JP4973013B2 - 出没式筆記具 - Google Patents
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Description
しかし、近年においては、前記キャップの着脱操作の煩わしさや、キャップの紛失などを考慮し、軸筒内に筆記体を出没可能に配置すると共に、前記キャップの作用をなすシール蓋を、前記筆記体の出没動作に連動させて開閉する出没式筆記具が市販されるようになってきている。
また、筆記芯がリップのスリットを通過する際、そのスリットに筆記芯のインキが付着してしまい、これまた、スリットの密閉性を悪いものとしてしまっていた。つまり、スリットに付着したインキが乾燥し、粒状となって密閉性を悪くしてしまうのである。
更に、延長部の前端外周部分に膨らみを形勢し、その膨らみによって前記リップのスリットを拡開する手段も試みられたが、延長部とスリットの間に摺動摩擦が発生してしまい、密閉不良を起こす原因となってしまっていた。
図1〜図10により本発明の実施の形態1に係る筆記具を例示的に説明する。その筆記具は単一のケースまたは複数の部品からなるケース形態のうち、いずれかである軸筒1になっており、この軸筒1の内部には筆記芯2を外気から密封した密閉装置3を備えている。なお、軸筒1の筆記芯2が突出する側を前方、ノック体6の側を後方と、以下称す。
密閉装置3の後方内面には、樹脂材質から形成され、水やエタノールなどを含むインキを収容した筆記体4が配置されている。その筆記体4は、前軸5とその前軸5に着脱自在に螺合・固定したノック体6から構成されており、前軸5の細軸部7となっている他端には筆記芯2が装着されている。
前記筆記体4を後方に向けて付勢するスプリング8は細軸部7の案内段部9に設けられており、そのスプリング8の一端は、細軸部7の段差側面10に弾性支持され、他端は密閉装置3の一部品であり前軸5の細軸部7に外接される第2Oリング10aの一端面に弾性支持される。
また、後述もするが、密閉装置3の概略的な構成は、軸筒1、この軸筒1の内部に設けられる第2Oリング10a、リテーナ11、シール蓋12及び第1Oリング13からなっている。これらの構成要素はそれぞれの形状を有し、所定の機能を提供するようになっている。
また、軸筒1の後方外周面にはガイドスリット14が設けられ、そのガイドスリット14は軸筒1の壁体を貫通して軸方向に延びている。そのガイドスリット14の両側には複数の固定穴15が開いている。この複数の固定穴15にはフックを設けた突起を形成したクリップ16が取り付けられる。そのクリップ16は、一端が固定されるように軸筒1に取り付けられており、軸筒1に固定されない他端には凸部17が形成されていることにより、紙などの薄いものを軸筒1と挟み込むことができる。そのクリップ16に形成された凸部17の内側にはギア18が軸方向に回転可能に挿設されている。
前述もしたが、前軸5の細軸部7に設けられたスプリング8は、一端が細軸部7の段差側面10の案内段部9に案内されながら弾性支持され、他端は前軸5の細軸部7に外接された第2Oリング10aの一端面に弾性支持されている。その第2Oリング10aは、細軸部7が外接されるように内側に凸形状の突起19を円周方向に形成している。なお、本例では突起間の隙間にシリコーンオイルを介在させ、筆記体4の摺動によってシリコーンオイルが剥ぎ取られないように3個の突起19を設けているが、この突起19は1個又は複数個形成してもよい。
前記細軸部7は後方から前方に向けて摺動筒部20とその摺動筒部20の前方に形成され、前方に向かって拡径するテーパー筒部21とそのテーパー筒部21の前方に形成され、前記摺動筒部20より大径な先端筒部22とから構成されている。そして、その先端筒部22の前端には、先端筒部22よりも外径が小径であるが、内径が大径なるカバーリング22aが形成されている。そのカバーリング22aは、全周上に渡って形成されているのではなく、1部に切欠部22bが形成されている。この切欠部22bによって空気の置換がなされるのである。つまり、筆記に連れインキが消費され、筆記体4内が減圧されるが、前記切欠部22bから空気が筆記体4内に侵入し、これによって前記の減圧が解消され、良好な筆記が得られるのである。
また、その切欠部22bの近傍であって、前記カバーリング22aの表面には突起37が対向する位置に形成されているが、その突起37はカバーリング22aと先端筒部22に架けて形成されている。突起37の断面形状は、ほぼ円径状をなしているが、一部が切り欠かれている(切欠部37a)。後述するシール蓋12を容易に開閉させるための切欠部である。
さらに、前記カバーリング22aの内面後方には小径部を形成することによって段部が形成されており、その段部に筆記芯2の中間部に形成された段部が係止している。これらカバーリング22aの段部と筆記芯2との当接によって、その筆記芯2の筆記体4への没入が防止されている。
なお、前記カバーリング22aは、前記突起37を補強する作用をなしており、また、ペン先2の中間部を補強する作用もなしている。
