2、R3は、前記ノボラック樹脂に関する記載の中で説明された、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類等から由来される基である。
【0031】
上述の通り、プリベーク時に、本発明にかかるホトレジスト組成物からなる塗膜が加熱されると、その熱により前記(B)成分が(A)成分の側鎖の水酸基と結合して架橋構造を形成し、アルカリ現像液等のアルカリ性水溶液に対して不溶性のレジスト被膜となる。
【0032】
そして、この(B)成分と(A)成分の架橋構造に対して、露光によって(C)成分から発生した酸が作用すると、当該架橋構造が解裂して、レジスト被膜がアルカリ性水溶液に対して可溶となる。
(B)成分は、(A)成分としてノボラック樹脂を選択した場合は、(A)成分に対して1〜50質量%、好ましくは5〜35質量%の割合で用いられる。1質量%未満では、レジストパターン未露光部の膜減りが大きくなり、レジストパターンのコントラストが低下する傾向があり、50質量%を超えると現像液(アルカリ水溶液)に対する溶解性が著しく劣る傾向があり、感度が劣る、パターンが解像しない等の問題を発生する恐れがある。なお、(A)成分としてヒドロキシスチレン系樹脂を選択した場合は、(A)成分に対して1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の割合で用いられる。
【0033】
(A)成分中には、不純物として酸成分を含む場合が多く、特にノボラック樹脂は、その合成反応においてよく酸触媒を使用するため、多量の酸成分を含んでいることが多い。よって(A)成分、特にノボラック樹脂を用いる場合には、上記酸成分を除去して用いることが、レジスト組成物の長期保存安定性を高める点で好ましい。なお、(A)成分中の酸成分は、ガスクロマトグラフィー等により分析することができる。
酸成分の除去方法としては、公知の方法を挙げることができ、例えばイオン交換樹脂の使用、純水洗い、アルカリによる中和などの方法を適用することができる。
【0034】
[(C)成分]
(C)成分としては、特に限定はなく、従来から化学増幅型のポジ型ホトレジスト組成物の材料として知られている光酸発生剤、例えばスルホニルジアゾメタン系酸発生剤、オニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤などを用いることができる。
【0035】
特にLCDの製造では、g線、h線、i線の共存する紫外線が用いられることがあり、(C)成分として、このような紫外線の照射を受けたときの酸発生効率の高い化合物が好ましい。また、解像度を向上させるためには、波長の短いi線が好ましく利用され、さらに、システムLCDの製造においては、主にi線が用いられる傾向があるので、特に、i線露光に対する酸発生効率の高い化合物が好ましい。
【0036】
(C)成分として、例えば以下のような化合物が、i線露光に対する酸発生効率が高いことから、好ましく用いられる。
下記一般式(V)、(VI)で表されるもの。
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
(式中、m’は0又は1;Xは1又は2;R1は、1又はそれ以上のC1−C1 2アルキル基が置換していてもよいフェニル基、ヘテロアリール基等、又は、m’が0の場合はさらにC2−C6アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、CN等;R1’はC2−C12アルキレン基等;R2はR1と同義等;R3はC1−C18アルキル基等;R3’は、X=1のときR3と同義等、X=2のときC2−C12アルキレン基、フェニレン基等;R4、R5は独立に水素原子、ハロゲン、C1−C6アルキル基等;AはS、O、NR6等;R6は水素原子、フェニル基等を示す。)で表される化合物(USP 6004724)。具体的には、例えば下記式(VII)で表されるチオレン含有オキシムスルホネートなどが挙げられる。
【0040】
【化11】
【0041】
また、下記式(VIII)
【0042】
【化12】
【0043】
(式中、R6、R7は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるビス(トリクロロメチル)トリアジン化合物、又は、該化合物(VIII)と下記式(IX)
【0044】
【化13】
【0045】
(式中、Zは、4−アルコキシフェニル基等を示す。)で表されるビス(トリクロロメチル)トリアジン化合物とを組み合わせたもの(特開平6−289614号公報、特開平7−134412号公報)。
【0046】
トリアジン化合物(VIII)としては、具体的には、例えば2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−4−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−4−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−4−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−4−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4―ジプロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。これらのトリアジン化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
