JP2005007850A - 出没式筆記具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 軸筒内に出没可能な筆記体を有し、その筆記体の前後動作に連動して前記筆記体の筆記部を密閉するシール蓋とシール筒部を有する出没式筆記具において、前記シール蓋と前記筆記体に固定されたガイド筒とを複数の細線部で連接すると共に、前記シール蓋と細線部を一体で形成し、その細線部の前進後退により前記シール蓋の前記シール筒部に対する開閉をなした出没式筆記具。
【選択図】 図1
Description
本発明に係る出没式筆記具は、軸筒内に出没可能な筆記体を有し、その筆記体の前後動作に連動して前記筆記体の筆記部を密閉するシール蓋とシール筒部を有する出没式筆記具において、前記シール蓋と前記筆記体に固定されたガイド筒とを複数の細線部で連接すると共に、前記シール蓋と細線部を一体で形成し、その細線部の前進後退により前記シール蓋の前記シール筒部に対する開閉をなしたことを要旨とするものである。
また、上記出没式筆記具において、前記ガイド筒の前進により前進する複数の細線部のうち、少なくとも1本の細線部の前進を規制する手段を設けた構造とすることも可能である。
また、上記出没式筆記具において、前記ガイド筒の前進により前進する複数の細線部のうち、少なくとも1本の細線部の前進を規制すると共に、他の細線部をたわみ・変形可能な構造とすることもできる。
また、上記出没式筆記具において、前記ガイド筒の前進により前進する複数の細線部のうち、少なくとも1本の細線部を前記ガイド筒に遊挿させると共に、そのガイド筒に係止する係止手段を設けた構造とすることも可能である。
更に、上記出没式筆記具においては、前記シール蓋と前記シール筒部間の密閉力と、前記筆記部と前記シール筒部間の密閉力とを、何れも50〜100kPaとすることが望ましい。
また、上記出没式筆記具において、前記シール蓋と前記シール筒部の少なくとも一方は、ASTM F 1249に規定された水蒸気透過率が37.8℃(90%RH)の条件下で3.0(g.mm/m2.day)以下の材質とすることが望ましい。
また、上記出没式筆記具において、前記シール蓋と前記細線部とを一体に形成した構造とすることもできる。
また、上記出没式筆記具において、前記シール筒部と前記ガイド筒との間に弾撥部材を介装して、前記筆記体が後退位置にあるときに、前記弾撥部材の付勢により前記複数の細線部が前記シール蓋を前記シール筒部に押さえ付けた状態で維持する構造とすることも可能である。この場合、前記筆記体が後退位置にあるときに、前記複数の細線部から前記シール蓋に作用する力の向きが、前記軸筒の軸方向に一致するように、前記ガイド筒と前記シール蓋との間に前記複数の細線部を配設することが好ましい。
また、上記出没式筆記具において、前記複数の細線部を前記軸筒の内周面に沿って配置するとともに、前記複数の細線部の表面に潤滑剤を塗布した構造を採用することも可能である。
更に、上記出没式筆記具において、前記細線部に複数の縮径部を設け、それら縮径部において前記細線部が屈曲し得る構造を採用することもできる。
また、上記出没式筆記具においては、前記複数の細線部の先端部を、前記シール蓋の外周部に沿って等間隔に配置することが好ましい。
また、上記出没式筆記具においては、前記シール蓋と前記シール筒部とが対向する位置に軟質部材を介装するようにしてもよい。
図1〜図10に基づいて、本発明の第1実施例について説明する。図1は筆記体2が収納されている状態、即ち、シール蓋4が密閉されている状態を示す部分縦断面図である。軸筒1内の前方には弾撥部材7を介して前方に付勢されたシール筒部3がセットされており、そのシール筒部3の前端部が段部1nで係止されることによって軸筒1からの脱落が防止されているが、そのシール筒部3を前記軸筒1の内面に一体成形などしても良い。そのシール筒部3の後方内面には、図7に示すように、筆記体2の前方の外壁と密閉を保つための内方リブ3aが形成されている。また、本実施例ではシール蓋4には、3本の細線部51、52、53(図4、図5参照)が放射状にしかも等間隔(120度間隔)な位置に一体に形成されているが、この本数に限定させることはないが等間隔な位置に設けるのが好ましく、別体で形成されていてもよい。