前記第2Oリング10aの前方には、リテーナ11が配置されており、そのリテーナ11は、第2Oリング10aの他端面25がリテーナ11の内部に一端が挿入された状態で設置されている。また、リテーナ11の前端には一対の回転支持軸26が形成されており、それぞれの回転支持軸26にはヒンジ孔27が形成されている。そのヒンジ孔27には、半球状をなしたシール蓋12に形成されているヒンジ軸28が回転可能に配置されている。前記軸筒1の内面にはリテーナ11の前方への移動を阻止する壁部29が形成されており、リテーナ11の回転支持軸26のヒンジ孔27に軸支されたヒンジ軸28を挟み込むようにしている。
また、軸筒1の先端開口部30内面には、第1Oリング13が配置されている。この第1Oリング13の段部側面31には凸形状の突起32が円周状に形成されており、軸筒1の先端開口部30内面に設けられた段部33に密接している。その第1Oリング13の後部端面の内側R部34には、第2Oリング10を介してリテーナ11から伝わってきたスプリング8の弾発力がシール蓋12を前方へ押圧し、シール蓋12のボール状表面35と当接している。この弾発力で第1Oリング13がシール蓋12と軸筒1に挟まれることにより、第1Oリング13が弾性変形し、軸筒1の先端開口部30を密封させている。この第1Oリング13と第2Oリング10により、密閉室36が形成される。
シール蓋12と筆記芯2には充分な隙間を持たせており、筆記芯2が平行移動によって軸筒先端開口30付近に到達したころにはシール蓋12はすでに開かれているため、筆記芯とシール蓋は接触することはない。
また、第1Oリング13、第2Oリング10aは気体透過性の低い材質から構成されている。具体的には、ASTM F 1249に規定された水蒸気透過率が3.0g.mm/m2.day.at 37.8℃(90%RH)以下の材料から構成され、かつ、圧縮永久歪み率が20%以下となるゴム材または弾性樹脂材からなる材質であれば特に限定されず、例えばこれらの要件を充足するエチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム(Q)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ゴポリエチレンゴム(CSM)、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、その他上記各ゴム同士のブレンド品、上記各ゴムと樹脂材とのブレンド品などが挙げられ、更に好ましくは、上記水蒸気透過率及び、圧縮永久歪み率の要件を充足するEPDM、IIR、CR、FKM、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーが望ましい。
また、円滑に作動するため細軸部7の摺動筒部20、シール蓋12のボール状表面35、ヒンジ軸28には潤滑剤が塗布されているが、成形と同時に樹脂中に混練りさせても良い。その潤滑剤の例としては、シリコーンオイルやロウ、タルク、グリスなどが良好なものとして挙げられるが、塗布する作業性を考慮すると、シリコーンオイルといった液状物が好ましい。
前記固定突起43は左右3個ずつ軸方向に並んで形成されているが、中央の突起43aにはフックが形成されておらず、軸筒1の固定穴15と同形状の断面を有している。しかし、両側の突起43bはクリップ16の側面から外側に向けてフック43cが形成されており、軸筒1の固定穴15に対してフックの裏側に隙間を設けた断面形状となっている。つまり、クリップ16の固定突起43が、軸筒の固定穴15に挿入される際には、クリップ16の固定突起43の中央の突起43aにより軸筒1の変形が規制され、この規制によって、フック43cが形成された固定突起43bが内側にたわみながら軸筒1の固定穴15に嵌着される。そして、クリップ16が嵌着すると、固定突起43のフック43cにより軸筒1とクリップ16は固定され、また、中央の固定突起43a及びに脱着防止用の突起44によって、軸筒1の変形が防止される。
また、前記ギア18はカム部45と回転軸部48から構成されており、その回転軸部48はカム部45に対して両側から突き出るように形成されている。また、回転軸部48の一方をクリップ16の凸部17内に設けた軸溝49に挿入し、他方を軸抑え溝50に嵌め込んでいる。さらに、ギア18はクリップ16の凸部17内で回転可能に配置され、凸部17の両壁によりギア18の回転が規制され、この規制によって、ノック動作を行っても筆記状態に係止されないといった不具合はなくなる。
筆記体4は軸筒1に形成されたガイドスリット14の最端面14aに係止用突起39が接触するまで押圧できるが、係止用突起39がカム部45を通過してから、係止用突起39がガイドスリット14の最端面14aに当たる間でノック体6の押圧を止めると、筆記体4が後退し係止用突起39がカム部45の係止用溝45dに係り、筆記可能状態となる。
また、係止用突起39が係止用溝45dに係る際、係止用溝45dに設けられた斜面に係止用突起39の後方端部が当たり、ギア18を逆回転させている。
その後、押圧を止め筆記体4を後退させる動作において、係止用突起39は逆転傾斜面45eによって逆回転されたカム部45を、第2山部45fを越えながら通過し、筆記芯2を軸筒1内に導くのである。
