JP4139360B2 - 廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法 - Google Patents

廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、廃タイヤ等の廃棄物を乾留して焼却処理する方法に関するものである。
廃タイヤ等の廃棄物を焼却処理する方法として、例えば、ガス化炉内に収納した廃棄物の一部を燃焼させつつ、その燃焼熱により該廃棄物の残部を乾留(熱分解)し、該乾留により生成する可燃性ガスを該ガス化炉から燃焼炉に導入して燃焼させる方法が知られている。前記方法では、従来、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を検知し、該可燃性ガスが予め設定された燃焼温度で燃焼されるように、前記ガス化炉に対する酸素供給量を調整して該ガス化炉内の乾留ガス化をフィードバック制御することが知られている(例えば特許文献1参照)。
前記のようにして廃棄物の乾留ガス化焼却処理を行うときには、まず、酸素供給源から前記ガス化炉内に酸素を供給して、該ガス化炉内に収容した該廃棄物の一部を燃焼させ、その燃焼熱により該廃棄物の残部を乾留することにより、可燃性ガスを生成させる。そして、前記ガス化炉内に生成した可燃性ガスを、前記燃焼炉に導入して完全燃焼させる。
このとき、前記ガス化炉には、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な可燃性ガスを生成させる量の酸素が、前記酸素供給源から供給される。前記酸素供給源から前記ガス化炉への酸素の供給は、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度が上昇傾向にあれば酸素の供給量を低減し、該燃焼温度が下降傾向にあれば酸素の供給量を増大させるようにして行われる。
このようにして、前記ガス化炉内の前記廃棄物の乾留が進行すると、やがて乾留される廃棄物が低減し、該廃棄物の乾留の終了段階に至る。前記乾留の終了段階では、前記酸素供給源から前記ガス化炉への酸素の供給量を最大限に近くしても、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度を所定の燃焼温度に維持するだけの可燃性ガスを生成させることができなくなる。そこで、前記廃棄物の乾留の終了段階では、前記燃焼炉に設けられたバーナにより前記可燃性ガスの燃焼を補助することが行われている。
ところで、前記廃棄物の材質によっては、前記乾留の終了段階で、一酸化炭素を生成するものがある。前記一酸化炭素の発生量が多い場合、前記燃焼炉で前記バーナにより燃焼を補助しても、該一酸化炭素が十分に燃焼されるに至らず、前記燃焼炉の燃焼排気と共に大気中に排出されることがある。
そこで、前記一酸化炭素を燃焼をさせるために、前記バーナの火力を増大させることが考えられる。しかし、前記バーナを燃焼させるには燃料が必要であることから、該バーナの火力を増大させると、コストの増加が避けられない。
また、一酸化炭素は、通常、その発生源に十分な酸素を供給することにより、発生を防止することができる。しかしながら、前記乾留の終了段階では、前記一酸化炭素の発生源である前記ガス化炉に対して前記酸素供給源から供給される酸素量は最大限に近くなっており、該ガス化炉に対する酸素の供給量をさらに増加させることは難しいとの不都合がある。
特開平2−135280号公報
本発明は、かかる不都合を解消して、廃棄物を乾留して、該乾留により生成する可燃性ガスを焼却処理するときに、該乾留の終了段階において、安価に一酸化炭素の排出を防止することができる廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法は、ガス化炉内に収容した廃棄物を、酸素供給源から供給される酸素を用いて乾留して可燃性ガスを生成せしめる工程と、前記ガス化炉内に生成した可燃性ガスを燃焼炉に導入して燃焼せしめる工程と、前記ガス化炉内の廃棄物の乾留時に、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させる量の酸素を、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する工程と、前記ガス化炉内の廃棄物の乾留が終了段階に至ったときに、前記燃焼炉に備えられた補助燃焼手段により前記可燃性ガスの燃焼を補助する工程とを備える廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法において、前記ガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、前記燃焼炉の排ガス中の一酸化炭素濃度を検出して、該一酸化炭素濃度の検出値が所定の値よりも高いときには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量を低減して、前記ガス化炉内で生成する可燃性ガスの量を該可燃性ガス中に含まれる一酸化炭素が前記燃焼炉に備えられた補助燃焼手段により燃焼可能な量となるように制御することを特徴とする。
