JP2005009830A - 廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法 - Google Patents

廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2台のガス化炉の切換の際に燃焼炉の燃焼状態を不安定にせず、廃棄物の灰化に要する時間を短縮できる廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法を提供する。
【解決手段】ガス化炉1a,1b内の廃棄物Aを、酸素供給源15から供給される酸素を用いて乾留し、生成した可燃性ガスを燃焼炉2で燃焼させる。廃棄物Aの乾留時に、可燃性ガスの燃焼温度を所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させる量の酸素を酸素供給源15からガス化炉1a,1bに供給する。ガス化炉1a内の廃棄物Aの乾留終了時に、酸素供給源15からガス化炉1aに酸素を供給して廃棄物Aを灰化しつつ、酸素供給源15から供給される酸素によりガス化炉1b内に収容した廃棄物Aの乾留を開始する。ガス化炉1b内の廃棄物の乾留開始時に、ガス化炉1bへの酸素供給量の増大に応じて、ガス化炉1aへの酸素供給量を漸減する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃タイヤ等の廃棄物を乾留して焼却処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃タイヤ等の廃棄物を焼却処理する方法として、例えば、ガス化炉内に収納した廃棄物の一部を燃焼させつつ、その燃焼熱により該廃棄物の残部を乾留(熱分解)し、該乾留により生成する可燃性ガスを該ガス化炉から燃焼炉に導入して燃焼させる方法が知られている。また、前記方法において、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を検知し、該可燃性ガスが予め設定された燃焼温度で燃焼されるように、前記ガス化炉に対する酸素供給量を調整して該ガス化炉内の乾留ガス化をフィードバック制御することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
前記焼却処理方法では、前記燃焼炉で得られる燃焼熱を温水ボイラ等の熱装置の熱源として使用することができる。このとき、前記焼却処理方法はバッチ処理であるので、前記熱装置を連続運転するために、例えば2台のガス化炉を交互に運転する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
前記2台のガス化炉を交互に運転する場合、第1のガス化炉内に収納された前記廃棄物の乾留の終了段階で、第2のガス化炉内に収納された前記廃棄物の乾留を開始する。一方、第1のガス化炉では、前記廃棄物の乾留の完了に続いて該廃棄物が完全に灰化せしめられ、炉外に排出されたのち、新たな廃棄物が収納されて、次の運転が準備される。
【0005】
ところで、第1、第2のガス化炉を交互に運転する方法では、装置構成を簡略化するために、各ガス化炉で生成する可燃性ガスは共通の燃焼炉に導入されるようになっている。また、各ガス化炉と前記燃焼炉とに酸素を供給する押込ファン等の酸素供給源も共通化されている。そして、各ガス化炉に対する酸素供給量の調整は、押込ファン等の酸素供給源と各ガス化炉とを接続する導管に設けた調整弁の開度を調節することにより行っている。
【0006】
そこで、従来、第1のガス化炉内に収納された前記廃棄物の乾留の終了段階では、第2のガス化炉に酸素を供給する調整弁の開度を絞った状態として、第2のガス化炉内に収納された前記廃棄物の乾留を開始する。そして、第2のガス化炉内に収納された前記廃棄物の乾留が開始されたならば、第2のガス化炉に酸素を供給する調整弁の開度を徐々に大きくして第2のガス化炉に対する酸素の供給量を漸増する。
【0007】
一方、第1のガス化炉では、炉内に収納された前記廃棄物の乾留の終了段階では、第1のガス化炉に酸素を供給する調整弁の開度は全開に近い状態となっている。しかし、第2のガス化炉内に収納された前記廃棄物の乾留が開始されたならば、第2のガス化炉における前記廃棄物の乾留に用いることができる酸素量の自由度を比較的大きくし、第2のガス化炉内の前記廃棄物の燃焼状態の変動等に容易に対応できるように、第1のガス化炉に酸素を供給する調整弁の開度を絞る必要がある。
【0008】