一方、上記トリアジン化合物(VIII)と所望に応じて組み合わせて用いられる上記トリアジン化合物(IX)としては、例えば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−プロポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−プロポキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−6−カルボキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−6−ヒドロキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−5−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−5−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。これらのトリアジン化合物は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
また、下記式(X)
【0049】
【化14】
【0050】
(式中、Arは置換又は未置換のフェニル基、ナフチル基;RはC1〜C9のアルキル基;nは2又は3の整数を示す。)で表される化合物を挙げることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上例示した化合物の中でも、特に式(VII)
で表される化合物および下記式(XI)で表される化合物は、i線に対する酸発生効率に優れるため、好ましく用いられる。
【0051】
【化15】
【0052】
本実施形態において、(C)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部とされる。
【0053】
[(D)成分]
本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物において、(D)成分として、塩基性化合物(好ましくはアミン類)を配合することにより、酸成分による影響を低減させるうえで好ましい。特に(A)成分としてノボラック樹脂を用いる場合は、ノボラック樹脂が酸性度を帯びている樹脂であるので、(D)成分を含有させることが有効である。
当該化合物としては、ホトレジスト組成物に対する相容性を有するものであればよく、特に制限されるものではないが、例えば特開平9−6001号公報に記載の化合物等を挙げることができる。
中でも、3級アミンが好ましく、特に、トリ−n−ペンチルアミン、メチル−ジ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン等の比較的嵩高いアミンは、経時的にレジスト組成物中に副生成される酸成分の量を抑制する効果もあり、レジスト組成物の長期保存安定性向上の点で好適である。
(D)成分は1種または2種以上を混合して用いることができる。
(D)成分は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜5.0質量部、特には0.1〜1.0質量部の範囲で配合することが、効果の点から好ましい。
【0054】
[有機溶剤]
有機溶剤としては、化学増幅型のポジ型ホトレジスト組成物に用いられるものであれば、特に限定せずに用いることができる。
例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等)、乳酸エステル(例えば乳酸エチル等)等のエステル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;等の非エステル系溶剤が挙げられる。
【0055】
なおエステル系溶剤は、有機カルボン酸とアルコールとの反応生成物であることから、遊離酸である有機カルボン酸を含有する。そのため、前記の(D)成分を配合しないレジスト組成物、または後述の保存安定剤を配合しないレジスト組成物においては、そのような遊離酸を含有しない非エステル系溶剤を選択することが好ましく、特にケトン類(ケトン系の溶剤)は好ましい。その中でも2−へプタノンは、塗膜性、(C)成分の溶解性の点からも好適である。
なお、エステル系溶剤も非エステル系溶剤も、ともに経時的に分解して酸を副生成する場合があるが、前記(D)成分の存在下、あるいは後述の保存安定剤の存在下においては、当該分解反応は抑制される。特にエステル系溶剤においてはその効果が顕著であり、当該(D)成分、保存安定剤の存在下においては、むしろエステル系溶剤が好ましく、特にPGMEAは好適である。
なお、上記分解により副生成する酸成分としては、例えば2−ヘプタノンの場合、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等を生じることが確認されている。
有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0056】