本発明の方法では、まず、前記ガス化炉内に収容した廃棄物を、前記酸素供給源から該ガス化炉に供給される酸素を用いて乾留し、該乾留により可燃性ガスを生成せしめる。前記廃棄物の乾留は、該廃棄物の一部を燃焼させつつ、その燃焼熱により該廃棄物の残部を乾留することにより行う。
前記ガス化炉内に生成した可燃性ガスは、燃焼炉に導入され、前記酸素供給源から該燃焼炉に供給される酸素により燃焼せしめられる。前記可燃性ガスは、前記燃焼炉内で着火されることにより燃焼を開始するが、前記ガス化炉内で生成する可燃性ガスが増加するに従って、それ自体の熱量により自発的に燃焼するようになる。
前記可燃性ガスが自発的に燃焼するようになったならば、前記ガス化炉内の前記廃棄物の乾留は、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度が予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な可燃性ガスを生成させるように行われる。このとき、前記可燃性ガスの生成は、前記酸素供給源から前記ガス化炉に供給される酸素量により制御され、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度が上昇傾向にあれば酸素の供給量を低減し、該燃焼温度が下降傾向にあれば酸素の供給量を増大させるようにして行われる。
このようにして、前記ガス化炉内の前記廃棄物の乾留が進行すると、やがて乾留される廃棄物が低減し、該乾留の終了段階に至る。前記乾留の終了段階では、前記酸素供給源から該ガス化炉への酸素の供給量を最大限近くまで増大させても、前記燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度を所定の燃焼温度に維持するだけの可燃性ガスを生成させることができなくなる。そこで、前記燃焼炉では、前記補助燃焼手段により、前記可燃性ガスの燃焼を補助する。
前記乾留の終了段階で、前記廃棄物の材質によっては、前記ガス化炉中に大量の一酸化炭素が生成することがある。このとき、前記一酸化炭素が、前記補助燃焼手段により十分に燃焼されないと、高濃度の一酸化炭素が大気中に排出されることになる。
前記高濃度の一酸化炭素が大気中に排出されることを防止するには、前記補助燃焼手段の火力を増大させることが考えられるが、このようにするときにはコストの増加が避けられない。また、前記一酸化炭素の発生源であるガス化炉に十分な酸素を供給して、一酸化炭素の発生自体を防止することも考えられるが、前記乾留の終了段階では、前記酸素供給源から前記ガス化炉への酸素の供給量は最大限に近くなっており、それ以上酸素の供給量を増大することは難しい。
そこで、本発明の方法では、前記乾留の終了段階で、前記燃焼炉の排ガス中の一酸化炭素濃度を検出し、該一酸化炭素濃度の検出値が所定の値よりも高いときには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量を低減する。このようにすると、前記ガス化炉内での可燃性ガスの生成自体が抑制されるので、これに伴って、該可燃性ガス中に含まれる一酸化炭素の量も低減する。この結果、前記一酸化炭素の量が、前記燃焼炉に備えられた補助燃焼手段により燃焼可能な量となるように制御される。
従って、前記ガス化炉内で一酸化炭素が生成したとしても、該一酸化炭素を前記燃焼炉内で確実に燃焼させることができ、大気中に排出されることを安価に防止することができる。
前記乾留が終了すると、前記ガス化炉内の廃棄物は灰化されて、炉外に排出され、次いで新しい廃棄物が炉内に収容されて次の焼却処理が行われる。ところで、前述のように、前記乾留の終了段階で前記可燃性ガスの生成が抑制されると、該乾留の終了後、前記廃棄物が灰化されるまでに長時間を要することになり、処理効率が低下する。