しかしながら、第1のガス化炉に酸素を供給する調整弁の開度を絞ると、前記燃焼炉の炉内圧が急変し、該燃焼炉内での前記可燃性ガスの燃焼が不安定になったり、第1のガス化炉内で乾留が完了した廃棄物の灰化に長時間を要し、次の運転に支障を来すことがあるという不都合がある。このため、第1のガス化炉内に収納された前記廃棄物の乾留の終了段階では、酸素の供給量の調整が難しかった。
【0009】
【特許文献1】
特開平2−135280号公報
【特許文献2】
特開平8−334218号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる不都合を解消して、2台のガス化炉を交互に運転するときに、2台のガス化炉の切換に際して燃焼炉の燃焼状態を不安定にすることなく、しかも乾留が完了した廃棄物の灰化に要する時間を短縮することができる廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、第1のガス化炉内に収容した廃棄物を、酸素供給源から第1のガス化炉に供給される酸素を用いて乾留して可燃性ガスを生成せしめる工程と、第1のガス化炉内に生成した可燃性ガスを燃焼炉に導入して、前記酸素供給源から該燃焼炉に供給される酸素を用いて燃焼せしめる工程と、第1のガス化炉内の廃棄物の乾留時に、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させる量の酸素を、前記酸素供給源から第1のガス化炉に供給する工程と、第1のガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階において、前記酸素供給源から第1のガス化炉に酸素を供給して該廃棄物を灰化しつつ、他方該酸素供給源から供給される酸素を用いて第2のガス化炉内に収容した廃棄物の乾留を開始する工程と、第2のガス化炉内に収容した廃棄物を、前記酸素供給源から第2のガス化炉に供給される酸素を用いて乾留して可燃性ガスを生成せしめる工程と、第2のガス化炉内に生成した可燃性ガスを前記燃焼炉に導入して、前記酸素供給源から該燃焼炉に供給される酸素を用いて燃焼せしめる工程と、第2のガス化炉内の廃棄物の乾留時に、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させる酸素を、前記酸素供給源から第2のガス化炉に供給する工程とを備える廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法において、第1のガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、第2のガス化炉内に収容した廃棄物の乾留を開始したときに、第2のガス化炉に対する酸素の供給量の増大に応じて、第1のガス化炉に対する酸素の供給量を漸減することを特徴とする。
【0012】
2台のガス化炉を用いて廃棄物の乾留ガス化焼却処理を行うときには、まず、第1のガス化炉内に収容した廃棄物を酸素供給源から第1のガス化炉に供給される酸素を用いて乾留して可燃性ガスを生成せしめる。前記廃棄物の乾留は、該廃棄物の一部を燃焼させつつ、その燃焼熱により該廃棄物の残部を乾留する。前記第1のガス化炉内に生成した可燃性ガスは、燃焼炉に導入され、前記酸素供給源から該燃焼炉に供給される酸素により燃焼せしめられる。
【0013】
このとき、第1のガス化炉内の前記廃棄物の乾留は、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度が予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な可燃性ガスを生成させる量の酸素を、前記酸素供給源から第1のガス化炉に供給することにより行われる。前記酸素供給源から第1のガス化炉への酸素の供給は、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度が上昇傾向にあれば酸素の供給量を低減し、該燃焼温度が下降傾向にあれば酸素の供給量を増大させるようにして行われる。
【0014】
このようにして、第1のガス化炉内の前記廃棄物の乾留が進行すると、やがて乾留される廃棄物が低減し、前記酸素供給源から第1のガス化炉への酸素の供給量を増大させても、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度を所定の燃焼温度に維持するだけの可燃性ガスを生成させることができなくなる。そして、ついには可燃性ガスが全く生成しなくなり、前記廃棄物の乾留の終了段階に至る。
【0015】
前記廃棄物の乾留が終了段階に至ったならば、第1のガス化炉内では、前記酸素供給源から供給される酸素により、該乾留が終了した廃棄物の灰化が行われ、灰化した廃棄物は炉外に排出される。次いで、第1のガス化炉には新しい廃棄物が収容されて、次の運転が準備される。
