JP2004043777A - ノボラック樹脂溶液、ポジ型ホトレジスト組成物およびその調製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】調製後のレジスト組成物の保存安定性があることに加え、ロット間の特性のバラツキがないレジスト組成物の調製法を提供する。
【解決手段】ノボラック樹脂を有機溶剤に溶解してなるノボラック樹脂溶液にベンゾキノンが配合されてなるノボラック樹脂溶液、前記ノボラック樹脂溶液及び感光性成分を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物、前記ノボラック樹脂溶液と、感光性成分と、ハイドロキノンとを含有してなるポジ型ホトレジスト組成物、及びノボラック樹脂溶液と感光性成分とを混合するポジ型ホトレジスト組成物の調製方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ノボラック樹脂を有機溶剤に溶解してなるノボラック樹脂溶液にベンゾキノンが配合されてなるノボラック樹脂溶液、前記ノボラック樹脂溶液及び感光性成分を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物、前記ノボラック樹脂溶液と、感光性成分と、ハイドロキノンとを含有してなるポジ型ホトレジスト組成物、及びノボラック樹脂溶液と感光性成分とを混合するポジ型ホトレジスト組成物の調製方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はノボラック樹脂溶液及びポジ型ホトレジスト組成物及びその調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド基含有化合物を含むホトレジストは、i線(365nm)を用いたホトリソグラフィ技術において、解像性、感度、耐エッチング性及び耐熱性等に優れることから、半導体素子や液晶素子の製造に広く用いられている。
【0003】
しかし、ノボラック樹脂に代表されるアルカリ可溶性樹脂とキノンジアジドエステル化合物に代表されるキノンジアジド基含有化合物を含むポジ型ホトレジスト組成物は、調製後に経時変化を起こし、感度や解像性等のレジスト特性に変化を生じる場合がある。このような経時変化を防止するために、劣化防止剤を添加したり、調製後のレジスト組成物を不活性雰囲気下、冷暗所で保存するなどの処置がとられていた。
【0004】
又、特開平7−248619号公報には、p−トルエンスルホン酸、酢酸等の酸性化合物をレジスト組成物に配合することにより、時間経過に伴う異物発生のない保存安定性に優れたポジ型ホトレジスト組成物が提案されている。
又、特開平10−232489号公報には、ベンゾキノン、ナフトキノン等の還元防止剤をレジスト組成物に配合することにより、キノンジアジド系感光剤の還元によるレジスト組成物の品質変化を防止する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者等が検討したところ、特開平7−248619号公報や特開平10−232489号公報に記載の方法を適用したレジスト組成物の品質変化を防止することができない場合が生じることが判明した。すなわち、同じ製品でも、ロット間の特性のバラツキが生じることが明らかになった。
従って、本発明は、調製後のレジスト組成物の保存安定性があることに加え、ロット間の特性のバラツキがないレジスト組成物の調製法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、鋭意検討の結果、本発明者等は、特開平7−248619号公報や特開平10−232489号公報に記載の方法においては、感光剤の劣化のみがホトレジスト組成物の劣化を引き起こすものと考えられていたが、レジスト調製用に保存されているノボラック樹脂溶液が経時劣化することが、上記ロット間の特性のばらつきを生じさせる原因となっていることを見出した。
ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂溶液の状態で保存すると、ノボラック樹脂が劣化することは知られていなかった。
又、上記ロット毎の品質劣化についても、従来は知られていなかった。
【0007】
すなわち、本発明のノボラック樹脂溶液は、ノボラック樹脂の有機溶剤溶液にベンゾキノンが配合されてなることを特徴とする。
また、本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、上記ノボラック樹脂溶液及び感光性成分を含有してなることを特徴とする。
また、本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、ノボラック樹脂を有機溶剤に溶解してなるノボラック樹脂溶液と感光性成分と、ハイドロキノンとを含有することを特徴とする。
また、本発明のポジ型ホトレジスト組成物の調製方法は、上記本発明のノボラック樹脂溶液と感光性成分とを混合することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるノボラック樹脂は、特に制限されるものではなく、ポジ型ホトレジスト組成物において、被膜形成物質として通常用いられるノボラック樹脂が用いられる。中でも膨潤することなくアルカリ水溶液に容易に溶解し、現像性に優れるノボラック樹脂が好ましい。
ノボラック樹脂は、通常、フェノール類とアルデヒド類および/またはケトン類とを、酸触媒の存在下で縮合させることにより得られる。
【0009】
前記ノボラック樹脂を形成するフェノール類としては、例えばフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール等のキシレノール類;m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,5−トリエチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o−イソプロペニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2−メチル−4−イソプロペニルフェノール、2−エチル−4−イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール等のポリヒドロキシフェノール類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのフェノール類の中では、特にm−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノールが好ましい。
【0010】
前記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、フルフラール、フリルアクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアルデヒド類の中では、入手のし易さからホルムアルデヒドが好ましいが、特に耐熱性を向上させるためにはヒドロキシベンズアルデヒド類とホルムアルデヒドを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0011】
前記ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール類とケトン類との組み合わせにおいては、ピロガロールとアセトンとの組み合わせが特に好ましい。