そこで、本発明の方法では、前記ガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、所定時間毎に前記燃焼炉の排ガス中の一酸化炭素濃度を検出し、該一酸化炭素濃度の検出値が前回の検出値より高いときには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量をそれまでよりも低減し、該一酸化炭素濃度の検出値が前回の検出値より低いときには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量をそれまでよりも増加することを特徴とする。
また、本発明の方法は、前記ガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量を低減した後、前記燃焼炉の排ガス中の一酸化炭素濃度の検出値が所定の値よりも低くなったきには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量を増加して、前記乾留が終了した廃棄物を灰化させることを特徴とする。
このようにするときには、前記ガス化炉内で生成する一酸化炭素の量に応じて、前記酸素供給源から該ガス化炉内に供給する酸素量を調整することができ、前記廃棄物の灰化に要する時間を短縮することができる。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態に用いる乾留ガス化焼却処理装置のシステム構成図であり、図2は燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度と、一酸化炭素濃度と、ガス化炉に対する酸素供給量との関係を示すグラフである。
図1に示す乾留ガス化焼却処理装置は、廃タイヤ等の廃棄物Aを収納し、その乾留・ガス化並びに燃焼・灰化を行わしめるガス化炉1、ガス化炉1で廃棄物Aの乾留により生じる可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉2、燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tを検知する温度センサ3、ガス化炉1に酸素(空気)を供給する酸素供給手段4、燃焼炉2に酸素(空気)を供給する酸素供給手段5、燃焼炉2の燃焼排気を排出する排出手段6を備えている。
ガス化炉1の上面部には、開閉自在な投入扉7を有する投入口8が形成され、該投入口8から廃棄物Aがガス化炉1内に投入できるようになっている。そして、ガス化炉1は、投入扉7を閉じた状態では、その内部が実質的に外気と遮断されるようになっている。ガス化炉1の下部は空室となっており、該空室に酸素供給手段4が接続されている。そして、酸素供給手段4から前記空室に供給される酸素を複数の給気ノズル9を介してガス化炉1の内部に供給するようになっている。
ガス化炉1の下部の側部には、点火バーナ等により構成される着火装置10が取付けられている。着火装置10は、図示しない燃料供給装置から供給される助燃油等の燃料を燃焼させることにより、ガス化炉1の内部に向かって燃焼炎を生ぜしめ、この燃焼炎によりガス化炉1内の廃棄物Aに着火するようになっている。また、ガス化炉1の外周部には、その冷却構造として該ガス化炉1の内部と隔離されたウォータジャケット11が形成され、ウォータジャケット11はガス化炉1の外部に設けられた図示しない給水装置から給水されるようになっている。
前記燃焼炉2は、その基部(バーナ部)にガス化炉1の上部に設けられた接続部12から導出されたガス通路13が接続され、ガス化炉1で廃棄物Aの乾留により生じる可燃性ガスが導入されるようになっている。燃焼炉2の後端部には着火装置14が取付けられ、前記ガス通路13から導入される可燃性ガスに着火するようになっている。着火装置14は、前記着火装置10と同様に点火バーナ等により構成され、図示しない燃料供給装置から供給される助燃油等の燃料を燃焼させることにより、燃焼炉2の内部に向かって燃焼炎を生ぜしめるようになっている。
燃焼炉2の外周部は空室となっており、該空室に酸素供給手段5が接続されている。そして、酸素供給手段5から前記空室に供給される酸素を燃焼炉2の外周壁に設けられた複数のノズル孔15を介して燃焼炉2の内部に供給するようになっている。
ガス化炉1に酸素を供給する前記酸素供給手段4は、ガス化炉1の外部に設けられた押込ファン等の酸素供給源16と、該酸素供給源16から導出された主酸素供給管17と、該主酸素供給管17から分岐されてガス化炉1の下部に接続された副酸素供給管18とからなる。副酸素供給管18には温度センサ3から入力される検知信号に従って開度が調整される調整弁19が設けられている。