【0016】
一方、第1のガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階において、第2のガス化炉内では、第1のガス化炉と共通の前記酸素供給源から供給される酸素を用いて、炉内に収容した廃棄物の乾留が開始される。第2のガス化炉における前記廃棄物の乾留は、第1のガス化炉と全く同一にして行われる。そして、前記第2のガス化炉内に生成した可燃性ガスは、第1のガス化炉と共通の燃焼炉に導入して燃焼せしめられる。
【0017】
この結果、前記燃焼炉は、第1、第2の両ガス化炉から交互に可燃性ガスの供給を受けて、該可燃性ガスを燃焼させることができ、該燃焼により得られる熱を用いて温水ボイラ等の熱装置を連続して運転することができる。
【0018】
ところで、第1のガス化炉において前記廃棄物の乾留が終了した段階では、第1のガス化炉にはできるだけ多くの可燃性ガスを生成させるために、大量の酸素が供給されている。しかし、乾留が終了した廃棄物の灰化のためには、より少ない酸素量で十分である。
【0019】
また、第1のガス化炉において前記廃棄物の乾留の終了段階で、第2のガス化炉内に収容した廃棄物の乾留を開始したときには、第2のガス化炉内での前記廃棄物の燃焼状態は変動しやすく、前記酸素供給源から第2のガス化炉に供給できる酸素量に余裕があることが好ましい。
【0020】
本発明の方法では、第1、第2の両ガス化炉に対する酸素供給源は共通であるので、第1のガス化炉における前記廃棄物の乾留の終了段階で、第1のガス化炉に対する酸素の供給量を乾留が終了した廃棄物の灰化のために必要最低限の量まで低減すれば、第2のガス化炉に対する酸素の供給量に余裕ができる。しかし、第1のガス化炉に対する酸素の供給量を急減させると、前記燃焼炉の炉内圧が急変して燃焼状態が不安定になることが懸念される。また、第1のガス化炉に対する酸素の供給量を、前記廃棄物の灰化のために必要最低限の量とすると、該廃棄物の灰化のために長時間を要することが懸念される。
【0021】
そこで、本発明の方法では、第1のガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、第2のガス化炉内に収容した廃棄物の乾留を開始したときに、第2のガス化炉に対する酸素の供給量の増大に応じて、第1のガス化炉に対する酸素の供給量を漸減する。前記第1、第2のガス化炉に対する酸素の供給は、より具体的には、前記酸素供給源から第1、第2の両ガス化炉に供給される酸素量のうち、一部を第2のガス化炉に供給し、残部を第1のガス化炉に供給するようにする。
【0022】
このようにすると、前記燃焼炉では炉内圧の変化が穏やかであるので、第1、第2のガス化炉の切換に際して燃焼状態が不安定になることを避けることができる。また、第1のガス化炉では、第2のガス化炉に対する酸素の供給量の余剰分を前記乾留が終了した廃棄物の灰化に用いることができるので、該廃棄物の灰化に要する時間を短縮することができる。
【0023】
また、本発明の方法では、第2のガス化炉内の廃棄物の乾留時における第1のガス化炉内の廃棄物の灰化は、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させるために、前記酸素供給源から第2のガス化炉に供給される酸素量の最大量よりも所定量下回る量の酸素を、該酸素供給源から第1のガス化炉に供給して行うことを特徴とする。
【0024】
第2のガス化炉では、炉内に収容した廃棄物の乾留が安定化すると、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させる酸素が、前記酸素供給源から供給されるようになる。そこで、第2のガス化炉内の廃棄物の乾留時には、第1のガス化炉内の廃棄物の灰化を、前記酸素供給源から第2のガス化炉に供給される酸素量の最大量よりも所定量下回る量の酸素で行うことにより、第2のガス化炉に供給される酸素量の自由度を大きくすることができる。従って、第2のガス化炉内の前記廃棄物の燃焼状態に変動が生じた場合にも、容易に対応することができる。
【0025】
また、前記酸素供給源から第1のガス化炉に供給される酸素量を、第2のガス化炉に供給される酸素量の最大量よりも所定量下回る量で適切な量とすることにより、第1のガス化炉内の廃棄物の灰化に要する時間が長時間に及ぶことを避けることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態に用いる乾留ガス化焼却処理装置のシステム構成図であり、図2は第1、第2のガス化炉において生成した可燃性ガスの燃焼炉における燃焼温度と、第1、第2のガス化炉に対する酸素供給量との経時変化を示すグラフである。