前記細線部51、52、53の表面には、潤滑剤が塗布されているが、成形と同時に樹脂中に混練りさせても良い。その潤滑剤の例としては、シリコーンオイルやロウ、タルク、グリスなどが良好なものとして挙げられるが、塗布する作業性を考慮すると、シリコーンオイルと言った液状物が好ましい。図4及び図10に示すように、細線部52、53の後端はガイド筒6に固定されているが、細線部51はガイド筒6に摺動可能に取り付けられてる。そして、ガイド筒6とシール筒部3との間には、図1に示すように、弾撥部材7が張設されており、その弾撥部材7の付勢によって、前記シール蓋4が後方に押し当てられ、そのシール蓋4とシール筒部3との密閉が保たれている。又、そのシール蓋4とシール筒部3の密閉は、本実施例の如くシール蓋4とシール筒部3との直接密閉でも良いが、軟質部材を介しての密閉でも良い。また、シール筒部3内面と筆記体2前方との密閉に関しても、リング状の軟質部材、例えばゴムや樹脂からなるOリングを介してでも良い。更に、前記細線部52、53の後端とガイド筒6の連結部は円弧状をなした幅広の基部6aとなっている。基部6aを細線部の他の部分よりも幅広とすることによって、繰り返し行われる該部分における屈曲による劣化や切断を防止している(図5、図6参照)。
前記細線部51、52、53には、図4に示すように、部分的に複数の縮径部51a、52a、53aを規則的に設けてある。筆記体2および、その筆記体2に固定されたガイド筒6の前進により、前記縮径部51a、52a、53aが軸筒1内で容易にたわみ・変形するのである。この図4において、符号51bは、前記細線部51に設けた膨出部であり、その膨出部51bは前記ガイド筒6の前進に伴い細線部51が前進するのを、シール筒部3の外側面に突設した係止段部3eとの係合(係止段部3e間の縮径部3dで前進を阻まれること)により前進規制するものである。よって、その細線部51が規制されるが、他の2本の細線部52及び53が前進するため、前記シール蓋4は細線部51の先端近傍を回転中心として回転し、シール蓋4が拡開し筆記状態となる(図9参照)。
又、前記筆記体2の筆記部10を密閉するシール筒部3とシール蓋4の少なくとも一方は、気体不透過性に優れた材質から構成されている。好ましくは、ASTM F 1249に規定された水蒸気透過率が37.8℃(90%RH)の条件下において3.0(g.mm/m2.day)以下の要件、更に好ましくは、ASTM F 1249に規定された水蒸気透過率が37.8℃(90%RH)の条件下において1.0(g.mm/m2.day)以下の要件から構成されていれば、特に、材質に限定はされない。具体的材質の1例としては、ブチルゴム(IIR)らアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられるが、その他、上記各ゴム同士のブレンド品、上記各ゴムと樹脂材とのブレンド品などが挙げられる。特に、好ましくは、気体不透過性に優れたブチルゴム(IIR)、或いは、ブチルゴム成分を備えたオレフィン系熱可塑性エラストマーが望ましい。
図1及び図2において符号8は、前記軸筒1に一体形成されたクリップであるが、別部材で構成し各々を固定しても良い。また、符号2bは前記筆記体2の後部に位置するノック部材であって、このノック部材2bを押圧することによって筆記体2が前進し、軸筒1の先端から突出する。符号9は前記ノック部材2bに連結された摺動駒であって、筆記体2の突出時においては、軸筒1に形成された案内溝1aの係止部1bに係合している。そして、その摺動駒9を径方向に回転させれば、前記係合作用が解除され、弾撥部材7の弾撥力によって筆記体2が後退すると共に、シール蓋4が再びシール筒部3を密閉する。