特に限定するものではないが、有機溶剤は、固形分の濃度が20〜50質量%、好ましくは25〜45質量%となる配合量で用いると、塗布性の点から好ましい。
【0057】
本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物には、この他、必要に応じて以下の様な保存安定剤を配合すると好ましい。
当該保存安定剤としては、溶剤の分解反応を抑制する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開昭58−194834号公報に記載されているような酸化防止剤を挙げることができる。酸化防止剤としてはフェノール系化合物とアミン系化合物が知られているが、特にフェノール系化合物が好ましく、中でも2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾール及びその誘導体が、エステル系溶剤、ケトン系溶剤の劣化に対して有効であり、商業的に入手可能、かつ安価であって、さらに保存安定効果に優れる点で好ましい。特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、2−ヘプタノンに対する劣化防止効果に極めて優れる。
配合量は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜3質量部、特には0.1〜1.0質量部の範囲であることが好ましい。
【0058】
また、本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて相容性のある添加物、例えばレジスト膜の性能などを改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、界面活性剤、現像した像をより一層可視的にするための着色料、より増感効果を向上させるための増感剤やハレーション防止用染料、密着性向上剤などの慣用の添加物を含有させることができる。
【0059】
本発明のホトレジスト組成物中の酸成分の濃度は、50ppm以下、好ましくは10ppm以下とされる。零に近い程好ましいので、下限値を限定する技術的意義はないが、実質的には1ppm以上である場合が多い。
このホトレジスト組成物中の酸成分の濃度は、上述の様に(A)成分中の酸成分濃度をできるだけ減少させる処理を行う、遊離酸を含有しない有機溶剤を用いる、分解反応により酸成分を発生しにくい有機溶剤を用いる、特定の(D)成分を用いる、保存安定剤を用いる、等の手段を講じることにより、調整することができる。
このような手段により、レジスト組成物中の酸成分濃度が50ppm以下に抑えられたレジスト組成物は、良好な感度特性、解像性、耐熱性、DOF特性を有し、またそれらの特性の経時安定性に優れ、さらにまたボトル内での保存中に分子量変化、粘度変化等がほとんど生じない長期保存安定性に優れるレジスト組成物となる。
【0060】
[レジストパターンの形成方法]
本発明のレジストパターン形成方法は、かかる化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を用いるものであり、以下に、システムLCDの製造におけるレジストパターンの好適な形成方法の一例を示す。
まず、(A)成分ないし(C)成分、並びに必要に応じて添加される各種成分を溶剤に溶解し、これをスピンナー等で基板に塗布して塗膜を形成する。基板としてはガラス基板が好ましい。このガラス基板としては、500mm×600mm以上、特には550mm×650mm以上の大型の基板を用いることができる。
【0061】
次いで、この塗膜が形成されたガラス基板を例えば100〜140℃で加熱処理(プリベーク)して残存溶媒を除去し、レジスト被膜を形成する。プリベーク方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティベークを行うことが好ましい。
次いで、上記レジスト被膜に対し、集積回路用のマスクパターンと液晶ディスプレイ部分用のマスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う。
ここで用いる光源としては、微細なパターンを形成するためにi線(365nm)を用いることが好ましい。また、この露光で採用する露光プロセスは、NAが0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下の低NA条件の露光プロセスであることが好ましい。低NA条件での露光プロセスを採用することにより、一回の露光面積を広くとることができ、スループットの向上が図れる。
【0062】
次いで、選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク:PEB)を施す。PEB方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティベーク、隙間を持たせないダイレクトベークが挙げられ、基板の反りを生じさせることをなく、PEBによる拡散効果を得るために、プロキシミティベークを行った後、ダイレクトベークを行う方法が好ましい。なお、加熱温度は90〜140℃、特には110〜130℃が好ましい。