【0027】
図1に示す乾留ガス化焼却処理装置は、廃タイヤ等の廃棄物Aを収納し、その乾留・ガス化並びに燃焼・灰化を行わしめる2台のガス化炉1a,1b、ガス化炉1a,1bで廃棄物Aの乾留により生じる可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉2、燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tを検知する温度センサ3、各ガス化炉1a,1bに酸素(空気)を供給する酸素供給手段4、燃焼炉2に酸素(空気)を供給する酸素供給手段5を備えている。
【0028】
ガス化炉1a,1bの上面部には、開閉自在な投入扉6を有する投入口7が形成され、該投入口7から廃棄物Aがガス化炉1a,1b内に投入できるようになっている。そして、ガス化炉1a,1bは、投入扉6を閉じた状態では、その内部が実質的に外気と遮断されるようになっている。ガス化炉1a,1bの下部は空室となっており、該空室に酸素供給手段4が接続されている。そして、酸素供給手段4から前記空室に供給される酸素を複数の給気ノズル8を介してガス化炉1の内部に供給するようになっている。
【0029】
ガス化炉1a,1bの下部の側部には、点火バーナ等により構成される着火装置9が取付けられている。着火装置9は、図示しない燃料供給装置から供給される助燃油等の燃料を燃焼させることにより、ガス化炉1a,1bの内部に向かって燃焼炎を生ぜしめ、この燃焼炎によりガス化炉1a,1b内の廃棄物Aに着火するようになっている。また、ガス化炉1a,1bの外周部には、その冷却構造として該ガス化炉1a,1bの内部と隔離されたウォータジャケット10が形成され、ウォータジャケット10はガス化炉1a,1bの外部に設けられた図示しない給水装置から給水されるようになっている。
【0030】
前記燃焼炉2は、その基部(バーナ部)に各ガス化炉1a,1bの上部に設けられた接続部11から導出されたガス通路12a,12bが接続され、前記2台のガス化炉1a,1bのそれぞれから、廃棄物Aの乾留により生じる可燃性ガスが導入されるようになっている。燃焼炉2の後端部には着火装置13が取付けられ、前記ガス通路12a,12bから導入される可燃性ガスに着火するようになっている。着火装置13は、前記着火装置9と同様に点火バーナ等により構成され、図示しない燃料供給装置から供給される助燃油等の燃料を燃焼させることにより、燃焼炉2の内部に向かって燃焼炎を生ぜしめるようになっている。
【0031】
燃焼炉2の外周部は空室となっており、該空室に酸素供給手段5が接続されている。そして、酸素供給手段5から前記空室に供給される酸素を燃焼炉2の外周壁に設けられた複数のノズル孔14を介して燃焼炉2の内部に供給するようになっている。
【0032】
ガス化炉1a,1bに酸素を供給する前記酸素供給手段4は、ガス化炉1a,1bの外部に設けられた押込ファン等の酸素供給源15と、該酸素供給源15から導出された主酸素供給管16と、該主酸素供給管16から分岐されて前記ガス化炉1a,1bの下部に接続された副酸素供給管17a,17bとからなる。副酸素供給管17a,17bには温度センサ3から入力される検知信号に従って開度が調整される調整弁18a,18bが設けられている。
【0033】
また、燃焼炉2に酸素を供給する前記酸素供給手段5は、前記酸素供給源15と、該酸素供給源15から導出された主酸素供給管16と、該主酸素供給管16から分岐されて前記燃焼炉2の外周部に接続された副酸素供給管19とからなる。副酸素供給管19には温度センサ3から入力される検知信号に従って開度が調整される調整弁20が設けられている。
【0034】
そして、燃焼炉2の上部には被加熱物としての温水ボイラ21が接続され、温水ボイラ21の熱源部に燃焼炉2の燃焼熱が付与されるようになっている。
【0035】
次に、図1に示す装置による本実施形態の乾留ガス化焼却処理方法について、説明する。
【0036】
本実施形態の乾留ガス化焼却処理方法では、まず、ガス化炉1aの投入扉6が開かれて、廃棄物Aが投入口7から該ガス化炉1a内に投入される。次いで、投入扉6を閉じた後に、着火装置9が所定時間作動されることにより、ガス化炉1a内の廃棄物Aに着火され、該廃棄物Aの部分的燃焼が開始される。
【0037】
前記廃棄物Aの部分的燃焼の開始に際して、ガス化炉1aに接続された副酸素供給管17aの調整弁18aは、図2の下段に実線aで示すように全開の20%の開度で開かれており、酸素供給源15からガス化炉1a内に比較的少量の酸素(空気)が供給される。このため、廃棄物Aの部分的燃焼は、ガス化炉1a内に存在していた酸素と、酸素供給源15から供給される比較的少量の酸素とを用いて開始される。