フェノール類とアルデヒド類との縮合反応に用いられる酸性触媒としては、塩酸、硫酸、ギ酸、蓚酸、パラトルエンスルホン酸等を使用することができる。
【0012】
本発明で用いられるノボラック樹脂のポリスチレン換算質量平均分子量は、2000〜20000であることが好ましい。
本発明のノボラック樹脂溶液としては、当該ノボラック樹脂が溶液重合により合成される場合は、溶液重合後の反応液から未反応物や触媒等の不純物を除去し、さらに場合によっては分別操作等により低分子量体の除去を行った溶液を用いることができる。ノボラック樹脂がバルク重合等により合成されて固形状態である場合には、当該ノボラック樹脂を溶媒に溶解したものが用いられる。場合によっては、さらにこの溶液から分別操作等により低分子量体の除去を行った溶液を用いることができる。
ここで用いる有機溶剤としては、ノボラック樹脂を溶解できる溶剤であればよい。
【0013】
有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸エチル等のエステル類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
最終的に得られるノボラック樹脂溶液の樹脂濃度は特に制限はないが、レジストの調製に用いる目的ためには、通常20〜60質量%、特には35〜55質量%の樹脂濃度とすることが一般的であり、また好ましい。
【0015】
本発明のノボラック樹脂溶液は、上記のようにして調製したノボラック樹脂溶液に対して、ベンゾキノンを配合することにより得られるが、レジスト調製後のパーティクル発生の問題を避けるために、以下のような手段で配合することが望ましい。
1.室温(20〜25℃)において、ノボラック樹脂溶液に用いる溶剤と同じ有機溶剤に10〜20質量%濃度になるようにベンゾキノンを配合し、10分間以上攪拌して完全溶解させた溶液とする。
2.上記溶液をノボラック樹脂の溶液に少量ずつ添加する。
ベンゾキノンの配合量は、ノボラック樹脂1000gに対して1〜20gが好ましく、3〜10gとすることがより好ましい。
この範囲より少ないとノボラック樹脂溶液の保存安定効果が十分に得られず、この範囲より多いとレジスト組成物の諸特性が劣化する傾向があるため好ましくない。
【0016】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、上記のノボラック樹脂溶液及び感光性成分を含有する。ここで用いられる感光性成分としては特に限定はなく、化学増幅型のレジスト組成物を調整する目的の場合は、公知のPAG(光酸発生剤)などが挙げられ、非化学増幅型の場合にはキノンジアジドエステル化物などが挙げられる。本発明のポジ型ホトレジスト組成物においては、非化学増幅型であるキノンジアジドエステル化物が好ましい。
キノンジアジドエステルとしては、下記一般式(I)で表される化合物を例示できる。
【0017】
【化1】
【0018】
〔式中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R9〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Qは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、R9と結合した炭素数3〜6のシクロアルキル基、又は下記化学式(II)で表される基を表し、a、bは1〜3の整数、d、nは0〜3の整数を表す。
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、R12、R13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、cは1〜3の整数を表す。)Dは、独立に水素原子又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基を表し、Dの少なくとも1つは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基である。〕
【0021】
感光性成分の配合量は、上記ノボラック樹脂と下記感度向上剤との合計量に対し5〜80質量%、好ましくは10〜70質量%の範囲で選ぶのが好ましい。5質量%未満であるとパターンに忠実な画像が得られず、転写性も低下する。一方、80質量%を超えると感度劣化と形成されるレジスト膜の均質性が低下し、解像性が劣化する。
【0022】
ホトレジスト組成物の感度を向上させる成分として、分子量1000以下のフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性の低分子化合物を配合することができる。以下、この低分子化合物を感度向上剤という。
この感度向上剤を配合すると、高感度が達成され、スループットの向上に寄与する。また、この感度向上剤を配合することにより、レジスト膜に表面難溶化層が形成されるため、現像時に未露光部分のレジスト膜の膜減り量が少なく、現像時間の差から生じる現像ムラの発生が抑えられるので好ましい。
この感度向上剤としては、下記一般式(III)で表されるフェノール化合物などを例示できる。
【0023】
【化3】
【0024】
(式中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R9〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。Qは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、R9と結合した炭素数3〜6のシクロアルキル基、又は下記化学式(IV)で表される基を表し、a、bは1〜3の整数、d、nは0〜3の整数を表す。)
【0025】
【化4】
【0026】
(式中、R12、R13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、cは1〜3の整数を表す。)
【0027】
このフェノール化合物の具体例としては、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルメタン、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−5−ヒドロキシフェノール等を挙げることができる。
【0028】
これらの中でも、感度向上効果に優れることから、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、2,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−5−ヒドロキシフェノール、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等が好ましく、特に、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンとビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタンが、感度、残膜率、リニアリティの向上効果に優れる点で好ましい。
【0029】
感度向上剤の配合量は、上記ノボラック樹脂に対し5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲で選ばれる。
