JP2005008824A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP2005008824A
JP2005008824A JP2003177007A JP2003177007A JP2005008824A JP 2005008824 A JP2005008824 A JP 2005008824A JP 2003177007 A JP2003177007 A JP 2003177007A JP 2003177007 A JP2003177007 A JP 2003177007A JP 2005008824 A JP2005008824 A JP 2005008824A
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Tadashi Shibata
唯志 柴田
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Bridgestone Corp
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Abstract

【課題】ウェットグリップ性能及び耐摩耗性能の高い次元での両立を安定して発揮する空気入りタイヤを得る。
【解決手段】本発明は、トレッドゴムを備える空気入りタイヤであって、前記トレッドゴムのゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に対し水酸化アルミニウム3質量部以上を予め混合することにより得られるジエン系ゴム・水酸化アルミニウム複合体を含有し、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部中にスチレン・ブタジエン共重合体40質量部以上を含有し、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム3〜50質量部を含有してなることを特徴とする空気入りタイヤに係るものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッドゴムを備える空気入りタイヤに関し、特に、トレッドゴムに高摩耗性及びウェット性能の高い次元での両立が要求される乗用車用タイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
様々なゴム組成物がある中で、耐摩耗性及び引張強度に優れ、タイヤトレッド等のタイヤ用ゴムの他、ベルト、ゴムロール、ホース等の各種ゴム製品に利用されるゴム組成物が研究されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムに対し、所定量のシリカ及び所定量の3級アミン化合物を配合してなるゴム組成物が研究されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
分子中にカルボキシル基を少なくとも一つ有する、脂肪族多価カルボン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体とのエステルであるゴム組成物用添加剤が研究されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
国際公開第02/20655号パンフレット
【特許文献2】
特開2001−316522号公報
【特許文献3】
特開2002−256113号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、従来の乗用車用タイヤが、十分な耐摩耗性能及びウェットグリップ性能を発揮し難いことを見出した。
【0007】
本発明の課題は、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性能の高い次元での両立を安定して成し得る空気入りタイヤ、特に、乗用車用空気入りタイヤを得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トレッドゴムを備える空気入りタイヤであって、前記トレッドゴムのゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に対し水酸化アルミニウム3質量部以上を予め混合することにより得られるジエン系ゴム・水酸化アルミニウム複合体を含有し、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部中にスチレン・ブタジエン共重合体40質量部以上を含有し、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム3〜50質量部を含有してなることを特徴とする空気入りタイヤに係るものである。
【0009】
また、本発明は、トレッドゴムを備える空気入りタイヤであって、前記トレッドゴムのゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に対しシリカ10質量部以上を予め混合することにより得られるジエン系ゴム・シリカ複合体を含有し、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部中にスチレン・ブタジエン共重合体40質量部以上を含有し、かつゴム成分100質量部に対しシリカ10〜120質量部を含有してなることを特徴とする空気入りタイヤに係るものである。
【0010】