上記PEB後のレジスト被膜に対し、現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ水溶液を用いた現像処理を施すと、露光部分が溶解除去されて、基板上に集積回路用のレジストパターンと液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンが同時に形成される。
次いで、レジストパターン表面に残った現像液を純水などのリンス液で洗い落とすことによりレジストパターンを形成できる。
【0063】
上記選択的露光を行う工程において、上記マスクとして、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いることにより、上記レジストパターンを同時に形成する工程において、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成することができる。
【0064】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物によれば、従来のキノンジアジド−ノボラック系のホトレジスト組成物では得られない、高感度、高耐熱性が達成される。
したがって、未露光部分の膜減りを防止することができるほか、インプランテーション工程を備えたTFTの製造にも適用可能である。
また高解像性、優れたDOF特性およびリニアリティも得られるので、1つの基板上にラフなパターンと微細なパターンとを同一露光条件で形成できる。したがって、システムLCDのディスプレイ部分と、それよりも微細な集積回路部分のレジストパターンまでも、高解像度で得ることができ、システムLCDの製造用として好適である。
【0065】
また、従来のアルカリ可溶性樹脂とPACを主成分とするホトレジスト組成物にしても、酸解離性基含有樹脂と酸発生剤を主成分とする化学増幅型ホトレジスト組成物にしても、非常に高価な原料を多量に使用するため、原料コストが高く、近年の製品価格の低額化に対応できないといった問題がある。高価な原料とは、前者においては、PAC、感度向上剤(増感剤)である。後者においては、リビングアニオン重合により合成された単分散ポリヒドロキシスチレンや、特殊な酸解離性基を付けた樹脂成分である。
本発明のホトレジスト組成物においては、必ずしもこの様な材料を使用しなくてもよいため、低価格化が可能である。
【0066】
特に(A)成分〜(C)成分を含有してなるレジスト組成物は、感度、解像性、DOF特性、耐熱性等のホトレジスト特性の経時的変化が生じ易く、また分子量増加、粘度増加等のボトル内での保存安定性に劣る傾向があるが、本発明では、ホトレジスト組成物中における酸成分の含有量を上記の範囲としたことにより、ホトレジスト組成物の経時的変化を抑え、またボトル内での保存安定性を向上することができる。これにより、ホトレジスト組成物の経時的変化に起因する感度の変動や分子量変化あるいは粘度変化に起因する塗布膜厚の変動等の不都合を防止することができる。
【0067】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
[ポジ型ホトレジスト組成物の評価方法]
下記の実施例または比較例のポジ型ホトレジスト組成物について下記の諸物性(1)〜(5)の評価方法を以下に示す。
(1)感度評価:下記実施例および比較例で調製したポジ型レジスト組成物を25℃、15時間の条件で保存した後、当該組成物を大型基板用レジスト塗布装置(装置名:TR36000東京応化工業(株)製)を用いて、Ti膜が形成されたガラス基板(550mm×650mm)上に塗布したのち、140℃、90秒間の加熱条件で、約1mmの間隔をあけたプロキシミティベークによりプリベークを行って、膜厚1.5μmのレジスト被膜を形成した。
次いで1.5μmL&Sのレジストパターンと3.0μmL&Sのレジストパターンを再現するためのマスクパターンが同時に描かれたテストチャートマスク(レチクル)を介して、i線露光装置(装置名:FX−702J、ニコン社製;NA=0.14)を用いて、1.5μmL&Sを忠実に再現することのできる露光量(Eop露光量)にて選択的露光を行った。
次いで、140℃、90秒間の条件で、0.5mmの間隔をあけたプロキシミティベークにより、PEBを施した。
次いで、23℃、2.38質量%TMAH水溶液用いて60秒間の現像処理を行った後、純水で30秒間リンスし、スピン乾燥した。
感度評価の指標として、1.5μmL&Sのレジストパターンを忠実に再現できる露光量(Eop、単位:mJ)を用いた。
【0069】
(2)DOF特性評価:上記Eop露光量において、焦点を適宜上下にずらし、1.5μmL&Sが±10%の寸法変化率の範囲内で得られた焦点深度(DOF)の幅をμm単位で求めた。
【0070】
(3)耐熱性評価:上記Eop露光量において、1.5μmL&Sが描かれた基板を、140℃に設定されたホットプレート上に300秒間静置した後、断面形状を観察した。その結果、1.5μmL&Sの寸法変化率が±3%以内であったものを○、3〜5%または−5〜−3%の範囲内であったものを△、±5%を超えたものを×として表した。
(4)解像性評価: 上記Eop露光量における限界解像度を求めた。