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、前記ノボラック樹脂溶液に、感光性成分、好ましくは、感度向上剤、さらに必要に応じて各種添加成分を添加した溶液の形で用いるのが好ましい。
【0030】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲でハレーション防止のための紫外線吸収剤、ストリエーション防止のための界面活性剤等を配合することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、クルクミン等を例示できる。界面活性剤としては、フロラードFC−430、同FC431(商品名、住友3M社製)、エフトップEF122A、同EF122B、同EF122C、同EF126(商品名、トーケムプロダクツ社製)等のフッ素系界面活性剤を例示できる。
更に必要に応じて付加的樹脂、可塑剤、安定化剤、コントラスト向上剤等の慣用の添加剤を本発明の目的に支障のない範囲で添加含有させることができる。
【0031】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物の調製方法は、前記本発明のノボラック樹脂溶液に、感光性成分を加え、必要に応じて感度向上剤、及び紫外線吸収剤、界面活性剤等を加え、必要であれば更に溶剤を加えて濃度調節をして均一な溶液とする調製方法である。この溶剤はノボラック樹脂溶液の溶剤として先に示した溶剤を用いることができる。加える溶剤の種類は、ノボラック樹脂溶液に用いた溶剤と同一でも異なっていてもよい。また、更に得られた溶液をメンブランフィルター等でろ過してもよい。
【0032】
本発明のノボラック樹脂溶液中のベンゾキノンは、ノボラック樹脂溶液の保存中に自らが還元され、徐々にハイドロキノンに変化する。
ただし、おどろくべきことには、ノボラック樹脂溶液の安定性に必要な量のベンゾキノンを添加してノボラック樹脂溶液を調製し、そのノボラック樹脂溶液を用いてポジ型ホトレジスト組成物を調製するだけで、安定なポジ型ホトレジスト組成物が得られた。つまり、新たに加えられる感光性成分に対して、ベンゾキノンの追加添加など、新たに安定剤等を添加する必要がない。
このように、ノボラック樹脂溶液の保存安定性を維持するようにした結果、これを用いたポジ型ホトレジスト組成物の保存安定性も保たれるという点が、本発明の大きな効果である。
従って、本発明のノボラック樹脂溶液を用いて調製したポジ型ホトレジスト組成物には、ベンゾキノンが還元されてできるハイドロキノンが含まれている場合が多い。ハイドロキノンをポジ型ホトレジスト組成物に積極的に添加する理由はなく、従って、ハイドロキノンを含有するポジ型ホトレジスト組成物は、本発明のノボラック樹脂溶液を用いたものであり、本発明のポジ型ホトレジスト組成物であって、本発明のポジ型ホトレジスト組成物の調製方法により得られたものであるということができる。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明を更に説明する。
なお、ノボラック樹脂溶液およびレジスト組成物の経時変化は、次のようにして求めた。
(1)ノボラック樹脂溶液の経時変化評価:
下記合成例で合成および調製した調製直後のノボラック樹脂溶液を基板上に塗布し、110℃で90秒間乾燥させて1μm膜厚に形成した被膜の、23℃、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する完全溶解時間[T0(s)]を求めた。
次いで、当該ノボラック樹脂溶液を不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後、これを110℃で90秒間乾燥させて1μm膜厚に形成した被膜の、23℃、2.38質量%TMAH水溶液に対する完全溶解時間[Tn(s)]を求め、T0(s)とTn(s)の差の絶対値|Tn−T0| をノボラック樹脂溶液の経時変化度として表した。
【0034】
(2)レジスト組成物の経時変化評価:
調製直後のノボラック樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物の感度[Eop0(ms)]を求めた。
次いで、当該レジスト組成物を不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後のレジスト組成物の感度[Eopp(ms)]を求め、Eop0(ms)とEopp(ms)の差の絶対値
|Eopp−Eop0|
をレジスト組成物の経時変化度として表した。
【0035】
なお、上記感度は以下のようにして求めた。
レジスト組成物をスピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、これをホットプレート上で90℃、90秒間乾燥して膜厚1.05μmのレジスト膜を得た。この膜にラインアンドスペースが1:1の0.35μmレジストパターン対応のマスク(レチクル)を介して縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製、NA=0.57)を用いて、0.1秒から0.01秒間隔で露光したのち、110℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行い、2.38質量%TMAH水溶液で23℃にて60秒間現像し、30秒間水洗して乾燥したとき、0.35μmレジストパターンのラインアンドスペース幅が1:1に形成される最適露光時間(Eop)を感度としてミリ秒(ms)単位で表した。
【0036】
(3)レジスト組成物のロット間のバラツキ評価:
調製直後のノボラック樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物の感度[Eop0(ms)]を求めた。
次いで、不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後のノボラック樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物の感度[Eopn(ms)]を求め、Eop0(ms)とEopn(ms)の差の絶対値
|Eopn−Eop0|
をレジスト組成物のロット間バラツキ度として表した。
なお、上記感度は上記(2)の評価項目で記載した通りの方法により行った。
【0037】
<合成例1>(ノボラック樹脂1の合成)
m−クレゾール、p−クレゾールおよび2,5−キシレノールをモル比で4:4:2となるように混合し、次いで酸触媒としてシュウ酸を用い、縮合剤としてホルムアルデヒドおよびサリチルアルデヒドを用いて、常法により縮合反応を行ってノボラック樹脂を合成した。
得られたノボラック樹脂の低分子量フラクションを除去し、ポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)が7000のアルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。
次いで、得られたノボラック樹脂をメチルアミルケトン(以下、MAKという)に溶解して樹脂濃度50質量%のノボラック樹脂溶液1aを調製した。
また、当該ノボラック樹脂溶液1aの1000gに対し、ベンゾキノン2gを配合し、ノボラック樹脂溶液1bを調製した。
【0038】
<合成例2>(ノボラック樹脂2の合成)
2,6−ジメチロール−p−クレゾールをγ−ブチロラクトン/メタノール=4/1(質量比)混合溶媒に溶解し、6.5質量%濃度の溶液Aを調製した。