さらに、本発明は、トレッドゴムを備える空気入りタイヤであって、前記トレッドゴムのゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に対し水酸化アルミニウム3質量部以上とシリカ10質量部以上とを予め混合することにより得られるジエン系ゴム・無機化合物複合体を含有し、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部中にスチレン・ブタジエン共重合体40質量部以上を含有し、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム3〜50質量部とシリカ10〜120質量部とを含有してなることを特徴とする空気入りタイヤに係るものである。
【0011】
本発明者は、乗用車用タイヤにおいて、十分な耐摩耗性能及びウェットグリップ性能を安定して発揮させるべく、種々のタイヤを試作し、検討した。
【0012】
その結果、本発明者は、所定のゴム組成物から形成したトレッドゴムを空気入りタイヤに設けることによって、従来では成し得なかった耐摩耗性能及びウェットグリップ性能の高い次元での両立が安定して発揮されることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
本発明は、所定のゴム組成物において、特定成分の特殊な混合処理、配合割合、又は添加剤を規定することで、極めて優れた特定性能の空気入りタイヤが安定して得られるという知見に基づくものである。
【0014】
本発明によれば、スチレン・ブタジエン共重合体等のジエン系ゴムに所定割合の水酸化アルミニウム等を予め混合したジエン系ゴム・無機化合物複合体を、スチレン・ブタジエン共重合体と水酸化アルミニウム等がトレッドゴムの最終的なゴム組成物において所定の割合となるように含有させることで、空気入りタイヤのウェットグリップ性能及び耐摩耗性能の高い次元での両立を確実に成し得る。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施をする形態について説明する。
(1)空気入りタイヤ
トレッドゴムを備える。通常のタイヤに用いられるその他の部材を備えてなることができる。形状、構造、寸法等、特に制限はないが、好ましくは、乗用車用空気入りタイヤである。
【0016】
(2)トレッドゴム
所定のゴム組成物からなる。通常は、加硫ゴム組成物からなる。ゴム組成物は、スチレン・ブタジエン共重合体等のジエン系ゴムに所定割合の水酸化アルミニウム等を予め混合したジエン系ゴム・無機化合物複合体を、スチレン・ブタジエン共重合体と水酸化アルミニウム等がトレッドゴムの最終的なゴム組成物において所定の割合となるように含有させるものである。
【0017】
(3)ジエン系ゴム・無機化合物複合体
ジエン系ゴムと、水酸化アルミニウム及びシリカからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機化合物とを所定量で予め混合したものである。かかるジエン系ゴム・無機化合物複合体は、トレッドゴムのゴム組成物として用いる場合に、ジエン系ゴムと水酸化アルミニウム及びシリカとの分散性等を良好にし、ゴム組成物の耐摩耗性及びウェットグリップ性能を高い次元で両立させる働きをする。
【0018】
ジエン系ゴム・水酸化アルミニウム複合体(以下、「マスターバッチ1」と称する。)、ジエン系ゴム・シリカ複合体(以下、「マスターバッチ2」と称する。)及びジエン系ゴム・水酸化アルミニウム・シリカ複合体(以下、「マスターバッチ3」と称する。)からなる群より選ばれる。
【0019】
ジエン系ゴムは、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム等の通常使用されているものは何でも、単独又は組み合わせでも使用できる。また、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリルゴム等の第3モノマーを含んだ共重合体や、四塩化スズやアルコキシシラン等で末端変性された共重合体も使用できる。
【0020】
ジエン系ゴムは、ヘテロ原子を含有する極性基を含むジエン系ゴムでよい。極性基は、ヒドロキシル基、オキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、イミノ基、アミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、又はジアゾ基でよい。
【0021】
水酸化アルミニウムは、平均粒径で0.1〜10μm、好ましくは、0.5〜2.0μmが良い。また、シリカは、ニプシルAQ、KQグレード等が対象となるが、通常使用されている範囲でよい。
【0022】
一般的にポリマーとの補強牲か弱い無機充填剤、特に水酸化アルミニウム及びシリカを予めマスターバッチ化することで、分散性が改良され、トレッドゴムの耐摩耗性能及びウェットグリップ性能を双方同時に向上させることができる。特に、水酸化アルミニウム〔昭和電工(株)製のハイジライト〕はシリカと異なり、カップリング剤を使用しても摩耗低下か大きいため、有用である。
【0023】
水酸化アルミニウムは、ジエン系ゴム100質量部に対し少なくとも3質量部がマスターバッチ化されていないと、その効果が得られず、シリカは少なくとも10質量部がマスターバッチ化されていないと、その効果が得られない。
【0024】
マスターバッチ1〜3は、ジエン系ゴムの水系分散液と、水酸化アルミニウム及びシリカの少なくとも1種の無機化合物を形成可能な化合物の水系分散液との混合によって得ることができる。水系分散液には、水溶液が包含される。
【0025】
ジエン系ゴムの水系分散液は、種々の方法で得ることができる。この場合、特に、乳化重合によって合成されたジエン系ゴムラテックスを用いることができる。
【0026】
水酸化アルミニウム又はシリカを形成可能な化合物は、水酸化アルミニウム又はシリカそのものでよく、その他、かかる無機化合物を形成する化合物、例えば、金属塩、金属のオキソ酸塩、及び有機金属化合物から選ばれた少なくとも1種でよい。