【0038】
このようにガス化炉1a内の廃棄物Aの下層部における部分的燃焼が開始されると、その燃焼熱により廃棄物Aの上層部の乾留が開始され、その乾留により可燃性ガスの生成が始まる。そして、ガス化炉1a内で生成した可燃性ガスは、ガス通路12aを介して燃焼炉2の基端部(バーナ部)に導入され、燃焼炉2の着火装置13により着火されて燃焼を開始する。前記可燃性ガスの燃焼熱は、燃焼炉2の上部に接続された温水ボイラ21の熱源部に付与される。
【0039】
このとき、ガス化炉1aでは、図2の下段に実線aで示すように、副酸素供給管17aの調整弁18aの開度を、ガス化炉1aへの酸素供給量を廃棄物Aの下層部における継続的な部分的燃焼に必要な程度に制限しつつ、段階的に徐々に増大させる。このようにすると、ガス化炉1aにおける廃棄物Aの部分的燃焼は、初期には不安定になることもあるが、酸素供給源15から供給される少量の酸素を消費しつつ徐々に安定化する一方、その燃焼範囲が酸素供給源15から供給される酸素量に応じて、廃棄物Aの下層部において徐々に拡大していく。そして、廃棄物Aの下層部における燃焼の安定化に伴って、その燃焼熱による廃棄物Aの上層部の乾留も徐々に活発化して安定に進行するようになり、該乾留により生成する可燃性ガスの量も徐々に増大していく。
【0040】
この結果、図2の上段に実線a1,2で示すように、温度センサ3により検知される燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tも上昇していく。尚、ガス化炉1aの着火装置9は、廃棄物Aの下層部における燃焼が安定化したことが確認された時点で停止される。
【0041】
次いで、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tがさらに上昇し、該可燃性ガスが自然燃焼し得る温度として予め設定された燃焼温度Tよりも僅かに低い温度Tに達すると、調整弁18aは燃焼温度Tが燃焼温度Tに略一定に維持されるように自動的にフィードバック制御される。
【0042】
具体的には、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tが燃焼温度Tより小さくなると、調整弁18aの開度を大きくしてガス化炉1aへの酸素供給量を増加させ、可燃性ガスの生成を助長する。逆に、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tが燃焼温度Tより大きくなると、調整弁18aの開度を小さくしてガス化炉1aへの酸素供給量を低減させ、可燃性ガスの生成を抑制する。このように、調整弁18aの開度をフィードバック制御することにより、図2の上段に実線a3,4で示すように、燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tが略一定の燃焼温度Tに維持され、ガス化炉1a内の廃棄物Aの下層部の燃焼と、上層部の乾留とが安定に進行する。
【0043】
燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tが略一定の燃焼温度Tに維持されるようになると、燃焼炉2の着火装置が停止され、該可燃性ガスは継続的に自然燃焼することとなる。尚、燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼に際しては、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tに対応して、燃焼炉2に接続された副酸素供給管19の調整弁20の開度が自動的に調節され、該可燃性ガスの完全燃焼に必要とされる量の酸素が燃焼炉2内に供給される。
【0044】
一方、燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tが略一定の燃焼温度Tに維持されるようになると、調整弁18aの開度は、図2の下段に実線aで示すように、増減を繰り返しながら全体としては低減される傾向を示す。これは、ガス化炉1aで可燃性ガスが活発に生成されるため、該可燃性ガスの燃焼熱が燃焼炉2内に蓄積され、燃焼温度Tを燃焼温度Tに維持するために必要とされる該可燃性ガスの量が少なくて済むためと考えられる。
【0045】