また、2,5−キシレノール、水酸化ナトリウムをモル比で4:1になるように混合し、これに縮合剤としてホルムアルデヒドを用いて縮合反応を行い、反応終了後、再析出により、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンの結晶を得た。
上記ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンの結晶をγ−ブチロラクトンに溶解し、30質量%濃度の溶液Bを調製した。
上記溶液Bの1000gに触媒としてp−トルエンスルホン酸5gを配合し、これに上記溶液Aの40gを滴下し、縮合反応を行った。
分析の結果、反応終了後の溶液中には、Mw=1456のノボラック樹脂の低分子量体が得られていることが確認された。
上記、反応終了後の溶液にm−クレゾール2.5モルを配合し、次いで縮合剤としてホルムアルデヒドを用いて、常法により縮合反応を行ってノボラック樹脂を合成した。
得られたノボラック樹脂の低分子量フラクションを除去し、Mw=7700、オルソ−オルソ結合の含有率が53%のハイオルソのアルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。
次いで、得られたノボラック樹脂をMAKに溶解して樹脂濃度50質量%のノボラック樹脂溶液2aを調製した。
また当該ノボラック樹脂溶液2aの1000gに対し、ベンゾキノン2gを配合し、ノボラック樹脂溶液2bを調製した。
【0039】
<合成例3>(ノボラック樹脂3の合成)
m−クレゾール、3,4−キシレノールをモル比で4:1となるように混合し、次いで酸触媒としてp−トルエンスルホン酸を用い、縮合剤としてホルムアルデヒドを用いて、常法により縮合反応を行ってMw=2900のアルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。
次いで、得られたノボラック樹脂をMAKに溶解して樹脂濃度50質量%のノボラック樹脂溶液3aを調製した。
また当該ノボラック樹脂溶液3aの1000gに対し、ベンゾキノン2gを配合し、ノボラック樹脂溶液3bを調製した。
【0040】
(4)ノボラック樹脂溶液中のベンゾキノン及びハイドロキノン含有量の測定:
(i)上記合成例で合成および調製した調製直後のノボラック樹脂溶液1b〜3bを用いて、0.5質量%試料溶液を調製した。
(ii)上記合成例で合成および調製した調製直後のノボラック樹脂溶液1b〜3bを不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後のノボラック樹脂溶液1b’〜3b’を用いて、0.5質量%試料溶液を調製した。
(iii)水−アセトニトリル=6/4(質量比)の溶離液を、送液速度0.7ml/minでカラム(製品名「Inertsil ODS−2」;GL Sciences社製)に10分間流した。カラム温度は、オーブンを用い、温度45℃に設定した。
(iv)上記の試料溶液1.0μlを逆相HPLC(高速液体クロマトグラフィ)(製品名「HP−1100」;Agilent社製)に注入し、測定波長光=230nm付近において、溶出時間3.4〜4.0分に検出されるベンゾキノン(BQ)のピーク面積と、溶出時間2.4〜3.0分に検出されるハイドロキノン(HQ)のピーク面積との比を求め、その結果を下表に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
以上の結果から明かな通り、ノボラック樹脂溶液中のBQは、不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後は、ほぼHQに変化していることがわかった。
【0043】
<実施例1>
上記ノボラック樹脂溶液1a〜3a、1b〜3bにつき、上記(1)の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0044】
<実施例2>
上記ノボラック樹脂溶液1a〜3a、1b〜3bをそれぞれ用いて、下記のようにレジスト組成物を調整した。
(A)ノボラック樹脂 100質量部
[上記ノボラック樹脂量液に換算して200質量部]
(B)感光性成分:(下記混合物) 30質量部
[B1/B2=3/2(質量比)]
B1:ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン1モルと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(以下、「5−NQD」という)2モルとのエステル化反応生成物
B2:ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン1モルと5−NQD2モルとのエステル化反応生成物
(C)感度向上剤:(下記混合物) 27質量部
[C1/C2=1/1(質量比)]
C1:1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン
C2:ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン
(D)その他の成分(下記化合物D):
上記(A)〜(C)成分の総質量に対して2質量%
D:1,4−ビス[1−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)イソプロピル]ベンゼン
上記(A)〜(D)の各成分を2−ヘプタノン450質量部に溶解した後、これを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ポジ型ホトレジスト組成物を調製した。
このものについての上記(2)、(3)の物性を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
以上の結果から明らかなように、ベンゾキノンを配合したノボラック樹脂溶液1b〜3bは、ベンゾキノンを配合しないノボラック樹脂溶液1a〜3aに比べ、ノボラック樹脂溶液の経時変化が少ないことがわかった。
また、ベンゾキノンを配合したノボラック樹脂溶液1b〜3bを用いて調製したレジスト組成物は、ベンゾキノンを配合しないノボラック樹脂溶液1a〜3aを用いて調製したレジスト組成物に比べ、レジスト組成物の経時変化が少ないことがわかった。
また、ベンゾキノンを配合したノボラック樹脂溶液1b〜3bは、当該ノボラック樹脂溶液の調整直後に調整したレジスト組成物の感度と、当該ノボラック樹脂溶液を不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後のノボラック樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物の感度とほぼ同じであったことから、ロット間のバラツキのないレジスト組成物であることがわかった。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のノボラック樹脂溶液は経時変化が少なく、これを用いて得られた本発明のポジ型ホトレジスト組成物はノボラック樹脂保存期間の異なるロット間でのバラツキが少ないという特徴を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明はノボラック樹脂溶液及びポジ型ホトレジスト組成物及びその調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド基含有化合物を含むホトレジストは、i線(365nm)を用いたホトリソグラフィ技術において、解像性、感度、耐エッチング性及び耐熱性等に優れることから、半導体素子や液晶素子の製造に広く用いられている。