【0027】
水系分散液は、無機塩や金属化合物等に、水、酸又はアルカリを添加して調製することができる。水系分散液は、pH8.5〜11、好ましくは、pH2〜4の範囲に調製することができる。
【0028】
金属塩を含む電解液を用いてジエン系ゴムと無機化合物とを共凝固させ、その後これをろ別し、次いで乾燥させることができる。
【0029】
(4)トレッドゴムのゴム組成物
上記マスターバッチ1〜3を含有し、ゴム成分100質量部中にスチレン・ブタジエン共重合体40質量部以上を含有し、かつゴム成分100質量部に対し、水酸化アルミニウム3〜50質量部及びシリカ10〜120質量部の少なくとも一方を含有してなる。以下、「トレッドゴム組成物」と称する。
【0030】
マスターバッチ1〜3をそのままトレッドゴム組成物とすることができる。この場合、マスターバッチ1〜3を、通常のトレッドゴムに用いられる無機充填剤、加硫剤、加硫促進剤等の添加剤と混練りすることができる。
【0031】
マスターバッチ1〜3と追加のジエン系ゴムとを混練りすることができる。この時に用いるジエン系ゴムも上記のマスターバッチのものと同じく、何ら制限されるものではない。ゴム成分の全てをマスターバッチのものを用い、新たにゴム成分を用いなくてもよい。
【0032】
トレッドゴム組成物は、ジエン系ゴムとしてのスチレン・ブタジエン共重合体を、ゴム成分100質量部中に40質量部以上含有してなる。40質量部未満では、配合としてのTgが下がり過ぎ、WET性能が著しく低下する可能性があり、好ましくない。
【0033】
マスターバッチ1〜3の作製/トレッドゴム組成物の混練時で、ジエン系ゴムとしてのスチレン・ブタジエン共重合体を分割して使用しても問題ない。
【0034】
トレッドゴム組成物の混凍り時に使用される無機充填剤としては、マスターバッチに使用される水酸化アルミニウム及びシリカを用いることができる。その他に、公知の種々の無機化合物も用いることができる。
【0035】
充填剤としてのカーボンブラック(以下、「C/B」と称する。)は、HAF、ISAF、SAFグレード等、全て使用できる。
【0036】
(5)作業性改良剤
トレッドゴム組成物に添加剤として用いることができる。分散性改良剤や加工性改良剤が含まれる。かかる作業性改良剤は、ゴム組成物の物性を損なうことなく、あるいは物性を高めるため、混合、混練、加工等の作業性を改善するものである。環境に対する負荷の少ないものが好ましい。
【0037】
(5−1)分散性改良剤
代表的には、3級アミン化合物等がある。かかる化合物は、ゴム製品のシリカ等を配合したゴム組成物において分散性を改良し、作業性を改善すると共にかかるゴム組成物において発熱性及び耐摩耗性が改良される。
【0038】
3級アミン化合物は次の式(I)で示すことができる。
【化1】
Figure 2005008824
〔上記式(I)中、R〜Rは、メチル基、炭素数8〜36のアルキル基、炭素数8〜36のアルケニル基、シクロヘキシル基及びベンジル基からなる群より選ばれる基を表し、同一でも異なっていてもよい。〕
【0039】
具体的には、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジメチルオクタデセニルアミン、ジメチルヘキサデセニルアミン等が挙げられる。
【0040】
好ましくは、180以上の分子量を有する。特に、前記式(I)中のR及びRがメチル基で、Rが炭素数12〜36のジメチルアルキルアミンがよい。代表的には、ジメチルステアリルアミン(DM80)である。
【0041】
3級アミン化合物の配合量は、シリカに対して1〜15重量%、好ましくは、3〜10重量%である。
【0042】
(5−2)加工性改良剤
代表的には、分子中に分子中にカルボキシル基を少なくとも一つ有する、脂肪族多価カルボン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体とのエステル等がある。かかる化合物は、ゴム組成物の物性低下や作業環境上の悪影響を与えることなく、ゴム製品製造の際の加工性及び生産性、及び品質を改良し得る。
【0043】
このエステルは、下記一般式(II)で表わされるものが好ましい。
【化2】
Figure 2005008824
〔式(II)中、mは平均重合度を表わす1以上の数であり、n及びpはそれぞれ1以上の整数を示し、Aは飽和又は不飽和の脂肪族鎖、Rはアルキレン基、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基及びアシル基からなる群より選ばれる基を示す。〕
【0044】
前記式(II)において、より好ましくは、Aが不飽和結合を有する脂肪族鎖であり、更に好ましくはn=1、p=1、Rが炭素数2〜4のアルキレン基、Rが炭素数2〜28のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくはAが不飽和結合を有する炭素数2〜8の脂肪族鎖であり、mが1〜10、Rがエチレン基またはプロピレン基、Rが炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基である。
【0045】
式(II)の化合物は、(i)脂肪族多価カルボン酸、即ち2価以上の脂肪族カルボン酸又はその無水物と、(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体とを反応させることで得られる。ここで、(i)2価以上の脂肪族カルボン酸又はその無水物としては、(無水)コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族二価カルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、(無水)アルケニルコハク酸等の不飽和脂肪族二価カルボン酸、マレイン化脂肪酸等の脂肪族三価カルボン酸等が挙げられるが、不飽和結合を有する二価のカルボン酸又はその無水物であることが好ましく、無水マレイン酸であることが最も好ましい。上記(i)2価以上の脂肪族カルボン酸又はその無水物は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0046】