(5)リニアリティ評価:上記Eop露光量で得られる3.0μmL&Sのレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真にて観察し、3.0μmL&Sのレジストパターンの再現性を評価した。3.0μmL&Sの寸法変化率が±10%以内であったものを○、10〜15%または−15〜−10%の範囲内であったものを△、±15%を超えたものを×として表した。
【0071】
(6)ホトレジスト組成物の経時安定性
(6−1)感度の経時変化
調製したホトレジスト組成物を25℃または70℃、15時間の条件で保存した測定用試料について、それぞれ感度を測定した。なお当該感度は、上記(1)の感度評価に基づき、1.5μmL&Sのレジストパターンを忠実に再現できる露光量(Eop、単位:mJ)で示した。
(6−2)塗布膜厚の経時変化
調製直後の参照用試料と、調製したホトレジスト組成物を25℃または70℃、15時間の条件で保存した測定用試料について、それぞれ同条件で塗布膜厚を測定し、参照用試料の塗布膜厚の値を100とするときの、測定用試料の塗布膜厚の値の割合(単位:%)を求める(100%=経時変化なし)。
具体的には、レジスト塗布装置「DNS」(製品名;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、試料を2500rpm、90秒間の条件で、8インチシリコンウェーハ上に塗布し、これをホットプレート上で140℃、90秒間乾燥(プリベーク)してレジスト膜を得た。このとき得られたレジスト膜厚(塗布膜厚)を評価した。
【0072】
以下の実施例において、(A)成分として下記のものを用いた。
【0073】
[合成例1](ノボラック樹脂1の合成)
m−クレゾール/p−クレゾール=4/6(モル比)と、ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=1/0.3(モル比)とを用いて常法により縮重合反応を行ってノボラック樹脂1´を得た。得られたノボラック樹脂のMwは5500であった。
ついで、以下の処理によって、350ppmであったノボラック樹脂1´中の酸成分濃度を50ppmにまで減少させてノボラック樹脂1を得た。
すなわち、ビーカー中にメタノール500g、純水50gからなる混合溶媒を仕込み、上記ノボラック樹脂1´100gを、上記混合溶媒に溶解した。次いで、純水にて十分に水和させたイオン交換樹脂(製品名:アンバーライトEG−4;オルガノ社製)を当該樹脂に対し、10質量%程度になるように計量し、これを上記ビーカー中に投入し、約1時間程度攪拌した後、ろ紙にてろ過することにより、精製操作を行った。
【0074】
[合成例2](スチレン系樹脂1の合成)
スチレン/ヒドロキシスチレン=1/9(モル比)を用いて常法により重合反応を行って、スチレン構成単位を含有するポリヒドロキシスチレン(スチレン構成単位の含有率10モル%、質量平均分子量2500)を合成した。
このようにして得られたスチレン系樹脂1´の酸成分濃度は98ppmであった。これを以下の処理によって3.6ppmにまで減少させてスチレン系樹脂1を得た。
ビーカー中にメタノール500g、純水50gからなる混合溶媒を仕込み、上記スチレン系樹脂1´100gを、上記混合溶媒に溶解した。次いで、純水にて十分に水和させたイオン交換樹脂(製品名:アンバーライトEG−4;オルガノ社製)を当該樹脂に対し、10質量%程度になるように計量し、これを上記ビーカー中に投入し、約1時間程度攪拌した後、ろ紙にてろ過することにより、精製操作を行った。
【0075】
[合成例3](スチレン系樹脂2の合成)
スチレン/ヒドロキシスチレン=15/85(モル比)を用いて常法により重合反応を行って、スチレン構成単位を含有するポリヒドロキシスチレン(スチレン構成単位の含有率15モル%、質量平均分子量4000)を合成した。
このようにして得られたスチレン系樹脂2´の酸成分濃度は88ppmであった。これを合成例2と同様の処理によって2.5ppmにまで減少させてスチレン系樹脂2を得た。
【0076】
[実施例1]
(A)成分[上記で合成したノボラック樹脂1]:100質量部
(B)成分[下記[化16]で表される化合物]:10質量部
(C)成分[上記式(XI)の化合物]:5質量部
(D)成分[トリ−n−オクチルアミン]:0.28質量部
上記各種成分を2−ヘプタノンに溶解し、30質量%濃度に調整するとともに、γ−ブチロラクトン5質量部を添加した後、これを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ホトレジスト組成物を調製した。
【0077】
【化16】
【0078】
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度を測定した。また、前記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0079】
[実施例2,3]
実施例1において、(A)成分を、上記合成例で合成したスチレン系樹脂1,2(それぞれ実施例2,3に対応)に代えた以外は、実施例1と同様にしてホトレジスト組成物を調製した。
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度および上記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0080】
[比較例1]