【0003】
しかし、ノボラック樹脂に代表されるアルカリ可溶性樹脂とキノンジアジドエステル化合物に代表されるキノンジアジド基含有化合物を含むポジ型ホトレジスト組成物は、調製後に経時変化を起こし、感度や解像性等のレジスト特性に変化を生じる場合がある。このような経時変化を防止するために、劣化防止剤を添加したり、調製後のレジスト組成物を不活性雰囲気下、冷暗所で保存するなどの処置がとられていた。
【0004】
又、特開平7−248619号公報には、p−トルエンスルホン酸、酢酸等の酸性化合物をレジスト組成物に配合することにより、時間経過に伴う異物発生のない保存安定性に優れたポジ型ホトレジスト組成物が提案されている。
又、特開平10−232489号公報には、ベンゾキノン、ナフトキノン等の還元防止剤をレジスト組成物に配合することにより、キノンジアジド系感光剤の還元によるレジスト組成物の品質変化を防止する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者等が検討したところ、特開平7−248619号公報や特開平10−232489号公報に記載の方法を適用したレジスト組成物の品質変化を防止することができない場合が生じることが判明した。すなわち、同じ製品でも、ロット間の特性のバラツキが生じることが明らかになった。
従って、本発明は、調製後のレジスト組成物の保存安定性があることに加え、ロット間の特性のバラツキがないレジスト組成物の調製法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、鋭意検討の結果、本発明者等は、特開平7−248619号公報や特開平10−232489号公報に記載の方法においては、感光剤の劣化のみがホトレジスト組成物の劣化を引き起こすものと考えられていたが、レジスト調製用に保存されているノボラック樹脂溶液が経時劣化することが、上記ロット間の特性のばらつきを生じさせる原因となっていることを見出した。
ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂溶液の状態で保存すると、ノボラック樹脂が劣化することは知られていなかった。
又、上記ロット毎の品質劣化についても、従来は知られていなかった。
【0007】
すなわち、本発明のノボラック樹脂溶液は、ノボラック樹脂の有機溶剤溶液にベンゾキノンが配合されてなることを特徴とする。
また、本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、上記ノボラック樹脂溶液及び感光性成分を含有してなることを特徴とする。
また、本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、ノボラック樹脂を有機溶剤に溶解してなるノボラック樹脂溶液と感光性成分と、ハイドロキノンとを含有することを特徴とする。
また、本発明のポジ型ホトレジスト組成物の調製方法は、上記本発明のノボラック樹脂溶液と感光性成分とを混合することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるノボラック樹脂は、特に制限されるものではなく、ポジ型ホトレジスト組成物において、被膜形成物質として通常用いられるノボラック樹脂が用いられる。中でも膨潤することなくアルカリ水溶液に容易に溶解し、現像性に優れるノボラック樹脂が好ましい。
ノボラック樹脂は、通常、フェノール類とアルデヒド類および/またはケトン類とを、酸触媒の存在下で縮合させることにより得られる。
【0009】
前記ノボラック樹脂を形成するフェノール類としては、例えばフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール等のキシレノール類;m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,5−トリエチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o−イソプロペニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2−メチル−4−イソプロペニルフェノール、2−エチル−4−イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール等のポリヒドロキシフェノール類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのフェノール類の中では、特にm−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノールが好ましい。
【0010】
前記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、フルフラール、フリルアクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアルデヒド類の中では、入手のし易さからホルムアルデヒドが好ましいが、特に耐熱性を向上させるためにはヒドロキシベンズアルデヒド類とホルムアルデヒドを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0011】
前記ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール類とケトン類との組み合わせにおいては、ピロガロールとアセトンとの組み合わせが特に好ましい。
フェノール類とアルデヒド類との縮合反応に用いられる酸性触媒としては、塩酸、硫酸、ギ酸、蓚酸、パラトルエンスルホン酸等を使用することができる。
【0012】
本発明で用いられるノボラック樹脂のポリスチレン換算質量平均分子量は、2000〜20000であることが好ましい。
本発明のノボラック樹脂溶液としては、当該ノボラック樹脂が溶液重合により合成される場合は、溶液重合後の反応液から未反応物や触媒等の不純物を除去し、さらに場合によっては分別操作等により低分子量体の除去を行った溶液を用いることができる。ノボラック樹脂がバルク重合等により合成されて固形状態である場合には、当該ノボラック樹脂を溶媒に溶解したものが用いられる。場合によっては、さらにこの溶液から分別操作等により低分子量体の除去を行った溶液を用いることができる。
ここで用いる有機溶剤としては、ノボラック樹脂を溶解できる溶剤であればよい。
【0013】
有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸エチル等のエステル類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
最終的に得られるノボラック樹脂溶液の樹脂濃度は特に制限はないが、レジストの調製に用いる目的ためには、通常20〜60質量%、特には35〜55質量%の樹脂濃度とすることが一般的であり、また好ましい。
【0015】
本発明のノボラック樹脂溶液は、上記のようにして調製したノボラック樹脂溶液に対して、ベンゾキノンを配合することにより得られるが、レジスト調製後のパーティクル発生の問題を避けるために、以下のような手段で配合することが望ましい。