また、(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、例えば、1個以上の水酸基を持った平均重合度1以上の(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、好ましくは1〜2個の水酸基を持った(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物であり、特に好ましくは1個の水酸基を持った(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物である。(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル等のエーテル型;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸モノエステル等のエステル型;(ポリ)オキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸アミド、(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン等の含窒素型等が挙げられるが、エーテル型とエステル型が好ましく、エーテル型が特に好ましい。
【0047】
エーテル型の(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレン脂肪族エーテル;ポリオキシエチレンベンジルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジル化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン芳香族エーテル等が挙げられるが、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルが好ましい。さらには、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル及びポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテルが好ましく、特にポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンの平均重合度が1〜10、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が8〜18であることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンをPOE(q)、ポリオキシプロピレンをPOP(r)と略し、q,rを各々平均重合度とすれば、POE(3)オクチルエーテル、POE(4)2−エチルヘキシルエーテル、POE(3)デシルエーテル、POE(5)デシルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POE(8)ラウリルエーテル、POE(1)ステアリルエーテル、POP(3)ラウリルエーテル、POP(5)ミリスチルエーテル等が挙げられる。上記(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。また、(i)脂肪族多価カルボン酸又はその無水物と(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体とのエステル(b)は、原料の(i)脂肪族多価カルボン酸又はその無水物を含有してもよい。該脂肪族多価カルボン酸又はその無水物の含有量は好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。一方、(i)脂肪族多価カルボン酸又はその無水物と(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体とのエステル(b)は、原料の(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体を含有してもよい。該(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体の含有量は好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
【0048】
具体的には、上記式(II)の化合物は、モノ〔POE(3)ラウリルエーテル〕マレイン酸エステル、モノ〔POP(3)ラウリルエーテル〕マレイン酸エステル、モノ〔POE(3)2−エチルヘキシルエーテル〕マレイン酸エステル等のマレイン酸モノエステル、特にマレイン酸モノエチル(MME)が好ましい。
【0049】
(6)多官能性化合物
トレッドゴム組成物に添加剤として用いることができる。代表的には、同一分子内にゴムに対する反応基Bを1個以上、無機充填剤に対する吸着基Cを2個以上有する化合物がある。かかる化合物は、無機充填剤の分散性に優れ、従って未加硫ゴムの粘度を上げず、加工性を損なうことなく、ゴムの表面荒れがない上、貯蔵弾性率が改良されたゴム組成物を提供する。かかる化合物はE′向上剤として働く。ここで、E′とは、ゴムの動的貯蔵弾性率のことをさす。特に、30℃でのE′がDRY操安(操縦安定)性との相関が高く、30℃E′を上げることで、DRY操安を上げられることが判っている。したがって、他の性能を消すことなく、E′向上が必要となる。