また、燃焼炉2に酸素を供給する前記酸素供給手段5は、前記酸素供給源16と、該酸素供給源16から導出された主酸素供給管17と、該主酸素供給管17から分岐されて燃焼炉2の外周部に接続された副酸素供給管20とからなる。副酸素供給管20には温度センサ3から入力される検知信号に従って開度が調整される調整弁21が設けられている。
燃焼炉2の燃焼排気を排出する前記排出手段6は、該燃焼排気を冷却する冷却炉22、消石灰、活性炭等により該燃焼排気の脱硫と脱臭を行う脱硫・脱臭装置23、バグフィルタ24、該燃焼排気を煙突25に押し込む押込ファン26とを備えている。煙突25には、前記燃焼排気中の一酸化炭素を検出するCOセンサ27が備えられており、検知信号がガス化炉1の調整弁19に送られるようになっている。
次に、図1に示す装置による本実施形態の乾留ガス化焼却処理方法について、説明する。
本実施形態の乾留ガス化焼却処理方法では、まず、ガス化炉1の投入扉7が開かれて、廃棄物Aが投入口8から該ガス化炉1内に投入される。次いで、投入扉7を閉じた後に、着火装置10が所定時間作動されることにより、ガス化炉1内の廃棄物Aに着火され、該廃棄物Aの部分的燃焼が開始される。
前記廃棄物Aの部分的燃焼の開始に際して、ガス化炉1に接続された副酸素供給管18の調整弁19は、わずかな開度で開かれており、酸素供給源16からガス化炉1内に比較的少量の酸素(空気)が供給される。このため、廃棄物Aの部分的燃焼は、ガス化炉1内に存在していた酸素と、酸素供給源16から供給される比較的少量の酸素とを用いて開始される。
このようにガス化炉1内の廃棄物Aの下層部における部分的燃焼が開始されると、その燃焼熱により廃棄物Aの上層部の乾留が開始され、該乾留により可燃性ガスの生成が始まる。そして、ガス化炉1内で生成した可燃性ガスは、ガス通路13を介して燃焼炉2の基端部(バーナ部)に導入され、燃焼炉2の着火装置14により着火されて燃焼を開始する。
このとき、ガス化炉1では、副酸素供給管18の調整弁19の開度を、ガス化炉1への酸素供給量が廃棄物Aの下層部における継続的な部分的燃焼に必要な程度になるように制限しつつ、段階的に徐々に増大させる。このようにすると、ガス化炉1における廃棄物Aの部分的燃焼は、酸素供給源16から供給される少量の酸素を消費しつつ徐々に安定化する一方、その燃焼範囲が酸素供給源16から供給される酸素量に応じて、廃棄物Aの下層部において徐々に拡大していく。そして、廃棄物Aの下層部における燃焼の安定化に伴って、その燃焼熱による廃棄物Aの上層部の乾留も徐々に活発化して安定に進行するようになり、該乾留により生成する可燃性ガスの量も徐々に増大していく。
この結果、図2の上段に示すように、温度センサ3により検知される燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tも上昇していく。尚、ガス化炉1の着火装置10は、廃棄物Aの下層部における燃焼が安定化したことが確認された時点で停止される。
次いで、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tがさらに上昇し、該可燃性ガスが自然燃焼し得る温度として予め設定された燃焼温度T1よりも僅かに低い温度に達すると、調整弁19は燃焼温度Tが燃焼温度T1に略一定に維持されるように自動的にフィードバック制御される。
具体的には、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tが燃焼温度T1より小さくなると、調整弁19の開度を大きくしてガス化炉1への酸素供給量を増加させ、可燃性ガスの生成を助長する。逆に、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tが燃焼温度T1より大きくなると、調整弁19の開度を小さくしてガス化炉1への酸素供給量を低減させ、可燃性ガスの生成を抑制する。このように、調整弁19の開度をフィードバック制御することにより、図2の上段に示すように、燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tが略一定の燃焼温度T1に維持され、ガス化炉1内の廃棄物Aの下層部の燃焼と、上層部の乾留とが安定に進行する。
燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼温度Tが略一定の燃焼温度T1に維持されるようになると、燃焼炉2の着火装置14が停止され、該可燃性ガスは継続的に自然燃焼することとなる。尚、燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼に際しては、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tに対応して、燃焼炉2に接続された副酸素供給管20の調整弁21の開度が自動的に調節され、該可燃性ガスの完全燃焼に必要とされる量の酸素が燃焼炉2内に供給される。