1.室温(20〜25℃)において、ノボラック樹脂溶液に用いる溶剤と同じ有機溶剤に10〜20質量%濃度になるようにベンゾキノンを配合し、10分間以上攪拌して完全溶解させた溶液とする。
2.上記溶液をノボラック樹脂の溶液に少量ずつ添加する。
ベンゾキノンの配合量は、ノボラック樹脂1000gに対して1〜20gが好ましく、3〜10gとすることがより好ましい。
この範囲より少ないとノボラック樹脂溶液の保存安定効果が十分に得られず、この範囲より多いとレジスト組成物の諸特性が劣化する傾向があるため好ましくない。
【0016】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、上記のノボラック樹脂溶液及び感光性成分を含有する。ここで用いられる感光性成分としては特に限定はなく、化学増幅型のレジスト組成物を調整する目的の場合は、公知のPAG(光酸発生剤)などが挙げられ、非化学増幅型の場合にはキノンジアジドエステル化物などが挙げられる。本発明のポジ型ホトレジスト組成物においては、非化学増幅型であるキノンジアジドエステル化物が好ましい。
キノンジアジドエステルとしては、下記一般式(I)で表される化合物を例示できる。
【0017】
【化1】
【0018】
〔式中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R9〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Qは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、R9と結合した炭素数3〜6のシクロアルキル基、又は下記化学式(II)で表される基を表し、a、bは1〜3の整数、d、nは0〜3の整数を表す。
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、R12、R13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、cは1〜3の整数を表す。)Dは、独立に水素原子又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基を表し、Dの少なくとも1つは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基である。〕
【0021】
感光性成分の配合量は、上記ノボラック樹脂と下記感度向上剤との合計量に対し5〜80質量%、好ましくは10〜70質量%の範囲で選ぶのが好ましい。5質量%未満であるとパターンに忠実な画像が得られず、転写性も低下する。一方、80質量%を超えると感度劣化と形成されるレジスト膜の均質性が低下し、解像性が劣化する。
【0022】
ホトレジスト組成物の感度を向上させる成分として、分子量1000以下のフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性の低分子化合物を配合することができる。以下、この低分子化合物を感度向上剤という。
この感度向上剤を配合すると、高感度が達成され、スループットの向上に寄与する。また、この感度向上剤を配合することにより、レジスト膜に表面難溶化層が形成されるため、現像時に未露光部分のレジスト膜の膜減り量が少なく、現像時間の差から生じる現像ムラの発生が抑えられるので好ましい。
この感度向上剤としては、下記一般式(III)で表されるフェノール化合物などを例示できる。
【0023】
【化3】
【0024】
(式中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R9〜R11はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。Qは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、R9と結合した炭素数3〜6のシクロアルキル基、又は下記化学式(IV)で表される基を表し、a、bは1〜3の整数、d、nは0〜3の整数を表す。)
【0025】
【化4】
【0026】
(式中、R12、R13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、cは1〜3の整数を表す。)
【0027】
このフェノール化合物の具体例としては、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルメタン、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−5−ヒドロキシフェノール等を挙げることができる。
【0028】
これらの中でも、感度向上効果に優れることから、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、2,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−5−ヒドロキシフェノール、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等が好ましく、特に、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンとビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタンが、感度、残膜率、リニアリティの向上効果に優れる点で好ましい。
【0029】
感度向上剤の配合量は、上記ノボラック樹脂に対し5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲で選ばれる。
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、前記ノボラック樹脂溶液に、感光性成分、好ましくは、感度向上剤、さらに必要に応じて各種添加成分を添加した溶液の形で用いるのが好ましい。
【0030】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲でハレーション防止のための紫外線吸収剤、ストリエーション防止のための界面活性剤等を配合することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、クルクミン等を例示できる。界面活性剤としては、フロラードFC−430、同FC431(商品名、住友3M社製)、エフトップEF122A、同EF122B、同EF122C、同EF126(商品名、トーケムプロダクツ社製)等のフッ素系界面活性剤を例示できる。
更に必要に応じて付加的樹脂、可塑剤、安定化剤、コントラスト向上剤等の慣用の添加剤を本発明の目的に支障のない範囲で添加含有させることができる。
【0031】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物の調製方法は、前記本発明のノボラック樹脂溶液に、感光性成分を加え、必要に応じて感度向上剤、及び紫外線吸収剤、界面活性剤等を加え、必要であれば更に溶剤を加えて濃度調節をして均一な溶液とする調製方法である。この溶剤はノボラック樹脂溶液の溶剤として先に示した溶剤を用いることができる。加える溶剤の種類は、ノボラック樹脂溶液に用いた溶剤と同一でも異なっていてもよい。また、更に得られた溶液をメンブランフィルター等でろ過してもよい。
【0032】