【0050】
上記化合物において、ゴムに対する反応基Bは、2重結合を有する基であって、該2重結合を活性化する基が隣接するものが好ましく、特に非芳香族共役2重結合基又は2重結合にカルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基及びアミド基から選ばれる1種が隣接した基であることが好ましい。尚、ここで隣接とは2重結合の両端又は一方にカルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基及びアミド基から選ばれる1種を有することをいう。
【0051】
反応基Bは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びソルビン酸から選ばれる不飽和カルボン酸から誘導される基であることが好ましく、中でもマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸から誘導される基、特にはマレイン酸、アクリル酸から誘導される基であることが最も好ましい。吸着基Cに関しては、カルボキシル基が好ましい。
【0052】
また、上記化合物は、更にオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基を有することによって、ゴムとの相溶性が向上し、シリカ等の無機充填剤との親和性が良好となる。オキシアルキレン基の平均付加モル数は、ゴムに対する反応基Cの個数1個当たり、1〜30モルの範囲であることが好ましく、更には1〜20モル、特には2〜15モルの範囲であることが好ましい。
【0053】
具体例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、クエン酸等のポリカルボン酸のモノ((メタ)アクリロイルオキシアルキル)エステル(ここで((メタ)アクリロイルは、メタクリロイル又はアクリロイルを示す);マレイン酸モノリンゴ酸エステル等の不飽和カルボン酸とオキシカルボン酸との(ポリ)エステル;エチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸との両末端にカルボキシル基を有するエステル;N−(2−カルボキシエチル)マレアミド酸等のN−(カルボキシアルキル)マレアミド酸;下記式(III)、(IV)又は(V)で表される化合物が挙げられる。
【0054】
【化3】
Figure 2005008824
【0055】
式中、B、B及びBはこれらのうち一つが式−(RO)−CO−CR=CR−Rで表される基であり、他は水素原子である。ここでRは炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基である。またR、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、好ましくはRが水素原子又はメチル基、R及びRが水素原子である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜30の数であり、好ましくは1〜20、さらには好ましくは2〜15の数である。
【0056】
【化4】
Figure 2005008824
【0057】
上記式中、R10、R11及びR12はそれぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、m1、m2及びm3はそれぞれオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す数で、m1+m2+m3が0〜90、好ましくは3〜60、更に好ましくは6〜45となる数である。
【0058】
【化5】
Figure 2005008824
【0059】
上記式中、R13は、式−R14O−で示される基、式−(R15O)−で示される基、式−CHCH(OH)CHO−で示される基又は式−(R16O−COR17−COO−)16O−で示される基である。ここでR14は炭素数2〜36のアルキレン基、アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基であって、好ましくは炭素数2〜18のアルキレン基又はフェニレン基、更に好ましくは炭素数4〜12のアルキレン基である。またR15は炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、sはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜60の数であり、好ましくは2〜40、更に好ましくは4〜30の数である。R16は炭素数2〜18のアルキレン基、アルケニレン基、2価の芳香族炭化水素基又は−(R18O)18−であり(R18は炭素数2〜4のアルキレン基、uはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜30の数であり、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜15の数である)、R17は炭素数2〜18のアルキレン基、アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基であって、好ましくは炭素数2〜12のアルキレン基又はフェニレン基、更に好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基である。tは平均値で1〜30、好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜15の数である。
【0060】
上記多官能性化合物の中では、多塩基酸の部分エステルが好ましく、式(III)、(IV)又は(V)で表される化合物から選ばれる化合物が更に好ましい。