軸筒1には、図1、図8および図9に示すように、その先端部に筆記体2の先端が出没可能に摺動する先端開口穴が設けられ、後端部に、筆記体2を構成するノック部材2bを摺動可能に配置できる後端開口穴が設けられている。また、軸筒1の側面には、摺動駒9が長手方向に摺動可能で、先端方向に係止部1bを形成した案内溝1aが形成されている。その案内溝1aの後方は軸筒1の後端開口部と連接されず、案内溝1aは軸筒1の側面で閉じた窓部を形成している。即ち、案内溝1aの先端と後端(後端部1c)は、閉塞されているのである。また、案内溝1aの後端部1cは、筆記体2が軸筒1に収納されているときの摺動駒9の係止部ともなっている。
更に、その案内溝1aの後端部1cからは、図8に示すように、円周方向に規制溝1iが形成されている。工場出荷時や不使用時、摺動駒9を軸筒1の円周方向に回転させ、規制溝1iに基部9bを位置させておくことによって、不慮の出没動作が防止されるのである。又、この際、摺動駒9(基部9b)が容易には復帰しないように、摺動駒9と軸筒1とが係合し得るようになっている。具体的には、軸筒1の外周面に設けた突起1k(図3参照)に、摺動駒9の下面に設けた突起9hが係合するのである。尚、本例においては、基部9b(摺動駒9)とノック部材2bとを別部材で形成し、互いを係合・固定しているが、射出成形や切削加工などの手段によって一体形成などしても良い。
尚、案内溝1aの後端部1cには、下方に向けて突起1jが形成されており、後述する基部9bの凹状の傾斜部9eが係合し得るようになっている。即ち、使用時においては、摺動駒9が軸筒1に対して不用意に回転しないようになっているのである。
前記摺動駒9は、軸筒1の外側に釦部9aと案内溝1a内を摺動係止する基部9bと軸筒1の内側で筆記体2を抱設する内方部9cとからなる。図1では、摺動駒9の基部9bの後方が案内溝1aの後端部1cに当接あるいは僅かな隙間をもって配置されている。
又、前記摺動駒9の内方部9cが筆記体2を抱設し、摺動駒9が長手軸(軸筒1の中心軸)を中心に回転可能に配置されている。具体的に説明すると、筆記体部2aとノック部材2bとは螺合によって着脱自在に連結・固定されており、その螺合部分に前記摺動駒9の内方部9cが緩着されている。即ち、内方部9cは、筆記体部2aとノック部材2bとによって挟み込まれた状態で筆記体2と一体化しているのである。また、前記筆記体部2aとノック部材2bは、螺合によって連結されており、その螺合構造の前方部が気密構造部となっている。具体的には、筆記体部2aの内面に形成されている円周リブが、ノック部材2bに形成されている平面部2cに接触し、互いが圧接・変形し密着する気密構造となっている。これによって、後述するインキ吸蔵体のインキが、前記気密構造部から蒸発しない、或いは、極めて蒸発しにくい螺合構造となっている。
尚、前記気密構造によって連結された筆記体部2aとノック部材2bの内部には、繊維集束体からなるインキ吸蔵体が挿着されているが、スポンジやウレタン、綿などの多孔質体であっても良い。そして、前記繊維集束体からなるインキ吸蔵体の表面には、薄いフイルム状部材からなる被覆体が巻き付けられているが、その被覆体には微細な貫通孔を複数形成しても良い。
ここで、更にノック部材2bを前進させると、前記摺動駒9の基部9b後方に形成した凹状の傾斜部9eが、軸筒1の鋭角な係止部(突起)1bに係止され筆記状態を保つことができる。この状態で摺動駒9の釦部9aを長手軸を中心に適宜回転させることにより、摺動駒9の基部9bと案内溝1aの係止部1bの係止が解除され、筆記体2は収納状態に移ることができる。