燃焼炉2における可燃性ガスの燃焼により生じた燃焼排気(排ガス)は、冷却塔22で冷却され、脱硫・脱臭装置23で消石灰、活性炭により脱硫、脱臭された後、バグフィルター24で微細な塵埃が除去される。そして、最終的には押込ファン26により煙突25に導入され、煙突25から大気中に排出される。
前記廃棄物Aは、材質によっては、ガス化炉1内で乾留されたときに一酸化炭素を発生し、該一酸化炭素は、ガス化炉1内で生成する可燃性ガスの一部として、燃焼炉2に導入される。前記可燃性ガスは、調整弁19の開度がフィードバック制御されている段階では、それ自体大きな熱量を備えており、前記一酸化炭素は、燃焼炉2で十分に燃焼せしめられる。従って、煙突25に設けられたCOセンサ27で検出される燃焼排気中の一酸化炭素濃度は、大気中に排出されても環境に影響を与えない程度の量となっている。
ところが、ガス化炉1内の乾留が進行して、乾留の終了段階に至ると、前記廃棄物Aのうち可燃性ガスを生成することができる部分が少なくなり、調整弁19の開度が殆ど全開に達しても、ガス化炉1内で生成する可燃性ガスの燃焼温度Tが所定の燃焼温度T1を維持することができなくなる。すると、燃焼炉2で再び着火装置14に点火して可燃性ガスの燃焼を補助しても、前記一酸化炭素が十分に燃焼せしめられず、COセンサ27により検出される一酸化炭素濃度が高くなってくる。そこで、本実施形態の方法では、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tが所定の温度T2まで降下したならば、ガス化炉1内の乾留が終了段階に入ったものと判断し、一酸化炭素濃度の制御を開始する。
尚、本実施形態の方法では、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tが一旦所定の温度T2まで降下した後、再び上昇することがある。このような場合には、ガス化炉1内の乾留は、まだ終了段階に入ったわけではなく、何らかの原因で前記可燃性ガスの燃焼温度Tが一時的に温度T2まで降下したに過ぎないと考えられる。そこで、前記可燃性ガスの燃焼温度Tが一旦所定の温度T2まで降下した後、再び上昇したときには、前記一酸化炭素濃度の制御を中止し、再び調整弁19,21の開度を自動的に調整する制御を行うするようにする。
前記一酸化炭素濃度の制御は、まず、温度センサ3により検知される可燃性ガスの燃焼温度Tが所定の温度T2まで降下したときに、COセンサ27により検出される一酸化炭素濃度を所定の基準値(例えば50ppm)と比較する。次に、前記可燃性ガスの燃焼温度Tが所定の温度T2まで降下したときに、COセンサ27により検出される一酸化炭素濃度aが、図2の中段に示すように所定の基準値より高かった場合には、図2の下段に示すように、調整弁19の開度を小さくする。
調整弁19の開度を小さくすると、ガス化炉1内では供給される酸素量が低減するので、可燃性ガスの生成量自体が低減し、これに伴って一酸化炭素の生成量も低減するので、燃焼炉2内で該一酸化炭素を着火装置14の燃焼炎により十分に燃焼させることが可能になる。
そこで、本実施形態の方法では、前記可燃性ガスの燃焼温度Tが所定の温度T2まで降下した後、所定時間毎にCOセンサ27により一酸化炭素濃度を検出する。ここで、一酸化炭素濃度の検出値b、c、d、eが、前回の検出値a,b,c,dよりも高くなった場合は、前回の調整弁19の開度を小さくする操作によっても、一酸化炭素を燃焼炉2内で燃焼可能とするには不十分であるものと判断し、調整弁19の開度を逐次、所定量ずつ小さくし、ガス化炉1に供給される酸素量をさらに低減させる。
一方、COセンサ27により検出される一酸化炭素濃度が、例えば図2の中段に示す検出値c’のように、前回の検出値bよりも低くなった場合は、前回の調整弁19の開度を小さくする操作により、一酸化炭素が燃焼炉2内で燃焼可能になったものと判断する。そして、この場合には、図2の下段に破線で示すように、調整弁19の開度を前回よりも所定量大きくする。
そして、前記一酸化炭素濃度の制御の結果、COセンサ27により検出される一酸化炭素濃度が、例えば図2の中段に示す検出値fのように、所定の基準値よりも低くなったならば、調整弁19の開度を所定時間毎に所定量ずつ大きくし、ガス化炉1内の廃棄物Aを灰化させる。尚、この場合にも、前記所定時間毎に、COセンサ27により一酸化炭素濃度を検知し、その検出値が前回の検出よりも高くなった場合には、調整弁19の開度を所定量ずつ小さくする。