軸筒1前方内部では、筆記体4が後退すると前軸5の細軸部7の前方外周面に載置した突起37の後部がシール蓋12の回転溝38に当接する。さらに前記突起37が後退するとシール蓋12はヒンジ軸28を中心にして逆回転する。前進時と同様に、回転溝38は前軸5の突起37に比べて充分に大きい溝形状をなしているため、前記突起37はシール蓋12の回転溝38内で干渉されることなく後退することができる。また、シール蓋12のヒンジ軸28には逆回転を防止するため、Dカットされた平面28aが形成されている。筆記芯2が収納され、シール蓋12が軸筒先端開口部30を密封すると、このDカット平面28aは軸筒1内に設けられた壁面29aと面接触される。なお、ヒンジ軸28が回転し、壁面29aと接触する部分にはR面28bが形成され、無理なくシール蓋12を回転させることができる。さらに、シール蓋12の両側側面にも突起12aを設け、リテーナ11の回転支持軸26の前側端面26aによってシール蓋12の逆回転を防止している。
図14、15に本発明の実施の形態2を示す。筆記具後方によるノック構造に関する説明は実施の形態1と同様のため省略する。
軸筒51の内部に備えた筆記芯52を外気から遮断し、密封する密閉装置53について説明する。軸筒51内の前方には、スプリング54を介して移動不能に弾性樹脂成形品からなるシール筒55がセットされている。そのシール筒55の後方内面には、筆記体56の前方の外周面と密閉を保つための内方リブ57が形成されており、その内方リブ57には筆記体の前方部分が摺接している。更に、前記弾性樹脂材質からなるシール筒55には、シール蓋58が取り付けられており、そのシール蓋には3本の細線部59、60、61が放射状にしかも等間隔(120度間隔)な位置に射出成形などの手段によって一体成形されている。これらの細線部59、60、61の表面には、潤滑剤が塗布されているが、成形と同時に樹脂中に混練りさせても良い。その潤滑剤の例としては、シリコーンオイルやロウ、タルク、グリスなどが良好なものとして挙げられるが、塗布する作業性を考慮すると、シリコーンオイルといった液状物が好ましい。なお、その細線部60、61の後端はガイド筒62に一体に連結されているが、細線部59はガイド筒62に摺動可能に取り付けられている。
符号64は前記細線部59に設けた膨出部であり、その膨出部64は前記ガイド筒62の前進に伴ない細線部59が前進するのを、シール筒部55の外側面に突設した係止段部65との係合により前進規制するものになっている。
また、前記シール蓋58の内面には、2個の凸部66が並列した状態で形成されており、その並列した2個の凸部66の幅は前記筆記体56の前方の外周外径よりも大きい幅を有している。一方、筆記体56の前方部には、前記2個の凸部66と当接する突起67が対向する位置に形成されている。筆記体56が前進すると、凸部66は筆記体前方外周面に形成された前記突起67と当接するが、シール蓋58の内面に形成された前記凸部66は、筆記芯52と接触しない充分な高さで形成されている。
そして、ガイド筒62とシール筒55との間には、前記スプリング54が張設されており、そのスプリング54の付勢によって、前記シール蓋58が後方に押し当てられ、そのシール蓋58とシール筒55との密閉が保たれている。
2 前筆記芯
3 密閉装置
4 筆記体
5 前軸
6 ノック体
7 細軸部
8 スプリング
9 案内段部
10 段差側面
10a 第2Oリング
11 リテーナ
12 シール蓋
12a 突起
13 第1Oリング
14 ガイドスリット
14a 最端面
15 固定穴
16 クリップ
17 凸部
18 ギア
19 突起
20 摺動筒部
21 テーパー筒部
22 先端筒部
22a カバーリング
22b 切欠部
23 半円状の突起
24 テーパ面
25 第2Oリング10aの他端面
26 回転支持軸
26a 前側端面
27 ヒンジ孔
28 ヒンジ軸
28a Dカットされた平面
28b R面
29 壁部
29a 壁面
30 先端開口部
31 段部側面
32 凸形状の突起
33 段部
34 R部
35 ボール状表面
36 密閉室
37 突起
37a 切欠部
38 回転溝
39 係止用突起
40 回転用突起
40a 後方端面
41 壁
41a 係止部
42 傾斜面
43 固定突起
43a 中央の突起
43b 両側の突起
43c フック
44 突起
45 カム部
45a 回転傾斜面
45b 第1山部
45c 逃がし部
45d 係止用溝
45e 逆回転傾斜面
45f 第2山部
46 先端部
47 Dカット部
48 回転軸部
49 軸溝
50 軸抑え溝
51 軸筒
52 筆記芯
53 密閉装置
54 スプリング
55 シール筒
56 筆記体
57 内方リブ
58 シール蓋
59 細線部
60 細線部
61 細線部
62 ガイド筒
63 先端開口部
64 膨出部
65 係止段部
66 凸部
67 突起
Claims (2)
- 軸筒内に前後動可能な筆記体を有し、前記筆記体の前後動作に連動して前記筆記体の筆記芯を外気から密封するシール蓋を有する筆記具であって、前記シール蓋の開閉を前記筆記体の前方に設けたカバーリングの外周面の領域内に設けた突起によって作動させると共に、その突起と前記シール蓋との係合部をシール蓋の非シール部に設けたことを特徴とする出没式筆記具。
- 前記突起を対向した位置に設けると共に、それら対向する突起を前記筆記体の長手方向における中心軸線を含む仮想面部から離隔した位置に設けたことを特徴とする請求項1記載の出没式筆記具。
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