図12〜図15に本発明の第2実施例を示す。複数の細線部51、52、53は、前記実施例1と同様にシール蓋4に一体に形成されていてもよい。しかし、2本の細線部52、53の後端はガイド筒6に固定されているが、他の細線部51はガイド筒6の外側面に設けた案内の貫通溝6c(あるいは貫通孔)に遊挿されていると共に、前例のような縮径部は多数形成されていない。また、その細線部51の後端付近には、図14に示すように、係止段部51eが設けられており、その係止段部51eは前記貫通溝6cにおいて係止されるようになっている。即ち、前記筆記体2の収納時においては、前記ガイド筒6外側面の貫通溝6c近傍に設けた係止段部6bに係止段部51eが係止されるため、他の2本の細線部52、53と共に弾撥部材7の付勢でシール蓋4を後方に押し付けることになり、その結果、シール蓋4とシール筒部3とが密閉されるのである。
また、細線部51の前方部には、図15に示すように、前記第1実施例と同様に膨出部51bが設けられており、シール筒部3の外側面に形成した係止段部51cとの当接によって、ガイド筒6の前進に伴う前記細線部51の一定以上の前進規制がなされる。また、ガイド筒6の前進に合わせ他の2本の細線部52、53は、たわみ・変形しながら前進するため、シール蓋4は細線部51先端近傍を回転中心として回転・拡開し筆記状態となる。この時、細線部51の後方は、ガイド筒6に対して遊挿されているため、前記第1実施例のようにガイド筒6と同時に前進もできるが、軸筒1に対して多少は前進するものの、留まることもできる。
本実施例では、筆記状態で細線部51の後方が軸筒1内に残されても、筆記体2と軸筒1の相対的な前後移動に支障をきさないようにするため、軸筒1内に溝状部1pを形成し、その溝状部1pに細線部51の後方が配置されるため、筆記体2の前後動作がスムースに行える。尚、図示はしないが、筆記体2側に前記溝状部に相当する溝部を形成しても良く、あるいは、軸筒1と筆記体2との間隙を細線部51の厚みに対して十分に大きく形成しても良い。
次ぎに、摺動駒9の軸筒1への取り付け方法について説明する。図16は、軸筒1に摺動駒9を取り付ける過程を示した斜視図である。この図16に示すように、内方部9cの幅9f(図8参照)が軸筒案内溝幅1d(図1参照)に対し挿入可能になっており、最初に、筆記体部2aを軸筒1に挿入し、次いで、摺動駒9を約90°回転させることにより容易に内方部9cを軸筒1内に配置させることができ、その後、摺動駒9を90°回転させることにより組み立てが完了する。次いで、ノック部材2bを内方部9cに貫通せしめ、そして、ノック部材2bを筆記体部2aに螺合・固定させ製品化に至る。
図16では、内方部9cを軸筒1の案内溝1aの幅に挿入可能にしてあるが、圧入される場合でもよく、また、軸筒1の係止部1b付近の溝幅を大きく形成しこの部分で回転させることによって組み立てできるように内方部9cの幅9fを選択してもよい。
また、摺動駒9の内方部9cは必ずしも閉じている必要もなく、一部を切り欠いたCリング状(図17参照)、あるいは部分円弧状にしても良い。
図18は、摺動駒9の更なる変形例である。摺動駒9の軸筒1への取り付けは、案内溝1aの係止部1b付近の幅広部1eで内方部9cを縮変形させながら嵌め込むことができる。図19は、筆記具に組み上げた状態であって、筆記体2の収納時を示す斜視図である。前例のように、摺動駒9を回転させることなく組み立てることができるので、その組立の簡素化が図れる。
図20及び図21は、摺動駒9の更なる変形例であり、摺動駒9の釦部9aにクリップ部9jを一体に成形したものである。そのクリップ部9jのクリップ玉部に係止部9iを設け、その係止部9iを軸筒1の側面に設けた係止穴1hに係合させることで筆記状態に維持することができ、また、係止穴1hの後方に設けた係止穴1gに係合させることによって収納状態を維持することができる。軸筒1への取り付け方法は、図16で示した方法と同様である。