本発明のノボラック樹脂溶液中のベンゾキノンは、ノボラック樹脂溶液の保存中に自らが還元され、徐々にハイドロキノンに変化する。
ただし、おどろくべきことには、ノボラック樹脂溶液の安定性に必要な量のベンゾキノンを添加してノボラック樹脂溶液を調製し、そのノボラック樹脂溶液を用いてポジ型ホトレジスト組成物を調製するだけで、安定なポジ型ホトレジスト組成物が得られた。つまり、新たに加えられる感光性成分に対して、ベンゾキノンの追加添加など、新たに安定剤等を添加する必要がない。
このように、ノボラック樹脂溶液の保存安定性を維持するようにした結果、これを用いたポジ型ホトレジスト組成物の保存安定性も保たれるという点が、本発明の大きな効果である。
従って、本発明のノボラック樹脂溶液を用いて調製したポジ型ホトレジスト組成物には、ベンゾキノンが還元されてできるハイドロキノンが含まれている場合が多い。ハイドロキノンをポジ型ホトレジスト組成物に積極的に添加する理由はなく、従って、ハイドロキノンを含有するポジ型ホトレジスト組成物は、本発明のノボラック樹脂溶液を用いたものであり、本発明のポジ型ホトレジスト組成物であって、本発明のポジ型ホトレジスト組成物の調製方法により得られたものであるということができる。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明を更に説明する。
なお、ノボラック樹脂溶液およびレジスト組成物の経時変化は、次のようにして求めた。
(1)ノボラック樹脂溶液の経時変化評価:
下記合成例で合成および調製した調製直後のノボラック樹脂溶液を基板上に塗布し、110℃で90秒間乾燥させて1μm膜厚に形成した被膜の、23℃、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する完全溶解時間[T0(s)]を求めた。
次いで、当該ノボラック樹脂溶液を不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後、これを110℃で90秒間乾燥させて1μm膜厚に形成した被膜の、23℃、2.38質量%TMAH水溶液に対する完全溶解時間[Tn(s)]を求め、T0(s)とTn(s)の差の絶対値|Tn−T0| をノボラック樹脂溶液の経時変化度として表した。
【0034】
(2)レジスト組成物の経時変化評価:
調製直後のノボラック樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物の感度[Eop0(ms)]を求めた。
次いで、当該レジスト組成物を不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後のレジスト組成物の感度[Eopp(ms)]を求め、Eop0(ms)とEopp(ms)の差の絶対値
|Eopp−Eop0|
をレジスト組成物の経時変化度として表した。
【0035】
なお、上記感度は以下のようにして求めた。
レジスト組成物をスピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、これをホットプレート上で90℃、90秒間乾燥して膜厚1.05μmのレジスト膜を得た。この膜にラインアンドスペースが1:1の0.35μmレジストパターン対応のマスク(レチクル)を介して縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製、NA=0.57)を用いて、0.1秒から0.01秒間隔で露光したのち、110℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行い、2.38質量%TMAH水溶液で23℃にて60秒間現像し、30秒間水洗して乾燥したとき、0.35μmレジストパターンのラインアンドスペース幅が1:1に形成される最適露光時間(Eop)を感度としてミリ秒(ms)単位で表した。
【0036】
(3)レジスト組成物のロット間のバラツキ評価:
調製直後のノボラック樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物の感度[Eop0(ms)]を求めた。
次いで、不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後のノボラック樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物の感度[Eopn(ms)]を求め、Eop0(ms)とEopn(ms)の差の絶対値
|Eopn−Eop0|
をレジスト組成物のロット間バラツキ度として表した。
なお、上記感度は上記(2)の評価項目で記載した通りの方法により行った。
【0037】
<合成例1>(ノボラック樹脂1の合成)
m−クレゾール、p−クレゾールおよび2,5−キシレノールをモル比で4:4:2となるように混合し、次いで酸触媒としてシュウ酸を用い、縮合剤としてホルムアルデヒドおよびサリチルアルデヒドを用いて、常法により縮合反応を行ってノボラック樹脂を合成した。
得られたノボラック樹脂の低分子量フラクションを除去し、ポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)が7000のアルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。
次いで、得られたノボラック樹脂をメチルアミルケトン(以下、MAKという)に溶解して樹脂濃度50質量%のノボラック樹脂溶液1aを調製した。
また、当該ノボラック樹脂溶液1aの1000gに対し、ベンゾキノン2gを配合し、ノボラック樹脂溶液1bを調製した。
【0038】
<合成例2>(ノボラック樹脂2の合成)
2,6−ジメチロール−p−クレゾールをγ−ブチロラクトン/メタノール=4/1(質量比)混合溶媒に溶解し、6.5質量%濃度の溶液Aを調製した。
また、2,5−キシレノール、水酸化ナトリウムをモル比で4:1になるように混合し、これに縮合剤としてホルムアルデヒドを用いて縮合反応を行い、反応終了後、再析出により、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンの結晶を得た。
上記ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンの結晶をγ−ブチロラクトンに溶解し、30質量%濃度の溶液Bを調製した。
上記溶液Bの1000gに触媒としてp−トルエンスルホン酸5gを配合し、これに上記溶液Aの40gを滴下し、縮合反応を行った。
分析の結果、反応終了後の溶液中には、Mw=1456のノボラック樹脂の低分子量体が得られていることが確認された。
上記、反応終了後の溶液にm−クレゾール2.5モルを配合し、次いで縮合剤としてホルムアルデヒドを用いて、常法により縮合反応を行ってノボラック樹脂を合成した。
得られたノボラック樹脂の低分子量フラクションを除去し、Mw=7700、オルソ−オルソ結合の含有率が53%のハイオルソのアルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。
次いで、得られたノボラック樹脂をMAKに溶解して樹脂濃度50質量%のノボラック樹脂溶液2aを調製した。
また当該ノボラック樹脂溶液2aの1000gに対し、ベンゾキノン2gを配合し、ノボラック樹脂溶液2bを調製した。
【0039】
<合成例3>(ノボラック樹脂3の合成)