【0061】
式(III)で表される化合物の具体例としては、トリメリット酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)エステル、トリメリット酸モノ[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチル]エステル、トリメリット酸モノ(ω−(メタ)アクリロイルオキシポリオキシエチレン(10))エステル等のトリメリット酸モノ(ω−(メタ)アクリロイルオキシPOA(n))エステル(ここで(メタ)アクリロイルはメタクリロイル又はアクリロイルを示し、POA(n)はオキシエチレン又はオキシプロピレンが平均して1〜30モル付加したポリオキシエチレン(以下「POE」と略記することがある)又はポリオキシプロピレン(以下「POP」と略記することがある)を示す。)が挙げられる。
【0062】
式(IV)で表される化合物の具体例としては、POE(8)グリセリントリマレエート、POE(3)グリセリントリマレエート、POP(10)グリセリントリマレエート等のPOA(m)グリセリントリマレエート(ここでPOA(m)はオキシエチレン又はオキシプロピレンが平均して0〜90モル付加したポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンを示す。)等が挙げられる。
【0063】
式(V)で表される化合物の具体例としては、グリセリンジマレエート、1,4−ブタンジオールジマレエート、1,6−ヘキサンジオールジマレエート等のアルキレンジオールのジマレエート、1,6−ヘキサンジオールジフマレート等のアルキレンジオールのジフマレート、PEG200ジマレエート、PEG600ジマレエート等のポリオキシアルキレングリコールのジマレエート(ここでPEG200、PEG600とは、それぞれ平均分子量200又は600のポリエチレングリコールを示す)、両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンマレエート、両末端にカルボキシル基を有するポリ(PEG200)マレエート等の両末端カルボン酸型ポリアルキレングリコール/マレイン酸ポリエステル、両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンアジペートマレエート、PEG600ジフマレート等のポリオキシアルキレングリコールのジフマレート、両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンフマレート、両末端にカルボキシル基を有するポリ(PEG200)フマレート等の両末端カルボン酸型ポリアルキレングリコール/フマル酸ポリエステル等が挙げられる。
【0064】
前記化合物は分子量250以上であることが好ましく、更には250〜5000の範囲、特には250〜3000の範囲であることが好ましい。この範囲であると引火点が高く、安全上望ましいばかりでなく、発煙が少なく作業環境上も好ましい。尚、かかる化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
特に、ポリエチレングリコールポリマレエート(PEGM)及びブチレングリコールポリマレエート(BM)が好ましい。代表的に、PEGMは、式(V)において、R13が−(R16O−COR17−COO−)16O−で示される基であり、R16が−(R18O)18−(R18がエチレン基、u=3.5)であり、R17が−CH=CH−、t=4の化合物で表されるポリ(PEG200)マレエートである。BMは、式(V)において、R13が−(R16O−COR17−COO−)16O−で示される基であり、R16がブチレン基、R17が−CH=CH−、t=4の化合物で表されるポリブチレンマレエートである。
【0066】
(7)その他の添加剤
一般的に使用されるプロセスオイル、樹脂、加硫剤、加硫促進剤等は問題なく使用することができる。
【0067】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は、その主旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制限されるものではない。
(実施例1)
マスターバッチ1(水酸化アルミニウム含有)とカーボンブラックとを混練し、表1に示す組成のトレッドゴムを作製する。なお、通常のタイヤ用ゴム配合と同じく、ステアリン酸、亜鉛華、老化防止剤6C、加硫剤、加硫促進剤としてDPG、CZ、DM、イオウ等の薬品を用いる。
【0068】
この例のトレッドゴム組成物は、マスターバッチ1において、ジエン系ゴム(SBR:スチレンブタジエンゴム)100質量部に対し水酸化アルミニウム14.5質量部を含有し、最終的なゴム組成物として、ゴム成分100質量部中スチレン・ブタジエン共重合体が100質量部であり、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム14.5質量部を含有してなる。
【0069】
得られるトレッドゴムのウェットグリップ性能及び耐摩耗性能を評価する。結果を表1に併せて示す。各種の測定は下記の方法による。
(1)WETグリップ性評価
BPST(ブリティッシュ・ポータブル・スキッド・テスター)を用い、室温で測定し、以下の比較例1を100とする指数で表す。
(2)耐摩托性評価
上島製ランボーン試験機を用い、室温で測定する。
(3)E′測定
東洋精機製スペクトロメータを用い、30Hz、2%歪下で、40℃のE′を測定する。その指数をDRY操安性の指標とする。
【0070】
(実施例2)
実施例1において、マスターバッチを1から2(シリカ含有)に変える以外は実施例1と同様にして表1に示す組成のトレッドゴムを作製する。