以下、上述した出没式筆記具について、下記の方法にて、密閉力の測定、並びに、経時耐久性の評価を実施した。
<密閉力の測定方法>
図1の状態において、筆記体2からノック部材2bを外し、該筆記体2の後端にシリコンチューブを密閉状態で連結する(図示せず)。シリコンチューブの他端をリークテスト装置(LEAK TESTER(株式会社 東京精密 社製))に密閉状態で連結する。さらに、シール筒部3側の軸筒1を、水を入れた適当な容器に半分位まで浸漬する。この状態で、リークテスト装置より任意のエアー圧を12秒間圧送し、シール筒部3とシール蓋4の密閉部、或いは、筆記体2の前方外壁部と内方リブ3aの密閉部より、気泡が発生しないエアー圧の限界値を密閉力とした。
<経時耐久性の評価>
図1の状態において、筆記体2内にはインキ吸蔵体(アクリル製)を配置し、エタノールが主溶剤のアルコール系油性インキを3g充填する。筆記体2の先端にはペン芯(アクリル製)が圧入嵌着され、ペン芯の他端はインキ吸蔵体に圧入している。前述した密閉力の測定方法にて、前述した密閉力の測定方法にてサンプルを分類し、シール筒部3の材質の水蒸気透過率をそれぞれ下記の通りとした。
サンプル1:20kPa<水蒸気透過率0.6>
サンプル2:30kPa<水蒸気透過率0.6>
サンプル3:40kPa<水蒸気透過率0.6>
サンプル4:50kPa<水蒸気透過率3.2>
サンプル5:50kPa<水蒸気透過率0.6>
サンプル6:60kPa<水蒸気透過率1.2>
サンプル7:80kPa<水蒸気透過率2.4>
サンプル8:100kPa<水蒸気透過率2.4>
サンプル9:110kPa<水蒸気透過率0.6>
各サンプルを50℃で、1日間、横向き放置後、室温に1時間放置してから、上質紙に筆記する。その後、継続して、50℃、7日間、横向き放置後、室温に1時間放置してから、上質紙に筆記する。それぞれの筆跡状態を確認し、下記の評価基準で、目視で評価した。
○:問題なく筆記できる
△:筆記線がやや掠れる
×:乾燥し筆記線が掠れる
経時耐久性の結果は、表1の通りであった。
これに対して、本発明の範囲外となるサンプル1〜4及び9では、気密性が十分でないため、インキ溶剤が密閉部及び、ゴム等の材質を透過し揮発したので、経時耐久性的には筆記線がドライアップし筆記線が掠れるか、やや掠れる結果となった。各サンプルを考察すると、サンプル1〜3は、密閉力が50kPa以下であり、密閉力の弱くなっている密閉部よりインキ溶剤が透過・揮発し、経時耐久性試験で筆記線が掠れる結果になった。さらにサンプル4は、密閉力が50kPaはあるものの水蒸気透過率が高く、つまり不透過性に劣った材料となっているため、短期的な経時では問題ないが長期的な経時において、筆記線が掠れてしまう結果となった。又、サンプル9は、気体不透過性に優れた材料を採用しているものの、密閉力が100kPaを超えているので、弾撥部材7の荷重が強く耐熱経時により細線部が伸びてしまい、シール蓋4を後方に押し当て付勢する力が弱くなり、筆記部の乾燥に至ってしまったと考えられる。
2 筆記体
3 シール筒部
4 シール蓋
5 細線部
6 ガイド筒
7 弾撥部材
8 クリップ
9 摺動駒
10 筆記部
Claims (16)
- 軸筒内に出没可能な筆記体を有し、その筆記体の前後動作に連動して前記筆記体の筆記部を密閉するシール蓋とシール筒部を有する出没式筆記具において、前記シール蓋と前記筆記体に固定されたガイド筒とを複数の細線部で連接すると共に、前記シール蓋と細線部を一体で形成し、その細線部の前進後退により前記シール蓋の前記シール筒部に対する開閉をなしたことを特徴とする出没式筆記具。
- 前記複数の細線部をたわみ・変形可能としたことを特徴とする請求項1記載の出没式筆記具。
- 前記ガイド筒の前進により前進する複数の細線部のうち、少なくとも1本の細線部の前進を規制する手段を設けたことを特徴とする請求項1、或いは、請求項2に記載の出没式筆記具。