m−クレゾール、3,4−キシレノールをモル比で4:1となるように混合し、次いで酸触媒としてp−トルエンスルホン酸を用い、縮合剤としてホルムアルデヒドを用いて、常法により縮合反応を行ってMw=2900のアルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。
次いで、得られたノボラック樹脂をMAKに溶解して樹脂濃度50質量%のノボラック樹脂溶液3aを調製した。
また当該ノボラック樹脂溶液3aの1000gに対し、ベンゾキノン2gを配合し、ノボラック樹脂溶液3bを調製した。
【0040】
(4)ノボラック樹脂溶液中のベンゾキノン及びハイドロキノン含有量の測定:
(i)上記合成例で合成および調製した調製直後のノボラック樹脂溶液1b〜3bを用いて、0.5質量%試料溶液を調製した。
(ii)上記合成例で合成および調製した調製直後のノボラック樹脂溶液1b〜3bを不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後のノボラック樹脂溶液1b’〜3b’を用いて、0.5質量%試料溶液を調製した。
(iii)水−アセトニトリル=6/4(質量比)の溶離液を、送液速度0.7ml/minでカラム(製品名「Inertsil ODS−2」;GL Sciences社製)に10分間流した。カラム温度は、オーブンを用い、温度45℃に設定した。
(iv)上記の試料溶液1.0μlを逆相HPLC(高速液体クロマトグラフィ)(製品名「HP−1100」;Agilent社製)に注入し、測定波長光=230nm付近において、溶出時間3.4〜4.0分に検出されるベンゾキノン(BQ)のピーク面積と、溶出時間2.4〜3.0分に検出されるハイドロキノン(HQ)のピーク面積との比を求め、その結果を下表に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
以上の結果から明かな通り、ノボラック樹脂溶液中のBQは、不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後は、ほぼHQに変化していることがわかった。
【0043】
<実施例1>
上記ノボラック樹脂溶液1a〜3a、1b〜3bにつき、上記(1)の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0044】
<実施例2>
上記ノボラック樹脂溶液1a〜3a、1b〜3bをそれぞれ用いて、下記のようにレジスト組成物を調整した。
(A)ノボラック樹脂 100質量部
[上記ノボラック樹脂量液に換算して200質量部]
(B)感光性成分:(下記混合物) 30質量部
[B1/B2=3/2(質量比)]
B1:ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン1モルと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(以下、「5−NQD」という)2モルとのエステル化反応生成物
B2:ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン1モルと5−NQD2モルとのエステル化反応生成物
(C)感度向上剤:(下記混合物) 27質量部
[C1/C2=1/1(質量比)]
C1:1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン
C2:ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン
(D)その他の成分(下記化合物D):
上記(A)〜(C)成分の総質量に対して2質量%
D:1,4−ビス[1−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)イソプロピル]ベンゼン
上記(A)〜(D)の各成分を2−ヘプタノン450質量部に溶解した後、これを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ポジ型ホトレジスト組成物を調製した。
このものについての上記(2)、(3)の物性を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
以上の結果から明らかなように、ベンゾキノンを配合したノボラック樹脂溶液1b〜3bは、ベンゾキノンを配合しないノボラック樹脂溶液1a〜3aに比べ、ノボラック樹脂溶液の経時変化が少ないことがわかった。
また、ベンゾキノンを配合したノボラック樹脂溶液1b〜3bを用いて調製したレジスト組成物は、ベンゾキノンを配合しないノボラック樹脂溶液1a〜3aを用いて調製したレジスト組成物に比べ、レジスト組成物の経時変化が少ないことがわかった。
また、ベンゾキノンを配合したノボラック樹脂溶液1b〜3bは、当該ノボラック樹脂溶液の調整直後に調整したレジスト組成物の感度と、当該ノボラック樹脂溶液を不活性ガス(窒素ガス)を充填した容器に入れ、暗室内で40℃、90日間保管した後のノボラック樹脂溶液を用いて調製したレジスト組成物の感度とほぼ同じであったことから、ロット間のバラツキのないレジスト組成物であることがわかった。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のノボラック樹脂溶液は経時変化が少なく、これを用いて得られた本発明のポジ型ホトレジスト組成物はノボラック樹脂保存期間の異なるロット間でのバラツキが少ないという特徴を有する。
Claims (10)
- ノボラック樹脂の有機溶剤溶液にベンゾキノンが配合されてなるノボラック樹脂溶液。
- 前記ベンゾキノンの配合量が、前記ノボラック樹脂1000gあたり1〜20gであることを特徴とする請求項1記載のノボラック樹脂溶液。
- 前記ノボラック樹脂がアルカリ可溶性であることを特徴とする請求項1又は2記載のノボラック樹脂溶液。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のノボラック樹脂溶液及び感光性成分を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物。
- ノボラック樹脂を有機溶剤に溶解してなるノボラック樹脂溶液と感光性成分と、ハイドロキノンとを含有することを特徴とするポジ型ホトレジスト組成物。
- 前記感光性成分が、キノンジアジドエステル化物であることを特徴とする請求項4または5記載のポジ型ホトレジスト組成物。
- 更に、分子量1000以下のフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性の低分子化合物を含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のポジ型ホトレジスト組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のノボラック樹脂溶液と感光性成分とを混合するポジ型ホトレジスト組成物の調製方法。
- 前記感光性成分が、キノンジアジドエステル化物であることを特徴とする請求項8記載のポジ型ホトレジスト組成物の調製方法。
- 更に、分子量1000以下のフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性の低分子化合物を添加混合することを特徴とする請求項8又は9記載のポジ型ホトレジスト組成物の調製方法。
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