この例のトレッドゴム組成物は、マスターバッチ2において、ジエン系ゴム(SBR)100質量部に対しシリカ25.5質量部を含有し、最終的なゴム組成物として、ゴム成分100質量部中スチレン・ブタジエン共重合体が100質量部であり、かつゴム成分100質量部に対しシリカ25.5質量部を含有してなる。得られるトレッドゴムの性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0071】
(実施例3)
実施例1において、マスターバッチを1から3(水酸化アルミニウムとシリカ含有)に変える以外は実施例1と同様にして表1に示す組成のトレッドゴムを作製する。
この例のトレッドゴム組成物は、マスターバッチ3において、ジエン系ゴム(SBR)100質量部に対し水酸化アルミニウム14.5質量部及びシリカ25.5質量部とを含有し、最終的なゴム組成物として、ゴム成分100質量部中スチレン・ブタジエン共重合体が100質量部であり、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム14.5質量部及びシリカ25.5質量部を含有してなる。得られるトレッドゴムの性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0072】
(実施例4)
実施例1において、マスターバッチ1のSBR137.5重量部をBR:ブタジエンゴム30重量部に変え、マスターバッチと追加のBSR96.25重量部及びシリカ35重量部とを混練する以外は実施例1と同様にして表1に示す組成のトレッドゴムを作製する。
この例のトレッドゴム組成物は、マスターバッチ1において、ジエン系ゴム(BR)100質量部に対し水酸化アルミニウム66.7質量部を含有し、最終的なゴム組成物として、ゴム成分100質量部中スチレン・ブタジエン共重合体76.2質量部を含有し、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム15.8質量部及びシリカ27.7質量部を含有してなる。得られるトレッドゴムの性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0073】
(実施例5)
実施例3において、マスターバッチ3のSBR137.5重量部をSBR68.75重量部及びBR30重量部に変え、マスターバッチと追加の天然ゴム20重量部とを混練する以外は実施例3と同様にして表1に示す組成のトレッドゴムを作製する。
この例のトレッドゴム組成物は、マスターバッチ3において、ジエン系ゴム(SBR及びBR)100質量部に対し水酸化アルミニウム20.3質量部及びシリカ35.4質量部を含有し、最終的なゴム組成物として、ゴム成分100質量部中スチレン・ブタジエン共重合体57.9質量部を含有し、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム16.8質量部及びシリカ29.5質量部を含有してなる。得られるトレッドゴムの性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0074】
(実施例6)
実施例3において、混練り時にPEGMを配合する以外は実施例3と同様にして表1に示す組成のトレッドゴムを作製する。トレッドゴムの性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0075】
(比較例1)
実施例1において、マスターバッチを用いずに、SBRとカーボンブラックとを混練し、表1に示すゴム組成物を作製する。この例のゴム成分は、すべてスチレン・ブタジエン共重合体である。得られる組成物の性能を実施例1と同様に評価し、結果を表1に併せて示す。
【0076】
(比較例2)
実施例1において、水酸化アルミニウムをマスターバッチ化しない以外は実施例1と同様にして表1に示すゴム組成物を作製する。この例では、各成分の配合割合は、実施例1の最終的なトレッドゴムと同様となる。得られる組成物の性能を実施例1と同様に評価し、結果を表1に併せて示す。
【0077】
(比較例3)
実施例2において、シリカをマスターバッチ化しない以外は実施例2と同様にして表1に示すゴム組成物を作製する。この例では、各成分の配合割合は、実施例2の最終的なトレッドゴムと同様となる。得られる組成物の性能を実施例2と同様に評価し、結果を表1に併せて示す。
【0078】
(比較例4)
実施例3において、水酸化アルミニウム及びシリカをマスターバッチ化しない以外は実施例3と同様にして表1に示すゴム組成物を作製する。この例では、各成分の配合割合は、実施例3の最終的なトレッドゴムと同様となる。得られる組成物の性能を実施例1と同様に評価し、結果を表1に併せて示す。
【0079】
(比較例5)
実施例4において、BR及び水酸化アルミニウムをマスターバッチ化しない以外は実施例4と同様にして表1に示すゴム組成物を作製する。この例では、各成分の配合割合は、実施例4の最終的なトレッドゴムと同様となる。得られる組成物の性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0080】
(比較例6)
実施例5において、水酸化アルミニウム及びシリカをマスターバッチ化しない以外は実施例5と同様にして表1に示すゴム組成物を作製する。この例では、各成分の配合割合は、実施例5の最終的なトレッドゴムと同様となる。得られる組成物の性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0081】
(比較例7)