ところが、ガス化炉1a内の乾留が進行すると、前記廃棄物のうち可燃性ガスを生成することができる部分が少なくなってくる。こうなると、調整弁18aの開度は、可燃性ガスの生成量を増大させるために、図2の下段に実線aで示すように増加する傾向を示すようになる。そして、調整弁18aの開度が全開の約90%に達すると、ガス化炉1a内での可燃性ガスの生成は殆どなくなり、可燃性ガスの燃焼温度Tは所定の燃焼温度Tを維持することができなくなって、図2の上段に実線a5,6,7で示すように下降に転じる。
【0046】
そこで、調整弁18aの開度が全開の約90%に達すると、ガス化炉1b内の廃棄物Aに着火され、該廃棄物Aの部分的燃焼が開始される。ガス化炉1b内の廃棄物Aの着火は、ガス化炉1aの場合と全く同一の手順で行われる。この結果、ガス化炉1b内の廃棄物Aの下層部における燃焼と、上層部における乾留が安定すると、調整弁18bの開度が自動的にフィードバック制御され、可燃性ガスの燃焼温度Tが燃焼温度Tに略一定に維持されるようにされる。
【0047】
ガス化炉1b内の廃棄物Aの部分的燃焼を開始したときの可燃性ガスの燃焼温度Tの経時変化を図2の上段に実線b1,2で示す。また、このときの調整弁18bの開度の変化を図2の下段に実線b ,bで示す。尚、説明のために、図2の上段の実線a1,2 ,a3,4 ,a5,6,7 ,b1,2 ,b3,4 は、いずれもガス化炉1a,1bを単独で運転した場合の燃焼温度Tの変化を示している。
【0048】
一方、調整弁18aの開度が全開の約90%に達すると、ガス化炉1a内では前記廃棄物Aの乾留が終了し、灰化段階に入る。このとき、調整弁18aの開度を全開の約90%のままに維持すれば、前記廃棄物Aの灰化を短時間で終了し、速やかに次の運転の準備をすることができる。
【0049】
しかし、調整弁18aの開度が全開の約90%に達したときには、前述のようにガス化炉1b内の廃棄物Aの部分的燃焼が開始され、調整弁18bの開度が図2の下段に実線bで示すように、全開の20%とされている。ここで、廃棄物Aの部分的燃焼はその初期には不安定であるので、ガス化炉1bに対する酸素の供給量に余裕を持たせるために調整弁18aの開度を絞ることが好ましいが、調整弁18aの開度を急激に小さくすると、燃焼炉2に供給されるガスの量も急減し、炉内圧の変動により燃焼状態が不安定になる。また、調整弁18aの開度を絞ると、ガス化炉1a内での乾留が終了した廃棄物Aの灰化に長時間を要する。
【0050】
そこで、本実施形態では、調整弁18aの開度が全開の約90%に達し、ガス化炉1b内の廃棄物Aの部分的燃焼が開始されたときに、調整弁18bの開度を全開の20%とする一方、調整弁18aの開度を図2の下段に実線aで示すように、全開の80%とする。そして、図2の下段に実線bで示すように、調整弁18bの開度が全開の30%、40%、・・・と増大したならば、図2の下段に実線aで示すように、調整弁の18aの開度を全開の70%、60%、・・・となるように漸減させる。
【0051】
調整弁の18a,18bには、共通の酸素供給源15から酸素が供給されている。そこで、前記制御は、換言すれば、酸素供給源15からガス化炉1a,1bに供給される酸素量のうち、一部をガス化炉1bに供給し、残部をガス化炉1aに供給することになる。
【0052】
この結果、燃焼炉2では炉内圧の変動により燃焼状態が不安定になることを避けることができ、ガス化炉1a内の廃棄物Aの灰化に要する時間を短縮することができる。
【0053】
また、前記のように制御するときには、ガス化炉1b内における廃棄物Aの部分的燃焼が不安定になってより多くの酸素を必要とするときには、調整弁18bの開度の増大に伴って、調整弁18aの開度が遅滞なく低減される。従って、廃棄物Aの部分的燃焼を安定化するための酸素を容易に確保することができる。
【0054】
前述のようにして、ガス化炉1b内で廃棄物Aの下層部における燃焼と、上層部における乾留が安定化し、図2の上段に実線b3,4 で示すように、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tが燃焼温度Tに略一定に維持されるようになると、図2の下段に実線bで示すように、調整弁18bが自動的にフィードバック制御されるようになる。
【0055】
このとき、調整弁18bの開度は、最大でも全開の50%程度であり、多くは50%以下の開度で前記のようにフィードバック制御される。そこで、調整弁18bが前記のようにフィードバック制御される段階では、ガス化炉1aの調整弁18aは、図2の下段に実線aで示すように、その開度が調整弁18bの開度の最大値に対して約10%の余裕を見て全開の40%に維持され、この開度で乾留が終了した廃棄物Aの灰化が行われる。
【0056】
この結果、調整弁18bが前記のようにフィードバック制御される段階で、ガス化炉1b内の廃棄物Aの燃焼状態に変動が生じても、前記10%の余裕の範囲でガス化炉1bに対する酸素の供給量を増加させることができ、前記変動に容易に対応することができる。また、ガス化炉1a内の廃棄物Aの灰化に要する時間を短縮することができる。