前記合成例1において樹脂中の酸成分濃度を減少させる処理を行なう前に得られたノボラック樹脂1´を用いた。
すなわち、実施例1において、(A)成分としてノボラック樹脂1´(酸成分濃度350ppm)を用いた他は、実施例1と同様にしてホトレジスト組成物を調製した。
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度および上記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0081】
[比較例2]
前記合成例2において樹脂中の酸成分濃度を減少させる処理を行なう前に得られたスチレン系樹脂1´を用いた。
すなわち、実施例2において、(A)成分としてスチレン系樹脂1´(酸成分濃度98ppm)を用いた他は、実施例2と同様にしてホトレジスト組成物を調製した。
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度および上記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0082】
[比較例3]
前記合成例3において樹脂中の酸成分濃度を減少させる処理を行なう前に得られたスチレン系樹脂2´を用いた。
すなわち、実施例3において、(A)成分としてスチレン系樹脂2´(酸成分濃度88ppm)を用いた他は、実施例3と同様にしてホトレジスト組成物を調製した。
得られたホトレジスト組成物について、酸成分濃度および上記(1)〜(6)の物性を評価した。その結果を下記表1,2に示す。
【0083】
[比較例4]
比較例として、従来のキノンジアジド−ノボラック系のi線用ポジ型ホトレジスト組成物である『THMR−iP5800 BE』(製品名:東京応化工業社製)を用いた。
得られたホトレジスト組成物について、上記(1)〜(5)の物性を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
これらの結果より、本発明にかかる実施例1〜3のホトレジスト組成物は、従来のノボラック−キノンジアジド系のホトレジスト組成物を用いた比較例4に比べて、感度、DOF、耐熱性、解像性、およびリニアリティにおいて優れていることが認められる。
また、酸の含有量が多い比較例1〜3のホトレジスト組成物は、感度および塗布膜厚の経時変化が大きいのに対して、実施例1〜3では70℃での強制経時試験によっても感度および塗布膜厚がほとんど変化せず、経時安定性に優れていた。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されるシステムLCDの製造用として要求される高耐熱性と高感度を同時に達成できるホトレジスト組成物、および該ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法が得られる。
Claims (6)
- 1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成された基板製造用の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物であって、
(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)下記一般式(I)で表される化合物、(C)放射線の照射により酸成分を発生する化合物、および有機溶剤を含んでおり、かつ当該ホトレジスト組成物中の酸成分の含有量が50ppm以下であることを特徴とする化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
で表される基のいずれかを示す。] - 前記(A)成分がヒドロキシスチレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
- 前記(C)成分がi線(365nm)の照射により酸成分を発生する化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
- さらに(D)塩基性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
- (1)請求項1〜4記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜が形成された基板を加熱処理(プリベーク)し、基板上にレジスト被膜を形成する工程、
(3)上記レジスト被膜に対し、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う工程、
(4)上記選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施す工程、
(5)上記加熱処理後のレジスト被膜に対し、アルカリ水溶液を用いた現像処理を施し、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成する工程、を含むことを特徴とするレジストパターンの形成方法。 - 上記(3)選択的露光を行う工程が、i線を光源に用い、かつNAが0.3以下の低NA条件下での露光プロセスにより行われることを特徴とする請求項5に記載のレジストパターンの形成方法。
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