実施例1において、水酸化アルミニウムのうち2重量部(ジエン系ゴム100質量部に対し1.45質量部)をマスターバッチ化する以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を作製する。この例では、各成分の配合割合は、実施例1の最終的なトレッドゴムと同様となる。得られる組成物の性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0082】
(比較例8)
実施例2において、シリカのうち9重量部(ジエン系ゴム100質量部に対し6.55質量部)をマスターバッチ化する以外は実施例2と同様にしてゴム組成物を作製する。この例では、各成分の配合割合は、実施例2の最終的なトレッドゴムと同様となる。得られる組成物の性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0083】
(比較例9)
比較例4において、混練り時にPEGMを配合する以外は比較例4と同様にして表1に示す組成のゴム組成物を作製する。ゴム組成物の性能を実施例1と同様にして評価し、結果を表1に併せて示す。
【0084】
【表1】
Figure 2005008824
【0085】
表1に示すように、実施例1では、比較例2に対し、水酸化アルミニウムをマスターバッチ化することで、ウェット性能を維持したまま、耐摩耗性を大幅に向上できることがわかる。実施例2では、比較例3に対し、シリカをマスターバッチ化することで、ウェット性能を維持したまま、耐摩耗性を大幅に向上できることがわかる。実施例3と比較例4との比較により、水酸化アルミニウム及びシリカを併用している系でも、マスターバッチ化することで、ウェット性能を維持したまま、耐摩耗性を大幅に向上できることがわかる。
【0086】
実施例4及び5と比較例5及び6との比較から、SBR/BRブレンド系、NR/SBR/BRブレンド系でも、水酸化アルミニウム、シリカを共にマスターバッチ化することで、ウェット性能を維持したまま、耐磨耗性を大幅に向上できることがわかる。
【0087】
実施例1及び2と比較例7及び8との比較から、水酸化アルミニウム及びシリカともに、マスターバッチ中に規定値以上を配合しなければ、耐磨耗性向上を図ることはできないことがわかる。
【0088】
実施例6においては、マスターバッチとPEGMとを同時に適用することで、比較例9に示すようにマスターバッチを使用しない配合に対するE′向上効果よりもより一層高い効果が得られる。なおかつこれにより、ブロック剛性も高めることができるため、摩耗エネルギーを減少させることができ、その結果として、耐摩耗性も同時に向上させることができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、水酸化アルミニウム及びシリカの少なくとも一方をマスターバッチ化したものを用いることで、空気入りタイヤのトレッドゴムにおいて、これまでの技術では成し得なかった耐摩耗性能とウェットグリップ性能との高い次元での両立が可能となる。

Claims (5)

  1. トレッドゴムを備える空気入りタイヤであって、
    前記トレッドゴムのゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に対し水酸化アルミニウム3質量部以上を予め混合することにより得られるジエン系ゴム・水酸化アルミニウム複合体を含有し、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部中にスチレン・ブタジエン共重合体40質量部以上を含有し、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム3〜50質量部を含有してなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. トレッドゴムを備える空気入りタイヤであって、
    前記トレッドゴムのゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に対しシリカ10質量部以上を予め混合することにより得られるジエン系ゴム・シリカ複合体を含有し、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部中にスチレン・ブタジエン共重合体40質量部以上を含有し、かつゴム成分100質量部に対しシリカ10〜120質量部を含有してなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. トレッドゴムを備える空気入りタイヤであって、
    前記トレッドゴムのゴム組成物が、ジエン系ゴム100質量部に対し水酸化アルミニウム3質量部以上とシリカ10質量部以上とを予め混合することにより得られるジエン系ゴム・無機化合物複合体を含有し、前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部中にスチレン・ブタジエン共重合体40質量部以上を含有し、かつゴム成分100質量部に対し水酸化アルミニウム3〜50質量部とシリカ10〜120質量部とを含有してなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  4. 前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対しシリカ15〜120質量部を含有してなる請求項2又は3記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ゴム組成物が、ポリエチレングリコールポリマレエート又はブチレングリコールポリマレエートを含有してなる請求項1〜4のいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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