【0057】
そして、ガス化炉1aの可燃性ガスによる燃焼温度Tが低下し、廃棄物Aの灰化が終了したならば、調整弁18aは閉じられる。
【0058】
この後、ガス化炉1aでは、廃棄物Aの灰化物が下部から排出され、新たな廃棄物Aが投入口7から内部に投入されることにより、次の運転が準備される。また、ガス化炉1bでは、調整弁18bの開度が全開の約90%に達し、廃棄物Aの乾留が終了して灰化段階に入ったならば、ガス化炉1aの場合と全く同じ手順で、廃棄物Aの灰化が行われる。
【0059】
この結果、本実施形態の方法によれば、2台のガス化炉1a,1bを交互に運転することにより、温水ボイラ21に対する加熱を連続して円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いる乾留ガス化焼却処理装置の一構成例を示すシステム構成図。
【図2】第1、第2のガス化炉において生成した可燃性ガスの燃焼炉における燃焼温度と、第1、第2のガス化炉に対する酸素供給量との経時変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1a…第1のガス化炉、 1b…第2のガス化炉、 2…燃焼炉、 15…酸素供給源、 A…廃棄物。

Claims (3)

  1. 第1のガス化炉内に収容した廃棄物を、酸素供給源から第1のガス化炉に供給される酸素を用いて乾留して可燃性ガスを生成せしめる工程と、
    第1のガス化炉内に生成した可燃性ガスを燃焼炉に導入して、前記酸素供給源から該燃焼炉に供給される酸素を用いて燃焼せしめる工程と、
    第1のガス化炉内の廃棄物の乾留時に、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させる量の酸素を、前記酸素供給源から第1のガス化炉に供給する工程と、
    第1のガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階において、前記酸素供給源から第1のガス化炉に酸素を供給して該廃棄物を灰化しつつ、他方該酸素供給源から供給される酸素を用いて第2のガス化炉内に収容した廃棄物の乾留を開始する工程と、
    第2のガス化炉内に収容した廃棄物を、前記酸素供給源から第2のガス化炉に供給される酸素を用いて乾留して可燃性ガスを生成せしめる工程と、
    第2のガス化炉内に生成した可燃性ガスを前記燃焼炉に導入して、前記酸素供給源から該燃焼炉に供給される酸素を用いて燃焼せしめる工程と、
    第2のガス化炉内の廃棄物の乾留時に、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させる酸素を、前記酸素供給源から第2のガス化炉に供給する工程とを備える廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法において、
    第1のガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、第2のガス化炉内に収容した廃棄物の乾留を開始したときに、第2のガス化炉に対する酸素の供給量の増大に応じて、第1のガス化炉に対する酸素の供給量を漸減することを特徴とする廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法。
  2. 第1のガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、第2のガス化炉内に収容した廃棄物の乾留を開始したときに、前記酸素供給源から第1、第2の両ガス化炉に供給される酸素量のうち、一部を第2のガス化炉に供給し、残部を第1のガス化炉に供給することを特徴とする請求項1記載の廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法。
  3. 第2のガス化炉内の廃棄物の乾留時における第1のガス化炉内の廃棄物の灰化は、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させるために前記酸素供給源から第2のガス化炉に供給される酸素量の最大量よりも所定量下回る量の酸素を、該酸素供給源から第1のガス化炉に供給して行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法。
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