前記のようにすることにより、大気中に排出される一酸化炭素が環境に影響を与えない程度の量となるように制御することができる。また、前記一酸化炭素濃度の制御では、COセンサ27により検出される一酸化炭素濃度が、前回の検出値よりも低くなった場合または、所定の基準値よりも低くなった場合に、調整弁19の開度を前回よりも大きくすることにより、ガス化炉1内における廃棄物Aの灰化に要する時間を短縮することができる。
次に、本実施形態の方法では、ガス化炉1内において廃棄物Aの灰化が終了したならば、灰化した廃棄物Aをガス化炉1の炉外に排出し、投入口8から新しい廃棄物Aをガス化炉1内に投入する。そして、前述の手順をくり返すことにより、次の処理が行われる。
本発明の方法に用いる乾留ガス化焼却処理装置のシステム構成図。 燃焼炉における可燃性ガスの燃焼温度と、一酸化炭素濃度と、ガス化炉に対する酸素供給量との関係を示すグラフ。
符号の説明
1…ガス化炉、 2…燃焼炉、 14…補助燃焼手段、 16…酸素供給源、 27…COセンサ、 A…廃棄物。

Claims (3)

  1. ガス化炉内に収容した廃棄物を、酸素供給源から供給される酸素を用いて乾留して可燃性ガスを生成せしめる工程と、
    前記ガス化炉内に生成した可燃性ガスを燃焼炉に導入して燃焼せしめる工程と、
    前記ガス化炉内の廃棄物の乾留時に、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼温度を予め設定された所定の燃焼温度に略一定に維持するために必要な該可燃性ガスを生成させる量の酸素を、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する工程と、
    前記ガス化炉内の廃棄物の乾留が終了段階に至ったときに、前記燃焼炉に備えられた補助燃焼手段により前記可燃性ガスの燃焼を補助する工程とを備える廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法において、
    前記ガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、前記燃焼炉の排ガス中の一酸化炭素濃度を検出して、該一酸化炭素濃度の検出値が所定の値よりも高いときには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量を低減して、前記ガス化炉内で生成する可燃性ガスの量を該可燃性ガス中に含まれる一酸化炭素が前記燃焼炉に備えられた補助燃焼手段により燃焼可能な量となるように制御することを特徴とする廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法。
  2. 前記ガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、所定時間毎に前記燃焼炉の排ガス中の一酸化炭素濃度を検出し、該一酸化炭素濃度の検出値が前回の検出値より高いときには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量をそれまでよりも低減し、該一酸化炭素濃度の検出値が前回の検出値より低いときには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量をそれまでよりも増加することを特徴とする請求項1記載の廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法。
  3. 前記ガス化炉内の廃棄物の乾留の終了段階で、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量を低減した後、前記燃焼炉の排ガス中の一酸化炭素濃度の検出値が所定の値よりも低くなったきには、前記酸素供給源から前記ガス化炉内に供給する酸素量を増加して、前記乾留が終了した廃棄物を灰化させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法。
JP2004185822A 2003-07-30 2004-06-24 廃棄物の乾留ガス化焼却処理方法 Expired - Fee Related JP4139360B2 (ja)

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