- 前記ガイド筒の前進により前進する複数の細線部のうち、少なくとも1本の細線部の前進を規制すると共に、他の細線部をたわみ・変形可能としたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の出没式筆記具。
- 前記ガイド筒の前進により前進する複数の細線部のうち、少なくとも1本の細線部を前記ガイド筒に遊挿させると共に、そのガイド筒に係止する係止手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の出没式筆記具。
- 前記シール蓋と前記シール筒部間の密閉力と、前記筆記部と前記シール筒部間の密閉力とを、何れも50〜100kPaとしたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の出没式筆記具。
- 前記シール蓋と前記シール筒部の少なくとも一方は、ASTM F 1249に規定された水蒸気透過率が37.8℃(90%RH)の条件下で3.0(g.mm/m2.day)以下の材質からなることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の出没式筆記具。
- 軸筒内に出没可能な筆記体を有し、その筆記体の前後動作に連動して前記筆記体の筆記部を密閉するシール蓋とシール筒部を有する出没式筆記具において、
前記軸筒内に前記シール筒部を固定し、このシール筒部の前方に前記シール蓋を、後方にガイド筒をそれぞれ配置して、前記ガイド筒を前記筆記体に固定すると共に、前記ガイド筒と前記シール蓋とを、可撓性を有する複数の細線部により連結し、前記筆記体が後退位置にあるときに、前記複数の細線部が前記シール蓋を前記シール筒部に押さえ付けた状態で維持することにより、前記シール筒部の前端開口が閉塞される一方、前記筆記体の前進時には、前記シール筒部に対する、前記複数の細線部の何れかの前進が規制されて残りの細線部の前進が許容されることにより、前記シール蓋が回動して前記シール筒部の前端開口が開放されるように構成したことを特徴とする出没式筆記具。 - 前記複数の細線部のうち、前進の規制対象となる細線部の前部に膨出部を設けると共に、前記シール筒部の外周部に、前記筆記体の前進時において前記膨出部を係止する係止段部を設けたことを特徴とする請求項8記載の出没式筆記具。
- .前記シール蓋と前記細線部とを一体に形成したことを特徴とする請求項8、或いは、請求項9に記載の出没式筆記具。
- 前記シール筒部と前記ガイド筒との間に弾撥部材を介装して、前記筆記体が後退位置にあるときに、前記弾撥部材の付勢により前記複数の細線部が前記シール蓋を前記シール筒部に押さえ付けた状態で維持することを特徴とする請求項8〜請求項10の何れかに記載の出没式筆記具。
- 前記筆記体が後退位置にあるときに、前記複数の細線部から前記シール蓋に作用する力の向きが、前記軸筒の軸方向に一致するように、前記ガイド筒と前記シール蓋との間に前記複数の細線部を配設したことを特徴とする請求項8〜請求項11の何れかに記載の出没式筆記具。
- 前記複数の細線部を前記軸筒の内周面に沿って配置するとともに、前記複数の細線部の表面に潤滑剤を塗布したことを特徴とする請求項8〜請求項12の何れかに記載の出没式筆記具。
- 前記細線部に複数の縮径部を設け、それら縮径部において前記細線部が屈曲し得るようにしたことを特徴とする請求項8〜請求項13の何れかに記載の出没式筆記具。
- 前記複数の細線部の先端部を、前記シール蓋の外周部に沿って等間隔に配置したことを特徴とする請求項8〜請求項14の何れかに記載の出没式筆記具。
- 前記シール蓋と前記シール筒部とが対向する位置に軟質部材を介装したことを特徴とする請求項8〜請求項15の何れかに記載の出没式筆記具。
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